忍の末裔が呪術師になるようです   作:H-13

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色々詰め込んだぞー。ちゃんと巡君が術式使うの何気に初めてかも。


六道仙人

12月24日。僕はまた禪院家で昼ご飯を食べています。それも直毘人さんと頬を腫らした禪院直哉さんとかいう直毘人さんの息子も添えて。なんで頬が腫れているかと言ったら彼が真希を煽って真希にグーパンを貰ったからです。良かったね直哉君、真希のパンチ5割位の手加減だったはずだから顔面崩壊してないよ。直毘人さんは笑ってたからお咎め無しで終わりそう。

 

なんで僕、僕じゃねぇな。俺が京都に居るかっていったら百鬼夜行を迎え撃つ配置を京都に設定されたから。京都に真希と巡。東京には五条先生。階級自体は五条先生の一強であるが味方の呪術師全体を見れば巡も真希も、ついでに言ってしまえば真依さんも、上位に位置するのは間違いない。故の分散。東京にはパンダと狗巻君の2人。高専には憂太がお留守番。

 

真希はとっとと実績が欲しい。そんなぽんぽんと肩書きあげなくても、と言ってみた所貰える時に貰っとくとのこと。出発前にも、京都についてからも言われたのは同じ事。2人での遊撃。突出した者を指揮下に入れるよりも、好きに祓いまくって貰った方が良いとの判断らしい。

 

禪院家に来た理由は真希が手持ちの呪具を増やしたいらしい。今回は長丁場であり広範囲。特級呪具でいつも通り押し潰すよりもスピーディに倒す為に刀か槍かを持つそうだ。故に瓢摩は久しぶりに自分の手元にある。真希がずっと使ってるから忘れてたけど、俺ん家の家宝だったな。と思い出した。

 

事前に直毘人さんが許可を出して武器庫の鍵を預けてくれたから、食事が終われば普通に足を踏み入れられた。

 

所狭しと並べられている武具、呪具の数々。こっちの方が手っ取り早いと、写輪眼で視た込められた呪力量から等級を判断してゆく。

 

最終的に選んだのは鎖の先に付けたものを自動的に手元まで戻してくれる鎖型の一級呪具。瓢摩の端につければ格好が付く。直毘人さんにはくれてやるって言われたけど後で返しに来ます。

 

真希が選んだのはこの部屋で一番質の良い刀一振りと薙刀一振り。彼女の手持ちよりかなり質の良い一級から二級の合間のもの。直毘人さんが口を開く前に

 

「ジジイ、貰ってくぞ。」

 

と言って俺に押し付けてきた。左目だけ万華鏡にすれば鎖共々取り込んでおくが、便利な荷物持ちになって無いかな?まぁ、悪い気はしない。

 

日没近くまで禪院家で武器の感覚を調整しておく。以前ならば周りからの腐った目線があり、居るのも嫌になるような場所だったらしいが、直毘人さんがその辺りはどうにかしたらしい。飯前に突っかかってきた直哉さんはその筆頭のような人らしいが、煩い口を拳骨によって塞がれた為今は何も無い。

 

 

 

夕方。一応京都校の面子とも顔合わせの時間が設けられた。

 

「千葉巡!改めて聞いておこう、貴様はどんな女がタイプだ!!」

 

「ポニテ、長身、引き締まってる身体。でもちゃんと胸がある。簡単に言えば真希だな。」

 

「それでこそマイブラザーだ!」

 

これでも身長ある方なんだけどなぁ、と目の前の東堂を見て自信を無くす。歳下の先輩という中々無い存在に肩を組まれゆさゆさと左右に揺れている様子を見ているのは女子組である。

 

「あら真希、愛されてるじゃない。」

 

「真希ちゃんも好きなんでしょ?いいじゃん両想いで。」

 

「(両想いかー。いいなー。あんな相手……東堂先輩も加茂先輩もちょっと怖いんだよなぁ。メカ丸はメカ丸だし……。)」

 

「あ"ーー!うっせェ!」

 

弄られ慣れていない故の反応は、遠目から見ていても可愛いもの。

 

呪いを解呪してからは姉妹の距離もそれなりに戻ってきたらしく、連絡をちょくちょく取っている様子だ。ビデオ通話で西宮さんと三輪さんについては顔だけは知っていた。

 

交流戦には居なかったから巡は知らないけれど、三輪さんの髪色が地毛な事に今日1番驚いていたりする。

 

そんな緩い空気も日が傾けば傾く程に自然と引き締まって行く。特大の帳が降ろされれば、完全にそこは戦場となる。

 

夏油一派も巡と真希が京都に向かったと把握しているだろう。どこまでこちらに戦力を割いてくるか分からない中、呪霊が空を飛んで此方に向かってくる姿を写輪眼が捉える。

 

「真希。」

 

「分かってる。」

 

既に呪具は彼女の手に。作戦も既に伝えてあるが故に一言で返事が帰ってくる。出来るだけ高度が欲しかったが為に、2人とも瓦屋根の上に陣取っている。

 

『火遁・業火滅却』『風遁・嵐龍弾の術』

 

今から行うのは自らの手持ちの中で最高範囲であり上位の火力となる組み合わせ技。右手に炎、左手に風。均等の呪力になるように写輪眼で微調整を行った後に胸の前で混ぜ込み、一つの業と成す。

 

『炎遁・龍華失滅』

 

思い浮かべるは龍の息吹。手の平を合わせた中で荒れ狂ういまにも爆発しそうなソレに息を一息吹き込めば、瞬く間に目の前は業火に染まる。事前に通達していた為呪術師を巻き込むことも無く、飛行系呪霊とそれに乗っていた呪霊たちが、文字通り全て消し炭と化す。一級呪霊も背の高い巨人の特級呪霊も例外では無い。

 

これがうちはだと背中の家紋が物語る。たった一瞬、一撃で200は下らぬ呪霊が祓われた。炎の影響が消え去れば、これからは他の呪術師による総力戦。地を進む呪霊に向かい次は真希が突っ込んでゆく。

 

天与呪縛が完成してから、少しの間はギャップに四苦八苦していた様だが今ではその姿は無く、銀の軌跡が彼女の後ろに繋がる。そのレベル。二級以下では反応すら出来ず祓われ術式を持つ準一級レベルですらも急所であろう場所を薙刀か刀によって軽く切り裂かれて沈んで行く。

 

耐久特化の敵が出て来た場合は巡の出番である。現状は真希のサポート。適当に間引き、真希が倒せないであろう呪霊から優先的に潰して行く。

 

蹂躙、鏖殺。呪霊特有の体液がそこら中に零れ、文字通りにその言葉が似合う景色に変わっていく中、背後から一陣の風が吹く。問題なく2人とも対応出来るレベルだったが。真希が首筋を、巡が後脚を狙って攻撃するも、無傷。確かに当てたはずだと思いながら息を吐き出す。生半可な相手では無いと気を一度引き締める。それは真希も同じ事のようだった。

 

敵と言える相手。それは全長5メートルを超えるコオロギであった。

 

未登録特級呪霊 『戯哭蘭(ぎこくらん)』

 

動き回る速度は真希や巡の全力よりも下ながら、脅威はその特異能力。羽根を振動させることにより身体に呪力を回し物理攻撃を脅威の100%カット、呪術的な攻撃も80%という高水準でカットする文字通りの無敵戦車である。夏油傑が対禪院真希に送り込んで来た呪霊でもある。

 

そんな情報はあるはずも無く、2人がかりで攻め立てるも一向に勝負が付かない。互いに無傷のままだ。須佐能乎を形成しようにも動きが鈍った所に突っ込まれ骨が砕かれるのが目に見えている故の千日手。

 

 

「真希、少し1人で相手してもらっていいか?」

 

「早くしろよ!」

 

右手に刀、左手に薙刀。縦横無尽に飛び回りながら足を止める此方に来ないように呪霊を押し止めてくれている真希を目の前に、息を吐き出す。

 

閉じた瞳の中で1段階スイッチを切り替える。鎖で意図的に縛り付けて使えなくしていたもう一段階上のモノ。万華鏡写輪眼が行き着く先。故に、同時にあるものが"咲く"のは必然である。

 

『領域展開・月桂無窮天元』

 

両手を組み合わせるようにして巳の印を組む。自らと真希、特級呪霊と周囲に居た呪霊もついでに巻き込み発動するのは呪術の極致。それは、呪力からの脱却の第一歩でもある。

 

「これは……!ッ"……ああ、そういう事か。」

 

良く夢に出て来る木々が生い茂る世界。天を貫く巨大なナニカの頂上。ずっと実かと思っていたモノが花開いていた。

 

「理解した。」

 

身体に纏うは六道の衣

 

背に浮かぶは求道玉

 

額に開くは輪廻写輪眼

 

そして身に巡る力は呪力では無い。周囲の木々が、目の前の神樹が精製し、無限のバックアップとして供給してくれる自然エネルギーである。

 

天上天下唯我独尊。この世界の初めての住人であり、神である。

 

全能感に酔いしれる。文字通り高笑いでもしそうな雰囲気ながら敵に目をやれば、もう勝負は決していた。

 

藻掻く蟋蟀。その身体の半分以上は木々へと変化し既に地面に根付いてしまっている始末だ。

 

この世界の主軸は自然エネルギーである。故に呪力はただの邪魔者である。そんな自然エネルギーの満ちる空間に呪力の塊が居ればどうなるかは必然。

 

下手をすれば蛙に、蛇に変化してしまうように。完全に適応出来なければ木となるのみ。

 

呪力から完全に脱している真希にはその影響は皆無な様で、コオロギが木へと変化するまでそれを観察していた。

 

崩れる世界。それと同時に第三の目は閉じる。理由は無論理解している。あの神樹とリンクしているからだ。六道の衣も、求道玉もあの世界での最適を得る為の装置に過ぎない。両の目が輪廻眼のまま、静かな京に戻ってきた。

 

「ふぅ……巡、その額の跡。大丈夫か?」

 

「ん?…あ…あ、大丈夫。名残、みたいなものだと思ってくれたらいいよ。」

 

輪廻写輪眼が開いていた場所には縦に一本、跡が刻まれていた。触られても痛みや違和感はないものの、領域展開をすればまた開くだろう。

 

特殊な領域展開。初めて故に知覚できたのは半分にも満たないが、この世界と全く別の世界を形作っていることは分かる。

 

そんな事を考えつつ、ゆっくりと二人で呪霊を祓うこと30分。勝負は東京よりも大幅に早く決着した。

 




巡の領域展開をお披露目ですねー。詳細は設定に加えておきます。
読み方は『月桂無窮天元(げっけいむきゅうてんげん)』です。何処までも広がる神樹を中心とした新世界って意味です。

ついでに呪霊君の情報纏めておきます

戯哭蘭(ぎこくらん)
夏油傑の持つ未登録の特級呪霊が一。全身5メートル前後の巨大な蟋蟀型呪霊。羽が奏でる微弱な振動で物理攻撃を100%、呪術を80%打ち消す特異能力を持つ。また、移動速度は現状の真希さんより少し下。つまりガッチガチの格下+物理マンクラッシャー。京都校メンツで勝てる人は皆無。その代わりに状態異常系への耐性は低めであり、弱点。言葉は話すことは無いが言語理解は可能。

ついでのついで。巡君の術式について
NARUTOの世界の様に印は必要無し。イメージと発動相応の呪力があれば発動可能。融合もお手の物ながら両方の呪力が均等ではない場合暴発する。
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