忍の末裔が呪術師になるようです   作:H-13

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全話の設定見てくれてありがとうございます。見てない方は目を通した方がよく話についていけると思いますよ!

巡が輪廻眼を開眼しているのは所有している力の中に陰陽遁が含まれているからです。輪廻眼があるから陰陽遁含めた術式を魂に刻まれたわけではありません。順番が逆です。

ちなみに母親の旧姓は大木(おおき)でした。呪術師でも忍でも無い一般人です。血統以外(重要。察しろ)



同級生がパンダとおかかとツンケンしてる子だったお話

──夢を見る。普通の夢と違うのは、同じような場所に数え切れない数来ている事。

 

空間の真ん中には天まで貫こうとする1本の木。最初は小さい小枝程度の芽だったのに、自分が成長すればする程に伸びていき、今では木と言っていいのか分からないほど幹が絡まり合い先端に大きな膨らみを付けている。

 

あれが開花する時、何かが起こる。漠然とした予感がする。

 

この世界では全てが自由。可能性は無限大だ。全能感を全身に感じながらも、身体はいつも通りに動かせない。俯瞰的な視点が緩やかに続くのみ。

 

木々が生い茂り、山があり、川が流れ、生き物以外の生命が巡る世界。

 

訪れは唐突に。ならば去るのも唐突に。

 

 

 

「(いやー、成長早くね?)」

 

 

朝5時半。農家の朝は早い。目覚まし時計も鳴らないうちに起きてしまった巡の頭に過ぎったのは、はっきりと覚えている夢の中身。

 

生得領域。実家にある文献の中ほどに軽く書かれていたから名前だけは知っている。然し人によって千差万別と書かれていた為、はっきりとそれだと認識できたのはここ最近の話である。

 

「あれが何か悩んでも仕方ないしな。行くかー。」

 

肌寒いがそれにも慣れた。ジャージ姿に着替えて、昨日覚えた山道及び運動場で軽いジョギングをする。本来実家の山を走り回っていた身としては体にかかる負荷が少なめではあったが、やらないよりやる方が良いと考え走っていた。

 

説明されていた朝食の時間までに、シャワーを浴びて着替えて……とやっていれば、やるつもりだった呪具の訓練などの時間が無かった。明日に回すか、と考えつつ共同食堂で一人朝食を食べる。

 

少し寂しくもあり、明日からは賑やかになるのかと楽しみでもある。

 

4人。4人。男子寮女子寮があるから実質3人である。女子の誰か寂しくない?

 

頭の中は煩いものだが、表情には出さず食器類を片付ける。それを終えて、漸く制服に着替えた。

 

黒の統一色。胸元には学校の印。袖口は広めで、背には千葉家の家紋である扇のマークを特注で入れてもらっている。所々個性的なアレンジがされているが、家紋以外は五条先生のサプライズである。長い髪はシンプルに束ねられ邪魔にならぬ程度に流している。

 

「うん、良いな。」

 

自室の備え付けの鏡に全身を写して見る。動きやすいし、身体によくフィットしてくれている。どこまでの衝撃に耐えうるか分からないが、高位呪霊や昨年相手にした神霊?といった対峙する敵が強ければ強くなるほど、良い服を使っていても無意味であるのは身を以て分かっている。

 

満足度が高かったので口笛でも吹きながら教室に向かいたいところではあったが、ド下手くそなのは自覚済みなので自重する。

 

教室の扉を開けた段階で早く来すぎたことを認識した。まだ8時前。横一列に並ぶ座席には誰もおらず、誰がどこに座るかすらも自由らしい。一応写輪眼で呪力の様子を見てみるが何も無く、項垂れる。

 

昼寝が気持ちよくできそうな窓側の席に陣取り、背もたれにもたれ掛かって目を瞑る。仮眠をする訳でもなく、ただリラックスするだけ。いつ誰かが来るか分からないが、暇でしかない。呪具を弄るような気にもならず、静寂の中で絵になる姿を晒す。

 

 

 

──ガラガラ──パンッ!!

 

 

乱雑に教室の扉が開かれる。巡がゆっくりと目を開ける前に、彼から一つ離れた真ん中の席にどっかり座ったのは髪をポニテに纏めた鋭い瞳を持つ女性だった。眼鏡のセンスだけが謎ではあるが、肩に掛けた竹刀入れを見てある程度は納得した。

 

「俺は千葉巡、よろしくな……?」

 

「──チッ、真希だ。名前で呼べ。」

 

……初対面なのに舌打ちと下の名前で呼べ命令は何!?

 

「えっと、苗字は?」

 

「禪院だ。嫌いだから苗字で呼ぶなよ。」

 

「そうか。」

 

 

ふーん、としか思わなかった。呪術界の知識が薄く、五条先生が初めての繋がりである巡は、苗字で家系が分かるほどには学びきれて居ない。だからこそ、こうした淡白な返事になってしまった。

 

「お前、一般の出か?」

 

「一般かと言われたらそうだな。呪術なんて名前去年知ったばっかりだし。」

 

「そりゃ知らないわけだ。」

 

互いに初対面。会話はすぐに途切れる。口上手な方では無い巡と、刺々しく話す真希ではこうなるのも必然であった。

 

 

──ガラガラ──。

 

開けっ放しだった入り口の扉が閉まる音が響く。反射的にそちらを向けば──パンダが居た。

 

「お、もう居るじゃん。」

 

「待って喋るの!?」

 

「手前呪骸だろ、んで喋れてんだよ。」

 

「呪骸じゃない、パンダだ。よろしく。」

 

存在自体が謎なパンダは、普通に一番廊下側の席に腰を下ろした。生徒なの!?普通に歩けてるの何で!?聞きたいことは山積みであるが言葉が出ない。それは隣の真希も同じ様子だった。

 

 

──ガラガラ──ガラガラ

 

質問の為に口を開こうとした時、3度目の扉の音がした。しっかりと閉じてくれる辺り仲良く出来そうな良いやつなんだろうな­­〜と思いながら扉の方を見た。

 

「こんぶ、明太子。」

 

「なんて?」

 

「ツナマヨ。」

 

黒板に手馴れたように「狗巻棘」と名前を書いて教えてくれたけれども、何が何だかよく分からない。

 

「いぬまき、とげ、君?」

 

「しゃけ。」

 

「ちょっと、視て良い?」

 

「……しゃけ。」

 

頷きながら返事をしてくれたおかげでよく分かる。「視る」意味を深くは説明せず、ゆっくりと眼を変化させて行く。驚く様な真希の表情を横目に狗巻君の呪力を見れば、喉、首、肺周りに呪力が集中している。

 

そのままパンダ、真希を見る。真希は殆ど呪力が無いが僅かにあると言った状態。パンダは核が三つ。生命に近い温かさを感じるからか、少し魅入ってしまった。

 

「……ツナ。」

 

「おたまじゃくしみたいだな、それ。」

 

「んだよその目。説明しろ 。」

 

 

三者三様の反応を示したが、狗巻君引いてない?大丈夫?

 

「うちの家系に伝わる写輪眼って名前の目だ。呪力とか、大雑把だけど性質とか経絡系の穴も何となく分かる。」

 

「おい何処が一般の出身だ。バリバリこっち側じゃねぇか。」

 

「呪力とかは知ってたし鍛えてたけど、昔は忍だったらしいし、呪術界との交流も断ってたみたいだから……。」

 

「んじゃ何だ、さっきの反応も御三家知らないからああ言ったのか?」

 

「呪術界の知り合いなんて五条先生と夜蛾学長と、皆しかいないし。御三家?何それ。偉い家系?」

 

──ガラガラドッシャーン!!!

 

「はーい、パーフェクトストロングガイな五条先生ですよー!……おや、もう皆揃ってるのか。」

 

最後に現れたのはお馴染みの五条先生。目を隠すように白い包帯を巻き、白い髪をかき上げている。普通に髪下ろして、目元を少しでも見せた方が良いんじゃないかと思う。独特な自己紹介からの登場に、場の空気は完全に五条先生に持って行かれた。

 

「はいはい。皆一回席ついてね。巡は写輪眼仕舞うこと。じゃぁ僕から一通りみんなのこと紹介してくよ〜。」

 

「魔眼使い、千葉巡。呪術界と全然関わりのない家系の出だけど、去年一人で特級神霊祓っちゃったから僕が上層部黙らせて連れて来ちゃった。この中だと一番強いよ。」

 

「呪言師、狗巻棘。言葉がそのまま術式になるから普段はおにぎりの具材で会話するよ!内容は……気合いで察して!」

 

「呪具使い、禪院真希。4級だけど体術に関しては中々のものだよ。」

 

「パンダだよ。パンダだけど二足歩行するし、喋ったりするけど気にしない気にしない。」

 

「よし、1年はこの4人。増えるかもしれないけど仲良くやっていこう!担当は僕、五条先生だよ!」




高評価感想ブクマ色々待ってます。やる気が出ます。

一旦四人での学校生活の日々を挟むかもう乙骨君登場させちゃうか悩み中です。ちゃんと決めてから書き出すのでちょっとお時間いただきます。(ストック何それ美味しいの)

何にせよモチベはあるので早めに更新出来るかなと思います。

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