忍の末裔が呪術師になるようです   作:H-13

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お待たせしました。「東京都立呪術高等専門学校」通称呪術廻戦0、始まります。

物語の都合上、乙骨君の編入時期を捏造しています。すいません。(ある程度の4人が打ち解けるまで1.2ヶ月はかかるものだと想定しました。)

それはそうとこの作品における万華鏡写輪眼の重要なとこの説明について書いていなかったことがあったので設定に追記しておきました。ご確認下さい。この呪術廻戦の世界においてどれだけ呪術において才能が重要か理解している方なら分かってくれると思います。無理ならブラウザb(以下略)

では、どうぞ。


東京都立呪術高等専門学校
終わりの始まり


2017年6月某日。呪術高専東京校

 

五条先生はサプライズ好きだからこそ黙っている様だが、情報は命だ。巡は何処からか仕入れて来た情報を、一緒に歩いて教室に向かう3人へと適当に喋る。

 

「今日来る転校生、というよりも転入生か。乙骨憂太、17歳。俺も高一の年齢じゃ無いが仲間が来たか。」

 

「同級生を四人ロッカーに詰めたんだと。」

 

「ツナマヨ。」

 

「殺したの?」

 

「いや、重傷らしい。」

 

「生意気ならシカトしてやろ。」

 

「人数少ないんだから仲良くしてやりたいはやりたいんだけどな。……まぁ会えば分かるだろ。」

 

「年長者の余裕か?一昨日くらいに18歳になったもんな。」

 

「辞めてくれ、ちょっと気にしてるんだから。」

 

ロッカーに同級生を詰めた。それだけで評価がマイナスになる狗巻と真希ではあるが、パンダは根本から違うからかあまりそう云う雰囲気ではない。

 

巡自身良いイメージは無いが、年齢的に何かしら引っ掛かる。精神的に未熟であり術式や呪力を暴走させてロッカーに詰めたにしては、事件を起こした年齢が高過ぎるのだ。

 

事件が起こった過程に行われた何かしらに関しては情報が無いため判断がつきにくいものの、本人を確認してからでも遅くないと評価を一旦棚上げした。

 

 

午後、呪術実習前教室にて。

 

「転校生を紹介しやす!みんな、テンション上げて!」

 

「いえーい。って、……言おうぜ一応。」

 

「巡ナイス。上げてよ3人。」

 

しら〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「随分尖った奴らしいじゃん。そんな奴に空気作り?御免だね。」

 

「しゃけ。」

 

「………。」

 

「はぁ。……ま、いっか。──入っといで!!」

 

 

五条先生が乙骨憂太を呼んだことで直接見れると巡はゆっくりと眼を閉じる。その身に宿る写輪眼は闇夜ですら見通せる。この特性から瞼の裏側からでも問題なく呪力を見通し得ると判断した結果だ。

 

 

がらッ、──カツン。

 

噴き出す"敵意"と"威嚇的殺意"。沸き立つ諸悪の根源は、乙骨憂太本人ではなくその背後に居るナニカ。

 

莫大で邪悪な呪力がそれを後押しし、判断がし辛い意ではあるがそれを見分けてくれるのが写輪眼である。

 

『制御が出来ていない』

 

『乙骨憂太本人に敵意は無い』

 

この二つが確定した段階で動く気は無かった。五条先生が連れてきた者が厄介者なのは確定として、根本には有能な人材の発掘、また若者の青春を邪魔させない。この二つがあるのはこの二ヶ月弱でよく分かった。だからこそ今すぐに動く気は更々無い。

 

「乙骨憂太です。よろしくお願いしま〜〜〜ッ"!?」

 

だがこの観察眼を全員が持っている訳は無い。

 

薙刀の刃を剥き出しにして黒板に突き刺す禪院真希。

 

拳にお手製ナックラーを付けて構えるパンダ。

 

ネックウォーマーに指を掛け、何時でも呪言を発動させることが出来るように構える狗巻棘。

 

事前情報を持っていて呪術高専で受け入れた原因である五条先生は、壁に背を付けたまま傍観の構えだ。圧倒的な観察眼を持つ巡ですら、席に座ったままながらも何時でも戦える様な形を保っている。

 

真希が吠える。五条先生が今更ながら高専の説明をする。全てはこの人の説明不足であると全員が察した。

 

6人中4人が臨戦態勢と云うある程度ピリピリした現状を変えたのは、五条先生の気の抜けた一言であった。

 

「あ、早く離れた方が良いよ。」

 

「「「?」」」

 

《ゆ"う"たを"を"……虐め"る"な!》

 

黒板から飛び出す様に巨大な両手が現れ真希の呪具をむんずとわし掴む。焦りながらも静止を行おうとする乙骨憂太の言葉を一切聞かないことから、『制御が出来ていない』ことと『乙骨憂太の意思に関係なく乙骨憂太を守護している』ことのふたつが理解出来た。

 

「下がってろ。怪我するぞ。」

 

眼を開いた巡の周囲には、肋骨の様な骨と腕のみの『須佐能乎・第一段階』が完全顕現された。乙骨憂太の云う『里香ちゃん』という呪いの両腕を須佐能乎の両腕で受け止め、そのまま押し留める。

 

守護する目的とはいえ、危害を加えようとするならば防御はするべきである。ただし徹底して押し留めるのみ。危害を加えず、敵意も見せず。そのまま体感で一分程度。相撲の四つ相撲の様な拮抗が『里香ちゃん』が引くことにより終了する。ゆっくりと解けるように姿を消すと同時に、巡も須佐能乎と万華鏡写輪眼を解除する。

 

「悪い子じゃないな。気に入られてるね、乙骨憂太君?」

 

「おかか、明太子。」

 

「まぁ、てな感じに色々あって、彼のことが大好きな里香ちゃんに呪われてる乙骨憂太君で~す。仲良くしてあげてね。憂太に攻撃すると里香ちゃんが出てきちゃうかもしれないから気をつけてねー。」

 

「(その色々を説明してくれよ)」

 

「せっかくだから自己紹介……する気分でもなさそうな感じだな。俺は千葉巡、まぁなんでもできる万能型だ。こんな感じに簡単に紹介しちゃうからな。」

 

「紅一点、禪院真希。呪具中心に戦う接近戦専門だな。」

 

「語彙はおにぎりの具材。狗巻棘。俺もまだ半分くらいしかちゃんと分からないけど、まぁ雰囲気で乗り切ってる。言霊で戦う中距離戦が得意だな。」

 

「The、パンダ。パンダだ。喋るけど仲良くしてやってくれ。ナックル見れば分かるだろうけど殴る蹴る専門だな。」

 

「パンダだ、よろしく。」

 

「(ホントに簡単にしか説明してくれないじゃん…)」

 

「巡ありがとう。何にせよこれで一年生も五人になったね。」

 

「これからの呪術実習もペアでやるよ。棘・パンダペア。真希・憂太ペア。巡は僕と一緒に真希と憂太の実習の見学だよ。」

 

「なんか俺やらかしました?待ってる間説教?」

 

「いんや?ほら、ここに来てから単独で二級呪霊2体、一級呪霊1体祓ってるでしょ?僕や巡からして見れば雑魚だしバイト感覚だったんだろうけど、客観的な二級術師の戦果じゃない。せっかく僕が二級にしたのにすぐ一級になっちゃいそうだから今日はお休み。分かった?」

 

「納得できないけど納得した。」

 

 

「──真希、それくらいにしろ。」

 

「おかか。」

 

「分~ったよ、うるせぇな。」

 

五条先生と話して居るうちに口論になっていた様子。軽く聞こえていたが真希の主張も一理ある。それを本人に直接言うか言わないかの違いだけだ。

 

このまま乙骨憂太が変わろうとしなければいつか潰れるのは誰の目から見ても明らかだった。変わるか変わらないかは本人次第。その真価はこれからの実習でよく分かるはずだと、無言で後部座席に乗り込んだ。左から乙骨憂太、俺、真希である。




今回はここまでです。感想評価等押してくれるとやる気に繋がります。

主人公は乙骨憂太君ですが基本的には巡視点で話が進んでいきます。ご了承ください。

ではまた。次話をゆっくりお待ちください。

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