忍の末裔が呪術師になるようです   作:H-13

9 / 20
難産でした…お待たせし過ぎたかもしれません。
書いては削り削っては書きになり、中々大変ではありました。
今回からオリジナル展開を加えていきます。未来的にどんな影響があるかお楽しみに。




陰陽・前編

京都の2日間が終わった。結論から言ってしまえば一人で事足りた。写輪眼を使うまでもなく術式の最大火力を数発ぶっ放しただけ。空を飛ぼうが、血を操ろうが。燃やし尽くし消し飛ばす火力が有れば問題無かった。

 

 

2年生の先輩でもある秤さんと星先輩には色々と仲良くしてもらった。秤さんは先輩という呼び方は何となく似合わず、言えばそれでいいと言ってもらった。

 

「五条さんと同じ熱を感じる」

 

とも言っていたが、正直その熱についてはよく分かってないのが現状。面白い人だしLINEも貰ったから何時でも連絡出来るのはいいね。

 

それよりも術式や思想で停学に追い込まれるのは納得が行かないものだ。五条先生があそこまでいう上層部の腐った部分を見たかもしれない。

 

 

 

 

 

そして僕は今、禪院家本家に呼び出されています。僕何かしましたか。

 

五条先生は一人で大丈夫だって言って帰っちゃうし、先輩達は先輩達で停学にされたから好き勝手するって言ってるし、帰りの新幹線は自腹だし後で五条家にお土産代含めて請求しておこうと頭の中で決めた。

 

「おう、初めましてだな坊主。俺がオマエを呼び出した禪院直毘人だ。うちの当主をしとる。」

 

「千葉巡です。それでお話って何です?」

 

酒の入っているであろう瓢箪片手に胡座をかいている目の前の男に対して巡自身距離感を図りかねていた。急に呼び出されたのは良いとして、御三家の当主が学生1人のために時間を作るか?と。

 

「何、昨日一昨日の交流戦を見ただけの事よ。お主、二級だったか?」

 

「一応、はい。」

 

「五条の指示か、まぁ良い。のう巡、禪院家に婿に来る気はあるか?来るならば……そうだな、当主でもどうだ。」

 

「……?えっと、話が見えませんが」

 

「ただの勧誘よ。その血が欲しいと言えば分かりやすかろう。」

 

「男のお子さんがいらっしゃらない?」

 

「無論居るがな、お主と比べると凡よ。……向こうには真希が居たか。どうだ、今なら姉妹の真依も付けてやろう。」

 

「一夫多妻って大丈夫なんでしたっけ?」

 

価値観がズレている直毘人と、違う意味で天然の巡の話は側から見れば滑稽に映るだろう。

 

「一旦持ち帰っても良いですかね?それにお子さん居るならそっちに継がせた方が争いとか無さそうですよ……?」

 

無難に、無難に。それに歴史から見ても跡継ぎ争い程醜くマイナスしか無い争いも無い。一歩引いて提示ぎみに問いかけてみる。戦いは嫌いではないが面倒事を押し付けられるならば話は別。それに今真希さんと面識の無い真依さん?の了承無しにくっつけようとしなかったかこの人。

 

「良かろう。俺も今直ぐに返事が貰えるとは思っておらん。腹が決まったら連絡して来るといい。」

 

「分かりました。」

 

「折角だ、飯でも食って行かんか。」

 

「有難いですけど早く五条先生に請求書叩きつけたいので今回は遠慮させて下さい。」

 

「カッカッカッ!ならば良い菓子屋でも紹介しておこう。纏めて送ってやれ。……真依。見送りして差し上げろ。」

 

「承知しました。」

 

無言で廊下を歩くのは気まずい。それも先程話に出てきた真依と云う子。顔立ちや身長。それに直毘人さんの口調では姉妹らしい。ならば京都校の一年か。

 

「真依さんだっけ?俺は千葉巡、よろしく。真希さんにはお世話になってる。」

 

「……あんな雑魚にお世話になってる?嘘ね。貴方の方が何十倍も強いもの。」

 

かっちーん。この人好きじゃないと思ってしまった。真希さんがサバサバして居るというならば、真依さんは真逆。自分とは合わないと一瞬で分かった。

 

「さぁね、でも真希さんは強いよ。色んな意味で。」

 

「…………………。」

 

返ってきたのは沈黙。それは禪院の門を潜り道に出るまで続いた。

 

「……さっきの話、受けるつもり?」

 

「正直ピンと来てないけど、直毘人さんは嫌いになれなそうだし考えてみてる。」

 

全てはこれに尽きる。2人を纏めて押し付けようと提案してくる程度にはズレているが、確りとした芯を感じられた。

 

それ以上の会話は無く、巡自身もお土産を買ったり美味しいものを食べたりと京都を満喫した後に予定より1日遅く東京へと帰路に着いた。

 

 

「あんのクソジジイ!巡になんて事言ってやがる!」

 

「まぁまぁまぁまぁ、直毘人さんは嫌いじゃないし。ね?ほら、お土産も買ってきたから。」

 

「しゃけ。」

 

「お、あそこの奴じゃん。良いお店行ったね〜巡。」

 

「直毘人さんに紹介してもらいました。ついでにこれ、お願いしますね。」

 

「ん?ああ、これ位ならいっかなー。お土産もあるしね♪」

 

四捨五入すると7桁に行く6桁の請求書を見てもこんなに軽く受け流せる大人は中々いないだろう。因みに突っぱねられたら巡自身で払える程度に豪遊した。

 

「あのジジイ巡のこと気に入りやがったな。それにお前も悪くないと思ってるだろ。」

 

「直毘人さんと真依さんとしか話してないから禪院家のことあんまり分かってないんだよね。直毘人さんは俺は好きよ?うん、真依さんの方は苦手かな。姉妹、なんだろうけどあそこまで真希さんと性格違うのはびっくりしたな。」

 

「あぁ、嫌味でも言われたか。」

 

「まぁね。」

 

「嫌なことされたんならちゃんと言えよな。」

 

「嫌なことじゃないんだけど、お相手に真希さんのこと勧められたかな。ついでに真依さんも。」

 

「はぁ!?」

 

「やっぱり連絡取り合ってないんだね。」

 

以降、呪術師としての双子がどういうものか。禪院の思考。その辺をちゃんと真希さんから教えて貰った。ちょっと引いちゃったのは内緒として置いて、気になったことが1個ある。

 

「その双子の呪いだっけ?何とかなるかもって言ったら、どうしたい?」

 

「ちょっと待て、うちの連中でも諦めてるようなことだぞ。」

 

「確証無いんだけどね。聞いた限りだと言霊とかのちゃんとした繋がりでしょ?真希さんが陽、真依さんが陰みたいな。なら切り離せばいい。そうすれば本来の円に戻る。」

 

「理論上はそうだろうがよ、どうやって切るんだよ……」

 

「五条先生の無下限突破した件、真希さんに言われた後調べたんだけどなんか概念的なものにも有効らしいんだよね。」

 

「……で、結果どうなる?」

 

「予想だし分からないけど。真希さんの天与呪縛が完成して真依さんの呪力は二乗で増える……はず。」

 

「真依と私の呪力が足し算になるだけじゃねぇのか?」

 

「真希さんの足を真依さんが引っ張っているように逆も然り。2人で1人のせいで天与呪縛に呪力が含まれてる。天与呪縛じゃないのに呪力が少な過ぎる。そういうことだと思ってる。だからこそ真依さんの呪力が二倍以上になるのは確実じゃないかな。」

 

「……やってみる価値はあるか。無理でも損は無い。ジジイに連絡しろ。速攻で場所整えるぞ。」

 

 




双子の解釈については賛否両論あると思いますが私個人はこの解釈を推してます。独自解釈です。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。