小説異編・仮面ライダーセイバー 〜妖刀と骸の願い〜 作:へらこじか
あとセイバーロスが続きすぎたので、書こうと思いました。主人公成長物語大好きマンです。
これは、とある世界を渡る一人の剣士のちいさくておおきな物語。
-劇場版・仮面ライダービヨンド・ザ・ジェネレーションズより2年後の世界-
『―――フッ、はっ!!』
少年は夢を見ていた。自らが剣士となり、悪と戦う姿を。刀のような聖剣を振るい、次々に迫る敵を討つ。
夢のせいなのか、自分の身体が大きくなる感覚を感じていた。どんどん大きくなっていき、山さえ超え、遂には――――――。
「…っ夢……」
何度か同じ夢を見た。その中でもこの夢は妙にリアリティのあるものだった。
ここはとある山中。少年と師はある目的のため、この地にやってきた。
目を覚ますと傍らには師がいた。あぐらをかき、少年の顔を覗き込む。
「お前、修行の途中で居眠りとかマジ、ないわ〜」
「…っっ!す、すみません師匠!」
少年は急いで体を起こす。
師の名は緋道 蓮、世界を救った聖剣士のひとりで、風属性が込められた剣【風双剣疾風】を使う。
一方、少年の名は骨塚 滉人。世界を救った剣士達に憧れを抱いており、風双剣疾風を受け継ぐため蓮の武者修行に同行している。
蓮は滉人の【ある能力】を見込んで弟子にした。その能力を鍛えれば、弟子の強さに繋がると考えたからだ。
「だいたいな、滉人。風双剣を受け継ぐために修行してるんじゃなかったのか?」
「ええ、そうですけど…何でそんな事聞く……って、なにかあったんですか…?」
「お前が言ってる夢で見た聖剣、怪しいんだよ」
蓮が考えるように眉をしかめる。
「あれ以上聖剣が生まれるなんて…大秦寺さんが新しい聖剣を作るなんて聞いてないし…」
ボソボソと呟き、あれこれ考えるが結論は出ない。聖剣は滅多に誕生するものじゃないからこそおかしい。
「……まさか師匠、前に教えてくれた…俺の能力って…」
滉人は前のめりになり蓮に聞く。
蓮が滉人の目を見ながら答える。
「……お前のはな、滉人。…『予知能力』だ」
「…予知……能力」
予想通りの答えながらも、その事実に復唱するしかなかった。実際、普通の少年だったと信じていたはずなのに能力を持っていると言われ、なんとも思わない者はいないであろう。
「だからお前の夢も、いつか訪れるって事だ。……第一、そんな聖剣なんか見た事も聞いたこともないけどな」
滉人は頷きながら立ち上がる。木製の風双剣のレプリカを握りしめ、歩き始めた。
「…ちゃんと修行しろよ?」
「もちろんっす!だって師匠の話通りなら、俺が剣士になれるって事じゃないすか!だったらもっと頑張らなきゃ!」
そう言いながら雑木林の中へ進んでいく。
滉人の後ろ姿を見て、蓮は少し不安に思った。
(あいつが求めてるのは【強さ】じゃない…なんか変だぞ……)
―――滉人の姿が見えなくなってきた時、斬撃と青白い炎が蓮目掛けて飛んできた。
間一髪それを回避、攻撃の方向を凝視する。
「誰だ!?お前は!」
蓮の声が森にこだまする。蓮以外に近くには誰もいないように見える。しかし歴戦をくぐり抜けてきた蓮の目にはしっかりと見えていた。その敵の姿が。
「…………よく分かったな、剣斬。流石世界を救った剣士だ」
姿は見えないが、しっかりとその声は聴こえた。声が篭っているが、男性の声だという事がはっきりと感じ取れた。
「あいつはどこだ。一緒じゃないのか?」
「『あいつ』……?…………滉人が狙いか!!」
「馬鹿か。ご丁寧に名前まで教えてくれたな。名前さえ分かれば探す手間が省ける」
姿を見せろと叫ぶ蓮。それに応えたのか、男は現れた。
骸骨マスクのような頭部、目に当たる箇所には炎のイメージをしたアシンメトリーな造形物、頭部から身体にかけて一直線に剣のように伸びている。極めつけは、腰に巻かれたベルトと『鞘』、右手に握られた刀。
まさしく、蓮の知る剣士・【仮面ライダー】だった。
「……お前は敵か!」
「それはお前次第だ」
蓮の質問を軽く受け流す。
蓮は風双剣を握り、懐から【猿飛忍者伝ワンダーライドブック】を取り出す。
『猿飛忍者伝!』
ブックを風双剣に装填、風と忍者を思い起こさせる一定のリズム音が流れる。
風双剣をふたつに分割、一刀流から二刀流モードへと移行する。
『双刀・分断!!!』
「変身!!」
『壱の手、手裏剣!弐の手、二刀流!風双剣翠風!
『翠風の巻!甲賀風遁の双剣が、神速の忍術で敵を討つ!』
「ハアッ!!!」
蓮の気合いを込めた一振で風が斬撃のように目の前の敵へと向かっていく。すると、なんともないように刀で受け止める。
「……お前、強いな」
「…かもな」
二人は走り、剣を振りかぶる。互いの刃が擦れ合い、火花を撒き散らす。
(強さの……果てを!!)
混じり合う火花の中で蓮が思っていたのは、弟子である滉人の無事だった。
突然、男が笑い始める。
「フフフフッ!ハハッハッハ!!」
顔を下げ、再び上げた男が語り始めた。
「…………お前……いい事教えてやるよ。…………あいつは……
寝ます。