A.その気になった五条や宿儺を相手に20分は持つくらい。対現代兵器で例えるなら戦車や戦闘機ぐらいは軽く余裕です。MARVELのエレクトロがチマチマ電撃飛ばすような攻撃をせずに高速移動で殴りかかって来るのを想像してみて下さい。
ザザザっとノイズのようにぶれる映像………いや記憶だろうか?大勢が人の形をしたナニカへ向かう。だがソレはまるで虫を踏み潰すように、あぐらをかきながら彼らを殺していく。アレは何だ、怖気が止まらない寒気が止まらない、吐き気すらしてくるほどおぞましい。呪霊とも違う。いや質、格、もやは一種の神のようにも思えてくる。
アレは何だ?
『消エ失せロ…………塵屑共』
はてさてこれからクラスメイトになるお二人に浴びせたのは「ザゲル」ではなく「ザケルガ」でござぁます。
まぁ軽いジャブだったがどうだろうか?
「初日からふざけたヤローだな、オイ?」
「いやー私も驚きましたよ。いきなり攻撃なんて」
ワオ、教室吹っ飛ばすつもりでかましたんだけど、マジ?被害なし?
アッ.....ハイ、金髪黒メッシュ男子におもくそ睨まれました。
うーん最悪、五条先生が止めに入ると思ってたんだけどな。あの人黒板の前から一ミリも動かずニヤニヤと笑っていますネェ。あの丸いサングラスでわからないけど目も笑ってるな………ありゃあ。そして睨みつけてくる男子。金髪メッシュ君がこちらに手をかざしているということは俺の「ザケルガ!!!」を防いだのは恐らくは彼だろう。
呪力で防いだ?いや違う。彼は無傷だ。恐らく彼の術式の効果なのだろう。
「さっきのどうやって防いだの?」
「.......違う、一時的にに取り込んだ」
「取り込んだ?それって」
「ああ、だから返してやるよ
無唸唸唸唸、嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!」
俺へ向ける彼の手のひらからバチバチと弾ける音が響く。電気いや雷だった。そう彼が今、出そうとしているのは俺がさっき浴びせた雷(ザケルガ)だ。極太の雷の放出。俺がさっき撃ったものよりも威力が強化されたものが己に迫る。この威力を普通の人間が食らったら一瞬で丸焦げだろね。
ダン!と片足で地面を叩く。
この一瞬で術式により呪力を変換し、電気を人一人ぐらい囲えるレベルのドーム状へ形成させる。
出力・黄
「電磁
俺を覆うドーム上のバリアは見事に彼の攻撃を防いで見せる。バリアにぶつかる雷………いや、そもそも元は俺の呪力である為、バリアを通して吸収されていった。”まぁ一々、こんなことせずとも”俺にとって電気は力の源みたいなものだから喰らってもダメージは愚かこうやって吸収されるだけなんだけど。これから仲間になるクラスメイなんだ、技の一つを見せてもバチは無いだろう。
ちなみにこのバリア。あのGLGの「赫」も防げる強度である。まぁ…………さすがに連発されたり、出力高めだと簡単に割れちゃうけど。なんなら割れた後、腹パン食らって10km吹き飛ばされたし…………。
「てめぇ…………」
「ーーーー見たか、電磁の必殺の技。」
「何言ってんだお前?」
「んま!純日本人の癖してコンバトラーV知らないですって!?一体、どういう育ちをしたんざましょ!」
「癖って何だ!!?」
おっと、もしや彼はマジンガー派だっただろうか?
それはいけない、布教としてDVDBOXをば………
「え~と?貴方が........転校生でいいんですよね?」
ひょこりと彼の後ろから現れる少女。その見た目は…………失礼かもしれないけど、言わせてもらう。この子って人間だよね?血が通っているかも怪しいほどまでの雪のように白い肌。肩まで伸びている黒髪、光が一つも無い黒目。
いや…………なんというか見た目はぬら孫の羽衣狐を幼くしたような感じで人の姿をしているというか何処か人外感があると言うか、何だろうこの異質な雰囲気。
「あっ、一応言っときますけど私は人間ですよ~。ただ術式の影響で
そう言って彼女は両手をフリフリと振って否定する。
「術式?」
「えぇ?、まぁ任意で発動できないし発動も条件をクリアしないといけない代物ですが」
条件…………何だろう?そういう縛りか何かしてるのだろうか。
「オイ、テメェ無視すんじゃねぇよ!!!」
金髪黒メッシュくんが何かガーと言ってくる。どうやら攻撃の意思はもう無いようなのでバリアも早々に解除した。
▼▼▼
「それじゃあ改めて、西宮伝次ダよ。好きなものはサブカルチャー含めて色々ダよ。アメリカとのハーフダよ、等級は準2級ダよ。よろしくしてネ?」
「何でダを、強調させんだよ…………」
「えっ………ふざけてんだよ?言わなくてもわかんだろ?」
「テメェ!!!マジでブチ殺すつーか呪うぞ!?ゴルァ!!」
という感じで朝のホームルームは終わった。五条先生と黒川さんはゲラゲラゲラと笑っていた。
そして、現在。
ーー出力・蒼
「雷陣拳」
「!?」
出鼻を挫かれたのか、呪霊は反応が遅れる。まぁそりゃ一秒足らずの一瞬で目の前にいたらそうなるか。
0.5秒後に相手が目の前にいるのは正直、恐怖でしかない。
例えるならOVA版ジョジョ3部のDIOの時止め演出(第三者視点)のようものだ。
バチバチと青い光が輝く拳で呪霊の顔を殴った瞬間、呪いの頭部は弾けたような音を立てかと思えば、一瞬で炭化し消滅する。頭部を失った呪いの肉体はそれに続くように消滅していく。
それを尻目に右手をグーパーと開きながら確認する。うん、やっぱり全ッ然違う。今までの俺は呪力を電気に変換したものを拳や足に纏わせて戦っていたが、今回は呪力で強化した拳に変換させた電気を纏わせて殴った。今までのものよりも威力が全く違う。いや、マジで地元で2回、特級を相手にしたことはあったようだけどよく生きてたな俺。
「オォ■△☆♯♭ァァ!!!」
「後ろからとは卑怯なやつ」
振り返り様に左手の中に砂鉄の剣を生成し、そのまま振りかぶるが刃は当たらず空を切る。
「あぁ?空中に避けたか?でも残念。これ鞭みたいに伸びるんだよね」
呪力を纏っている刃は瞬間、ぐにゃりと曲がりそのまま呪いの方へと伸びる。鞭をふるうようにスパンと振った瞬間、呪いは上半身と下半身を泣き別れになり、そのまま10秒かからず消滅するのだった。
「そっちは片付いたか?」
「バッチリね」
高介くんの右手は人の手では無く異形であった。地獄先生ぬーべーよろしくカッコイイ右手である。
本人曰く、コレは術式で自分の中に封じている呪霊を表面化させたものらしい。
「えっ。マジでぬーべーで草」という俺の言葉に呆れたような表情で彼は俺に言った。
「アホ、そんなに単純なモンだったらどんなに良かったか....」と呟く。浮かない顔をしていた。なにか地雷を踏んでしまったのかと思ったが聞いても、今の関係値では教えてくれそうにないので「そっか」と相槌だけを打った。
あっ、そういえば。
「黒川さんは?」
「アイツなら....」
彼は懐から携帯を取り出して、何かを確認していた。
「メールの一つも無い.....しくじってんな」
「しく.....えっピンチ!?」
「ついてこい西宮、それとお前にも話すよかテメェーの目で見た方が早い」
「合点ショウチ!!!レッツラゴー!!!!!!!!!」
「馬鹿お前、別に急がなくても」
「ワシの足の速さ(術式込み)をバカにしたらアカンでお客はん!!!!よっしゃぁ!!全速力!!!!!」
「だから待っヌゥおオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!?」
彼の首根っこを掴み、雷速で走り抜ける。待っていてくれ黒川さん、今助ける。
なんかごちゃごちゃ声がしますけど仲間に危機が迫っているので無視無視。
通路を雷速で走り抜け、ドアは片っ端からブッ飛ばしていく。とはいえここ”廃病院”なんだっけ?
あんまり無茶してぶっ壊れたりしないよな?.....最悪倒壊しても伊地知さんに帳降ろしてもらってるし、大丈夫だろ、多分。
おっ、あれはもしかして黒川さn
........はぁ全く.....呪いってやつはよ。
相変わらずで反吐が出るね。
▲△△▼
「いやぁ....まさか死角から来られるとは予想外でしたねぇ」
呪霊のケラケラとした笑い声を聞く黒川は自分の状態を改めて確認した。
それは......両手両足を切断され完全に身動きが取れなくされているという悲惨な状態だった。
「.....参りましたねー、こんなんじゃあ逃げようもないじゃないですか、携帯で助けも呼べません。
とはいえ人間って不思議ですね。こんな風になってもまだ生きてるんなんて.....」
4メートルほどの体格をもつ呪霊は己の肉体から生える数十を越える触手で黒川を掴み上げ掲げるのだった。呪霊は笑う。ニタリと音が出るように嫌悪感を感じさせるような笑みを.....だが、こんな状態で尚且つ、こんな状況だというのに彼女は....”涼しい顔”をしていた。
「さっ、”殺すのか、喰らうか”。どっちをやるのか分かりませんけど早くしてくれます?これでも今、かなり激痛が走ってるんですよ。やるならひと思いに楽に殺してくださいね」
その黒川の言葉の意味を理解したのか、はたまた,たまたまなのかは定かではないが呪霊は大声で笑いだす。
「えーー私、そんな笑えるようなこと一つも言ってないんですけど...一体っておや?」
呪霊の触手が”黒川の服に手をかける”、そんな様子に感づく黒川はゲンナリと眉を細めるが顔は未だに涼しいままだった。
「えぇ...呪霊にそういう”欲”ってあるもんなんですか?それはちょっと勘弁してほしいんですが....いやぁ困りましたねぇ」
下劣な声で呪霊は笑い声を上げた、一体どんな顔をするんだろう、一体どんな声を上げるんだろう。この能面のような真顔が崩れたらどんなに面白いだろうかと呪霊は考えながら黒川で”遊ぼう”とした........その時。
後ろからバチリと何かが弾けたような音がした。スパっとナニかに自分の触手を全て切断されたような痛みが走った。
「よう.....ゲス野郎、お楽しみだったか?」
頭部に突き刺さる凄まじい威力の蹴り、雷を纏ったその足から繰り出される蹴りは正に神速、雷鳴の極く。そしてその勢いに呪いはうなり声を上げれぬまま吹き飛んでいく。手足を待たない黒川を彼はそっと抱きしめ、その場に彼は着地した。
「........ごめんね、遅れちゃって」
「いえいえ、助かりました」
西宮伝次は彼女の様子を見ると、「ごめん」とまた呟いた。
「オオオオΦ△□✖〰◑♪◈♨*オオオオオオオ!!!!!」
起き上がった呪霊が彼の後ろから襲い掛かるが彼、西宮伝次にとってあまりにも遅すぎた。
消えた、掴もうとした瞬間、目の前から消えていた。いったどこに消えたと辺りを見渡そうするがいない。
どこへ消えたのか?そしてまた伝次の声が聞こえた。
「遅ぇんだよ、グズ」
黒川を抱えた伝次は呪霊の頭上へ現れた。
ーーー出力・黄
「『ーー雷靭』」
呪霊の頭部に文字通り深く突き刺さる雷を纏った手刀はそのまま何十万ボルトほどの電気を呪いへ流し込む。
弾ける音と辺り一面照らす程の光が発生し、呪いは数秒もかからずにその姿を黒く染め上げ、むせるほどの焼けた匂いを漂わせながらこと切れるのだった。
▼△▼△▼△▼△
「たっく、そいつ見つけた瞬間、そこら辺に放り投げやがって」
頭をガシガシとかきながら高介君がやって来る。どうやら無事だったようで。
一番の問題は黒川さんの容体だ。能面のように張り付いたへらへらとした顔ではあるが顔色が悪い。普段も血色の悪いような白い肌をしてはいるがこのままでは不味いだろう。逆によく今、生きているのかが不思議なぐらいだ。
早くここから出なければ........
「任務もこれで終わったし早くここから出よう。高介君、伊地知さんに報告よろしく」
「あ?お前は」
「俺はこのまま、高専まで彼女を抱えて走るよ。車よか俺の方が早いしね」
「あっ、何言ってんだ?お前?」
「.......いや何って家入先生の反転術式で黒川さん治してもらうに決ってんでしょ?そっちが何言ってんだよ?」
高介君はため息をつき、一指し指を地面に向ける。その行動が俺にとってあまりに理解不可能だった。
「えっ?みたいな顔してんじゃねぇよ....お前の言い分は理解した。まぁとりあえず黒川はそこに置け」
彼のそこと指す場所は地面だった。意味が分からない。
「いやだから、どういう....」
俺が言い終わる前にパっとの手足の無い黒川さんを高介君は俺から奪い取り、そっと地面に置いた。
「具合はどうよ?」
「うーん、正直。よくないですね。今、生きてるのも不思議です。」
「そうか、できるだけ”苦しまないよう”にしてやる」
さっきから彼は何を言っているのか.....そしてなぜ彼は右手の手袋を外そうとしているのか。
手袋を外した高介君の右手は異形のモノへと変える。
……そしてその右手を。
黒川さんに振り下ろした。