轟力鍾雷   作:ゲット虚無

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.......いや片腕ビブラスラップは笑うって。


不死身って大変。

 

 

「何しやがる.....」

 

 伝次は彼の腕を掴む。力を込め彼女に振り下ろされようとしている腕を止めた。

 

 

「それはこっちのセリフだろうが.......テメェ今、彼女に何しようとしたよ?」

 

 

「見りゃ分かんだろ?」

 

「あァ?」

 

伝次の右目がギョロリと高介の顔を見る。

その様子は明らかに普段の能天気な彼では無かった。

 

 

 

「殺そうとしたに決ってんだろ」

 

その言葉を聞き、間髪入れずに伝次は掴んだ高介の左腕を己に引き寄せ殴り飛ばした。

 

 西宮伝次という男は基本、能天気そしてお気楽でありドライだ。

 

生まれ育ったアメリカでの生活がその価値観を作ったのか、元から彼がそうだったのか定かではないが馬鹿馬鹿しい程まで能天気のようでありながら”人の死”というものへの在り方や考え方は乾いている。

 

…………後者に関しては彼の育った街が”原因”ではあるのだが。

 

つまりガキの年齢であるというのに、この男の死生観は気色が悪いほど達観しているのだ。

 

 しかし、そんな人格のこの男でも”会って間もない人間”が理由も無しに殺されるのは見過ごすことは出来ないようである。

 

 

この時、伝次は高介のその言葉により額に血管が浮き出るほど血を上らせていた。

 

 

「理由を教えてみろよ、クソ野郎。」

 

 

 高介は、けだるそうに起き上がろうとするも、それすら面倒で馬鹿馬鹿しいと言った態度で伝次を見るとため息をついた。

口を切ったのか、「ペッ....」と血を吐き捨て、伝次に殴られた右頬を摩りながら彼は口を開く。

 

 

「理由1。そもそも家入は反転術式で傷の回復や損傷は直せても、無いモノは治せない。つまり手足を失ったそいつを治すことはできねぇってことだよ。これで切断された手足があるってんなら、くっつけて治せたろうがこの場に一つも見当たらない。大方、さっきの呪霊にでも食われたんだろ。そうだろ?黒川」

 

「正解です。」

 

 

「理由2。仮に家入に治させても........もうこいつは戦いは愚かマトモに日常生活を送ることは出来ない。とんだ足手まといだ。まぁコイツにはもう手足はねぇがな?」

 

その言葉を皮切りに伝次は彼の胸倉をつかむ。

 

「........理由3。そんなだったら殺してやった方がいいだろうが.....苦しまないよう一瞬でな」

 

 

「お前のその論理は理解したよ......でもまだ」

 

 

「やれることはあるってか?テメーはこれ以上、こいつを苦しませる気なのかよ?」

  

 その言葉を聞き、顔をしかめ伝次は考え込む。反転術式を持つ家入でも手足の欠損は治すことは出来ないという事実、確かに手足を持たない人生は生き地獄だろう。

 

だから彼女を苦しませないためにもひと思いに介錯ををする。しかし、その考えはあまりにも傲慢ではないだろうか?だが現実を見ろ。生かしたとしても、これからの彼女に未来なんてものがあるのか?

 

「……いいんですよ。西宮さん。それで」

 

黒川は言葉を続ける。

 

「実際、これじゃあ……もう何もできないし、それにどうも死ぬのに時間が少々かかりそうなので........」 

         

「........それで黒川さんは本当にいいの?」

 

「えぇ……」

 

「分かった.......それじゃあ.その変わり、俺に殺させてくれる?」

 

スッと伝次は考え込むのをやめ、彼女に伝える。

 

 

「おい....お前、何言って..」

 

「いいんだ。そもそも俺が間に合わなかったせいで黒川さんがこんな目にあったんだ。俺にやらせてくれ。

それと”高介君”、さっきは訳も聞かずに殴ってごめん」

 

「いや.....良い....気持ちは分かる」

 

冷静になれたのか、伝次の先ほどまで粗暴な言葉遣いは普段の物へと戻っていた。

 

「じゃあ黒川ちゃん.....今から始めるけど痛みはほんの一瞬だから安心してね」

 

「........なぜ、今からちゃん付けに?」

 

「........あっ、えっと.....もしかしてキモかった?。あーーーー!やっぱり無し!!!無しでお願いいたします!!!会って間もないのに異性からのちゃん付けなんてダメだよね!!?あばばばばばばばばあ!」

 

「アハ.....いえ西宮さんのお好きなようにお呼び下さい。”これからの”クラスメイトですし」

 

彼女はその時、クスりと張り付いたような笑顔ではなく本当に笑ったような顔を伝次に見せた。

 

「分かった。」

 

そっと抱え、彼女の額に人差し指を指し、そこから脳に電気が届くように一気に流し込む。

 

電気が弾けたような音が鳴る。これで彼女の脳は焼き切れ、破壊された。

 

その証拠に彼女の首はまるでブレイカーを落としたようにガクンと後ろに倒れた。

 

 

 

「……まさか初任務でこんなことする事になるなんてね。」

 

「.....慣れろ。これからも”同じことを嫌ってほどする”羽目になる」

 

「大丈夫、案外........人の死には慣れてるんだ」

 

「そうか.....そりゃあ良かった。ようやく面倒事を他人に任せれる」

 

「それってどういう---------」

 

 

 

「いやーホントに助かりました。ホントに痛みは一瞬というかポックリ逝けましたよ!!西宮さん!!ありがとうございました。」

 

 

 

「ハハハ....それは良かっ..............ンっ????????」

 

近くから場違いかと思うほどの明るい声を伝次は聞いた。いや正確には彼の懐辺りからと...目線をそこへ向けると

........そこには死んだはずであるの黒川がスッキリしたような、そして愉快そうに眼を開けて笑っていた。しかも先ほど脳を焼いた時の傷が無くなっていた。

 

「....ゾンビ?」

 

 

「うーん、近かからず遠からずですかねぇ?」

 

それから彼女の手足がみるみるうちに再生していく姿を見た。伝次は今、何が起きているのか理解できない。

 

「.....死んだんじゃ?」

 

 

「えぇ?死にましたよ。さっき西宮さんに殺してもらいました、だから今、復活したんです。」

 

 

 脳内が今、宇宙だ。分からないどういうことだ。いや逆に分かってきたぞ。

 

宇宙の全てが分かって来たぞ、うん。そうか....宇宙とはゲッターとは........俺達とは。

 

何故、完全変形合体するゲッターロボはデザインに恵まれないのか?

 

何故、グレンダイザーとマジンカイザーはスパロボで共演が出来ないのか?

 

ああ、この世の謎全てが今!!!!!!理解でき

 

 

「あぁ....なんかトリップしてるとこ悪いが、それがそいつの術式だ。」

 

「ファッ!今のが!?」

 

高介の言葉に毒電波を振り払いながら伝次は驚愕した。

 

「ハイ。死ぬことで肉体の損傷、状態などをリセットして蘇りをする。それが私の術式『死還(しにがえり)』です。まぁ簡単に言ってしまえば不死身みたいなもんですが死なないと使えないので無敵じゃありません。」

 

ペラペラと彼女は自身の術式の情報を開示する。それもあってか再生も早まり、彼女の失っていた筈の手足は瞬く間に元の状態へと戻っていた。

 

「なっ、なっ、なっ、なっ」

 

伝次は両手で頭を抱え、へたりとしゃがみ.....

 

(大体、コレ知った奴はこうなっちまうんだよなぁ.....)

高介は伝次の様子を見ると、眼がしらを揉みながら気の毒そうに思うのだが........

 

 

「なぁんだよ~~~~~そういう事だったんなら最初に言っといてよ~~~~~」

と伝次は安堵のため息をついた。

 

その伝次の反応を見て二人は少なからず驚くのだった。

 

「あれ?えーと........西宮さん?それだけですか?」

 

 

「えっ?何で?」

 

 

「何でってお前な.....」

 

 

「だいたいの人は私の術式の情報を知ると「可哀そう」だと同情するような眼差しを向けて来たり「異質」なモノを見たって感じで若干の嫌悪感を感じさせる表情をするので何というか.....五条先生以来ですねぇ、そんなリアクション.....」

 

「えっ?あっ何そういう風にした方が良かったの?」

 

「ああ~~いえいえ。嫌悪されるのはもう慣れっこですし、同情されるのもなんか気持ち悪いので。全然そっちの方ありがたいですよ?」

 

「んーー、でしょう?それで生き返るんなら結果オーライじゃん。つーか高介くんさぁ?その事を先に話しくれてたら俺が誤解して君を殴ることも無かったでしょうよ?」

 

「あ?それは......そうだな」

 

「高介さん、確か誰かに前にも似たような事言われてましたよネ」  

 

「うわ、バカ....天然、いや天然バカだコレ」

 

「いえ西宮さん、この人の場合、不器用なだけなんですよ.....バカ不器用(笑)ですけれども」

 

黒川と伝次はHAHAHAHAHA!!!!!と笑う。まるで先ほどまでの出来事が嘘だったように空気は一変していた。

 

「るっっっせぇぇ!!!!!?誰ァァが馬鹿だ!!!?」

 

そんな折に黒川もそして高介も彼らは同じことを伝次に対して思っていた。

 

(案外、西宮さんってシッカリ狂ってらっしゃったんですねぇ......)

(コイツ........結構イカレてやがんのな)

 

 

◆◆

 

「うーん........なんか違う」

 

「おんや?お悩みかい?」

 

絶賛、地面を下ペロしている俺を見下ろす五条先生が聞いてくる。

 

「なんていうか?違和感?」

 

「違和感?」

 

「呪力操作を覚えて前よりも動けるようになったのは万々歳なんですけど.....意識して動かすようになったからか....それとも術式を一々順序立てて考えて使うようになったからなのか.....」

 

「”使いにくい”?」

 

「ピンポンですね。」

五条先生はサングラスを外し、ジッと俺を見る。

............相変わらず綺麗な目な事で。

 

 

「そりゃあ........特殊な例だからね?伝次って。自分の術式を完全に理解してる且つ解釈も完璧で応用も僕と出会う前には、もう使えてたってのに基礎中の基礎である呪力の動かし方を何も知らなかった訳だし、考えられることは二つ。”自分の術式を「スーパーパワーと勘違いしてた」部分がある種の縛りになっていた説”もう一つは術式に使っていた呪力の流れがマニュアルじゃなくオートマになっていった説。まぁこれも異例中の異例だろうけど........」

 

 

「.....今までこの力を使う時は深呼吸をするぐらいには当たり前の感覚でしたし。わざわざ力を使うのに術式に呪力を流すなんて感覚もしたことが無かったですねぇ。」

 

「今の今まで無意識的にしてた行動を意識的にするなんてそりゃあ違和感アリアリだし気疲れもするだろうさ。まぁそうだね....例えるとしたら『車の運転は完璧なのに交通ルールを全く知らなかった』みたいな」

 

「........ただのヤベー奴じゃあないですか」

 

「うん。だからお前ヤベー奴なんだって」

 

俺がブスっとした表情になったのを見て先生はケラケラと笑った。

 

「マジな話ね、伝次の強さは今いる術師たちの中でも結構上澄みの方だと僕は思ってるよ」

 

「マ?」

 

「実践経験有りな上でそれなら、かなり上々だよ。反転術式、術式反転、そして領域展開。この三つを使えないって言っても、問題があるわけでも、そう簡単に習得出来るもんじゃないしね.....なんだったら使える奴なんて僕含めてごく少数だし。とはいえ!!使えることに越したことはないのもそうだ」

 

「ぶっちゃけ伝次、センスは良い方だからすぐに習得できると思うよ?」

 

 

「先生はどうやって習得したんです?」

 

 

「死にかけて」

 

真顔でそう言い放つ先生に俺はオイオイと思うが、さて死にかけた事なら俺も何度かあるのだが....もしかして俺って覚醒イベキャンセルしちゃってる?

 

 




皆さんも分かる通り、黒川ちゃんの「死還」と天元の「不死化術式」は全く違います。
黒川ちゃんも天元のように普通に老化はしますがリセットされた時点で年齢が若返るので
不老不死をやろうと思えば可能です。

他にも色々できるコトはあるんですけど
ーーーーーまぁぶっちゃけ簡単に言うと亜人みたいなもんです。
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