大きな希望。
最高の桃尻を。
Pixivにも登校しています。
夏の終わりのある日のこと。
いつも通り、トレーニング開始よりかなり早めにトレーナー室へと足を運んだナリタタイシン。
扉を開いたタイシンの目に映ったものは、理解を超えていた。
「なにこれ?浮き輪?」
夏も終わるというのに、パンパンに膨らんだ浮き輪が、部屋のど真ん中に転がっていた。
「なんでこんなもんが?てかこれ、子供用?」
それは子供用、そう呼ぶにふさわしいものであった。
「ふぅーん」
ここでタイシンは、何もしない、という選択をとるのが正しかった。
そう、正しかった。
あるいは季節外れの異物など、部屋の隅に放って置くべきであった。
時はしばらくして、ナリタタイシンのトレーナーは、トレーナー室へと足を運んだ。
当然、トレーニングのためである。
「どうせタイシンはもう来てるんだろうなぁ」
扉に手をかけ、開く。
「よし!今日も…ってあれ?」
おかしい、居ない。
いつもなら、ソファにちょこん♪と座って待っているはずの愛バが…
「ふがふがふがー!(クソッ!抜けない!)」
いや、居た。
部屋の隅、ダンボールに埋もれ、下半身だけが見えている。
足は床に着いておらず、宙ぶらりんだ。
「なんだっ!?どうしたっ!?」
近付く。
尻だ。
スパッツがではあるが丸出しである。
ダンボールに埋もれた、おそらくタイシン。
それは何故か、子供用の浮き輪を装着し、崩れたダンボールの山に上半身を突っこんで足をじたばたさせていた。
浮き輪が小さいのに、無理に足から通したせいで、スカートを巻き込み、持ち上げ、したがって丸出しである。
「タイシンかっ!?今助け…」
しかしトレーナーに電流奔るッ!
この状況、つまりスパッツではあるが、尻が丸出しであるッ!
これはマズイッ!
タイシンキックはまず間違いない。
どうしたものか、一度立ち去るべきか…
担当とはいえ、乙女の桃尻である。
「っていや!タイシンがこんなことになっているんだッ!ここで立ち去る訳にはいかないッ!」
「ふがふがふがーー!!(ちょっと、アンタどこ触って!)」
ダンボールの山でろくに言葉も出せない担当の、タイシンの、小さく締まった尻を鷲掴む。
「いくぞッ!タイシンッ!」
引き抜く。
が、山積みのダンボールがそれを阻む。
懸命な救助活動は、ただ尻を引っ張っただけに終わった。
「ふがぁぁぁぁーーーっっ!!!(絶対蹴っ飛ばす!!!)」
ダンボールの山から声が聞こえる。
足をバタつかせる。
その度に、尻が振動する。
プルン♡プルン♡
「待ってろッ!すぐに助けをッ!」
刹那、思いとどまる。
こんな姿を衆目に晒したら。
目の前で落ち着きなく揺れる尻尾。
ゆっさゆっさ♡
誘っているッ!
否ッ!決してヤラシイ意味ではなくッ!
この俺にッ!助けて欲しいのだとッ!
この尻言っているッ!
「とりあえずッ!ダンボールをどかすぞッ!」
持ち上げようとするが、持ち上がらない!
幾重にも重なり、彼女の小さな身体を捕らえているそれらは、複雑に、パズルのピースのように組み上がり、どかすのは困難である。
「クソッ!どうしたら…」
閃光、稲妻、流星のごとく迸るッ!
「引いてダメなら、押してみろって言うじゃあないかッ!」
スパッツに、尻に!
勢いよく手を突くッ!
パシーン!
「ふんが!?(はぁ!?)」
「いくぞッ!タイシンッ!受け止めろッ!」
「ふがっ!?(受け止めっ!?何を!?へ!?アンタ何する気なの!?)」
ぎゅむ♡ぎゅむむむぅぅ♡
力の限り、その可愛らしい尻をッ!
押すッ!押すッ!押すッ!
それでもタイシンは、抜けません。
「なんだよこれ!大きなカブかよ!?こんな可愛らしい尻しやがってからに!」
「ふがふがふが(アンタ、後で覚えててよねっ///)」
プルン♡プルン♡
「タイシン!クソッ!担当がこんなに苦しんでいるって言うのにッ!俺は…弱いッ!」
「ふがふがふが!(いい加減!ケツから手を離せ!バカ!!)」
キュッ♡(尻が引き締まる音)
諦めようとした、その時。
(違う…諦める?何を考えているんだ!俺はッ!ナリタタイシンのッ!トレーナーだッ!)ドンッ!!
「ははは…俺はバカだったよ。俺は」
「ふがふがふがふがふが!(いいから早くどうにかしろ!バカ!あと尻を掴んだまま話すな!)」
ばっさばっさ♡(尻尾が激しく揺れる音)
「諦めないってことを教えてくれたのはッ!他でもないッ!君だッ!」
「ふっがー!!!!(いいから離せ!!!)」
ぷるるるるん♡
尻が、共鳴する。
「いくぞッ!!タイシンッ!!」
「ふがー!(まともにやりなさいよ!)」
ぶるるるん♡
波打つ尻、すなわち、『明鏡止水』
「俺のこの手が真っ赤に燃えるッ!尻を掴めと、とどろき叫ぶッ!」
「ふがぁぁぁ!!(ちょっ、バカ!そこは…!)」
「爆熱ッ!!」
キュポンッ!(尻が抜ける音)
時が止まる。尻が迫る。
眼前、暗く、黒い、スパッツ。
「ああ、無情…」
ギュムムムムムぅぅぅぅ♡♡♡
ぶつかり、押し付けられ、沈み込む。
まさしく、
「そうか……これが……心か……」
全てを知った。
タイシンの、尻の柔らかさまで。
モッチリ♡していて、それでいて緩みが無い。
生地は40デニールのものを履いているのかな?
仰ぎ見る。
見知らぬ、スパッツ。
それがどいた後は、よく知った天井。
そしてよく知った顔が、トレーナーを見下ろしていた。
「ほら立てる?」
ようやく、訳分からんフガフガ言語から開放されたタイシンは、トレーナーに手を差し伸べる。
手を取り、立ち上がったトレーナーは、その手の温もりに、タイシンとの絆を確かに感じていた。
そうだ、タイシンは助かったのだ。
ダンボールの山から、そして浮き輪も、勢いで破れてどこかへ行ったらしい。
やった。ついに、やったんだ。
感動、ひとしお。
トレーナーは涙を流す。
「(埋もれていた)タイシン、みーつけた♪」
「(蹴り飛ばすヤツ)見つかっちゃったぁ♡」
聖なる1歩半を、君は踏み込む。
怒ったように最速で。
その小さな足を躊躇なく振り上げ、襲いかかったのは。
間違いなく、君の強烈な蹴りだった。
君と夏の終わり
将来の夢
大きな希望
忘れない
──トレーナーの体が、宙を舞う。さながら、夜空に打ち上げた、花火のように。
10年後の8月
また出会えるのを
信じて
──トレーナーは最後に、はっきりと見た。蹴り上がる脚。ひらりとなびくスカート。その奥。漆黒の布に覆われた…
最高の