第二次スパロボZ 呪われし放浪者に憑依してしまった者   作:幻龍

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第十一話 嵐の前の一時

 地球連邦が発足して半年以上が過ぎた。

 連邦軍によってソレスタルビーイングが壊滅したり、コロニーのガンダムがOZに追い詰められて、何名かが行方不明になったり、アロウズが結成されたこと以外は大きな事件もなく、地球圏は平穏が続いていた。

 ヴェーダを掌握したリボンズ・アルマーク率いる一味が、情報統制を行っているので、地球圏統一の為にアロウズが行っている虐殺行為は市民の耳に入ることはなかった。それにより、地球連邦結成以前よりも国の情勢が悪化したところが増えてきており、当然その様な行いに弾圧されている人達が黙って見ているはずもなく、反体制組織カタロンが活動を強まり、世界各地で反体制テロが起こるなど地球連邦の未来は前途多難だった。

 

 

 

 「今日の共同任務で同行するのが君達とはね」

 「それはこっちのセリフだ! 何でお前何かと仕事しなければいけないんだ!」

 「落ち着けシン!」

 「そうよ、シン。落ち着いて」

 

 アサキムは操縦技術を上げる為に軍人をしている。その為、たまに連邦軍の命令で、出動することがある。 今回の任務はOZと共に次元獣駆除をすることになったのだが、何といっしょに仕事をする者が、シン・アスカとカミーユ・ビダン、ルナマリア・ホーク・ファ・ユリィだった。

 

 (何で一番俺を嫌っているシンを派遣してくるかな、OZの連中は……)

 

 OZにこの四名が派遣されてきた理由を尋ねると、そちらに派遣できる腕利きのパイロットはこの四名しかいないらしいのだ(最も、向こうは自分と彼らの因縁を知らないから、文句を言っても仕方がないのだが)。

 アサキムは恐らく、コロニーの支配を強めるために宇宙に軍を派遣しているためだろうと読んでいた。そして、次元獣が出現したので、今動けるパイロットを緊急派遣したのだろう。

 

 「そんなに嫌ならさっさと終わらせればいいだけだよ。……僕の足を引っ張らないでよ」

 「っ! それはこちらのセリフだ! いきなり、後ろから撃つなよ!」

 「シン! アサキムにいちいち突っかかるのはよせ!」

 

 アサキムの言葉に過剰反応する、シンをカミーユが宥める。その様子を見ていたルナマリアとファはこの任務への不安からか思わず溜息をついた。

 

 

 

 

 

 「哀れな者達だよ……彼らは」

 「アサキム。お前は次元獣が元は人だったことを知っていたようだな」

 「成り立ちは違っても、彼らは僕と似たような存在だからね。気配で何となくわかるんだよ」

 

 アサキムとOZから派遣されたメンバー四名は、次元獣が出現したのはアフリカにある軌道エレベーター周辺に来ていた。そして、次元獣を発見したので、各機がそれぞれ攻撃を開始した。

 ガイオウを失った次元獣は統制を失い、弱体化しているので、量産型のトーラスでも充分に対応できるようになっていた。

 

 「ガンダムはどうしたんだい?」

 

 俺は次元獣を魔王剣ディスキャリバーで切り裂きながら、ガンダムに搭乗してこなかったカミーユ達に向かって話しかけた。

 

 「お前には関係ないだろう」

 「ふーん。ひょっとして、整備ができずに故障したとか?」

 「……」

 「……今俺達のガンダムは封印している。余計な争いの元になるという理由でだ」

 

 本当の理由を知っているが、敢えて適当なことを口に出した。

 アサキムの言葉が気に入らなかったのか、シンが言葉を返さなかったので、代わりにカミーユが答えた。

 

 「難儀しているようだね。……これで最後のようだ」

 「そのようだな」

 

 アサキムが最後の次元獣ブルダモンを、エネルギーの鳥で蜂の巣にしたあと、細切れにして止めを刺した。 最後の一匹を倒したあと、カミーユ達が周囲に敵がいないことを確認して、任務は終了した。 

 たまに出現する次元獣は腕を鍛えることができるいい鴨だ。おまけに弱体化しているから、個々が本能に赴くまま戦闘行動を行うので、ワンパターンだからな。

 

 

 「任務は終了。帰投命令が出たからカミーユ、ルナ、ファ帰ろうぜ」

 「そうだな」

 「そうね」

 「ええ」

 

 シン達は基地から帰投命令が出たので、機体を基地の方に翻し、アサキムに挨拶もせずに帰還していった。

 アサキムはそれを見て、確かに敵だろうけど、今回は一緒に任務をした仲なんだから一声かけて帰ってもいいはずだろうと思ってしまった。

 

 「ふふふ……。黒き疾風は絶好調のようだ」

 

 俺は原作キャラ達の態度を感じて、アサキムが敵キャラであることを改めて実感するのであった。

 そして、自分にも帰投命令が出たのでシュロウガを地球連邦軍基地に帰還させるのであった。

 

 

 

 

 「……(再世事変が始まるまで、あと半年。前の世界でジ・エーデルから頂いた、資料はスコート・ラボに売却しておいたから、ZONEブレイカーの研究に関しては問題ないはずだ)」

 

 俺は基地での報告を済ませたあと、そのまま夜の街に繰り出し、これからのことを考えながら、バーでカクテルを煽っていた。

 原作の再世事変の違いは、キョウトが日本に亡命していることと、黒の騎士団幹部であった、扇グループがほぼ全滅したこと以外は変更点はない。だから、大筋は原作通りに進むだろうから、自分に不都合なことが出てくればその都度修正していけばいいだろう。

 アサキム何かに憑依してしまったが為に、原作キャラから敵視されるという、やっかいな立場は本当に苦労が絶えない。太極の呪いを解くまでは、酒でも飲んで気分転換でもしないとやってられない。

 

 「お客さん。何かつまみでもどうですか?」

 「……野菜スティックで。それとカクテル追加で」

 「わかりました」

 

 しばらくして、野菜スティックとマヨネーズが小皿で出てきた。

 俺は人参スティックを掴み、マヨネーズにつけて食べる。一本食べきったあと、注文したカクテルミモザを飲み、グラスをカウンターテーブルに置く。

 

 「よう。アサキム。こんなところで会うなんて思わなかったぜ」

 「揺れる天秤……」

 「おいおい、その名で呼ぶな。関係ない人間がいるところではクロウって呼べよ」

 

 自分の名前が聞こえた方に顔を振ると、そこには揺れる天秤のスフィア・リアクター、クロウ・ブルーストがいた。

 彼の因子がまだ、高まっていないせいなのか、自分が少し酔っていたせいで接近に気付かなかったようだ。

 

 「お前さんがこんなところで酒を煽っているとはな。意外に人間臭い所があるじゃあねえか」

 「冷やかしに来たのなら、帰ってくれるかな? それとも、僕に酒をたかりに来たのかい?」

 「俺だってたまには酒を飲みたくなるときはあるさ。それにお前さんに貸しをつくるなんてのはごめんだ」

 「あっそ。君がそういうといずれ貸しを作ることになるかもしれないけどね」

 「不吉なことを言うなよ!」

 

 アサキムはクロウに不敵な微笑みを見せながら、彼に向かって不吉な言葉を吐くのであった。

 クロウはその言葉を聞いて嫌な予感がしたのか、身体が思わず震えてしまい、アサキムに対して、怒鳴り返すのであった。

 

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