第二次スパロボZ 呪われし放浪者に憑依してしまった者 作:幻龍
「クラッシャー隊の監視任務……いよいよ、時が来たようだね……」
再世事変が開始される年になり、アサキムは地球連邦軍の極東支部を統括する大塚長官が率いる、クラッシャー隊の監視任務を言い渡された。
何でも大塚長官は宇宙に探索任務に出していた、クラッシャー隊を呼び戻し、新たなクラシャー隊を再編成するそうだ。その部隊には旧ZEXISメンバーも召集されるらしく、地球連邦に対する反逆を企てる恐れがあるので、監視を命じると受け取った書類には書かれていた。
無論向こうも警戒するので、地球連邦の利益に反しない異星人や悪の組織等と戦う場合は、味方をしても構わないとあり、万が一地球連邦の正規軍と戦う場合は、ライセンスを使い拒否するようにあったが、強制はしないと書いてあった。最もアサキムはこれらを律儀に守る気はなかったので、この命令は実質無意味だった。
「光子力研究所で結成を行うことになっているのか……そして都合がつき次第合流するようにか……相変わらず調子に乗っているようだね」
リボンズ・アルマークの小物ぶりに思わず笑い声を出しそうになったが、それを抑え書類を片づけた。
「偽りの黒羊に尽きぬ水瓶……君達の運命は僕が起こす黒き疾風で吹き飛ばす」
アサキムはシュロウガを呼び出し、光子力研究所へ向かうのであった。
アサキムが到着したときにはクラッシャー隊は既に太平洋で起きた、時空震動に対処するため、マクロスクォーターで現地に向かったあとだと弓教授が教えてくれたので、そちらに向かう。
現場に辿り着くとクラッシャー隊が、インサラウム相手に戦闘しているのが見えた。
アサキムはその中に見覚えがある機体を見つけた。それは自分が嘗てスフィアを奪い取ったバルゴラ・グローリーとそれを操るセツコ・オハラだった。
一応彼女に思うところもあったが、友軍が敵軍と戦っている以上、加勢しないわけにはいかないので、インサラウムの機動兵器を魔王剣で真っ二つにした。インサラウムは不利を悟ったのか残存兵力は撤退していった。
「アサキム!」
「やあ、久しぶりだね。セツコ。そして、クラッシャー隊のみんな」
シュロウガの方にアクエリオンとグラヴィオンが武器を構えて近づいてくる。
「何しにきやがった! アサキム!」
「アポロ、久しぶりだね。見ての通り加勢に来たんだよ。友軍としてね」
「どういうことだ!? 説明しろ! アサキム!」
アサキムに対して、相変わらずいい感情を持っていないアポロは彼に噛みつき、シリウスはアサキムが言ったことに対して、眉を顰め質問した。
「……そうだったね。君達は宇宙に行っていたから、何も知らないんだっけ? クラッシャー隊は地球連邦軍でも少し特殊な立ち位置だし、他は民間人がほとんどだから、連邦軍については知らないことが多いのか」
アサキムはクラッシャー隊はほとんど民間会社や、ZEUTUSから流れてきた放浪者出身達だったことを思い出した。その為、彼らはアサキムが地球連邦軍に今所属していることを知らないのだ。
「僕は今地球連邦軍に所属しているんだ。無論アロウズじゃないけどね」
「お前が地球連邦軍に所属しているだと!?」
「うん。自分の判断で動けるワンマンアーミーのライセンス持ちだよ」
アサキムの説明にクラッシャー隊の面々は驚愕した。
「証拠はあるのか!?」
「あるよ。そっちにも通達がいっていると思うけど、連邦のお偉いさんから君たちに合流するように命じられたんだよ」
「確か、連邦から新たな監査役が来るとは聞いていたが、まさか、君だったとはな……我が方への援護を感謝する」
ジェフリー艦長はまさか、連邦軍から派遣されてくる人物がアサキムだったことに、内心戸惑いを見せるが、それを表に出さずにアサキムに感謝を述べた。
「それじゃあ、着艦を許可してくれない?」
「わかった。事情はどうあれ、今は地球連邦の一員なら断るつもりはない」
「話が早くて助かるよ。指令書も持ってきたから、確認もよろしく頼むよ」
アサキムはマクロスクォーターの格納庫に、シュロウガと共に向かった。
マクロスクォーターにシュロウガを着艦させて、機体から下りたのだが、やはり歓迎されなかった。クロウのスフィアを狙っている自分は警戒されど、気を許す相手ではないというのが、彼らの答えらしい。
その後、ジェフリー艦長が格納庫にやって来たので、地球連邦からの命令書を見せた。ジェフリー艦長はそれをしばらく見た後、自分の合流を了承すると言った。話が分かる人がいると助かると改めて思った。
黒の騎士団総帥ゼロからZEXISの召集がかけられた。
破壊事変時にエルガン・ローディックから、召集コードを預かっており、今回インサラウムの侵略を知ったゼロが、そのコードを発動したらしい。
クラッシャー隊もその召集命令に応えて、地球連邦の影響がそれほど強くない、中央アジア周辺までやってきた。ゼロ達よりも先に到着したが、アロウズがカタロンを攻撃していることを聞きつけて、その地域まで艦を進めたが、そこで見たのは降伏したカタロンに対して、オートマンを使って虐殺を行っていたアロウズの蛮行だった。
正義感が強いメンバーが集まっている、クラッシャー隊はこれを見て大いに憤慨し、ジェフリー艦長がアロウズを指揮しているアーバン・リント少佐に対して、詰問を行ったがあなた達は関係ないと言われ、無視された。そこで艦長の判断の元、オートマンを操るアロウズのMSを破壊することになり、各機が出撃していった。
俺も出撃しようとしたが、ジェフリー艦長に断られた。理由はただでさえ今回の件でストレスを感じている他のパイロットに、負担をかけたくないそうだ。
敵役だからこういうことは覚悟していたけど、そこまではっきりと言うのか。シンやアポロ、エイジ辺りが殊更悪く自分を言ったのを真に受けた可能性もあるかもしれない。
アサキムは出撃をしないので、シュロウガのコクピットで戦闘が終わるのを待つ。その間、格納庫で同じく待機を命じられていた、セツコが時折り話しかけてくるなど、今回はあまり退屈はしなかったのが唯一の救いだな。
「……アサキム。あなたはなぜ、私たちに協力しようと思ったの?」
「さあね。君の想像に任せるよ」
セツコはアサキムに自分達に協力する理由を訊ねたが、彼はそれをのらりくらりと躱して、自分の質問に答えることはなかった。
セツコは彼の監視の為に格納庫に残ったのだが、彼が不振な行動する様子はなく、ただ時間だけが過ぎっていくのであった。