第二次スパロボZ 呪われし放浪者に憑依してしまった者 作:幻龍
ダーダネルス海峡での戦いを見届けたあと、いつもの任務に戻るだけでは芸がないので、次元力で別人に変装したあと、フロスト兄弟に接触してみた。
彼ら話を聞いてあげたが、口から出てくるのは研究者と世界への憎しみばかりだ。そして、この兄弟の恨みの源を作ったプランの発案者で、フロスト兄弟が一番恨みを抱いているデュランダルを罵る言葉。彼らの言葉の節からデュランダルに対する憎しみがひしひし伝わってくるな……。
だから、言葉巧みにデュランダルのお気に入り部隊を叩くように唆した。動いてくれるかは不明だけど取り敢えず様子を見ることにした。使える駒かどうか見極める必要もあるからな。最もあんまり期待するのはよくないだろうが。
アサキムは基本的にカイメラ隊の協力者に過ぎない。だから、行動は比較的に自由なので、普段はシュロウガを駆りながら、自らのスフィアの覚醒を促す為に、オリジン・ローに触れるられる場所を探している。
しかし、捜索の結果、やっぱりUCWの世界にはそのような場所はなかった。やはり、そう簡単にはいかないようだ。
そして、もう一つ問題が発生した。
「傷だらけの獅子の覚醒が遅い……。やはり、原作通り仲良くしただけでは無理なのか……」
傷だらけの獅子の方は、原作通りにメールを助けたのでランドとの奇妙な友情が続いている。この調子ではスフィアリアクターとして覚醒するか正直自分でも疑問に思っていた。
セツコの方は覚醒の兆しが見えていたので問題ないと判断した。これも原作の修正力というものなのかもしれない。
だが、その対価のなのかランドのスフィア覚醒が原作よりも遅い。ツィーネに見せてもらった映像を見る限り、このままだと覚醒しない可能性も出てきた。
「仕方がない。ランドとメールには原作通り喧嘩をしてもらおう」
その為にも知りたがる山羊のスフィアだ。現在サード・ステージの境界に差し掛かっているから、一回限りなら、彼らの身に起こった事件をメールとランドに見せることが可能だ。
頭の中であれこれ考えた結果、アサキムは傷だらけの獅子に関しては少しだけ介入することにした。
「傷だらけの獅子。君の因子を覚醒を促してあげるよ」
原作ではガンレオンの覚醒の為に芝居はツィーネにも手伝ってもらったが、一回限りなら知りたがる山羊を使えるから必要ない。それにメールとの問題はランドに原因があるから、芝居何かせずに知りたがる山羊を使ったあと、ストレートに言った方がランドも恨まないだろうと判断した。
これが悪役? の悲しさだな。やはり原作キャラと敵対するは運命なのだろうか……。これも太極の呪いなのだろうかと思わずにはいられなかった。
ランド組のZEUTHがチラムの艦隊を攻撃していた。確かエウレカを直す為に坊さんを拉致する為に、襲撃しているようだ。これを見るとZEUTH組はどっちもどっちだな。
(めんどくさいけど、やるしかないな)
俺はシュロウガを戦場に突入させた。
「やあ、ランドにメール」
「アサキム!」
「兄弟じゃねえか。今は取り込み中でな。話があるなら後にしてくれ」
メールはうれしそうな声で反応し、ランドはガンレオンで敵機を撃墜しながら、応対してきた。
「メール。君は以前自分の身体のことについて悩んでいたね」
「えっ!? 何で知ってるの!?」
「君を助けたのは僕だよ。君が夜眠っているとき、そのことでうなされていたからね」
メールが自分の心の中の悩みを、アサキムが知っていることに驚愕していた。
俺はそれに対して、最もらしい理由を言い誤魔化した。シュロウガで敵機を排除しながら。
「そうなんだ……。それで何かわかったの?」
「……言い難いことなんだけど、その原因がわかったんだ。それでどうする? 知りたいかい?」
「……知りたい!」
俺の言葉にメールは聞くのを躊躇い悩んだが、原因を知りたい気持ちの方が勝ったのか、彼女は頷いた。
「おい、アサキム!」
「じゃあ、いくよ!」
「あれ? 言葉で伝えてくれるんじゃないの?」
ランドの静止と戸惑うメールを無視して、知りたがる山羊をメールに向かって発動させた。そして、彼女に何が起こったか、その原因と経緯を映像で彼女にだけ見せた。残念ながら、今の段階ではこれが精一杯のようだから、もっと、因子を高めなければいけないようだ。
「メール!? おい、アサキム、メールに何やったんだ!」
「心配しなくてもいいよ、ザ・ヒート。じゃあ、メール僕はこれで失礼するね。自分がどうしたいかよく考えて行動することを祈っているよ」
そして、ミラージュコロイドスパイロボットを置いた後、二人を放置して離脱した。万が一の時の為に待機してもらっていた、ツィーネに撤退指示を出しておいた。彼女は貴重な味方だから、大切にしないといけないからね。
「まさか、ここまでうまくいくとは思わなかったよ」
「うれしそうですね。アサキム」
「そうだね。このまま因子を高めてくれれば文句なしだ。ところで君の主に報告するのかい?」
「しません。あなただけが私の痛みをわかってくれるのですから」
「ありがとう、ツィーネ」
アサキムはカイメラ隊との連絡役のツィーネと話していた。
彼女にはスフィア作戦が失敗したときの保険の為に、原作イベントを起こすように言い含めて近くで待機してもらったのだ。
「そうえば、もう一方のZEUTHはどうしているのかな?」
「あいつ等ならクレタ島周辺でやり合ってるわ。あなたが、後方を散々荒らした結果が出てきたみたいね」
原作ではザフトから支援を受けられたザフト組ZEUTHだが、この世界ではあまり芳しくなかった。
全軍に必要な物資を支給する為に結構やりくりに苦労していることが、入港している補給船の数を記した資料で理解できた。
「うん? このザフトが地元から物資をタダ同然で買い叩いたというのは?」
「ああ、それ。いくら、デュランダルとプラント上層部が良いこといっても、現実は厳しいということじゃないかしら? 末端の兵士のなかには物資不足でイラついている奴がいるらしいのよ。それで現地住民と問題を起こしているらしいは」
ツィーネの報告書に気になる部分を見つけて、質問すると彼女から呆れたを含んだ言葉が返ってきた。
「なるほどね。僕の行動でここまで影響が出るとはね……」
どうやら後方をかき乱した成果が出てきたようだ。
ザフトは物資不足で遠からず瓦解し始めるだろうから、それを阻止する為にエゥーゴやアクシズ、宇宙革命軍支援を求めるはずだから、そちらの足をひっぱてくれるはずだ。そうすれば、悲しみの乙女を狩りやすい状況になるだろうし、終盤戦が楽になるな。
「次はどのような行動に……。これは?」
暇潰しにUNを見ていたら、ある書き込みを発見した。
『ザ・ヒートから、風の兄弟へ。前に遭った場所で待っているからこい』
「決闘の申し入れかい、ザ・ヒート。受けて立つよ」
それはランドからのメッセージだった。