抹消ヴォイスのヒーローアカデミア   作:M.T.

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また評価が上がった!!
やったあ!!
面白いと思っていただけましたらお気に入り・高評価・感想等よろしくお願いします。
今回からヒーローズ・ライジング編です。


劇場版・2 ヒーローズ:ライジング編
ヒーローズ:ライジング・1


 12月下旬、山沿いの道路を一台の装甲車と複数の自動車が走っていた。

 自動車にはロックロックをはじめとしたヒーローが乗っており、装甲車に乗っている(ヴィラン)を追跡していた。

 装甲車の車窓からはスピナーの顔が見え、ロックロックが自動車を運転しながら声を上げる。

 

「伊口秀一!!」

 

「やはり…(ヴィラン)連合!!」

 

 ヒーローの一人がガトリングのような形状をした左腕を向けると、スピナーはハンドルを切る。

 すると装甲車が右にカーブし、ロックロックの乗っていた車が岸壁に叩きつけられる。

 

「チッ…!」

 

 スピナーは、さらにハンドルを切って装甲車で自動車に体当たりを仕掛け、ヒーローの乗っている自動車を崖から落とす。

 すると落ちた自動車が爆発して爆炎を上げる。

 

「クソ!!」

 

 追跡していたヒーローは、自動車の中からガトリングで攻撃を仕掛ける。

 だが、装甲車はびくともせず、装甲車に銃弾が跳ね返って火花が飛び散る。

 

「やはり硬え…!」

 

「接近するぞ!!」

 

 ロックロックの声を合図にするかのように、ヒーロー達の自動車は加速した。

 ロックロックの車に乗っていたヒーローは、さらにガトリングで攻撃をする。

 すると車窓から荼毘が現れ、左手をヒーロー達の方に伸ばして蒼炎を放つ。

 ロックロックは、咄嗟にハンドルを切って蒼炎を回避した。

 

「『本締(デッドボルト)』!!」

 

 ロックロックは、運転していた自動車を横転した状態で『施錠』し、道路上に固定する。

 固定された自動車は盾となって蒼炎を防ぎ、他のヒーローの車が岸壁を走って接近する。

 ロックロックは、同乗していたヒーローを肩に担ぎながら車から脱出していた。

 

「チッ…!!」

 

「荼毘!!」

 

 岸壁を走っていた車からヒーローが飛び出し攻撃を仕掛けるが、装甲車に弾き飛ばされて道路上を転がっていく。

 すると装甲車のハッチからMr.コンプレスが顔を出す。

 

「いよいしょ…しつこいよっと!!」

 

 Mr.コンプレスは、“個性”で圧縮したビー玉を地面へ投げる。

 するとその瞬間、ビー玉がバリケードに変わり、バリケードに激突した自動車が投げ飛ばされ、地面に激突した瞬間爆発する。

 だが、ヒーローの一人が装甲車に喰らい付いてよじ登ってきた。

 

「貴様ら、何を企んで…!?」

 

「無意味な質問するなよ」

 

 ヒーローが攻撃をしようとすると、荼毘が蒼炎を放ってヒーローを焼き尽くす。

 

「ぐわぁ!!」

 

 一方装甲車を運転していたスピナーは、苛ついた様子で拳をハンドルに叩きつける。

 

「何でヒーロー共が…!?」

 

「情報が漏れてるなァ…」

 

「漏れてるって、どこから!?」

 

「さあなァ…」

 

 苛ついている様子のスピナーに対して荼毘が言うと、Mr.コンプレスが尋ねる。

 荼毘は、それに対して気怠げな返事をした。

 一方、連合を逃したヒーロー達は連絡を取り合っていた。

 

『追跡班! 突破された!! あとは…』

 

「みなまで言うな。俺に任せろ」

 

 無線で連絡してきたヒーローに対してそう答えたのは、エンデヴァーだった。

 すると、スピナーが目を見開いて声を漏らす。

 

「なっ…エンデヴァー!?」

 

「繰り上がりのNo.1か…!」

 

「フン…こんな真夜中に、ご苦労なこった!!」

 

「『ジェットバーン』!!!」

 

 荼毘とエンデヴァーは、ほとんど同時に炎を放った。

 すると二人が放った炎は互いに打ち消し合い、ちょうど中間地点で相殺される。

 

「チッ!」

 

「おいおいおい!! 轢いちまうぞエンデヴァー!!」

 

 そう言ってスピナーは、装甲車のアクセルを踏み込む。

 するとエンデヴァーは、両腕を交差させて構える。

 

「Mr.下がってろ」

 

 荼毘が言うと、Mr.コンプレスが装甲車の中へと引っ込む。

 それと同時に荼毘は両手から蒼炎を出し、一気に解き放った。

 だが…

 

「『プロミネンスバーン』!!」

 

 エンデヴァーは、膨大な量の炎を解き放った。

 すると荼毘の放った炎はいとも簡単に打ち消され、周囲を覆い尽くす炎は装甲車にも及んだ。

 

「クソッ、ここまでか…!」

 

「エンデヴァー…」

 

 装甲車の中にいた3人は炎熱で溶けて消え、炎を上げた装甲車は崖から投げ出された。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その後、エンデヴァーが装甲車が投げ出された場所へ行くと、人影があった。

 

「ん…来ていたのか。少しは手伝ったらどうだ、ホークス」

 

 エンデヴァーが声をかけると、ホークスは笑顔を浮かべながら振り向く。

 

「今来たばかりですって! エンデヴァーさん」

 

「連合の連中は?」

 

「全員トゥワイスの複製でしたよ」

 

 エンデヴァーが尋ねると、ホークスが答える。

 二人は、早速装甲車の中を調べた。

 するとエンデヴァーが変わったデザインの座席を見つける。

 

「何だこれは…?」

 

「生命維持装置…ですかね? 新型の脳無を輸送していたとか…」

 

「何だと!?」

 

 ホークスが言うと、エンデヴァーが驚く。

 ホークスは、顎に手を当てて考え込んでいた。

 

(死柄木達は一体…何を運んで…?)

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そしてその頃、山の反対側では。

 何かの器具を取り付けた男が山道を歩いており、三人の仲間が彼を出迎えた。

 

「待ちくたびれたぜ、ナイン」

 

「その甲斐はあった。実験は成功した」

 

 そう言ってナインという名の男は山中から麓を見下ろし、“個性”を発動させた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、日本のはるか南に位置する離島・那歩島では。

 休日という事もあってか、海岸は海水浴に来た客で賑わっていた。

 

「「ねえねえ!! 俺らと一緒に遊ぼうよう!! ポウポウ!!」」

 

「結構です!」

 

 二人のチャラ男が、二人の女性に対して変な踊りを踊りながら声をかけていた。

 二人の女性は、呆れながら去っていった。

 それでもチャラ男二人は、しつこく女性を追いかけようとした。

 

「「そんな事言わな…あだあ!?」」

 

 チャラ男二人は、突然転倒して地面に顔を打ち付ける。

 チャラ男二人の足の裏には、紫色のボールがくっついていた。

 

「何だこれ…!?」

 

「取れねえ…!」

 

「お怪我はありませんか? お嬢さん!」

 

 その声に女性二人が振り向くと、精一杯の笑顔(※イケメンスマイルのつもり)を浮かべた峰田がいた。

 

「ありがとう!」

 

「助かりました!」

 

 女性二人は、礼を言いながら峰田の横を通り過ぎていく。

 女性二人は、そのまま峰田の後ろにいた尾白に駆け寄った。

 

「いえ…! 今のは俺ではなくて…!」

 

「下!! 視線下ぁ!!」

 

 尾白が照れながら否定していると、峰田が悔しそうに飛び跳ねていた。

 その頃障子は複製した耳と目で海岸を監視していた。

 

「蛙吹! 岩場の向こう70m! 子供が溺れている!!」

 

「ケロ!」

 

 障子が言うと、蛙吹は海に飛び込んで泳ぐ。

 そしてその頃砂藤は、猛スピードでボートを漕いでいた。

 

「うおおおおお!!」

 

 その頃、障子が発見した子供は波に飲まれて泣き叫んでいた。

 

「ママァ!!」

 

 蛙吹は、波に飲まれた子供を舌で掬い上げて救出する。

 そしてそのままボートを漕いでいた砂藤に渡す。

 

「だ、大丈夫かい…?」

 

 砂藤は、子供を抱きかかえながら尋ねる。

 だがボートを全力で漕いで疲れていたせいか顔色が悪くなっており、その顔を見た子供は怖がって大泣きした。

 

「うわあああああん!!」

 

「何故泣く!?」

 

「顔が怖いのね…」

 

 砂藤が何故突然子供が泣いたのか分からずにオロオロしていると、蛙吹が呆れながらツッコミを入れた。

 その頃常闇は、黒影(ダークシャドウ)を召喚して海岸にいた客達に呼びかけていた。

 

「遊泳禁止!! 遊泳禁止!! 岩場の向こうは遊泳禁止!!」

 

 瀬呂は、セロテープを伸ばして『立入禁止』と表示されたバリケードを張った。

 

「ここから先は危険だから入らないで下さいね!」

 

 すると海水浴に来ていた客達は、二人に拍手と歓声を送る。

 

「すげーぞ!」

 

「やるな…!」

 

 それを見ていた轟は、呆れ返った様子で呟く。

 

「見せもんじゃねぇんだが…」

 

 すると、海の家の店主が轟に声をかける。

 

「ショートくん! また氷頼めるかな?」

 

「はい…」

 

 店主が手を合わせて頼むと、轟は巨大な氷塊を出す。

 すると店主は驚いて目を丸くする。

 

「どうぞ」

 

「大きすぎ!!」

 

 轟が言うと、店主は呆れながらツッコミを入れた。

 一方、その様子を幼い男の子が崖の上から目を輝かせながら見ていた。

 その隣には、男の子の姉と思われる少女が立っていた。

 

「うわぁ…! ヒーローがいっぱい…!」

 

「ふーん…」

 

「お姉ちゃん?」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、島に来ていたA組が借りているいおぎ荘では。

 

「雄英ヒーロー事務所です! はい、すぐに向かいます!」

 

 かかってきた電話を取った芦戸は、要件を聞くと立ち上がって上鳴に声をかける。

 

「上鳴! 西地区の松田さん! バッテリーがまた上がったって!」

 

「またかよ!? あのオッサンいい加減買い換えろって…」

 

 芦戸が言うと、上鳴は面倒臭そうに席から立ち上がる。

 すると芦戸が上鳴を応援した。

 

「頑張れチャージズマー!」

 

「「「ゴーゴー!!」」」

 

「ゴーゴー!!」

 

 芦戸に続けてひなた達もコールを送ると、上鳴はノリノリで飛び出して行った。

 そして青山はというと、相変わらずマイペースに電話の受け答えをしていた。

 

「ハァイ、こちら雄英ヒーロー事務所☆何でもキラキラに解決しちゃうよ☆」

 

 そして葉隠はというと、子守りを頼まれた心操と連絡を取り合っていた。

 

「そっちはどう?」

 

『うん、やんちゃな子多いけど今のところ特に大きなトラブルとかは無いかな』

 

『にーちゃんその首に巻いてるやつなにー!?』

 

『ねえねえ女のヒーローはー!? おーんーな!! おーんーな!!』

 

『うわーん、たっくんがあたしのお菓子勝手に食べたー!!』

 

『…まあこんな感じ。そろそろ上原さん帰ってくるから、それまで…『あーみっちゃんがお茶こぼしたー!!』あーちょっと待って今行く』

 

「あはは、お疲れ様…」

 

 電話越しにやんちゃな子供達の声が聞こえてきたので、葉隠は苦笑いを浮かべた。

 それを聞いていたひなたも、引き攣った笑みを浮かべていた。

 

「ひー君大変そうだねぇ。上原さんとこ子供多いからなぁ。僕も行ってあげれば良かったかな…」

 

 麗日はというと、電話をかけてきた女の子の相談に乗っていた。

 

『弟が…迷子になってどこにもいないの…!』

 

「大丈夫だよ。落ち着いて、まずは…」

 

 八百万はというと、電話をかけてきた女性の相談に乗っていた。

 

「心配ありませんわ。はい! 飯田さん! 佐藤のおばあちゃんがギックリ腰に」

 

「わかった! 直ちに急行する!!」

 

 飯田は、席から立ち上がるとヘルメットを被ってすぐにいおぎ荘を飛び出していった。

 女の子の相談に乗っていた麗日は、席から立ち上がってA組に呼びかける。

 

「商店街で迷子! 手の空いてるヒーロー、一緒に!」

 

「断る」

 

「早…!」

 

 麗日の呼びかけを爆豪が即拒否すると、麗日がツッコミを入れる。

 すると切島が爆豪を窘めながら立候補した。

 

「そういう事言うなって爆豪! 麗日、俺が一緒に…」

 

「おめーの“個性”で迷子が探せるか!」

 

「うぐ…」

 

 立候補した切島に対し爆豪がツッコミを入れると、切島が押し黙る。

 すると耳郎が立ち上がってジャックを振り回しながら言った。

 

「迷子探しならウチの出番だね」

 

 すると緑谷が立ち上がって声をかける。

 

「麗日さん! 僕も行くよ!」

 

「僕もー! 僕、そういうの得意!」

 

 緑谷に続けて、ひなたも立候補する。

 すると爆豪がひなたを鼻で笑った。

 

「ハッ、幼児体型だからガキが感情移入しやすいってか」

 

 爆豪が畳に寝転がってマップを読みながらひなたを鼻で笑っていると、ひなたが爆豪の頭に拳骨を入れた。

 

「だっ!? 何すんだ触角ァ!!」

 

「寛いでないで働け」

 

「っせえ命令すんじゃ「働かないならお父さんに言うよ」ぐっ……!!」

 

 いきなりひなたが拳骨を入れてきた事に爆豪がブチ切れていると、ひなたは“個性”で髪を逆立てて目を光らせながら低い声で言った。

 結局迷子探しはひなた、麗日、耳郎、緑谷の4人が出動する事になった。

 緑谷は、浮き輪を持って『フルカウル』を発動する。

 麗日は、自分とひなたと耳郎を“個性”で浮かせ、三人は緑谷の持っている浮き輪に掴まる。

 

「雄英高校」

 

「ヒーロー事務所」

 

「1年A組」

 

「「「出動!!!」」」

 

 緑谷は超スピードで走り出し、島中を駆け抜けていった。

 ひなた達1年A組21名は、那歩島でヒーロー活動をしていた。

 ひなた達が離島で活動をしているのには、理由があった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 先月、雄英高校では。

 

「ヒーロー科生徒による、プロヒーロー不在地区での…」

 

「実務的ヒーロー活動推奨プロジェクト…?」

 

 校長とオールマイトは、少し驚いた表情で尋ねる。

 二人に話をしていたのは、公安の目良だった。

 

「はい…現在超人社会は混沌の只中にあります」

 

 目良は、オールマイトの方を見ながら続けた。

 

「No.1ヒーロー…平和の象徴と呼ばれたあなたは事実上引退。それに起因した(ヴィラン)達の台頭…」

 

 目良が言うと、校長が尋ねる。

 

「奴等に対抗する為にも、次世代のヒーロー育成が急務だと?」

 

「ヒーロー公安委員会の上層部は、そう考えているようです。まあご意見もあるとは思いますが、何卒よろしくお願いします」

 

 目良が言うと、オールマイトは少し考え込んだ。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その後、A組の教室では。

 相澤は、来月行われるプロジェクトについての説明をした。

 

「ヒーロー活動推奨プロジェクト。お前らの勤務地は、はるか南にある那歩島だ。駐在していたプロヒーローが高齢で引退。後任が来るまでの間、お前らが代理でヒーロー活動を行う」

 

「「「ものすごくヒーローっぽいのキタアアア!!!」」」

 

 相澤が言うと、生徒達が一斉にはしゃぎ出す。

 

「っていうかもうヒーローじゃん!」

 

「テンションウェーイ!」

 

「やる気漲るぜェ!!」

 

「楽しみだねぇ、お茶子っち!」

 

 特に芦戸、上鳴、切島がはしゃぎ、ひなたも触角をウキウキさせながら隣の席の麗日に話しかけていた。

 A組がガヤガヤと騒ぎ立てていると、相澤が“個性”を発動させて睨む。

 

「話を最後まで聞け…!!」

 

 相澤が睨むと、A組は先程までの騒がしさが嘘のように全員静まり返った。

 すると相澤が話を始める。

 

「…よし。このプロジェクトは、規定により俺達教師やプロヒーローのバックアップは一切無い。当然、何かあった場合責任はお前らが負う事になる。その事を肝に銘じ、ヒーローとしてあるべき行動をしろ。いいな!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 相澤が言うと、A組の生徒達は力強く頷いた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして現在に至る。

 ひなたと耳郎の“個性”を使って迷子を探し、ついに迷子の居場所を特定した。

 滑り台の前で、男の子が姉を探していた。

 

「おねーちゃん! どこー!? どこにいるのー!? おねーちゃん!」

 

 男の子が姉を呼んでいると、緑谷が駆けつけてくる。

 

「活真くん!? 島乃活真くんだよね!?」

 

 緑谷の姿を見た男の子、活真は目を輝かせる。

 

「ヒーロー…!」

 

「お姉さんとはぐれたんだよね? さ、僕が一緒に…」

 

 緑谷が笑顔で活真に手を差し伸べると、活真はその手を取ろうとする。

 するとその時だった。

 

「遅い!! 遅すぎる!!」

 

 そう言って女の子が怒りながら滑り台を降りて緑谷の前に立った。

 

「お姉ちゃん…!」

 

「あなた名前は!?」

 

 女の子は、高圧的な態度で緑谷に詰め寄って指を差す。

 すると緑谷は若干オドオドした様子で答える。

 

「で、デクです! あの、君は…?」

 

 緑谷が名乗ってから女の子に尋ねると、女の子は怒ったまま答える。

 

「活真のお姉ちゃんの真幌!!」

 

「え…じゃあ、弟さんを見つけてたんだね…良かった」

 

 怒って尋ねてきた女の子、真幌が活真の姉だとわかると、緑谷は安心して笑顔を浮かべる。

 すると真幌はさらに怒った様子で緑谷を捲し立てた。

 

「ちっとも良くない! 迷子探しに10分もかかるってどーゆー事!? あの雄英ヒーロー科のくせにダメダメじゃない!! これなら前にいたおじいちゃんヒーローの方がよっぽど良かったかも!!」

 

 真幌が緑谷を指差したまま捲し立てると、緑谷は思わず尻餅をついて萎縮する。

 

「す…すみません…」

 

「ま! 仕方ないか、まだ高校生だし!」

 

「すみません、すみません…」

 

 真幌が棘のある態度で言うと、緑谷は真幌の前で正座をしてひたすら平謝りする。

 するとその時、後ろからひなたの声が聞こえてくる。

 

「おーい!! デッくーん!!」

 

 緑谷が振り向くと、一緒に迷子探しをしていた三人が向かってきていた。

 

「デクくん…?」

 

 麗日は、真幌の前で正座をしている緑谷に声をかける。

 真幌は、腕を組んで高圧的な態度で緑谷に言った。

 

「今後はちゃんとヒーロー活動してよね、デク!」

 

「は、はい…以後気をつけます…」

 

 真幌が言うと、緑谷は正座したまま反省する。

 真幌は、緑谷の横を通り過ぎながら活真に声をかける。

 

「いこー活真」

 

「え…あぁ…うん…」

 

 活真は、弱々しく返事をすると緑谷の前に立って声をかける。

 

「あ、あの…」

 

「え?」

 

「ありがとう…」

 

 活真は、少し恥ずかしそうに小さな声で礼を言った。

 すると真幌が活真の手を掴んで引っ張る。

 

「お礼なんか言わなくていいの!」

 

 そう言って真幌は、活真の手を引いて一緒に去っていった。

 すると三人が緑谷に歩み寄る。

 

「デクくん、どういう事?」

 

「何謝ってたの?」

 

 麗日と耳郎が尋ねると、緑谷は苦笑いを浮かべながら話す。

 

「迷子を探すのが遅いって叱られちゃった…」

 

「は? 何それ…」

 

「あはは、まあそういう事もあるよね」

 

 緑谷の報告に耳郎が呆れ返り、ひなたは苦笑いを浮かべながら同情する。

 すると緑谷は笑顔を浮かべながら言った。

 

「でも良かった…」

 

「ん?」

 

「何が?」

 

「活真くんが、無事お姉さんに会えて!」

 

 緑谷が笑顔で言うと、耳郎は少し呆れた様子で頭を掻き、ひなたは笑顔を浮かべる。

 すると麗日が緑谷に言った。

 

「ホントデクくんはデクくんって感じだね…」

 

「え? 何それ…」

 

「根っからのヒーローって事さ!」

 

 麗日は、ドヤ顔をしながらサムズアップをして言った。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その頃、真幌と活真は一緒にアイスを食べながら歩いていた。

 

「何よ、あんな簡単に頭下げちゃって! オドオドしちゃって、ヒーローのくせにみっともない! きっとアレね、仕事はできても中身はダメダメな人達なのね!」

 

 真幌が緑谷の事をボロクソに貶していると、活真が弱々しく真幌に言った。

 

「ちゃんと探しに来てくれたよ? あのお兄ちゃんは…ヒーローだよ…」

 

 活真が俯きながら言うと、真幌は頬を膨らませて不貞腐れた。

 だが、アイスの食べ過ぎで頭が痛くなって唸っていた。

 

「お姉ちゃん!?」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その頃、雄英では。

 オールマイトは、窓の外を見ながら不安そうに呟く。

 

「A組…ちゃんとヒーロー活動やっているだろうか…」

 

 すると相澤が事務作業をしながら話をする。

 

「那歩島の人口は千人…ここ30年の事件は些細なものばかり。まあ、問題は無いでしょう。それに、ヒーローってのはあなたのように大災害に単身赴いたり、凶悪な(ヴィラン)と戦う事ばかりじゃありません。守るものとの関わりは、あいつらにとって貴重な体験になるはずです」

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして夕方、いおぎ荘では。

 

「疲れたー」

 

「労働基準法プルスウルトラしてるし…」

 

「うへぇ〜…」

 

「疲れすぎてひなたが溶けてら…」

 

 砂藤と上鳴が怠そうに言い、心操の隣に座っていたひなたは疲労と暑さのせいで溶けていた。

 

「委員長…ちょっと細かい仕事受けすぎじゃね…?」

 

 瀬呂が手を挙げながら言うと、飯田が作業の手を止めて言った。

 

「事件に細かいも大きいもないだろう?」

 

 すると八百万が立ち上がって話をする。

 

「ヒーロー活動をしているとはいえ、私達はまだ学生。誠実にこなし、島の皆様からの信頼を得なければ」

 

「んん! いい事を仰る!」

 

 八百万が言うと、溶けていたひなたもやる気と原型を取り戻す。

 すると峰田が手を挙げて言った。

 

「はーい! ここに来て、一度もヒーロー活動してない奴がいるんですけど?」

 

 峰田は、ニヤニヤしながら爆豪の方を見た。

 

「わざと事務所に残ってんだよ! お前らが出払ってる時(ヴィラン)が出たらどうすんだ!? あ゛ぁ!?」

 

 爆豪は、サムズダウンをしながらクラスメイトに悪態をついた。

 すると心操が正論を返す。

 

「それはいいけど残るならせめて事務作業とか事務所の掃除とかやれる事あるだろ」

 

「そーだそーだ! (ヴィラン)を言い訳にサボリは良くないぞかっちゃん!」

 

「んだとコラ!!」

 

 心操に続けてひなたもブーイングをすると爆豪が逆ギレした。

 すると切島が疲れと呆れが入り混じった表情を浮かべながら言った。

 

「この島に(ヴィラン)はいねえだろ…」

 

 するとその時、島の住民達がいおぎ荘を尋ねてくる。

 住民達は、島の新鮮な食材をふんだんに使った料理を持ってきていた。

 

「お邪魔するよ」

 

「村長さん!?」

 

 飯田が出向くと、料理を持ってきた女性が飯田に礼を言った。

 

「さっきはおばあちゃんを病院にまで運んでくれてありがとうね」

 

「バイクの修理、助かったわ」

 

「ウチのバッテリーも」

 

「子供達の面倒見てくれてありがとう。やんちゃな子が多いから大変だったでしょ」

 

 八百万、上鳴、心操に助けてもらった住民も、それぞれ前に出て礼を言った。

 

「「ビーチの安全、ありがとー!!」」

 

「獲れたての魚やでー!」

 

 ビーチに来ていた女性二人もそれぞれ荷物を運びながら礼を言い、漁師の男は刺身を運んできた。

 食卓には、住民達が持ってきた豪華なご馳走が並べられた。

 

「お礼というわけじゃないけど、良かったら食べとくれ」

 

 豪華な食事を見たA組は、一斉に飛び上がってはしゃぐ。

 

「「「いただきまーす!!!」」」

 

「君達!! 少しは遠慮したまえ!!」

 

 遠慮せずにはしゃぐクラスメイトに、飯田は慌てて注意をした。

 その後、委員長の飯田と副委員長の八百万が代表で住民達を送り出した。

 

「すみません、わざわざ」

 

「いやいや! あんたらが来てくれて本当に助かっとるよ」

 

「これからもよろしくお願いね」

 

 住民達が言うと、二人は感動に打ち震える。

 

「はい!!」

 

「精一杯務めさせていただきます!!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 大量にあった料理はあっという間に平らげられ、空になった皿が食卓に広げられていた。

 

「「「ごちそうさまでした!!」」」

 

 料理を平らげたA組は、一斉に食後の挨拶をした。

 

「ぷはー、美味しかった!」

 

「人の優しさが身に染みるな」

 

「ヒーローをやってて良かったと思える瞬間よね」

 

「あー…」

 

 緑谷、障子、蛙吹、麗日は幸せそうに食事の余韻に浸っていた。

 その様子を、爆豪が悪態をつきながら見ていた。

 

「ケッ」

 

 すると、爆豪派閥の面々が爆豪に声をかける。

 

「バクゴーのかっちゃんくん! 俺ら風呂入って寝るから」

 

「宿直よろしく!」

 

「何でだよ!!」

 

 上鳴と切島が言うと、爆豪がキレる。

 するとすかさず瀬呂とひなたが正論で黙らせる。

 

「だってお前今日何もしてねーじゃん」

 

「働かざる者食うべからず」

 

「ぐ…」

 

 瀬呂とひなたが言うと、爆豪が悔しそうに黙る。

 すると心操がハンッと鼻で笑ってさらに爆豪に追い討ちをかける。

 

「俺らが寝てる時(ヴィラン)が出たらどうすんだ?」

 

「ぐぎぎ……! クソが!!」

 

 心操が煽ると、爆豪は悔しそうに歯軋りをした。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 全員が寝静まった夜、緑谷は施設の外で特訓をしていた。

 すると、パトロールをしていた爆豪が緑谷に歩み寄る。

 

「かっちゃん…! パトロールお疲れ様「進捗はどうよ、ワンフォーオール」

 

「えっ!? ここでその話はマズいって…!」

 

 爆豪が言うと、緑谷は慌てて口の前で人差し指を立てながら言った。

 すると爆豪は歩きながら話を続ける。

 

「俺は気が短え」

 

「そ、それは痛い程わかってます。小さい頃からずっと一緒だし…」

 

 緑谷が言うと、爆豪は立ち止まって緑谷の方を振り向く。

 

「なら早く“個性”を自分のものにして、俺と戦え」

 

「!」

 

「証明してやるよ。No.1になるのはこの俺だってな」

 

 爆豪が言うと、緑谷は笑顔を浮かべながら頷く。

 

「…うん! 必ずこの“個性”を、自分のものにしてみせる。最高のヒーローになる為に!」

 

「その最高を超えるのが俺だ!」

 

 緑谷が言うと、爆豪はそれを超えると言い切った。

 するとその時、活真の声が聞こえてくる。

 

「あの…!」

 

「君は…昼間の…」

 

 緑谷が振り向いて声をかけると、活真はオドオドした様子で言った。

 

「ヴィ…(ヴィラン)が…出たんだ!」

 

 活真が言うと、緑谷が目を見開く。

 

(ヴィラン)が!?」

 

「詳しく聞かせろ!!」

 

 爆豪は、目を見開いている緑谷を押し退けて活真を問いただした。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そしてその頃、ヒーロー公安委員会では。

 

「先週から継続的に発生しているヒーロー暴行事件。被害者は全員意識不明。しかも“個性”を消失。死柄木一派は指定(ヴィラン)団体が密造した“個性”を消す針を入手している」

 

「彼等が針の量産に成功したという情報は?」

 

「いいえ。聞いていません」

 

 公安の男性と公安委員会会長の女性が言うと、ホークスが報告する。

 それを聞いた男性は、ホークスに命令を下す。

 

「なら調べろ。奴等の内偵を続けて…「“個性”を奪われたとは考えられませんか?」

 

「何?」

 

 ホークスが男性の命令を遮って言うと、男性が怪訝そうな表情を浮かべながら反応する。

 するとホークスが話し始める。

 

「被害者はヒーローですから、失った“個性”は当然使えるものばかりです。もし容疑者が、あのオールフォーワンと同じ“個性”を奪う“個性”を持っているとしたら…?」

 

「そんな事が…」

 

 ホークスの話に、会長の女性が驚く。

 

「まあどちらにせよ、死柄木絡みです。両方の線で追ってみますよ」

 

 ホークスはそう言って笑顔を浮かべながら会議室を後にした。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 同時刻、連合のアジトでは。

 

「結局積荷はどこに行ったんでしょう? ヒーロー側は回収してないんですよね?」

 

「ああ。そいつは確定情報だ」

 

 トガが尋ねると、荼毘が答える。

 するとMr.コンプレスが尋ねる。

 

「結局さ、積荷の中身は何だったわけ?」

 

「ねえ、気になるわ」

 

 Mr.コンプレスが尋ね、マグネも同意すると、死柄木が答える。

 

「…ドクター曰く、知る必要は無いそうだ」

 

「何だそりゃ!?」

 

 死柄木が答えると、スピナーが呆れ返る。

 

「回収だけさせてあとはダンマリか!?」

 

「ますます気になりますね」

 

「きな臭えなァ」

 

 トゥワイス、トガ、零が言うと、死柄木は低い声で威圧しながら命令する。

 

「とにかく忘れろ。いいな」

 

「了解! 嫌なこった!」

 

 死柄木の命令に対し、トゥワイスは矛盾した受け答えをした。

 死柄木は、ポケットから出した手を顔につけてどこかへ向かった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その頃、九州地方では。

 トラックを運転していた男性が、微笑みながらスマホの画面を眺めていた。

 スマホには、満面の笑みを浮かべる真幌と活真の動画が写っていた。

 

『次に帰って来れるの、10日後だったよね!』

 

『お父さん、お仕事頑張って』

 

『こっちの事は心配しなくていいよ。活真の面倒はちゃんとあたしが見るから』

 

 二人が言うと、男性は微笑む。

 

「ありがとな、真幌、活真。めいっぱいお土産…ん?」

 

 するとその時、突然狼の顔をした巨漢がトラックの正面に現れ、トラックを薙ぎ飛ばした。

 トラックに乗っていた男性は、トラックから投げ出されて地面に転がり込む。

 

「ぐ…!?」

 

 男性が倒れたまま見上げると、ミイラのような男、髪の長い女、そしてナインが立っていた。

 ナインは、ゆっくりと男性に歩み寄る。

 

「ようやく見つけた」

 

「な、何を…!?」

 

「安心しろ。殺しはしない。だが、“個性”を貰う」

 

 そう言ってナインは男性の顔を掴んで“個性”を発動する。

 すると男性の身体から緑色のオーラのようなものが溢れ出し、ナインの方へと流れ出ていく。

 男性から“個性”を奪ったナインは、別の“個性”で次々と雷を落としていく。

 ナインの落とした雷によって、街中が火の海と化した。

 

「ついに手に入れたか…!」

 

「これで…実現する」

 

「私達の望む、新世界が…!」

 

 狼の顔の男キメラ、ミイラのような男マミー、髪の長い女スライスが達成感に満ちた表情を浮かべる。

 ナインも、征服感に満たされた表情を浮かべながら両手を広げて天を仰ぐ。

 だがその直後、ナインは突然苦しみ出す。

 すると部下3人がナインに駆け寄る。

 

「ナイン!」

 

「ぐ…な、何故だ…!? 何故……」

 

 ナインは、自分の掌を見つめて“個性”を発動する。

 

「B型が不足している…」

 

「…!? 何と…」

 

「ここまで来て振り出しかよ! クソが!」

 

「いえ、まだ策はあるわ」

 

 ナインが言うと、マミーが驚きキメラが悔しがる。

 するとスライスが男性のスマホの画面を見せながら言った。

 スマホの動画を見たナインは、不気味な目つきで動画に映っていた活真を眺める。

 

「…そうだった…“個性”は、遺伝する……」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ほぼ同時刻、活真から(ヴィラン)が出たという情報を聞いた爆豪と緑谷が施設を飛び出して現場へ向かっていた。

 

「何でクソデクまでついて来んだ!?」

 

「何でって…本当に(ヴィラン)がいたら…!」

 

「一人で十分だろうが!!」

 

「「うわあ!?」」

 

 爆豪が活真を抱えて爆破を放っていると、緑谷がついてくる。

 すると爆豪は、軌道を変えて上へと飛び上がる。

 

「おい! (ヴィラン)を見たのはどこだ!」

 

 爆豪が尋ねると、活真は怯えながら城跡を指差した。

 

「あ、あの城跡の中…」

 

「それを早く言え!!」

 

 活真が怯えながら言うと、爆豪はキレながら『爆速ターボ』で一気に城跡へと向かう。

 

「お姉ちゃああああん!!」

 

 爆豪に抱えられていた活真は、恐怖のあまり泣いていた。

 二人が城跡に辿り着くと、活真が爆豪に(ヴィラン)の居場所を教える。

 

「あそこ…!」

 

 活真が指差した先には、カマキリのような巨大な(ヴィラン)が暴れていた。

 

「隠れてろ」

 

「活真くん!!」

 

 爆豪は、活真を安全なところへと突き飛ばすと、(ヴィラン)に飛びかかる。

 緑谷も、活真を保護しに駆けつけた。

 

「『閃光弾(スタングレネード)』!!!」

 

 爆豪は、(ヴィラン)の頭上へ飛び上がって爆破を浴びせる。

 すると、ある事に気がついた爆豪が目を見開く。

 

「…! こいつ…」

 

「かっちゃん!!」

 

 緑谷が叫んだ直後、(ヴィラン)の腕が爆豪へと振り下ろされる。

 

「え…!?」

 

 爆豪が(ヴィラン)の攻撃を避けずに喰らったため、緑谷が目を見開く。

 するとその直後、爆豪が(ヴィラン)の腕をすり抜けて現れる。

 爆豪は、地面に勢いよく手をついて爆破を放つ。

 すると辺り一帯に爆風が吹き付ける。

 

「きゃあ!? 痛っ!!」

 

 物陰に隠れていた真幌が爆風で舞い上げられ、尻餅をつく。

 すると(ヴィラン)が消えていなくなる。

 

(ヴィラン)が…!」

 

「いたた…もう! ちょっとぐらい怖がりなさいよ!」

 

「あ、あの子…!」

 

 緑谷が驚いていると、真幌は尻餅をついた尻を摩りながら逆ギレした。

 真幌に気付いた緑谷は、昼間の事を思い出す。

 すると爆豪は、真幌の前に立ちはだかって尋ねる。

 

「幻の(ヴィラン)を出したのはお前だな?」

 

 爆豪が尋ねると、図星を突かれた真幌はギクッとしてしどろもどろになりながら尋ね返す。

 

「え…? どうして幻だって?」

 

「わかるわ!! 影が無えんだよ。おいクソガキ、ヒーローおちょくって楽しいか? あ゛!?」

 

「え…あ…」

 

 爆豪が真幌を睨んで威圧すると、真幌は気圧されて尻餅をついたまま後退りする。

 爆豪は、ヒーローとは思えない悪人面で真幌に説教をした。

 

「俺はそんじょそこらのヒーローとは訳が違え。オールマイトを超えてNo.1ヒーローになる男、爆豪勝己だ!! おちょくる相手を間違えたな!?」

 

 爆豪が真幌を威圧して怯えさせていると、活真が姉を庇ってオドオドした様子で爆豪に声をかける。

 

「お、お姉ちゃんを叱らないで…「ア゛ア!?」ひっ!!」

 

 活真が爆豪に言うと、爆豪が活真を睨んで怯えさせる。

 

「おめえもグルか…!! なら!!」

 

「やり過ぎだってかっちゃん!!」

 

 爆豪が活真の事も懲らしめようとすると、緑谷が爆豪を羽交締めにして止める。

 

「離せクソデク!!」

 

 緑谷が爆豪を押さえつけている間に、真幌は活真を連れて逃げた。

 

「子供のイタズラで良かった「そういう態度が! 昨今のガキの増長を招くン…待てやゴラァ!!」

 

 緑谷に押さえつけられていた爆豪は、猛スピードで匍匐前進して二人を追いかける。

 すると緑谷は、爆豪の顔面を掴んで再び押さえつける。

 

「だからぁ!! ダメだってばー!!」

 

「俺に命令すんじゃねー!!」

 

 緑谷がキレ散らす爆豪を押さえつけている間に、真幌と活真は逃げ切った。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その後、真幌と活真は畑に身を隠した。

 

「な、なんなのよさっきの爆豪って奴。何が『No.1ヒーローになる男』よ、(ヴィラン)っぽいヒーローランキング1位の間違いじゃないの!?」

 

 真幌が爆豪の事をボロクソ言っていると、活真がオドオドした様子で俯きながら話す。

 

「…助けに…来てくれたよ?」

 

 活真が言うと、真幌は活真に言った。

 

「…活真、そんなにヒーローになりたい?」

 

 真幌が尋ねると活真は何も答えずに俯き、真幌は自分の意見を言った。

 

「反対だな…危険だし。それにあたし、ヒーローよりもっとカッコいい人知ってるもん」

 

 真幌が言うと、活真は真幌の方を見て尋ねる。

 

「…誰?」

 

「お父さん。あたしと活真の事を、いつも考えて守ってくれてる。活真には、そんなカッコいい人になって欲しいな」

 

 

 

 

 

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