雨が降り頻る夜。
ナイン達との戦いの後、ひなた達は島民達と共に島の避難施設に避難していた。
耳郎は、“個性”を酷使して必要な物資を創造し続ける八百万と、バッテリーを貯め続ける上鳴を心配していた。
「二人共、“個性”使い過ぎだって…」
「いつ
「ここで無理しなくていつするんだウェイ…」
「ウェイウェイしてきたじゃん…」
上鳴がアホ面を浮かべながら言うと、耳郎がツッコミを入れる。
一方常闇は食事の配当に並ぶ島民達を誘導しており、青山、尾白、切島、葉隠は、食事を島民達に配っていた。
「どうぞ」
「ありがとう」
「熱いから気をつけて」
尾白と切島は、豚汁を島民達に配っていた。
そして青山と葉隠は、おにぎりを島民に配っていた。
「一人一個ずつだよ☆」
「皆の分あるからねー!」
一方飯田は、必要な物資を運んでいた。
飯田は、憔悴した島民達を見て心を痛める。
すると村長が飯田に声をかける。
「
「安心して下さい! 皆さんは我々が必ずお守りします」
一方芦戸、蛙吹、心操は島民と一緒に食事を作っており、瀬呂が食材を運んでいた。
「食材が豊富な島で良かったわ」
「ああ。とりあえず食事の心配は無さそうだな」
「心操ちゃん…」
蛙吹に続けて心操が窶れた様子で言うと、蛙吹が心操を心配する。
恋人のひなたが
すると瀬呂が食材を運んできたので、芦戸が尋ねる。
「捕まえた
「ああ…地下のボイラー室に閉じ込めたんだよ。いくら尋問しても何も言わないらしいぜ」
「俺の“個性”も舌噛んで無理矢理無効化しやがった。そんだけ親玉への忠誠心が強いって事か…」
芦戸が尋ねると、瀬呂と心操が答える。
心操はマミーを洗脳して情報を吐かせようとしたのだが、マミーがヒーロー側に情報を渡すくらいならと舌を噛んだため失敗に終わった。
一方で、轟、障子、緑谷、爆豪は、未だに目を覚まさないひなたの介抱をしていた。
ひなたは、避難所につくなりすぐに意識を取り戻し、最後の力を振り絞って緑谷と爆豪を治したのだ。
ナインにやられて重傷だった緑谷と爆豪は、ひなたの“個性”で怪我を巻き戻されてほとんど元通りになっていたが、二人を治した代償にひなたが生死の境を彷徨っていた。
「相澤さん…」
「クソが…このアホ触角…!」
未だに意識が戻らず高熱で苦しんでいるひなたに対し、緑谷はひなたを心配し、爆豪はひなたを睨みつける。
「緑谷、爆豪。お前ら休んでろ。まだ全快じゃねえんだから」
轟が言った、その直後だった。
麗日が部屋部入ってきて、容態を尋ねる。
「轟くん、ひなたちゃんの容態は?」
「まだ意識が戻らない。ずっと熱が下がらないままだ」
「診療所の先生が処置してくれているが…」
轟と障子が言うと、麗日はひなたの方を見る。
ひなたは高熱で苦しそうにしており、怪我の痛みもまだ引かない様子だった。
麗日は、医師達の分の食事を運んでくる。
「お疲れ様です」
「すまんな。ワシらの“個性”で出来るのは、傷口を塞ぐくらいじゃ」
「これ以上は本当の病院じゃないと……」
医師二人が言うと、麗日達は心配そうな表情を浮かべる。
すると後ろから活真が声をかけた。
「僕に手伝わせて」
その声に三人が振り向き、麗日が尋ねる。
「活真くん…?」
麗日が言うと、活真の隣にいた真幌が話し始める。
「活真の“個性”は、『細胞の活性化』らしいの。熱が引くかどうかはわからないけど…」
「クレシェンド姉ちゃんは、僕らを守って怪我したんだ! だから…!」
活真は、そう言って麗日達に訴えかけるような目を向けた。
すると医師達の方から活真に頼み込む。
「こっちからも頼むよ、活坊」
「うん!!」
活真は、早速“個性”をひなたに試した。
◇◇◇
その頃、要塞内のナイン達のアジトでは。
スライスは、“個性”の酷使で寝込むナインを看病していた。
するとキメラが入ってくる。
「ナインの様子は?」
キメラが尋ねると、スライスが答える。
「大丈夫。数時間もすれば起き上がれるはず。…! マミーは!?」
「いねェのか。…まさかヒーローに!?」
「そんな…」
「だとしても計画は進める。必ず…必ずだ!」
キメラは、“個性”だけが支配する社会を実現する為の計画を続行する覚悟を決めた。
キメラは、かつてその容姿のせいで迫害を受け、
ナインは同じような境遇を抱える他二人も仲間にし、自身の理想を叶える為
キメラは、かつて自分を助けてくれたナインの為に計画に身を捧げると決めたのだ。
氏子の実験を受けたナインは、見事オールフォーワンの“個性因子”に適合し、9つの“個性”をその身に宿す事に成功した。
だが“個性”を使えば使う程体細胞が死滅していくという副作用も悪化し、長くは戦えない身体となった。
そのデメリットを解決する為、ナインは活真の“個性”を狙っていたのだ。
◇◇◇
一方活真は、“個性”でひなたを癒し続けていた。
すると真幌が心配そうに声をかける。
「活真、少し寝ないと」
「ううん、まだやる…!」
「でも…「やるんだ!!」
活真は“個性”を酷使して苦しそうだったが、それでも“個性”の使用をやめなかった。
すると、ひなたが意識を取り戻して唸る。
「うぅ……」
「クレシェンド!」
「クレシェンド姉ちゃん!」
ひなたが動くと、真幌と活真はひなたの顔を覗き込む。
◇◇◇
その頃A組は、倉庫に集まって現場を確認していた。
「まずは現状の報告。通信電力網が破壊され、救援を呼ぶ事はできない」
飯田が言うと、“個性”の酷使で寝込んでいた八百万も報告する。
「先程…救難メッセージを発信するドローンを創造し…本島へと発進させました…到着は早くて6時間…救助が来るにはさらに時間がかかりますわ…」
「それまで
八百万が言うと、尾白も言った。
飯田は、自分達のやるべき事をクラスメイトに伝える。
「今我々がやるべき最優先事項は、島の人々を守り抜く事」
「どうやって?」
「緑谷達三人をあそこまで痛めつけた
飯田が言うと、砂藤と峰田が反論する。
すると轟と耳郎も言った。
「俺らが戦った奴も、かなりの手練れだった」
「戦うにしても、ヤオモモや上鳴は“個性”かなり使っちゃってるし…」
「ウェイ」
「俺の“個性”も、いつの間にか効果が切れてた。もしかすると対策されちまってるかも…」
心操は、ペルソナコードを触りながら言った。
一度はスライスを洗脳し逃げ切る事に成功し、そのまま
すると蛙吹と切島も言った。
「わかってるだけでも、
「一斉に襲われたらひとたまりも無えぞ」
「せめて…
「うん…」
飯田が言うと、麗日が頷く。
すると活真がA組の方へ駆けつけていく。
「活真…!」
「
活真が言うと、A組は一斉に活真の方を見る。
「…何だって?」
「僕の“個性”を奪うって言ってた!」
「“個性”の強奪…」
「まるでオールフォーワンみたいね…」
「でも
「この子を連れて逃げればいいだけ「そう簡単にはいかねェ」
常闇と蛙吹が言うと、麗日と芦戸は前向きな発言をした。
すると轟が芦戸の発言を遮る。
「相手は
「じゃあどうすりゃいいんだよ!?」
轟が言うと、峰田が慌てふためく。
すると活真が口を開く。
「僕を
「……え?」
「『殺さない』って言ってた!! 僕の“個性”なんか無くなってもいい! それで島の皆が助かるなら…」
活真が自分を
「もっと自分を大事にしなよ。何も君一人が背負う事じゃない」
「でも…!! 僕は、こんな“個性”なんかより島の皆が…「ダメだよ」
活真が自分を犠牲にしようとすると、誰かがそれを止めた。
見ると、緑谷、爆豪、そして先程まで満身創痍だったひなたが立っていた。
「ひなたちゃん…」
「ひなた、お前もう大丈夫なのか?」
「うん! おかげさまで!」
麗日と心操がひなたを心配すると、ひなたはニコッと笑いながら元気そうに腕を振り回す。
ひなたは、活真に駆け寄ると、活真を励ました。
「活真くん! すごいね、この“個性”。おかげでメッチャ元気出た! ありがとう!」
「活真くん、相澤さんを治してくれてありがとう。すごくいい“個性”だよ!」
「デク兄ちゃん…!」
「君が怖い思いをする事なんかない。その為に僕達がいる」
緑谷は、笑顔を浮かべながら活真を安心させる。
するといつの間にか扉にもたれかかっていた爆豪も言った。
「要するにあのクソ
「爆豪!?」
爆豪が言うと、切島が驚く。
爆豪を治したひなたは、爆豪に駆け寄る。
「かっちゃん!」
「クソ触角! てめー余計な事すな! てめーに借り作んのだけは御免なンだよ!」
「顔すげー…」
爆豪がいきなりひなたを罵倒してくると、ひなたが目を丸くする。
「ケッ! ……あんがとよ」
爆豪が聞こえるか聞こえないかくらいの声で言うと、ひなたは返事代わりに触角をピンと立てた。
緑谷は、爆豪と向き合って頷いた後、活真と真幌の方を向いて言った。
「必ず、君達を守るよ!!」
「
緑谷が言うと、爆豪も拳を打ち付けて爆破を放ちながら言った。
「島の人達も絶対に助ける!」
「絶対に勝つ!」
二人が言うと、活真と真幌は目を見開いて笑顔を浮かべた。
「おう! そうと決まれば合理的にいこうぜ!」
ひなたも、満面の笑みを浮かべながら拳を突き出した。
すると轟も立ち上がって言った。
「相澤、爆豪、緑谷。その意見乗った」
「私も! 島の人達を守りたい! 戦おう!」
「ここでやらなきゃヒーローじゃねえもんな」
轟に続けて、麗日と心操も加わった。
すると上鳴と飯田も立ち上がる。
「しゃーねーな、松田さんちの耕運機、直さなきゃウェイだし!」
「俺だって! 佐藤のお婆さんには長生きして欲しいと思っている!」
二人が言うと、切島と常闇も声を上げた。
「俺もやるぜ!!」
「俺もだ」
切島と常闇に続けて、耳郎と葉隠も立ち上がる。
「ウチも!」
「もちろん!」
瀬呂と尾白も、席に座りながら賛同した。
「俺も!」
「ああ!」
芦戸と蛙吹も、席から立ち上がりながら賛同した。
「あたしも!」
「ケロ!」
「よっしゃやろーぜ!」
「やるしかないね☆」
「俺達はヒーローなんだ!」
「不可能なんて乗り越えてみせる!」
峰田、青山、砂藤、障子の4人も賛同する。
すると八百万がフラフラの状態で立ち上がりながら言った。
「いつも言ってますもの…」
「更に向こうへ!」
「「「「「Plus Ultra!!!!!」」」」」
八百万と飯田の掛け声を合図に、A組は一斉に叫んだ。
◇◇◇
その後、A組は全員で作戦会議をした。
轟が緑谷に作戦を尋ねる。
「緑谷、作戦は」
「確認できた
緑谷が作戦を説明すると、爆豪が遮って言った。
すると緑谷は作戦の説明を続ける。
「島の人達は、断崖絶壁の洞窟に避難。活真くんと真幌ちゃんは、僕らで護衛。いざという時の脱出経路も確保」
緑谷が言うと、轟は気になっていた事を尋ねる。
「“個性”の複数持ちへの対応は?」
「僕達三人が戦った時、突然相手が苦しみ出した。おそらく、“個性”を使いすぎると身体に負担がかかるんだ。だから活真くんの“個性”、『細胞活性』を奪おうとしていた」
「なるほど、消耗させんのか」
「
「そんで僕が『声』でじわじわ弱らせて内側から崩壊させる!」
「エグいな」
緑谷が言うとひなたが両手の親指で自分を差しながら言い、心操がツッコミを入れる。
すると緑谷が説明を続ける。
「“個性”を奪われるから、接近戦はなるべくしない方向で! それで
◇◇◇
そして夜明け時、緑谷達は城山の頂上にいた。
「救援が来るまで持ち堪えれば…!」
「皆を守れる」
「違え」
緑谷が言うと、轟も言った。
すると爆豪が反論する。
「絶対に勝つんだよ」
A組は、全員揃って準備を整えた。
そして、夜が明ける。
◇◇◇
一方その頃、偵察をしていたスライスがナインに報告する。
「ナイン! ターゲットは城山の頂上。ヒーローもね」
「チッ! 籠城かよ」
スライスが報告すると、キメラが舌打ちする。
するとナインは、全く気にする事なく振り向いて真っ直ぐ城へと歩いていく。
「目標に向かうぞ。王となる者に小細工など要らない」
◇◇◇
一方、城山から偵察をしていた障子が向かってくる三人を発見する。
「来たぞ! 三人! 予想ルートを固まって歩いてる!」
そしてその頃八百万と青山は、持ち場で待機していた。
八百万は、単眼鏡で三人の様子を確認しながら青山に報告する。
「
「くっ…エネルギー充電☆」
「5、4、3、2、1…!」
「くっ…『Can’t stop twinkling スーパーノヴァ』!!!」
八百万が合図をすると、青山がレーザーを放つ。
するとナインがバリアを出して青山のレーザーを防ぐ。
だが…
「プルス…ウルトラ!!!」
青山は、肘や膝からレーザーを連射して三人を分断した。
「分かれた…! 残りの脂質…全てを使ったこれが…私の最後の一撃ですわ!!」
そう言って八百万は、二門の大砲を両脇に構えて同時に発砲する。
だが八百万の放った大砲は、あらぬ方向へと着弾した。
「どこを狙って…」
スライスが笑った直後、スライスの足元が崩れる。
「何!?」
スライスの下の地面が崩れ、スライスはそのまま地面の下に落ちていった。
「チッ…!」
一方キメラは、砲撃から逃れると森の中へと飛び込んでいった。
するとそれを確認した八百万が地面に膝をつく。
「第一段階…終了…!」
「も、漏れちゃった…☆」
一方障子は、“個性”でその様子を確認した。
「分断、成功!」
「よし!」
「予定ポイントに誘い込めてるよ!」
耳郎は、音で索敵して作戦の成功を報告する。
一方、ナインだけはA組の罠に巻き込まれずに城へと直進していた。
すると瀬呂が駆けつけ攻撃を仕掛ける。
「『テープショットトライデント』!!」
瀬呂は、テープを貼り付けた大量の瓦礫をナインに投げつける。
すると影に隠れていた麗日が“個性”を解除する。
「解除!」
その直後、瓦礫が重力に従ってナインに降り注ぐ。
だがナインは、五指から放たれるビームで瓦礫を撃ち落とす。
「麗日!」
瀬呂が麗日に合図を出した直後、瀬呂に気付いたナインが瀬呂にビームを放つ。
瀬呂は、テープを使って間一髪ビームから逃れ、さらにテープを伸ばす。
「瀬呂くん!!」
麗日は、岩に対して“個性”を発動させていき、瀬呂は軽くなった岩にテープを巻き付けていく。
瀬呂は、麗日が浮かせた瓦礫を次々と投げつけた。
◇◇◇
そしてその頃、スライスは地下の洞窟に落ちていた。
「分断したところで…」
スライスが笑ったその直後、芦戸が飛ばした酸で鍾乳石が溶けて落ちてくる。
スライスは、間一髪横に跳んで鍾乳石を避けた。
芦戸に気付いたスライスは、針のように尖らせた髪を飛ばして芦戸を攻撃する。
「しくった!」
スライスが攻撃を飛ばしてくると、芦戸は物陰に隠れて回避する。
するとスライスの足元目掛けて捕縛武器が飛んでくる。
スライスは、飛んできた捕縛武器を跳んで避けた。
スライスは、捕縛武器を投げつけてきた心操に針状の髪を飛ばそうとする。
「あんた、『操る』奴ね。同じ手は…!」
「ドンピシャ!」
芦戸は、物陰に隠れながら酸を飛ばし、スライスの頭上目掛けて鍾乳石を落とした。
するとそれと同時に心操が捕縛武器を投げ、スライスの左足を絡め取る。
だがスライスは、髪を刃物にして捕縛武器を切断し、心操に針を飛ばした。
心操は、間一髪針を避けたものの針が頬に掠って赤い線が走る。
「チッ…!」
するとその直後、常闇が
だがスライスは、指先の刃物で
「惜しい!!」
「芦戸、心操。あとは任せろ。ここは俺の世界だ」
するとスライスは、舌舐めずりをしながら髪を全て刃物に変えた。
「小癪ね…!」
◇◇◇
そしてその頃、キメラは滝の前にいた。
「チッ…体よく分断されたか」
キメラがそう言った直後、キメラは右足を蛙吹の舌で絡め取られる。
そしてキメラは、そのまま川の中へ引き摺り込まれた。
するとその直後、川が一気に凍っていく。
轟が川を凍らせると、切島と飯田が合流する。
「よし!」
「作戦通り!」
「いや…」
轟が川を警戒すると、凍らせた川の表面に亀裂が入る。
そして川の氷が割れ、中からキメラが出てくる。
「冷てえじゃねえかよおい」
キメラが出てくると、轟が声をかける。
「また会ったな」
「フン、やめとけ。今日の俺は…」
そう言ってキメラは葉巻を取り出して咥え、自分の炎の息で火をつける。
「本気だぜ」
キメラが4人を睨みつけると、切島は拳を硬化させて打つ。
「俺らだって違う!」
「島民が避難した今、全力で!」
「お前を止める」
飯田は、エンジンを暴走させてスタートダッシュの体勢を取った。
「『レシプロターボ』!! 15分でケリをつけるぞ!!」
「「おう!」」
「ケロ!」
飯田が言うと、他の三人が頷く。
するとキメラは、両腕から翼を生やす。
「上等だ!」
◇◇◇
一方瀬呂と麗日は、ナイン相手に苦戦していた。
「クソッ…! 足止めすらできねえ!」
「くっ…これなら!」
そう言って麗日は“個性”を解除し、ナインに大量の岩の雨を降らせる。
麗日は、“個性”を酷使した事で顔色が悪くなり吐き気を催していた。
するとその直後、土煙の中からビームが噴き出し土煙を薙ぎ払っていく。
麗日と瀬呂が飛ばした瓦礫も、ナインのバリアで防がれ逆に押し出される。
すると瓦礫が二人に当たり、二人はヘルメットが外れて吹き飛ばされる。
ナインが次々とビームを放ってくると、瀬呂は麗日を回収してテープを使って撤退する。
「もうすぐ本命だ!」
「うん…!」
するとその時、上から声が聞こえてくる。
「瀬呂! 麗日!」
「峰田!」
瀬呂が振り向くと、大量の岩の前に峰田が立っていた。
「準備できてるぜ!」
「麗日頼む!」
峰田と瀬呂が言うと、麗日は大量の岩を堰き止めていた丸太の柵に“個性”を使う。
“個性”を酷使した麗日は、顔色を悪くしながらも力を振り絞る。
「う゛う゛う゛う゛う゛…!!」
ナインは、お構いなしにビームを放って瀬呂の攻撃を打ち落としていく。
するとその時だった。
「プルス…ウルトラぁああああ!!!」
麗日は、全ての柵を浮かせて叫んだ。
すると大量の岩が転がって雪崩が起き、ナインの方へ転がっていく。
“個性”を酷使して動けなくなった麗日は、瀬呂がテープで回収した。
ナインは、ビームで岩を砕こうとするがあまりの多さに間に合わず、バリアを張っても大量の岩に巻き込まれて埋もれた。
すると瀬呂が峰田に声をかける。
「行けえ!! 峰田!!」
「『スーパーグレープラッシュ』!!」
瀬呂のテープで持ち上げられた峰田は、次々とボールをもいで下の雪崩に投げつけていく。
大量の岩は、峰田のボールでくっついて固定された。
「これが本命だ!!」
「よっしゃあ!!」
「やった…」
ナインを閉じ込めた三人は喜ぶが、麗日は吐き気を催して嘔吐した。
すると瀬呂が心配する。
「大丈夫か!?」
一方、峰田もボールのもぎりすぎでフラフラになっていた。
「ざまあみろ…閉じ込めてやった…」
峰田は、フラフラになりながらも作戦の成功を喜ぶ。
だがその直後、大量の岩の隙間から強い光が放たれる。
そして次の瞬間岩のドームが大爆発を起こし、三人が吹き飛ばされた。
それを見ていた障子は、緑谷に報告する。
「くっ、本命が防がれた!」
「くっ…!!」
すると、音で索敵していた耳郎も報告する。
「
耳郎が言うと、緑谷の表情に焦りが現れ始め、心配する活真を真幌が安心させた。
ナインは、ボロボロになった三人にゆっくりと接近していていく。
だが麗日と瀬呂は、これ以上は行かせまいと立ちはだかった。
「ならば…」
ナインは三人をビームで攻撃しようとしたが、すぐにバリアに切り替え後ろに張った。
するとその直後、ナインの背後からレーザーが放たれる。
八百万に肩を借りた青山が、ナインにレーザーを放ったのだ。
「青山くん…!」
「ヤオモモ…!」
麗日と瀬呂が声を上げると、青山と八百万が言った。
「今のうちに…」
「態勢を…」
二人が言った直後、二人とも突風で吹き飛ばされる。
その先には、左手を後ろへ構えたナインがいた。
「無駄だ」
ナインが歩み寄ろうとすると、二人が身構える。
「遊びは終わりだ」
そう言ってナインは、両手からビームを放つ。
するとその時、爆豪とひなたが同時に飛び出しナインに攻撃を放つ。
ナインはすかさず二人の攻撃をバリアで防ぎ二人を弾き飛ばすが、ひなたの攻撃でバリアにヒビが入り“個性因子”を攻撃された痛みが腕に走る。
ナインは、攻撃を仕掛けてきた二人を忌々しそうに睨みつけた。
「忌々しい…やはり生きていたか」
ナインが睨みつけた先には、爆豪とひなたがいた。
「寝言は寝て死ね!!」
「今度こそ、お前を倒す!!」
それを見た障子は、緑谷に報告する。
「爆豪と相澤が戦闘に参加!」
障子が言うと、緑谷が飛び出す。
「緑谷!」
「活真くん達をお願い!」
そう言って緑谷が走っていくと、活真と真幌は心配そうに見守る。
「デク兄ちゃん…」
「デク…」
緑谷は、ワンフォーオールを発動して一気にナインの元へと駆けつけた。
「おらァ!!!」
「『
爆豪は連続爆破で、ひなたは爆音でナインを攻撃する。
だがナインは、二人の攻撃をバリアで防いでいく。
するとそこへ、緑谷が飛び出して蹴りを放った。
「『セントルイススマッシュ』!!!」
だが、緑谷の渾身の蹴りは、ナインのバリアで防がれた。
ナインは、突風の“個性”で緑谷を吹き飛ばす。
すると空中で爆豪が緑谷をキャッチし、爆破を推進力にして緑谷を投げ飛ばす。
「『
「『
爆豪は緑谷を爆破で飛ばし、ひなたは爆音を纏った鞭で突きを放ち、それと同時に緑谷が蹴りを放つ。
ひなたの攻撃で一枚目のバリアは完全に破れたものの、二枚目三枚目には貫通しなかった。
「なかなか…」
ナインは、一旦バリアを解除して三人を見据える。
「ここから先は…」
「ブッ殺す」
「ん!」
ナインが城へ行こうとすると、三人が立ちはだかった。
◇◇◇
一方その頃、常闇はスライスに苦戦を強いられていた。
スライスは、高笑いしながら次々と常闇に斬撃を放つ。
「何が『俺の世界』よ!! 威勢のいい事言って、この程度!?」
スライスは、そう言って髪から放たれる斬撃で常闇を追い詰めていく。
常闇は、クロウでスライスの攻撃を凌いでいく。
「哀れね!!」
スライスがそう言って髪を伸ばすと、常闇はクロウでスライスの攻撃をいなしていく。
「『
常闇は、クロウでスライスの指先の刃物を砕いた。
スライスは、常闇に押されて力負けし吹き飛ばされる。
「今だ!!」
常闇が叫ぶと、心操は捕縛武器を引っ張る。
「イレイザーヘッド直伝『操縛布』!!」
すると捕縛武器を巻き付けられた鍾乳石が折れ、スライスの頭上へ落ちる。
スライスは何とか横へ転がり込んで避けたが、避けた先には芦戸がいた。
「芦戸!!」
「『アシッドショット』!!」
心操が声をかけると、芦戸はスライスに大量の酸を浴びせた。
スライスは髪で酸を防御するが、そのせいで髪が溶けてしまった。
スライスは、自分の髪を酸で溶かされて狼狽していた。
「ああ…私…私の髪が…!!」
『時間切れだ! 引き返せ!』
「ナイン…!?」
突然どこからかナインの声が聞こえ、その声に反応したスライスは動きを止める。
ナインの声がした方には、心操が立っていた。
心操がスライスを洗脳すると、芦戸が心操に声をかける。
「ナァイス心操!」
「ああ。このまま勝負を決められたら良かったが、嫌な予感がしたからな。追い詰められた
「確かに」
心操が言うと、常闇が頷く。
ヒーローにとって1番恐ろしいのは追い詰められた
だからこそ、スライスが何かをする前にナインの声で洗脳して反撃されるのを防いだのだ。
心操は、スライスが目覚めても暴れられないように捕縛武器で入念に拘束した。
「とりあえず…一人倒したって事でいいのかな」
◇◇◇
そしてその頃、ナインは三人目掛けてビームを放っていた。
だが三人は、驚異的なスピードでビームを避けていく。
緑谷は蹴りを放つがバリアで防がれ、爆豪の爆破もバリアで防がれる。
するとひなたは、爆音の弾丸を放つ。
「『
ひなたは曲射の爆音を放ち、あらゆる角度から“個性”破壊音波を放つ。
だがナインは、それら全てをバリアで防いでいく。
「『
ひなたが胸の前で指を組むと、ひなたの放った音波が乱反射し花弁のようにナインの周りを覆った。
だがナインはひなたの攻撃を防ぎ、ひなたにビームを放つ。
ひなたは、音波でナインのビームを相殺して一度距離を取った。
「ケホッ…!!」
ひなたは、“個性”の使いすぎで呼吸が乱れ一度息を吸い込もうとした。
だがそれをナインが見逃すはずもなく、ビームが降り注いでくる。
すると爆豪がひなたを蹴り飛ばして助けた。
「ありが…「前だけ見てろ!!」…うん!」
ひなたが爆豪に礼を言おうとすると爆豪が怒鳴ってきたので、ひなたは力強く頷く。
◇◇◇
そしてその頃、飯田は『レシプロターボ』でキメラに攻撃を仕掛けていた。
だが、キメラに軽くいなされる。
「無駄だ!」
すると今度は切島がキメラに攻撃を仕掛ける。
「『
だが、キメラの腕の羽毛で軽く防がれてしまった。
「痒いな」
キメラは、切島の後頭部を掴んで岸壁へと投げつけた。
投げつけられた切島は、勢いよく岸壁に叩きつけられる。
「チッ!」
轟がキメラに炎を放つと、キメラは腕で風を起こして轟の炎を吹き飛ばした。
するとキメラの背後から飯田が駆けつけて蹴りを放つが、キメラに軽く受け止められて投げ飛ばされる。
その瞬間、轟が氷結でキメラの動きを封じた。
だが、その次の瞬間にはキメラは轟の氷を粉々に砕いていた。
キメラは、葉巻を吐き捨てて飯田達を睨みつける。
「てめェら…無駄だと言ってるだろうが!!」
キメラは、吼えながら三人を威圧してみせる。
だがその直後、キメラの身体が痺れて動かなくなる。
「か、身体が…!?」
すると轟と飯田がその理由を話す。
「単調な攻撃を繰り返したのには意味がある」
「俺の脚、そして切島くんの手には、蛙吹くんが作った毒性の粘液が塗られていた」
「梅雨ちゃんね」
保護色で隠れていた蛙吹は、腕から毒性の粘液を出してみせた。
切島は、全身を硬化して拳を打ちつけながらキメラに忠告する。
「観念しろよオッサン!」
するとキメラは、4人を睨みながら呟く。
「小賢しい真似しやがって。見せてやるよ…! 俺が化け物だと言われる理由を!!」
そう言ってキメラは、全身の動物の部位を劇的に進化させて巨大化した。
それを見た4人は、目を見開いて身構える。
「巨体化!?」
「あの姿、天喰先輩かよ!?」
その直後、キメラは大きく口を開いて口から光を放つ。
すると危険を察知した轟が氷結で壁を作る。
だがキメラが放った赤黒い炎は、轟の氷の壁をいとも簡単に貫通した。
「クソ…!」
「蛙吹くん!!」
飯田は轟を抱えて駆け出し、飯田に言われた蛙吹は舌で切島を巻いて退いた。
するとその直後、4人がいた場所が火の海に変わる。
キメラは、口から赤黒い炎を放って山を焼け野原へと変えていった。
◇◇◇
それを見ていた耳郎は、山火事を見て目を見開く。
「あそこ、飯田達の…!」
「苦戦してる…!? 応援に…「駄目だ! 俺達の任務は、活真くん達の護衛だ」
尾白が飯田達に加勢しに行こうとすると、障子が止めた。
真幌と活真は、不安そうにひなた達の戦いを見守っていた。
三人は次々とナインに攻撃を放っていくが、全てナインのバリアで防がれる。
「『
ひなたは、爆音の壁で叩きつけて範囲攻撃を仕掛けるが、それもナインのバリアで防がれる。
そしてナインは、ビームで三人を攻撃した。
ひなたは、目の近くにビームが掠り、つい片目を瞑ってしまう。
するとその瞬間、ビームが左肩を抉った。
「あ゛あ゛っ!!」
さらにナインがビームを放とうとしたその時、ナインの右腕にテープが巻き付く。
次の瞬間、瀬呂がナインに狙いを定めて飛び出してきた。
「させるかよ!!」
「はーちん!!」
するとナインは、“個性”で瀬呂を吹き飛ばす。
数十メートル吹き飛ばされて重傷を負った瀬呂を見た爆豪は、思わず目を見開いて叫ぶ。
「瀬呂!」
するとその直後、麗日がナインの背後から飛び出す。
麗日はナインを触れて浮かそうとするが、ナインの背中から生えた召喚獣に弾き飛ばされる。
吹き飛ばされた麗日は、緑谷にキャッチされた。
「麗日さん!?」
緑谷は、ナインにやられた麗日を地面に降ろす。
「野郎…」
「よくも!!」
「ブッ倒す!!!」
親友を傷つけられた三人は、ナインを睨んで“個性”で攻撃を仕掛けた。
ひなたは、“個性”で肩に空いた穴を塞ぎ、爆音を放って召喚獣に攻撃を仕掛けた。
だが、ひなたが爆音攻撃を放っても召喚獣はすぐに再生し、三人は召喚獣に突き飛ばされて岸壁に叩きつけられた。
「くそ…!」
するとその直後、三匹の召喚獣が三人の目の前に迫り、三人に喰らいついた。
だがその時、召喚獣がひとりでに溶け始める。
ひなたが何もしていないにもかかわらず勝手に召喚獣が解けたのでナインの方を見ると、ナインは頭を抱えて苦しがっていた。
「来た…! 限界時間…!」
◇◇◇
その頃飯田達4人は、キメラの炎の息から逃げていた。
火の息で周囲を焼け野原にしていくキメラを見て、切島と蛙吹は目を見開いていた。
「何てパワーだ…!」
「近づく事すらできないわ…!」
すると轟は、何かを思いついて飯田に指示を出す。
「突破口を開いてくれ。俺を奴の懐に」
「その後は?」
「考えがある」
切島が尋ねると、轟が答える。
「よし…! これが最後のアタックだ!」
飯田がエンジンを作動させると、切島と蛙吹が顔を見合わせて頷いた。
キメラが口から炎を放って暴れていると、飯田がキメラの前に現れ爆速で駆け抜けていく。
するとキメラが口から炎を放ち、飯田はキメラの炎から逃げ続けて最大限気を引きつけた。
そしてその頃切島と轟は、轟の氷で滑走していた。
「この感じ…! 神野を思い出すな」
「ああ」
「何が来たって耐えてやる。必ず懐に飛び込め!」
「おう!」
切島の言葉に轟が頷くと、切島は全身を最大限硬化させた。
「『
キメラが炎を放つと、切島は硬化した身体でキメラの炎を受けて耐えてみせた。
「切島!!」
キメラの炎を防ぎ切った切島は、その場に倒れて轟に託す。
「行げ…!」
切島に託された轟は、氷結で橋を作って飛び出し、キメラの顔に飛び乗って氷結でキメラを冷やそうとする。
するとキメラが轟を攻撃しようとしてきたので、蛙吹が舌で絡め取って止めた。
今度はキメラは尾で轟に攻撃を仕掛け、それを飯田が蹴りで防いだ。
飯田は、キメラの尾を蹴り飛ばして押さえつけると、轟に声をかけた。
「轟くん!!」
飯田が叫ぶと、轟は炎を放とうと大口を開けたキメラの口の中に右手を突っ込み、急激に冷やしていく。
するとキメラの炎が弱まっていくが、キメラのあまりのパワーに蛙吹と飯田が持ち上げられ、空中で叩きつけられた。
轟は、それでもキメラの身体を限界まで冷やしていく。
「凍て尽くせ!!」
轟が限界まで冷却していくと、とうとうキメラの身体が凍りついて巨大な氷柱が何本も生えた。
すると轟は、体温が下がりすぎて地面に倒れ込む。
「しばらく…冬眠してろ…責務…果たしたかな……緑谷…爆豪…相澤……」
劇場版で、血液型が違うはずのかっちゃんを活真くんが治せてたの何で?ってなったんで、整合性を重視して改変しました。