今回は話の都合上ひなたちゃんが出て来ません。
HLB
HLB。
ヒーローリーグベースボール。
それは、野球好きのプロヒーロー達によって設立された、草野球連盟の総称である。
今年の年間順位は、ギャングオルカ率いるチーム『オルカーズ』と、ライオンヒーロー『シシド』が率いるチーム『ライオネルズ』が同率1位で並んでいた。
そして、HLB最終戦。
「「「おー!!」」」
オルカーズとライオネルズの直接対決が始まる。
「「フン!!」」
ギャングオルカとシシドは、互いに額をぶつけ合って睨み合っていた。
オルカーズのチームメンバーは、ギャングオルカ、シンリンカムイ、Mt.レディ、障子、耳郎、上鳴、瀬呂、峰田、塩崎の9人。
ライオネルズのチームメンバーは、シシド、ファットガム、天喰、尾白、砂藤、切島、宍田、庄田、鉄哲の9人。
オルカーズ側の応援席には、オネエヒーロー『プリンセスプリティハニー』と青龍ヒーロー『ブルードラゴン』、ライオネルズ側の応援席には、雷神ヒーロー『イナズマ』と風神ヒーロー『イブキ』こと五常姉妹がいた。
五常姉妹の妹の方のイブキは、何故かヒーローコスチュームではなく、チアガールの服装(※体育祭の時峰田と上鳴が女子達に着せるはずだった衣装)をしていた。
「優勝は我ら、オルカーズの手にィィィ!!!」
「「「おー!!」」」
オルカーズが気合を入れると、オルカーズ側の応援席にいたブルードラゴンとプリンセスプリティハニーが応援する。
「やっちまえオルカーズ━━━!!」
「うふん♡皆、頑張ってねん♡アタシ達、張り切って応援しちゃうわ!」
「「グハァ!!」」
二人が応援すると、主に上鳴と峰田が血反吐を吐く。
「勝つのは俺達、ライオネルズよォォォ!!!」
「「「おー!!」」」
「環くーん! 皆ー! 頑張ってやー!」
「かっ飛ばせー! シーシードー!」
「う゛ぅっ…や、やめてくれ五常さん…お腹痛い…」
ライオネルズが気合を入れると、ライオネルズ側の応援席にいた五常姉妹が応援する。
すると、プレッシャーに押し潰された天喰が腹痛を起こす。
ギャングオルカとシシドは、睨み合って取っ組み合いをしたかと思うと再び額同士をぶつけ合った。
「貴様ァ…! 勝てないとわかって助っ人を呼んだかァ…!」
「同じ事してるお前の口からその言葉が出てくるとはなァ!」
「シシド…! 狭い陸地で王を気取る哀れな男よ…!」
「ギャングオルカ…! てめーは海に戻ってイワシでも食べてやがれ!」
「最強はシャチよォォ!!」
「いやライオンだァァ!!」
二人が睨み合いをしていると、周りにいたチームメンバーは呆れた様子でゾロゾロと離れていった。
「相変わらず仲悪いなァあの二人」
ファットガムが呆れた様子で言い、Mt.レディがシンリンカムイに尋ねる。
「先パイ! 何で助っ人を引き受けたんですか?」
「エッジショットに聞いてくれ」
耳郎と塩崎も、呆れながら話し合っていた。
「インターン中に野球なんかやってていいのかなぁ…」
「私、野球をした事がないんですが…」
ファットガムも、二人の仲の悪さに呆れつつも気合を入れていた。
「けど! 勝てばタコ焼き食い放題の特典付きや! 気張るでェ!!」
「よっしゃあ!! やるからには勝つ!!」
「「「おうよ!!」」」
ファットガムと切島が言うと、ライオネルズのチームメンバーが気合を入れた。
「おサボり出来てタコ焼きぎょうさん食べれるんやから万々歳やわぁ〜応援来て良かったぁ」
「てめえの分じゃねンだよ…おい勝手に食うな!」
イブキがブルードラゴンの焼いた分のタコ焼きをつまみ食いすると、ブルードラゴンがキレた。
「ああ…ダメだ…嫌な予感しかしない…」
だが天喰だけは、グラウンドの隅で蹲っていた。
◇◇◇
『オルカーズ対ライオネルズ!! 世紀の一戦!! 果たして優勝するのはどちらのチームかァ!? 応援席にも豪華なゲストが来てくれてるゼ! 実況はこの俺、プレゼントマイク! 解説はイレイザーヘッドとシンソーでお送りいたします!』
「何で俺達が解説…『まずはHLBの特別ルールを解説だァ!!』おい」
(俺、ここにくる意味あったのか…!?)
プレゼントマイクが実況をすると、相澤がツッコミを入れようとするがそれを遮ってプレゼントマイクが話し始めた。
一方相澤の隣に座っていた心操は、相澤のサイドキックとしてまとめて解説係にされた事を若干疑問に思っていた。
『出場選手はそれぞれ9人のみ!! 選手の途中交代はナァァシ!! ポジションチェンジは何回でも可能!! 代打もOK!! 退場者が出ても試合はそのまま続行するぞ!! 打者が負傷退場した場合は、自動的にアウトとなる!! ヒャッハァォウ!! 勝敗はァァ!! 9回終了時の点数差か、はたまたどちらかのチーム全員の退場による試合放棄のいずれかだァァ!!!』
「無茶苦茶だぞそれ」
「もう野球じゃないですよね、色々と」
プレゼントマイクが熱くなるあまり頭から湯気を出しながら言うと、相澤と心操が冷静にツッコミを入れた。
するとその時、心操の携帯にひなたからラインが送られてくる。
『今日は何時にお話できそう?』『話聞かせて!』『インターンがんばろ!』などといった天真爛漫という言葉がピッタリなメッセージが書かれていた。
(ひなたは今頃エンデヴァーのとこでみっちり修行してんだろうな…インターン中に何やってんだろ俺)
心操は、ひなたのラインに返信しながらそんな事を考えていた。
『ヒュアウィーゴー!!! 正々堂々真っ向勝負!!』
「はあ…帰りたい…ただただ帰りたい……」
プレゼントマイクが大声で実況する中、天喰は隅で落ち込んでいた。
そんなこんなで、試合が始まった。
『さあ一回の表! オルカーズの攻撃! バッターはキャプテンのギャングオルカ!! ライオネルズ先発はシュガーマン!!』
「いいか!! 遠慮はいらん!! 死に物狂いで投げろ!!」
シシドが言うと、砂藤は角砂糖を口に入れた。
すると『シュガードープ』の効果により筋肉が盛り上がり、目つきが別人のようになる。
『おーっとシュガーマン!! 早くも糖分を吸収!! “個性”を使って第一球…』
砂藤は、力強く地面を踏み込み、大きく振りかぶって豪速球を投げた。
「うおおおおおおおおおおっ!!!」
『投げたああああ!! 凄い球だああああ!!』
だが、No.11ヒーローのギャングオルカにとっては子供のキャッチボールに等しく、あっさり球を打ってみせた。
『あっさり打たれたああああ!!』
ギャングオルカが打った球は、空の彼方へと消えていった。
『場外ホームラン!!』
「こりゃボールがいくつあっても足りないな…」
「これ大丈夫ですかね…」
プレゼントマイクが言うと、相澤と心操がツッコミを入れた。
あっさり渾身の豪速球を打たれた砂藤は、絶望のせいか『シュガードープ』の効果が切れたせいか、顔色を悪くしてげっそりしていた。
すると、シシドが鬼のような形相で砂藤にアルゼンチンバックブリーカーを喰らわせた。
「コラァ!! 死に物狂いでやれと言っただろうがああああ!!」
「し、死ぬ…今死ぬ……」
「あー…あれは可哀想やなぁ」
シシドに理不尽な仕打ちを受けている砂藤を見て、応援席にいたイブキは砂藤に同情した。
シシドにこってり絞られた砂藤は肩を落としながらピッチャーを降り、シシドは代わりに庄田をピッチャーに指名した。
「ピッチャー交代!!」
『たった一球でピッチャーがマインズに交代!! さァどんな球を見せてくれるのかァァ!!?』
「ツインインパクト…」
庄田は、そう呟きながら球を投げた。
だが、庄田の投げた球はヒーロー科の生徒とは思えないような遅い球だった。
『投げたァ!! …って、ヘロヘロじゃねーか!!』
「はっ、楽勝!」
これはチャンスだと思い、上鳴がバットを振ろうとした、その時だった。
「
庄田が呟いた次の瞬間には、豪速球が上鳴の横を通り過ぎ宍田がグローブで球をキャッチしていた。
『ストライ━━ック!』
「……へ?」
2球目。
『ストライ━━ック!』
3球目。
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
上鳴は、庄田が“個性”を使って繰り出してきた豪速球を見切る事すら出来ずにアウトとなってしまった。
『おお━━っと!! チャージズマ、三球三振!! いいや振る事も出来なかったァ!!』
上鳴がトボトボとバッターを降りると、ギャングオルカが鬼のような形相で待ち構えていた。
「指導……」
「あ、あんなの打てるわけねえって…」
上鳴は弁解しようとしたが、ギャングオルカは容赦なく上鳴の頬を掴んでブン投げた。
「指導おおおおお!!」
「ヒェエエエエ!!」
「ドンマイ」
上鳴が投げられると、ブルードラゴンが上鳴に同情した。
そして続いては、障子がバッターに指名された。
『続いてバッター、テンタコル!』
「これは…」
「アリなんですか?」
障子が3本のバットを構えていると、相澤と心操がツッコミを入れる。
『HLBルールでは、バットの数に制限ナシ!!』
「無茶苦茶じゃないですか…」
プレゼントマイクが言うと、心操は呆れた様子でツッコミを入れた。
(ストライクゾーンを全て塞ぐ…! ボールが手元で急加速しようとも、振り遅れさえしなければ…! 俺の勝ちだ!)
障子は、ストライクゾーンを全て塞ぐ作戦で庄田の球を打とうとした。
だが…
「
「!?」
庄田は、障子に打たれる直前に球の軌道を真上に曲げてきた。
それを見た障子は、思わず目を見開く。
『ものすごい変化球だァ!! こんなの打てるわけがなァァァい!!』
庄田の球は、そのまま宍田のグローブの中に飛んでいった。
『ストライ━━ック!』
2球目。
「
『ストライ━━ック!』
3球目。
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
障子は、庄田の投げた球に翻弄され、一回も打てずに交代となった。
そして続いて打者になった瀬呂だったが…
1球目。
『ストライ━━ック!』
2球目。
『ストライ━━ック!』
3球目。
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
『あっという間に三者連続三球三振!!』
障子に続けて瀬呂までもが三振すると、ギャングオルカが鬼のような形相で二人を睨む。
「指導ォ!!!」
「うわああああああ!!」
「指導ォ!!」
「ぎゃああああああ!!」
「男子達ィィィ!!!」
二人は、上鳴同様ギャングオルカに投げ飛ばされて指導を受けた。
三人が投げ飛ばされると、プリンセスプリティハニーが野太い叫び声を上げた。
そして続く1回裏。
『さァ攻守変わって一回の裏! ライオネルズの攻撃! バッターテイルマン! オルカーズの先発は、シンリンカムイ! 振りかぶって第一球…投げたあああ!!』
シンリンカムイは、球を投げると同時に右腕から大木を生やし尾白に向かって伸ばした。
「…え?」
そして次の瞬間には、シンリンカムイの伸ばした木が尾白を絡め取っていた。
「えっ、ええええええ!!?」
尾白が身動きできなくなっている間に、キャッチャーの障子が球をキャッチした。
『ストライ━━ック!』
「『先制必縛ウルシ鎖牢』」
「卑怯だあああああ!!」
シンリンカムイがキリッと表情を決めながら言うと、尾白が不平を言った。
その後の2球目と3球目は、もはやシンリンカムイと障子のキャッチボールだった。
『ストライ━━ック!』
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
案の定、尾白は三振となってしまった。
「んんんんんんん…!!」
するとシシドが怒りを露わにし、後ろにいた切島と鉄哲が冷や汗を浮かべる。
そして続けて宍田も、尾白と同じ手でアウトになってしまった。
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
「んんんんんんん…!!」
シシドがさらに怒りを露わにすると、切島と鉄哲は縮こまる。
そしてついに、シシドの堪忍袋の緒が切れた。
「何をやっている!!!」
「「ぐぁあ!!」」
シシドは、尾白と宍田の頭を掴んでぶつけ合わせながら説教をした。
「死に物狂いで喰らい付かんかあああああ!!!」
ライオンヒーロー『シシド』
“個性”『ライオン』
百獣の王ライオンと同じパワーとスピードを持つ!!
身内に対し厳しく、時には千尋の谷に落とし這い上がらせる!!
ちなみに海洋生物の王、シャチのギャングオルカとは、犬猿の仲だ!
「仲悪すぎだろ…」
「泥試合…」
プレゼントマイクが実況をすると、相澤がツッコミを入れ心操もボソッと毒を吐いた。
「ぬううううう…さあ来い!!」
「『ウルシ鎖牢』…」
シシドが炎のオーラのようなものを出しながら言うと、シンリンカムイがボールを振りかぶり、投げると同時に樹木を伸ばした。
するとシシドは、吠えながらバッドを振り下ろす。
「舐めるなあああああ!!! 新人風情がああああああ!!!」
『シシド、ウルシ鎖牢を打ち砕く!!』
シシドがバットで樹木を粉々に砕くと、プレゼントマイクが実況を挟んだ。
「まだだ!!」
「おらあああああああああ!!!」
シンリンカムイも負けじとボールを投げながら樹木を伸ばし、シシドがひたすらそれをバットで砕き続ける。
『砕く砕く砕くゥ!! シシド止まらなァァい!! カムイも退かなァァい!! 意地の張り合いだァァァ!!!』
プレゼントマイクが最高潮のテンションで実況をする中、シシドが吼える。
あまりの声量に、空気が揺れ、チームメイト達は耳を塞いでいた。
そしてついにシシドがボールにバットを当て、勢いよく振り抜いた。
「うらぁあ!!」
「ぐぁ!!」
シシドが球を打つと豪速球がシンリンカムイの方へ飛んでいき、シンリンカムイの顔面に直撃して綺麗に吹っ飛んでいった。
「神よ…」
オルカーズのチームメンバーの塩崎は、祈りを捧げながら“個性”で髪を伸ばしてシンリンカムイをキャッチしようとする。
だがあまりの勢いに、シンリンカムイは塩崎のガードを突き破って空の彼方へと飛んでいった。
するとギャングオルカがMt.レディに指示を出す。
「センター! 身体で止めろ!」
「タイタンクリフ!」
Mt.レディは、巨大化の“個性”でシンリンカムイを受け止めようとする。
だが勢いよく突っ込んできたシンリンカムイがMt.レディの額に直撃し、Mt.レディは気を失った。
「がはっ…!」
『ああ━━━!! Mt.レディ、白目を剥いている!!』
そのままMt.レディが倒れシシドが出塁するかと思いきや、瀬呂がボールをテープでキャッチした。
『セロファンナイスフォロー!! シシドの出塁を阻止!!』
…が、その直後、倒れ込んだMt.レディの下敷きになってしまった。
『っとおおおお!! セロファン、気絶したMt.レディに潰されたあああ!!!』
「いやああああああ!!!」
「お前らああ!!」
応援していたチームの三人が一気に倒れ、プリンセスプリティハニーとブルードラゴンが嘆く。
チームメイトの一人が犠牲になったのを見て、峰田が唖然として呟く。
「…マジかよ」
一方、屋台でタコ焼きを作っていたイナズマは、至極冷静なツッコミを入れた。
「前から思っとったけど、これ野球ちゃうやろ」
そしてシンリンカムイは、くの字になって折れた標識のポールに引っかかったまま気絶していた。
『シンリンカムイ、ピクリともしない!! バッターシシド、アウトになったものの、オルカーズの選手3名を退場に追い込むファインプレー!! ナイスバッティング!』
「ナイスじゃねえだろ」
「これ止めなくていいんですか? 最悪死人出ると思うんですけど…」
『こちとら
「いい加減あの人を
プレゼントマイクがノリノリで実況していると、相澤と心操が冷静にツッコミを入れる。
ちなみに心操はというと、野球ボールの縫い目の形にマヨネーズがかかった野球タコ焼き(五常姉妹&プリティハニー事務所お手製。8個入り500円)を頂いていた。
『2回の表、オルカーズの攻撃は、4、5、6番が退場したので、7番ヴァインから!』
次は塩崎が打者となったが、彼女の信条に反するのか“個性”を使わずに普通に振り、案の定普通の女子並みの振りしか出来ず見事に三振した。
「えいっ」
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
そして次は峰田の番となったが、小柄な体格が災いして三振した。
「ぬぅっ!!」
『ストライ━━ック! バッターアウト!』
『あっという間にツーアウト!!』
二人が三振すると、ギャングオルカが怒り狂う。
「指導ォ!!」
「きゃあ!」
「指導ォ!!」
「うわぁ!」
塩崎と峰田は、ギャングオルカに投げ飛ばされた。
「うぁああああああああ!!!」
ギャングオルカは、怒りのあまり血潮を吹いていた。
『キャプテンギャングオルカ、怒りの潮吹き!!』
怒り狂うギャングオルカを、イナズマ達は引き気味に見ていた。
「わー容赦ないわぁ」
「…うん、我ながら美味い。俺特製揚げタコ焼き」
「……あ? 今自分何て言うた?」
それまではタコ焼きを大量に作って応援していたイナズマとブルードラゴンだったが、ふとしたきっかけで不穏な空気が流れ始める。
そして続く打者の耳郎がバッターボックスに立った。
『続いてバッターはイヤホン=ジャック!!』
(こうなったら…!)
耳郎は、軌道が読めない庄田の球を打ち返す作戦を考えていた。
すると、庄田が球を投げてくる。
「
「高周波打法…!」
耳郎は、庄田の球を爆音で押し返した。
『あー! 高周波で押し戻されていく━━!!』
「やった!」
庄田の球が高く飛んでいくと、耳郎は走り出した。
『これはヒット! ……でいいか?』
「違うだろ」
自分でも判定がよくわかっていないプレゼントマイクが相澤に尋ねると、相澤が冷静に答えた。
だが、耳郎が飛ばした球はシシドにキャッチされてしまった。
『シシドがキャッチ!! これはアウトなのかァァ!!? もうアウトでいいか!!』
「適当すぎでしょ…」
プレゼントマイクがアバウトな判定を下すと、心操がツッコミを入れる。
アウトになってしまった耳郎は、肩を窄めてギャングオルカに歩み寄る。
「惜しかった」
「!」
「良いプレーだった」
ギャングオルカが奮闘した耳郎を怒らずに褒め称えると、耳郎は自信を取り戻して笑顔を浮かべる。
「絶対に勝つぞ!」
ギャングオルカが闘志を燃やしてチームメイトを鼓舞すると、他のチームメンバーも燃え上がった。
『ギャングオルカの闘志に呼応して、チームの面々も燃えてきたァァ━━━!!』
一方、イナズマとブルードラゴンはというと、バチバチと火花を鳴らして喧嘩をしていた。
「ドアホウ!! 揚げタコ焼きなんざ邪道や!! ンなもんうちは認めへん!!」
「ああ!? 日本一のタコ焼きっつったら築地のタコ焼きだろうがよ!! べらぼうが!!」
「はぁぁん!? これやから東京のモンは!! どつき回して味覚叩き直したるわ!!」
「こっちのセリフだコラァ!! 火事と喧嘩は江戸の華! 今日こそ白黒ハッキリつけようじゃねえか!!」
二人が応援とタコ焼き作りそっちのけで“個性”を使って喧嘩を始めると、イブキとプリンセスプリティハニーが呆れ返る。
「あーあ、またやってはるわ」
「ホント仲悪いわね。あの二人」
『外野も外野で燃えている━━━━!!』
「何であいつら呼んだんだ」
プレゼントマイクが喧嘩をしている二人にも実況を挟むと、相澤がツッコミを入れた。
そして試合は、2回裏に突入した。
『2回の裏オルカーズは、ピッチャーをグレープジュースに交代だ!』
峰田は、ロジンバッグを使って何かをしていた。
「へへへ、見せてやるぜ…オイラの魔球をな!」
そう言って峰田は、真っ白なボールを投げた。
「もらったああああああ!!!」
砂藤は、『シュガードープ』で増強し、そのまま全力でボール目掛けて振り抜いた。
……が。
『シュガーマン打っ………てなあああああい!!』
「なっ…!」
砂藤が打ったように見えたボールは、バットにくっついたまま極限まで伸び、そのまま跳ね返って砂藤の股間に直撃する。
「あっほぉう…!」
『戻ってきたボールがシュガーマンを直撃!!』
「あれは痛い…」
予想外の金的を喰らって気絶する砂藤を他所にプレゼントマイクが実況したが、心操はその横で青ざめていた。
『そのまま退場していくー!!』
砂藤を退場に追い込んだ峰田は、ニヤニヤと笑っていた。
(へへ、驚いたか…ロジンバッグで着色した『もぎもぎ』は、誰にも打てないおいらの魔球!)
そうこうしている間に、続く打者の庄田もアウトとなってしまう。
『5番庄田もアウトだ!』
打者が立て続けに二人アウトとなり、切島は悔しがっていた。
「クソッ、どうすりゃ…」
「こういう時は頭脳プレーよ」
「鉄哲?」
鉄哲は、珍しく冴えた様子でバッターボックスに立った。
(球が前に飛ばねんなら…)
「唸れ魔球!!」
峰田は、鉄哲もアウトに追い込もうと球を投げた。
…が。
「バットごと打ち返したらあああああ!!!」
鉄哲は、バットを振り抜き球を打った瞬間にバットごと打ち返してきた。
するとバットが高速回転しながら峰田の方へ飛んでいき、顔面に直撃した。
「どわっ…だあああああああ!!!」
「ミネタちゃああああん!!!」
「へっ、馬鹿が」
バットで殴り飛ばされた峰田は、そのまま空の彼方へと吹っ飛んでいき昼間の星となった。
プリンセスプリティハニーは吹っ飛んでいった峰田に向かって叫び、ブルードラゴンは呆れ返っていた。
見事峰田を退場させる事に成功した鉄哲は、ガッツポーズをして喜ぶ。
「よっしゃー!! どうだ!!」
…が。
『アウト! リアルスティール退場!』
「えっ!? 何でよ!?」
審判が失格を言い渡すと、鉄哲が驚く。
『バカですリアルスティール!! 危険行為によりバカ丸出しの退場処分!!』
「アホ…」
プレゼントマイクと心操は、普通にルール違反で退場となった鉄哲に対し辛辣なツッコミを入れた。
鉄哲がそのままとぼとぼとバッターボックスを去っていくと、目の前には鬼の形相をしたシシドが立っていた。
「何をしている貴様ァアアアア!!!」
「ス…スティール…!」
命の危機を察した鉄哲は、咄嗟に自分を鋼鉄化した。
…が。
「反省しろォオオ!!!」
「ぐああ!!!」
シシドは、鉄哲を持ち上げるとそのまま勢いよく地面に突き刺した。
見事に地面に突き刺さり首から上だけが出た状態になった鉄哲は、白目を剥いて朦朧としていた。
「が…あああ…」
(こ…怖え…)
目の前で鉄哲が制裁されるのを見た切島は、震え上がっていた。
一方で、応援係のはずのブルードラゴンとイナズマはというと。
「大体てめぇその図体ですぐキレっからビビって男が逃げちまうんだろ!! この八尺女!!」
「それは今関係あらへんやろボケ!! ほんでうちは八尺も無いわ!! こんのクソトカゲ!!」
二人は、応援そっちのけでまだ喧嘩をしていた。
一方で、天喰は試合開始からずっと会場の隅でブツブツと呟いていた。
「帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい…」
『HLB最終戦! オルカーズ対ライオネルズ! 2回終わって1対0! オルカーズの1点リード! 選手が5人に減ったオルカーズ! ここは追加点が欲しいところ! お? ライオネルズ、ここでピッチャーをマインズからファットガムに替える模様!』
「ぐぉおおおおおおおお!!!」
シシドは、どういうわけかファットガムの腹をひたすら殴りまくっていた。
『おおっと何事かあああ!!? キャプテンシシドがファットガムを殴り始めた!! 新手の愛の鞭か!!?』
「脂肪吸着だろ。シシドの衝撃をファットが脂肪吸着して、沈めて溜め込ませてる。強打者ギャングオルカを封じる為にな」
プレゼントマイクが言うと、相澤が解説を挟んだ。
それを見たギャングオルカは、目を細める。
「フッ…小癪なマネを…」
やがてファットガムが十分な衝撃を吸収すると、シシドが話しかける。
「オルカを止めろ。何としてでも」
「勝ったら屋台のタコ焼きぎょーさん食えるっちゅう話やったもんな」
「おうよ!」
ファットガムは、タコ焼きを好きなだけ食べられると聞いてやる気を出していた。
「ほな、本気出すとしよか!」
ファットガムが闘志を燃やす中、約1名腰が引けている者がいた。
(頼みます、ファット。打たせないで…! たとえ打たせても、俺の方には来ないようにして…!)
天喰は、顔色を悪くしてひたすら自分の方にボールが来ないように祈っていた。
ファットガムは、身体に溜めた脂肪をボールに全て伝えた。
「喰らえや、浪速の脂肪投法を!!」
「甘いわぁあああ!!!」
ファットガムが投げた豪速球を、ギャングオルカが気合いで打ち返した。
するとボールは一直線に天喰の方へと飛んでいく。
「ヒッ…!」
天喰は、ボールが当たる直前、悟ったような表情を浮かべる。
(あ、コレダメなやつだ…)
その直後、天喰にボールが直撃し天喰が呆気なく倒れた。
天喰が拾えなかったボールは、切島がキャッチした。
『サンイーターが喰われたぁ!! ボールがグラブからこぼれているが、切島ナイスプレー!!』
切島は、二塁の庄田にボールを投げ庄田はそれをキャッチしようとする。
が、ギャングオルカが庄田目掛けて超音波を放ってくる。
「ぐぁ…!」
超音波をモロに喰らった庄田は、意識を失って倒れる。
『オルカの超音波でマインズも逝ったああああ!!』
庄田が吹っ飛ばされると、一緒に吹っ飛ばされた球を尾白がキャッチし三塁へ投げた。
『テイルマンこぼれ球を三塁へ!!』
尾白が三塁のシシドへ投げると、シシドはボールをキャッチして唸りながらギャングオルカを睨みつけた。
ギャングオルカが超音波を放ってくると、シシドは咆哮で超音波を押し返した。
二人の放つ声が、ちょうど二人の中間地点で拮抗する。
「「ぐぁあああああああああ!!!!」」
…が、しばらくいがみ合いが続いた後、三塁に駆け込もうとするギャングオルカにシシドがボールを当てていた。
『タッチアウトー!! オルカーズ、チャンスをものにできない!! しかし、サンイーターとマインズを撃沈!!』
天喰と庄田は、ギャングオルカにやられて撃沈していた。
そしてファットガムも、“個性”の使いすぎでヒョロヒョロになって倒れた。
「あ…あかん…やりすぎ…た…」
『脂肪の燃やしすぎでファットガム倒れたあああああ!!!』
「あ〜!! 環くん!! ファットさん!!」
イブキは、応援していた天喰とファットガムが倒れたため頭を抱えて嘆いていた。
一方で、塩崎も野蛮な状況に耐え切れずに失神してしまっていた。
「あ…」
「塩崎!?」
『おっとヴァイン、状況に耐え切れず失神!! これでライオネルズは残り5人!! オルカーズは4人だけだァ!!』
「メチャクチャすぎでしょ…」
まだ3回表にもかかわらず合計9名もの選手が脱落したため、心操が呆れ返ってツッコミを入れる。
『さあ! ここで満を持してキャプテンのシシドがマウンドに立った!! バッターはチャージズマ!!』
(大した事ないバッターだ。しかし獅子搏兎。どんな獲物でも全力を尽くして狩るもの…!)
「獅子奮迅!!!」
シシドは、全力で豪速球を投げつけてきた。
すると豪速球がバッターの上鳴とキャッチャーの宍田に直撃し、二人とも後方へとブッ飛ばされる。
「「どわぁ!!」」
「いやああああ!! 上鳴ちゃああん!!」
またしてもお気に入りの男子を吹っ飛ばされたプリンセスプリティハニーは、上鳴に向かって叫んだ。
後方へ吹き飛ばされた上鳴は、衝撃のあまりアホになっていた。
「うぇーい…」
『ああーっと凄まじい豪速球!! ジェボーダンが審判を巻き込んで気絶!! チャージズマも衝撃波を受けて倒れてる!!』
あまりの豪速球に、上鳴と宍田が気絶し退場となった。
すると、あまりの地獄絵図に耳郎が焦り始める。
「ちょ…! これ、ヤバすぎ…」
耳郎がドン引きしていると、障子が耳打ちをする。
「耳郎、倒れろ。これ以上関わらなくていい」
障子が言うと耳郎はハッとし、失神する演技をした。
「ああ〜」
「耳郎!」
『おおっと!! 命の危険を感じたか、ヴァインに続いてイヤホン=ジャックも失神!! オルカーズ、二人だけになってしまった!!』
オルカーズの選手がギャングオルカと障子だけになってしまった中、シシドが砂藤に声をかける。
「シュガーマン! キャッチャーだ!」
「え…? 俺…?」
シシドが言うと、二度の“個性”使用と金的によって完全に消沈していた砂藤がキョトンとする。
それぞれが自分の位置に立つと、障子はバットを構えながら息を呑む。
(野球という名の拷問だな、これは…!)
一方で、シシドも勝利を確信しながらボールを振りかぶった。
(この回を抑え、3回裏で逆転する…! 優勝は俺のものだ!!)
「獅子奮迅!!!」
シシドが豪速球を投げつけると、バッターの障子とキャッチャーの砂藤に直撃し、二人とも後方へとブッ飛ばされ撃沈する。
「障子ちゃああああん!!!」
『うぁああ!! まただ!! さっきの再現だ!! シュガーマン轟沈!! テンタコルも逝った!! 打者の負傷退場は即アウト!! スリーアウトチェンジで3回裏、ライオネルズの攻撃に替わります!!』
「これ以上酷くなるようなら“個性”を消すぞ」
「俺も自己判断で止めさせて貰います。見てらんないんで…」
『よろしく!!』
プレゼントマイクがノリノリで実況をすると、相澤と心操が呆れた様子で言いプレゼントマイクがサムズアップをした。
『さあ3回表が終わり、代わらず1対0でオルカーズのリード!! しかし、オルカーズの選手はギャングオルカ一人だけになってしまった!!』
(ファットや天喰先輩達の為にも打つ…! 相手は一人だ! 前に球を転がすだけでいい!)
打者の切島は、チームメイト達の分まで打つ、と気合を入れて全身を硬化した。
「『
ギャングオルカは、切島目掛けて容赦なく全力投球をした。
切島は、バットを横に構えて耐え凌いだ。
すると、それを見ていた相澤と心操が目を見開く。
「「…!」」
切島は、あまりの豪速球にジリジリと後ろに押されていた。
だが、決して倒れなかった。
(ぐっ……! 何てパワーだ…! けど退くな! 退いたら何にも残らねえ!)
「うぉおおおおおおお!!」
切島は、気合でボールを押し出し、前に転がした。
切島は、フラフラの状態で一塁へと走っていく。
「…っく」
『あのボールを打ち返したあああ!!!』
切島がボールを打ち返して一塁へ走っていくと、プレゼントマイクがテンションマックスで実況をした。
ギャングオルカはボールを拾ったが、それを投げる相手がいないため黙って切島が一塁まで走り切るのを見ている事しかできなかった。
『ギャングオルカ、打球を処理!! しかーし投げる相手がいない!! ノーアウト一塁!!』
「よし!」
「やったあ、レッドくんやったあ!」
切島が一塁まで走り切ると、尾白がガッツポーズをし、応援していたイブキが上機嫌になる。
『内野手がいない以上、三塁打と言っても過言ではないでしょう!!』
「ほう…やるじゃないか。切島」
「……!」
プレゼントマイクがノリノリで実況し、相澤が感心し、心操が目を見開いていた。
「う、うう…はぁ…」
切島は、ギャングオルカの豪速球を打ち返した事で消耗し、ゼエゼエと呼吸を荒くしていた。
するとシシドが尾白に声をかける。
「テイルマン、
「えっ、でも…」
「奴さんはもう限界だ。奴との決着は、この俺がつける」
シシドが言うと、尾白は一塁の切島の方へと走っていく。
『ライオネルズ、ランナー交代!』
「シシドさんが代われって。頑張ったな、切島。ベンチで休んでくれ」
尾白が言うと、切島は緊張の糸が解けて安堵のため息をついた。
「ハァ…頼むぜ」
「それはシシドさんに言ってくれ」
尾白が切島と交代し、試合再開となった。
『ノーアウト一塁で試合再開! バッターはライオネルズのキャプテン、シシドだー!!』
ギャングオルカとシシドは、それぞれ位置につくと目と目で語り合った。
(さて、どうする?)
(まずは同点にする)
(ならくれてやろう!)
ギャングオルカがボールを投げると、それと同時に尾白が走り出す。
シシドは何もせずにバットを持ったまま構え、ギャングオルカが投げたボールが転がっていく。
その間に尾白は、二塁、三塁へと走っていった。
『ストラーイク! 多分ストライク! その間にテイルマン、二塁を回って三塁へ到達!!』
ギャングオルカは、二球目を投げた。
今回もシシドは何もせずにバットを持ったまま構え、ギャングオルカが投げたボールが転がっていく。
その間に尾白は、ホームベースに到達した。
『一点返したァ!! これで同点!!』
ライオネルズが一点取って同点に持ち越すと、ギャングオルカとシシドが睨み合う。
(ようやく…)
(心置きなく戦えるな…!)
両者が互いに火花を散らし合いながらボールを振りかぶった、その時だった。
ウゥ〜〜〜!!!
『付近の住民の皆さんにお知らせします。現在、銀行強盗を働いた
突然サイレンが鳴り、スピーカーからアナウンスが流れた。
すると、先程までいがみ合っていた二人が一直線に爆走していった。
それに続けて、応援をしていた4人も住民の救助に向かった。
「あらま、大変。アタシ達も行くわよ!」
「はい!」
「しゃあない、おいアホ。この喧嘩は持ち越しや。うちらは住民の避難誘導すんぞ!」
「てめえの出る幕なんざ無えよバーロー!! 俺が全員避難させたらぁ!!」
イナズマとブルードラゴンは、いがみ合いながらも住民を避難させに動いた。
一方ギャングオルカとシシドは、
「県道を北上…」
「だとすれば…あそこを通るはずだ!!」
そう言って二人が向かった先は、目の前にある橋だった。
◇◇◇
その頃、橋上では。
…が。
「…ん?」
「アレか」
「シシド」
「おう!」
ギャングオルカが呼びかけると、シシドが前に出てトラックを身体で受け止める。
「オルカ!!」
シシドが呼びかけると、ギャングオルカが高く跳び上がってボンネットに飛び乗り、フロントガラスを突き破って
「クッソが…くたばれ!!」
放り投げられた
すると、ギャングオルカの前にシシドが立って構える。
「オラァ!!」
シシドは、
「まだだ!!」
だが二人は
「チックショ━━━!!」
「ぬんっ!!」
「黙って…」
ギャングオルカは、そのまま
「ぐはあ!!」
「寝ていろ!!」
二人の攻撃を喰らった
すると相澤、心操、尾白、耳郎の4人が駆け寄ってくる。
「オルカ!!」
「シシドさん!!」
「遅いぞ」
「警察が来るまで
「それとプリティハニー達の手伝いもな」
そう言って二人がどこかに行こうとすると、4人がキョトンとし尾白が尋ねる。
「えっ、どこに?」
「決まってるだろ」
「「試合の続きだ!!」」
◇◇◇
二人は、互いに睨み合って目と目で語り合う。
(一球で決着をつける…!)
(望むところよ…!)
ギャングオルカは、大きく振りかぶって全力で投球した。
(優勝は…!!)
そして、自分の投げた球に超音波をぶつけて加速させる。
(俺だ!!)
シシドは、バットを大きく振りかぶってギャングオルカの球を見切った。
(優勝は…!!)
そして、バットが折れる勢いでボールを打ち返した。
(俺のものだァアア!!!)
…が、折れたバットの先端が自らの顔面に直撃した。
「ぐはっ…!!」
そしてシシドの打ったボールは、ギャングオルカの顔面に直撃する。
「ぐぉお!!」
顔面直撃を喰らった二人は、見事に撃沈した。
(やっぱり…)
(ベースボールは…)
((最高に楽しいぜ(な)……))
二人が息ピッタリで倒れ込んだ、その時だった。
プ━━━━━━ッ
『試合終了〜!! 両者ノックダウン!! テイルマンもいないので、HLBルールで両チーム試合を棄権!! よって、今年のHLB優勝はああああ!! 同率でオルカーズとライオネルズに決まりましたああああああ!!!』
試合終了のブザーが鳴り、プレゼントマイクが勝敗を言い渡す。
こうして今年のHLBは幕を閉じたのだった。
◇◇◇
夕方。
帰りの新幹線では、参加メンバー全員がヘトヘトになって座席に座っていた。
峰田に至っては、疲れ果てて6〜70歳くらい老け込んでいた。
「も…もう二度と野球なんかしねえ…」
一方、隣同士の座席に座っていたイナズマとブルードラゴンはというと、互いの額をぶつけ合ってバチバチと火花を散らしていた。
「早よ降りぃやゴミ」
「てめえが降りろカス!!」
「「んぐぇ!!」」
「お前らいい加減にしろ」
二人が睨み合って喧嘩をしていると、相澤が“個性”を発動しながら捕縛して互いの頭同士をゴチンとぶつけ合う。
相澤のお仕置きを喰らった二人は、そのまま気絶した。
一方で、Mt.レディは隣に座っていたファットガムに話しかけていた。
「ホント、えらい目に遭いましたよね」
「助っ人なんかするんやなかったわ」
「あ、せやせや忘れるとこやった!」
ファットガムが疲れ果てた様子で言うと、イブキが思い出したように掌を叩く。
イブキとプリンセスプリティハニーは、舟皿に乗せパック詰めされたタコ焼きを大量に差し出した。
「皆さん、うちらが作ったタコ焼きあるんで食べてって下さい!」
「うふふ、今日一日頑張った皆さんにご褒美あげちゃうわ。皆の分あるからね♡」
二人が美味しそうなタコ焼きを差し出すと、香ばしいソースの香りでファットガムが元気になった。
「おお! やっぱり助っ人に来て良かったわ!」
「切り替え早いですね…」
ファットガムが先程とは真逆の発言をすると、Mt.レディがツッコミを入れる。
その頃、ひなたとラインでやり取りをしていた心操はというと。
「ん…」
心操が少し考え込んでいると、プレゼントマイクが声をかける。
『ワッツアップ心操?』
「いや…何か大事な事忘れてるような…」
◇◇◇
日が暮れて、あたりがすっかり暗くなった頃。
全員が撤収したはずのグラウンドからは、虚しい声が響き渡る。
「なあ、誰か! 出してくれ!! おい、誰もいねえのかよ!! 誰かああああああああ!!!」
他のメンバーは、地面に埋められた鉄哲の事をすっかり忘れていたのだった。
ヒーロー名は青龍ヒーロー『ブルードラゴン』。
身長182cm(通常時)、体重80kg(通常時)。19歳。3月28日生まれのB型。
好物はどら焼き、もんじゃ焼き、鯛の刺身。
青い髪を短いツンツンヘアーにしている。所謂細マッチョ。
ヒーローチーム『四神』のチームメンバー。竜崎の父方の親戚。
プリティハニーのお誘いで、普段仕事で世話になっているギャングオルカの応援に来た。
イナズマと同期で、当時B組所属だった。
本人曰く三代続いた江戸っ子。
典型的な江戸っ子気質で、細かい事には拘らないものの短気で喧嘩っ早い。
当時のビッグ3だったがイナズマとは犬猿の仲で、いつももう一人のビッグ3が仲裁に入っていた。だが何だかんだで緊急時は息がピッタリだったりする。
“個性”:『青龍』
青龍に変身できる“個性”。
雲を掴んで空を飛んだり咆哮で嵐を起こしたりと多彩な使い方ができる。
ヒーローチーム『四神』
ブルードラゴンが設立したヒーロー事務所。ビルボードチャート16→14位。
メインメンバーは4人おり、それぞれが四神の一柱を担っている。
四神のメインメンバー全員がトップ10圏内のヒーローと遜色ない実力を持つ。
4人の間に上下関係は無い。
・青龍ヒーロー『ブルードラゴン』
本名竜崎(りゅうざき)蒼(あおい)。メンバー最年少にしてチーム設立者。“個性”は『青龍』。東京都出身。雄英高校OBで、イナズマと同期。
・朱雀ヒーロー『レッドスパロー』
本名朱見(あけみ)すずめ。24歳。166cm。6月1日生まれのO型。
好物は焼き鳥とスフレケーキ。
朱色のふわっとしたロングヘアー。かなりの巨乳。
紅一点。沖縄県出身。士傑高校のOGで、虎山とは高校のクラスメイト同士。マイペースでおっとりした癒し系。四神の広告塔として、アイドル的な活動も行っている。“個性”が似ているホークスを個人的に推している。
“個性”:『朱雀』
朱雀に変身できる“個性”。
ホークスやエンデヴァーには及ばないものの、高速飛行や火炎操作が可能。
・白虎ヒーロー『ホワイトタイガー』
本名虎山(とらやま)皓介(こうすけ)。24歳。176cm。9月13日生まれのA型。
好物は蜂蜜とバターたっぷりのパンケーキ、焼き肉。
白髪をポニーテールにしている。糸目。他のメンバーに比べると中性的な外見。
チーム名の考案者。京都府出身。士傑高校のOBで、朱見とは高校のクラスメイト同士。どこか嫌味っぽい性格だが、四神のブレーン的存在。意外にも野心家で、シシドやシンガポールのビッグ・レッド・ドットを密かにライバル視している。
“個性”:『白虎』
白虎に変身できる“個性”。
牙や爪を鋭い刃に変形させて斬撃を飛ばす事が可能で、分厚い鋼鉄の盾をも紙切れのように切り刻める。
・玄武ヒーロー『ブラックトータス』
本名黒木(くろき)武蔵(むさし)。29歳。191cm。12月9日生まれのAB型。
好物はアンパンとスッポン鍋。
黒髪を坊主頭にしている。左の目元に大きな傷がある。筋骨隆々な巨漢。
メンバー最年長。北海道出身。雄英高校OBで、13号と同期。10年以上別の名前で活動していたが、四神結成にあたりヒーロー名を改名した。最年長というだけあって、リーダーシップに優れており他のメンバーを統率する事が多い。厳格な性格で威圧感があるが根は優しく、強面なせいで子供に泣かれるのが悩み。
“個性”:『玄武』
玄武に変身できる“個性”。
パワー系の敵を制圧したり、氷の息を吐いて相手を凍らせたりする事が可能。
ちなみに11位のヒーローが原作では出ていなかったので、本作ではギャングオルカとシシドが11位と12位に繰り上がり、13位にイナズマが、14位に四神がいます。
最終決戦で最初に決着が見たいのはどこのチームですか?(梅干しと死柄木は最後にします)
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お茶子VSトガ
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焦凍VS荼毘
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障子VSスピナー
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ひなたVS零