その頃、緑谷達はというと。
「ご家庭や近隣に身動きの取れない方がいましたらお教え下さい!! この街一帯対
バーニンは、住民に対して避難勧告をしていた。
爆豪は、高齢者達を避難誘導していた。
「こっからは護送車だ、街から出ろ」
「ありがとうねぇ、ふわチョコ饅頭あげるよ」
「口乾くわ! いーから行け!」
「ご厚意だよ。貰っときん」
「てめーはふわチョコ饅頭が気になるだけだろ」
「お年寄りにもああなのね」
爆豪が避難誘導をしていると、老婦が礼をするために立ち止まったので、爆豪が荒々しい口調で断った。
それに対して麗日が爆豪を窘めると、爆豪がツッコミを入れた。
高齢者に対しても平常運転の爆豪に対し、蛙吹が呆れていた。
「入稿前のアナログ原稿があるんだ。ウチのビル壊さないでくれよ!?」
「大事な原稿は我々が我々がお守りします!」
飯田は、フルスロットルで避難誘導をしていた。
一方口田は、動物達を声で誘導して避難させていた。
「カワイ〜」
「クルッポ」
「感謝します。五丁目は避難完了しました!」
口田は、鳩から報告を受けるとプロヒーローに報告をする。
「こちらも今のグループで完了する!」
「老人ホームやマンションに残ってしまった人がいらっしゃらないか、一棟ずつチェックを行います!」
飯田も、プロヒーローに状況を報告した。
一方爆豪は態度が悪すぎてバーニンに怒られており、他のヒーローは避難誘導をしていた。
「慌てずに! 走らないで下さいね! 街の外の避難所へ一時待機していただきます」
A組も避難誘導をしている中、緑谷だけはその場から動かなかった。
すると轟が声をかける。
「緑谷どうした」
「サボってんじゃねーぞどういう了見だ!」
轟と爆豪が声をかけるが、緑谷は冷や汗を流しながら病院の方を見ていた。
すると麗日も緑谷を心配する。
「デクくん…?」
◇◇◇
その頃、病院では仮死状態のはずの死柄木が起き上がっていた。
起き上がった死柄木を見たエクスレスは、目を見開く。
「寒い」
死柄木が呟いた、その直後だった。
ドゴォッ
死柄木が右腕を振りかぶって地面に叩きつけ、地面を叩き割った。
すると死柄木を中心に衝撃波が発生し、瓦礫が四散する。
死柄木が発生させた衝撃波によって、相澤とエクスレスが撃ち込もうとしていた麻酔銃も粉々に砕け散った。
死柄木を見て“個性”を消していた相澤は、死柄木の一撃で発生した衝撃波で吹き飛ばされ、“個性”を解除してしまった。
「ぐぁっ…!!」
「相澤!!」
「先生!!」
「おのれ!!」
相澤が吹き飛ばされると、プレゼントマイクと通形が目を見開いて叫ぶ。
死柄木がインパクトの瞬間に散らした瓦礫が相澤のゴーグルに直撃し、ゴーグルは粉々に砕け散り、頭にダメージを負ってドロっと血が流れ出た。
エクスレスは、起き上がった死柄木を早急に始末しようとした。
だがその時、死柄木の指先がエクスレスの顔に触れる。
するとその直後、エクスレスの身体が塵になって消えた。
さらに、崩壊したエクスレスの身体を中心に崩壊が広がっていく。
「チクショウ、逃げるぞ相澤!!」
「先生、しっかり!」
プレゼントマイクと通形は、負傷した相澤を抱えてその場から逃げようとする。
幸いにも、相澤はインパクトの瞬間に遠くへと吹き飛ばされており、通形とプレゼントマイクも死柄木から離れた場所にいたため、崩壊に巻き込まれずに済んだ。
だが崩壊はすぐそこまで迫っており、逃げ切れるはずもなかった。
するとその時、異変をいち早く察知したグランドリノが全速力で駆けつけ、三人を抱えて元来た道を引き返した。
「全員退避!! ヒビに触れるな!! 死ぬぞ!!!」
グラントリノが叫んだ直後、病院が崩壊する。
一方、避難誘導をしていた緑谷が病院の方を見て呟く。
「病院が」
すると爆豪が病院の方を振り向く。
病院の周囲の森からは無数の鳥が飛び立ち、病院は少しずつ崩れていた。
そして同時刻。
『AHHHHHHHHHHHHHH!!!!!』
ひなたは、大規模に及ぶ死柄木の『崩壊』を抹消する事で相殺していた。
一方で他のヒーロー達は、ある者はリューキュウの背中に飛び乗り、ある者はイナズマの電気によるイオノクラフト効果で浮かされて崩壊を免れていた。
エンデヴァーは、ミルコともう一人のヒーローを抱えて炎で空を飛び脱出する。
「そんな…私が見た未来と違う…未来を捻じ曲げたとでもいうのか!?」
リューキュウの背中に乗っていたナイトアイは、目を見開いて青ざめていた。
いつの間にか意識を取り戻していた殻木は、狂気的な笑みを浮かべていた。
「完敗じゃった。この日の為に多くの過程を積み重ねてきたのじゃろう。じゃが今…! 奇跡、或いは『プルスウルトラ』…死柄木は起きた!! 何が確定した未来!! お前達の積み重ねなど、寝覚めの一撫でで瓦解する!! ワシらの勝ちじゃ!」
殻木は、涙を流しながら大喜びして叫んだ。
ひなたは、『崩壊』を相殺して他のヒーロー達を助け出そうとしていたが、音が届かない部分からじわじわと崩壊が侵食していく。
リューキュウの背中に乗っていた心操は、ひなたに向かって捕縛武器を伸ばしながら叫んだ。
「ひなた!! 早く飛び乗れ!!」
心操が捕縛武器を伸ばすと、ひなたは捕縛武器を掴もうとする。
だがその時、かろうじて生き残っていたハイエンドのうちの一体がひなたの髪を掴んだ。
「きゃあ!?」
「ひなた!!」
ひなたがハイエンドに髪を掴まれると、心操が目を見開いて叫ぶ。
だがその時、心操が新たに仲間にしたハイエンド『おはぎ』が、ひなたの髪を掴んでいたハイエンドの腕に噛み付いた。
「おはぎ!!」
おはぎは、ひなたを助け出すため、ハイエンドに組みついて腕を噛みちぎろうとする。
するとその隙にエンデヴァーが火炎放射でひなたの髪を焼き切り、イナズマが“個性”でひなたを引き寄せて助け出した。
ひなたは、崩れていく研究施設を見て目を見開いて叫んでいた。
◇◇◇
その頃、緑谷達はというと。
「100%『セントルイススマッシュエアフォース』!」
「『
緑谷はワンフォーオールで崩壊していく建物を吹き飛ばし、爆豪は両手から揮発させた汗をミストのように放って広範囲にわたって爆破し、崩壊を相殺した。
「全員走らせろ!!」
「エンデヴァー! おい!? エンデヴァー!?」
「皆逃げて!!」
緑谷は衝撃波で、爆豪は爆破で崩壊を相殺するが、すぐにまた崩壊が伝わる。
「止まらない! 衝撃とかの類じゃない!」
「全部塵になっていくわ…」
緑谷と爆豪は、崩壊していく建物を見てある人物が脳裏に浮かんだ。
「死柄木…!」
「クソが…! あいつの“個性”か…!」
すると轟が氷の壁を出し崩壊が伝わるのを遅らせる。
「『穿天氷壁』!!」
だが、数秒の時間稼ぎにしかならず氷も塵と化していく。
するとバーニンが緑谷達に向かって叫ぶ。
「皆退けぇ!! 病院何してんだ、誰か! 応答しろ! エンデヴァー!! リューキュウ!! 誰か!! 状況を伝えろ!!」
それと同時に、緑谷達は各々の方法で住民達を救け出していく。
◇◇◇
そしてその頃塵と化した病院跡では、エクスレスからマントを剥ぎ取り身につけた死柄木が、通形に壊された機械を漁っていた。
機械の中には、殻木が複製した“個性”破壊弾が入っていた。
「あー…ほとんどダメになってら。折角増産して貰ったのに、オーバーホールも浮かばれないぜ」
そう言った直後、死柄木は頭痛を引き起こし脳内に声が聞こえる。
そして、足元に端末が落ちている事に気がついた。
「……いいね。『崩壊』が自由に操れるなんて。さて…状況は良くなさそうだが、俺が起きたら始めるんだったな」
そう言って死柄木は、端末を操作し不敵な笑みを浮かべた。
「おいでマキア。皆と一緒に、今ここから全てを壊す」
◇◇◇
同時刻、蛇腔病院より約80km、郡訝山荘。
常闇は、ホークスを連れて空を飛んでいた。
すると常闇を見つけたファットガムが声をかける。
「あ!! ちょ待っ!」
「ファットガム!」
振り向きながら返事をする常闇の腕の中には、瀕死のホークスがいた。
常闇の近くには、レッドスパローとトゥワイスを抱えて走るホワイトタイガーもいた。
「後衛に救護班が待機しとる! 行き!」
「ラジャー!」
ファットガムが指示を出すと、常闇は救護班のいる方角へと飛んでいき、ホワイトタイガーも常闇と同じ方角へと走っていく。
その頃、セメントスやMt.レディ達は外典と交戦していた。
「セメントス無事か!」
「ええ、氷の山直ちに崩します!」
「あんたかぁ〜!!! 超痛かったんだけど! 氷嚢にしてやるわ!」
Mt.レディは、怒りを露わにしながら外典の氷を拳で砕いていく。
「レディに続け! 依然こちらのペースだ! ガンガン捕らえろ!」
「あれ、あなた…トガヒミコとコンプレスを捕捉したんじゃ……」
ヒーローの一人が隣のヒーローに声をかけたその直後、突然声をかけられたヒーローが声をかけたヒーローの喉をナイフで掻っ切った。
そしてそのヒーローは、次々と他のヒーローの首を掻っ切っていく。
「な!?」
「待て、こいつは──」
一方零は、プリンセスプリティハニーと交戦していた。
プリンセスプリティハニーは、最初こそ圧倒的な戦闘力で零を追い詰めていたが、零が他のヒーローや戦士を操って絨毯爆撃を仕掛けさせ、プリンセスプリティハニーの体力を確実に削っていた。
零は、顔半分を捥がれ死体にしがみつかれて身動きが取れなくなっているプリンセスプリティハニーに、何度もマチェットナイフを突き立てて他の仲間の居場所を聞き出していた。
「マグ姉返せよ。あんたの部下が運んでんだろ。それとも今すぐ死ぬか?」
零は、ゴキっと首を鳴らしながらプリンセスプリティハニーを睨みつけた。
だがその直後、プリンセスプリティハニーがカッと目を見開くと、零目掛けて拳を振り抜いた。
「甘いわァ!!」
プリンセスプリティハニーが零の足元の床を拳で砕くと、零は咄嗟に飛び退く。
だがプリンセスプリティハニーに足場を崩されたせいでバランスを崩し、そのまま下へ落ちていく。
「チッ」
「今よ蒼ちゃん、武蔵ちゃん!」
プリンセスプリティハニーが指示を出すと、ブルードラゴンとブラックトータスは満身創痍の状態で零目掛けて攻撃を放つ。
だがその時、ちょうど駆けつけてきた荼毘の炎によって二人の攻撃が無効化され、崩れた瓦礫によって零を見失ってしまった。
「たーすかったぜ荼毘」
「Mr.、零。他の連中は?」
「マグ姉がオカマにやられた。他は知らね」
「荼毘!! どこ行ってた隊長だろが!」
「てめぇらもだろ。軍隊ごっこなんざ奇襲で機能してねえよ。逃げねえのか?」
荼毘が尋ねると、Mr.コンプレスが下を見ながら状況を説明する。
「トゥワイスの“個性”が壊されて捕まった。そんで…止めたんだが行っちまった。あんなの自殺行為だぜ。トガちゃんがああも冷静さを欠くなんて」
「………ふーん」
Mr.コンプレスが言うと、零は頭を掻きながら下を見た。
一方トガは、変身しながら次々とヒーローを刺し殺していた。
「生きにくい。生きやすい世界に──好きなものだけの世界に──邪魔ですヒーロー」
そう言ってトガが殺気を漏らしたその時、トガの背後から巨大な手が飛び出してくる。
◇◇◇
そして再び蛇腔病院跡地。
『AHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!』
ひなたは、アコースティックシューズから衝撃波を放って高速飛行しながら、死柄木目掛けて爆音攻撃を浴びせた。
だが死柄木は、両眼を紅く光らせ、平然とした様子で笑っていた。
その見た目は、
それを見たひなたは、思わず目を見開く。
「…!」
「はは。これ、勝手に発動するタイプか。便利だなァ。あいつの“個性”」
死柄木は、零の『無効』を発動しながら笑っていた。
殻木は、本来移植するはずだった『抹消』の代わりに持っていれば何かと便利な『無効』を複製し、死柄木に植え付けていたのだ。
死柄木は、髪を逆立てて瞳を光らせているひなたを見て不気味な笑みを浮かべる。
「やっぱ、文字通り
そう言って死柄木がひなたを見ていると、後ろから炎が飛んでくる。
死柄木の背後には、足裏から炎を放って飛ぶエンデヴァーがいた。
「何をブツブツと───…!!」
エンデヴァーは、ハイエンドに放った攻撃以上の火力で死柄木を焼いた。
いくら『超再生』の“個性”を持つ死柄木といえど、本来であれば再生が追いつかずに焼け死ぬはずだった。
だが死柄木は、焼けるどころか全くの無傷で、熱がるそぶりすら見せなかった。
それを見たエンデヴァーは、思わず目を見開く。
「馬鹿な…無傷だと…!?」
「
エンデヴァーが驚いていると、ひなたが説明をした。
するとクラストがひなたに尋ねる。
「ではどうしろと!?」
「大丈夫です。僕なら、確実に壊せます」
クラストが尋ねると、ひなたはヘッドホンのダイヤルを回しながら言った。
ひなたが考え事をしている間にも、死柄木は自分の中にある“個性”を次々と掛け合わせていく。
(本当は『抹消』が欲しかったんだけどなぁ…まあ後で奪えばいいか。『千里眼』と『無効』を組み合わせて、半径300m以内の“個性”を自動的に無効化。『エアウォーク』で機動力の補強。『電波』で視界に入った奴の生体電流を読み取って1秒先までの行動を予知、『筋骨発条化』『瞬発力』『膂力増強』と組み合わせて身体能力の強化。『空気を押し出す』と組み合わせて電磁波を流し込む。『ベクトル操作』『衝撃反転』で物理攻撃を反射。『超再生』でダメージを即回復。『ブースト』で全部の“個性”を増強)
「…うん、この組み合わせは愉しいぜ」
死柄木は、ひなた達を倒すのに最適な“個性”を組み合わせて不気味な笑みを浮かべる。
ひなたは、死柄木に爆速で詰め寄って音波を浴びせようとする。
すると死柄木は、指先から『電磁波』を出してひなたに攻撃を仕掛ける。
だがひなたは、音のバリアで死柄木の攻撃を防ぎ、アコースティックシューズで空中を飛び回って距離を詰めてきた。
死柄木は、次々と手持ちの“個性”を使ってひなたに攻撃を仕掛けていく。
だがひなたは、死柄木の攻撃を無効化、或いは回避し続けた。
“個性”は当然の事ながら、それを可能にしているのは、並外れた身体能力と、今までの経験で培った予測力だった。
ひなたは、死柄木の攻撃を避けつつ爆音攻撃を浴びせた。
だが効くはずもなく、そのまま拳を振りかぶって衝撃波を放つ。
ひなたは、声を衝撃波に変えて攻撃を相殺しつつ、捕縛武器を網状に張って死柄木の衝撃波を殺した。
だが、完全に衝撃を殺し切る事はできずに腕からミシッと嫌な音が響く。
「くっ……!」
「効かないって自分で言ったじゃんかよ。お前、もしかして頭悪い?」
死柄木は失望混じりの視線をひなたに向けた。
だが、その直後だった。
「!?」
突然死柄木の身体がボンッと内側から爆発し、耳や口から血が吹き出る。
それと同時に青緑色の亀裂が死柄木の全身に走り、“個性”を破壊されて空中での制御を失った死柄木は真っ逆さまに落ちていく。
ひなたは、大ダメージを負って落ちていく死柄木を見下ろした。
「その言葉、そっくりそのまま返すね」
ひなたは、死柄木を見下ろしながら言った。
ひなたは、死柄木が“個性”を発動する前に“個性”を浴びせていたのだが、すぐに効果が出るわけではなかった。
『超再生』が発動しない程の小さな振動が、少しずつ連鎖的に増幅していき、じわじわと内側から死柄木の“個性”因子を蝕んでいた。
零の“個性”では、既に“個性”の発動を終えた攻撃を無効化する事はできないため、死柄木はなす術なく内側から“個性”と肉体を破壊されたのだ。
「今です皆さん!!」
ひなたがアコースティックシューズで飛び上がって距離を取ると、ミルコが飛び出して死柄木目掛けて右脚を振り下ろした。
「『
ミルコは、死柄木に踵落としを叩き込んで地面に叩きつけた。
地面は、ミルコに蹴られた死柄木がめり込んで放射状にヒビ割れた。
それを合図にするかのように、トップヒーロー達が一斉に攻撃を仕掛けていく。
「『建御雷神』!!」
「ヘル───…カーテイン!!」
「『
「あ゛ァ゛ア゛あ゛あ゛あ゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
イナズマは雷を落とし、エンデヴァーは死柄木を炎の膜で覆い、クラストは盾で死柄木を覆って閉じ込め蒸し焼きにした。
クラストが盾で覆って作った檻からは、死柄木の悶え苦しむ声が聞こえてくる。
死柄木は肉体改造によってあらゆる外的要因に対する耐性を引き上げられていたが、それでも遠距離持ちのプロヒーローの前に“無個性”状態で放り出されれば確実に殺されるのは目に見えた結果だった。
「即席のオーブンだ。『超再生』を使っても回復が追いつくまい。発動できたらの話だがな」
エンデヴァーは、そう言って檻の中に炎を送り込んでいく。
だが、その直後だった。
突然、クラストが作った檻を形成していた盾のうちの一枚が吹き飛び、中からボロボロに焦げた死柄木が飛び出してくる。
それを見たイナズマは、咄嗟に飛行能力が無いヒーロー達を数メートルほど浮かせて崩壊を回避した。
エンデヴァーは、確実に殺す為に放った攻撃でも死なない死柄木を見て、目を見開いて冷や汗をかいていた。
「バカな…『超再生』は使えないはず…! なぜ死なん!?」
「さすがドクターだ。ちゃんとこういう時の為の対策をしてくれてた。これが無かったら死んでたぜ」
死柄木は、不気味な笑みを浮かべながら手に握っていたペン型の注射器を投げ捨てる。
注射器の中身は、死柄木が回収した“個性”破壊弾を殻木が改良して造った、身体を巻き戻す薬だった。
死柄木は、エンデヴァーとクラストが攻撃を仕掛ける直前、薬を打ち込んでひなたに“個性”を壊される前の状態に身体を巻き戻し、身体が焼け焦げた瞬間に『超再生』で回復していたのだ。
ひなたが“個性”の使いすぎで痛くなった喉を押さえていると、イナズマがひなたを電磁波のバリアで守りつつ声をかけた。
「クレシェンド、自分“個性”使いすぎやで。インターン生が出しゃばらんと、先輩に任しとき」
「すみません…!」
エンデヴァー達は、ひなたを出来るだけ死柄木に接触させないよう守りつつ、ひなたのインターバルの間の時間稼ぎをするため次々と死柄木に攻撃を放った。
だが死柄木には一切攻撃が通用せず、死柄木はヘラヘラ笑いながら右拳を振りかぶった。
その次の瞬間だった。
ボッ
「ぬぅっ…!!」
突然、死柄木を中心に鼓膜を破る程の衝撃波が襲いかかる。
ひなたが咄嗟に声を衝撃波に変えて相殺したが、衝撃を殺し切れずにゴーグルにヒビが入る。
右腕を振り抜いた死柄木は、まるで無邪気な子供のように笑っていた。
「えーっと、これで合ってたっけ? 『デトロイトスマッシュ』」
オールマイトの必殺技を再現してみせた死柄木を、ひなたは絶望の表情で見ていた。
それを見ていた殻木は、涙を流しながら狂喜していた。
「ついにオールマイト並みのパワーに改造する事に成功したんじゃ!! これも、ワシの可愛い息子の頑張りがあってこそ!!」
「うるさい! 黙って歩け!」
殻木が泣きながら大喜びしていると、心操が殻木の気味の悪い笑みに引きつつも警察に身柄を引き渡した。
ひなたの生みの親であり、裏社会で国内最大の科学組織を設立した天才科学者、志賀円弥。
本名は殻木円弥といい、殻木の実の息子だった。
悍ましい真実を知った心操とプレゼントマイクは、青ざめて冷や汗をかきつつも、死柄木と交戦しているひなたを心配した。
「ひなた…!」
その頃、エンデヴァー達は、連携して死柄木を足止めしていた。
エンデヴァーは、炎を右拳から放出した勢いで大きく身を翻すと、死柄木の背後からありったけの炎を放つ。
「全体通信、こちらエンデヴァー!!! 病院跡地にて死柄木と交戦中!! 地に触れずとも動ける者はすぐに包囲網を──」
エンデヴァーが全ヒーローに伝えた直後、死柄木がエンデヴァーの顔面へ右手を伸ばす。
エンデヴァーは、咄嗟に死柄木の右手首を掴んだ。
「触っ」
だがその直後、死柄木の掌から衝撃波が放たれエンデヴァーは吹き飛ばされる。
「先生が貯め込んでた“個性”…生まれつき備わっていたような感覚だ。この万能感…なのに何だ、物足りない」
死柄木が箱の中に入った手を左手で引っ張り出しながら言うと、エンデヴァーが死柄木目掛けて炎の拳を放ち、死柄木はそれを右手で受け止める。
「手に入れなくちゃ、『ワンフォーオール』を」
「『ワンフォーオール』!?」
「そこに、ある」
死柄木は、瞳を光らせながら南西の方に視線を向けて不気味な笑みを浮かべた。
その頃、相澤はというと。
死柄木が放った衝撃波のせいで重傷を負い、後方でナイトアイやロックロック、マニュアル、通形に介抱されていた。
ロックロックとマニュアルが相澤の容態を見ていると、相澤が目を覚ました。
「うぅ……」
「おい、目を覚ましたぞ!」
「イレイザー!」
相澤が目を覚ますと、ロックロックが声を上げ、
すると相澤は、近くにいたナイトアイに声をかけた。
「ナイトアイ…頼みがあります…」
◇◇◇
数秒前、エンデヴァーからの通信を聴いていた緑谷達が目を見開く。
バーニンは、エンデヴァーに対して聞き返す。
「あ!? ワンフォー、何!? とりあえずアシスト向かう!」
「バーニン待って!!」
バーニンがエンデヴァーの元へ向かおうとすると、緑谷がバーニンに向かって叫ぶ。
バーニンは、緑谷達に対して指示を出す。
「君達は残るヒーローと避難を!!」
「警察の指示に従って!! もっと遠くへ!!」
するとその時、エンデヴァーからの通信が聞こえる。
『避難先の方角に向かってる! 戦闘区域を拡大しろ!! 街の外にも避難命令を!!』
エンデヴァーの通信を聞いたヒーロー達は、他の者に支持を出しながら動き出す。
「急げ!! 一分一秒を争うぞ、アレが来る!! 次来たら終わりだ!!」
「嘘でしょ、ファンクマンが…そんな…!」
「悲しむのは後にしろ!! 早く、一刻も早く避難を───」
緑谷は一瞬立ち尽くすが、すぐに自分のやるべき事を判断すると黙って走り出す。
すると、後ろから聞き慣れた声が聞こえる。
「ここで言ったら、てめェ守ろうとこの人員割いちまうもんなァ。ヒーローっつーのは皆守ろうとするから」
「かっちゃん!」
緑谷が爆豪に驚いていると、爆豪が話しかける。
「ハナから一択即決だろ」
「街の人達の安全を最優先…!」
「『ワンフォーオール』の直後に『こっちに向かってくる』だけじゃ正味根拠は薄いけどな…! とにかくてめェは動くしかねぇ」
三人が走り出すと、轟達が止めようとする。
「おい! どこ行くんだ」
「あっと! 忘れ物!! 忘れ物!! すぐ戻るから!!」
轟に対して緑谷が答えると、麗日は不安そうな顔で緑谷を見た。
緑谷は、エンデヴァーに通信をする。
「デクです!! 個別通信失礼します! 死柄木は僕を狙ってる可能性があります! 人のいない方へ誘導出来るかも!!」
「俺が潰したらァ!!!!」
「少し交信お願いします!!」
二人は、死柄木を迎え撃つ為人のいない方へと飛んでいった。
死柄木がワンフォーオールを狙っている事に気がついた緑谷達は、死柄木を人のいない所に誘導しようとしていた。
一方死柄木は、“個性”で緑谷を探していた。
すると、エンデヴァーが死柄木を追いながら尋ねる。
「何を言っている!」
『訳は後で!! 遠すぎるのと土煙でこっちから死柄木が見えません! 進行方向を変えるような素振りがあれば教えて下さい!!』
「それどころでは───」
エンデヴァーが言いかけたその時、死柄木が着地した。
エンデヴァーは炎を放つが、死柄木は当たる前に空高く跳び上がった。
「変えた!! 南西に進路を変えた!!」
『やっぱり…!! ありがとうございます!! 避難の時間を稼げる!! このまま引きつけます!!』
「ぬう!? 小僧!!」
緑谷との通信が切れると、エンデヴァーは全体通信をする。
『皆聞け!! 死柄木、跳躍し南西に進路変更!! 『超再生』を持っている!! 最早以前の奴ではない!!』
◇◇◇
同時刻、緑谷達は全体通信を聞いていた。
「来るってかっちゃん!!」
「聞いたわ!! てめェこそ聞いたんか!? 化け物になっちまってるってよ、あのカス!! 尚更ギリギリまで引き寄せンぞ!」
爆豪が言うと、緑谷がハッとして爆豪の方を見た。
「かっちゃん何で付いてきてくれたの!?」
「ブッ飛ばすぞ!」
「そんな!」
緑谷が尋ねると、爆豪がキレた。
「あん状況でノータイムで事情納得して行ける奴なんざ、俺だけだ!」
「あっ、ありがとう…!!!」
「自惚れんな。『来てくれた』だァ!? てめェ主役にでもなったつもりかよ! 俺ァあのカスに用があんだよ。オールマイトを終わらせちまった男として。てめーは餌だ。あの日の雪辱を果たすンだよ俺がぁ!! 完全勝利する!! 絶好の機会なんだよ!! わかったらてめェも気ィ抜いて足引っ張んなよ!!」
緑谷はとうとう100%の力を常時使用できるようになり、しかも受け継いだ“個性”は全て覚醒していた。
だが爆豪もインターンで実力を大幅に引き上げており、エンデヴァーとの修行により“個性”がさらに次のステージへと進化していた。
爆豪は、手から出した汗を全身に巡らせると、足裏から爆破を放って飛び出した。
「負けねんだよ俺ぁ……負けたままじゃいられねんだよ!!」
そう言って爆豪は、爆破で緑谷を追い越した。
◇◇◇
一方、死柄木は空を飛んで二人を探していた。
「え━━━と、あァ、あった。さっきの『空気を押し出す』のと、+『電波』」
死柄木は、そう言ってエンデヴァー達の方に掌を向ける。
「悪いね。あんたらは今じゃない」
ボッ
「!?」
突然、死柄木の手から電波が放たれヒーロー達の無線が壊れる。
「インカムがイカれた!?」
バーニンのインカムからは火花が散り、死柄木の電波によって他のヒーローとの連絡が取れなくなってしまった。
「「!!」」
緑谷と爆豪は、死柄木と鉢合った瞬間全身が崩壊する錯覚に陥る。
それは、神野でオールフォーワンを一瞥した際に見た経験した死のイメージだった。
「頭の中で響くんだ。手に入れろって。『ワンフォーオール』を寄越せ、緑谷出久」
そう言って死柄木が緑谷に向かって手を伸ばした、その瞬間だった。
パシィッ
「グラントリノ!!」
緑谷と爆豪をグラントリノが掴んだ。
二人がグラントリノの登場に驚いていると、グラントリノが口を開く。
「『ワンフォーオール』と聞いて、嫌な予感がしたよ。お前ら戦うつもりだったのか、アレと!? 死柄木の『崩壊』は、触れ合うもの全てを消す! 降り注ぐ瓦礫に触れただけで……死ぬ! 今のお前らでどうにかなる相手じゃねえ!」
「っでも!!」
「ヒーローはまだ、死んじゃいねェ!! アレは、残った全員で討つ!!」
死柄木が瓦礫の上に着地すると、リューキュウが死柄木に攻撃を仕掛ける。
死柄木は残った“個性”でリューキュウを攻撃しようとするが、崩壊が起こらずそのまま叩き飛ばされる。
死柄木の視線の先には、“個性”を使って死柄木を睨む相澤がいた。
「死柄木…俺の生徒にちょっかいかけるなよ」
相澤が“個性”を使うと、死柄木は不敵な笑みを浮かべる。
「本っ当、カッコいいぜイレイザーヘッド」
◇◇◇
その頃、上空を飛ぶヘリコプターが今の惨状をリポートしていた。
『こちら蛇腔病院上空です。見えますでしょうか!? 市の3分の1程が…更地と化しております…! 私達の真下では、ヒーローや警察、救助隊らが市民を避難させています。すごい数です! 昨年の泥花市と同じ惨状…! 土煙で状況はハッキリ見えません! ヒーローは一体何と戦っているのでしょう…! 保須市、神野区、昨年から続く大規模なテロ行為が今また──! ここ蛇腔で繰り返されようとしています! この日本で今、何が起きているのでしょうか!! 我々は今、どこへ向かおうとしているのでしょうか!!』
一方、死柄木は不敵に笑うと端末を取り出す。
「視界に入った人間を殺せ」
死柄木が端末に向かって話しかけた直後、ミルコが死柄木目掛けて蹴りを放つ。
死柄木は咄嗟にミルコの蹴りを避けたが、手に持っていた端末は粉々に砕け散った。
「チッ」
「てめェなァにコソコソしてやがんだ!?」
死柄木が端末を持っていた手をプラプラさせると、ミルコが死柄木を挑発するように鋭い視線を向けた。
するとその直後、死柄木目掛けて金棒が振り下ろされる。
「去ねやァ!!」
イナズマが金棒を振り下ろすと、死柄木は咄嗟に飛び退いて回避する。
だが金棒は振り下ろされた瞬間に黒い霧状の砂鉄へと形を変え、瞬時に無数の鋭い鏢へと形を変えて四方八方から死柄木に襲いかかった。
死柄木は、腕を振るって衝撃波で鏢を全て吹き飛ばした。
『AHHHHHHHHHHHH!!!!』
その直後、ひなたが無数の声の弾丸を放って死柄木を内部破壊しにかかった。
死柄木は、衝撃波でひなたの声を相殺し、ひなたを殴り飛ばしにかかる。
だがクラストが死柄木の拳の延長線上に盾を展開し、死柄木のスマッシュを防いだ。
その直後、クラストが次々と盾を振り下ろして死柄木の退路を絶った。
「エンデヴァー!! 死柄木は“個性”を使えない! 今のうちに!」
リューキュウが叫ぶと同時に、エンデヴァーが直線状に凝縮した炎を放った。
すると死柄木は、腕を振るって衝撃波を発生させ、エンデヴァーの炎を回避した。
「ったく、次から次へと…オールスターかよ」
見事な連携で次々と攻撃を放ってくるトップヒーロー達に対し、死柄木は呆れた様子で、しかしどこか楽しそうな様子で言った。
その頃、死柄木の“個性”を消していた相澤は、ロックロックとマニュアルに支えられつつ死柄木を睨んでいた。
「隠れてから視れりゃ良かったが…!!」
「その間に地面触られたら…あっ、ズレる待って!」
「助かりますマニュアルさん」
「いえいえ。分量過剰になると却って滲みて目を瞑ってしまいますんで…息合わせましょう!」
マニュアルは、“個性”で相澤の目を潤わせる。
一方、グラントリノに助け出された二人は、死柄木から離れた場所に着地していた。
「ここらでいいか」
「今、下に相澤先生が!!」
「ああ、死柄木の“個性”を封じとる」
「ジィさん! もっと離れた方がいいだろ!!」
「グラントリノ、かっちゃんは…」
「秘密の共有者じゃろ。俊典から聞いとる。ここが限度じゃ、爆豪。奴の移動速度が想像以上に速い。追える者は限られる。通信が封じられた以上離れ過ぎは却って奴を自由にさせる。留まらせ人々から引き離し、イレイザーの視界に入れた…! 既に充分な成果じゃ。ワシはイレイザー達を援護しに戻る」
グラントリノが言い相澤達の元へ戻ろうとすると、緑谷がグラントリノに尋ねる。
「隠れてろ……って事ですか!?」
「奴はオールフォーワンの“個性”を移植されたらしい。万が一『ワンフォーオール』が奪われでもしたら…『最悪』を考えろ。なに、敵は一人! これを討てねば何の為のヒーロー飽和時代か!」
グラントリノが言った、その直後だった。
ドドドドッ
「「「「「………」」」」」
猛スピードで移動しているヒーロー達、その後ろにいたのは大勢の上位脳無だった。
それを見た3人は、思わず口をあんぐりと開ける。
「脳無!!? 何で無事なんだ!!」
一方、崩れた瓦礫からは土煙が舞い上がり、その中から死柄木の声が聞こえる。
「いってぇなあ…おいNo.1。手ェ、逆だっけ? ま、いいや。後出しで悪いんだけどさ」
死柄木は、倒れたリューキュウ、ミルコ、イナズマ、クラスト、エンデヴァーの上に立って右拳を高々と挙げており、左手でひなたの頭を掴んでいた。
「どけ!!」
エンデヴァーが炎を放つと、死柄木は一瞬で離れた位置に移動する。
「『崩壊』を操れるようになったんだ。脳無のカプセルに波及しないよう調整してみたけど、全部は無理だった。流石に」
するとそれを見ていた殻木が高笑いをする。
「さすが友の弟子じゃ、ハイエンドを生かしてくれていた!! 『電波』によって誘導電流を発生させたんじゃ!! 賢くなっとる!! 只、彼等はテスト段階には至っておらん! 自律思考はできぬ…しかしその力は上位以上…………差し詰め、ニア・ハイエンドと言ったところかのぉおおお!!」
一方、暴れるニア・ハイエンド達を見た三人は目を丸くしていた。
ニア・ハイエンドは、ひなたに“個性”を壊されていたせいで本来の力を発揮する事はできなかったが、それでもヒーローに致命傷を負わせる事ができる程度には身体能力が備わっていた。
「二体イレイザーに向かいよる!! お前らは隠れていろ!」
グラントリノが相澤の元へ向かうと、緑谷は目を見開く。
「『最…悪』…!」
一方、死柄木は猛スピードで相澤の元へ向かっていた。
「見てるって事は、見られてる事も考慮しなくちゃあな。邪魔だ、イレイザーヘッド」
死柄木は、相澤の方へと手を伸ばす。
「邪魔はお前だぁ!!!」
相澤が叫んで腰に差したナイフを抜いた、その時だった。
ドッ
「!!」
グラントリノが助け出す前に、緑谷が死柄木に組み付いた。
「今度は…」
「こっちの番だ!!!」
緑谷と爆豪が叫ぶ。
すると、グラントリノと相澤が目を見開く。
「「何で!」」
「死柄木が“個性”を使えないなら、僕らも戦力に!! “最悪”は、先生を失う事! ずっと守ってきてくれた先生を、失う事です!!」
「緑谷…」
緑谷が言うと、相澤はかつて緑谷に『お前の力じゃヒーローになれない』と言い放った事を思い出し目を見開く。
緑谷が黒鞭で死柄木の身体を引っ張り上げ、そのまま『浮遊』で浮き上がると、爆豪が上から爆破を浴びせる。
「合理的に行こうぜ! 『
だが死柄木は掌で衝撃波を起こして相殺していた。
「花火でもしてんのか?」
死柄木は、爆豪の攻撃をいとも簡単に相殺した。
すると緑谷と爆豪は、同時にありったけの火力を死柄木に叩き込む。
「100%『ワイオミングスマッシュ』!!」
「『クレイモア』!!」
緑谷は100%の力で死柄木を殴りつけ、爆豪は汗を圧縮して線状に放ち、集中的に死柄木に爆破を浴びせた。
だが二人の攻撃は、死柄木を倒すのには到底至らなかった。
「何だ、こんなもんか」
死柄木が失望混じりの声を上げながら二人を攻撃しようとした、その時だった。
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』
突然、死柄木の背後から爆音攻撃が響き、死柄木はビシッと身体を内側から壊されて全身に激痛が走る。
見ると、先程倒したはずのひなたが爆速で駆け抜けていた。
「死柄木!! お前をここで討つ!」
ひなたは、死柄木を見据えながら歪に変形した捕縛武器を振りかぶった。
するとその直後、エンデヴァーが死柄木にタックルを仕掛ける。
「ぬ゛ん゛!!」
エンデヴァーのタックルを喰らった死柄木は、数メートル吹っ飛ばされる。
「エンデヴァー!」
「ショートは!?」
「二人だけです!!」
エンデヴァーが尋ねると、緑谷が答える。
すると、吹き飛ばされた死柄木が立ち上がって構えた。
「うーん、あと一手ってとこなんだけどな………よし」
「チッ」
死柄木が構えると、爆豪が舌打ちをしながら睨む。
だがその時、二体の脳無が相澤達の方へ突進する。
「あっ、まずい…!」
脳無が相澤達に襲い掛かろうとすると、一瞬ひなたと緑谷の気が逸れた。
だがその次の瞬間、通形が瞬間移動を使って脳無の頭に打撃を入れ、ナイトアイが印鑑を投げつけて脳無を足止めした。
「POWERRRRRRRR!!!」
「今のうちにイレイザーを連れて離れろ!」
「ああ! 絶対こっち近付けさせんなよ」
二人が脳無を足止めすると、ロックロックとマニュアルはその隙に相澤を連れてその場を離れた。
「オールマイト並みのパワーとタフネスだ」
「オール…マイト…」
エンデヴァーが言うと、緑谷が目を見開く。
すると相澤が“個性”を発動し続けながら言った。
「目を閉じない限りはその『力』だけです。なるべく長く保たせます」
するとひなたも、口から溢れ出る血を拭いながら叫んだ。
「ケホッ…奴は必ず僕達が止めます! 奴は確実に『壊せる』!!」
「デク、バクゴー。来てしまったものはしょうがない…『何故か』は今問わぬ!! イレイザーをサポートしろ! バクゴー!! デクを守れ!! クレシェンド!! 限界まで内部破壊を続けろ!!」
「っはい!」
エンデヴァーが叫んだ直後、死柄木が一瞬で距離を詰め口を開く。
「ワンフォーオール…!! 俺のものになれ、弟よ」
そう言った直後、死柄木の顔にはビキッとヒビが入る。
そして、自分の意思で放った言葉ではなかったのか疑問符を浮かべる。
「『ヘルスパイダー』!!」
エンデヴァーが網状に炎を伸ばすと、死柄木はそれを避けてエンデヴァーに詰め寄る。
「俺の力だ。俺の身体だ。だから黙ってろよ。俺の意志なんだよ」
死柄木がそう言った直後、グラントリノが死柄木に蹴りを入れる。
「当たれば致命、逸らすに限る。デタラメなパワーの男に稽古をつけていたんでな! これ以上、志村の思いを踏み躙るな!」
「誰だよ」
「お前の存在は、俊典を…皆を苦しめる!!」
そう言ってグラントリノが死柄木の胸ぐらを掴んで拳を振りかぶり、上からはエンデヴァーが炎を放って死柄木に迫る。
死柄木は驚異的な脚力で二人を蹴り飛ばしながら上へ舞い上がり、緑谷の方を見てニヤリと笑った。
すると死柄木の頭上から爆豪が現れ、直後死柄木の身体がひなたの鞭で拘束される。
「そいつァ餌だ!!」
「酷…!」
爆豪は最大火力の爆破を浴びせ、ひなたは死柄木にありったけの『共鳴』を浴びせる。
そして、エンデヴァーが死柄木の腹に炎の拳を叩き込む。
「バニシングフィスト!!」
◇◇◇
一方その頃、郡訝山荘では。
「頑張れ!!」
「絶対に押し負けるな!!」
「Mt.レディ!」
ヒーロー達は、ギガントマキアを行かせまいと踏ん張るMt.レディに声援を送っていた。
Mt.レディは、歯が欠ける程踏ん張ってギガントマキアの行く手を阻む。
「言われなくても、行かせませんよ!!」
はい、ついにひーちゃんを造ったゴミカス科学者とクソジジィの関係が明かされました。
そういえば原作で葉隠ちゃんの素顔が明らかになりましたけど、メッチャ可愛かったですね。
髪のカラーリングですが、プリズムみたいにキラキラしていたので個人的にはラムちゃんみたいな角度によって色が変わる緑ベースの虹色髪なのではと勝手に予想しております。
なので、本作の葉隠ちゃんもそんな感じのコスチュームを着てます。
捏造技紹介
『
爆豪の本作オリジナル技。
掌の汗を気化させ、広範囲にわたり爆発させる技。
『
爆豪のオリジナル技その2。
汗を溜めて放ち、扇状に爆破する技。
通常の『