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轟の元へ飯田と波動が駆けつけ、轟と波動は死柄木と交戦する。
轟は氷と炎で、波動はねじれる波動で攻撃を繰り出していく。
すると、その時だった。
「主よおオオオオ!!」
ギガントマキアが歓喜の叫び声を上げ建物を破壊しながら死柄木の方へ直進する。
するとその時、突然爆音が響き渡り、ギガントマキアの突進するスピードが遅くなる。
連合メンバーは、零が作ったバリアのおかげで被害を免れていたが、音波に直接晒された死柄木とギガントマキアは“個性”がバキバキと壊れて大ダメージを負う。
連合の視線の先には、髪をざわつかせて“個性”を発動しているひなたがいた。
「うるっせ…あの嬢ちゃん強くなりすぎじゃねえ!?」
「助かったぜ、零!」
「……」
急激に強くなったひなたを見て、Mr.コンプレスがツッコミを入れる。
スピナーは咄嗟に仲間を守る判断をした零に声をかけるが、零は無反応のままひなたを見据えていた。
一方で、死柄木と交戦している波動と轟は、先程まで重傷だったひなたの復活に驚いていた。
「クレシェンドちゃん! もう動けるの!? 不思議!」
「相澤! ダメだお前まだ…「皆が命懸けで戦ってるんだ! 倒れてなんかいられない!!」
「!」
「僕の事はいいから! こいつらは僕が足止めする! 今のうちに早くトドメを!」
ひなたが叫ぶと、轟は死柄木に攻撃を放ち続けた。
二人は一切隙を与えずに死柄木に攻撃を仕掛け、死柄木の中にいるオールフォーワンも『強い』と認めていた。
一方でひなたは、“個性”でギガントマキアを足止めしていた。
「止まれ…っ!!」
ひなたは、ひたすら叫んでギガントマキアを止めようとした。
するとその時、心操がギガントマキアを煽った。
「こっち向けデカブツ!! お前の相手は俺だ!!」
「小蝿が次から次へと…」
心操がギガントマキアを煽ると、ギガントマキアは心操の方を睨んで叩き潰そうとする。
だがその時、ギガントマキアに洗脳スイッチが入り叩き潰そうとした腕がピタリと止まった。
ギガントマキアを手駒にする事に成功した心操は、死柄木に特攻を仕掛けさせようとする。
「そのまま死柄木をぶっ潰せ!! あと背中に乗ってる奴等を全員振り落とせ!!」
「オォオオオオオオオオオ!!!!」
「うわ、ちょっ、これどうなってんの!?」
「にゃろ、速攻で寝返りやがった!」
心操が命令すると、ギガントマキアはカッと目を見開いて連合を振り落とそうと暴れ出し、死柄木を攻撃しようとする。
だがその時、零がクスッと笑いながらギガントマキアの耳元で囁く。
「マキア、いつまで寝てるの? 早く起きてよ」
そう言って零は、ギガントマキアの巨体を殴って衝撃を与えた。
するとギガントマキアの洗脳が解け、ギガントマキアはカッと目を見開いて雄叫びを上げた。
「オォオオオオオオオオオオ!!!!!」
ギガントマキアは、そのまま死柄木の方へ突進して死柄木を助け出そうとする。
心操は再びギガントマキアに洗脳を仕掛けようとするが、ギガントマキアは聞く耳を持たなかった。
「くっ…止まれ!!」
「ひー君!!」
ギガントマキアが突進してくると、ひなたは心操を抱えて回避した。
“個性”をズタズタにする音波を喰らい、一度は洗脳されて怒り狂ったギガントマキアは、他のヒーロー諸共心操とひなたを叩き潰そうとする。
「小蝿ごときが小賢しい真似を…叩き潰してくれるわ!!」
ギガントマキアが怒り狂って突進してくると、ひなたは最大音量で叫んでギガントマキアを止めようとする。
ひなたが音波を浴びせると、ギガントマキアがダメージを負う。
それを見た零は、珍しくハイテンションになっていた。
「へぇ、“個性”を無効化した状態でも消してくるんだ! 流石は僕の妹だ! …でも、圧倒的な馬力の前じゃほとんど意味無いでしょ?」
「きゃあっ!?」
ひなたの攻撃に痺れを切らしたギガントマキアが攻撃してくると、軽いひなたの身体は吹き飛ばされる。
吹き飛ばされたひなたを心操がキャッチするが、ひなたは既に死柄木にやられた負傷と“個性”の過度な使用によってボロボロになっていた。
吹き飛ばされたひなたがふとギガントマキアの方を見ると、ギガントマキアが死柄木の方に向かっていた。
「あっ、マズい…!」
だがひなたが態勢を立て直す頃には既に遅く、ギガントマキアが死柄木の方へと突進した。
その頃轟と波動は、死柄木と戦っていた。
「出力100%「赫灼熱拳『噴流熾炎』!!!」『
轟と波動は、同時に炎と波動を繰り出す。
だがその直後、エンデヴァーが叫ぶ。
「逃゛げろ゛ォ゛オ゛」
するとその直後、ギガントマキアが押し寄せ轟の氷を片手で粉々に砕いて二人を吹き飛ばし、ボロボロになった死柄木を指先で拾い上げた。
「ネジレちゃん先輩、ショートくんん!!!」
「降ろせ…メガネアーマー」
「気付いたか!! ダメだ君、内臓がやられて「完全…勝利…しなきゃ…」
飯田が吹き飛ばされた二人を心配すると、爆豪が口を開いた。
一方、ギガントマキアは死柄木に指示を仰いでいた。
「ハァ…ハァ、主よ!! 来たぞ!! 次の指示を!! あなたの望み通りに!!」
「死柄木!! 何て姿に…!」
無惨な姿になった死柄木に、スピナーが目を見開く。
「ショート、無事か…」
「エンデヴァーさん!」
エンデヴァーは、轟を心配するとボロボロになりながらも立ち上がろうとする。
エンデヴァーを治療していたアポロンはエンデヴァーを止めようとするが、エンデヴァーは止まらなかった。
この国を背負うトップヒーローとして、立ち上がらなければならなかったのだ。
すると、荼毘が上からエンデヴァーに声をかける。
「おーう、いたいた。こっから見るとどいつも小っさくて。お!? 焦凍もいンのか、こりゃいいや!」
「あ??」
「荼毘!!」
エンデヴァーが言うと、荼毘は手に持っていた容器の液体を頭にかける。
すると、髪の染料がみるみるうちに落ちていく。
「酷えなァ…そんな名前で呼ばないでよ…燈矢って立派な名前があるんだから」
荼毘が言うと、エンデヴァーと轟は目を見開く。
「顔はこんななっちまったが…身内なら気付いてくれると思ったんだけどなぁ」
そして、緑谷、ひなた、心操も目を見開いていた。
(燈矢って…焦ちゃんの…お兄さん、だよね…!?)
すると、荼毘がさらに続ける。
「でも俺は忘れなかった。言われなくてもずうっとお前を見ていた。お前が自ら暴露なんかしやがったせいで計画が台無しになった時は、流石に焦ったぜ。でもな、あんなもんで俺の憎しみの炎が消えると思うなよ! お前に傷つけられたのは、何も俺だけじゃない! お前に与する奴の本性を、お前に傷つけられた奴の痛みを、今この場で曝け出してやる!」
荼毘が言っている間にも、スケプティックはパソコンを叩いて映像を流し続けていた。
「……とんだ隠し玉だ…!」
「いけねえ、なんだか愉しくなってきた!! どうしたらお前が苦しむか、人生を踏み躙れるか、あの日以来ずうううううううっと考えた! 自分が何故存在するのか分からなくて毎日夏くんに泣いて縋ってた事、知らねぇだろ。最初はお前の人形の焦凍が大成した頃に焦凍を殺そうと思ってた! でも期せずしてお前がNo.1に繰り上がって俺は! お前を幸せにしてやりたくなった」
荼毘は、高笑いしながらギガントマキアの背の上で舞い踊る。
「九州では死んじまわねえか肝を冷やした! 『星のしもべ』や『エンディング』を誘導して次々お前にあてがった!! 情報収集が得意な友達にお前達の新居の場所を調べさせて、お前を憎む奴等に教えてやった!! 念願のNo.1はさぞや気分が重かったろ!? 世間からの賞賛に心が洗われただろう!? 犯した罪が少しずつ許されて、これからやり直していけると思っただろう!? 子供達に向き合う時間は“家族の絆”を感じさせただろう!!? 未来に目を向けていれば正しくあれると思っただろう!!? 知らねェようだから教えてやるよ!!! 過去は消えない。ザ!! 自業自得だぜ! さァ、一緒に堕ちよう轟炎司!! 地獄で俺と踊ろうぜ!!!」
するとエンデヴァーは、絶望の表情で呟く。
「燈矢は死んだ、許されない嘘だ」
「俺は生きてる。許されない真実だ、お父さん! 炎熱系の事務所固めてっから俺に疑問すら抱かなかったんだろ」
荼毘が言うと、他の連合メンバーは驚いていた。
「荼毘それ初耳だわ…」
「俺らにも隠してたのか…何が何やら…とにかく! 起きろ死柄木!! 来たぞ!! マキアに指示を!!」
「何だよ……お前も血筋か……」
Mr.コンプレスは、そう言って仮面に手を当てる。
「疑ってんなら血でも皮でも提供するぜ、DNA鑑定すりゃあいい。まァ、こっちはとっくに済まして公表中だけどな」
荼毘は、笑いながらエンデヴァーを見下したように言った。
すると零は、いきなりぶっと吹き出して珍しく大笑いした。
「あっははははは!!! いやぁケッサクだぜ!! こんな偶然あんのかよ!!」
その直後、ギガントマキアの背中にいたはずの零がひなたの目の前に立っていた。
零は、ひなたと目が合うなりニィッと不気味な笑みを浮かべる。
心操は、満身創痍のひなたを庇って迎撃態勢を取る。
だが零は、何故か二人の横を素通りした。
「…!?」
ひなたを一瞥すらせずに素通りしていく零を見て、心操は思わず零の方を振り向く。
零が向かったのは、応急処置を受けている相澤のところだった。
相澤に応急処置をしていたマニュアルとロックロックが零を警戒し、相澤が重傷で朦朧としつつも零の方へ視線を向ける。
すると零は、貼り付けたような笑みを浮かべながら腕を捲る。
「久しぶりだね、相澤先生。僕が誰だかわかるよね?」
「………!!」
零の腕には、夥しい数の噛み跡がついていた。
その傷を見た瞬間、相澤は大きく目を見開く。
「零…凪……!?」
「あはっ、覚えててくれたんだ。嬉しいなぁ。お前に会いにわざわざ地獄から舞い戻ってきてやったよ、
零がニタァと笑うと、相澤はサァッと血の気が引く。
一方、全国のテレビでは、スケプティックが用意した荼毘の映像が放送されていた。
『僕、轟燈矢はエンデヴァー家の長男として生まれました。今まで30人以上の罪なき人々を殺しました。僕が何故このような醜穢な所業に至ったかは、ご存知の方がほとんどでしょう。僕はエンデヴァーに『失敗作』の烙印を押され、捨てられ忘れられました。人を焼いた僕の炎はエンデヴァーの炎で─────────』
映像の中の荼毘は、DNA鑑定の結果を見せる。
『九州の戦いで残されたエンデヴァーの血と99.99%一致してます。これで信じていただけたでしょう。僕は、幼い頃から父の醜態をずっとこの目で見てきました。エンデヴァーは人を思いやる心なんか持ち合わせていない! 先日の謝罪会見だって、結局は罪悪感から逃れたいだけの自己満足に過ぎない! これだけの事をしておいて、てめぇの怠慢で
荼毘は、さらに残酷な事実を告げる。
『エンデヴァーに連なる者も同様です。No.2ヒーローのホークス』
荼毘が映したのは、ホークスがトゥワイスを撃っている映像だった。
「わ!!?」
『皆が待ってるぜ』
『ああ、ああ!』
するとそこで映像が砂嵐になり、荼毘の声だけが聞こえる。
『ホークスは、泣いて逃げる
映像の編集を担当したスケプティックは荼毘の方を見てドヤ顔をする。
「急拵えだが挿入編集バッチリだ、平伏しろ」
「助かるよ。てめェのカメラで良い画が撮れたんで使わねェ手はねェと思ってさ。エンデヴァー、こっちは俺からのプレゼントだ。スパイ野郎のホークスの事も調べて回った」
荼毘が言うと、映像の中の荼毘が続ける。
『彼は僕らに取り入る為にあろう事かヒーローを殺しています…休養中だったNo.3ベストジーニストを。暴力が生活の一部になってしまっているから、平然と実行できてしまう。それもそのハズ、彼の父親は連続強盗殺人犯……
映像の荼毘が言うと、ひなたが目を見開く。
一方で、零は始終ニヤニヤしながら荼毘の声を聞いていた。
『彼女は7年前に解体させられた
映像の荼毘が言うと、どこからかスーツに身を包んだ零が映像内に登場する。
零は、大袈裟に身振りをしながら自分の素性を明かした。
『はじめまして。僕、
そう言って零は、被害者の演技をしながら悲痛そうに語った。
すると次の瞬間、映像にある一枚の写真が表示される。
中年男が椅子に拘束され、拷問されている写真だった。
スケプティックの画像編集によりモザイクがかけられていたものの、両手足には釘をたらふく打ち込まれ、全身を焼かれて火傷痕だらけになっていた。
さらには、20代前半と思われる若い男が背中合わせに座らされ、鋸のようなもので切断された頭部が無造作に床に転がっていた。
『こいつが僕を見殺しにしたクズです。ちょっと
映像の中の零が言うと、それを見ていた市民達は騒然とする。
零は、自分の服をたくし上げ、過去のいじめでつけられた傷を見せながら続ける。
『こいつはエンデヴァーによく似た男でしたよ。てめぇの自己顕示欲を満たす為に一人息子に英才教育をして、自分の子供の隣に“無個性”の僕がいる事がよっぽど気に入らなかったのか、僕をいじめるよう仕向けました。そして、僕が
映像の中の零は、迫真の演技をしながら身の上話をした。
涙ながらに語る零の言葉に、市民達の心は揺らいだ。
だがほとんどの市民達は、気づいていなかった。
零が本当に復讐したいのは、自分を見殺しにしたヒーローでも、自分をいじめたクラスメイトでも、その原因を作ったエンデヴァーでもなく、死にゆく自分に対し最後まで無関心だった民衆だった。
『痛くて、怖くて、苦しかった!! 信じていたものに裏切られて、とても悲しかった!! 僕をあんな目に遭わせた奴等を許せなかった!! でもね、僕が憎いのはこいつらだけじゃない! 元を正せば、僕を
映像の中の零が言うと、零は不気味な笑みを浮かべながら相澤に話しかける。
「なぁ兄ちゃん。俺が何もないところから湧いて出たと思うか? いいや違うね! 誰かたった一人でも俺を見てくれていたなら、俺だって
「てめ…!」
零がヘラヘラ笑いながら相澤に話しかけると、ロックロックが零を警戒して“個性”を使おうとする。
だが零は、相澤を介抱していたロックロックとマニュアルには目もくれず、手から火花のようなものを散らして二人を気絶させた。
二人を倒した零は、何事も無かったかのように相澤に話しかける。
「俺は、世界に捨てられた。だから俺も世界を捨てる。俺は俺の生きたいように生きる。それを邪魔する奴は、みんなまとめてぶち壊す。至ってシンプルだろ?」
「お、まえ……」
「でも101号。…いや、相澤ひなた。お前だけは違う。お前は元々
零は、ニィっと口角を吊り上げて笑った。
ひなたは、目を見開いてその場で立ち尽くしていた。
『僕は許せなかった! 僕を捨てた父がヒーローを名乗り! 部下を増長させて小さな男の子の人生を踏み躙り! さらには父に連なる者達も、皆さんを欺いてヒーローを名乗っている! こいつらはヒーローなんかじゃない! 我が身可愛さに人を傷つける、ただの鬼畜だ!』
荼毘は、零の過去を、そしてエンデヴァーの周りの人間が犯した罪を暴露した。
家族への復讐だけを信念に生きてきた荼毘にとって、零の過去は、エンデヴァーを失墜させるのに都合が良かった。
世界を壊すという執念を原動力にこの世に戻ってきた零にとって、荼毘の存在は、民衆の本性を剥き出しにするのに都合が良かった。
そして偽りのヒーロー社会を壊すという一点で言えば、奇しくも零と荼毘の目的は一致していた。
だからこそ、二人は自分の目的の為に互いを利用したのだ。
荼毘が言うと、『見ろやくん』は目を見開いて口を塞ぐ。
すると、隣にいた鮫顔の男は目を見開きながら言った。
「“見ろやくん”…いかんよこれ…言ったもん勝ちやん…事実かどうかは後回しでいいんやもん………敵の言葉とは言え………揺れるやろ…こんなん。ごめん、俺も今そうたい…! ごめんな…! 既に信じられん程被害出とるやん……“見とう”けんこそ…揺れない方が“馬鹿”なんやないか…!?」
荼毘は、ニィと笑うとギガントマキアの背中から飛び降りる。
「今日まで元気でいてくれてありがとう、エンデヴァー!!」
荼毘が炎を放ちながら飛び降りると、エンデヴァーもまた炎を放ちながら荼毘に立ちはだかる。
エンデヴァーは、自分だけではなく周りの者達まで陥れられた事に激昂していた。
「俺はいい…だが、関係ない者達を巻き込むな!!」
「関係ならあるさ! お前が巻き込んだ! 全部、全部、お前の火の不始末が招いた事だ! 俺は、お前を堕とす為なら何だってやってやる!」
荼毘が言うと、エンデヴァーは目を見開いて固まる。
荼毘の言葉は、エンデヴァーに深く突き刺さった。
昔のエンデヴァーは、自分がオールマイトを超える事に必死で、部下を注意深く見張ってこなかった。
その結果増長した部下がまだ5歳だった男の子の人生を踏み躙り、あろう事か見捨てて死なせたという事実が、エンデヴァーをさらに追い詰めた。
エンデヴァーが一瞬目を見開いて固まると、轟が叫んだ。
「親父!!」
すると荼毘は、歪な笑みを浮かべながらありったけの炎を出す。
「赫灼熱拳『プロミネンス───…
荼毘が大技を繰り出そうとした、その時だった。
ガガガガガッ
「!!」
突然ワイヤーが降ってきて、荼毘は拘束される。
空を見上げると、ヘリコプターからワイヤーと共にベストジーニストが降ってきていた。
「遅れてすまない!! ベストジーニスト、今日より活動復帰する!!」
◇◇◇
数秒前、ベストジーニストはヘリコプターの中で投下の準備をしていた。
「仲間の過去まで告発して、無理矢理にでもこじつけてエンデヴァーのヘイトを誘うとは…荼毘め…待っていたんだな… ヒーローの信頼が揺らぐ時、甚大な被害を食い止められなかったこの時を──…」
『ジーニスト! 投下開始します!』
「思い通りには絶対にさせん──!!」
ベストジーニストは、ヘリコプターから飛び降りるとワイヤーをギガントマキアと
それを見た爆豪は、血を吐きながらも微笑んでいた。
「……行方不明って────!」
いきなりワイヤーで縛られた荼毘は、ベストジーニストを睨みつける。
「てめェ…! 死んでた筈だ。本物の死体だった」
「欲を掻くから綻ぶのだ。粗製デニムのようにな!!」
「てめェが生きてたとして轟家の過去が消えるわけじゃねえだろ。なァ!? 焦凍!!」
荼毘は、そう言って炎を放ちながら轟を睨みつける。
一方、ギガントマキアは連合にワイヤーで拘束され身動きが取れなくなっていた。
「ぬ゛う゛う゛!!」
ギガントマキアがワイヤーを振り解けずにいると、Mr.コンプレスが驚く。
「ウソだろ!? マキアが封じられるなんて!!」
「ぐっうう! 折れる痛ぇ! ……!! マキアの体力も無限じゃねぇ! 死柄木!!! 起きろ!! つーか生きてるよな!? 命令が必要だ!! 死柄木!! まだ何も壊せちゃいねえだろ!!」
「ああ全くだ! 肉人形のカラオケ大会如きに無様にやられてんじゃねえよリーダーさんよ!」
スピナーと零が死柄木を起こそうとすると、波動が死柄木、スピナー、零の三人を狙う。
だが…
「ぎゃ!!!!」
その瞬間、荼毘が波動に炎を放つ。
波動は荼毘の炎で大ダメージを負い、轟は目を見開いて叫ぶ。
「ああ!! 波動先輩!!」
「ははは! 大変だエンデヴァー!! まただ! また焼けちまった! 未来ある若者が!! お前の炎で!!!」
そう言って荼毘がありったけの炎を放つとワイヤーが焼き切れた。
「やめろォ!!」
轟が叫ぶが、荼毘は炎の放出をやめなかった。
「死…柄木…!!」
「…壊…せ……マキア……」
死柄木が呟くと、ギガントマキアは目を光らせて雄叫びを上げる。
「はああああああああ!!!」
するとギガントマキアのパワーが桁違いに跳ね上がり、ベストジーニストのワイヤーがブチブチと切れ始める。
◇◇◇
一方、他のヒーローはニア・ハイエンド達と交戦していた。
「半分はやったか…!?」
「半分以上やられてるが」
するとニア・ハイエンド達は、一直線に死柄木の方へと向かっていく。
「死柄木の方に四匹───!!」
バーニンが他のヒーロー達に伝えてニア・ハイエンドを追おうとしたその時、バーニンの背後から鰻のような姿のニア・ハイエンドが現れる。
「バーニン───!!!」
ヒーローの一人が叫んだその時、『炎のサイドキッカーズ』の一人、アルテミスが炎の矢でニア・ハイエンドを貫いた。
だがアルテミスの攻撃は、ニア・ハイエンドにはほとんど通用しなかった。
「くっそ…!」
◇◇◇
一方その頃、死柄木の命令を受けたギガントマキアは、雄叫びを上げながらありったけの力でベストジーニストの拘束を解こうとしていた。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
すると、ギガントマキアが暴れているのも相まってか地面はバキバキと割れていく。
一方轟は、荼毘と交戦していた。
「
「それならそれでエンデヴァーが苦しむ」
荼毘が平然と言ってのけると、轟は怒りを露わにする。
「イカれてんのかてめェ!!!」
「そうだよ焦凍、兄ちゃん何も感じなくなっちまったぁ」
「燈…矢…」
「ようやくお前を殺せるよ」
轟が荼毘の炎で焼かれていくと、荼毘は歪な笑みを浮かべた。
その頃ひなたと心操はというと、零と交戦していた。
ひなたが零の“個性”を消し、二人でナイフと捕縛武器を使った格闘術で応戦したものの、肉体改造をされて元の力を強化されている零の前では防戦一方だった。
零が目に留まらぬ速さで得物のマチェットナイフを抜いて振り下ろしてくると、ひなたは零の剣戟を短刀で全て受け流す。
心操が零に捕縛武器を投げて拘束しナイフを突きつけようとすると、零はナイフで捕縛武器を切断し、素早く懐からスローイングナイフを抜いて心操に投げつける。
心操は身を翻して飛んできたナイフを避けるが、何本か避け切れずに右脚と左頬に掠った。
「っぐ…!」
そして次の瞬間には零はひなたの懐に入り込み、ナイフで肩を斬りつけた。
「ぐぁ…!」
「おいおい、随分と弱くなっちまったんじゃねえの?」
「っ…!」
「そりゃあ本気は出せねえよな。ここでフルパワーで叫んだりなんかしたら、皆を巻き込んじまうもんなぁ。ほら、お前が俺に手こずってる間にもどんどん人が死ぬぜ? 偏にお前が甘ったれてるせいだ」
零は、短刀を振るって攻撃を防ぐひなたの右手を掴んでニヤリと笑った。
「いい加減その甘さを捨てろよ。周りの事なんか考えるな。お前はただ、目の前の俺を殺す事だけ考えてりゃいいんだ」
「かはっ…!」
腹を膝で蹴られたひなたは目を見開いて血を吐き、ひなたの身体からは肋が折れる音がした。
零が満面の笑みを浮かべながらひなたの頭を掴んで何度も腹に膝蹴りをしていると、心操がひなたを助けようと捕縛武器を零に投げつける。
すると零は、不機嫌そうに心操を睨みながら捕縛武器を掴み、捕縛武器を絡め取って力強くで心操を引き寄せた。
心操の懐に入り込んだ零は、ナイフを振り上げて心操の右脇腹から左肩にかけてまっすぐに斬りつけた。
そのまま左足で心操の身体を踏みつけると、スパイクのついたブーツで傷口を踏みつけて抉る。
「ぐぁぁあああ!!」
零は、顔に飛んだ返り血を親指で拭い、冷めた目で心操を見下ろしながらタバコに火をつけて一服した。
◇◇◇
連合が拘束されている中、Mr.コンプレスがスピナーに声をかける。
「おいスピナー!! 後ろ見ろ!!」
「あ!?」
「こりゃ… ツキが回ってきた」
Mr.コンプレスが言いスピナーが目を向けると、ベストジーニストの背後からニア・ハイエンドが接近していた。
「ベストジーニスト!!」
緑谷は叫び、ベストジーニストを助ける為動こうとする。
その時だった。
ベストジーニストの背後から襲いかかろうとしたニア・ハイエンドの左目に、印鑑がめり込む。
見覚えのある攻撃に緑谷が目を見開いた、次の瞬間だった。
「POWER!!!」
突然通形が現れ、ニア・ハイエンドを全て蹴散らした。
ナイトアイと通形が合流すると、緑谷が目を見開く。
「ルミリオン! ナイトアイ!」
「遅れてすまない!」
「こいつらに襲われてたヒーロー達を助けてたんだよね!」
そう言って通形は、再び脳無に攻撃しようとする。
だが通形の攻撃は脳無に決定打を与えられるだけの威力は無く、脳無はそのまま起き上がって通形に襲い掛かろうとする。
するとその直後だった。
BOOOM!!!
「!!」
爆豪が爆破で、飯田が爆速で、そして波動がねじれる波動でニア・ハイエンド達を蹴散らしていく。
「バクゴーくん!? ちょっと目を目を離したら!! 動いちゃダメだ、死ぬぞ!!」
「ネジレちゃん! 大丈夫かよ」
「通形来たら平気。不思議!」
飯田は爆豪を、通形は波動を心配するが、波動は『平気』と言い張った。
するとベストジーニストが爆豪に話しかける。
「世界は見えたか? “バクゴー”」
ベストジーニストが尋ねると、爆豪はニッと笑いながら言った。
「それは仮だ。あんたに聞かせようと思ってた! 今日から俺はぁ、『大・爆・殺・神ダイナマイト』だ!!」
(小二!!)
(長い!!)
(物騒!!)
(ダッセ)
(ダセェ)
「はは」
「……フ」
ベストジーニスト、飯田、波動、Mr.コンプレス、スピナーが心の中でツッコんだが、通形とナイトアイだけは笑っていた。
「良いヒーロー名だね、ユーモアがある!」
「欠片もねェんだが!!?」
「『元気とユーモアのない社会に明るい未来はやって来ない』、私達のモットーだ。…さて、ここが正念場だ。行くぞルミリオン」
「はい! ここを抑えて総決算だ!!」
ナイトアイが言うと、通形はそう叫んで全員で一気に畳みかけようとした。
◇◇◇
一方轟は、荼毘に抱きつかれて炎を浴びせられていた。
轟は、右側の氷で荼毘の炎を中和しようとしたが、荼毘はそれすらも軽く上回る火力で轟を焼いた。
「向こうは楽しそうだなァ。可哀想になァ、お前はこんなに辛いのに。見ろよあの顔」
そう言って荼毘がエンデヴァーを見ると、エンデヴァーは絶望の表情を浮かべて震えていた。
自分のせいで息子が
その表情を見た荼毘はさらに笑い出す。
「最高傑作のお人形が失敗作の火力に負けて死にそうだってのに…! グプっ…なァ見ろって! 壊れちまってるよ!! せっかく自分の罪を曝け出してやり直そうとしてたってのに、自分のせいで二人も犯罪者を出した事実に耐えられなかったか!! はははは!! 焦凍!! 俺の炎でお前が焼けたら、お父さんはどんな顔を見せてくれるかなァ!?」
荼毘が歪な笑みを浮かべながら言ったその時、緑谷が黒鞭で荼毘を轟から引き剥がした。
「ん゛ん゛ん゛!!」
緑谷が使った黒鞭は、ワンフォーオールの訓練の際に蛙吹の技を参考に口から黒鞭を伸ばす『フロッピースタイル』という技だった。
だが、荼毘はさらに炎を放って緑谷の黒鞭を弾き飛ばす。
「ガッ」
「他所の家に首突っ込むなよ!」
「突っ込む! 轟くんは大事な友達だ!! エンデヴァーは僕を強くしてくれた恩師だ! 過去は消えない! だから頑張ってる今のエンデヴァーを僕は“見てる”! お前はエンデヴァーじゃない!」
緑谷が荼毘に向かって叫ぶと、エンデヴァーの心が突き動かされる。
荼毘は、それを聞いてさらに高笑いする。
「ははは、そんな事は誰でもわかる!! でも俺は可哀想な人間だろ!? 正義の味方が犯した罪、それが俺だ! 悪が栄えるんじゃねェ! 正義が瓦解するだけ! 俺はその責任の所在を感情豊かな皆々様に示しただけだ! これから訪れる未来はきっと、キレイ事など吹けば飛んでく混沌だろうぜ!」
◇◇◇
一方、ギガントマキアはベストジーニストの拘束を解かんと暴れ、ついにはベストジーニストのワイヤーを引きちぎった。
「ヤバい!」
だがその時、エンデヴァーがギガントマキアの顎に激突する。
そしてその直後、ギガントマキアが急に倒れた。
「マキアぁ!!?」
「〜〜〜!? 力が…!」
ギガントマキアが力を失ったのを見て、通形はハッとする。
「────!!! 山荘からの連絡にあった…効果は無かったって報告だった…!! 毒が効いてる!!!」
「この場で毒の効果が表れた事…! きっと偶然ではないハズだ…多くの者が少しずつ強大な此奴を削り、効果が表れる程に弱らせたのだと私は信じる…! 一本は細くとも縒って連なり縄となったのだ。どれか一本ほつれていてもこの結果は生じ得なかったと! 私は信じる」
ベストジーニストが言った直後、ギガントマキアは麻酔が全身に回って倒れる。
雄英生やプロヒーロー達、そしてひなたと心操の足掻きは無駄ではなかったのだ。
「チッ、あーあ。ゲームオーバーだ」
零がため息をつきながら言うと、ひなたはその一瞬の隙を狙って零に攻撃を仕掛ける。
だが零は、“個性”を使わずとも体術だけでひなたを圧倒し、攻撃してきたひなたをあっさり蹴飛ばした。
「ぎゃ!!」
ひなたが零を蹴飛ばすと、心操が捕縛武器でひなたをキャッチして衝撃を殺した。
零がのらりくらりとした動きで接近してくると、心操は相澤に習った格闘術で応戦する。
だが人間の域を超えた零には及ばず、刃の長いナイフで斬りつけられる。
「ぐぁ…!」
「ひー君!!」
ナイフで斬りつけられた心操の身体から血が飛び散ると、ひなたが血相を変えて駆け寄る。
すると、それを見た零は何かを思いついたように目を見開く。
「…あ。いい事思いついた。というか、バカだな俺は。何でこんな単純な事に気付かなかったかな」
そう言って零は、二人の方に視線を向けると不気味な笑みを浮かべる。
そしてその直後、懐からもう一本ナイフを抜くと、心操の怪我を応急処置しているひなたの背中目掛けて投げた。
「……!!」
ギガントマキアがベストジーニストのワイヤーで完全に拘束されると、ベストジーニストがワイヤーで荼毘を捕縛しにかかる。
するとニア・ハイエンドがベストジーニストを狙おうとしたが、通形がニア・ハイエンドを殴りつけた。
だが、ニア・ハイエンドが通形を殴りつけると、通形は吹き飛んでいく。
するとナイトアイが印鑑を投げつけてニア・ハイエンドの目を潰し、通形を援護する。
「ルミリオン、無事か!」
「はい…! 向こうのヒーローが苦戦するわけだ…! 動きは単純だけど、スピードと強靭さが尋常じゃない…! 恐らく一体一体が九州の脳無に匹敵する程の強さ、ショッカーに与えられていいスペックじゃないんだよね!!」
「大・爆・殺・神ダイナマイトは下がるんだ! 受け身も取れない体では相手にならん!」
「ガハ…!!」
飯田は、血を吐きながら戦う爆豪に言った。
一方その頃、連合はベストジーニストに拘束されていた。
「ぎっ!?」
ベストジーニストは、ワイヤーで連合の首を絞めた。
「ス…ヒナ…俺…
そう言ってMr.コンプレスは自分の尻に手を当て、“個性”を使って自分の尻の肉を圧縮した。
すると腕の可動スペースが増え、Mr.コンプレスはスピナーと死柄木を圧縮した。
そして、二人を圧縮した玉を掴むとギガントマキアの背中へと登っていった。
「その怪我は致命傷だ、逃げられんぞ!!」
そう言ってベストジーニストがMr.コンプレスの服を拘束するが、Mr.コンプレスはあらかじめ手を肩に置いており自分の服を圧縮して拘束を解いた。
「あ! おい、ここだ! 逃げるのか、助けろ! 俺も助けろ!」
ギガントマキアの背中にワイヤーで拘束されていたスケプティックが叫ぶと、Mr.コンプレスはスケプティックを圧縮した。
張間鷗児。
稀代の盗人で、大昔の犯罪者だった。
現行制度が整備され始めた頃、私腹を肥やすヒーローを標的に盗みを働き、盗んだ金品を市井にバラまき世直しを訴えた。
Mr.コンプレス、本名迫圧紘は、張間の玄孫だった。
一方荼毘は轟に炎を放っており、轟が荼毘に向かって叫ぶ。
「燈矢───!!」
「ごめん焦凍、事情が変わった」
そう言って荼毘は、右手から炎を放つ。
「赫灼熱拳『ジェットバーン』!!!」
荼毘が高威力の炎を一気に解き放つと、轟は全身を焼かれる。
「轟炎司が壊れてない上に気絶しちまったらこのショーの意味がない、ごめんな最高傑作」
零は懐からもう一本ナイフを抜くと、心操の怪我を応急処置しているひなたの背中目掛けて投げた。
だが先に零のナイフに気付いた心操が咄嗟にひなたを庇い、零が投げたナイフが胸に深く突き刺さる。
「がはっ……」
「ひー君!!!」
心操が苦しそうに血を吐くと、ひなたは目を大きく見開いて叫ぶ。
ひなたが今にも泣きそうになっているのを見て、零は不気味な笑顔を浮かべる。
「あーあ、かわいそうに。お前が俺を殺さないから」
「あ、あ…あああ…!!」
心操が重傷を負うと、ひなたは負の感情が抑え切れなくなり、身体からバチバチと黒い火花を散らす。
負の感情が“個性”を禍々しく歪め、やがてひなた自身の姿にも変化が現れ始める。
それを見た零は嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、自分で刺した心操に手を振った。
「じゃあね。もし生きてたらまた殺しに来てあげる」
そう言って零は、Mr.コンプレスのところまで軽い足取りで駆けていった。
「来い! 荼毘!! 零!!」
二人がMr.コンプレスの元まで行くと、Mr.コンプレスは二人を圧縮する。
「俺ぁ張間の孫の孫!! 盗賊王の血を継ぐ男!! カゲが薄いと思ってた!? そりゃこちらの術中よ! ここぞという時その為に、タネはとっとくもんなのよ。Mr.コンプレス、一世一代──ー!! 脱出ショウの開演だ!!」
Mr.コンプレスが叫びながら死柄木とスピナーを逃がした直後、通形がMr.コンプレスに一撃を浴びせる。
通形はそのまま死柄木とスピナーを捕らえようと手を伸ばす。
圧縮された荼毘達はスピナーのマフラーの中に隠れており、スピナーは死柄木のポケットに入っていた焼け焦げてボロボロの手を死柄木の顔に被せていた。
焼け焦げた手を被った死柄木は、目を見開くと広範囲に渡って電波を放つ。
「本当に…良い仲間を持った……心とは力だ。彼の心が原点を強く抱けば抱く程、共生する僕の意識も強くなる。憎しみを絶やすな弔」
そう言って、死柄木の身体を借りたオールフォーワンが立ち上がる。
すると、ニア・ハイエンド達がオールフォーワンの方へ走り出す。
「!! 脳無が!!」
「『電波』を上手く扱えば、脳無たちに具体的な信号を送る事も可能だ」
「うお!!!」
ニア・ハイエンド達は、飯田達を押し退けてオールフォーワンの方へ向かっていく。
「っ…!!」
一方、Mr.コンプレスを確保した通形は、危険を感じ死柄木達から遠ざかっていた。
オールフォーワンは、“個性”を発動してニア・ハイエンドの壊れた“個性”を治し、移動手段に利用した。
スピナーは、オールフォーワンに向かって叫ぶ。
「死柄木待てコンプレスが! マキアはどうする!? それにトガも「いいんだ伊口くん。弔は負けた、ワンフォーオールとエンデヴァー、そしてそれに連なるヒーロー達に。その代償は潔く差し出そう。全ては僕の為に」
そう言ってオールフォーワンは不敵な笑みを浮かべる。
「荼毘と零もそっちだ───!! 逃がすな!!」
ベストジーニストが叫ぶと、ヒーロー達は飛行型のニア・ハイエンドに乗って逃げる連合を追いかけようとした。
すると、緑谷が『フロッピースタイル』でオールフォーワンの前に現れる。
「この身体が仕上がったらまた会おう、出来損ないの緑谷出久」
オールフォーワンが言うと、緑谷が叫ぶ。
「お前は黙ってろ…! オールフォーワン!!」
「また会おう」
そう言ってオールフォーワンは、右手の衝撃波で緑谷を弾き飛ばした。
「死…柄木…!! 待て…!! お前を…必ず…」
そう言う緑谷だったが、下へ下へと落ちていく。
確かに緑谷にとって死柄木は、大勢を殺し、大切なクラスメイトや先輩、恩師達を傷つけた張本人だった。
許せるはずがなかった。
だが、オールフォーワンに飲まれた弔が、助けを求めたように見えていた。
本名:
性別:男性
年齢:24歳
所属:
“個性”名:『夢幻』『無効』(右眼と左眼で別の“個性”を所持)
身長:168cm
体重:54kg
誕生日:2月29日
血液型:AB型
出身地:東京都
好きなもの:妹
嫌いなもの:妹
性格:拗らせシスコン
戦闘スタイル:初見殺し&近接格闘
口調:一人称は基本『僕』だが、感情が昂ると『俺』になる。口調はフレンドリーだが、連合メンバー曰く『何故か癇に障る喋り方』。
ICV:緒方恵美
VILLAIN’S STATUS
パワー:B
スピード:A
テクニック:S
知力:B
協調性:E
◯概要
◯人物
元々はひなたを生み出した組織『ウロボロス』にいたが、施設から姿を消し、
その正体は、19年前に事故に巻き込まれて死亡したと思われていた相澤消太の実弟。
遅咲きかつ周囲には影響を及ぼさない“個性”故に“無個性”だと誤解されていじめを受けており、事故で重傷を負った際にヒーローに見捨てられ、表向きでは死んだ事になっていた。
元はヒーローに憧れる純粋な少年だったが、ヒーローに裏切られた事でヒーロー社会そのものに失望している。
◯容姿
長い白髪でオッドアイ(右が青で左が赤)。所謂アルビノ。全体的に中性的な造形で美形なため女性と間違えられがちだが、歴とした男性。超常解放戦線発足以降、ロングシャツとレギンスの上にロングコートといった格好をしている。
◯“個性”
右眼と左眼でそれぞれ別の“個性”を所持している。
両眼の“個性”を同時に使う事はできないため、片方の“個性”を使う時はもう片方の目は髪で遮っていたが、“個性”が覚醒した事で両方同時に使えるようになった。
『夢幻』
右眼側の“個性”。“個性”使用中は右眼が蒼く光る。
相手を強力なマインドコントロールで操ったり、強力な幻覚を操ったりする事ができる。
右眼を開けている時でないと発動せず、効き目は個人差が激しい。
『無効』
左眼側の“個性”。“個性”使用中は左眼が赤く光る。
左眼で見た相手の“個性”を無効化する(あくまで自分に効かなくなるだけで、“個性”そのものが消えるわけではない)。
ちなみに探知機の役割も果たしており、相手が自分に対して何の“個性”を使っているのかもわかる。
“個性”が覚醒した事で物体にも『無効』を宿せるようになり、自身の周りの空気に『無効』を付与する事でバリアの役割を果たし、味方を“個性”による攻撃から守る事が可能となった。
ちなみに今持っている“個性”は殻木の複製で、本物の『無効』は死柄木が持っている。