近いうちに最新版のプロフィール出しますね。
『皆今だ、押し込め!!!』
オールマイトの掛け声と同時に、ヒーロー達は檻を物間のワープゲートに押し込んだ。
ひなたの音波を喰らった
ある者は意識を失い耳から血を流して倒れ、ヒーロー達に確保された。
そしてひなたの音波を喰らってもなお意識を保っていた者達は、檻の中で必死に抵抗していた。
「くそっ、“個性”が…!」
「壊して!! 早く!!」
トガは、まだ意識を保っていた
一方で、ドローンに仕込んだカメラで作戦の成功を見届けた影山は、“個性”の使いすぎで目と鼻からボタボタと血を流しながらも、パソコンでドローンを操作しながらニチャアと不気味な笑みを浮かべていた。
「イヒヒヒヒヒ、さっき総攻撃を仕掛けたのはこの場で仕留める為だと思ったでしょ? 違うんだなァアアこれが!! さっきの罠で動きを封じたのは、あなただけは確実にこの檻から逃がさない為ですよオールフォーワァン!!」
「シエスタってこんなだったのか…」
ヒーロー達は、それぞれ自分の担当のワープ先のワープゲートへ檻を押し込んだ。
「いけるぞぶち込めぇ!!!」
爆豪は、死柄木の入った檻をワープゲートの中に押し込む。
だがその時、緑谷の腕にトガのシリンジが襲いかかってくる。
しかし、それを見越していたひなたがシリンジにスローイングナイフを投げつけて弾き飛ばし、緑谷が分断されるのを回避した。
「やっぱ、ナイトアイの言ってた通りだ!」
そう言ってひなたは、左手にスローイングナイフを構える。
ひなた達は、未来を見た時に緑谷に迫ってくるシリンジが視界の端に映ったので警戒するようナイトアイに言われており、案の定ナイトアイの予知が当たったのだ。
今自分が攻撃されるところだった事に気がついた緑谷は、咄嗟にひなたに声をかける。
「ごめん、相澤さん!!」
「いいから行け、デク!!」
「うん!」
ひなたに助けられた緑谷は、そのまま爆豪と一緒にワープゲートに飛び込んだ。
ヒーロー達は、それぞれ自分の担当場所へとワープした。
全員の分断が成功すると、オールマイトはヒーロー達に指示を出した。
『分断は成功だ! これよりフェーズ2へ移行する!!』
◇◇◇
エンデヴァー、ホークス、シンリンカムイ、シシド、ピクシーボブ、虎、レッドスパロー、ホワイトタイガー、相澤、常闇、耳郎、小森、黒色、塩崎は、郡訝山荘跡へオールフォーワンを押し込んだ。
「らっしゃい!!!」
「郡訝山荘…なるほど」
分断した瞬間にホークスがオールフォーワンに攻撃を仕掛けるが、オールフォーワンの仮面は割れなかった。
それどころか、オールフォーワンを確実に拘束して転送する為の罠は全てボロボロに壊され、もはや意味を成していなかった。
ホークスは、オールフォーワンに傷一つつけられなかった事をエンデヴァーに詫びる。
「さーせんエンデヴァーさん。やっぱ俺の力程度で割れるようなモン、被ってこないすよ」
「安心しろ、期待しとらん。
エンデヴァーは、ホークスの謝罪を受け流しつつオールフォーワンを煽る。
ほとんどノーダメージとはいえ一度は影山の罠を喰らっていて、ひなたの『声』によって戦力は大幅に削られている。
そして今大勢のヒーローに囲まれているオールフォーワンは、どう考えても不利な状況だった。
だがオールフォーワンは、自分が追い込まれている状況にもかかわらず平然とエンデヴァーを煽った。
「僕らを分断し各個撃破…実にいいプランだ。勝てる可能性を考慮しなければ、だがね。ヒーロー人口大幅激減の上戦力を分ける為とはいえ、やはり君は酷い男だエンデヴァー。ワンフォーオールは弔に充てたか? 危ない橋だし、それに…最も残酷な采配だと思うぜ? 辛い立場の末子に尻拭いを押しつけ、彼への虐待を続けるとは!」
そう言ってオールフォーワンが“個性”を使おうとするが、オールフォーワンは“個性”が使えなかった。
見ると、相澤がオールフォーワンを睨んで“個性”を消していた。
オールフォーワンを睨む相澤は、以前とは違うデザインのゴーグルをかけていた。
──はい、お父さん! これ使って!
作戦開始前、ひなたは相澤にゴーグルを渡した。
以前のゴーグルと酷似したデザインだが、機能が追加されているのが見て取れた。
──お父さん、この前の戦いでゴーグル壊れちゃったでしょ。お父さんの“個性”に合わせてサポート科に作ってもらったんだ! 目を開け続けられるように角膜を潤して光量を一定に保つ機能がついてるの! ちなみにデザインと設計は僕ね
ひなたは、ニコッと無邪気な笑みを浮かべながら言った。
──僕、嬉しいんだよ! やっと親孝行できて! だから使って!
相澤は、“個性”の発動時間のデメリットを解消するため、ひなたに貰ったゴーグルをかけて“個性”を発動していた。
相澤は、エンデヴァーを煽ったオールフォーワンを煽った。
「この期に及んで人の心配か? 随分と優しいね」
◇◇◇
ベストジーニスト、エッジショット、ミルコ、イナズマ、マニュアル、ビッグ3、風華、爆豪、緑谷、物間は雄英へ死柄木を押し込んだ。
雄英は、巨大な島のようなもので浮遊しており、島の全土にバリアが電磁バリアが張られていた。
死柄木は、迷わず自身に巻き戻し弾を打ち込むと、“個性”を発動させて『崩壊』を伝播させようとする。
だがその瞬間、足場が飛び出して空中に弾き飛ばされた。
弾き飛ばされた先にあった電磁バリアによって、死柄木の身体は一瞬硬直する。
「今だデク!!」
「っぬぁ!!!」
死柄木が硬直した瞬間、緑谷が黒鞭で死柄木を拘束し、死柄木の脇腹にパンチを叩き込んだ。
「脳と筋肉で動いている以上、身体に強力な電流が流れれば硬直する。どんな超人でも一瞬は」
ベストジーニストが言った直後、死柄木を吹き飛ばした足場が空中で粉々に崩れる。
それを見た死柄木は、雄英そのものが自身の“個性”対策の要塞になっている事を見抜いた。
「『崩壊』の伝播を防ぐ為の装置か。だが…これは破滅的だぜジーニスト。空に浮いてるんだろ?
「ご心配なく」
そう言ってベストジーニストが親指で差すと、瞬時に地面が修復された。
「資材なら豊富にある。察しが悪いな死柄木、脳がショートしたか? ここは、お前を倒す為だけに造られた天空の棺。超広範囲即死攻撃と全盛オールマイト級の移動スピード。貴様をどこに留め置けるかが課題だった」
ベストジーニストは、不機嫌そうな表情を浮かべる死柄木に向かって言い放った。
その頃雄英内では、セメントスやサポート科、八百万、泡瀬、凡戸が全員で力を合わせて雄英バリアのパーツを補充していた。
そして電磁バリアを維持する為のエネルギーは、上鳴、吹出、甲矢などのエネルギーを生み出せる“個性”の者達が補充していた。
「これまでに積み上げられた全てが、この棺を動かしている。名誉でも、栄光でもない。ただ来る明日を守らんとする者達が動かしている。貴様の破壊を拒む者達がだ!!!」
「玩具自慢はそこまでだ」
そう言って死柄木は、衝撃波の“個性”を発動させようとする。
だが、それを見透かしたように爆豪が口を開く。
「無駄だよ。蛇腔でのクソゲーを忘れたか」
見ると、マニュアルに目を潤わされた物間が変な笑い声を上げながら『抹消』で死柄木を睨んでいた。
「フィ━━━━フィフィフィフィ、『抹消』が嫌いなんだってねぇ!? ラスボスさん!!」
物間は、笑いながら“個性”を発動し続けた。
だが次の瞬間、死柄木が大量の手を生やす。
「ダイナマありゃ何だ!! 情報を!」
「わかんね、初見」
ミルコが尋ねると、爆豪が答える。
死柄木は、そのまま大量の手を生やし続けた。
「ファントムシーフ!!」
「見てます! ちゃんと『抹消』発動してる!」
「“個性”じゃないのか…!?」
物間が言うと、エッジショットが驚く。
すると死柄木は、手を生やし続けながら答える。
「これは成長。ただの肉体。爪が伸びる事と同じ。深化していく”個性”に身体を対応させるべく、人が獲得した新たな形。超人社会の行きつく先。殻木の提唱した特異点…蓋をし…来たるべき未来から目を背けてきたお前達には、分からないさ」
死柄木がそう言ったその時、死柄木が生やした大量の手が末端から焼き切られて炭化する。
見ると、イナズマが棍棒に雷撃を纏って構えていた。
「話長いわァ!! キッショいモン出すなやクソボケコラァ!!」
「ねーちゃん口悪っ」
イナズマが死柄木を罵倒すると、イブキが風で死柄木の手を防ぎながらツッコミを入れる。
緑谷は、腕を振りかぶって死柄木に急接近すると、死柄木の手目掛けてスマッシュを放った。
「死柄木!! 今度こそ、お前を止める!! 僕の全てを懸けて!!」
◇◇◇
ギャングオルカ、セルキー、シリウス、ブルードラゴン、ブラックトータス、麗日、蛙吹、取蔭は、太平洋沖合約200kmに位置する奥渡島にトガ達を押し込んだ。
奥渡島は、遠浅の海が美しい水平線を描くリゾート開発された南の島で、島の目玉である奥渡水族館は国内外から人気の観光施設であり、ギャングオルカこと逆俣空悟が館長を勤めている。
ギャングオルカは、ニア・ハイエンドの攻撃を捌きながら他のヒーロー達に指示を出した。
「気を抜くな!! 奴等、新たに“個性”を付与されてる!!」
「わかって、ますって、ゔぁ!!」
ギャングオルカが指示を出すが、ブルードラゴンは、サメやワニ、クジラなどのあらゆる海の捕食生物を掛け合わせたと思われる大型
すると、ブラックトータスが氷の息でブルードラゴンを援護する。
「魚は海に帰れ!」
そう言ってブラックトータスは、
だが
「ヒャッヒャッヒャ、痒いじゃねえか」
「くそ…!」
蛙吹が
「フロッピー! 大丈夫!?」
「ええ! でも、お茶子ちゃんが!」
シリウスが尋ねると、蛙吹は麗日を心配した。
その頃麗日は、トガと対峙していた。
「出久くんとお話したかったのに、邪魔されちゃいました。まあいいです。出久くんには後で聞きます。ねえお茶子ちゃん、私をどうしたい?」
◇◇◇
インゲニウム、バーニン、キドウ、オニマー、アポロン、アルテミス、轟、飯田は、神野へ荼毘達を押し込んだ。
だが荼毘は、神野へ押し込まれるなり一瞬で神野を火の海に変えた。
その光景を見て、荼毘は不気味な笑みを浮かべる。
「脳無が現れて、周りは火の海。ちょっと前の事なのに、懐かしい光景だ。俺は保須のあの戦いを見て動き始めたんだ」
「ショートくん!!」
「天哉! それ以上はエンジンがイカレるぞ!」
飯田が轟を心配すると、インゲニウムは他の
轟がニア・ハイエンドと戦いつつも荼毘を睨むと、荼毘は炎のサイドキッカーズ5人を見下ろしながら言った。
「あぁ…ごめんな? 自分語りしちまって。また俺を見てくれなくってよ、テンション下がっちまってさ。三男と側近5人、これが俺に対する答えかってさ」
荼毘が5人を見下ろす中、5人は荼毘の炎を防ぎつつ轟に接近を試みようとした。
そんな中、オニマーは後ろにいるキドウに声をかけた。
「キドウ、おめーは下がってろ。耐熱効果がある身体じゃねぇだろ」
「大丈夫だ、俺はあらゆるモノの軌道を変える。周囲の空気の軌道を逸らしてりゃ何ともねぇ。いつもの事さ。冷徹に、合理的に。もう10年だ。ずっとそうやってきた。いつも通り。俺は
オニマーがキドウに声をかけると、キドウは暑さに顔を歪めつつも答えた。
すると、アルテミス、アポロン、バーニンの三人も、エンデヴァーの期待に応えようとやる気を出す。
「アタシら二人は、
「だな。どんな過去があったとしても、
アルテミスとアポロンは、炎に囲まれながらも笑顔を浮かべていた。
初めて足を踏み入れる異国の地で戸惑っていた二人にとって、自分達を雇ってくれたエンデヴァーは恩人だった。
そしてバーニンも、エンデヴァーの為に戦いたいという思いに嘘偽りは無かった。
「
「ありがとうございますバーニン…!!」
「礼はいらない エネルギーのムダ」
轟がバーニンに礼を言うと、バーニンは戦いに集中するよう言った。
轟は、燃え盛る炎の中、真っ直ぐ荼毘を見据える。
「燈矢…荼毘…勘違いするな。俺は言われたからここに立ってるわけじゃねぇ。俺自身がお前を止めたいと思ったから立ってるんだ」
「それってお父さんの思い通りのコマってことじゃん」
「お前を無視してヒーローを続けるってンならそうなる」
「そうだよなぁ…結局この戦争は人対人だ。誰かの命令で物言わぬ兵隊が動いたわけじゃねぇ。各人の思いが、一つ一つ暴発していった結果だ。環境を変えたい、壊したい。黙認されあちこちに…蓄積されてきた歪み。超人社会の限界。それが俺 …俺達だ」
「……生きてたなら、何で帰って来なかった…!」
轟は荼毘に、ずっと投げかけたかった問いをぶつけた。
すると荼毘は、不気味な笑みを浮かべながら答える。
「知りたいか? じゃあ教えてやる。腐っても兄ちゃんだしな。俺が荼毘になった経緯…
◇◇◇
一方で、ファットガム、ひなた、葉隠、拳藤は、零をはじめとした取りこぼした
巻き戻し弾で元に戻った零は、いつの間にか上空へ移動して指揮者の真似事をしていた。
そして地上では、零によって操られた
するとファットガムが前に出て、襲いかかってきた
「クレシェンド! あそこで高みの見物決め込んどる敵さんに用があんねやろ!? ここは俺らに任しとき!!」
「行って、ひなたちゃん!!」
ファットガムは、零のもとへ行くようひなたに言った。
葉隠も自身の髪で作った飛び道具で群がる
そして拳藤は、大量の
「行け!!」
「うん!!」
拳藤がひなたを空中に投げ飛ばしながら叫ぶと、ひなたは空中でバランスを取りながら頷く。
ひなたが両手を振り上げると、両手首のバングルが炎のように赤く光った。
ひなたは、両手首に装備したバングル状の新装備『リストウィップス・
燃え盛る炎のような美しい緋色の金属光沢を持ち、決して錆びず、アルミニウムをも凌ぐ軽量と水銀のような流動性を併せ持ち、力を加えるとダイヤモンドのような硬度を誇る特殊合金『ヒヒイロカネ』で作られたバングルは、粘度の高い液体へと変化してブワっと空中に広がる。
そして液体に変わった装備は、背中に纏わりついて赤い翼に変わった。
翼の一枚一枚からは、ひなたの“個性”である衝撃波が放たれ、遷音速での飛行を可能にした。
そしてそのまま、爆速で零のもとへと駆け抜けていく。
だが、その時だった。
「!」
ひなたの周りの景色が一変し、一分の光も差さない暗闇がひなたを包み込んだ。
そしてその直後、突然大量の大蛇が出現して襲いかかってくる。
大量の大蛇がひなたに噛みつこうと飛びかかるが、ひなたは襲いかかってきた大蛇に向かって爆音を放った。
すると大蛇が消し飛び、エメラルドグリーンの光の粒になって消える。
その直後、今度は人がゾロゾロと暗闇の中から現れて襲いかかってくる。
よく見ると、ひなたに襲いかかってきたのは、ひなたが実験体だった時に志賀に操られて殺した人達、ひなたを守る為に公安のヒーローに殺された者達、神野や最終決戦の時に巻き込まれて命を落とした人達。
かつてひなたが傷つけてきた人達や、ひなたが助けられなかった人達だった。
死者の怨嗟が、次々とひなたに襲いかかってくる。
「役立たず」
「人殺し」
「お前のせいだ」
「許さない」
「死ね」
「殺してやる」
暗闇から這い出てきた人々は、ひなたに怨嗟をぶつけながら襲いかかり、あっという間にひなたの小さな身体を覆い尽くした。
だがその直後、ひなたに襲いかかってきた者達が光の粒になって消し飛ぶ。
「恨み言なら、気が遠くなる程聞かされてきた。そういうの、全部背負っていくって決めた。お前の都合で、死んだ人達を弄ぶな!!」
ひなたが、死者を弄んで幻覚を生み出す零に対して怒りを露わにした、その時だった。
突然周囲を覆い尽くしていた暗闇が晴れ、荒廃した土地の風景に切り替わる。
「うわぁああああん、わぁああああん!!」
ひなたの近くでは、ボロボロの服を着た幼い少年が泣いていた。
顔立ちや肌の色から、日本人ではない事は明らかだった。
少年の近くには、少年の家族と思われる人達が血を流して倒れていた。
「これは…!?」
「現実の光景だよ」
突然、ひなたの後ろから声が聞こえてくる。
ひなたが振り向くと、そこには零が立っていた。
「正確には、1時間後の未来、とでも言うべきかな? お前らが俺達に勝とうが負けようが避けようがない結末だよ」
気がつくと、後ろにいた零は消えており、いつの間にか別の場所に移動していた。
すると再び周囲の光景が変わり、今度はどこかの国の王宮から王族が大勢の民衆の手で引き摺り出され、大衆に虐殺される光景が映し出される。
テロリストのリーダーは、殺害した国王の首を民衆の前で晒し、貧民層の民衆を率いて次々と富裕層の人間を殺害していった。
よく見ると、テロリストのリーダーは零と同じ色の光を瞳に宿していた。
それを見たひなたは、ある可能性を思い浮かべる。
「まさか……!」
「俺が今まで何もしていないとでも思ったか? お前らが呑気に追いかけっこやってる間に、俺は世界中に混乱の種を蒔いてきた。今じゃ世界中で俺が操った駒達が仲良く無理心中に勤しんでる。今更俺達を止めたところでもう遅い」
今度は、幻覚で巨大化した零がひなたを覗き込む形で現れ現実を告げた。
零は、組織が解体されてから8年間、いくつもの名前と顔を使い分けて世界を渡り、世界中の主要人物に幻覚を仕掛けていた。
全ては、世界を破滅に導くために。
零が告げると、再び光景が切り替わり、今度はどこかの国の軍隊が現れる。
零と同じ色の光を瞳に宿した総統が腕を振り下ろすと、軍隊が民間人に向かって銃を乱射し大量殺戮を始める。
そして総統が軍事施設のスイッチを押すと、ミサイルが発射される。
発射されたミサイルは、地球の反対側にある国を一つ消し飛ばし、そこにいた人々の命を一瞬にして全て奪った。
「ヒーローに殺されてから19年間、ただそこに在る狂気だけが俺を突き動かした。出来損ないのクズでも、その気になりゃあ世界だってひっくり返せる。ヒーローも
突然零は、ひなたの背後から現れ、耳元で告げた。
その直後、零は黒い霧のようなものを出現させ、黒い霧を鋭い棘に変えてひなたにけしかける。
「くっ……!」
ひなたが捕縛武器で棘を全て切断すると、零は今度は霧を無数の蛇に変えてけしかける。
正気であれば到底できない、それこそ気でも狂っていなければ辿り着けるはずのない領域に、零は足を踏み入れていた。
そもそも、零は大人になる前に死ぬ運命にあったはずで、今ここにいる事自体があり得ない事だった。
この男は今、幾重にも重なった小さな狂気の上でそこに立っていた。
「…ああ、そうそう。一つお前に聞きたい事があったんだった。お前一体、何でこんなところまで来ちまったんだ?」
「!」
零がニヤリと笑いながら話しかけると、ひなたは目を見開く。
するとその瞬間、今度は無数の手がひなたに襲いかかってくる。
ひなたは、声で手を吹き飛ばすが、消しても消しても手は次々と生えてくる。
零は、白と黒の市松模様の道のようなものに飛び乗ると、そのままひなたの頭上へと駆け上がる。
「
零は、道から飛び降りると、そのままひなたにナイフを振り下ろそうとする。
その頃現実世界では、零がひなた目掛けてナイフを振り下ろそうとしていた。
その時、ひなたの脳裏に浮かんだのは、病室でエンデヴァーや相澤と話した時の事だった。
──今ならわかるんです。あいつが僕に執着する理由。あいつはきっと……ずっと誰かが助けに来てくれるのを待ってたんだと思います
──助けに来るのを待っていた、だと? ヒーローに失望して全人類を皆殺しにしようとしている奴がか?
──多分、今でも世界を壊したいと思ってるのはそうだと思うんですけど…でも、そうだとするとおかしいんです
──おかしい? 何がだ?
──だっておかしいでしょう? そもそも本当に世界の破滅を望んでいるなら、僕の事なんてなりふり構わず殺そうとするはずです。現に僕、死柄木には殺されかけましたし。あいつが本気で世界を滅ぼす気なら、僕がこうして今生きている事自体がおかしいんですよ
──それはそうだが…だったらなぜ……
──きっと、引き返せなかったんだと思います。あいつの“個性”の波長は、測りきれないほどの狂気に満ちていました。強く宿った狂気が“個性”を引き上げ、引き上げられた“個性”が狂気をさらに強く宿らせた。そうやって膨れ上がった狂気が、踏み留まる事を許さなかった。“個性”を壊す“個性”に執着していたのも、そういう事情があったんでしょう。あいつは、誰かが止めてくれるのを、ずっと待ってたんです
ひなたは、自分の推測を話した。
ひなたが零の本当の目的を話すと、相澤とエンデヴァーは納得する。
──……なるほど。それが奴の目的だとすれば、一応辻褄は合う…か
──だからこそ、僕が行かなきゃいけないと思うんです。お願いします。全部背負う覚悟はできてます
ひなたは、自分の胸に手を当てながら言った。
するとエンデヴァーは、僅かに目を見開きながら尋ねる。
──相澤ひなた。君は何故──…立ち向かって行ける? 君を散々傷つけた相手だろう?
エンデヴァーにはわからなかった。
何故まだ幼い少女が、自分の人生を台無しにし傷つけた男に、それも復讐の為などではなく、救ける為に立ち向かえるのか。
自分の行いのせいで荼毘を生み出してしまったエンデヴァーは、恨まれて当然の事をしたと思っていた。
だからこそ、人生を歪めた
──あの日僕は、泣いている男の子を見ました。それ以外に理由が要りますか
ひなたは、一切迷いのない目で言い切った。
それを聞いた相澤は、ひなたに頼み事をしようとするが、一瞬話すのを躊躇った。
自分がひなたに頼もうとしていた事は、本来なら自分がやらなければならない事で、それを娘に押し付けるのは酷だとも考えた。
だが、すぐに余計な考えを振り払うと、ひなたに頼み事をする。
──ひなた。まだプロにもなってないお前にこんな事を頼むのは、本当に不甲斐ないと思ってる。だが、日本を救う為にはお前が必要なんだ。もしまたあいつに会ったら、その時は────…迷わずあいつを倒せ。あいつが積み上げてきたものを全部ぶっ壊して、志半ばで堕ちるところまで堕ちたあのバカに、引導を渡してやってくれ
「…身の丈に合わない夢に駆られて、こんな所まで来た。そんな事、僕が一番よくわかってんだよ」
零がナイフを振り下ろす、その瞬間、突然ひなたの身体からブワっと強い光と衝撃波が放たれ、ひなたの周りを覆い尽くしていた大量の手が全て消し飛ぶ。
「何…っ!?」
零は、ひなたが放った衝撃波に、思わず身体を仰け反らせて防御の構えを取る。
ひなたは、深呼吸をしながら肩のパーツを変形させていた。
そして変形した全てのパーツが合体し、ひなたの肩に一対のラッパ型のバズーカ砲が装備された。
50口径TPキャノン
ひなたの肩に装備されたバズーカ砲は、ひなたの声を増幅する装置で、ひなたが自分で設計したものを持ち込んでサポート科に作ってもらったものだった。
死柄木が“個性”特異点を克服したように、ひなたもまた“個性”特異点を突破し、その力を自分のものにした。
超人社会の行きつく先に生きる新たな人類の形。
今の人類を淘汰し新たな人類による新世界を創る事、それが志賀の夢の果てだった。
だが今のひなたは、志賀が思い描いた『夢の果て』をとうに追い越していた。
志賀がひなたを生み出した事は、彼の人生最大の成功であると同時に、人生最大の失敗でもあった。
ひなたの誰かを救いたい、皆で未来を切り拓きたいという強いヴィジョンが、彼女自身を急激に進化させ、大勢のヒーローの心を突き動かした。
皮肉にも志賀は、オールマイトを殺し世界を壊す為に最高傑作を造り出したはずが、実は誰よりもヒーロー側の戦力の強化に貢献してしまった事に、自分でも気付いていなかった。
ひなたは、バズーカ砲の銃口を零に向けると、そのまま叫んだ。
『 !!!!』
ひなたが叫んだ、その瞬間だった。
ひなたの周りを覆い尽くしていた風景にヒビが入り、粉々に割れる。
ひなたが自力で幻覚から抜け出すと、そのまま現実世界の零の懐に入り込み、重い一撃を喰らわせた。
ひなたの放った渾身の一撃によって、零の“個性”は消滅し、それだけでなく地上にいた他の
ひなたの放った技によって、世界各地で暴動を起こしていた人々が零の支配から解放された。
そしてひなたの発した『声』は、ただそこで暮らしていた大勢の民衆の命を救った。
この日ひなたは、今も昔も、世界中の誰もが成し得なかった逸話を築いた。
この時のひなたの一撃が、何十億もの人間の命を救った。
決して手の届かない場所にいる人間を、トップヒーローでさえ救えなかった人間を、たった一人の少女が救ったのだ。
この一瞬、無名のヒーローの卵が、初めてオールマイトを超えた。
『
ひなたは、その場にいた
ひなたの放った声は、人間の可聴域を外れた周波数の声で、人には聴こえない代わりに、“個性”因子を緩やかに麻痺させ、穏やかに相手の意識を奪う効果があった。
極めて緩やかに、そして穏やかに、聴いた者を眠らせる『零の声』。
ひなたが生み出した、新たな極致だった。
「誰も傷つけさせない。これ以上、そっち側へは行かせない! お前達の野望を、今日まで積み重ねてきたものを、全部まとめてぶっ壊す!! その為の力だ!!」
ひなたは、髪を逆立てて目を見開きながら叫んだ。
「しっかり頭に刻み込め!! 『クレシェンド・モルト』、お前を破るヒーローの名だ!!」
はい、ここに来てついにひーちゃんのライジング回です。
そしてお兄ちゃん退場残念賞。
嘘です。
そんなわけがなかった。
ぶっちゃけひーちゃんを声の“個性”にしたのは、この展開をやりたかったからですハイ。
ギャシュリーやKUNIEDAなどのダツゴクは、原作とは違いデクが闇堕ちせずに早い段階でクラスメイトと結託した事で割と早い段階で一掃されてるので、本作には登場しません。
そもそもひーちゃんがお外でパトロールしてる時点でレディナガン以外のダツゴクに勝ち目は無かったんだ(苦笑)。
また、原作で死ぬ運命にあったスターアンドストライプも、お兄ちゃんがアメリカに放った暴徒のせいで死柄木どころじゃなかったので本編には登場しません。
本作では主にお兄ちゃんのせいで日本のみならず世界中、特にアメリカ、中国、ロシア、インド等の軍事力の高い国は軒並み治安最悪です。
あと本作では相澤先生が“個性”をちゃんと使えるのと、物間が覚醒して5分間のデメリットを克服しているので、相澤先生は梅干しの方に配属されています。
ちなみにそれぞれの移動先
B組未登場キャラの配属先は捏造です
【郡訝山荘跡】
敵…オールフォーワン
ヒーロー…エンデヴァー、ホークス、シンリンカムイ、シシド、ピクシーボブ、虎、レッドスパロー、ホワイトタイガー、相澤、常闇、耳郎、小森、黒色、塩崎
【雄英】
敵…死柄木
ヒーロー(対死柄木)…ベストジーニスト、エッジショット、ミルコ、イナズマ、マニュアル、ビッグ3、風華、爆豪、緑谷、物間
ヒーロー(雄英内)…セメントス、パワーローダー、ランチラッシュ、マンダレイ、甲矢、八百万、上鳴、吹出、泡瀬、凡戸、発目
【奥渡】
敵…トガ、ニア・ハイエンド、その他
ヒーロー…ギャングオルカ、セルキー、シリウス、ブルードラゴン、ブラックトータス、麗日、蛙吹、取蔭
【神野】
敵…荼毘、ニア・ハイエンド、その他
ヒーロー…インゲニウム、バーニン、キドウ、オニマー、アポロン、アルテミス、轟、飯田
【蛇腔病院跡地】
敵…ギガントマキア
ヒーロー…Mt.レディ、リューキュウ、おはぎ、心操、峰田、芦戸、切島、鉄哲、庄田、小大、柳、骨抜
【国立多古場競技場】
敵…ニア・ハイエンド、他多数
ヒーロー…クラスト、ミッドナイト、瀬呂、尾白、砂藤、円場、回原、鱗、宍田
【セントラル病院前】
敵…スピナー、異形多数
ヒーロー…プレゼントマイク、障子、口田、鎌切、角取
【セントラル病院】
敵…黒霧
ヒーロー…オールマイト、塚内、ナイトアイ、ラグドール、青山、影山、???、???
【トロイア】
敵…零、その他
ヒーロー…ファットガム、葉隠、ひなた、拳藤