抹消ヴォイスのヒーローアカデミア   作:M.T.

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次は梅干し回です。
梅干し回は一話で終わらせるつもりはありません。


僕らの物語

「オールフォーワンには明確に弱点がある」

 

 作戦会議時、そう言ったのはホークスだった。

 

生命維持装置(マスク)です。見たまんまスけど。ラグドールさんが『サーチ』で探ってくれました。アレを外したまま活動する事はできないそうです」

 

「にゃ♪」

 

「にゃ」

 

 ホークスがラグドールを指しながら言うと、ラグドールは笑顔を浮かべ、ホークスもつられて鳴いた。

 するとベストジーニストがホークスの報告に異議を唱える。

 

「……それは当人が最も理解しているだろうよ」

 

「ええ。ですので、イレイザーの『抹消』で“個性”を消して接近を試みます。万が一にも貴重な戦力を養分にされるわけにはいきませんから、少数精鋭で短期決戦に持ち込みます」

 

 ベストジーニストが言うと、ホークスは今回の作戦の要点を話した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして現在。

 ホワイトタイガーの背中に乗ってオールフォーワンの近くまで接近した相澤は、ゴーグルを着用しながらオールフォーワンを睨んで“個性”を発動した。

 オールフォーワンの“個性”を抹消している間に、エンデヴァーとホークスが同時にオールフォーワンのもとへと駆ける。

 

「エンデヴァーさん!!」

 

「『ヘルカーテイン』!!」

 

 ホークスが叫ぶと、エンデヴァーは炎の膜で目眩しをし、エンデヴァーの炎の膜からホークスが羽根を飛ばす。

 オールフォーワンは、“個性”を消されながらもホークスの羽根を避けた。

 だが背後からホークスがオールフォーワンを斬りにかかり、オールフォーワンは再びホークスの攻撃を避けた。

 

(絶え間ない連携で僕を潰す気か。反撃したいところだが…『抹消』が邪魔だな)

 

「時にイレイザーヘッド。君は娘と弟を放ったらかしにして、そんなところで一体何をしているのかな?」

 

「!」

 

 エンデヴァーとホークスを始末するのに『抹消』が邪魔だと考えたオールフォーワンは、相澤を煽り始めた。

 相澤を乗せたホワイトタイガーは、挑発に乗らないよう相澤に忠告する。

 

「イレイザー先輩! 乗せられたらあかん!! 一瞬でも目を逸らしたら、勝てるチャンスのうなるで!!」

 

「わかってるよ…!」

 

 ホワイトタイガーが言うと、相澤はオールフォーワンを睨み続けた。

 するとオールフォーワンは、そんな相澤を見つけてヘラヘラ笑いながら煽った。

 相澤は、死柄木との戦いで“個性”に後遺症を負い、“個性”を使えば使う程消耗し『抹消』の効き目が弱くなる体質になってしまっていた。

 怒りに身を任せて力めば力む程“個性”の消耗が激しくなる、オールフォーワンはそれを分かった上で相澤を煽った。

 

「ああ、いいんだ! 別に僕は君の判断を間違っているとは思っちゃいないからね。君にとっちゃ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だもんな! どうでもいい人間に貴重な戦力を割くほど、君も馬鹿じゃない!」

 

「黙れ…」

 

「素晴らしい! 実に君らしい、合理的な判断じゃないか!」

 

「黙れぇぇぇっ!!!」

 

 オールフォーワンが皮肉たっぷりに相澤を煽ると、相澤は家族を侮辱された怒りのあまり大声で怒鳴った。

 相澤を煽りに煽って“個性”を消耗させようと考えていたオールフォーワンは、もうじき『抹消』が揺らぐと考え仮面の下でほくそ笑む。

 するとその時、オールフォーワンに爆音が浴びせられる。

 オールフォーワンが爆音のした方を振り向くと、常闇が空を飛んでおり、その上に耳郎が乗っていた。

 オールフォーワンに攻撃を仕掛けた二人を見たホークスは、目を見開いて叫ぶ。

 

「馬鹿!! 君らの出る幕じゃない!! 死ぬぞ!!」

 

「ホークス!! 奴が“個性”を使えないのなら、俺達も力に!!」

 

「つーか今、聞き捨てならない事聞いて、ウチら個人的にムカついてるんで!」

 

 ホークスは二人に退くよう言うが、常闇と耳郎に退く気は無かった。

 恩師を煽られ、親友を『どうでもいい人間』と侮辱され、黙ってなどいられなかった。

 耳郎の『イヤホンジャック』で不意打ちを喰らったオールフォーワンだが、相変わらず飄々とした様子で耳郎と常闇を煽る。

 

「ワンフォーオールに集る羽虫…昔読んだコミックにあったな。魔王の引き立て役に充てられる脇役の話」

 

 オールフォーワンは、余裕そうに耳郎を煽った。

 すると耳郎は、笑みを浮かべながらオールフォーワンを煽る。

 

「そーゆーの、倒してから言った方がよくない?」

 

 耳郎がオールフォーワンを煽ると、オールフォーワンの動きが一瞬止まる。

 エンデヴァーとホークスは、その隙に連携してオールフォーワンに攻撃を仕掛ける。

 “個性”を封じられてもなお圧倒的なオーラを放っているオールフォーワンを前に、震えながらも立ち向かう二人を見て、ホークスは『死ぬぞ』と言った事を反省した。

 

「頼んだぜ、ヒーロー」

 

 ホークスが言うと、常闇が頷く。

 常闇と耳郎は、エンデヴァーやホークスと連携してオールフォーワンを攻撃した。

 オールフォーワンは、改造手術で強化された脚力で跳び上がってエンデヴァーの炎を回避すると、耳郎の背後に現れ腕を振りかぶる。

 オールフォーワンが後ろに移動した事に気付いた耳郎と常闇は、ゾッと背筋を震わせる。

 

「見てるよな、イレイザーヘッド! 未来ある若者が死ぬぞ! ああ、可哀想に! そんなに見るのが好きなら、一瞬たりとも目を離さず焼き付けるといい! 君の教え子の死に様を!」

 

 オールフォーワンが二人を殺そうと腕を振りかぶった瞬間、エンデヴァーが火炎放射でオールフォーワンを吹き飛ばした。

 エンデヴァーは、そのままオールフォーワンに詰め寄ると、連続で炎を纏った拳を浴びせる。

 

「させないさ。その為に俺達がここにいる!!」

 

 エンデヴァーは、オールフォーワンに至近距離で『ジェットバーン』を浴びせる。

 オールフォーワンは、エンデヴァーに全身を焼かれながらも、改造手術で手に入れた再生能力によって即座に自分を回復させると、不敵な笑みを浮かべながらエンデヴァーを煽る。

 

「君も君だ! エンデヴァー! さっきから炎が揺らいでるぞ! 皆必死で戦っているのに、君だけこの期に及んで迷っているとでもいうのか? 遠くの地で戦っている息子の身を案じているとでもいうのか? だがそれは君自身の選択、自業自得だろう!? 最高傑作に失敗作の始末をさせて、英才教育の糧にする事を選んだ!! 紛れもなく、君の選んだ道だ!!」

 

「ッ……」

 

「No.1に焦がれるあまり僻み恨み、大きくなった嫉妬と偏屈の炎が、君を歪めたのだろう!? あまつさえ君は、己の弱さに蓋をし、傲慢にも努力(エンデヴァー)を名乗った!! あろうことか、己の炎で人を歪めた!! それが君という人間だ、轟炎司!!」

 

 オールフォーワンは、エンデヴァーの人格そのものを嘲笑った。

 オールフォーワンに嗤われたエンデヴァーは、自分の原点を思い出す。

 エンデヴァーがヒーローを志したきっかけは、自分の父親が事故に遭いそうになった子供を庇って命を落とした事だった。

 エンデヴァーは、自分が弱い人間だという事を認め、オールフォーワンの言葉に動じる事なく攻撃を続けた。

 

「…ああ。貴様の言う通りだ。俺は弱い。嫉妬に灼かれて歪んだ弱者、それが俺だ。だから俺は、生まれ変わろうなどとは思わない。俺が俺を許せる日など来ない。死ぬまで己の弱さと戦い続ける事、それが俺の立ち上がる意味だ!!」

 

「開き直ったか、卑怯者」

 

 エンデヴァーがオールフォーワンの挑発に負けずに炎を放つと、オールフォーワンはエンデヴァーに軽蔑の目を向ける。

 “個性”を使えないオールフォーワンを『ヘルフレイム』で追い詰めるエンデヴァーを、ホークスと耳郎と常闇が援護した。

 耳郎は、底知れない悪意に震えて目に涙を浮かべながらも、オールフォーワンを煽りながら音波攻撃を続けた。

 

「そんだけ大口叩いといて誰も殺せない悪役とか、ダサいだけだから!」

 

「あと、そんだけ煽り散らかしてくれたおかげで『抹消』が邪魔になってんのバレバレっスよ」

 

 耳郎が煽りながらエンデヴァーをサポートすると、ホークスもオールフォーワンを煽りながら羽根を飛ばす。

 耳郎は、自身の“個性”で黒影(ダークシャドウ)に音波の振動を纏わせ、巨大化した黒影(ダークシャドウ)でオールフォーワンに攻撃を仕掛ける。

 だが改造手術で増強されたオールフォーワンには届かず、オールフォーワンの一薙ぎで二人とも吹き飛ばされる。

 

「がぁ…!!」

 

「ジロ!!」

 

 黒影(ダークシャドウ)が咄嗟に耳郎と常闇を庇ったが、それでも衝撃は殺し切れずに二人ともダメージを負う。

 オールフォーワンは、吹き飛ばされた二人を見て嘲笑う。

 

「足りないねぇ、パワーが! ここに来て君達ができる事なんて、せいぜい数秒時間稼ぎをする事だけだ! 間違いだったんだよ、そうやって遠足気分でここへ来てしまった事自体が!」

 

 オールフォーワンは、ボロボロになった二人を侮辱した。

 だがその直後、耳郎の音波の振動を纏った刀を持ったホークスが、オールフォーワンの背後から刀を振りかぶる。

 

「いいや、その()()が欲しかった」

 

 そう言ってホークスは、オールフォーワンのマスクを刀で斬った。

 感知系の“個性”の複数所持によって感覚を研ぎ澄ましていたオールフォーワンだったが、“無個性”状態ではホークスの動きを完全に捉え切る事ができず、エンデヴァーやA組の二人に見せた慢心が仇となってホークスの接近を許してしまったのだ。

 オールフォーワンのマスクを砕いたホークスは、エンデヴァーに声をかける。

 

「今です!! エンデヴァーさん!!」

 

「赫灼熱拳…『プロミネンスバーン』!!!」

 

 ホークスの合図と同時に、エンデヴァーは最大火力の炎を放つ。

 オールフォーワンも避け切れない程の熱量が襲いかかり、オールフォーワンは身体を再生させようとするが、既にマスクを壊されているのと、あまりの熱量に再生が追いつかずにそのまま焼かれる。

 

「貴様の掌は人の未来を…壊す掌だ!!」

 

「君も壊したろう!!」

 

「ああそうだ!! 罰は俺が受け続ける…! 勝って燈矢を見続ける!」

 

 そう言ってエンデヴァーは、オールフォーワンの顔面を掴むと、限界以上の火力を引き上げた。

 自分をも灼く程の熱量に、エンデヴァーの腕周りのコスチュームが泡立って血が滲むが、エンデヴァーはオールフォーワンが死ぬまでひたすら火力を上げ続けた。

 

 

 

「『PLUS ULTRAプロミネンスバーン』!!!!」

 

 エンデヴァーは、自分の炎で全身に火傷を負いながらも、オールフォーワンを完全に炭化させた。

 初めは余裕を見せていたオールフォーワンも、“個性”が出せない状態ではエンデヴァーの火力に抗う事もできず、一瞬で炭になった。

 自分の腕の中で炭になり崩れていくオールフォーワンを見て、エンデヴァーはオールフォーワンが完全に死んだと考える。

 だが、その直後だった。

 

「離せエンデヴァーさん!!」

 

 ホークスが叫んだその直後、エンデヴァーは目の前の光景に目を見開く。

 丸焦げの死体になったはずのオールフォーワンは、自らの身体を再生させていた。

 

「この総決算に、僕が何の仕込みもなくノコノコ現れたと思ったか? この身体は僕にとってもう用済みで、捨て去るだけのもの…だからこそ─────試せる事がある。捨て身がヒーロー(きみたち)の専売だとでも?」

 

 そう言ってオールフォーワンは、自らの身体を再生させていった。

 黒焦げだった身体はあっという間に元に戻り、若さを取り戻していった。

 それを見たエンデヴァーとホークスは、思わず目を見開く。

 

「前回の戦いでは、防戦一辺倒で 何もさせてもらえなかったと聞く。今回は違う」

 

「………オールフォーワン…!!」

 

「ヒーローとは禦ぐ者であり、(ヴィラン)とは侵す者。僕らは夢に向かって突き進む!!」

 

 そう言ってオールフォーワンは、自分を巻き戻しながらニッと笑みを浮かべた。

 オールフォーワンが自分に撃ち込んだのは、元幹部が所持していた巻き戻し薬とは別に、殻木が治崎の“個性”破壊弾を改造して作った薬だった。

 エンデヴァーに殺される寸前、この薬を自分に撃ち込んで身体を巻き戻していたのだ。

 

「誇れエンデヴァー! まさか君相手にこの切札カードを切るとは思っていなかった!」

 

「……若返っていく…! 肉体の…全盛…!」

 

 若返っていくオールフォーワンを見て、エンデヴァーとホークスは目を見開く。

 そして遠くで見ていた耳郎と常闇は、それが壊理の“個性”である事に気がつく。

 

「アレは…エリちゃんの……!?」

 

 一方で、オールフォーワンの“個性”を消し続ける事で一度はエンデヴァーの勝利に貢献した相澤は、もう一度オールフォーワンに“個性”を発動しようとする。

 

「先輩!」

 

「わかってる、もう一度“個性”を……」

 

 ホワイトタイガーが声をかけると、相澤はゴーグルのツマミを回して水分を調節し、再びオールフォーワンを見ようとする。

 だが相澤がオールフォーワンを見ようとした時、既にオールフォーワンは姿を消しており、再び相澤に見られる事を警戒したのか、衝撃波で相澤とホワイトタイガーを吹き飛ばした。

 

「ぐぁああ!!」

 

 二人を吹き飛ばしたオールフォーワンは、フッと笑いながら別のヒーローに目をつける。

 

「さて……」

 

 オールフォーワンは、地面に降り立つと、一瞬にしてヒーロー達の“個性”を奪っていく。

 ヒーロー達は、あまりの速さに反応すらできずに気づかない間に“個性”を奪われ動揺していた。

 

「“個性”が…!」

 

「ついでにマントも頂くよ。裸じゃ格好がつかないや」

 

 オールフォーワンは、近くにいたヒーロー達からマントを奪って身につけた。

 “個性”を奪い足りないオールフォーワンは、次は地上にいた黒色、小森、塩崎の三人をターゲットにする。

 するとその時、レッドスパローがB組の三人とオールフォーワンの間に割って入る。

 

「くっ…!」

 

「レッドスパロー!!」

 

「逃げて〜、みんなぁ〜! 新人は、生きて帰るのが仕事〜ッ!!」

 

 地上にいたヒーローの中では唯一オールフォーワンの動きを目で捉えていたレッドスパローは、無数の炎の羽根をオールフォーワンに飛ばしてB組の生徒達を守った。

 だがその直後、オールフォーワンは何事もなかったかのようにレッドスパローの横を通り過ぎる。

 オールフォーワンはレッドスパローの“個性”である炎の羽根を纏っており、レッドスパローは目を見開きながら肩から胸にかけて斬りつけられ大量の血を噴き出していた。

 それを見たホワイトタイガーは、血相を変えて叫ぶ。

 

「すずめぇえええええええッッッ!!!!」

 

「あっ…ああ…ああ……!」

 

 B組の生徒達は、自分達を庇ったせいで“個性”である朱色の翼を失い致命傷を負ったレッドスパローを見て、絶望の表情を浮かべていた。

 レッドスパローの“個性”である『朱雀』を手にしたオールフォーワンは、嬉々として炎の羽根を操っていた。

 

「エンデヴァーとホークスのを良いとこ取りした“個性”か。おまけに異形型故のタフさも兼ね備えているから、身体への反動も少ない。うん、君のは良い“個性”だ!」

 

 そう言ってオールフォーワンは、B組の生徒達からも“個性”を奪おうとする。

 するとその時、ホークスがオールフォーワンの前に現れ、瀕死のレッドスパローを助け出しつつオールフォーワンを羽根で攻撃した。

 

「すンません、助けに入れなくて」

 

「フ……フ……」

 

 ホークスが言うと、レッドスパローは肩から血を流しながらも返事をする。

 オールフォーワンは、ホークスに今の自分の状態を明かす。

 

「この“巻き戻し”は使ったが最後、最終的に僕は消えて失くなる。だが“夢”のバトンは死柄木弔に引き継がれている。僕の残る役目は君達の猪口才な罠から彼を救い出す事だ。行かせてもらうよ」

 

 そう言ってオールフォーワンは、死柄木の元へ向かおうとする。

 ホークスは、エンデヴァーと相澤が態勢を立て直すまでの時間稼ぎをする為、オールフォーワンに話しかける。

 

「夢ね…ワンフォーオールを手に入れた先の話っスか? 後学のために聞かせて下さいよ」

 

「単純だよ。コミックに影響されてね。その悪役は世界中から恐れられていた。何でだと思う?」

 

「悪い事するから?」

 

「悪い事とは? 文化も価値観も無数に広がるこの世界で、誰もが顔をしかめ嫌悪する行為…それは、思い描く未来を阻まれる事だ。だから僕はね、世界中の未来を阻みたい。ただ、そう在りたいと願っただけだ」

 

 そう言ってオールフォーワンは、レッドスパローから奪った朱色の翼と5本の尾を生やして死柄木の元へ飛んだ。

 ホークスは、オールフォーワンを行かせまいと羽根で攻撃を仕掛ける。

 だがオールフォーワンは、ホークスの攻撃を全て見切ると、レッドスパローから奪った“個性”で反撃をした。

 

「遅いよ」

 

 オールフォーワンは、燃える翼でホークスに絶え間なく攻撃を仕掛けた。

 ただでさえ全面戦争時のダメージが残っていたホークスは、オールフォーワンの炎を避け切れずにダメージを負う。

 するとその時、どこからか光線がオールフォーワン目掛けて浴びせられる。

 オールフォーワンが振り向くと、そこには全身の毛並みをぎらつかせて光を放つホワイトタイガーがいた。

 

「ふざけんな!! それは…それはすずめん“個性(モン)”や!! お前なんかが使うてええもんと違う!!」

 

 そう言ってホワイトタイガーは、目からボロボロと涙をこぼしながら全身から光を放って攻撃した。

 だがオールフォーワンは、ホワイトタイガーに見下したような目を向けると、手から斬撃を纏った衝撃波を放ってホワイトタイガーを吹き飛ばした。

 衝撃波を喰らったホワイトタイガーは、銀色の毛並みの下の肉を斬られ目を見開いて血反吐を吐く。

 

「ガハッ…!!」

 

「虎山ァ!!」

 

 ホワイトタイガーが一撃でオールフォーワンに倒されると、先程オールフォーワンに吹き飛ばされてボロボロになった相澤は思わず本名で叫んだ。

 相澤はオールフォーワンの“個性”を消そうと試みるが、オールフォーワンは相澤の『抹消』を喰らう事を見越し、『抹消』で消せない“個性”を優先的に発動させていた。

 ホワイトタイガーを倒したオールフォーワンは、ふぅとため息をついた。

 

「全く、次から次へと邪魔が入る」

 

 オールフォーワンがホワイトタイガーを倒す為に“個性”を使うと、ホークスは、オールフォーワンがまた少し若返った事に気がつく。

 ホークスは、オールフォーワンの放つ『朱雀』の炎でボロボロになりながらも、エンデヴァーが復活するまでの時間稼ぎをしようとオールフォーワンに立ち向かった。

 下にいたプッシーキャッツやシンリンカムイは、下にいたヒーロー達がオールフォーワンに“個性”を奪われないよう速やかに避難させた。

 オールフォーワンは、炎を使い過ぎて息が絶え絶えになっているエンデヴァーを見下しながら口を開く。

 

「全く…後輩が命懸けで戦っているというのに、何をしているんだあの甲斐性無しは」

 

「負け惜しみっスか」

 

 オールフォーワンがエンデヴァーを嘲笑いながらレッドスパローの“個性”を操ると、ホークスは炎の弾幕を避けてオールフォーワンに斬りかかる。

 

「お前は一度俺達のNo.1(エンデヴァー)に負けただろうが!!」

 

 そう言ってホークスは、羽根でできた刀でオールフォーワンを斬ろうとする。

 だがホークスが放った斬撃は悉くオールフォーワンに躱され、オールフォーワンの反撃を喰らう。

 

「君もここまでだ。()速過ぎる男」

 

 オールフォーワンがそう言った次の瞬間、オールフォーワンが放った“個性”によってホークスの身体が消し飛んだ。

 上半身を消し飛ばされたホークスを見た常闇は、思わず目を見開いて絶望の表情を浮かべる。

 だが上半身を消し飛ばされたのは、少女漫画風の顔面をしたホークスだった。

 あまりに作風の違う画風のホークスを目の当たりにした常闇は、思わず口をあんぐりと開けて間抜けな表情を浮かべてしまう。

 

「いっててスピード出し過ぎた☆だって君に逢いたいか───

 

 ホークスのふざけた顔面を吹き飛ばしたオールフォーワンは、物音のした右側を見る。

 するとその直後、オールフォーワン目掛けて水の槍が何本も飛んでくる。

 オールフォーワンは、水の槍を炎で蒸発させて弾き飛ばすと、水の槍が飛んできた方を見た。

 

「っぶな〜〜マジマボロシ〜〜」

 

 士傑高校の女子生徒、現見は、巨大な肉塊に乗って“個性”を発動させていた。

 

「てゆーかカンイチ! ロートのレンメンコるとか超シャコタンだし」

 

 現見が“個性”を発動させている近くでは、現見の1学年下の竜崎が完全に竜化した姿で水の槍を生み出していた。

 竜崎は、熱を使いすぎて体温が上がり過ぎたエンデヴァーの身体を、水で包んで冷やした。

 

「あー良かった間に合った。ヒーローは遅れてやってくる、的な?」

 

 一方で、本物のホークスは、士傑の男子生徒肉倉によって助け出され、肉倉からここに来た事情を聞いていた。

 本来は雄英からの避難民を受け入れる役目を負っていた士傑生達だったが、オールフォーワンのせいでいまだに避難誘導が進んでいなかったので、急遽士傑生達も参戦する事になったのだ。

 

「士傑高校ヒーロー科一同! 助太刀致します!」

 

 肉倉が叫んだその直後、オールフォーワンの周りに暴風が巻き起こった。

 暴風を起こしたのは、竜崎のクラスメイトの男子生徒、夜嵐だった。

 

「風は吹くんじゃなくて吹かせるモンっすよ!!」

 

 夜嵐は、オールフォーワンの周りに風を起こしてオールフォーワンの攻撃を防いだ。

 オールフォーワンの姿を見た現見と竜崎は、思わずギョッとして目を見開く。

 

「つーかアレオールフォーワン!? 顔あるくない!?」

 

「顔梅干しが梅干しじゃなくなってら…!」

 

「父の仇敵。殺してやりたいが……憎悪と厭悪に溺れはしない…! それこそ奴の思う壺だからだ…! 父が看守として守ってきたものを、私はただ繋ぐ!!」

 

 そう言って肉倉は、オールフォーワン目掛けて肉片を飛ばした。

 一方で竜崎は、水を操って地上のヒーローを救助しており、エンデヴァーを冷水の膜で包んで冷やしていた。

 

「水で覆っとくんで身体冷やしといて下さいよ、エンデヴァーさん。ショートくんの氷に比べたら、文字通り焼け石に水でしょうけど」

 

「助かる。お前…リントヴルムの息子か。補講の時の」

 

「覚えててくれたんスね。てっきりショートくんの事しか見てないかと」

 

 エンデヴァーが言うと、竜崎は他のヒーローを水で救出しながら笑った。

 かつては地元の中学の不良のトップで仮免試験の時も真面目に救助活動をせずに落ちた竜崎が、誰よりも早く一人でも多くのヒーローを救い出しているのを見て、エンデヴァーは、本当に不良だった時と同一人物かと目を疑う。

 

「……変わったな」

 

 エンデヴァーが口を開くと、竜崎はキョトンとした。

 そしてニカッと無邪気な笑みを浮かべた。

 

「それはお互い様っスね」

 

 ヒーロー達は、オールフォーワンに触れられないよう一斉に遠距離攻撃を仕掛けた。

 だがオールフォーワンは、ヒーローの総攻撃を受けてもなお笑みを浮かべており、背中からレッドスパローのものとは違う翼を生やしていた。

 そしてオールフォーワンが笑みを深くしたその直後、翼の先端から光線が放たれヒーロー達が吹き飛ばされる。

 

「この期に及んでまだ、どうにかなると思っている。勇敢なんかじゃない…僕の黄金時代(ゴールデンエイジ)を知らぬからだ。物心がつく頃にオールマイトが台頭し始めた世代…! 産まれた時からオールマイトが台頭していた世代! 何も見えぬ闇の中、しかし誰もが『()()()()()()()』に怯えた時代。猜疑と怨嗟、搾取と差別に塗れた黄金の闇を!」

 

 オールフォーワンは、地上にいるヒーロー達を嘲笑いながら言った。

 すると夜嵐がオールフォーワンに攻撃を仕掛けながら口を開く。

 

「いや、知ってるっス。あんたは知らんかったけど!!! その辺は近現代史でちゃんとやってるんで!! 俺は親友の轟とその父親(エンデヴァー)を“見て”、応援すると決めた! その血潮が恐怖に勝ってるだけっス!!!」

 

 そう言って夜嵐は、ヒーロー達の“個性”を風で巻き上げてオールフォーワンに浴びせた。

 オールフォーワンは、ヒーロー達の“個性”をいなしつつ、夜嵐に目を向ける。

 

「…“奪って”…行くか……」

 

 一方で、オールフォーワンの攻撃を逃れたヒーロー達は、ひたすら“個性”を浴びせ続けていた。

 

「イナサ!! 手を緩めるな!!」

 

「ええ!! …俺の“個性”は、強風の時程強くなるっス…!!! あんたの古い栄光より、応援してる方のつくる未来が見たいんスよ俺はァ!!!」

 

 夜嵐は、オールフォーワンの攻撃を受けてボロボロになりながらも、オールフォーワンに風を浴びせ続けた。

 オールフォーワンが夜嵐に『朱雀』と『鋲』を組み合わせて浴びせようとしたその時、大量の水がオールフォーワンに降りかかる。

 竜崎が、大量の水を操ってオールフォーワンに浴びせていた。

 

「火の用心〜ってね」

 

 竜崎は、大量の水でオールフォーワンの炎を消しつつ、水で相澤を包んでいた。

 ドライアイの相澤の為に塩分濃度を調整した水をゴーグルに送り込み、オールフォーワンを目視できるよう夜嵐の風で水を浮かせ、水で相澤への衝撃を和らげつつオールフォーワンを安全に見られる位置まで運んだ。

 

「あいざーせんせー、インパクトの瞬間まで時間稼ぎするんで視といて下さいよ」

 

「ああ。出来るだけ長く保たせる」

 

 竜崎が相澤にオールフォーワンの“個性”を消しておくよう言うと、相澤は“個性”を発動させてオールフォーワンを睨む。

 すると“個性”を発動できなくなったオールフォーワンは、苛立った様子で竜崎達の方に視線を向けると、残った異形型の“個性”で竜崎達に攻撃を仕掛けた。

 竜崎は、オールフォーワンの攻撃を受けてボロボロになりつつも、竜化した巨躯でヒーロー達を庇った。

 竜崎は、その状態でエンデヴァーに声をかけた。

 

「エンデヴァーさん!!」

 

「『ジェットバーン』!!」

 

 竜崎が声をかけると、竜崎の水によって復活したエンデヴァーが、竜崎の集めた水目掛けて炎を放った。

 すると竜崎の放った水がエンデヴァーの炎で蒸発し、大量の高温の蒸気が発生する。

 竜崎は、高温の蒸気を圧縮して放ち、それをさらに夜嵐目掛けて投げる。

 

「よっちゃん!!」

 

「行くっスよ!! 合技『熱海竜嵐(サラマンダーブレス)』!!」

 

 夜嵐は、竜崎とエンデヴァーの生み出した高温の蒸気に旋風を乗せ、巨大な爆風の竜巻を生み出してオールフォーワンに浴びせた。

 超高温の竜巻がオールフォーワンを襲う中、竜崎とエンデヴァーは水と炎を送り続け、水蒸気爆発でオールフォーワンを追い詰めた。

 

「大量の水が高温の火で熱されれば、それだけドデカい爆発を引き起こせる。噴火と同じ原理っス」

 

「俺の負担を最小限に最大威力を、か。随分と舐められたものだ」

 

「労わってんスけど!」

 

 エンデヴァーの負担を減らすために作戦を考えた竜崎に対し、エンデヴァーは感謝と称賛を伝えようとしたが、不器用さが災いしてどこかトゲのある言い方になってしまったため、竜崎がイラっとしながらツッコミを入れる。

 

「誰が何と言おうと、あんたは俺らのNo.1なんだ。あんたみたいなヒーローには、永く生きてほしいから。全力でサポートしますよ」

 

 そう言って竜崎は、次々と海水を生み出して竜巻の中に送り込む。

 すると送り込んだ水が材料となって水蒸気爆発が起こり、竜巻の威力がさらに大きくなる。

 だがその直後、大きな振動が起こったかと思うと、熱の竜巻が一気に晴れた。

 そこには、全ての攻撃を巻き戻し全くの無傷のオールフォーワンがいた。

 

「痒いねぇ」

 

 オールフォーワンは、たった一撃で熱風の竜巻をかき消すと、不敵な笑みを浮かべてみせた。

 

「もういい、君達の行き着く先は────」

 

 オールフォーワンが笑いながら言おうとしたその時、オールフォーワンの背後に巨大な闇が押し寄せた。

 見ると、オールフォーワンの背後には、巨大な黒影(ダークシャドウ)を操る常闇がいた。

 

「闇ニモ色ンナ味ガアル」

 

「お前が闇を語るな。お前が生んだドブのような味の闇なら───」

 

「皆デモウ喰ッチマッタ」

 

 そう言って黒影(ダークシャドウ)は、大口を開ける。

 黒影(ダークシャドウ)は、空に立ち込めた暗雲によって力を増し、巨大な怪物と化していた。

 常闇は、下にいたピクシーボブと黒色に頼んでずっと闇を溜め込んでいた。

 ピクシーボブが土で黒影(ダークシャドウ)を覆い、黒色が黒い絵の具を使って闇の面積を増やす事で、常闇が闇を溜めるのを手伝っていたのだ。

 いきなり気候が変動した事に異変を感じたオールフォーワンは、黒影(ダークシャドウ)の力を引き上げる暗雲が偶然起こったものではない事に気がつく。

 

「上昇気流…!」

 

「ふん、今更気付いたか」

 

 オールフォーワンが僅かに目を見開いて言うと、エンデヴァーが言い放つ。

 竜崎のオールフォーワンへの露骨な水鉄砲は、地上の炎で水を蒸発させる事が目的だった。

 そしてオールフォーワンの周りに集まった大量の水分が、オールフォーワン自身の“個性”とエンデヴァーの“個性”で熱されて大量の水蒸気へ変化し、夜嵐の“個性”で巻き上げられた事で発生した上昇気流に乗って積乱雲を形成していた。

 生み出された積乱雲は雨を降らせて地上の炎を消し、黒影(ダークシャドウ)が力を蓄えるのを手助けした。

 竜崎が仕掛けた攻撃は全て、黒影(ダークシャドウ)を活性化させる為の布石だった。

 

「オールマイトが言っていた…『エンデヴァーの炎を掴んでも、彼の“個性”が奪える訳ではない』…俺がホークス達のサポートに選ばれた理由だ」

 

 そう言って常闇は、黒影(ダークシャドウ)をオールフォーワンに差し向けた。

 ホークスは、常闇の背中を押しながら叫んだ。

 

「押せええ!!」

 

「追い風っスよ!!!」

 

 夜嵐は、風で黒影(ダークシャドウ)を押した。

 そして竜崎も、大量に溜め込んだ水蒸気を放って黒影(ダークシャドウ)を押した。

 

「ファイト!!!」

 

 竜崎は、オールフォーワンにやられてボロボロになりながらも、満面の笑みを浮かべて常闇を後押しした。

 常闇は、大勢のヒーローに後押しされながら、渾身の一撃を放った。

 

「『深淵闇躯(ブラックアンク)光明(バルドル)』」

 

 常闇は、巨大化した黒影(ダークシャドウ)でオールフォーワンを押した。

 オールフォーワンは膨大な力で押し返そうとするが、常闇は負けじと押し続けた。

 ホークスは、常闇の背中を押しながら精一杯応援した。

 

「頑張れツクヨミ! 抑え続けて時間を稼ぐんだ!! 奴は今恐らく無敵状態だが時限付きだ! エンデヴァーさんが一度倒したおかげでそうなった!! ここで抑え続けて止めるんだ!!」

 

黒影(ダークシャドウ)を覆って! 光を遮って!! (エネルギー)を供給させるの!」

 

「それ、オーロラの夜空とか出せるし『幻惑』でオケオケかもー!」

 

 耳郎が叫ぶと、現見は『幻惑』で夜空の幻を出しながら言った。

 塩崎も、竜崎が降らせた雨を吸収して髪を急成長させ、祈りを捧げながら大量の蔓で黒影(ダークシャドウ)を覆った。

 

「神よ…我等に力をお貸し下さい」

 

 一方で、オールフォーワンの攻撃を受けてボロボロになった小森も、竜崎が降らせた雨を糧にキノコを生やし続けた。

 

「ノコ…ノコ…!」

 

「いいぞ、その調子だ! 頑張れシーメイジ!」

 

 小森が大量のキノコを生やすと、シンリンカムイは、木で黒影(ダークシャドウ)を覆いつつ小森を応援した。

 一方で相澤は、“個性”を限界まで発動させてオールフォーワンを睨んでいた。

 

(いちいち技名をつけるのなんて合理的じゃないと思っていたが…アレを止めるのに使う技の名は、お前のヒーローネームから取らせてもらうぞ)

 

ritard.molto(リタルダンド・モルト)

 

 相澤は、ひなたのヒーローネームが一部入った技を使ってオールフォーワンの“個性”を消した。

 すると、発動型や変形型の“個性”にしか発動しなかったはずの“個性”が、少しずつ異形型や常時発動型の“個性”にも効き始めた。

 異形型の“個性”由来の器官の動きを極限まで遅くされ、オールフォーワンは異形型の“個性”を使っていた事が仇となって金縛り状態になる。

 相澤は、目に負担がかかる技を使って目を真っ赤に血走らせながらも、オールフォーワンを睨み続けた。

 そして竜崎、エンデヴァー、夜嵐は、黒影(ダークシャドウ)をサポートする形でひたすらオールフォーワンに攻撃を浴びせ続けた。

 

「全っ力全()ィ!!!」

 

「全力全方位サポォオオオト!!」

 

 その場にいたヒーロー達は、全員全力でオールフォーワンを止めようとした。

 だが、その直後だった。

 

 

 

 

 

 BOOM

 

 

 

 オールフォーワンは、軽く指を弾いただけで黒影(ダークシャドウ)をいとも容易く吹き飛ばしてしまった。

 

「…やはり力で…ゴリ押ししてくる奴は面倒だな…」

 

 新たに力を解放したオールフォーワンは、さらに若返っていた。

 相澤は、再び“個性”を消してオールフォーワンを食い止めようとするが、既に“個性”を酷使しているせいでどうしても力が揺らいでしまう。

 

「う゛ぅっ…」

 

「先生!!」

 

 相澤が“個性”を限界まで酷使した事で目に激痛を覚えると、耳郎が叫んだ。

 オールフォーワンがそのまま全身から“個性”を放って死柄木の元へ向かおうとすると、黒影(ダークシャドウ)は再びオールフォーワンを追いかけようとした。

 そしてエンデヴァーも、死柄木の元へ行こうとするオールフォーワンに炎を放って止めようとする。

 オールフォーワンは、数々の“個性”でエンデヴァーを返り討ちにし、エンデヴァーはオールフォーワンの総攻撃を喰らってボロボロになるが、怯む事なく火炎噴射でオールフォーワンを追い続ける。

 

「どこへ行く気だ貴様ァ!!!」

 

 そして竜崎と夜嵐も、オールフォーワンを追うエンデヴァーに続けて“個性”でサポートをした。

 

「突風で運ぶっス追いつける!! 絶対行かせねっス!!!」

 

 ヒーロー達はオールフォーワンを追おうとしたが、全快状態のオールフォーワンには到底追いつけなかった。

 全員の全力をもってしても追いつけないヒーロー達に対し、オールフォーワンは薄ら笑いを浮かべる。

 するとその時、ギガントマキアがオールフォーワンの目の前に現れる。

 ギガントマキアを一瞥したオールフォーワンは、ギガントマキアに命令する。

 

「散らせ、マキア」

 

 そして、それと同時に、ホークスは通信機越しに何者かに向かって話しかけていた。

 

「事態はまだ“最悪”ではない…って事っすよね、塚内さん」

 

 ホークスがそう言った、その直後だった。

 ギガントマキアは、巨大な岩を持ち上げると、ヒーロー達───…

 

 

 

 

 

 …… ───にではなく、オールフォーワン目掛けて岩を投げた。

 オールフォーワンは、見るからに動揺しつつも、“個性”で岩を砕いた。

 

「何を……」

 

 突然のギガントマキアの叛逆に、オールフォーワンは理解が追いつかない様子だった。

 だがその直後、ギガントマキアの頭上に誰かがいる事に気がつく。

 

「貴様ら……!」

 

 オールフォーワンは、ギガントマキアの頭に乗っていた人物に対し、ここに来て初めて明確に怒りを露わにした。

 

「俺達も来たぜ、常闇!!」

 

 ギガントマキアの頭に乗っていた切島は、前線で戦っている常闇に声をかけた。

 そしてその隣には、ペルソナコードを装着した心操がいた。

 

 

 

 

 




えー、ここまで書いといて何ですが、次はデクVS死柄木回です。

エンデヴァーは、ひーちゃんのおかげで原作より家族との仲が改善していて、メンタルも強くなってるので梅干しの挑発には乗りません。
原作の死柄木の強さを1シガラキとすると、本作の死柄木は7シガラキ、梅干しは3〜4シガラキくらいのイメージです。
本作の梅干しは、原作より裏社会の科学技術が進んでいたせいで素の身体能力が底上げされているため、“個性”消されてもバリバリ戦えます。



ここで捏造技紹介

熱海竜嵐(サラマンダーブレス)
エンデヴァー・夜嵐・竜崎の合技。
エンデヴァーの炎と竜崎の水で水蒸気爆発を起こし、夜嵐の風で威力を倍増させ、高温の蒸気で竜巻を生み出す。
その威力は凄まじく、常人であれば一瞬で全身が蒸されて死に至る。

ritard.molto(リタルダンド・モルト)
相澤の作中オリジナル技。
“個性”を限界まで引き出し『抹消』を強化する技。
本来『抹消』が効かないはずの異形型や常時発動型の“個性”由来の器官の動きを極限まで遅くする効果があり、見られた相手は金縛り状態になる(例えば掌から何かを出す“個性”であれば、“個性”が出せないだけでなく手が動かなくなる)。
その性質上、相手の“個性”が強大であればある程効果がより強く発揮される。
また、相手の“個性”が複数の属性を持つ場合は、意図的に消す属性を選択する事も可能(例えば轟の『半冷半燃』なら、炎だけ出せなくするなど)。
ただし持続時間が短く目に負担がかかるのが難点。
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