うれしい。
面白いと思っていただけましたら高評価(9・10あたり)、お気に入り、感想等よろしくお願いします。
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「スタ━━━━━━ト!!」
ミッドナイトが掛け声を上げた瞬間、生徒達が一斉にゲートを通ろうとしてA組が押される。
「って、スタートゲート狭すぎだろ!!」
「ふぎゃー! しまったー!」
「ひなたぁ! ってそうはならないでしょ!?」
「なっとるやろがい!!」
ひなたが他の生徒達に押されて生徒達の頭上をローリングしていると心操がツッコミを入れ、ひなたはグルグル回りながら返す。
すると、その直後だった。
「最初の篩」
先頭を走る轟は、そう言うと同時に足下に氷を張り巡らせる。
するとそこで多くの生徒が氷に足を取られて動けなくなる。
「ってぇ━━!! 何だ凍った!! 動けん!!」
「寒みー!!」
「んのヤロォオオ!!」
轟に足を凍らされた生徒達は、寒さに凍えていたり轟に対して恨み言を言ったりと反応は様々だった。
『さーて実況してくぜ! 解説アーユーレディ!? ミイラマン!!』
『無理矢理呼んだんだろうが』
実況役のプレゼントマイクがノリノリで言うと、相澤は不機嫌そうに返す。
すると、先頭を独走していた轟の後ろから声が聞こえる。
「待てーい焦ちゃん!」
轟の後ろを走っていたのは、先程まで生徒達の頭上をローリングしていたひなただった。
轟が出した氷は、ひなたを凍らせる前に全て砕け散っていく。
「効かないよー!」
「チッ…」
(そうだった、こいつはこういう“個性”だった)
ひなたが氷を消し飛ばして距離を詰めてくると、轟は舌打ちをして氷の上を滑りさらにひなたを突き放していく。
轟の氷が効かないひなたは、ふんすと鼻を鳴らして轟を追いかける。
そして、ひなたのすぐ後ろでは心操がひなたを除氷剤代わりにして走っていた。
「僕の後ろとは…! 考えたなひー君!」
「まぁね。除氷は任せたぜ」
「ん! 任された!」
ひなたが後ろを振り向いてサムズアップをすると、心操はニヤリと笑いながらひなたの肩を叩く。
するとひなたは、自信満々に轟の氷を消し飛ばしていく。
『いいぞーいけいけー! 頑張れひなた━━!!』
『やるなら公平にやれよ』
プレゼントマイクがひなたの応援ばかりしていると、相澤がツッコミを入れる。
するとさらに二人の後ろからも声が聞こえる。
「甘いわ、轟さん!」
「そう上手く行かせねえよ半分野郎!!」
轟が振り向くと、クラスメイト達が他の生徒の上を通って猛スピードで追い越していた。
「クラス連中は当然として、思ったより避けられたな…」
「お前の裏の裏をかいてやったぜ! ざまあねえってんだ! 喰らえオイラの必殺、GRAPE…」
峰田が轟に向かって頭の球体を投げようとした、その時だった。
ドゴォッ
「ミネタぁあああ!!?」
「峰田くん!!」
突然ロボットに殴られた峰田は、回転しながら飛んでいった。
それに対して驚いたひなたと緑谷は、峰田に向かって叫び声を上げる。
『ターゲット…大量!』
「入試の仮想
目の前には、0ポイントロボットが大量に並んでいた。
するとここで再びプレゼントマイクが実況する。
『さあいきなり障害物だ!! まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!』
「入試ん時の0ポイント
「マジか! ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」
「多すぎて通れねえ!!」
普通科の生徒達は、0ポイント
「一般入試用の仮想
「どこからお金出てくるのかしら…」
推薦入試で合格した轟と八百万は、初めて見る0ポイント
「せっかくならもっとすげえの用意してもらいてえもんだな。クソ親父が見てるんだから」
そう言って轟は、轟がロボットを凍らせて第一関門を突破した。
轟が凍ったロボットの間を走っていくと、他の生徒はそれに続こうとする。
「あいつが止めたぞ!! あの隙間だ! 通れる!」
「やめとけ。不安定な体勢ん時に凍らしたから…倒れるぞ」
轟がそう言って通り終わった次の瞬間、凍りついたロボットが崩れた。
するとプレゼントマイクが実況をする。
『1ーA! 轟!! 攻略と妨害を一度に!! こいつぁシヴィー!!! すげぇな!! 一抜けだ!! アレだな、もうなんか…ズリィな!!』
「うっ……」
目の前に立ち塞がるロボットに普通科の生徒達が怯んでいると、ひなたが前に出てそのまま0ポイント
「はいはい邪魔邪魔通らないならお先に失礼しますよーっと!」
ひなたは、忍者のような動きで0ポイント
『おおっと、1ーA相澤!! 0ポイント
『無理に倒さず最短かつ最小限の負担で通過したか。いい判断だ』
ひなたが“個性”を使わずわずか数秒で第一関門を突破してしまった事にプレゼントマイクが驚き、相澤もひなたの戦略を評価する。
1分足らずでロボ・インフェルノを攻略したひなたは、そのまま轟を追いかけようとする。
さらにひなたは、最後のロボットに到着したタイミングでロボットの頭部を思いっきり蹴って倒す。
「えいっ!」
ひなたがロボットを一体蹴って倒すと、その前にいたロボットがドミノ倒しの要領で倒れていき、何体ものロボットが後ろの生徒達の方へと倒れる。
「「「うわあああああああああ!!?」」」
「それじゃお先」
他の生徒達がロボドミノに巻き込まれそうになっていると、ひなたは手を振って去っていった。
ひなたは、どこをどのくらいの強さで蹴ればドミノ倒しが起こるかを計算しながらロボットの上を駆け抜け、上手い具合に倒れるように着地の時に少しずつバランスを崩していたのだ。
『えげつね━━━!! 1ーA相澤、ロボドミノで後続を妨害しやがった!! どんどんロボが巻き込まれていく!! 破壊力抜群のピタゴラスイッチの前に、後続はなす術なしかァ!?』
『最小限の力で最大限ロボットを巻き込めるよう計算して、ロボットを踏み台にした時に蹴りでバランスを崩し最後の蹴りで一気に崩壊させたんだ』
プレゼントマイクと相澤が実況を挟んでいる間も、ひなたは轟を追いかけていく。
すると後ろの方で、何やら音がパリッと電気が走るような音がする事に気がつく。
「ん?」
「フルカウル…5%!」
ひなたが振り向くと、緑谷が緑色の光を纏いながら走っていた。
たった二週間での緑谷の変化に、ひなたは思わず目を丸くする。
「わ!? デッくんどしたんそれ!?」
「君のおかげだよ、相澤さん!」
「はて、僕何かしたっけ!?」
緑谷の急激な変化にひなたが驚いていると、緑谷が礼を言ってくるので、ひなたはいまいち要領を得ない様子で尋ねる。
『第一種目は障害物競走!! この特設スタジアムの外周を一周してゴールだぜ!!』
『おい』
『ルールはコースアウトさえしなけりゃ何でもアリの残虐チキンレースだ!! 各所に設置されたカメラロボが興奮をお届けするぜ!』
『俺要らないだろ』
プレゼントマイクが実況をすると、隣にいた相澤がツッコミを入れる。
一方、凍りついて崩れたロボットの下には、誰かが下敷きになっていた。
それを見た他の生徒達は、顔を真っ青にしていた。
「お、おい! 誰か下敷きになったぞ!! 死んだんじゃねえか!? 死ぬのかこの体育祭!!?」
だが、ロボットの表面がベコベコと動き、直後その下から切島が飛び出す。
「死ぬかぁー!!」
『1ーA切島潰されてたー!!』
切島が勢いよく飛び出すと、プレゼントマイクが驚きながらコメントをする。
切島は、先頭を走る轟に対して文句を言った。
「轟のヤロウ! わざと倒れるタイミングで! 俺じゃなかったら死んでたぞ!!」
切島鋭児郎
“個性”『硬化』
身体がガッチガチに硬化する!!
最強の矛にも最強の盾にもなる!!
すると、またロボットの表面がベコベコと動く。
「轟といいひなたとかいう奴といい、A組のヤロウは本当嫌な奴ばかりだな…! 俺じゃなかったら死んでたぞ!!」
「B組の奴!!」
B組の鉄哲も、切島同様飛び出した。
『B組鉄哲も潰されてたー!! ウケる!!』
プレゼントマイクは、ロボットの残骸から飛び出してきた二人を指差してゲラゲラ笑いながら実況をする。
鉄哲徹鐡
“個性”『スティール』
身体が鋼のようになる!
最強の矛にも最強の盾にもなる!
「“個性”ダダ被りかよ!!」
鉄哲と“個性”が被った切島は、若干涙目になりながら走っていく。
それを見ていた上鳴は、切島と鉄哲を見て羨ましがっていた。
「良いなあいつら…潰される心配なく突破できる」
「とりあえず俺らは一時協力して道拓くぞ!」
B組の鱗という生徒は、他の生徒達に協力を呼びかける。
他の生徒達も、次々と第一関門を突破していく。
爆豪は、爆破で空を飛んでロボットの頭上を移動していく。
『1ーA爆豪、下がダメなら頭上かよー!! クレバー!』
空を飛んで第一関門を突破していく爆豪に、プレゼントマイクが驚いた様子で実況をする。
すると、爆豪の後ろから瀬呂と常闇が爆豪と同じように空路で第一関門を突破していく。
「おめー、こういうの正面突破しそうな性格してんのに、避けんのね!」
「便乗させてもらうぞ」
瀬呂範太
“個性”『テープ』
肘からセロハンテープ的なものを射出!
巻き取って移動するも良し!
切り離してトラップにするも良し!
常闇踏陰
“個性“『
伸縮自在で実体化する影っぽいモンスターをその身に宿している!
『一足先行く連中、A組が多いなやっぱ!!』
プレゼントマイクが実況をすると、オールマイトがA組を見ながら呟く。
「他の科やB組も決して悪くはない! ただ……」
『立ち止まる時間が短い。上の世界を肌で感じた者、恐怖を植え付けられた者、対処し凌いだ者、各々が経験を糧とし迷いを打ち消している』
相澤は、次々と第一関門を突破していくA組に対してそうコメントした。
するとそんな中、八百万が大砲で0ポイント
「チョロいですわ!」
「道が拓けた!」
「あの0ポイントがこんな容易く…………!」
いとも容易く0ポイント
するとそれを見ていたスナイプがコメントする。
「入試の時は“避けるべきもの”として出したからな。“倒すべきもの”として見れば、鈍臭い鉄の塊。突ける隙も見えてくらぁな」
生徒達は次々と第一関門を突破していき、長い階段を駆け登ったところで次の障害物が現れる。
次の関門は、深い崖にいくつかの狭い足場があり足場間にロープがかけられているステージだった。
『オイオイ第一関門チョロいってよ!! んじゃ第二はどうさ!? 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォ━━━ル!!!』
多くの生徒達が足を止める中、蛙吹は真っ先にロープを伝って渡り始める。
「大袈裟な綱渡りね」
「フフフフフフ、来たよ来ましたアピールチャンス! 私のサポートアイテムが脚光を浴びる時! 見よ、全国のサポート会社! ザ・ワイヤーアロウ&ホバーソール!!」
そう言って笑いながら現れたのは、サポートアイテムをガッチガチに装備したサポート科の女子だった。
それを見た麗日と芦戸は文句を言う。
「サポート科!!」
「えー、アイテムの持ち込みいいの!?」
「ヒーロー科は普段から実戦的訓練を受けてるでしょう? 公平を期す為私達は自分の開発したアイテム・コスチュームに限り装備オッケー! と言いますかむしろ…私達にとっては、己の発想・開発技術を企業にアピールする場なのでスフフフフ!!」
そう言ってサポート科の女子は、脇に装着したサポートアイテムからワイヤーアロウを射出して崖から跳び上がった。
「さあ見て、できるだけデカい企業ー!! 私のドッ可愛いぃ…ベイビーを!!」
そう言ってサポート科の女子は、サポートアイテムを使って器用に向こう岸へと着地した。
「すごい! 負けない!」
「くやしー! 悪平等だ!」
文句を言っていた麗日と芦戸も、サポート科の女子達を見て走り出す。
一方ひなたは、サポート科の女子に感心しつつ屈伸していた。
「まあでも一理あるね、さーて僕も行くぞー」
「ひなたちゃん、何しとるん?」
「ん? 準備運動」
麗日の問いかけに対しひなたが答えた直後、ひなたは軽くトントンと後ろへ数歩跳ぶ。
その直後、いきなり全力疾走し始める。
そして、全力疾走の勢いを利用して高く跳び上がると、空中で一回転してから向こう岸へと着地した。
「いやっほぉ〜い!」
「「「「はぁあああああ!!?」」」」
“個性”を使わずにジャンプだけで向こう岸まで辿り着いたひなたに、主に普通科の生徒達が目を見開いて叫び出す。
「ふ〜んふんふ〜ん♪」
ひなたはその後も鼻歌を歌いながらアクロバティックな動きで次々と崖やロープの上をピョンピョン跳んで渡っていく。
幼少期から相澤との訓練で鍛えられてきたひなたにとっては、跳び箱と同じ感覚だった。
「何だあいつ!? 笑いながらロープの上ジャンプしてるぞ!?」
「“個性”無しであれかよ!? バケモンじゃねーか!!」
ニコニコ笑いながら人間離れした動きを披露するひなたに、主にヒーロー科以外の生徒が指を差して叫んでいた。
ひなたは、“個性”を使っていないとは思えない超人的な身体能力を持っており、男子や異形型の生徒を含めてもヒーロー科トップクラスだった。
「あはは、懐かしいなぁ。小学生の頃こうやってビルの上ピョンピョン飛んで渡ってたらお父さんに見つかって反省文原稿用紙百枚分書かされたっけ…ああ、急に嫌な思い出に…」
ひなたが相澤に原稿用紙を反省文で埋めさせられた嫌な思い出を噛み締めながらフリーランニングで第二関門を突破していく。
『1ーA相澤、何と“個性”を使わずフリーランニングで第二関門を攻略! つーか完全に遊んでるぞ!! でも可愛いからオールオッケー!!』
『真面目にやれ』
プレゼントマイクが完全にひなた寄りの実況をすると、相澤が肘で小突いて注意をする。
『実に色々な方がチャンスを掴もうと励んでますねイレイザーヘッドさん』
『何足止めてんだあのバカ共…』
プレゼントマイクが気持ちを切り替えて相澤に言うと、相澤はイラッとした様子で返す。
一方轟は、氷の上を滑って先頭を独走していた。
『さあ先頭は難なく一抜けしてんぞ!!』
先頭を独走する轟を、爆豪が両手を爆発させて空を飛びながら追いかけていた。
「くそがっ!!!」
すると、飯田も負けじと動き出す。
「おそらく兄も見ているのだ…かっこ悪い様は見せられん!!!」
『カッコ悪ィイ━━━━━!!!』
飯田がTの形でバランスをとりながらエンジンを使ってロープを滑るように進んでいくと、プレゼントマイクがツッコミを入れる。
「わっ、まずい天ちゃんに追いつかれる! だったら一番近道のロープ全部切れ込み入れちゃえ!」
ひなたは、ロープの上を通る際にロープに切れ込みを入れて後続を妨害する。
そしてひなたも先頭の二人同様第二関門を突破した。
『先頭が一抜けて下は団子状態!! 上位何名が通過するかは公表してねぇから安心せずに突き進め!! そして早くも最終関門!! かくしてその実態は────…一面地雷源!!! 怒りのアフガンだ!! 地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!! 目と脚酷使しろ!! ちなみに地雷の威力は大した事ねぇが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!!』
『人によるだろ』
プレゼントマイクが最終関門の解説をすると、相澤がツッコミを入れる。
轟が慎重に地雷を避けて通っていた、その時だった。
「はっはぁ俺は──関係ね━━━!!!」
『爆豪、地雷原を爆速で飛んで攻略ゥ!!』
爆豪は、空中を爆破で駆け抜けて地雷原を攻略しようとした。
だがその直後、ピピっと音がしたかと思うと、地雷原の壁から砲口が出現し爆豪に狙いを定める。
「あ!?」
『おっと言い忘れてたなリスナー諸君! 地雷原には、飛行系の“個性”持ち対策として対空機関砲と捕縛ネット、あとは全自動追尾式ミサイルなんかが搭載してあるぜ!! ちなみに機関砲はエアガンだし、ミサイルの中身はただのトリモチだから安心しな!!』
『殺意高すぎだろ』
『あとついでに言っておくが、トラップには加速度センサーが付いてっからスピード出し過ぎるとトラップの餌食になるぜ!! YEAH!』
『おい』
プレゼントマイクが実況すると、相澤がツッコミを入れる。
その頃、爆豪は地雷原のトラップに捕捉され、大量のプラスチック弾やトリモチ弾、捕縛ネットが飛んでくる。
だが…
「邪魔だくたばれぇ!!!」
爆豪は、飛んできた罠を全て爆破で吹き飛ばし、さらに加速した。
「てめぇ宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ!!」
爆豪は、とうとう轟を追い抜いた。
『ここで先頭が変わった━━!! 喜べマスメディア!! お前ら好みの展開だああ!! 後続もスパートかけてきた!!! だが引っ張り合いながらも…先頭二人がリードかぁ!!!?』
轟と爆豪がトップ争いをしている間、ひなたはというとエコーロケーションで全ての地雷を感知し走り幅跳びの要領で最短距離を駆け抜けていた。
ひなたはスピードを落とさず走れるので、すぐに互いに足を引っ張り合っている二人に追いついた。
後続がひなたを妨害しようとするが、ひなたはもれなく妨害してきた“個性”の数々を『共鳴』で消し飛ばしつつ後続を地雷へ誘導してカウンターを仕掛け、涼しい顔で先頭二人との距離を詰めていく。
「ふぃー、やっと追いついたー!!」
「チッ…相澤…!」
「邪魔だどけ触角ァ!!」
ひなたが二人に追いつくと、二人はひなたに妨害を仕掛ける。
だがひなたは、涼しい顔をして二人の“個性”を消し飛ばす。
「効かないよー」
「クソが!!」
『おっとここで相澤、先頭二人に追いついたぞ!! ヒーロー科トップ3が並び立ったァァ━━━━!! いいぞ頑張れひなた━━━!!』
『偏向実況やめろ』
プレゼントマイクが娘に寄った実況をすると、相澤がツッコミを入れる。
「焦ちゃん、かっちゃん! 覚悟!!」
ひなたは、先頭二人を攻撃して妨害しようとする。
すると、その時だった。
「ワンフォーオール・フルカウル…15%…! SMAAAAAASH!!」
緑谷は、地雷を掘り起こして並べ、パンチでわざと地雷を起爆させた。
するとその直後だった。
BOOOOOM!!
『後方で大爆発!!? 何だあの威力!? A組緑谷、爆風で猛追━━━━!!!? つーか!!! 抜いたあああああー!!!』
緑谷は、地雷の大爆発を利用して吹き飛び、三人を追い越した。
すると爆豪が掌を爆発させながら緑谷を追う。
「デクぁ!!!!! 俺の前を行くんじゃねぇ!!!」
轟も、氷を出して一直線に緑谷を追う事に集中した。
「後ろ気にしてる場合じゃねぇ…!」
ひなたも、猛スピードで駆け抜けて緑谷に追いつこうとする。
「待てーいデッくん!!」
『元・先頭の三人、足の引っ張り合いをやめ緑谷を追う!! 共通の敵が現れれば人は争いをやめる!! 争いは無くならないがな!』
『何言ってんだお前』
プレゼントマイクが言うと、相澤が冷静にツッコミを入れる。
するとその直後、緑谷が拳を振りかぶる。
「あ、コレ次来る」
真っ先に次の緑谷の攻撃を察したひなたは、次のインパクトに備えて構えを取る。
緑谷は、下にある地雷に向かってもう一度パンチを放った。
するとその次の瞬間。
ドゴオオオオオオオォン!!!!!
「「!?」」
地雷が大爆発を起こし、三人が吹き飛ばされる。
緑谷は逆に前方へと吹き飛ばされ、そのまま着地するとゴールへと走っていく。
『緑谷、間髪入れず後続妨害!! 何と地雷原即クリア!! イレイザーヘッド、お前のクラスすげえな!! どういう教育してんだ!』
『俺は何もしてねえよ、奴等が勝手に火ィ付け合ってんだろう』
プレゼントマイクがノリノリで隣にいた相澤に話しかけると、相澤が答える。
するとプレゼントマイクは相澤を無視して実況を続けた。
『さァさァ今一番にスタジアムへ還ってきたそのお………──────んん!!?』
第一競技の一位を発表しようとしたプレゼントマイクだったが、画面を見てサングラスのツルを片手で持ち上げながら目を凝らす。
するとそこには予想外の映像が映り込んでいる事に気がつく。
「お疲れ様です、緑谷さん。ここまでありがとうございました」
「え!!?」
そう言って緑谷の隣を走っていた影山は、軽く緑谷の肩を叩くとそのまま一足先にゴールへと到着した。
緑谷は、信じがたい現象に頭が追いつかずにいた。
今の今までずっと、影山が一緒に走っていた事に『全く気が付かなかった』のだ。
否、緑谷だけでなく他の生徒や観客達全員が気づかなかった。
それはもはや影が薄いというレベルを超えており、『存在そのものを認識出来なかった』と捉えるのが正確だった。
『オイオイマジかちょっと待て!! 誰が予想出来たよこの展開!? 今一番にスタジアムへ還ってきたのは何と、普通科1ーC!! 影山幽華だァアア━━━━━━━━!!!』
影山は、一足先にゴールへ辿り着くと、ニッコリと貼り付けたような笑みを浮かべて観客達に向かって一礼する。
するとその直後、緑谷がゴールする。
『さァ続けてこの男! 1ーA緑谷出久がゴールイン!! そして続く三着は───…』
プレゼントマイクが言った、その直後。
「はぁ、はぁ…死ぬかと思った…」
体操服と髪がボロボロになったひなたが、フラフラの状態でゴールインした。
『1ーA相澤ひなただァァ!! よくやったひなたー!!』
『私情を挟むな』
ひなたの登場にプレゼントマイクのテンションが最高潮になると、相澤が冷静にツッコミを入れる。
だが、本心では娘の活躍が嬉しいのか、先程までとは違い明らかに冷たい視線を向ける事はなかった。
「ふー…一か八かの賭けだったけど、上手くいって良かったー…」
ひなたは、そう言ってその場でペタンと尻餅をついて大きなため息をついた。
◇◇◇
数秒前、地雷が爆発する直前。
「あ、コレ次来る」
真っ先に緑谷の次の行動を察したひなたは、次のインパクトに備えて構えを取り、あえて避けずに爆発の中心へ向かって走っていく。
するとその次の瞬間。
ドゴオオオオオオオォン!!!!!
「「!?」」
地雷が大爆発を起こし、轟と爆豪が吹き飛ばされる。
すると緑谷は逆に前方へと吹き飛ばされ、そのまま着地するとゴールへと走っていく。
そしてひなたは、計算通り緑谷同様前方へと吹き飛ばされ、爆発に備えて受け身を取っていたお陰で最小限のダメージで済んでいた。
吹き飛ばされたひなたは、空中で一回転するとそのまま着地し姿勢を低くしたまま走り出す。
するとその直後。
「俺の前を走るな触角ァア!!」
「行かせねえぞ相澤…!!」
爆発の煙の中から、爆豪と轟が出てきて前を走るひなたを追いかける。
するとひなたは、後ろを振り向いて大きく息を吸い込んだ。
そして…
『わ゛っ!!!』
「くっ…!」
「クソが…!」
ひなたが“個性”を使って叫ぶと、二人はその場で足を止めて咄嗟に耳を塞ぐ。
だが一瞬判断が遅く、二人は“無個性”化で足止めを喰らった。
「ごめんねー!」
ひなたは、邪魔をした二人に対して申し訳なさそうに手を振ると、そのままゴールした。
◇◇◇
そしてひなたがゴールした後、四位以下が次々とゴールする。
「ハァ…ハァッ、また…クソっ…! クソがっ…!!!」
爆豪は、悔しそうに地面を睨んでいた。
『さあ続々とゴールインだ! 順位等は後程まとめるからとりあえずお疲れ!!』
「デクくん…! 凄いねぇ! この二週間で何があったん」
「この“個性”で遅れをとるとは…やはりまだまだだ僕…俺は…!」
麗日と飯田が緑谷に話しかけてくる。
「麗日さん、飯田くん!」
「二位凄いね! 悔しいよちくしょー!」
「ええ、私が一位になれたのはあなたのお陰ですよ、緑谷さん」
「そうそう! って、え!?」
いつの間にか緑谷の隣にいた影山が話しかけてきたので、3人は驚いて影山の方を見る。
「ええっと…か、影山…さん?」
緑谷が驚きのあまり震えながら大きく目を見開いて影山を指すと、影山はニッコリと微笑む。
「あら、覚えててくれたんですね緑谷さん。さっきはどうもありがとうございました。私、こう見えてギャンブルが好きでしてね。あなたにベットして張り付いておいて正解でした」
「は、え!? 嘘!? 僕全然気付かなかったよ!?」
「ああ、お気になさらず。それは私の“個性“のせいですから。私は、あなたに賭けて地雷を掘り起こしてる辺りから張り付いてたんですよ。全ては、私が一位になるこの瞬間の為にね」
「利用されてたのか…! ひどいよ影山さん…!」
「あらあら」
緑谷が状況を理解できずに顔面蒼白になって震えていると、影山はそれを面白がって笑っていた。
一方、ひなたがクシャクシャになった髪を整えていると、心操が声をかけてくる。
「三位か、凄いな」
「ありがとひー君。でも、どうせなら一位になりたかったな…! 機動力課題だ!」
心操が言うと、ひなたはクシャクシャになった髪を掻きながら答える。
それぞれゴールし終え振り返っていると、順位が発表された。
1位 影山幽華(普通科)
2位 緑谷出久(A組)
3位 相澤ひなた(A組)
4位 轟焦凍(A組)
5位 爆豪勝己(A組)
6位 塩崎茨(B組)
7位 骨抜柔造(B組)
8位 飯田天哉(A組)
9位 常闇踏陰(A組)
10位 瀬呂範太(A組)
11位 切島鋭児郎(A組)
12位 鉄哲徹鐵(B組)
13位 尾白猿夫(A組)
14位 泡瀬洋雪(B組)
15位 蛙吹梅雨(A組)
16位 障子目蔵(A組)
17位 砂藤力道(A組)
18位 麗日お茶子(A組)
19位 八百万百(A組)
20位 峰田実(A組)
21位 心操人使(A組)
22位 芦戸三奈(A組)
23位 口田甲司(B組)
24位 耳郎響香(A組)
25位 回原旋(B組)
26位 円場硬成(B組)
27位 上鳴電気(A組)
28位 凡戸固次郎(B組)
29位 柳レイ子(B組)
30位 拳藤一佳(B組)
31位 宍田獣郎太(B組)
32位 黒色支配(B組)
33位 小大唯(B組)
34位 鱗飛竜(B組)
35位 庄田二連撃(B組)
36位 小森希乃子(B組)
37位 鎌切尖(B組)
38位 物間寧人(B組)
39位 角取ポニー(B組)
40位 葉隠透(A組)
41位 取蔭切奈(B組)
42位 吹出漫我(B組)
43位 発目明(サポート科)
44位 青山優雅(A組)
「予選通過は上位44名! 残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい! まだ見せ場は用意されてるわ!! そしていよいよ本選よ!! ここからは取材陣も白熱してくるよ! 気張りなさい!!!」
上位44名の顔がプロジェクターで投影される。
ミッドナイトが言うと、ひなたは気を引き締めてぐっと拳を握る。
「さーて、第二種目よ!! 私はもう知ってるけど〜〜〜…何かしら!!? 言ってる側からコレよ!!!!」
ミッドナイトがプロジェクターを指差すと、そこには『騎馬戦』と表示されていた。
「騎馬戦…!」
「個人種目じゃないけど点数とかどうなるんだろうね」
ひなたは、コソッと隣にいた心操に話しかける。
するとプロジェクターの画面が切り替わる。
「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが… 先程の結果に従い各自にポイントが振り当てられる事!」
「入試みたいなポイント稼ぎ方式か。わかりやすいぜ」
「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくると!」
「あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!!」
A組の生徒達が喋っていると、ミッドナイトがピシャンと鞭を打って黙らせた。
「ええそうよ!! そして与えられるポイントは下から5ずつ! 44位が5ポイント、43位が10ポイント…といった具合よ。そして…1位に与えられるポイントは、1000万!!!!」
ミッドナイトがヤケクソ気味に言うと、ひなたは思わず「ははは…」と苦笑いを浮かべる。
「…………」
そして説明をを聞いたヒーロー科の生徒達は、一斉に影山の方を見た。
影山は余裕綽々といった表情をしており、むしろこの状況を楽しんでいる様子だった。
「上位の奴ほど狙われちゃう…下克上サバイバルよ!!!」
ちなみに心操くんは“個性”を使わずにこの順位です。
“個性”を使えば確実に10位以内には食い込めたのですが、あんまり手の内晒しすぎると後に響くのであえて“個性”不使用で障害物競争に挑んでます。
Q.ひーちゃんがデクの“個性”消してれば1位になれたのでは?やらなかったのはなんでなの?
A.“個性”のタイムラグのせいです。ひーちゃんの“個性”は発動までにタイムラグがあるので、その間大きな隙ができます。それを見逃してくれる轟や爆豪ではありません。また、仮にデクの“個性”を消せていたとしても、どのみち地雷の起爆までは防げないので、無駄撃ちになる可能性が高いからやりませんでした。