面白いと思っていただけましたら高評価(9・10あたり)、お気に入り、感想等よろしくお願いします。
「上に行く者には更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra! 予選通過一位の影山幽華さん!! 持ちポイント1000万!!」
「あらあら」
ミッドナイトが言うと、影山は余裕綽々と言った様子で貼り付けたような笑みを浮かべていた。
するとミッドナイトが説明を続ける。
「制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイント数が表示された鉢巻を装着! 終了までに鉢巻を奪い合い保持ポイントを競うのよ。取った鉢巻は首から上に巻く事。取りまくれば取りまくるほど管理が大変になるわよ! そして重要なのは鉢巻を取られても、また騎馬が崩れても、アウトにはならないってところ!」
「て事は…」
「44名からなる騎馬11〜22組がずっと同じフィールドにいるわけか…?」
「シンド☆」
八百万と砂藤が言うと、青山がキツそうな顔をする。
「一旦ポイント取られて身軽になっちゃうのもアリだね」
「それは全体のポイントの分かれ方見ないと判断しかねるわ三奈ちゃん」
「せやね」
芦戸が言うと蛙吹がツッコミを入れ蛙吹に同意するようにひなたも頷く。
「“個性”発動アリの残虐ファイト! でも……あくまで騎馬戦!! 悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード! 一発退場とします! それじゃこれより15分! チーム決めの交渉タイムスタートよ!!」
こうしてチーム決めの交渉時間が始まった。
するとその直後、ひなたの前に大勢のクラスメイトが集まってくる。
「ねえひなた、私チームに入れてよ!」
「俺入れてくれ!」
「ひなたちゃん一緒にやろーよ!」
「相澤ァ…俺達チビ仲間だろ? もうこの際女ならお前でいいから…」
「僕でしょねぇ☆」
「えっと…」
予選3位通過という事もあり、ひなたのところには大勢のクラスメイトが押し寄せた。
予選の結果一番の人気株となってしまったひなただが、既に誰と組むかは決めていた。
「ひー君、ふみにゃん、ゆー君! 一緒にやろう!」
「「「!」」」
ひなたが心操、常闇、青山の三人を指名すると、三人が目を見開く。
まさか自分が指名されるとは思っていなかった常闇は、ひなたに尋ねる。
「相澤…俺で良いのか?」
「もちろん! だってひー君と僕が組んだら敵無しだし! ふみにゃんも、近距離にも遠距離にも強くて攻撃も防御もできるでしょ? こんなに頼りになる人、他にいないと思う! ねえ、やってくれるかな!?」
「…わかった。そういう事なら、一緒にやろう」
「ああ。俺も別に断る理由無いしな」
ひなたが目を輝かせながら交渉すると、常闇と心操が承諾した。
するとひなたは、青山にも交渉を持ちかける。
「ねえゆー君! 僕のチームが勝つためには、ゆー君の力が必要なんだ! 僕と組んでくれたら、絶対最終種目まで出場できるよ!」
「それって僕がよりキラめけるって事? 君、見る目あるじゃない☆」
「やったー決まり! それじゃ作戦タイム!」
青山がひなたの誘いを快諾すると、ひなたは大喜びした。
こうして、ひなたのチームには、心操、常闇、青山が加わる事になった。
「相澤さんが先に…! そっか、相澤さんと心操くん、常闇くんとUSJで一緒だったもんな…どうしよう、常闇くん取られたの痛いぞ…!」
「どうしようデクくん、もう皆組んじゃったって」
一方、緑谷は焦っていた。
実は飯田にも声をかけたものの、既に轟チームに声をかけられているという理由で断られていた。
力を使いこなせるようになったとはいえ、評価がいまだに定まらない現状で緑谷と組むのは不安要素が大きく、言ってしまえばむしろ他の生徒達にとっての獲物だった。
そのため、攻防に優れ尚且つ人気株のところへ行かなかった常闇を仲間にしようと考えていたのだが、先にひなたが声をかけてしまったため、誰をチームに入れるかで悩んでいた。
緑谷が焦っていたその時、後ろから声をかけられる。
「私で良ければ力を貸しましょうか? 緑谷さん」
「影山さん…!」
肩を叩かれた緑谷が後ろを振り向くと、そこには影山がいた。
影山は、貼り付けたような笑みを浮かべながら緑谷に提案する。
「私なら、飯田さんや常闇さんの代わり…いえ、彼等以上の働きをしてみせます。どうです? 一緒にやりません? 今組める人いなくて困ってるんですよね?」
影山が言うと、緑谷は少し考え込む。
障害物競走では自分を利用した影山が、何故都合よく自分に声をかけてきたのか、その意図がわからなかったからだ。
「確かに、常闇くんは相澤さんのチームに入っちゃったし、飯田くんにも断られた…けど、何で僕に…?」
「言ったじゃないですか。私は初めからあなたにベットしていた、と。私は、轟さんや相澤さん、爆豪さんにはない『何か』を持つあなたの可能性に賭けたんです。実際、あなたは私の見込んだ通りあの三人に勝ってくれましたしね。私は、あなたの持つ『爆発力』が欲しい。あなたは、次の競技を勝ち抜ける戦力が欲しい。お互いに利害は一致してるはずです。ああ、ご心配なく。こう見えても私、あなた達より強いですから」
影山は、ニコニコと笑顔を浮かべながら緑谷に交渉を持ちかけた。
緑谷には、影山が何を考えているのかを理解する事はできなかった。
しかし、A組トップの三人に勝つには影山の持つ可能性に賭けるしかないと思ったのも事実だった。
「…正直、影山さんが僕の何に期待して声をかけてくれたのかはよくわからない。だけど、きっと僕は君と同じだと思う。僕だって、『僕が来た』って事を皆に知らしめたい。その為には、かっちゃんや轟くん、相澤さんに負けない力が欲しい。君の力を貸してくれるかな、影山さん」
「ふふ、ありがとうございます。交渉成立ですね」
緑谷が言うと、影山はクスリと笑った。
緑谷のチームには、麗日、サポート科の女子発目、そして影山の三人が加わる事になった。
一方ひなた達は、早速騎馬の組み方や作戦を話し合っていた。
「騎馬の組み方はどうしようね?」
「とりあえずひなたが騎手やるのが前提だよな。“個性”無しの取っ組み合いなら一番強いし」
「だね。でさ、ひー君が前騎馬で相手の騎馬を煽れるだけ煽って、ふみにゃんとゆー君がそれぞれ右翼と左翼を担当って感じでどう?」
「問題ない」
「スィ☆」
こうして心操が前騎馬、常闇が右、青山が左、そしてひなたが騎手をやる事になった。
4人での作戦タイムが終わる頃にはいつの間にか15分が経っており全ての騎馬が完成していた。
『さあ起きろイレイザー! 15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!』
「………なかなか、おもしれえ組が揃ったな」
『さァ上げてけ鬨の声!! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙を上げる!!!』
それぞれの騎馬のメンバーと合計ポイントは、
緑谷チーム TOTAL 10000360P
騎手:緑谷出久(215P)
前馬:影山幽華(1千万P)
右馬:発目明(10P)
左馬:麗日お茶子(135P)
鉄哲チーム TOTAL 705P
騎手:鉄哲徹鐡(165P)
前馬:骨抜柔造(190P)
右馬:塩崎茨(195P)
左馬:泡瀬洋雪(155P)
爆豪チーム TOTAL 660P
騎手:爆豪勝己(200P)
前馬:切島鋭児郎(170P)
右馬:芦戸三奈(115P)
左馬:瀬呂範太(175P)
轟チーム TOTAL 610P
騎手:轟焦凍(205P)
前馬:飯田天哉(185P)
右馬:八百万百(130P)
左馬:上鳴電気(90P)
相澤チーム TOTAL 515P
騎手:相澤ひなた(210P)
前馬:心操人使(120P)
右馬:常闇踏陰(180P)
左馬:青山優雅(5P)
葉隠チーム TOTAL 430P
騎手:葉隠透(25P)
前馬:耳郎響香(105P)
右馬:尾白猿夫(160P)
左馬:砂藤力道(140P)
峰田チーム TOTAL 420P
騎手:蛙吹梅雨(150P)、峰田実(125P)
騎馬:障子目蔵(145P)
物間チーム TOTAL 295P
騎手:物間寧人(35P)
前馬:円場硬成(95P)
右馬:黒色支配(65P)
左馬:回原旋(100P)
拳藤チーム TOTAL 220P
騎手:拳藤一佳(75P)
前馬:柳レイ子(80P)
右馬:小森希乃子(45P)
左馬:取蔭切奈(20P)
小大チーム TOTAL 210P
騎手:小大唯(60P)
前馬:凡戸固次郎(85P)
右馬:吹出漫我(15P)
左馬:庄田二連撃(50P)
角取チーム TOTAL 180P
騎手:角取ポニー(30P)
前馬:鎌切尖(40P)
後馬:口田甲司(110P)
鱗チーム TOTAL 125P
騎手:鱗飛竜(55P)
騎馬:宍田獣郎太(70P)
となった。
ひなたは、4人の合計分の515ポイントの鉢巻を頭に巻いていた。
「よっしゃ! やったるぞ皆!」
「うん」
「ああ…! 行くぞ
「アイヨ!」
「スィ☆」
ひなたがふんすと鼻を鳴らすと、心操、常闇、青山の3人と
『よォーし組み終わったな!!? 準備はいいかなんて聞かねぇぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!! 3!!! 2!! 1…! START!!』
プレゼントマイクの開始の合図と同時に、ほとんどのチームが緑谷に狙いを定めてきた。
「実質1000万の争奪戦だ!!」
「はっはっは!! 緑谷くんいっただくよ━━━!!」
鉄哲チームと葉隠チームが緑谷のハチマキを狙いに行くと、前騎馬の影山が騎手の緑谷に尋ねる。
「あらあら…どうします? 緑谷さん」
「逃げの一手!!」
「了解です、リーダー♪」
緑谷が指示を出すと、クスリと笑って頷く。
するとその直後、緑谷チームの足元が沈む。
鉄哲チームの骨抜が“個性”で地面を柔らかくしてしまったのだ。
「!!」
「沈んでる! あの人の“個性”か! 麗日さん! 発目さん! 顔避けて!!」
緑谷が叫んで手に持っているボタンをポチッと押すと、緑谷の背中に装着された機械が火を吹き4人は空へと飛び上がる。
『お━━っと緑谷チーム、サポートアイテムで飛んだ━━━!! ハーレムにメカと男の
『夢と書いてロマンと読ませるな』
プレゼントマイクがノリノリで実況をすると、相澤が冷ややかな視線を向けながらツッコミを入れる。
「飛んだ!? サポート科のか! 追ぇえ!!」
「耳郎ちゃん!!」
「わってる」
葉隠が叫ぶと、耳郎が緑谷チームへジャックを伸ばす。
すると影山は、何かを投げる仕草をする。
「発目さん作『超ブーブークッション』」
影山がニヤリと笑った直後、何も無い空中に突然袋のような物体が現れ、耳郎のジャックが刺さった瞬間に大爆発した。
突然爆発が起こり、耳郎は爆音に耐えられずに思わずジャックを引っ込めて耳を塞ぐ。
「わ゛!?」
耳郎が怯んだ隙に、緑谷チームは一気に他のチームを蒔く。
影山は、無機質な笑みを浮かべながらくっくっと喉を鳴らす。
「ふふふ、あらかじめ“個性”を観察させてもらいました。音を拾う“個性”なら、こういった攻撃には弱いですよね」
「私のベイビーにこんな使い道が…!?」
「発目さんが大量にアイテム持ち込んでくれてて助かりました」
「ていうか今何したん!?」
「こういう“個性”なんですよ。私は、あらゆるものを“消す”事ができるんです。もちろん索敵には引っかかりませんし、発動条件さえ揃えば遠距離攻撃にも対応できます。だから私と組んで良かったでしょ?」
影山幽華
“個性”『否定』
あらゆるものの存在を“否定”する!
発動中は、他者に存在を一切感知されなくなる!
早い話石ころ帽子だ!!
ただし自分以外の生物には適応されない!!
「くっそー、逃げられた! 耳郎ちゃん索敵…」
「つーかオイ!! 葉隠!! 鉢巻ねーぞ!!」
「はっ!!?」
耳郎に索敵をさせて緑谷を探そうとする葉隠だったが、砂藤に言われてようやく鉢巻が無い事に気がつく。
葉隠の鉢巻は、いつの間にかひなたの首にかけられていた。
(ごめんねーとおるん!)
「ありがとうシャドーちん!」
ひなたは、満面の笑みを浮かべながら
耳郎が緑谷チームをジャックで追いかけて索敵を疎かにした瞬間、
「いいぞー! それ行け! ダークシャドウ!」
「アンパンマンみたいに言うな」
ひなたが上機嫌で号令をかけると、心操がツッコミを入れる。
するとその時、オレンジ色のサイドテールの女子拳藤、ふわっとした前髪で目が隠れた女子小森、癖っ毛とギザギザの歯が特徴的な女子取蔭、銀色の前髪で片目が隠れた女子柳の4人で構成された拳藤チームがひなたのチームに目をつける。
「あ! あのチームもう鉢巻取ってるノコ!」
「って事は多分だけど現状二位か。私らもそろそろ攻めに行くよ!」
騎手の拳藤の号令の元、拳藤チームがひなた達に急接近してくる。
「ひー君」
「オーケー」
ひなたが心操の肩を軽く叩くと、心操がニヤリと笑った。
「B組ってさ、予選の順位大した事なかったよな。そういう作戦なのかもしれないけどさ、せっかくの活躍の場潰してまでそういうコスい手使ってくるとか…何というか、アレだよな」
「お前なぁ…言いたい事あんならハッキリ言ったら!?」
心操が煽ると、自分だけではなくクラス全体を馬鹿にされた拳藤が挑発に乗った。
するとその瞬間、心操の洗脳スイッチが入り拳藤の目から光が失われる。
「えっ、ちょっ…委員長!?」
拳を振り下ろしている途中でいきなり洗脳スイッチが入った事で拳藤が体勢を崩すと、その隙にひなたが身を乗り出して拳藤の鉢巻を奪い取る。
いきなり拳藤が動きを止めたので、騎馬の3人は動揺していた。
するとその隙にひなた達が離れていく。
「あ、マズい! 逃げられるノコ!」
「ちょっと、委員長!? いきなりどうしたの!? ねえ!!」
リーダーの拳藤が洗脳された事で拳藤チームは統率が取れなくなり、気がつけばひなた達に逃げられていた。
ひなたは、拳藤から奪った鉢巻を首に巻く。
「ごめんなー拳藤」
「さ、じゃんじゃん獲ってくよ!!」
心操は申し訳なさそうに拳藤チームに手を振り、ひなたは前方を指差す。
すると、
「フミカゲ! 持ッテキタゾ!」
「でかした
「ん!」
常闇がひなたに向かって叫ぶと
ひなたや心操が二人の“個性”を知らないB組の鉢巻を奪っている間に
『さ〜〜〜〜まだ2分も経ってねぇが早くも混戦混戦!! 各所で鉢巻奪い合い!! 1000万を狙わず2位〜4位狙いってのも悪くねぇ!! おおっと!? 相澤チーム、この時点で鉢巻を4本獲得!! 合計ポイントは何と1470ポイント!! 五位から一気に二位へと追い上げたァア━━━━!!』
「相澤さんのチーム、もうそんなに…!?」
プレゼントマイクの実況に緑谷が驚いていると、後ろから声が聞こえて来る。
「アハハハ! 奪い合い…? 違うぜこれは…一方的な略奪よお!!」
緑谷が後ろを振り向くと、複製腕で何かを包んだ障子が突進していた。
障子のチームメンバーの姿は見当たらず、障子はたった一人で緑谷の方へ走っていた。
「障子くん!? アレ!? 一人!? 騎馬戦だよ!?」
緑谷が驚いていると、影山が緑谷に声をかける。
「どうします? 緑谷さん。私の“個性”使います?」
「とりあえず離れよう! 麗日さん!!」
「うん! ん!? 何!? 取れへん!」
緑谷が指示を出すと、騎馬3人は移動しようとする。
だが麗日が履いていたサポートアイテムの靴に何かがくっついてその場から動けなくなっていた。
よく見ると、靴の裏に峰田のもぎもぎがくっついていた。
「峰田くんの!! 一体どこから…」
「ここからだよ、緑谷ぁ…」
峰田の声がする方を見ると、障子の複製腕の中から鉢巻をつけた峰田が顔を覗かせていた。
「なァァ!? それアリィ!!?」
「アリよ!」
緑谷が目を丸くしてツッコミを入れると、ミッドナイトが答える。
「いいよなぁ緑谷…おめーは注目されるわ女子3人と組んでハーレム作るわ、ただの天国じゃねぇかクソが!! チクショウ羨ましい!!」
『私怨かよ!! SHI・E・N!!』
峰田が血眼で緑谷を睨みながら言うと、プレゼントマイクがツッコミを入れる。
するとその直後、複製腕の隙間からピンク色の鞭が飛んでくる。
「わっ!!!?」
「わ!!?」
緑谷がピンク色の鞭を避けると、後ろにいた鉄哲が危うく巻き添えを喰らいそうになる。
すると、複製腕の中から蛙吹が顔を出す。
「流石ね、緑谷ちゃん…!」
「蛙吹さんもか!! 凄いな障子くん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで」
蛙吹が緑谷に感心すると、緑谷が目を丸くしてツッコミを入れる。
峰田実
“個性”『もぎもぎ』
頭から超くっつくボール状の物質を無限に生み出す!
もぎりすぎると出血する! 髪の毛が変異してるらしいぞ!
蛙吹梅雨
“個性”『蛙』
蛙っぽい事は大体できるぞ!! さすが!
『峰田チーム、圧倒的体格差を利用しまるで戦車だぜ!』
「仕方ないですね…麗日さん」
「うん!」
影山が緑谷に合図を送ると、麗日が手元のスイッチを押す。
すると麗日の靴型のサポートアイテムが火を吹き、勢いよく上空へと投げ出される。
だが、脱出と引き換えにサポートアイテムが千切れてしまった。
「ああ、ベイビーが引きちぎれたあ!!!」
「ごめん!! でも離れられたよ!」
発目がショックを受けていると、麗日が謝りながらフォローする。
「あなたのベイビーのおかげですよ、発目さん!」
「影山さん! あなたって人は…だから私、あなたを仲間にしたくなかったんですよ!!」
影山が麗日に続けてサムズアップしながら言うと、発目は涙目で文句を言った。
するとその時だった。
「調子乗ってんじゃねえぞクソが!」
爆豪が爆破で空を飛び、緑谷に急接近してきた。
すると緑谷は、影山に向かって叫ぶ。
「影山さん!」
「はーい」
緑谷が合図をすると、影山は間延びした返事をしながら“個性”を発動する。
すると、爆豪の両手の爆破が突然消える。
「っかはっ…!?」
「爆豪!」
爆豪は、爆破を消されただけでなく、空中で苦しみ出す。
何かを察した瀬呂は、咄嗟に爆豪の肩にテープを貼り付けて回収する。
緑谷達から離れると、喉のあたりを押さえて苦しんでいた爆豪は大きく息を吸った。
「ぶは!!」
『おおおおおお!!? 騎馬から離れたぞ!? 良いのかアレ!!?』
「テクニカルなのでオッケー!! 地面に足ついてたらダメだったけど」
プレゼントマイクがツッコミを入れると、ミッドナイトがグッとサムズアップをしながら答える。
瀬呂に回収された爆豪は、激しく咳き込みながら緑谷チームを睨んでいた。
「っゲホッ、ゲホッ、んのクソデク…! 今何しやがった!?」
「とりあえず立て直すぞバクゴー!」
爆豪は、謎の技を仕掛けてきた緑谷達に殺意を抱いていたが、切島が一旦退いて態勢を立て直すよう言った。
影山は、自分達の方を睨みながら吠えてくる爆豪をフンッと鼻で笑いながら種明かしをした。
「あの爆発小僧の周りの酸素を『否定』して酸素濃度を急激に下げました。酸素が無ければ、爆発を起こす事も息をする事もできませんからね。こういう器用な事もできるんですよ」
(あのかっちゃんを簡単に…でも影山さん、こんなに優秀なのにどうしてヒーロー科に行かなかったんだろう…?)
影山が暗黒微笑を浮かべながら言うと、緑谷は影山に対して若干引きつつも、ヒーロー科と互角かそれ以上の実力があるにもかかわらず普通科に甘んじている理由を考えていた。
その頃鉄哲チームは、その隙をついて塩崎の“個性”の蔓を使って峰田チームから鉢巻を奪っていた。
「ああ、神よ…どうか私達の愚行をお赦し下さい」
塩崎茨
“個性”『ツル』
頭髪のツルは伸縮自在!!
切り離す事もできる!
水と日光さえしっかり摂っていればすぐに生えてくる!
つまりハゲない!!
すると、それを見ていたひなた達が鉄哲チームに急接近し、心操がお得意の煽りを披露する。
「あんたらさ、そんな奪い方して卑怯だと思わないの?」
「た、確かに…!!」
心操が良心に訴えかけるような事を言うと、塩崎がショックを受けて反応する。
すると塩崎に洗脳スイッチが入り、塩崎の目から光が消える。
「『持ってる鉢巻全部寄越せ』」
「………」
「あ! おい! 何やってんだ塩崎!!」
心操が命令すると、塩崎は鉄哲から鉢巻を剥ぎ取って心操に渡した。
「ご苦労様」
鉢巻を受け取った心操はひなたに渡し、ひなた達4人はすぐさまその場から離れる。
だがその時、鉄哲がひなた達4人にブチ切れる。
「おい待てやてめーら!! 塩崎元に戻せ!!」
「嫌だね。騎馬戦終わるまでずっとそうしてろ」
「てんめええええええ!!!」
鉄哲が切れると、心操が冷たく言い放ち、鉄哲がさらにヒートアップした。
だが心操の発言に返事をしてしまったので、塩崎に続けて鉄哲にも洗脳スイッチが入る。
「ああああ鉄哲───!!」
鉄哲が意識を奪われて動かなくなると、泡瀬が叫ぶ。
騎手と騎馬1人を操られた鉄哲チームは、完全に無力化されてしまった。
ひなたは、鉄哲チームから逃げながら苦笑いを浮かべる。
「ははは…それにしてもひー君、よくいばっちゃんが今ので引っかかるってわかったね」
「まあね…障害物競走のB組の順位がやけに低かったから、皆自分の“個性”を晒さないようにクラス全体で徒党組んでわざと手を抜いてたんじゃないかって思ってたんだよ。そんな中で全力出して上位にいたって事は、割と馬鹿正直な奴の集まりなんじゃないかって思って」
ひなたが何故今の煽り文句で塩崎が引っかかると思ったのかを心操に尋ねると、心操は理由を話した。
心操の言う通り、B組はA組と互角の強さを持っているにもかかわらず、第一種目でほとんどのB組が25位以下だった。
第一種目でB組がほとんど“個性”を使わなかった事から、誰かが指示してクラスぐるみでわざとやった可能性が高いと心操は考えていた。
だが鉄哲チームはメンバー全員が第一種目で上位に名を連ねており、ほとんど全員が馬鹿正直に全力で挑んだであろう事は容易に想像できた。
その事からメンバー全員が曲がった事が嫌いな正直者なのではないかと分析し、そのような相手には『卑怯』という言葉が最も響くと確信したのだ。
「なるほど、ひー君ってば策士だな!」
「や、やめろ恥ずかしい」
ひなたが笑顔を浮かべてバシバシと心操の頭を叩くと、心操は照れ臭そうにしていた。
するとそこへ、小大チームの鉢巻を持った
「アイヨ、ヒナタ!」
「ありがとシャドーちん!」
ひなたは、
ひなたの首には、合計7本の鉢巻が巻かれていた。
「よし…そろそろ残り時間も半分だし…そろそろ本気出すよ」
「ああ」
「ふみにゃん、例のアレ行くよ」
「任せろ」
ひなたが合図を送ると、常闇は何かを準備し始める。
『やはり狙われまくる1位と、猛追を仕掛けるA組の面々共に実力者揃い! 現在の保持Pはどうなってるのか…7分経過した現在のランクを見てみよう!』
プレゼントマイクは、そう言って現在の順位を表示する。
現在の順位は以下のようになっていた。
1位 緑谷チーム(A組)10000360P
2位 相澤チーム(A組)2805P
3位 物間チーム(B組)955P
4位 轟チーム(A組)610P
5位 拳藤チーム(B組)0P
5位 小大チーム(B組)0P
5位 角取チーム(B組)0P
5位 鉄哲チーム(B組)0P
5位 葉隠チーム(A組)0P
5位 爆豪チーム(A組)0P
5位 峰田チーム(A組)0P
5位 鱗チーム(B組)0P
『………あら!!? ちょっと待てよコレ…! A組緑谷・相澤以外パッとしてねえ…ってか爆豪あれ…!?』
よく見ると、爆豪チームの持ち点がいつの間にか0ポイントになっていた。
「単純なんだよ、A組」
そう言って物間が爆豪の鉢巻を掻っ攫っていく。
「んだてめぇコラ返せ殺すぞ!!」
「やられた!」
爆豪が振り向きざまに物間にキレ散らかし、芦戸が悔しそうに唸る。
すると物間が余裕綽々といった様子で爆豪達を煽る。
「ミッドナイトが“第一種目”と言った時点で予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない? だから、おおよその目安を仮定しその順位以下にならないよう予選を走ってさ、後方からライバルになる者達の“個性”や性格を観察させてもらった。その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」
「クラスぐるみか…!」
爆豪チームが周りを見渡すと、いつの間にかB組に囲まれていた。
「まあ全員の総意ってわけじゃないけど、いい案だろ? 人参ぶら下げた馬みたいに仮初の頂点を狙うよりさ」
物間が言うと、爆豪がピクリと反応する。
「あ、あとついでに君有名人だよね? 『ヘドロ事件』の被害者。今度参考に聞かせてよ、年に一度
物間がトドメと言わんばかりに爆豪を煽ると、爆豪はとうとうブチ切れてヒーロー科らしからぬ殺気を漏らし始める。
「切島……予定変更だ。デクの前にこいつら全員殺そう…!!」
一方その頃、制限時間の半分はずっと何もしていなかった轟チームが緑谷チームと対峙していた。
「そろそろ奪るぞ」
『さァ残り時間半分を切ったぞ!! 主に相澤・物間が優勢な中、果たして1000万ポイントは誰に頭を垂れるのか!!!』
本作では常闇君はひーちゃんのチームに入りました。
ついでに本作の心操君はメチャクチャヒロイン補正がかかってるのでつよつよです。
特に頭の良さにメチャクチャ補正かかってます。
ちなみに物間君がひーちゃんに絡みに行かずにかっちゃんの方に行ったのは、ひーちゃんチームの最初の持ち点がそこまで高くなかったのと、ひーちゃんと常闇君が索敵を強化してヒットアンドアウェイ戦法を取っていたからです。
ハイリスクローリターンの相手を煽って自滅しに行くほど物間君も馬鹿じゃありません(笑)。
影山ちゃんのプロフィール
名前:
所属:雄英高校普通科1年C組
“個性”名:『否定』
出身校:名部中学校
身長:158cm
誕生日:8月13日(獅子座)
血液型:AB型
出身地:埼玉県
好きなもの:ポーカー
性格:冷静沈着なギャンブラー
戦闘スタイル:ゼロ距離闇討ち
ICV:茅野愛衣
HERO’ S STATUS
パワー:C
スピード:C
テクニック:A
知力:S
協調性:E
普通科の女子生徒。雄英のヒーロー科を余裕で合格できるだけの実力があったものの、他の受験生に危害を加えようとして不合格になり普通科に入った。
幼い頃から文武両道の美少女にもかかわらず何故か周りの生徒からは注目されず、何をしようと警戒すらされなかった。
心操の中学時代のクラスメイトで、当時から『普段から何を考えているのかわからない』『ズバ抜けて優秀な割に何故か目立たない奴』などと警戒されていた。影山自身は、『自分の事を警戒していた数少ない相手』として中学卒業後も心操の事が印象に残っていた。
◯容姿
黒髪のセミロング(麗日の髪が少し長くなった感じ)にパッチリとした黒い瞳。誰もが認める美形だが何故か印象に残らない。ひなた曰く八百万と互角かそれ以上の巨乳。
◯“個性”
『否定』
あらゆるものを“否定”する。
“個性”を発動したものは、その存在を他者に一切感知されなくなる。
本人曰く、『石ころ帽子』の劣化版。
発動対象は自分自身と無生物のみ。
・対象を視界に入れる事
・対象が自身の半径10m以内に存在する事
この二つの条件をどちらも満たす事で、自分の意志で発動できる。
ちなみに酸素などの肉眼で見えない気体に関しても、視界の範囲内かつ本人が認識していれば発動の対象となる。
ただし、本人曰く『それなりに反動が大きい』との事。