久々にお気に入りが増えてうれしい。
ありがとうございます。
面白いと思っていただけましたらお気に入り登録オナシャス!!!
愛で地球を救え!
雄英高は夏休みでも訓練を望む生徒に向け、特別講習を行っている。
今日はその初日だった。
講習には、ひなた、蛙吹、飯田、麗日、心操、轟、爆豪、緑谷が来ていた。
相澤は、教卓の前に立って講習の内容を説明する。
「この講習は少人数で何回かに分けてやるぞ。今回はこの8人だ。言っておくが通常の授業よりハードになる。覚悟しておけ」
(何をやるのかしら)
(また失敗したら除籍とか言い出すんじゃ…)
「ひなたちゃん何か聞いとらん?」
「んーや、何も」
蛙吹と緑谷は訓練の内容が気になる様子で、麗日は隣の席のひなたにこっそり尋ねていた。
相澤は、講習の内容を説明し始める。
「特別講習の内容だが、対
「「「ものすごくヒーローっぽいのキタァ!!!」」」
ひなた、緑谷、麗日がはしゃぐと、相澤が睨む。
すると8人全員が一瞬で黙った。
合理主義を徹底した相澤の恐ろしさは、この数ヶ月で全員の身体に刻み込まれていた。
相澤は、そのまま8人に説明を続ける。
「当たり前の事だが、
相澤が言おうとしたその時、後ろのドアが勢いよく開く。
「後ろのドアから私が来た!!」
そう言って後ろのドアから出てきたのは、オールマイトだった。
「オールマイト!」
「今日も筋骨隆々マッスル!」
「画風が違う!」
「HAHAHAHAHA!!!」
緑谷、麗日、ひなたがオールマイトの登場を喜ぶと、オールマイトは高笑いする。
相澤はそのまま説明を続ける。
「オールマイトだけじゃない。セメントス、ミッドナイト、プレゼントマイク。彼らも特別講師として参加してもらう」
(パパまで?)
相澤が言うと、ひなたは触角をピンと立てて目を丸くした。
「では訓練を始める。全員グラウンドβに集合しろ」
◇◇◇
8人は、指示通りコスチュームに着替えてグラウンドβに集まっていた。
緑谷、ひなた、麗日、蛙吹、飯田は曲がり角の影からヒョコッと顔を出す。
「お巡りさんの看板が立ってる」
「わぁ、ほんとだぁ」
「ここが事件現場という事か」
緑谷が言うとひなたが触角を立ててリアクションをし、飯田がそれに続けて言った。
すると相澤が現れて状況を説明する。
「現場の状況を知らせておく。
相澤が言うと、飯田は手を挙げて質問する。
「相澤先生! 店内には
「「「……はい!」」」
相澤が飯田の質問を遮って言うと、全員が揃って返事をした。
「それでは捕縛訓練を開始する」
相澤が言うと、開始のブザーが鳴る。
すると飯田と緑谷が作戦を考える。
「さて、どうするか」
「とにかく店内にいる
「人質がいるからな。確認もうまくやらないと
「あっ、はーい! 僕やるよー!」
そう言ってひなたは、“個性”を使って店の中を探った。
ひなたの“個性”は、声で相手の“個性”を消すだけでなく、エコーロケーションの要領で周囲にいる人間の居場所や体格、人数、移動速度をも正確に探る事ができるという側面もあった。
技を使っている最中は、まるで周囲に円状に視界が広がるかのように見え、その中で人型の何かが揺らいでいるように見えるのだが、その揺れの形で個々を識別する事もできるのだ。
また、完全に相手の心が読めるわけではないが、相手の波長を読み取る事で、そこにいるのが敵か味方か、バイタルが正常かどうかを大まかに判別する機能も備わっていた。
ひなたが早速“個性”で索敵をすると、反響音を聞いたひなたの頭の中には、暗闇の中に3Dスキャナーのように建物が立体的に映し出され、その中に4つの人影がいるイメージが浮かぶ。
「ん、
「良かった…」
「まだ油断できねえぞ」
ひなたは、音を聞いて得られた情報をクラスメイトに伝えた。
ひなたが『怪我人はいない』と報告すると、緑谷はホッと胸を撫で下ろし、轟が気を引き締めるよう言った。
するとその時だ。
「あっ、隠れて!」
ひなたは、腕を伸ばしてクラスメイト達に止まるよう言った。
「あっ」
「ケロ」
ひなたが言うと、飯田と蛙吹が隠れる。
店のドアのガラス越しに、
「オールマイト…じゃない、
「外にヒーローがいないか確認してやがる」
「あのマスク懐かしいね」
緑谷、轟、ひなたは影に隠れながら状況を確認していた。
一方で、爆豪は後ろでイライラしていた。
「皆ちゃんと隠れて。見つかったら人質が危険だわ」
「どうする? 店の裏手に回るか?」
「うーん…犯人とコンタクトを取って、気を引いている隙に侵入して捕らえるのはどうかな」
「あっ、それなら私の“個性”で…」
蛙吹がちゃんと隠れるように言い飯田が尋ねると、ひなたが犯人の気を引いてはどうかと提案し、麗日が“個性”で突入班を浮かせて侵入させようかと提案しようとする。
相澤は、その様子を見て8人の行動を採点していた。
(ここが第一の選択肢。
するとその時だった。
「ああまだるっこしい!!」
「かっちゃん!?」
「馬鹿…!」
爆豪が立ち上がると、緑谷と心操が驚く。
すると飯田と轟が爆豪に尋ねる。
「爆豪くん、まさか…」
「正面突破する気か?」
「当然だ。俺がクソ
爆豪が言うと、蛙吹と心操が止める。
「性急すぎるわ、爆豪ちゃん」
「そうだよ、下手したら
「何言ってやがる。窓の近くにいる今がチャンスだろうが!」
爆豪が言うと、ひなたは目を見開く。
するとその直後、爆豪は爆速ターボで飛び出していった。
「やはりそうなるだろうな」
相澤は、飛び出していった爆豪を見て呟く。
「ここでグズグズ時間食ってるよりはマシ、ってか!」
「俺達も行くしかない」
「うん」
爆豪が先に飛び出すと、ひなた達も爆豪を追った。
相澤は、その様子を見て8人を採点していた。
(悪いがこの訓練は、大立ち回りをやらせるためじゃない)
すると緑谷が、ふとガラスの自動ドアを見てある事に気がつく。
爆豪がこちらに向かっている事に気付いたのか、そして爆豪達に突入される前に事を終わらせてしまおうと考えたのか、
「あっ、
「チッ、人質は殺らせねえ!!」
そう言って爆豪は、宝石店のドアに大爆破を放つ。
宝石店のドアは、爆発音を上げながら吹き飛んだ。
「いかん、急げ!!」
飯田達は、それに続けて店内に駆け込んだ。
だが…
「どうして…」
店内に駆け込んだひなた達は、目を見開いていた。
先程まで立てこもり周囲を確認していたはずの
倒れている
(いいかお前ら、特別講習はここからが本番だ。どう対処するか見ものだな)
「
緑谷は、倒れている
蛙吹は、
「フフ…Oh」
蛙吹が髪の毛を揺らすと、オールマイトが反応した。
「実際には死んでいないけど、死んでいるという設定なのね」
蛙吹は、反応したオールマイトの事は特に気に留めず、死んでいるという設定なのだと判断する。
ひなたは、反応したオールマイトを見て、一応オールマイトの顔を覗き込む。
だがすぐに顔を上げると、周囲を見渡し始めた。
すると麗日が爆豪の方を見る。
「…って、爆豪くんの爆破で死んじゃったとか!?」
「そこまで威力は高めてねぇ!」
(かっちゃんがまともに会話してるのすごいレアだ…!)
麗日と爆豪が言い合いをしていると、ひなたがキラキラしながらその様子を見ていた。
「凶器は血のついたナイフ…」
「現場は警察官に包囲され、人の出入りがなかったと仮定すると…
(何か始まった…!!)
轟と飯田が言うと、心操が心の中でツッコミを入れる。
すると緑谷が飯田に反論する。
「待って、飯田くん。決めつけるのは早すぎるよ。とにかく、人質だった人達から話を聞こう」
「そうね。現場の状況を知らないと」
緑谷が提案すると、蛙吹も賛成した。
8人は、人質の3人から証言を取る事にした。
石山堅(28)
雄英ジュエリー店員
「私はこの宝石店の店員です。いきなりやってきた
香山睡(31)
大手広告代理店勤務
「私はアクセサリーを買おうとこの店に入ったら…
山田ひざし(31)
ミュージシャン
「俺はYO! 彼女のYO! 婚約指輪を選んでTA! そしたら
轟は、ノリノリなプレゼントマイクをスルーしてセメントスに尋ねる。
「
「はい、いました。気絶させられてしばらくは目を覚ましませんでした」
轟が尋ねると、セメントスが答える。
すると轟は、今度はミッドナイトに尋ねる。
「あなたが店に入って来た時2人はいましたか?」
「入った瞬間は見ていませんが、縛られている時別々の場所で床に座らされている2人を見ました」
「ん…証言に食い違いはないな」
ミッドナイトが言うと、轟は少し考え込む。
すると緑谷は、3人に声をかける。
「すみませんが、皆さんのお財布を見せて貰ってもいいですか」
緑谷はプレゼントマイクの、麗日はミッドナイトの財布を預かって中身を確認した。
ミッドナイトの財布にはクレジットカードが、プレゼントマイクの財布には現金がびっしりと入っており、どちらも宝石を買うのに十分な資金は持っていた。
「ミッドナイトの方はどう?」
「クレジットカードがいっぱい入ってるよ」
「プレゼントマイクのも同じ。どちらにも宝石を買う資金はある」
「うん」
現場を調べていた心操も、ポツリと呟く。
「殺人の証拠も無し、か…」
すると爆豪が店内を歩き回りながら言った。
「クソ
爆豪が言うと、轟が尋ねる。
「動機は?」
「ああ!? 奪った宝石目当てに決まってんだろ!?」
轟の質問に爆豪がキレながら答えると、蛙吹と轟が反論する。
「そうだとしても、この場で
「それに宝石は
「物取りの線ではないとすると…」
「仲間割れとか?」
蛙吹が動機を考えていると、麗日が言った。
すると緑谷はその線で考える。
「
「なら人質達がその会話を聞いているはずよ」
「そんな話聞いてないYO!」
「私もです」
「私も」
蛙吹が言うと、プレゼントマイク、セメントス、ミッドナイトの順に証言した。
すると轟がセメントスに尋ねる。
「
「はい」
轟が尋ねると、セメントスが答える。
すると飯田が言った。
「店内をくまなく調べてみたが、裏口もないし窓も全部閉まっていた。単独犯である事は間違いない」
「じゃあやっぱりこの中に犯人が…」
「私じゃありません!」
「私もです!」
「俺じゃないYO! ホントだYO!」
麗日が3人を疑うと、ミッドナイト、セメントス、プレゼントマイクが否定する。
「まあ全員グルって可能性も考えられなくはないけど…」
「グルだなんてそんな…!」
「違います!」
「俺ァ何も知らねーYO!!」
心操が頭を掻きながら呟くと、3人は必死に否定した。
一方で、相澤は店の外でその様子を見ながら採点をしていた。
(
すると蛙吹が全員に提案する。
「状況を話して警察に任せた方がいいんじゃないかしら?」
「確かに一理ある」
「でも悔しいな。この中に犯人がいるのはわかってるのに…」
蛙吹が言うと、飯田が賛成し麗日が悔しがる。
すると爆豪が掌を爆発させながら言った。
「だったら…自白させりゃいいだろーがよ!!」
「爆豪!」
「やめたまえ!」
「そんな事をすれば爆豪ちゃんが警察に捕まってしまうわ」
「蛙す…梅雨ちゃんの言う通りだ。そういうの拷問って言うんだぞ」
「わーってるわそんな事!」
爆豪が三人を尋問しようとすると、轟、飯田、蛙吹、心操が止める。
するとその時、爆豪は緑谷の方を見て言った。
「おいクソデク。お前何か考えてんな?」
「あっ、うん。ずっと気になってたんだ」
「何がだ?」
緑谷が言うと、轟が尋ねる。
すると緑谷が話し始める。
「何故
緑谷が考えていると、セメントスが訳を話す。
「それは、私が
「通報したんですか?」
「私はしてません」
麗日が尋ねると、セメントスは首を横に振った。
すると飯田と緑谷が口を開く。
「宝石店の外から誰かが見ていて、警察に通報した」
「だとすると通報したのは…ミッドナイト、あなたですね」
「えっ、私が?」
「
緑谷が言うと、飯田が驚き爆豪が反論する。
「なっ…ちょっと待て緑谷くん!」
「バカ、こじらせてんじゃねえぞ! 警察に通報した人間がなんでわざわざ
「それが…」
緑谷が話そうとすると、ミッドナイトは顔を逸らした。
緑谷は、それでも話を続ける。
「それが
「な…何故私がそんな事する必要が…」
「止めたかったからじゃないんですか?
緑谷が話すとミッドナイトが反論するが、緑谷には彼女の真意がわかっていた。
すると麗日と轟と飯田が尋ねる。
「あっ、待ってデクくん! 事件がデクくんの推理通りだとしても、どうして
「彼女は
「ああそうだ。彼女には
すると緑谷は、真実を話し始めた。
「そう、動機はない。だから犯人はこの中にはいないよ」
「何だって!?」
「どういう事デクくん!?」
緑谷が言うと、飯田と麗日が驚く。
一方で蛙吹と轟は、真相に辿り着いていた。
「あっ…もしかして…」
「自殺…か」
蛙吹と轟が言うと、緑谷が話し始める。
「恐らく、ミッドナイトの思惑を知った
「観念して自殺を…」
「違うよ」
緑谷の推理に対して飯田が推測すると、緑谷が否定する。
そして緑谷は、真相を語り始めた。
「
「うっ…うっ……うわあああああ!!」
緑谷が言うと、ミッドナイトはその場で崩れ落ちて泣き叫んだ。
すると麗日が緑谷に尋ねる。
「デクくん、もしかしてミッドナイトと
「うん…」
麗日が言うと、緑谷が頷く。
「悲しいわ…ミッドナイトは愛するが故に
「そして敵ヴィランもまた、愛するが故にミッドナイトを救おうとしたんだな」
「それがこんな結末になるとは…皮肉すぎるな」
蛙吹、飯田、轟、は俯きながら言った。
「これが
緑谷が言うと、他の4人は、約3名を除いて悲しそうに俯く。
((何なんだこの茶番は…!?))
爆豪は苛立ちつつ、心操は僅かに目を見開いて呆れながら心の中でツッコミを入れていた。
するとその時、先程から黙って話を聞いていたひなたが唐突に口を開く。
「あのさ! 茶番はもうこの辺でいいんじゃないかな?」
ひなたは、コテンと首を傾げながら言った。
これまで一切捜査に協力しなかったひなたが言うと、ひなたらしくないつっけんどんな物言いに、緑谷達はきょとんとする。
するとその時、すっかり訓練の世界観に入り込んだ飯田が反論をする。
「何を言っているんだひなた君!!
「愛の為? 本当にそうかな?」
「「え?」」
「どういう事? ひなたちゃん」
ひなたが首を傾げながら言うと、緑谷達は再びきょとんとした。
蛙吹は、他のクラスメイトを代表して疑問を口にした。
するとひなたは、肩をすくめながら片眉を上げた。
「だってさ…見てよこれ」
そう言ってひなたが自分の足元を指差すと、そこには捕縛武器で雁字搦めにされたオールマイトがいた。
ひなたが捕縛武器の両端を勢いよくグイッと引っ張って拘束を強めると、オールマイトは大声で叫んだ。
「あ━━━━━━いだだだだだだだだ!!! ギブ!!! ギブ!!! ギブだってば相澤少女!! ギブの意味わかる!?」
死体役だったはずのオールマイトは、捕縛武器で縛られて大声でさけんでいた。
その様子を見た緑谷達は、数秒の沈黙の後、一斉に声を上げる。
「「「「ええええええええええええ!!!?」」」」
緑谷達の声が宝石店中に鳴り響いた直後、演習終了を知らせるブザーが鳴る。
こうして、初日の特別講習が終了した。
「よし、そこまで」
「アハッ、面白かった!」
「「「「「変わり身早っ!」」」」」
相澤が終了を知らせると、ミッドナイトは演技をやめて素に戻った。
すると麗日、緑谷、飯田、蛙吹、ひなたがツッコミを入れる。
「三人ともお疲れ様でした。戻ってもらって結構です」
「俺の演技どうだった?」
「少し過激では?」
相澤が言うと、三人は解散していった。
プレゼントマイクが尋ねると、セメントスが呆れながらコメントをする。
すると相澤が緑谷に声をかける。
「緑谷」
「はい」
「お前の推理はこちらが事前に用意したシナリオ通りだ。
「はい?」
「お前は俺がこの訓練を『捕縛訓練』と言ったのをきちんと覚えていたようだな。色々と言いたい事はあるが…今回の演習はまあ、及第点だ」
相澤は、グッとサムズアップをしながらひなたに言った。
すると麗日と飯田は、納得いかない様子で相澤に詰め寄る。
「そう、それ!! 最後のアレ何だったんですか先生!?」
「結局
「ああ、そうだが?」
麗日と飯田が問い詰めると、相澤はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべながら言った。
すると麗日、飯田、緑谷は、思わず大声を上げて驚く。
「「「はあ━━━━━━━!!?」」」
「どういうこったよ!?」
大声を上げて驚く三人に続けて、爆豪までもが驚く。
驚いている生徒達を他所に、相澤は今回の演習のシナリオのネタバラシをした。
「
「ケロッ」
「反応しただろ。死体は動かない。生きていたんだよ」
「アレ反射とかじゃなくてヒントだったのか…」
相澤が言うと、心操は呆れ返りながら言った。
心操は、蛙吹がオールマイトの鼻くすぐった時に反応したのは反射だと思っていたが、そこまで込みの演技だったのだ。
「今回の特別講習はここまでだ。解散!」
((((いや、待って…ついていけないです…))))
そう言って相澤は去っていった。
一方的にネタバラシだけした相澤が去っていくと、生徒達は心の中でツッコミを入れた。
演習が終わった後で
「う〜、チクショ〜! 騙された、悔しい!」
「じゃあ相澤さんが気付いてなかったら、今頃
麗日が悔しがっている中、緑谷はハッとして呟く。
すると飯田も、ハッとした様子で自分の中で新たに立てた仮説を話す。
「あっ、ちょっと待ってくれ!
「ミッドナイトはそれを自分を気遣ってやった事だと勘違いしたのね」
「結局ミッドナイトが不憫なだけじゃねーか。演技だったけど」
「だから言ったじゃない、茶番だって」
飯田が言うと、蛙吹も事件の真相を理解し、心操とひなたがツッコミを入れる。
「じゃあ愛は!?」
「愛は!?」
「愛は…」
「愛なんて…ねえじゃねえか!!!」
麗日、緑谷、轟が言うと、爆豪が叫んだ。
そんな中、ひなたにギッチギチに捕縛されたオールマイトは、生徒達に助けを求めるような目を向ける。
「HEY、誰かコレ解いてくれない…? いや、ちょっとマジで絡まって解けないんで…」
◇◇◇
その後、ひなた達は制服に着替えて教室に戻った。
麗日は、すっかり相澤達に騙され未だに釈然としない様子だった。
「う〜スッキリしない〜!!」
「まあでも
「そうだけど〜!!」
ひなたが言うと、麗日はブンブンと手を振って悔しさを紛らわせようとする。
だがその時麗日がハッと何かを思い出したような表情を浮かべる。
「あっ、あかん! 今日スーパーの特売日やった! じゃあね、皆!」
「うん、バイバイ!」
麗日が真っ先に帰っていった後、ひなたと心操も帰路に着いた。
「やー、今日の演習楽しかったね! ほぼほぼ茶番だったけど!」
「俺は疲れたよ…ああいうの、二度とごめんだね」
楽しげなひなたとは対照的に、心操はどこか疲れ果てた様子だった。
すると心操は、思い出したようにひなたに尋ねる。
「あ、そういえばひなたさ。何でわかったの? オールマイトが死んだフリしてたって」
「ああ、あれね」
心操が尋ねると、ひなたは頭を掻きながら視線を逸らす。
その時、ひなたの脳裏には、命からがら施設から逃げ出した時の光景が浮かんでいた。
施設での苦痛を伴う実験に耐えかねて脱走し、誰かに助けを求めようとしたが、運悪く最初に声をかけたのが
当時のひなたにとって、初めて見る外界の人間は、恐怖の塊でしかなかった。
時には息を殺して
「……ただの勘」
「そっか」
ひなたが誤魔化すと、心操はひなたを心配しつつも納得した。
するとひなたは、ピコンと触角を立ててパンっと手を合わせる。
「あっ、そうだ!」
「えっ、何?」
「じゃっじゃーん!!」
ひなたは、突然I・EXPOの招待状を取り出して心操に見せた。
すると心操は僅かに目を見開く。
「…それ、I・EXPOの招待状…だよな?」
「そうなの! 相澤先生に貰ったんだぁ! ねえひー君、一緒に行こう!?」
「え…でも、俺でいいの?」
「ひー君じゃなきゃダメなんだよ!!」
心操が言うと、ひなたは目を輝かせながら心操の手を握る。
すると心操は、首を手で押さえながらひなたに礼を言う。
「そういう事なら…ありがとう」
「やった決まりー!! 帰ったら旅行の支度しなきゃー!!」
ひなたは、キャッキャとはしゃぎながら坂道を駆け降りていった。
それを見た心操は、フッと笑みを浮かべていた。