抹消ヴォイスのヒーローアカデミア   作:M.T.

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10が8件9が30件だと…!?
感謝感激雨霰。
面白いと思っていただけましたら高評価(特に8・9・10あたり)お気に入り、感想等よろしくお願いします。


開闢隊VS雄英ヒーロー科

 緑谷が会敵していたその頃、爆豪と轟は煙を吸わないよう気をつけ気を失った円場を運びながら施設へ向かっていた。

 すると目の前で誰かが膝をついている事に気がつく。

 

「綺麗だ、綺麗だよ。ダメだ、仕事だ。見惚れてた。ああ、いけない…」

 

 二人の目の前にいたのはムーンフィッシュだった。

 ボソボソと独り言を言っているムーンフィッシュの膝の前には、筋肉質な男の腕が落ちていた。

 爆豪と轟は、それが障子の腕である事に気がつく。

 ムーンフィッシュが立ち上がって二人の方を振り向くと、爆豪が笑みを浮かべて臨戦態勢を取った。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方マンダレイと虎は、スピナーやマグネと交戦していた。

 

「てめぇらのような利己的なヒーローもどきは、粛清対象だ!」

 

 そう言ってスピナーは巨大な武器を手に駆け出す。

 マンダレイはテレパスを使ってスピナーの脳内に語りかけ、スピナーが反応した隙に爪で引っ掻く。

 するとその直後、マンダレイの身体がマグネに引き寄せられる。

 

「おいで飼い猫ちゃん」

 

「そう同じ手! させぬわ!!」

 

 虎は、マグネを殴りつけて手に持っていた棒を落とさせる。

 すると、マンダレイは地面に落ちた。

 虎はそのままキャットパンチを放つが、マグネに容易く片手で受け止められた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、洸汰を助けにきた緑谷はというと。

 

「必ず救ける…って? はぁははは…さすがヒーロー志望者って感じだな。どこにでも現れて正義面しやがる」

 

 マスキュラーが左腕の筋肉を操りながら言うと、緑谷は洸汰を庇うように立ってマスキュラーを見据える。

 

「緑谷って奴だろお前? ちょうどいいよ、お前は率先して殺しとけってお達しだ。じっくりいたぶってやっから血を見せろ」

 

 そう言ってマスキュラーはマントを脱いで右腕の筋繊維を盛り上がらせた。

 そして次の瞬間、大きく跳び上がって腕を振りかぶる。

 そのままマスキュラーは、緑谷を右腕で殴りつけた。

 緑谷は、強く岸壁に叩きつけられる。

 

「あ、いけね。そうそう、知ってたら教えてくれよ。イレイザーヘッドの娘と爆豪ってガキはどこにいる? 一応仕事はしなくちゃあ…よ!」

 

 マスキュラーが岸壁を殴りつけると、緑谷は咄嗟に避けた。

 

「答えは“知らない”でいいか? いいな? よしじゃあ…遊ぼう!!」

 

 マスキュラーは、大きく跳び上がって緑谷の腹を蹴り上げた。

 緑谷は吹っ飛ばされて背中を岸壁に打ち付ける。

 緑谷は立ち上がってワンフォーオールで殴りつけるが、マスキュラーに筋繊維で完封されてしまう。

 マスキュラーは、緑谷を殴り飛ばして高笑いする。

 マスキュラーの“個性”は『筋肉増強』、皮下に収まらない程の筋繊維でパワーやスピードを底上げするというものだった。

 マスキュラーは、緑谷を自分の完全な下位互換と見下して嘲笑い、そのまま拳を振り下ろしてトドメを刺そうとする。

 すると、洸汰がマスキュラーの頭に石を投げつけた。

 洸汰は、涙を流しながらマスキュラーを睨んだ。

 

「ウォーターホース……パパ…ママ…も、そんな風にいたぶって…殺したのか…!」

 

「ああ…? マジかよ、ヒーローの子供かよ? 運命的じゃねぇの。ウォーターホース。俺の左眼を義眼にしたあの二人だ」

 

「お前のせいで…お前みたいな奴のせいで、いつもいつもこうなるんだ!!」

 

「…………ガキはそうやってすぐ責任転嫁する。良くないぜ。俺だって別にこの眼の事恨んでねえぞ? 俺はやりたい事やって、あの二人はそれを止めたがった。お互いやりてえ事やった結果さ。悪いのは出来もしねえ事をやりたがってた…てめぇのパパとママさ!!」

 

 洸汰は、涙を流しながらも両親を殺した男に対して怒りをぶつける。

 するとマスキュラーは呆れたように笑いながら一歩ずつ洸汰に歩み寄り、洸汰はビクビクしながら一歩ずつ退く。

 そしてマスキュラーは、左腕を振りかぶって洸汰に襲いかかる。

 その時、緑谷が飛び出した。

 

「っとなったら、そう来るよな!? ボロ雑巾!」

 

「悪いの、お前だろ!!」

 

 緑谷は大きく右腕を振りかぶる。

 スピードもパワーも完全に自分の上位互換であるマスキュラーに対し、緑谷は折れて使えなくなった腕を筋繊維に絡めてマスキュラーのスピードを封じた。

 

「できるできないじゃないんだっ…ヒーローは!! 命を賭して綺麗事実践するお仕事だ!」

 

 緑谷は、右腕に緑色の光を纏わせて拳を振るう。

 

「SMASH!!」

 

 

 

 ドゴォッ

 

 

 

 緑谷は、100%の力でマスキュラーを殴りつけた。

 すると、その衝撃で洸汰が吹っ飛ばされる。

 緑谷は、咄嗟に洸汰の服を噛んで掴み落下を防いだ。

 そして服を噛んだまま洸汰を崖の上に引き上げると、ボロボロの身体に鞭打って立ち上がった。

 するとその直後、後ろから何かが動く音が聞こえた。

 思わず振り向くと、緑谷は顔を真っ青にした。

 

「嘘だ…嘘だろ……100%だぞ…!?」

 

 緑谷の視線の先には、全身を強靭な筋繊維でガードしたマスキュラーがいた。

 マスキュラーは、筋繊維を解くと緑谷を睨みつける。

 

「テレフォンパンチだ。しかしやるなあ! 緑谷…!!」

 

 そう言ってマスキュラーは一歩ずつ近寄る。

 緑谷はマスキュラーに来るなと叫ぶが、マスキュラーは俄然近寄っていく。

 

「なっ、何がしたいんだよ! (ヴィラン)連合は何が…!!」

 

「知るかよ。俺ァただ暴れてえだけだ。ハネ伸ばして“個性”ぶっ放せれば何でもいいんだ。覚えてるか? さっきまでのは遊びだ! 俺言ってたよな!? 遊ぼうって!! な!? 言ってたんだよ! やめるよ! 遊びは終いだ! お前強いもん! こっからは……本気の眼だ」

 

 緑谷はマスキュラーに(ヴィラン)連合の目的を尋ねて時間稼ぎをしようとしたが、戦闘狂のマスキュラーにはまるで効果がなかった。

 マスキュラーは、別の義眼を左眼に嵌めた。

 

「洸汰くん掴まって!!」

 

 緑谷は、洸汰を抱えて逃げ出す。

 次の瞬間、マスキュラーは全身を筋肉で覆って右腕を振り下ろした。

 すると岸壁が崩れて大量の瓦礫が森に転がり落ちる。

 咄嗟に逃げ出した二人は、それを見てゾッとしていた。

 

 パワーもスピードも、先程の比ではなかった。

 先程までは、本当に遊びだったのだ。

 

 マスキュラーは、緑谷目掛けて左拳を振るう。

 緑谷は何とか避けたものの衝撃で吹っ飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

「あ、クソ、勢い余った」

 

 緑谷は、このまま施設まで逃げて相澤にマスキュラーの“個性”を消してもらおうと考えるが、すぐに背を向けてここから施設まで逃げ切れるわけがないと考え直す。

 そして今ここで戦って勝つしか道はないと腹を括り、キッとマスキュラーを見据える。

 すると緑谷は、洸汰に合図をしたら離れるよう言った。

 その直後、マスキュラーと緑谷がぶつかり合う。

 緑谷は渾身のパンチを打ち込むが、マスキュラーは筋肉で衝撃を吸収すると緑谷を押し潰しにかかる。

 

「〜〜〜っってええどうしたぁ、さっきより弱えぞ!!」

 

「──…じょうぶ…大丈ぶ!! こっから後ろには絶対行かせない!!」

 

 するとマスキュラーは、さらに筋肉を膨張させて体重を乗せる。

 緑谷は両手でマスキュラーの腕を押さえて耐えるが、マスキュラーは筋肉を膨張させて緑谷を押さえつける。

 

「潰れちまえぇ!!!」

 

 するとその時、マスキュラーに大量の水が降りかかる。

 

「水!?」

 

 マスキュラーが振り向くと、洸汰が両手を前に出して手から水を滴らせていた。

 洸汰は、マスキュラーに向かって必死に叫ぶ。

 

「やっ、やめろォォォ!!」

 

「後でな! 後で殺してやっから待っ───…」

 

 マスキュラーは、ニヘラと笑うとさらに緑谷を押し潰そうとする。

 すると緑谷は、少しずつマスキュラーの腕を持ち上げ始めた。

 

「殺っさせてえええ」

 

「おい嘘だろ…!? パワー……上がってねえか!!?」

 

「たまるかあああああ!!!!」

 

 緑谷は、マスキュラーを押し返すと右腕を振りかぶる。

 

 

 

「SMASH!!!」

 

 そして、気合いで力を上乗せしてマスキュラーを岸壁に叩き飛ばした。

 するとマスキュラーの身体は深く岸壁に沈み込み、意識を手放した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そしてその頃、ひなたは(ヴィラン)が生み出した幻に惑わされていた。

 心操は、幻を見ているひなたに対し目を覚まさせようと叫ぶ。

 

「おい!! ひなた!! マンダレイの指示に従って施設に行こう!! おい、聞こえてないのか!? ひなた!!」

 

 心操はひなたに向かって叫ぶが、ひなたは心操の声が聞こえていないのか光のない瞳をしてヘラヘラと笑みを浮かべながら誰もいない場所に向かって話しかけていた。

 

「ホントにもう…脅かさないでよデッくん。でも何で来たの? 順番最後だったよね? もうスタートしたの?」

 

「あ…と、相澤さんの叫び声が聞こえてきたから、もしかしたら虫除け忘れたんじゃないかと思って…ほら、虫苦手だったよね? 良かったら僕の使ってよ」

 

「あ、ありがとう…?」

 

 緑谷の幻覚がひなたに話しかけると、ひなたは僅かに目を見開く。

 ひなたが幻覚と話している間、心操は必死にひなたに向かって叫ぶ。

 

「ひなた!!! ……クソッ、聞こえてないのか…!! どうすれば…」

 

 すると、その時だった。

 

「キャアアアアア!!!」

 

「麗日!?」

 

 突然後ろの方から麗日の叫び声が聞こえたので、心操は後ろを振り向く。

 すると、後ろの木に大量の血痕が付いている事に気がつく。

 心操がハッとして茂みを掻き分けると、その先にあった光景に思わず目を見開き顔を青くする。

 まだ乾ききっていない血がついた木の下には、刃物で滅多刺しにされたのか血塗れになって倒れた蛙吹と麗日がいた。

 心操は、血相を変えて二人に駆け寄り二人の肩を揺する。

 

「麗日!! 蛙吹!! しっかりしろ!! 何があった!?」

 

 心操が肩を揺すると、幸い二人はまだ息があったのか小さく声を漏らす。

 

「ぅ………」

 

「ケロ……」

 

「良かった、気がついた…! 待ってろ、今手当てするから…ひなた!! こっち来てくれ!! 俺を手伝ってくれ!! …ひなた!?」

 

 心操は、ひなたが話していたはずの場所を振り向いて叫ぶ。

 だがそこにひなたの姿は無かった。

 

「嘘だろ…? 何で……さっきまでいたはず…」

 

 先程までいたはずのひなたがいなくなっていたため、心操は混乱する。

 一方緑谷と一緒に話していたひなただったが、緑谷の発言に違和感を抱き緑谷に尋ねる。

 

「………ねえ、デッくん。さっきから何か焦げ臭くない?」

 

「え…? そうかな? 何も匂わないけど……」

 

「前の組は? もうとっくに3分どころか5分以上経ってるはずでしょ? いつ会ったの?」

 

「…えっと、さっきから何が言いたいのかな」

 

「…じゃあこれが最後の質問。オールマイトが三年前の月刊ヒーローのオールマイト特集で、『私が』って言った回数は?」

 

「えっ!? な、何言って…『わ!!!!』

 

 緑谷がひなたの質問に戸惑った瞬間、ひなたは緑谷に爆音攻撃を浴びせる。

 すると緑谷の身体は破裂して消し飛び、ひなたは緑谷がいた場所を睨みつける。

 

「ヒーローオタクのデッくんなら、今の質問答えられないわけがないよね?」

 

 ひなたは、緑谷がこのタイミングでひなたに虫除けを届けに来た時点で怪しいと思っていた。

 思わず顔を顰めたくなる程の焦げ臭い匂いに全く気付いていない事、とっくに出発しているはずの尾白や峰田といつ鉢合ったのか答えられなかった事、そして決定的だったのは、最後のひなたの質問に対する答えだった。

 ヒーローオタクのはずの緑谷が、オールマイトに関する質問に答えられなかったのだ。

 この時点で、ひなたの中で目の前の緑谷は偽者だと確定した。

 

「さて…と、ひー君! ごめん! 僕、ちょっとどうかしてた! …ひー君?」

 

 幻覚が解けたひなたは、心操に声をかけようと振り向く。

 だがそこに心操はいなかった。

 

「あれ? ひー君…?」

 

 ひなたがキョロキョロと見渡して心操を探していたその時、心操の声が聞こえる。

 

「蛙吹!! 麗日!! しっかりしろ! 待ってろ、今助けを呼ぶから!!」

 

「ひー君…? お茶子っちと梅雨ちゃんがどうかしたの?」

 

 ひなたが心操の声のする方へ行ってみると、心操は何も無い木の前で膝をつき必死に叫んで応急処置ごっこをしていた。

 

「ひー君、何してるの? そこには誰も…」

 

 それを見たひなたは、心操の肩を揺すって声をかける。

 だが心操はひなたの声に返事をせず叫びながら応急処置ごっこを続けていた。

 そこでひなたは、心操も自分と同じ幻覚系の“個性”にかかっているのではないかと推測した。

 

「クソッ、脈が弱くなってる…血も止まらない…!! どうすれ…「起きろ!!!」ばぁ!?」

 

 心操が瀕死の二人を応急処置していると、突然頭頂部に鈍い痛みが走る。

 その痛みに驚いてふと二人が倒れていた場所を見ると、いつの間にか二人がいなくなっていた。

 

「…あれっ?」

 

 そしてふと上を見上げると、手刀を構えたひなたがいた。

 幻覚を見て応急処置ごっこをしていた心操を、ひなたが手刀で叩き起こしたのだ。

 

「ひー君、大丈夫? ずっと木の前で応急処置ごっこしてたけど…」

 

「ああ、うん…ひなたの方こそ、誰もいない所に向かって話しかけてたけど大丈夫か?」

 

「あー…うん、ご迷惑をおかけしました…」

 

 ひなたは蛙吹と麗日の幻覚に応急処置ごっこをしていた心操を心配するが、ひなたもひなたで緑谷の幻覚に惑わされていたので人の事は言えなかった。

 すると心操が立ち上がって施設のある方角を指差す。

 

「とにかく施設に行こう。マンダレイのテレパスによると、(ヴィラン)がここにいるらしい。今の幻覚も、(ヴィラン)の“個性”かもしれない」

 

「えっ!? (ヴィラン)!?」

 

 心操がマンダレイからのテレパスを報告すると、ひなたが驚く。

 だがひなたの反応は心操が想定していた反応の180°真逆で、怯えるどころかむしろ安心していた。

 

「なぁんだ、(ヴィラン)か…良かったぁ、オバケの仕業かと…」

 

「大丈夫か…!? そうかとうとう恐怖で頭がおかしくなったか…」

 

「アホかひー君! 正気だっての! オバケや呪いはどうにもならないけど、(ヴィラン)ならまだ対処のしようがあるでしょ? とにかく(ヴィラン)と会敵しても交戦せずに上手く撒いて施設に向かえばいいんだよね?」

 

「……! うん」

 

 心操はひなたがトチ狂ったのかと心配するが、ひなたは至って冷静だった。

 ひなたが冷静に現状を把握し心操に指示を仰ぐと、心操は僅かに目を見開きつつ頷く。

 先程まで虫と幽霊に怯えてへっぴり腰でわんわん泣き喚いていたひなただったが、相手が人間なら状況把握能力や判断力、度胸などといった精神的な強さはむしろ常人より強靭だった。

 先程とはまるで別人のように正確かつ迅速に判断を下すひなたを見て、さすがは自分よりも何歩も先を行くひなただと心操は感心した。

 そのまま施設に向かう二人を、影から何者かが見ていた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして同時刻、連合のアジトのバーでは。

 

「本当に彼等のみで大丈夫でしょうか?」

 

「うん。俺の出る幕じゃない」

 

 黒霧が尋ねると、死柄木が即答する。

 死柄木は、写真を眺めながら話し始める。

 

「ゲームが変わったんだ。今まではさ、RPGでさ、装備だけ万端で…レベル1のままラスボスに挑んでた。やるべきはSLGだったんだよ。俺はプレイヤーであるべきで、使える駒を使って格上を切り崩していく…その為まず超人社会にヒビを入れる。開闢行動隊、奴等は成功しても失敗してもいい。そこに来たって事実がヒーローを脅かす」

 

「捨て駒ですか……」

 

「バカ言え! 俺がそんな薄情者に見えるか? 奴等の強さは本物だよ。向いてる方向はバラバラだが、頼れる仲間だ。法律で雁字搦めの社会。抑圧されてんのはこっちだけじゃない…成功を願ってるよ」

 

 そう言って眺めていたのは、表彰台で拘束されている爆豪の写真だった。

 そしてその下に重ねてあった写真は、騎馬戦で無双して大喜びしているひなたの写真だった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、マスキュラーを倒し終えた緑谷は、疲労のあまり倒れそうになる。

 洸汰が心配そうに歩み寄ると、緑谷は踏ん張って立ち上がった。

 

「大丈夫…! まだやらなきゃいけない事がある……」

 

「そんなボロボロで何をしなきゃいけねんだよ…!」

 

 洸汰が尋ねると、緑谷は倒れそうになる身体に鞭打って答える。

 緑谷は、マスキュラーに防御されるのはわかっていた。

 だからこそ打ったのだ。

 そこを差し引いても大ダメージを与えると思っていたが、想定より遥かに強い(ヴィラン)だったのだ。

 仮にこの夜襲に来た(ヴィラン)が全員このレベルなら、林間合宿に来た全員が危なかった。

 その上狙いは生徒かもしれないという事を、相澤やプッシーキャッツに伝えなければならなかった。

 

「僕が動いて救けられるなら、動かなきゃいけないだろ」

 

 緑谷の脳裏に浮かんでいたのは、クラスメイト達の顔だった。

 緑谷が言うと、洸汰はその凄みに思わず息を呑む。

 そして緑谷は、水の“個性”を持つ洸汰に山火事の鎮火を頼むと洸汰をおぶって全速力で駆け抜けていく。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 数分前、相澤は荼毘と交戦していた。

 荼毘は、青い炎を出して攻撃を仕掛ける。

 

「まァ、プロだもんな」

 

 荼毘は、視線を上に向ける。

 相澤は、いつの間にか施設の入り口屋根の側面に移動していた。

 荼毘は、左手を前に出して再び炎を出そうとする。

 だが相澤に“個性”を消されて炎を出せず、相澤は捕縛布で荼毘を縛り付けて拘束した。

 そして入り口屋根から飛び降りると荼毘の顔面に膝を入れ、そのまま荼毘を組み伏せた。

 

「目的・人数・配置を言え」

 

「何で?」

 

「こうなるからだよ」

 

 相澤は、左手で荼毘の左腕を掴むとへし折った。

 

「次は右腕だ。合理的にいこう。足までかかると護送が面倒だ」

 

「焦ってんのかよ? イレイザー」

 

 荼毘がニヤリと笑って煽ると、相澤は荼毘の右腕を折った。

 するとその直後、森から爆発が起こる。

 

「何だ……」

 

「先生!!!」

 

 森の中から飯田達が飛び出してくると、その隙に荼毘は相澤を押しのけて立ち上がった。

 

「流石雄英の教師を務めるだけはあるよ。なぁヒーロー。生徒が大事か?」

 

 相澤の捕縛布で縛られていた荼毘は、突然泥のように溶けて捕縛布をすり抜けた。

 

「守り切れるといいな……また会おうぜ」

 

 そう言って荼毘は崩れた。

 すると峰田が慌てふためいて相澤に尋ねる。

 

「先生今のは…!!」

 

「……中入っとけ。すぐ戻る」

 

 そう言って相澤は森の中へ走っていった。

 その様子を森の中から眺めていた本物の荼毘は、一緒にいた黒いスーツを着た陽気な男『トゥワイス』にもう一度自分を増やすよう言った。

 するとトゥワイスは、セルフ口喧嘩をしつつも荼毘を増やした。

 しばらくすると、相澤を見つけた緑谷が声をかける。

 

「先生!!」

 

「緑…」

 

 緑谷の声に相澤は振り向くが、ボロボロになった緑谷を見て思わず眉を顰める。

 

「先生! 良かった!」

 

「大変なんです…! 伝えなきゃいけない事が沢山あるんです…けど」

 

「おい…」

 

「とりあえず僕、マンダレイに伝えなきゃいけない事があって…洸汰くんをお願いします。水の個性です。絶対守って下さい!」

 

「おいって…」

 

「お願いします!」

 

「待て緑谷!!!」

 

 緑谷が洸汰を相澤に託して走ると、相澤が止める。

 

「その怪我…またやりやがったな」

 

「あっ…いやっ、でも…」

 

「だから、彼女にこう伝えろ」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「あーんもう近い! アイテム拾わせて!!」

 

 マグネは、虎のキャットコンバットを完全に読んで受け流していた。

 一方、マンダレイはスピナー相手に苦戦していた。

 

「しつこっ…」

 

「い…のはお前だ偽者! とっとと粛清されちまっ」

 

 スピナーは、巨大な剣を振りかぶってマンダレイを斬ろうとした。

 するとそこへ、緑谷が飛びかかってくる。

 

「SMASH!」

 

 緑谷が飛び蹴りでスピナーの剣を分解すると、スピナーは目を見開く。

 すると緑谷は、マンダレイに向かって叫んだ。

 

「マンダレイ!! 洸汰くん! 無事です!」

 

「君……」

 

「い゛っ!!! っ!!! 相澤先生からの伝言です! テレパスで伝えて!! A組B組総員──プロヒーロー『イレイザーヘッド』の名において、戦闘を許可する!!」

 

 緑谷は、相澤からの伝言を叫んだ。

 それを聞いたマンダレイはすぐにテレパスで伝言を全員の脳内に流し、伝言を受け取った生徒達はそれぞれ戦闘態勢に入った。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 緑谷に伝言を伝えた相澤は、洸汰を連れて森を駆け抜けていた。

 すると、洸汰が泣きながら呟く。

 

「おじさん…あいつ、大丈夫かな」

 

「うん?」

 

「僕…あいつの事殴ったんだ…なのに…! あんなボロボロになって救けてくれたんだよ…! 僕まだごめんも…ありがとうも…! 言ってないんだよ! あいつ大丈夫かなあ…!!」

 

 洸汰が相澤の捕縛布を掴みながら泣いていると、相澤が声をかける。

 

「大丈夫…あいつも死ぬつもりなんか無いからボロボロなんだろう。でも、俺はそれを叱らなきゃいけない。だからこの騒動が終わったら言ってあげてくれ。できればありがとうの方に力を込めて」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 緑谷から伝言を受け取ったマンダレイは、全員の脳内に伝言を流す。

 

『A組B組総員──…戦闘を許可する!』

 

 マンダレイは、伝言を流すとスピナーに蹴りを入れる。

 すると緑谷は森の中へと走りながら叫ぶ。

 

「伝達ありがと! でも! すぐ戻りな! その怪我尋常じゃない!」

 

「いやっ…すいません! まだ! もう一つ…(ヴィラン)の狙い、少なくともその一つ──…かっちゃんと相澤さんが狙われてる! テレパスお願いします!」

 

「かっちゃ…誰!? 待ちなさいちょっと!」

 

 伝言を聞いたマグネは、マスキュラーが緑谷に倒された事を一瞬で理解した。

 

「やだ…この子、ホント殺しといた方がいい!」

 

 マグネは、虎を押しのけて緑谷を追おうとした。

 するとスピナーがマグネ目掛けてナイフを投げる。

 

「手を出すなマグ姉!!」

 

 マグネは、咄嗟にスピナーのナイフを避けてツッコミを入れる。

 

「ちょっと何やってんの!? 優先殺害リストにあった子よ!?」

 

「そりゃ死柄木弔個人の意思」

 

「スピナー何しに来たのよあんた!」

 

「あのガキはステインがお救いした人間! つまり英雄を背負うに足る人物なのだ!! 俺はその意思にシタガ!!」

 

 スピナーとマグネが口喧嘩をしている隙にマンダレイがスピナーに蹴りを入れ、虎がマグネの頭を殴る。

 マンダレイは、その隙にテレパスを流す。

 

(ヴィラン)の狙いの一つ判明──!! 生徒の『かっちゃん』!! そしてひなたちゃん!! わかった!? 二人とも!! 二人はなるべく戦闘は避けて!! 単独では動かない事!!』

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そしてその頃轟は、歯を伸ばして攻撃してくるムーンフィッシュを氷結で足止めしていた。

 

「不用意に突っ込むんじゃねえ。聞こえてたか!? お前狙われてるってよ」

 

「ごちゃごちゃうるっせんだよ頭ン中でえ……クソデクが何かしたなオイ! 戦えっつったり戦うなっつったりよお〜〜〜ああ!? クッソどうでもいィんだよ!!」

 

 轟が戦わずに退くよう爆豪に言うが、爆豪は苛立ちを露わにしながら爆破を放とうとする。

 するとムーンフィッシュが爆豪めがけて歯を伸ばしてくる。

 轟はすかさず氷結でムーンフィッシュを攻撃するが、ムーンフィッシュはうまく歯を使って轟の氷を避けた。

 ムーンフィッシュの地形と“個性”を巧みに使いこなした戦闘スタイルは、相当な場数を踏んでいる証拠だった。

 下手に木に引火してしまえば山火事を起こしてしまうため、轟も爆豪も最大火力を出せずにいた。

 そして後ろもガスが充満しており、二人は確実に行動の選択肢を削られていた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして一方で、鉄哲達はガスの発生源に向かって走っていた。

 

「聞いたか拳藤!? ブン殴り許可が出た!」

 

「待てって鉄哲! お前わかってんの!? このガス…」

 

「やべえ……ってんだろ。俺もバカじゃねえ」

 

「んバカ!」

 

 現状を全く理解していない鉄哲に、拳藤がツッコミを入れる。

 マンダレイはこのガスの事について一言も触れていなかった。

 つまり、広場から目視できるところにはガスは広がっていないという事だ。

 普通なら一気に拡散して全員ガスの餌食になっている筈なのにも拘らず、一定方向に流れ続け留まっているというのは変だった。

 その事から、拳藤はガスは発生源を中心に渦巻いているのではないかと推測した。

 つまり、ガスの濃度が濃い方を目指せばその先に発生源がある可能性が高いという事だ。

 だが単純にガスの濃い方を目指せばいいと言う問題でもなく、ガスマスクのフィルターにも限度があり濃度が濃くなる程ガスマスクが機能する時間が短くなるのだ。

 すると鉄哲は、一直線にガスの濃い方へ突っ走っていく。

 

「濃い方に全力で走って! 全力でブン殴る!!! だな!!」

 

「んん…まァ…そだけど」

 

「塩崎やクラスの皆がこのガスで苦しい目に遭ってんだよ! 嫌なんだよ、腹立つんだよ! こういうの!! 頑張るぞ!! 拳藤!!!」

 

「うん!」

 

 鉄哲が言うと、拳藤は力強く頷く。

 鉄哲の単細胞っぷりに呆れ返っていた拳藤だったが、内心ではその漢気に感心していた。

 鉄哲がガスの濃い方へ走っていくと、ガスの中に人影が見えた。

 

「ぃぃぃいいいいいいたあああああ!!!!」

 

 鉄哲は、ガスの中心にいたマスタード目掛けて拳を振りかぶる。

 だが…

 

「哀しいね。どれだけ優秀な“個性”があっても、人間なんだよね」

 

 そう言ってマスタードは、鉄哲にリボルバーの銃口を向ける。

 その直後、火薬が弾ける乾いた音が鳴り響いた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その頃緑谷は、ひたすら森の中を駆け抜けていた。

 するとその直後、正面から巨大な黒い手が伸びてくる。

 マスキュラー戦で消耗し身体にガタが来ていた緑谷は、避けきれずにそのまま攻撃を喰らいそうになる。

 だが緑谷は、どういうわけか無事だった。

 緑谷がうっすらと目を開けると、目の前に障子がいた。

 

「障子くん…!?」

 

 複製腕で緑谷を抱え込んでいた障子だったが、左手の複製腕から血がボタボタと垂れていた。

 ムーンフィッシュに襲われた時障子が咄嗟に庇ったのだが、それが常闇の“個性”が暴走するトリガーになってしまった。

 二人の目の前には、黒影(ダークシャドウ)を暴走させる常闇がいた。

 

「俺から…っ、離れろ! 死ぬぞ!!」

 

「常闇くん!!」

 

 常闇が緑谷に向かって叫ぶと、緑谷は常闇を心配して叫び返す。

 そしてすぐさま障子に状況を尋ねる。

 

「どっ、どういう事!? 障子くん」

 

 緑谷が尋ねると、障子が状況を説明する。

 障子と常闇はマンダレイから通信を受けすぐに警戒態勢と取ったのだが、その直後ムーンフィッシュが襲い掛かり、障子が常闇を庇い腕を斬られつつも草陰に身を隠したのだ。

 障子が斬られたのは複製腕で、斬られてもまた複製できるため大したダメージではなかったのだが、それでも常闇には耐えられなかったらしく抑えていた黒影(ダークシャドウ)が暴走してしまったのだ。

 今の黒影(ダークシャドウ)は、動くものや音に反応して無差別攻撃を繰り出すだけのモンスターと化していた。

 

「俺の事は…いい! ぐっ…!! 他と合流し…! 他を救け出せ!! 静まれっ…(ダーク)(シャドウ)!!」

 

 常闇は、何とか必死に黒影(ダークシャドウ)を抑えようとしていた。

 常闇を放っておけない障子は、自分が常闇を引きつけ緑谷は爆豪やひなたの元へ駆けつけるよう言った。

 二人が作戦を話している間にも、黒影(ダークシャドウ)が無差別に二人を襲う。

 すると緑谷は、作戦を障子に話した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、マスタードに撃たれた鉄哲は全身を金属化していたため無傷だったが、ガスマスクが粉々に砕けてしまっていた。

 

「ああ、いたね。硬くなる奴…銃効かないかー……まぁでも関係ないよ。このガスの中、どれだけ息を止めてられるかって話になるからね」

 

 マスタードは、鉄哲に銃口を向けながら言った。

 すると鉄哲は、鼻と口を手で塞ぎながらマスタードに突進をしかける。

 だがマスタードは、鉄哲の脇腹を狙い撃ちする。

 

「ターミネーターごっこ? 硬化とはいえ突進とかさぁ、勘弁してよ。名門校でしょ? 高学歴でしょ? 考えてくんない? じゃないと…殺りがいがない」

 

 そう言ってマスタードは、左脇から銃を突き出して発砲する。

 すると鉄哲は、左から攻撃を仕掛けようとした拳藤を庇って顔面を撃たれる。

 

「鉄哲!!」

 

「ダメだ…退いてろ…!!」

 

 鉄哲が顳顬から血を流して膝をつくと、マスタードは二人を嘲笑う。

 

「アッハハハハ、2対1で1人は身を隠して不意打ち狙いね!? アハハハ! 浅っ、あっさいよ底が!」

 

 マスタードは、噴射したガスの中にある物の動きを揺らぎとして感知する事ができる。

 つまりマスタードのガスの中にいる限り、何をしても筒抜けというわけだ。

 マスタードは、その事が頭になかった二人の事を見下して笑う。

 

「雄英生でしょ? 夢見させてよ…それだからこんな襲撃許しちゃうんだよ…」

 

 鉄哲は血を流していたが、それでも怯まず突撃を仕掛ける。

 だが背後から撃たれ、再び倒れる。

 鉄哲は切島の『硬化』とは違って打たれれば打たれるほど金属が疲労を起こし耐久度が低くなってしまい、さらに言うと金属の硬度を維持できるのは踏ん張っている間だけなのでガスで息ができない間は踏ん張りが利かず金属の硬度が下がってしまうのだ。

 

「硬化やらの単純な奴らってえてして体力勝負なとこあるもんねえ。そういうの考えず突っ走るってさあ」

 

 そう言ってマスタードは鉄哲を何度も撃つ。

 

「ねえ…君らは将来ヒーローになるんだろ…? 僕おかしいと思うんだよね…君みたいな単細胞がさァ! 学歴だけで! チヤホヤされる世の中って!! 正しくないよねえ!!」

 

 マスタードは学歴にコンプレックスを抱いており、全国でもトップクラスの雄英の生徒に嫉妬していた。

 だからこそ今回の襲撃にも喜んで名乗りを上げたのだ。

 だが実際に戦ってみれば自分が嫉妬していた相手は自分より下だったと拍子抜けし、見下して嘲笑っていた。

 鉄哲が限界を迎えたその時、拳藤が飛び出す。

 

「てつてつ!!」

 

 拳藤の動きを見抜いていたマスタードは、あっさりと拳藤を躱す。

 だがその直後、拳藤は『大拳』を発動して右手でマスタードの動きを封じた。

 

「動きだけわかっても意味ねえんだよ!!」

 

「そんなしょぼい“個性”でドヤ顏されてもなぁ!!」

 

 そう言ってマスタードは拳藤の右手から抜け出し煙の中へと消えていく。

 すると拳藤は、もう片方の手も巨大化し始めた。

 

「しょぼいかどうかは、使い方次第だ!!」

 

 そう言って拳藤は両手でガスを仰いで吹き飛ばしていく。

 するとガスの中に身を隠していたマスタードが姿を見せる。

 拳藤は、マスタードに向かって言い放つ。

 

「馬鹿はお前だ学ラン。拳銃なんか持ってよ、そりゃケンカに自信がないって言ってんのと同じだよ。何より雄英の単細胞ってのはな…」

 

 拳藤がそう告げると、背後から鉄哲が現れる。

 ガスが薄くなり感知能力が薄れたマスタードは、鉄哲に気付かず反応が遅れる。

 鉄哲は、マスタードが撃つ前に全力で拳を叩き込んだ。

 

「普通『もうダメだっ』て思うようなとこを、更に一歩越えてくるんだよ」

 

 鉄哲がマスタードを殴るとガスマスクが粉々に砕け、ガスが霧散していく。

 鉄哲は、マスタードがガスマスクをしていたのでガスは自分自身にも効いてしまうのではないかと考え、ガスマスクを狙ったのだ。

 

「俺らのっ、ハアア…合宿潰した罪、償ってもらうぜガキンちょ」

 

 そう言って鉄哲は大きく呼吸を繰り返しながらその場に倒れ込む。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして同時刻、轟は氷結で何とかムーンフィッシュの攻撃を耐え凌いでいた。

 ブチ切れた爆豪は自分が最大火力を放つので燃え移った瞬間に氷結で炎を消すよう轟に言うが、爆発はこちらの視界も塞がれるので悪手だった。

 手数も距離もムーンフィッシュに分があるため、戦っても勝ち目が無いのだ。

 だがその直後、ムーンフィッシュの背後の木々が薙ぎ倒されていき、その最前線には緑谷を抱えた障子がいた。

 

「爆豪! 轟! どちらか頼む…光を!!!」

 

 障子が言った直後、黒影(ダークシャドウ)が轟の氷を砕きながら現れいとも簡単にムーンフィッシュを捕らえてしまった。

 緑谷の作戦は、障子が複製腕を囮にして黒影(ダークシャドウ)を誘導し、誘導先にいる爆豪に爆破で黒影(ダークシャドウ)を鎮めてもらうというものだった。

 

「かっちゃん!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして同時刻、自力で幻覚を解いたひなたと心操はというと。

 突然目の前に人影が現れ、二人は足を止めて目を見開く。

 二人の目の前に現れたのは、草臥れたロングコートに身を包んだ零だった。

 目の前に立っているだけで何十人も手にかけているような手練れである事が見て取れるので、二人とも零を警戒する。

 すると零は、ヒラヒラと手を振って名乗る。

 

「初めまして。この度新しく(ヴィラン)連合に入りました、零です。よろしくね。…って、初めましてはおかしいか」

 

「………?」

 

「ねぇ101号。僕が誰だかわかるよね?」

 

 そう言って零がフードを脱ぐと素顔が晒される。

 その人物の素顔を見たひなたは、目を見開く。

 

「嘘……何でここに……」

 

「やだなぁ、そんな顔しないでよ。たった一人の“兄さん”に対してさ」

 

 ひなたが冷や汗を流し息を荒くして言うと、零はクスリと笑った。

 

 

 

 

 




ひーひーペア以外はほぼ原作まんまになってもうた…
本当はこういうのもっと省略した方がいいんだろうけど、原作キャラの動きも書いた方がひーひーサイドの動きがわかりやすいのかなとか思ったり。
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