感謝感激雨霰。
念願の赤バーを維持し続けてるぞおおおおおお!!!
やったああああああああああああああああああ!!!
面白いと思っていただけましたら高評価(特に8・9・10あたり)お気に入り、感想等よろしくお願いします。
飯田から緑谷へ
完全敗北。
ブラドキングの通報により、
生徒42名のうち
そして行方不明2名。
プロヒーローは6名のうち1名が頭を強く打たれ重体、1名が大量の血痕を残し行方不明となっていた。
一方
生徒達の楽しみにしていた林間合宿は、最悪の結果で幕を閉じた。
「
そう言って校長は会議室で職員会議を開き教師陣に対して言った。
ミッドナイトは、校長の発言に対しさらに意見を言う。
「認識できていたとしても防げていたかどうか…これ程執拗で矢継ぎ早な展開……オールマイト以降組織立った犯罪はほぼ淘汰されてましたからね…」
「要は知らず知らずの内に平和ボケしてたんだ、俺ら。“備える時間がある”っつー認識だった時点で」
ミッドナイトに続けてプレゼントマイクも今の警戒態勢に対して指摘をした。
愛娘のひなたが攫われたせいか、普段の態度とは打って変わってかなり気が立っているのが見て取れた。
するとオールマイトは俯いて自分の不甲斐なさを悔いる。
「己の不甲斐なさに心底腹が立つ…彼らが必死で戦っていた頃、私は…半身浴に興じていた…っ!!」
そう言ってオールマイトは自分を責めるが、誰もオールマイトを責められなかった。
十中八九
USJの時に『オールマイトが来る』という予定が割れてしまっていたせいで
オールマイトを同行させなかったのは自分達で、かく言う自分達も連絡が入るまで呑気に休んでいたので誰も何も言えなかった。
「襲撃の直後に体育祭を行う等…今までの『屈さぬ姿勢』はもう取れません。生徒の拉致、雄英最大の失態だ。奴らは爆豪や相澤ひなたと同時に我々ヒーローへの信頼も奪ったんだ」
「現にメディアは雄英の非難でもちきりさ。爆豪くんを狙ったのも恐らく体育祭で彼の粗暴な面が少なからず周知されていたからだね。ひなたくんを狙ったのも、体育祭で見せた“個性”を狙って…いや、ひょっとしたら彼女の過去を知っての事だったのかもしれないね。もし彼等が
スナイプが言うと、校長はデカデカと見出しに『雄英大失態』と書かれた新聞を取り出しながら言った。
すると唐突にプレゼントマイクも口を開く。
『信頼云々って事でこの際言わせてもらうがよ…今回で決定的になったぜ。いるだろ、内通者』
プレゼントマイクは、教師陣の誰もが内心では薄々感じていた事を言い放った。
その目には猜疑と、ひなたが攫われる原因を作った裏切り者に対する怒りがこもっていた。
『合宿先は教師陣とプッシーキャッツしか知らなかった! 怪しいのはこれだけじゃねえ。ケータイの位置情報なり使えば生徒にだって……』
「マイク、やめてよ」
『洗おうぜ、この際てってー的に!!』
感情的になってあろう事か生徒まで疑い始めるプレゼントマイクをミッドナイトが宥めようとするが、プレゼントマイクは聞く耳を持たず訴え続けた。
内通者の件に関しては当然誰も疑わなかったわけではなかったが、教員の間でもセンシティブな議題だった。
そのため、今まで誰も口に出す事はなかったのだ。
するとスナイプが冷静にプレゼントマイクを諭す。
「お前は自分が100%シロという証拠を出せるか? ここの者をシロだと断言出来るか? お互い疑心暗鬼となり内側から崩壊していく。内通者探しは焦って行うべきじゃない」
『わかってるよ!! けど黙ってられるかよ!? ひなたが…娘が攫われたんだぞ!?』
スナイプが言うと、プレゼントマイクはドンッと机を拳で叩きながら言った。
普段の彼なら、諭された時点で冷静になって考える事ができたが、今はそのような余裕は無かった。
何の罪もないひなたが傷付けられた上に
そして
だからこそ、それが今やるべき事ではないと分かりつつも声を上げたのだ。
するとスナイプが唐突にプレゼントマイクに尋ねる。
「仮に内通者が見つかったとして、お前はそいつをどうするつもりだ?」
『………!』
スナイプのその一言で、プレゼントマイクはようやく冷静さを取り戻した。
言われて初めて、悪党への制裁と私怨による報復を履き違えかけていた事、そしてひなたを攫われた怒りで前が見えなくなっていた事に気がついた。
「大事な生徒を、それもよりにもよってお前達の娘が攫われて気が立っているのはわかる。だからこそ落ち着けと言っているんだ。ここで内通者を洗ったところで何の解決にもならないし、むしろマイナスの方が大きい」
スナイプが諭すと、プレゼントマイクは大人しく黙り込んだ。
内通者を炙り出してひなたが攫われた分の憂さ晴らしをしたところで何の解決にもならず、ひなたが戻ってくるわけでもなかったからだ。
すると校長が話を進める。
「少なくとも私は君達を信頼してる。その私がシロだとも証明しきれないワケだが。とりあえず学校として行わなければならないのは生徒の安全保証さ。内通者の件もふまえ…かねてより考えていた事があるんだ。それは…」
『でーんーわーがー来た!』
校長が話を続けようとした時、突然ダサい着信音が鳴る。
するとオールマイトが手元の携帯を確認する。
「すみません、電話が」
『会議中っスよ! 電源切っときましょーよ!』
(((着信音ダサ…)))
オールマイトが席を外すとプレゼントマイクがツッコミを入れ、他の教師陣も心の中でツッコミを入れた。
席を外したオールマイトは、教え子を助けられなかった事を悔いつつも電話をかけてきた塚内に話しかける。
「…すまん、何だい? 塚内くん」
『今イレイザーヘッドとブラドキングから調書を取っていたんだが、思わぬ進展があったぞ!
塚内が伝えると、オールマイトが目を見開く。
すると塚内が話を続ける。
『二週間程前、“顔中ツギハギの男がテナントの入ってないハズのビルに入っていった”という情報を入手していた。20代くらいだというので過去の犯罪者を焦ってみるも目ぼしい者はおらず、又、ビルの所有者に確認したところいわゆる隠れ家的なバーがちゃんと入ってるという話だった為、捜査に無関係だと流していたんだが、今回生徒を攫った
塚内の話を聞いたオールマイトは、身体から蒸気を放ってマッスルフォームになっていく。
そして影になった眼窩の奥にある瞳から青い光を放ちながら言った。
その光には、必ず爆豪とひなたを助け出し二人を怖い目に遭わせた
「…私は…素晴らしい友を持った……奴らに会ったらこう言ってやるぜ…私が反撃に来たってね」
◇◇◇
騒動の二日後、一番重傷だった緑谷が目を覚ましたのでクラスメイトは緑谷の病室に見舞いに来ていた。
「あー緑谷!! 目ぇ覚めてんじゃん」
「え?」
上鳴をはじめとして、攫われた爆豪とひなた、重傷の耳郎、心操、葉隠、八百万のを除く14人が病室に入る。
「テレビ見たか!? 学校今マスコミやべーぞ」
「春の時の比じゃねー」
「メロンあるぞ皆で買ったんだ! デカメロン!」
上鳴と砂藤が現状を伝え、峰田が買ってきたメロンを見せる。
「迷惑かけたな緑谷…」
暴走した上に助けられた常闇は、申し訳なさそうに俯いていた。
すると緑谷が尋ねる。
「ううん…僕の方こそ…A組皆で来てくれたの?」
緑谷が尋ねると、飯田が答える。
「いや…耳郎くん葉隠くんは
「……14人だよ」
飯田と麗日が報告すると、轟が口を挟む。
「爆豪と相澤居ねえからな」
「ちょ…轟!」
轟が言うと、芦戸は無神経だと思い轟に注意をする。
轟の言葉を聞いた緑谷は、茫然とした表情を浮かべる。
「……… オールマイトがさ…言ってたんだ。手の届かない場所には救けに行けない…って、だから手の届く範囲は必ず救け出すんだ…僕は…手の届く場所に居た。必ず救けなきゃいけなかった…! 僕の“個性”は…その為の“個性”…なんだ。相澤先生の言った通りになった…体……動かなかった…」
緑谷は、目に涙を浮かべながら悔しそうに歯を食いしばった。
爆豪を助けられる場所にいたのに助けられなかった無力な自分を恥じ悔いていた。
すると切島が緑谷に言った。
「じゃあ今度は救けよう」
それを聞いた轟と切島以外のA組生徒が目を点にする。
「「「へ!?」」」
「実は俺と…轟さ、昨日も来ててよぉ… そこでオールマイトと警察が、八百万と話しているとこ遭遇したんだ…」
◇◇◇
1日前。
八百万は、自身の“個性”で創造したデバイスを取り出しながら言った。
「B組の泡瀬さんに協力頂き
八百万がデバイスをオールマイトに渡すと、オールマイトはデバイスを受け取って笑顔を浮かべる。
「………この前相澤くんは君を『咄嗟の判断力に欠ける』と評していた。素晴らしい成長だ! ありがとう八百万少女!」
「級友の危機に…こんな形でしか協力できず…悔しいです」
「その気持ちこそ君がヒーローたりうる証だよ。後は私達に任せなさい!」
◇◇◇
「………つまりその受信デバイスを…八百万くんに創ってもらう…と?」
飯田が尋ねると、切島が頷く。
すると飯田が声を張り上げた。
「オールマイトの仰る通りだ、プロに任せるべき案件だ! 俺達の出ていい舞台ではないんだ馬鹿者!!」
「んなもん分かってるよ!! でもさぁ! 何っも出来なかったんだ!! ダチが狙われてるって聞いてさぁ!! なんっっも出来なかった!! しなかった!! ここで動けなきゃ俺ぁ、ヒーローでも男でもなくなっちまうんだよ」
飯田が声を張り上げると、切島が反論する。
助けられる場所にいた緑谷達と違い、自分はその場にいる事すらできなかったのだ。
今となっては、爆豪が攫われた時に、ひなたが
だが、それでも自分に出来る事があるはずなのに出来なかった自分が情けなかった。
本当は飯田も助けに行きたいと思っており、切島も飯田の言う事が正しいという事はわかっていた。
だが二人とも、クラスメイトを傷つけられ攫われた悔しさで冷静ではなかった。
「切島落ち着けよ。こだわりはいいけどよ、今回は…」
「飯田ちゃんが正しいわ」
上鳴と蛙吹も飯田の味方をすると、切島は声を張り上げる。
「飯田が皆が正しいよ、でも!! なぁ緑谷!! まだ手は届くんだよ!」
「「………!!」」
切島が言うと緑谷と飯田が目を見開く。
「ヤオモモの発信機のヤツ貰って…それ辿って…自分らで爆豪とひなたの救出に行くって事……!?」
芦戸が言うと轟が頷きながら答える。
「
「ふっ、ふざけるのも大概にしたまえ!!」
轟の発言に対し、飯田が声を張り上げた。
すると障子が飯田を宥める。
「待て落ち着け。切島の『何も出来なかった』悔しさも、轟の『眼前で奪われた』悔しさもわかる。俺だって悔しい。だが、これは感情で動いていい話じゃない」
「オールマイトに任せようよ…戦闘許可は解除されてるし☆」
「青山の言う通りだ… 救けられてばっかりだった俺には強く言えんが…」
障子と青山が言うと、常闇も二人に賛成する。
すると蛙吹が熱くなっているクラスメイト達を窘めた。
「皆、爆豪ちゃんとひなたちゃんを攫われてショックなのよ。でも冷静になりましょう。どれ程正当な感情であろうと、また戦闘を行うというのなら……ルールを破るというのなら、その行為は
蛙吹の言葉に、全員が固まる。
するとそこへ、緑谷の担当医が入ってくる。
「お話し中ごめんね──緑谷くんの診察時間なんだが…」
「い…行こか。耳郎とか葉隠の方も気になっし…」
瀬呂がそう言って他のクラスメイト達も病室を出て行くと、切島は緑谷に耳打ちした。
「八百万と心操には昨日話をした。行くなら即行…今晩だ。重傷のおめーが動けるかは知らねえ。それでも誘ってんのは、おめーが一番悔しいと思うからだ。今晩…病院前で待つ」
切島の言葉を、飯田は確かに聞いていた。
その後、医師は緑谷に容態を伝えた。
緑谷の腕はリカバリーガールに強めの治癒をしてもらっていたため順調に回復していたが、短期間での度重なる負傷により腕の骨や筋肉がボロボロになっており、そして腕が壊れる度に靱帯が劣化しており、二度か三度同じような怪我を繰り返せば二度と腕が使えない生活になると忠告された。
ただ君に助けられた人間は少なからずいるからあまり気を落とすな、医師はそう告げながら白衣のポケットから手紙を取り出し緑谷に渡す。
緑谷が受け取ったのは医師が預かっていた洸汰の手紙で、内容は非礼を働いた事への謝罪と命懸けで助けてくれた事への感謝だった。
◇◇◇
そしてその日の夜。
切島と轟は病院の前に来ていた。
すると、病院から心操が出てくる。
「…ごめん、待たせた」
「心操!」
「お前…頭はもう大丈夫なのか」
「うん」
轟が頭の怪我を心配すると、心操は首を手で押さえながら頷く。
すると切島も一安心しつつ尋ねる。
「そっか、良かった! …けど、何で来てくれたんだ?」
「…ひなたが
「「!?」」
心操が言うと、轟と切島は目を見開く。
「だから……」
◇◇◇
少し前、入院していた心操は母親の人美に電話をしていた。
「うん。わかった。大丈夫。ありがとう母さん」
『人使、ニュース見たわよ。まさか勝己くんとひなたちゃんが行方不明になるなんて……』
「…ひなたが
心操は、悔しそうに俯きながら言った。
『困ってる人を助けるヒーローになりたい』、その夢に向かって前に進み続け両親も彼を応援してきた。
だが
こんな奴がヒーローになれるわけがないと自分を責めていると、人美が冷静に諭す。
『そう思うなら悔やむ前に行動しなさい。ヒーロー達が勝己くんとひなたちゃんを助けてくれる事を祈って、自分に出来る事をするの。人使に出来る事は、ひなたちゃんが無事戻ってきたら側にいてあげて安心させてあげる事でしょう? 今のあの子には、あなたが必要なはずよ』
「そんなわけないよ、だってあいつは俺の事『友達としてしか見れない』って…」
『それはあなたの為を思ってついた嘘よ。あの子はずっとあなたの事が好きよ』
人美が真実を告げると、心操は僅かに目を見開く。
今なら、心操にもひなたがその気が無いと嘘をついた理由が理解できた。
ひなたは、誰にも言えない醜い過去がある自分と下手に関わったせいで大切な人が不幸になるのが嫌だったのだ。
すると、人美が電話越しに伝える。
『あなたがどう思うかなんて関係ないの。人使はヒーローになるんでしょう? だったら苦しんでる女の子一人助けてあげられなくてどうするの』
人美が言うと、心操はハッとする。
彼が周りのヒーロー志望と同じような戦闘能力の高さと直結する“個性”に恵まれず『犯罪し放題』などと同級生からいじられても屈折せずに真っ当に育ったのは、彼の夢を応援してくれる良識的な両親に恵まれたからだった。
特に心操と同じ“個性”を持つ人美は、彼の良き母親であり良き理解者だった。
人美に諭された心操は、自分のやるべき事を思い出し急いで出発の準備をし始めた。
◇◇◇
「…俺は、ひなたを助けたい。漫画みたいな理想論だけどさ…俺がもう一回呼びかければ、あいつに俺の声が届くかもしれないだろ。声さえ届けば、俺の“個性”ならあいつを助けられる。もちろん爆豪もだけど、手が届くなら俺は助けに行きたい。頼む、行かせてくれ」
心操が二人に訴えかけると、二人は快く心操の要求を飲んだ。
「おぉ! お前が来てくれれば心強え! 一緒に爆豪とひなちゃんを助けよう!」
「うん。そういえば…八百万は? あいつにも話したんだろ?」
心操が尋ねると、切島が答える。
「八百万…考えさせてっつってくれた………どうだろうな…」
「まぁ…いくら逸っても結局あいつ次第……」
「お、来た」
三人で待っていると、八百万が出てきた。
そしてそれと同時に緑谷も出てくる。
「……!」
「緑谷……」
「八百万、答え……」
「私は───…」
八百万が言いかけた、その時だった。
「待て」
「!」
後ろから声がしたので振り返ると、飯田が立っていた。
「飯田」
すると、飯田が悔しそうに俯きながら言った。
「………何でよりにもよって君達なんだ…! 俺の私的暴走を咎めてくれた…共に特赦を受けた筈の君達二人が…っ!!! 何故俺と同じ過ちを犯そうとしている!? あんまりじゃないか…!」
「何の話してんだよ…」
飯田は、ここまで来て4人を止めるつもりだった。
ヒーロー殺しの事件の時にその場にいなかった切島が飯田に尋ねようとすると、轟が前に出て切島の発言を遮った。
飯田は、俯きながら言い続ける。
「俺達はまだ保護下にいる。ただでさえ雄英が大変な時だぞ。君らの行動の責任は誰が取るのかわかってるのか!?」
「飯田くん、違うんだよ。僕らだってルールを破っていいなんて…」
緑谷が言うと、飯田が緑谷を殴った。
そして大怪我を負った緑谷を見て自分の兄の姿を重ね、同じ末路を辿らせてたまるかと言わんばかりに緑谷を叱責した。
「俺だって悔しいさ!! 心配さ!! 当然だ!! 俺は学級委員長だ! クラスメイトを心配するんだ!! 爆豪くんやひなた君だけじゃない!! 君の怪我を見て、床に伏せる兄の姿を重ねた!! 君達が暴走した挙句、僕の心配はどうなってもいいって言うのか!! 僕の気持ちは……どうでもいいって言うのか……!」
飯田が緑谷の肩を掴みながら訴えると、緑谷は俯いた。
「飯田くん…」
すると、轟が飯田を説得しようとする。
「飯田。俺達だって何も正面切ってカチ込む気なんざねえよ」
轟が言うと、飯田が目を見開く。
すると轟と切島が飯田に説明した。
「戦闘無しで救け出す」
「要は隠密活動!! それが俺達卵の出来る…ルールにギリ触れねえ戦い方だろ」
すると、まだ同行するかどうかを言っていなかった八百万も口を開く。
「私は轟さんを信頼しています…が!! 万が一を考え私がストッパーとなれるよう…同行するつもりで参りました」
「八百万くん!?」
「「八百万!」」
八百万が言うと飯田が驚き、切島と心操が声を上げる。
すると緑谷も飯田の目をまっすぐ見て言った。
「僕も…自分でもわからないんだ…手が届くと言われて…いてもたってもいられなくなって…救けたいと思っちゃうんだ」
緑谷が言うと、飯田は荒れた息を整えて俯く。
「………平行線か……」
すると飯田は、目を瞑ってため息をつくと再び目を開けて言った。
「…ならば…っ、俺も連れて行け」
「「「「!?」」」」
緑谷達6人は、爆豪を助けるべく病院を出発した。
すると飯田が、申し訳なさそうに緑谷に謝る。
「暴力を振るってしまった事…陳謝する。ごめん…」
「本当ですわ飯田さん。同行する理由に対し説得力が欠けてしまいます」
「大丈夫だよ、気にしてないから」
八百万が呆れ緑谷がフォローすると、飯田は眼鏡を上げながら言った。
「俺は…君達の行動に納得いかないからこそ同行する。少しでも戦闘の可能性を匂わせれば即座に引き戻すからな…! 言わば監視者…そうウォッチマン!」
「ウォッチマン飯田……」
飯田が言うと、轟がボソッと呟く。
すると八百万もキュロットのポケットを弄りながら言った。
「私もですわ。ウォッチマン八百万ですわ」
(お前もか)
八百万の発言に対し心操が心の中でツッコミを入れていると、八百万は受信デバイスを取り出しながら言った。
「これはプロの仕事。側から見ればあなた方が出張る必要性は一切ありません。しかしお気持ちがよくわかるからこその妥協案という事、お忘れなきよう」
八百万は、戦闘皆無の救出など現実的ではなく、緑谷達が冷静になれていない事を自覚していないと考えていた。
現場を見れば自分達の非現実的発想に気付くはずだと考えながら他の5人についていく。
◇◇◇
同時刻、
「〜♪ 〜♬」
零は、椅子に座っているひなたに対し、上機嫌で鼻唄を歌いながら化粧を施していた。
無言で椅子に座っているひなたは、黒いドレスを着させられていた。
零に化粧をされたひなたは全く抵抗せず、表情を変えたり声を発したりする事すらせずに目を伏せてぼんやりと一点を見つめていた。
「これで良しっと。昔からずっと夢だったんだよね。可愛い妹にオシャレさせてやるのがさ」
ひなたが目を伏せていると零がクイと指でひなたの顎を持ち上げて軽く上を向かせる。
小学生のような体型なのだが、黙っていれば人形のように美しい造形をしていた。
人工的に生み出されたとはいえ、相澤と山田の実子という事もあってかそれなりに整った顔立ちをしており、抵抗せずに目を伏せてぼんやりとしているせいか無表情だったがどこか色気のある顔をしていた。
零がひなたの顎から手を離すと、ひなたの顔は重力に従ってカクッと小さく落ち俯いた状態に戻った。
「可愛い妹ちゃんだな! 可愛くねーガキだぜ! 辛気臭え!」
「浮浪者らしくねぇ趣味だ事」
「気色悪りィ……」
「カァイイです。ひなたちゃん、カァイイねぇ。私、血の匂いがする人が好きです。お友達だねぇ」
トゥワイスが矛盾したリアクションをし、Mr.コンプレスと荼毘が零の意外すぎる趣味に引き、トガは上機嫌でキャッキャとはしゃいでいた。
すると死柄木があまりにも自由なメンバーを黙らせる。
「黙ってろ。スカウトの途中だ」
そう言って死柄木はひなたの隣で拘束されていた爆豪に声をかける。
爆豪は、催眠で意識が朦朧としているひなたとは違い正気を保っていたため拘束具で椅子に縛り付けられていた。
「早速だが…ヒーロー志望の爆豪勝己くん。俺の仲間にならないか?」
死柄木が言うと、爆豪は死柄木を睨み口角を吊り上がらせながら暴言を吐く。
彼が憧れたのはオールマイトで、
「寝言は寝て死ね」
◇◇◇
その後、6人は
すると八百万が行き先と到着時間を全員に伝える。
「いいですか? 発信機の示した座標は、神奈川県横浜市神野区。長野からの出発ですので約二時間…10時頃の到着です」
「あの…この出発とか詳細って皆に伝えてるの?」
緑谷が尋ねると、轟と切島が夕食を食べながら答える。
「ああ。言ったら余計止められたけどな」
切島が言うと、緑谷は爆豪に『来るな』と言われた事を思い出した。
心のどこかで、自分達が助けに行ったところで爆豪はそれを望んでいないのではないかと感じていたのだ。
すると、轟が緑谷、切島、心操の三人に尋ねる。
「一応聞いとく。俺達のやろうとしてる事は、誰からも認められねぇエゴって奴だ。引き返すならまだ間に合うぞ」
「迷うくらいならそもそも言わねえ! あいつらは
「ああ。困ってる人を助けるのがヒーローだろ。ひなたと爆豪が困ってる時に何も出来ないなんて、俺は嫌だ」
「僕は…」
切島と心操が答えると、緑谷も覚悟を決めて答えた。
「後戻りなんてできない」
6人を乗せた新幹線は、
合宿被害者
意識不明の重体…15名(A組:耳郎、葉隠 B組:回原、鎌切、黒色、小森、塩崎、宍田、角取、円場、取蔭、吹出、凡戸、骨抜、鱗)
重・軽傷者…12名(A組:蛙吹、麗日、障子、心操、常闇、轟、緑谷、八百万 B組:泡瀬、庄田、鉄哲、柳)
無傷…13名(A組:青山、芦戸、飯田、尾白、上鳴、切島、砂藤、瀬呂、峰田 B組:拳藤、口田、小大、物間)
行方不明…2名(A組:相澤、爆豪)
原作のマイク先生のいるだろ内通者発言は、本作ではひーちゃんが攫われた怒りで冷静さを失って口走った発言だという事にしております。
寮制になった事だしそろそろひーひーカップルをくっつけたいんだけどどこまで進展させてほしい?アンケートによって結果が決まります
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くっついた、はいおわり
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お部屋デートとかぬるいやつ
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A(軽め)
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A(ガッツリめ)
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B(直接的な描写ナシ 仄めかす程度)
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C(直接的な描写ナシ 仄めかす程度)