感謝感激雨霰。
念願の赤バーを維持し続けてるぞおおおおおお!!!
やったああああああああああああああああああ!!!
面白いと思っていただけましたら高評価(特に8・9・10あたり)お気に入り、感想等よろしくお願いします。
翌日、教室で相澤が今後の話をしていた。
「昨日話した通り、まずは仮免取得が当面の目標だ」
「「「「「はい!」」」」」
相澤が話すと、A組は一斉に返事をする。
「ヒーロー免許ってのは人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然取得する為の試験はとても厳しい。仮免といえど、その合格率は例年5割を切る」
「仮免でそんなきついのかよ!?」
相澤が話をすると、峰田が弱音を吐く。
すると相澤が指先で手招きをし、教室のドアが開く。
「そこで君らには1人最低でも2つ……必殺技を作ってもらう!!」
「「「「「「学校ぽくてそれでいてヒーローっぽいのキタァア!!!」」」」」」
扉の外からミッドナイト、エクトプラズム、セメントスが現れ、クラスのボルテージは最高潮に達していた。
「必殺! コレスナワチ必勝ノ型・技ノコトナリ!」
「その身に染みつかせた型・技は他の追随を許さない。戦闘とはいかに自分の得意を押し付けるか!」
「技は己を象徴とする! 今日日必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」
「詳しい話は実演を交え合理的に行いたい。コスチュームに着替え、体育館γに集合だ」
エクトプラズム、セメントス、ミッドナイトが言い相澤が指示すると、生徒達は全員体育館γに向かった。
◇◇◇
体育館γ通称……
「
(((TDLはマズそうだ!!)))
セメントスの説明に、A組のほとんど全員が心の中でツッコミを入れる。
だだっ広い体育館の中には目立ったものは何もなく、セメントスが床に手をつくと床が盛り上がった。
「ここは俺考案の施設。生徒一人一人に合わせた地形や物を用意できる。台所ってのはそういう意味だよ」
「なーる」
セメントスがセメントで“個性”訓練のフィールドを作っていくと、上鳴が納得する。
すると、飯田が手を挙げて質問した。
「質問をお許しください! 何故仮免許の取得に必殺技が必要なのか意図をお聞かせ願います!!」
飯田が質問すると、相澤が飯田を上手い事宥めながら説明する。
それを見ていたひなたは、『お父さんもあしらうの上手くなったな』と感心していた。
「順を追って話すよ。ヒーローとは事件・事故・天災・人災.あらゆるトラブルから人を救い出すのが仕事だ。仮免試験では当然その適正を見られる事になる。情報力・判断力・機動力・戦闘力・他にもコミュニケーション能力・魅力・統率力など、多くの適正を毎年違う試験内容で試される」
「その中でも戦闘力は、これからのヒーローにとって極めて重視される項目となります。備えあれば憂いなし! 技の有無は合否に大きく影響する」
相澤が言うと今度はミッドナイトが言い、セメントスもニィと笑みを深くしながら言った。
「状況に左右される事なく安定行動を取れれば、それは高い戦闘力を有している事になるんだよ」
「技ハ必ズシモ攻撃デアル必要ハ無イ。例エバ…飯田クンノレシプロバースト。一時的ナ超速移動、ソレ自体ガ脅威デアル為必殺技ト呼ブニ値スル」
「アレ必殺技でいいのか……!!」
ミッドナイトやセメントスに続けてエクトプラズムも言うと、飯田がじぃんと感動する。
すると飯田の隣にいた砂藤が口を開く。
「なる程…自分の中に『これさえやれば有利・勝てる』って型を作ろうって話か」
「そ! 先日活躍したシンリンカムイの『ウルシ鎖牢』なんか模範的な必殺技よ。わかりやすいよね。相手が何かする前に縛っちゃう」
砂藤の考察に対してミッドナイトが付け加えると、相澤が今後の方針を説明する。
「中断されてしまった合宿での『“個性”伸ばし』は…この必殺技を作り上げる為のプロセスだった。つまりこれから後期始業まで.残り十日あまりの夏休みは、“個性”を伸ばしつつ必殺技を編み出す、圧縮訓練となる!」
セメントスが地形を作り、エクトプラズムの“個性”で分身体を生成し準備が整う。
すると相澤が説明を続ける。
「尚、“個性”の伸びや技の性質に合わせて、コスチュームの改良も並行して考えていくように。プルスウルトラの精神で乗り越えろ。準備はいいか?」
「「「「ワクワクしてきたあ!!」」」」
相澤が言うと、A組はほとんど全員がノリノリで訓練に挑む。
◇◇◇
A組は、必殺技を編み出す為各々訓練に打ち込んでいた。
すると、扉の方から声が聞こえて来る。
「やってるねえ皆!」
「オールマイト…!?」
突然何の連絡もせずにオールマイトが顔を出してきたので、教師陣が驚く。
オールマイトは、まだ右腕が回復していないらしくギプスで右腕を固定していた。
「呼ばれてないけど今日は特に用事も無かったので来た」
オールマイトは、一瞬だけマッスルフォームになるとすぐにトゥルーフォームに戻った。
「いや養生してて下さいよ」
挨拶感覚でマッスルフォームに変身するオールマイトに、相澤がツッコミを入れる。
そしてミッドナイトも、心の中でツッコミを入れていた。
「オイオイつれないな。必殺技の授業だろ!? そんなの見たいに決まっているんだよ。私も教師なんでね」
オールマイトが直後、コンクリートの塔の上で大爆発が起こる。
爆豪がエクトプラズムの分身を爆破して粉々にしていたのだ。
「久々に暴れるとスッキリすらぁ。エクトプラズム!! 死んだ!! もう一体頼む!!」
「彼は凄いな」
「ええ。もっと強くなりますよアレは」
爆豪がエクトプラズムに向かって叫ぶと、オールマイトと相澤が感心する。
「爆豪くん張り切ってる!」
「あいつもう技のビジョン沢山あんだろうな」
「入学時から技名つけてたもんね」
いきなり張り切っている爆豪に、麗日、砂藤、葉隠が驚いていた。
既に必殺技が固まりつつある爆豪を見て、緑谷は少し焦り始めていた。
「オイラだってガキの頃から温めてる『グレープラッシュ』つう技あんぜ!」
「つーか誰でも一度は考えるだろ。俺、電撃ソードとか考えてた。それをこうやって実現できるってんだからテンションも上がるぜ」
峰田と上鳴は、自分の考えていた必殺技についてクラスメイトと語り合った。
一方で、ひたすら訓練に打ち込んでいる爆豪はというと。
「死ねェ! 『
爆豪は、左手を砲身代わりに右手から爆発を放って爆発の威力を一点集中させ、分厚いコンクリートの壁に穴を開けた。
一方でひなたも、新たな必殺技の練習をしていた。
『わ゛!!』
ひなたが叫ぶと、コンクリートの壁が粉々に砕け散る。
だがひなたは、それを見て不満そうな表情を浮かべていた。
「うーん、違う!」
「何が違うんだ?」
ひなたが不満そうな表情を浮かべていると、心操が尋ねる。
するとひなたは、片眉を上げながら言った。
「僕がやりたいのは、もっとこう、『穿つ』ようなイメージなんよ。周囲を巻き込まないようにしつつ相手を確実に一撃で倒すには、攻撃を一点に集中させるのがいいんじゃないかと思って! よーし、もう一回やるぞ!」
ひなたはそう言って気合を入れると、再び必殺技の習得に向けて切磋琢磨した。
するとそれを見ていたオールマイトが感心する。
「彼女も凄いな…相澤くん、彼女にどういった指導を?」
「俺は基礎を叩き込んだだけですよ。あいつが自分で先に進んでるんです」
オールマイトが尋ねると、相澤が目元を掻きながら答える。
「やぁ切島少年! 私がアドバイスして回るぞ!」
オールマイトは、次々と生徒達にアドバイスをして回っていた。
だが、相澤とひなたはオールマイトのズボンのポケットに入っていた『すごいバカでも先生になれる!』という本に気づいてしまった。
そしてひなたは、『元No. 1も教師としてはまだまだなんだね』と心の中でツッコミを入れる。
◇◇◇
そして訓練後、ひなた、飯田、麗日、心操の4人はコスチュームの改造をしにサポート科の工房に向かっていた。
「なる程、自身を浮かす方に注力するのか」
「うん! 機動力つければ職場体験で習った格闘術ももっと活きるし!」
飯田が麗日に話しかけると、麗日が答える。
するとそのやりとりを聞いていたひなたも、自分の話をする。
「僕はエンデヴァーみたいに足から噴射するやつ作ってもらおうと思ってる。いつまでも後ろ向きで叫んでるだけじゃカッコ悪いものね」
ひなたは、あらかじめ考えてきたサポートアイテムのイメージ図を見せながら言った。
そして麗日が飯田に尋ねる。
「飯田くんは?」
「俺はやはりレシプロのデメリットを軽減したい。開発工房でラジエーターの改良をお願いするつもりさ」
「ん。そういや天ちゃん、エンジンのマフラー変えた?」
「これは俺の家に代々伝わる修行法でね…」
「『柔軟剤変えた?』みたいなノリで言うんだな」
麗日と飯田が話していると、ひなたは飯田のエンジンのマフラーが新しくなっている事に気がつく。
ひなたがそれについて軽めのノリで尋ねると飯田が説明をし、心操がツッコミを入れる。
「ひー君はー?」
「俺もちょっと考えてる事があってさ。多分完成したやつ見たら驚くぜ」
「おー!」
4人が話しているとサポート科の工房が見え、扉の前に緑谷が立っているのを発見した。
すると麗日は早速緑谷の方へ駆けながら声をかける。
「あれ! デクくんだ! いないと思ったら! デクくんもコス改良!?」
「あ、麗日さ…」
話しかけながら走ってくる麗日に緑谷が反応した、その時だった。
BOMB!!!
「デッくん!!?」
突然工房のドアが吹き飛び、4人が目を丸くする。
扉の前には煙が充満し、煙の中から声が聞こえてくる。
「フフフ、いててて…」
すると更に部屋の中からパワーローダーが出てくる。
「ゲホッゲホッ…お前なァア…思いついたもの何でもかんでも組むんじゃないよ…!」
「フフフフフ、失敗は発明の母ですよ、パワーローダー先生。かのトーマス・エジソンが仰ってます。“作ったものが計画通りに機能しないからといってそれが無駄とは限らな…「今そういう話じゃないんだよォオ…! 一度でいいから話を聞きなさい…発目!!!」
爆発と共に飛び出してきた発目は、緑谷の上に乗っかっていた。
緑谷の身体に発目の巨乳が押し当てられているのを見た緑谷、ひなた、麗日は目を丸くして固まる。
(((おっぱいっ…!!)))
すると発目が立ち上がり、爆発と突然の非礼を詫びた。
「突然の爆発失礼しました!! お久し振りですね! ヒーロー科の…え━━…全員お名前忘れました」
「み…みどりりや、いずいずく…」
緑谷がドキドキしながら自己紹介していると、麗日は複雑そうな表情で緑谷を見ていた。
そして目の前で巨乳を見せつけられたひなたはというと、完全に
「不平等な現実のみが平等に与えられている」*1
「伏黒の名言を汚すな」
隣にいた心操は、ひなたの発言にツッコミを入れる。
そして散々自分を利用しておいて名前すら覚えていなかった事に憤りを感じた飯田が改めて自己紹介をする。
「飯田天哉だ! 体育祭トーナメントにて君が広告塔に利用した男だ!!」
「成る程!! では私、ベイビー開発で忙しいので!」
飯田が言うと、発目はそそくさと工房に戻っていった。
すると緑谷が発目を呼び止めようとする。
「あっ、ちょっ…あの…コスチューム改良の件でパワーローダー先生に相談があるんだけど…」
「コスチューム改良!? 興味あります!」
緑谷が言うと発目は急に食いつき、緑谷に詰め寄ってきた。
するとパワーローダーが発目を注意する。
「発目…寮生になって工場に入り浸るのはいいけど…これ以上荒らしっ放しのままだと出禁にするぞ…くけけ……イレイザーヘッドから聞いてる。必殺技に伴うコス変の件だろ、入りな」
パワーローダーに招かれ、5人は工房の中に入っていった。
工房の中は様々な機械や工具が並んでおり、本格的な研究施設のようだった。
「うわあ…秘密基地みたいだ」
男子にとっては憧れのメカだらけの部屋に、緑谷は思わず感嘆していた。
するとパワーローダーが5人に話しかける。
「じゃあコスチュームの説明書見せて。ケースに同封されてたのがあるでしょ。俺許可書持ってるから、それを見ていじれるとこはいじれるよ。小さい改良・修繕なら『こう変更しました』ってデザイン事務所に報告すれば手続きしといてくれるが、大きい改良となるとこちらで申請書作成してデザイン事務所に依頼する形になる。で、改良したコスチュームを国に審査してもらって許可が出たらこちらに戻ってくる。まァ…ウチと提携してる事務所は超一流だからだいたい3日後には戻ってくるよ」
パワーローダーが言うと、緑谷が尋ねる。
「あの…僕は腕の靭帯への負担を軽減できないかと思って、そういうのって可能ですか?」
「ああ、緑谷くんは拳や指で戦うスタイルだったね。そういう事ならちょっといじれば…すぐにでも可能だよ」
「やったねデクくん!」
「うん」
パワーローダーが言うと麗日と緑谷が喜ぶ。
するといきなり発目が緑谷に密着してベタベタ触ってきた。
「はいはい、なる程」
緑谷の身体を触る発目の巨乳が緑谷に当たっており、緑谷は顔を真っ赤にして固まっていた。
発育のいい女子に密着されるのは、年頃の男子にとっては悶絶ものだった。
するとそれを見ていたひなたがどこまでも暗く沈んだ瞳を向ける。
「もうこれで終わってもいい。だから、ありったけを…」*2
「僻みすぎてゴンさん化してんだけど…」
どんどん
そして麗日も、暗い表情を浮かべながら発目に尋ねる。
「は…発目さん、何を?」
「フフフ、体に触れているんですよ。はいはい…見た目よりがっしりしてますね。良いでしょう、そんなあなたには…とっておきのベイビー!! パワードスーツ!!」
発目は、緑谷の体格に合わせたASIMOのようなデザインのパワードスーツを持ってきて緑谷に着せた。
「あの…」
「筋肉の収縮を感知して動きを補助するハイテクっ子です! 第49子です! フフフフフ!!」
「僕、腕のサポートだけでいいんだけど…」
緑谷の発言を耳に入れずに発目は手元のスイッチを押す。
するとスーツが緑谷の動きを感知して勝手に動き出した。
「あ、凄い…勝手に動く…」
だがスーツが不具合を起こしたのか、腰の回転が止まらなかった。
「あれ…待って、止まんない。待っ…いだっ!! いだだだ腰がいだだだだ!!!」
「デッくん!?」
「どうやら可動域のプログラミングをミスったようです! ごめんなさい!」
緑谷が悲鳴を上げると、ひなたが目を丸くする。
すると発目が謝りながらスーツを止めて緑谷を解放した。
「腕のサポート頼んだのに胴を捩じ切られそうになるとは」
「これはこれで捕獲アイテムとして使えそうですね」
「いや使うなよ」
緑谷が腰を摩りながら訴えると発目が全く反省せずに発言するので、横にいた心操がツッコミを入れる。
それを見た飯田は、発目に変なアイテムを試されないようコッソリパワーローダーに頼んだ。
「脚部の冷却器を強化して頂きたいのですが…」
だが…
「そういう事なら!」
既に遅かった。
「このベイビー!! 発熱を極限にまで抑えたスーパークーラー電動ブースターです。第29子です、どっ可愛いでしょう!?」
発目は、飯田の両腕にブースターを装着した。
すると当然飯田がツッコミを入れる。
「いやブースターは要らないんだ、発目くん。しかも何故腕に…」
「ブースターオン」
「オイ!」
飯田がツッコミを入れるが、発目はお構いなしにブースターを起動させる。
すると勢いよくブースターが作動し、勢い余って飯田の身体が天井に叩きつけられる。
「…………」
「飯田くん!!」
「天ちゃん!!」
飯田が複雑そうな表情で下にいる発目を見ていると、緑谷とひなたが飯田を心配する。
またしても発目のオモチャにされた飯田は、猛烈に悔しがっていた。
「俺の“個性”は脚なんだが!?」
「フフフ知ってます。でもですねえ、私思うんですよ。脚を冷やしたいなら腕で走ればいいじゃないですか」
「何を言っとるんだ君はもう!!」
「ダメだ人語が通じねぇ…」
飯田の発言に対し発目が支離滅裂な返しをすると、飯田と心操がツッコミを入れる。
するとその時、緑谷が何かを閃き目を見開く。
「いい加減にするんだよ」
「暴力!」
パワーローダーが発目に拳骨を入れて叱ろうとすると、発目は綺麗にパワーローダーの拳骨を避けた。
発目に説教をし片付けするよう言ったパワーローダーは、巻き込んでしまった緑谷と飯田に謝る。
「すまんね、彼女は病的に自分本位なんだ」
「存じております」
「うん」
「This way…」
パワーローダーが謝ると、飯田、麗日、ひなたが暗い表情をして答える。
するとパワーローダーは、5人に語りかける。
「ただまァ、君らもヒーロー志望なら彼女との縁を大切にしておくべきだよ…きっとプロになってから世話になる。あの隅のゴミ山…あれ全部発目が入学してから作ったサポートアイテムさ。学校が休みの日もここへ来て何かしらいじってる。今まで多くのサポート科を見てきたけど、発目はやはり特異だ」
パワーローダーが指差した先には、大量の失敗作の山があった。
その数はどう考えてもたった4ヶ月で生み出した量ではなかった。
「入学してから…四ヶ月余りでこんなに」
「“常識とは18歳までに身に付けた偏見である”、アインシュタインの残した言葉だ。彼女は失敗を恐れず常に発想し試行している。イノベーションを起こす人間ってのは、既成概念に囚われない」
パワーローダーが言うと、緑谷の中で何かがピシッと壊れる音が聞こえる。
緑谷自身もまた、既成概念に囚われていたのだ。
そしてそれが壊れた今新しい必殺技が見えてきたのか、緑谷は明るい表情で飯田に話しかける。
「飯田くん!! ちょっと! 教えてもらえないかな!?」
「何か知らんが待ちたまえ。気付いてないかもしれんが、コスチュームの件が一つも進展していない」
「ああ、そっか!」
緑谷が飯田に頼もうとすると、飯田が緑谷を落ち着けてから返事をする。
すると麗日は明るい表情になった緑谷を見て楽しそうに話しかける。
「デクくん急に顔面が晴れたね」
「えっ、そっ、そうかな!? そういえば麗日さんはどこか改良するの?」
「私はもっと酔いを抑えたくて…「それならこれなんてどうでしょう!?」
緑谷が尋ねると麗日が答え、それを聞きつけた発目が早速アイテムを試そうとしてきた。
ひなたが苦笑いを浮かべながらそれを眺めていると、パワーローダーが声をかける。
「そういや相澤さんと心操くんはどこを直してほしいんだっけ」
パワーローダーが尋ねると、心操がひなたに話しかけて確認しようとする。
「あれでしょ、機動力上げるやつ…「胸囲を増やしてクダサイ!!」
「「は?」」
心操が言い切る前に、ひなたが食い気味に依頼をした。
いきなりひなたが真剣な表情で頼み込んできたので、二人ともポカンとしていた。
「例え筋肉でも構いません!! 胴が引きちぎれるのは覚悟の上です!! お願いします!! 僕にどうか胸囲を!!」
「いや趣旨変わってんだけど…」
ひなたが真剣に頼み込むと、心操がツッコミを入れる。
主に発目のせいでトラブルがありつつも、5人とも無事コスチュームの改造ができた。
◇◇◇
そして四日後。
「進捗どうだい? 相澤くん」
「また来たんですか……ボチボチですよ」
オールマイトが声をかけると、相澤が答える。
緑谷は、新しく作ってもらったサポーターの調子を確認していた。
すると峰田が話しかける。
「緑谷! コスチューム変えたのか!」
「うん! 腕の負担を減らしてくれるサポーターだよ」
「どうせなら全とっかえでイメチェンすりゃいいのに! 地味目だしよ」
「いいんだ、ベースはなるべく…崩さない」
緑谷のコスチュームは、元は母親が手作りしてくれたものだった。
ヒーローの夢を応援してわざわざコスチュームを作ってくれた母親の期待に応える為にも、ベースは崩さないと決めていたのだ。
一方常闇は、既に必殺技を編み出していた。
「纏え、
「アイヨ!」
常闇が言うと、
「
「言いづらくない? 技名は言いやすさも大事よ」
「アイヨ!」
ミッドナイトがアドバイスすると、常闇が頷き
相澤は、訓練に励む生徒達を見て言った。
「ようやくスタイルを定め始めた者もいれば、既に複数の技を習得しようとしている者もいます」
相澤がそう言ったその時、爆豪が最近編み出した技の練習を始めた。
「『
爆豪は、左手を砲身代わりに右手から爆発を放って爆発の威力を一点集中させ、分厚いコンクリートの壁に穴を開けた。
「爆豪少年は相変わらずセンスが突出している…」
すると、爆豪が穴を開けたコンクリートの壁が崩れてオールマイトの頭上へ落ちる。
「あ、オイ上!!」
「馬っ……」
相澤は、オールマイトを助けようと捕縛布に手をかける。
だが、その直後緑谷が落ちてきた瓦礫を蹴り砕いた。
緑谷は、腕に爆弾を抱えた分これからは足技メインで戦う事にしたのだ。
「正解だ」
それを見たオールマイトは、嬉しそうに頷いた。
「大丈夫でしたか!? オールマイト!」
「あぁ!!」
するとそこへひなた、上鳴、切島、心操の4人が駆け寄ってくる。
「わぁ! すごいやデッくん!」
「何緑谷! サラッとすげぇ破壊力出したな!」
「おめーパンチャーだと思ってた」
「キックに変えたのか」
4人が緑谷に話しかけると、緑谷が答える。
「相澤さん、上鳴くん、切島くん、心操くん。破壊力は発明さん考案のこのソールのお陰だよ。飯田くんに体の使い方を教わってスタイルを変えたんだ。方向性が決まっただけでまだ付け焼き刃だし、必殺技と呼べるものでもないんだけど…」
「いいや! 多分付け焼き刃以上の効果があるよ。こと仮免試験ではね」
緑谷の発言に対しオールマイトが言うと、相澤がオールマイトに注意する。
「オールマイト、危ないんであまり近寄らないように」
「いや失敬! 爆豪少年! すまなかった!」
「ケッ、気ぃつけろやオールマイトォ!!」
オールマイトが爆豪に声をかけると、爆豪は爆発を起こしながら逆ギレする。
オールマイトは、皆を守っていた自分が守られる側になってしまった事を実感していた。
すると緑谷は、四人の改良版コスチュームに気がついて声をかける。
「それより…! 皆もコスチューム改良したんだね!」
「あ!? 気付いちゃった!? お気づき!?」
「ニュースタイルは何もおめーだけじゃねえぜ!」
上鳴はサングラスと両腕のサポートアイテム、切島は顔のフレームとアームカバーを新たに装備していた。
そしてひなたも、バングル型のサポートアイテムと靴型のサポートアイテムを装備していた。
「僕もね、靴改良して貰ったんだ! あとね、前使ってた捕縛武器は訓練でボロボロになっちゃったし、機動力云々の意味でもこれを機に変える事にしたの。これね、I・アイランドから帰る時に新しいのをメリッサさんに作って貰ったんだよ!」
「メリッサさんの作品…!」
緑谷は、早速メリッサの作品がひなたのヒーロー活動に役立っている事を知ってメリッサに対し尊敬の念を抱く。
すると上鳴がひなたの首に巻いてある布を指差した。
「あれ? じゃあその首に巻いてあるのは? 相澤先生の捕縛武器じゃねぇの?」
「ああ、違う違う。これは首の保護用フレーム。僕の“個性”、喉潰しされると使えなくなっちゃうからさ。やっぱり原型は崩したくないから、お父さんの捕縛武器みたいな見た目で作れないかってお願いしてみたの。あのね、このプニプニしてる骨組みに秘密があって…」
ひなたは、そう言って自分の首の布を触って説明する。
首の布は前の炭素繊維と特殊合金で作られた布とは違い、軽くて触るとブヨブヨしていた。
そして、隣にいた心操を指して心操の新装備も説明しようとする。
「あ、そうそう! ひー君のニュースタイルね、クソ強いの!」
「やめてよ恥ずかしい…」
ひなたが言うと、心操が首を手で押さえる。
心操は、サポートアイテムと思われるマスクを装着していた。
「俺ら以外もちょこちょこ改良してる。気ぃ抜いてらんねぇぞ」
「だがな、この俺のスタイルチェンジは群を抜く! 度肝ブチ抜かれっぞ見るか!? いいよ!? すごいよマジで!!」
「そこまでだA組!!!」
切島と上鳴も話していると、突然ブラドキングの声が鳴り響く。
「今日は午後から我々がここを使わせて貰う予定だ!」
「B組」
「タイミング!」
ブラドキングが突然割り込んでくると、緑谷が驚き上鳴がツッコミを入れる。
「イレイザー、さっさと退くがいい」
「まだ10分弱ある。時間の使い方がなってないな」
ブラドキングが相澤に言い放つと、相澤は嫌味を言って突っぱねる。
すると、物間がストレートに感情をぶつけてくる。
「ねえ知ってる!? 仮免試験って半数が落ちるんだって! A組全員落ちてよ!!」
「どストレート! モノマーあーたひどいねえ!!」
物間がストレートにA組へ落ちるよう言うと、ひなたは目を丸くしてツッコミを入れる。
「つか物間のコスチュームアレなの?」
「まあ予想の範疇を出ないけど…普通さ、何か機能とかあるもんじゃないの?」
「『“コピー”だから変に気を衒う必要は無いのさ』って言ってた」
「衒ってねえつもりか」
「まあ人の事言えないけどさ…」
上鳴とひなたが尋ねると拳藤が説明し、上鳴と心操がツッコミを入れる。
すると常闇が
「しかし…もっともだ。同じ試験である以上、俺達は蠱毒…潰し合う運命にある」
「だから、A組とB組は別会場で申し込みしてあるぞ」
相澤が言うと、物間が見るからにポカンとする。
「ヒーロー資格試験は毎年6月・9月に全国三ヶ所で一律に行われる。同校生徒での潰し合いを避けるため、どの学校でも時期や場所を分けて受験させるのがセオリーになってる」
ブラドキングが言うと、物間はホッとため息を漏らした。
「直接手を下せないのが残念だ!!」
「ホッつったな」
「言ったねぇ」
「病名ある精神状態なんじゃないかな」
物間がA組と戦う事にならずに済んだ事を安心しつつも減らず口を叩くと、切島、ひなた、上鳴の三人がツッコミを入れる。
そんな中、瀬呂と緑谷は焦っていた。
「“どの学校でも”…………そうだよな。フツーにスルーしてたけど、他校と合格を奪い合うんだ」
「しかも僕らは通常の習得過程を前倒ししてる…」
「1年の時点で仮免を取るのは全国でも少数派だ。つまり、君達より訓練期間の長い者、未知の“個性”を持ち洗練してきた者が集うわけだ。試験内容は不明だが、明確な逆境である事は間違いない。意識しすぎるのも良くないが忘れないようにな」
◇◇◇
そして訓練が終わり、女子達は寮の談話スペースで駄弁っていた。
「フヘェェェ毎日大変だぁ…!」
「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」
「あと一週間もないですわ」
芦戸と葉隠がダラけていると、八百万が注意した。
すると葉隠が尋ねる。
「ヤオモモは必殺技どう?」
「うーん、やりたい事はあるのですがまだ身体が追いつかないので、少しでも“個性”を伸ばしておく必要がありますわ」
八百万が答えると、葉隠は蛙吹にも尋ねる。
「梅雨ちゃんは?」
「私はより蛙らしい技が完成しつつあるわ。きっと透ちゃんもビックリよ」
蛙吹が答えると、葉隠が今度はひなたに尋ねる。
「ひなたちゃんは?」
「1つ完成してて、もう一つを編み出そうとしてるとこ」
「すごいねぇ!! え、どんなの!?」
「えへへ、ひみつー」
ひなたは既に必殺技が一つ完成しており、もう一つを練習しているところだった。
葉隠が気になって尋ねると、ひなたはニンマリと笑ってはぐらかす。
「お茶子ちゃんは?」
蛙吹が尋ねるが、麗日はボーっとしていて答えなかった。
「お茶子ちゃん?」
「うひゃん!!」
蛙吹が麗日を突くと、麗日は盛大に飲み物を吹いた。
「お疲れのようね」
「いやいやいや!! 疲れてなんかいられへん、まだまだこっから! ……の筈なんだけど、何だろうねえ。最近無駄に心がざわつくんが多くてねえ」
「恋だ」
「ギョ」
芦戸が図星をさすと、麗日は顔を真っ赤にして滝のような汗をかき出す。
そして麗日は、謎の手の動きをしながら必死に否定した。
「な、何!? 故意!? 知らん知らん!」
「緑谷か飯田!? 一緒にいる事多いよねえ!」
「チャウワチャウワ」
主に芦戸と葉隠が問い詰めると、麗日は動揺のあまり身体を宙に浮かせた。
「浮いた」
「誰ー!? どっち!? 誰なのー!?」
「ゲロっちまいな? 自白した方が罪軽くなるんだよ」
「罪ではないよね」
葉隠と芦戸がキャーキャーはしゃぐと、ひなたは苦笑いを浮かべながら芦戸にツッコミを入れる。
「違うよ本当に! 私そういうの本当…わからんし…」
麗日は、空中に浮きながら必死に否定していた。
すると、蛙吹とひなたと八百万が麗日に助け舟を出した。
「無理に詮索するのは良くないわ」
「そうだよ。みなっちととおるんが思ってるよりそういうのデリケートな人って多いんだよ」
「ええ、それより明日も早いですし、もうお休みしましょう」
「ええ━━!! やだ!! もっと聞きたいー!! 何でもない話でも強引に恋愛に結び付けたい━━!!!」
「やめなさい」
八百万が注意をしても芦戸が食い下がるので、ひなたが珍しく真顔で注意する。
「そんなんじゃ…」
麗日は、外で特訓をしている緑谷を見つけてさらに顔を赤くする。
そして訓練の日々はあっという間に過ぎていき、いよいよ仮免試験当日を迎えるのだった。
もっとひーひーカップルのイチャイチャを書いてほしいとのお声を頂いたので、R18バージョンの執筆を検討しております。R18バージョンいる?いる派が過半数なら書きます
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要る
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要らない