感謝感激雨霰。
念願の赤バーを維持し続けてるぞおおおおおお!!!
やったああああああああああああああああああ!!!
面白いと思っていただけましたら高評価(特に8・9・10あたり)お気に入り、感想等よろしくお願いします。
※二点ほどお詫びがございます。
・投稿が遅れ誠に申し訳ございません。
・今回は後半がR18とはではいきませんが微エロです。
苦手な方はブラウザバック推奨。
仮免試験の二次試験が終わり、生徒全員が着替え終わって再び試験会場に集まった。
「どうかなぁ…」
「やれる事はやったけど…どう見てたのかわかんないし…」
「こういう時間いっちばんヤダ」
「人事を尽くしたならきっと大丈夫ですわ」
そして、ついに合否発表が始まった。
『皆さん長いことお疲れ様でした。これより発表を行いますが…その前に一言。採点形式についてです…我々ヒーロー公安委員会とHUCの皆さんによる二重の減点方式であなた方を見させてもらいました。つまり危機的状況の中でどれだけ間違いのない行動を取れたか審査しています。とりあえず合格点の方は五十音順で名前が載ってます。今の言葉を踏まえた上でご確認ください…』
目良がモニターを指し示すと、モニターに合格者の名前が書かれた表が表示される。
ひなたも自分の名前を探し始める。
竜崎と一瞬とはいえ喧嘩をしてしまったため合格は絶望的だろうと思っていた。
ひなたが恐る恐るモニターの左上に目を向けると、一番左上に『相澤ひなた』と書かれているのを発見した。
「あ……あったぁ………」
「良かったな」
「うん…ひー君は?」
「俺もちゃんと名前あったよ」
ひなたが胸を撫で下ろしていると、心操が声をかける。
心操も合格していたので、ひなたはひとまず安心する。
そしてひなたは、ふとモニターの右下に目を向ける。
モニターには竜崎の名前が無かった。
「あ………」
「…はっは、そりゃあ無えわな」
ひなたは、竜崎の方を見る。
竜崎は、自分が受かるわけがないと思っていたのか頭を掻いてふいとモニターから目を背けていた。
ひなたは、そんな竜崎に対し心配そうな目を向けていた。
「結構受かってるな!!」
「あ! 私あったぁ、やったぁ!!」
「ばっ!!!」
他の受験生が自分の名前を探している中、爆豪も血眼で自分の名前を探していた。
「み、み…み…み…」
「みみみみみみみみみみ」
「こ、怖い…」
緑谷と峰田が血眼で自分の名前を探していると、横からひなたがツッコミを入れる。
すると、自分の名前を見つけた緑谷と峰田は喜んでいた。
「!!」
「峰田実! あったぜ!」
一方、夜嵐も自分の名前を探していたが…
「よ…夜嵐…! よ…!!」
合格者は、『ゆ』が最後だった。
「…ゆが最後……………やっぱ…無いか」
夜嵐は、合格者の表に名前が無かった。
一方、A組は次々と自分の名前を見つけていく。
「あったぁ…」
「あるぞ!!」
「よし…」
「コエー」
「麗日ァ!!」
「フッ」
「良かった…」
「メルスィ!」
「あったぜ!」
「わー!!」
「点滴穿石ですわ」
「ケロッ」
「やったー!」
「っしぇーい!!」
「あった…けど」
自分の名前を見つけた切島だが、横にいた爆豪を見ると信じられないといった表情をしていた。
「ねえ!!」
轟も自分の名前が無かった。
すると夜嵐が轟に歩み寄る。
「轟!!」
夜嵐は、轟の前に立つといきなり頭を下げて地面に頭を叩きつけてきた。
「ごめん!! あんたが合格逃したのは俺のせいだ!! 俺の心の狭さの!! ごめん!!」
「元々俺が蒔いた種だし…よせよ。お前が直球でぶつけてきて、気付けた事もあるから」
轟も自分の過ちを自覚しているのか夜嵐に頭を上げるよう言った。
轟と爆豪が落ちた事で、A組は騒然としていた。
「轟……落ちたの?」
「うちのトップ3が二人落ちんのかよ」
「焦ちゃん……」
芦戸と瀬呂とひなたは轟を心配し、上鳴はギリギリと歯軋りしている爆豪に声をかけた。
「ま、まあ、そういう事もあるって。切り替えようぜ? な?」
「………」
「すげえ顔」
すると、二人が落ちた事で峰田が調子に乗ってニヤニヤした。
「両者ともトップクラスであるが故に、自分本位な部分が仇となったわけである。ヒエラルキー崩れたり!」
「そういうの良くないと思うよ峰田」
「うん」
峰田が調子に乗っていると、心操とひなたが窘める。
「「轟くん…」」
「轟さん…」
飯田、緑谷、八百万の三人も轟を心配していた。
『えー、全員ご確認頂けたでしょうか? 続きましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記載されてますので、しっかり目を通しておいて下さい』
「切島くん」
「あざっス!」
「寄越せや…」
「そういうんじゃねぇからコレ…」
切島がプリントを貰っている時に爆豪が睨むと、切島は若干呆れた。
「上鳴見してー」
「ちょ、待てまだ俺見てない」
『ボーダーラインは50点、減点方式で採点しております。どの行動が何点引かれたか等、下記にズラーっと並んでます』
「61点、ギリギリ」
「俺84!! 見て凄くね!? 地味に優秀なのよね俺って」
「待ってヤオモモ94点!!」
尾白はボーダーラインギリギリで、瀬呂は案外高得点で、八百万は何と90点越えだった。
ひなたと心操も、自分達の点数を確認する。
するとひなたは心操の点数を見て目を丸くする。
「ひー君は何点だ…うわ95点!? マジかよ凄っ!!?」
「まぐれだよ。たまたま“個性”と試験内容が相性良かっただけ」
「それにしたって!! さっすがひー君!!」
心操がクラスで一番の超高得点だったため、ひなたはバシバシ肩を叩いて褒めちぎっていた。
心操は、ひなたが肩を叩くので痛がりつつもひなたの点数を尋ねる。
「痛い痛い、ひなたは?」
「………50点。ホントボーダーギリギリ。己の未熟さを痛感してます」
ひなたは、頭を掻いて笑いながら答える。
幸い救助活動が完璧だったためボーダーを切る事はなかったが、竜崎と喧嘩をしてしまったせいで大幅減点を喰らっていた。
一方竜崎も、自分の結果を見てそれを真摯に受け止めていた。
「ははっ、24点……ま、そりゃそうだわな」
竜崎の点数は、24点と合格点を大きく下回る点数だった。
特に大きく減点されたのは自分の方から喧嘩を吹っかけた分がマイナス40点、他のヒーローの応援を呼ぶ判断をせずに一人で突っ込んでいったのがマイナス25点といったところだった。
その他にも行動の粗で何点か減点されており、不合格は当然の結果だった。
一方飯田と緑谷も、自分達の点数を確認する。
「飯田くんどうだった?」
「80点だ。全体的に応用が利かないといった感じだったな。緑谷くんは?」
「僕71点。行動自体ってより行動する前の挙動とか足止まったりする所で減点されてる」
「こうして至らなかった点を補足してくれているのはありがたいな!」
「うん…!」
緑谷は、挽回ができない減点方式にもかかわらず50点を切った不合格者を最後まで演習に参加させたシステムに疑問を抱いていた。
すると、目良が説明を続ける。
『合格された皆さんはこれから緊急時に限りヒーローと同等の権利を行使出来る立場となります…すなわち
目良の言葉に、一次試験で『爆豪をはじめとしたA組の態度が気に入らない』と言って爆豪、上鳴、切島の三人を落とそうとした士傑高校の生徒の言葉を思い出した上鳴は納得していた。
『皆さんご存知の通りオールマイトという偉大なヒーローが力尽きました。彼の存在は犯罪の抑制になる程大きなモノでした。心のブレーキが消え去り増長する者はこれから必ず現れる。均衡が崩れ世の中が大きく変化していく中、いずれ皆さん若者が社会の中心となっていきます。次は皆さんがヒーローとして規範となり抑制できるような存在とならねばなりません。今回はあくまで仮のヒーロー活動認可資格免許、半人前程度に考え各々の学舎で更なる精進に励んで頂きたい!!』
ひなたは、目良の言葉を真摯に受け止める。
今回は審査員の温情でギリギリ合格できたが、50点も減点されている時点で至らなかった点だらけなのだ。
その点は今後直していかなければならないと反省していた。
『そして…えー、不合格となってしまった方々。点数が満たなかったからとしょげてる場合じゃありません。君達にもまだチャンスは残っています。三ヶ月の特別講習を受講の後、個別のテストで成績を出せば君達にも仮免許を発行するつもりです』
「「「!?」」」
『今私が述べたこれからに対応するには、より質の高いヒーローがなるべく多く欲しい。一次はいわゆる落とす試験でしたが、選んだ100名はなるべく育てていきたいのです。そういうわけで全員を最後まで見ました。結果決して見込みがないわけではなく、むしろ至らぬ点を修正すれば合格者以上の実力者になる者ばかりです。学業との並行でかなり忙しくなるとは思います。次回4月の試験で再挑戦しても構いませんが─────…』
「当然!」
「お願いします!!」
爆豪、轟、夜嵐、竜崎の四人は、当然講習を受ける決断をした。
すると、クラスメイト達が轟に駆け寄る。
「良かったね轟くん!!」
「やめとけよ、な? 取らんでいいよ、楽に行こ? ヒエラルキー…」
峰田が止めようとすると、飯田が峰田の顔を逸らして黙らせる。
すると轟がクラスメイト達に対して一言呟く。
「すぐ……追いつく」
そしてひなたは、落ちてしまった竜崎の方へと駆け寄っていく。
「カイリくん」
「ん?」
「その…ごめんね。僕が変な事言ったせいで…」
「いいよ、喧嘩ふっかけたのは俺の方だし。俺の方こそごめん、俺とのいざこざのせいで点数低かっただろ?」
「あはは…」
竜崎がひなたの点数を見ながら言うと、ひなたは苦笑いを浮かべる。
「それに、お前のおかげで俺は試験に受かるよりもっと大事な事に気付けた。あとはただ目標に向かって全力で突き進むだけだ」
竜崎は、そう言ってヒラヒラと手を振って去っていった。
こうして仮免試験が終了し、一歩ヒーローへと近づいた。
◇◇◇
「はぁぁ…」
ひなたは、自分の仮免を見て一息ついていた。
すると後ろから相澤が現れひなたの仮免をヒョイと取り上げた。
「あっ、ちょ!?」
ひなたは何とか自分の仮免を取り返そうと手を伸ばしてピョンピョン跳ねるが、身長180cm以上の男から奪い返せるわけもなくぐぬぬと唸っていた。
相澤は、ひなたにジト目を向けながら話し始める。
「言われなくてもわかってると思うが、今回点数が低かったのは不合格の轟と爆豪、それから3番目がギリギリ合格のお前だ」
「う………」
相澤が言うと、ひなたは萎縮してしまう。
すると相澤は、ひなたにヘッドロックをしながら問い詰める。
「何だあのザマは。試験中に喧嘩とは、随分と元気が宜しいようで。俺はあいつにだけは関わるなって言ったよな?」
「いだだだだだだ!!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! しぬ!! しぬ!! お父さん!! お父様!! お父上様!! どうかご容赦を!!」
相澤のヘッドロックと説教を喰らったひなたは、泣きながら相澤に許しを乞いていた。
それを見ていた心操は、思わず青ざめる。
彼もまた相澤のスパルタ指導の犠牲者なので当然の如く洗礼を受けていたのだ。
「…ただまあ、褒めるところが無かったわけじゃない。イナズマが現れた後こそ酷かったが、それまで1点も減点されなかったのはお前だけだったそうだ。アレが無きゃ、十分満点を狙えていた」
「!」
「あれだけの失態をやらかしておいて減点が50点で済んだのも、それを鑑みての温情だろう」
「………」
相澤が言うと、ひなたは僅かに目を見開く。
すると相澤は、さらに続けて言った。
「それに、今回の失敗を機に竜崎との関係を修復できたのなら何よりだ。お前の行動はヒーローとしては不正解だったが、アレをきっかけにお前は奴との溝を埋められたわけだ。あまり落ち込むな」
「………お、お父さん…!」
相澤がひなたの頭をワシャワシャ撫でながら言うと、ひなたはじぃんと感動して目をうるうるさせる。
すると相澤はひなたの頭をガシッと鷲掴みにする。
「落ち込んでる場合じゃないと言ってるんだ。今回遅れを取った分、死ぬ気で取り戻せ!」
「イエッサァ!!」
相澤が言うと、ひなたはビシッと敬礼をして元気良く返事をする。
相澤の鬼教官のようなノリに、他のA組は震え上がっていた。
するとMs.ジョークが相澤に声をかける。
「イレイザー、せっかくの機会だし今後合同の練習でもやれないかな」
「ああ…それ、いいかもな」
「え、やった!」
相澤とMs.ジョークが話していると、夜嵐が大声を張り上げながら竜崎と一緒に走ってくる。
「おーい!!」
「あら士傑まで」
夜嵐の声に蛙吹が反応する。
竜崎は、ひなたの前に立つといきなり頭を下げて頭の前でパンッと手を合わせる。
「ごめん!! そういや俺、お前の漫画借りパクしてたわ! また今度返す!!」
「え…ああ、いや…別にいいよ。あれ貸す用だったし」
「あと色々ごめん!! ホッペ叩いたり、ホッペしつこくプニプニしたり、お前が読んでた漫画に米粒ひっつけて読めなくしたり、お前の部屋のカーペットにファンタこぼしたり、ちょっとしたイタズラでお前が飲んでた豊胸サプリを全部粉末ゼラチンと入れ替えたり…本当色々ごめん!!」
「クソ真面目か!! いいよ! もう気にしてないから! …最後以外!」
竜崎が過去にやらかした事を謝ると、ひなたは両手を横に振って否定する。
すると竜崎が左手で頭を掻きながら右手を差し出す。
「ホントごめん…今更だけど、また友達になってくれませんか。えっと……相澤さん」
「ざわっぴでいいよ。呼ばれてるうちに気に入っちゃった。それにね、君がくれたこのヘアピン、今でも大切にしてるんだよ。僕は、これまでもこれからも、ずっと君の友達だよ。だから昔みたいにざわっぴって呼んでくれないかな。僕もカイリくんって呼ぶから」
「…わかったよ、ざわっぴ」
竜崎が余所余所しく手を差し出すと、ひなたはニコッと笑って手を差し出し返した。
すると竜崎は、微笑みながらひなたの手を握る。
そして夜嵐は、轟に話しかける。
「轟!! また講習で会うな!! けどな! 正直まだ好かん!! 先に謝っとく!! ごめん!!」
夜嵐は、それだけ言い残すと走り去っていった。
「どんな気遣いだよ」
「こっちも善処する」
「……すィ☆彼は──大胆というか繊細というか…どっちも持ってる人なんだね☆」
そして竜崎も、夜嵐についていく形でひなたの前から去って行こうとする。
するとひなたが後ろから呼び止めた。
「カイリくん!!」
ひなたの声に竜崎が振り向くと、ひなたが笑みを浮かべて両手で拳を作りながら言った。
「頑張ろうね!!」
「…ああ。見てろ。絶対仮免取って、お前よりも立派なヒーローになってやる」
ひなたが言うと、竜崎もフッと笑みを浮かべて言い残しそのまま去っていった。
ひなたは、去っていく竜崎の背中に向かって手を振った。
◇◇◇
その後、A組は全員寮に戻った。
「明日から普通の授業だねえ!」
「何やるんだろうねぇ。授業もハイペースになるだろうし予習進めとかなきゃ」
「勉強の話はやめろひなちゃん!!」
「チョコチョーダイ」
「色々ありすぎたな」
「一生忘れられない夏休みだった…」
仮免試験を終えたA組の生徒達は、談話スペースで話し合っていた。
ひなたもそこに混じって談笑していた。
すると、後ろから心操が声をかける。
「ひなた、ちょっといいか」
「あ…うん」
心操が声をかけると、ひなたは触角をピンと立てて振り向く。
ひなたは、心操に招かれて一緒に心操の部屋に向かった。
◇◇◇
心操の部屋に呼ばれたひなたは、ちょこんとベッドの上に座って尋ねる。
「あの…話って何かな」
「…仮免試験の時、何かあった? 何か随分表情が違うけど…」
「うん! あのね、ずっと疎遠だった友達と1年半ぶりに仲直りできたの。試験はギリギリ合格だったけど、カイリくんと仲直りできただけでも十分収穫はあったと思う」
「そっか、良かったね」
心操が尋ねると、ひなたは触角をピコピコさせて喜びながら話す。
そんなひなたを見て、心操は安心したような表情を浮かべた。
するとひなたがコテンと首を傾げて尋ねる。
「えっと、それを聞く為だけに?」
「いや…あのさ。仮免試験に無事二人共受かったら伝えようと思ってたんだけど…俺、やっぱりお前の事……」
心操が話そうとすると、ひなたは心操の手に自分の手を置いて首を横に振る。
「…すごく嬉しい。でもごめん。僕は……」
「友達としてしか見れない、か?」
「…好きだよ」
ひなたは、顔を真っ赤にして両手を握り締めるとずっと押さえてきた気持ちを正直に打ち明けた。
「好き、好き好き好き好き好き!! 忘れようとしたけどやっぱり無理だった!! 僕だってひー君の事、ずっと好きだったよ!! …でも、ダメなの! 僕は、“個性”を壊す為だけに
「うん」
「君が引くような事、いっぱいしてきたし…人殺しも、いっぱいしたし……」
「うん」
「バカだからひー君にいっぱい迷惑かけるし…」
「うん」
「ひっ…貧乳だし……」
「…うん」
「だから…ひー君の事、幸せにできる自信がない。一緒にヒーローになる約束はしたよ。僕もひー君と一緒にヒーローになりたいし、そうするつもり。でも、付き合うとかそういうのは…ごめん、無理」
ひなたは、じわ、と滲む涙を抑えながら言った。
自分でも最低だとわかっていた。
だが、同じ目標を持つ親友になる事と恋人になる事とは全くの別物だった。
万が一自分の過去が暴かれたら恋人にまで火の粉が降りかかってしまうのではないか、あまりにも違い過ぎる境遇のせいでいずれ軋轢が生じてしまうのではないか、そのせいで恋人を不幸にしてしまうのではないか、それがずっと怖かった。
そのため、恋愛に無頓着なフリをし女っ気のない言動で常に色恋を遠ざけてきたのだ。
そしてこれからもずっとそうするつもりでいた。
「…怖いんだ。何か、大事なものを壊してしまいそうで…僕なんかじゃ、ひー君の邪魔になっちゃうっ」
「ひなた…」
「神野の時だってそうだよ…! 僕が敵に操られて攫われて、ずっと一人で抱え込んでうじうじしてたせいで、大勢の人が死んで、オールマイトだって力を失って…っ!! 僕が平和の象徴を終わらせたも同然なんだよ…!」
「それはお前のせいじゃ…「僕は!」
心操がひなたの言葉を否定しようとすると、ひなたは俯いたまま叫んだ。
ひなたの目からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
ひなたはずっと、心のどこかで神野の事を引きずっていた。
クラスメイトを心配させないよう、楽しい日常を壊さないように気丈に振る舞っていたが、本当はずっと『平和の象徴を終わらせた張本人』という呪いが心の奥底に巣食って離れなかった。
神野の悲劇の引き金を引き、オールマイトを終わらせた張本人と一緒にいたら、心操は幸せになれないに決まっている、ひなたはそう思い込んでいた。
「君の事が、誰よりも、何よりも好きだから…っ、君の幸せ
ひなたが涙を流しながら言ったその時、その先の言葉を遮るかのように柔らかい何かがそっと唇に触れた。
その時の衝撃は表しようがなかった。
生まれて初めての感覚だった。
ちゅ、と小さな音がして、ようやく何をされたのか気がついたひなたは目を白黒させみるみる顔を赤くしていく。
心操がひなたにキスをしてきたのだ。
「っ!!? い、いきなり何を…」
いきなり唇を奪われたひなたは、軽く指先で唇に触れながら、首元まで真っ赤にして狼狽えていた。
すると心操は、ひなたを優しく抱き寄せる。
「逆だよ、ひなた。俺がお前を幸せにしたいんだ」
「…え」
「お前は余計な事なんか考えなくていい。俺は、他の誰でもない、お前に救われたんだ。俺になら操られてもいいって言ってくれた、お前を好きになったんだ。何があってもそれは変わらないよ。お前が俺と一緒にヒーローになるって約束してくれた、俺はそれだけで十分なの」
心操が言うと、ひなたはみるみる目を見開いていく。
少し戸惑っているひなたに対し、心操はハッキリと自分の想いを伝えた。
「俺の方こそ至らない事だらけだけど、それでもお前を幸せにしたい。相澤ひなたさん、俺と付き合ってください」
心操が想いを伝えると、ひなたは目からポロポロと涙を溢れさせる。
ひなたは、泣いて肩を震わせながら言った。
「…ダメだよ、僕なんかじゃ」
「お前じゃなきゃ嫌だ」
ひなたが首を横に振ると、心操はひなたの手を両手で掴み、目を見てハッキリと伝えた。
するとひなたは、涙を拭いながら口を開く。
「ずるいよ…そんなの…諦めなきゃいけないって思ってたのに…ひー君にだけは幸せになってもらいたいから、この想いは忘れようと思ってたのに…そんな事言われたら、好きになるしかないじゃん…しかもあんな…っ、僕、ファーストキスだったんだよ?」
「ごめん」
ひなたが顔を真っ赤にしながら言うと、心操は少し顔を赤らめながら謝った。
ひなたに対する想いが迸るあまり、付き合ってもいないのに勢いでキスしてしまった事を反省しつつも、うぶな反応をするひなたを愛おしく思っていた。
ひなたは、深呼吸をしてバクバクと鳴る胸の鼓動を落ち着かせてから、面と向かって心操に自分の想いを伝える。
「じゃあ改めて…心操人使くん。まず、僕の気持ちを聞いてください。僕は、ずっと前から君の事が好きでした。何度も僕を助けてくれて、僕の事をいつも気にかけてくれていて、僕の素性を知っても拒絶しないでいてくれて…こんな僕と一緒にヒーローになるって約束してくれた、君の優しさに惹かれました。君がずっと僕を想ってくれていた事、嬉しかったです」
「じゃあ……」
「僕、男の人と付き合った事ないから、こういう時、どういう顔したらいいのかわかんなくて…わかんない事だらけで、これから先いろいろ迷惑かけちゃうかもしれないけど…こちらこそ、よろしくお願いします…」
ひなたは、目に涙を浮かべながらも、心操からの告白の返事をした。
すると心操は、僅かに目を見開いた後、小さくガッツポーズをして喜んだ。
「っしゃあ…!」
ひなたと付き合える事になって喜んでいる心操は、無邪気な少年のように見えた。
そんな心操を見て、ひなたはクスッと笑う。
「えへへ、ひー君がそんなに喜ぶとこ初めて見たかも」
「そうかな」
ひなたが笑うと、心操もつられて笑った。
「ひー君大好き」
「俺もだよ、ひなた」
ひなたが満面の笑みを浮かべながら心操に抱きつくと、心操は優しくひなたを抱きしめた。
心操はそのまま、ひなたの前髪を手でかき上げ、広い額にキスを落とす。
するとひなたは、はにかみながら心操の首に手を回し、心操の頬にキスをする。
心操も今度はひなたの頬にキスをしようとすると、ひなたは少し恥ずかしそうに目を瞑って上を向いた。
ひなたがそのまま少し顔を近づけると、心操はフッと笑いながらひなたの唇に口づけた。
心操がひなたの髪をサラッと撫でると、ひなたは小さく「んっ」と声を漏らす。
心操の方からゆっくりと唇を離し、二人は数秒見つめ合って互いにはにかんだ。
「…ひー君、顔真っ赤」
「仕方ないだろ。俺だって初めてなんだから」
心操が顔を赤くしながら言うと、ひなたはきょとんとする。
そしてすぐにその言葉の意味を理解すると、ボッと顔をトマトのように赤くした。
心操もファーストキスだったのだ。
だが初めてのひなたでもわかるほど上手く、とても初めてとは思えなかった。
「えっ、嘘でしょ!?」
「本当。中学の頃は避けられてたし、高校に入ってからはトレーニングやら勉強やらで忙しかったし。嘘ついてるように見える?」
「っ〜!!」
心操が言うと、ひなたは顔を真っ赤にして目を白黒させる。
そんなひなたを見て、心操は少しいたずらっぽく笑う。
そのままひなたの右の耳を撫でると、上の方が少し欠けている事に気がつく。
するとひなたは、クスッと笑った。
「やっぱり、耳欠けてるの気になる?」
「うん…」
「昔ね、実験中に欠けちゃったの。それで、小学校の頃クラスの皆に『気持ち悪い』って言われて、それが嫌で、ずっと隠してたんだ」
ひなたは、自分の耳を撫でながら言った。
すると心操は、ひなたの手に自分の手を添えて言った。
「カッコいいじゃん」
心操が言うと、ひなたは一瞬目を見開く。
そしてふにゃりと満面の笑みを浮かべる。
「えへへ、ありがとう。僕やっぱりひー君好きだ!」
ひなたは、笑顔を浮かべながら心操に抱きついた。
するとその時だった。
「にゃあ」
先程までベッドでウトウトしていたジジが、キャットタワーからぴょんと降りて二人の足元でウロウロする。
機嫌がいいのか、高い声を上げて尾をくねらせていた。
「あらまジジ、どうしたの?」
「『おめでとう』って言ってくれてるんじゃないかな」
「そうなの? ジジありがとう〜! 君はいい子だねぇ!」
ひなたはジジを抱き上げると、腕の中でジジを撫でまくった。
するとジジは、目を細くしてゴロゴロと喉を鳴らした。
ひなたは、ジジと戯れながら、心操とベッドの上で会話を弾ませた。
会話をしているうちにあっという間に時間は過ぎていき、今から部屋に戻ってもクラスメイトを起こしてしまうかもしれないという事で、ひなたは心操の部屋で寝させてもらう事にした。
「ふぁぁ…僕もう眠いから先寝るね。おやすみー」
「うん、おやすみ」
ひなたは眠そうにあくびをすると、そのままゴロンと横になる。
心操は、ベッドで横になってうとうとしていたジジにも声をかける。
「ジジもおやすみ」
「んにゃ」
心操が声をかけると、ジジは眠そうに尻尾で返事をした。
時間が時間なせいか、ひなたは目を閉じるとすぐにすやすやと寝息を立てた。
部屋の明かりを消して、心操もひなたの隣で横になる。
心操に背中を向けて眠っているひなたは相澤に似た顔をしており、寝顔は可愛らしい雰囲気を残しつつどこか色っぽかった。
「無防備すぎ…」
心操がひなたの耳元でポツリと呟くと、ひなたは「ん…」と声を漏らして寝返りを打つ。
心操にとっては、自分とは境遇も何もかもが違うが自分の事を信頼して想いを寄せてくれているひなたの事が誰よりも愛おしかった。
心操はひなたの前髪をかき分けて広い額にキスを落とし、ひなたの小さな身体を軽く抱きしめながら自分も寝息を立て始める。
こうして色々と濃かった夏休みの最終日も終わりを迎え、いよいよ新学期が始まる。
さすがひー君!
おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!
はい、投票の結果圧倒的多数という事でA(ガッツリめ)まで進展しました。
はよくっつけろという謎の声が聞こえてきたような気がしたのではい。
あと次票でお部屋デートも多かったのでお部屋デートも少し書いてみました。
皆様ご投票ありがとうございました。
追記
かっちゃんが落ちたのは、ほぼほぼイナズマさんのせいです。
試験内容が例年通りなら、本作のかっちゃんと轟くんなら多分合格できていました。
ちなみに本作での仮免試験がどれくらい難しいかというと、原作キャラがそのまま挑んだら原作のマイナス40点になるくらいだと思ってください。
原作のままだとA組トップのヤオモモだけがギリギリ合格できるくらいの難易度です。
もっとひーひーカップルのイチャイチャを書いてほしいとのお声を頂いたので、R18バージョンの執筆を検討しております。R18バージョンいる?いる派が過半数なら書きます
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要る
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要らない