抹消ヴォイスのヒーローアカデミア   作:M.T.

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10が12件9が40件…だと…!?
感謝感激雨霰。
念願の赤バーを維持し続けてるぞおおおおおお!!!
やったああああああああああああああああああ!!!
面白いと思っていただけましたら高評価(特に8・9・10あたり)お気に入り、感想等よろしくお願いします。



インターン編
出会いの季節


「「喧嘩して謹慎〜〜〜〜〜〜〜!?」」

 

 仮免試験の翌朝、芦戸と葉隠は同時に驚いていた。

 

「馬鹿じゃん!!」

 

「ナンセンス!」

 

「馬鹿かよ」

 

「骨頂」

 

「いや何してんのお前ら」

 

「あははは、二人とも元気だねぇ」

 

「ぐぬぬ…」

 

 クラスメイト達が次々と緑谷と爆豪を非難すると、掃除をしていた二人は肩身の狭い思いをした。

 心操も他のクラスメイトと一緒に呆れ返り、ひなたも苦笑いを浮かべていた。

 爆豪と緑谷は、昨晩心操とひなたがイチャイチャしている間にグラウンド・βで大喧嘩を繰り広げていたのだ。

 爆豪が緑谷の“個性”がオールマイトから受け継いだものである事に勘付き、オールマイトの力を受け継いだ緑谷に決闘を申し込んだのだ。

 勝負は接戦だったもののギリギリ爆豪が勝ち、そこへオールマイトが二人の喧嘩を止めに来て、ワンフォーオールの秘密に勘付いてしまった爆豪にワンフォーオールの秘密を打ち明けて三人で秘密を共有する約束をした。

 …ところまでは良かったのだが、案の定二人が活動時間外にグラウンド・βで大喧嘩を繰り広げていた事は相澤にバレており、寮に戻って怪我の手当を施してもらうと『爆豪は四日間、緑谷は三日間の寮内謹慎、その間朝と夜の寮内共有スペース清掃、プラス反省文の提出』と処分を言い渡された。

 すると麗日が二人に尋ねる。

 

「それで、仲直りしたの?」

 

「仲直り…っていうものでも……うーん…言語化が難しい…」

 

 麗日が尋ねると、緑谷は曖昧な返事をした。

 すると飯田は二人に注意をする。

 

「よく謹慎で済んだものだ…!! ではこれからの始業式は君ら欠席だな!」

 

「確かに…お父さんをカンカンに怒らせておいてその程度の処罰で済んだのはラッキーだったのかもね」

 

 飯田が言うと、ひなたも腕を組んでうんうんと頷く。

 すると轟が爆豪に尋ねる。

 

「爆豪、仮免の補習どうすんだ」

 

「うるせぇ…てめぇには関係ねぇだろ」

 

「この二人は相変わらずだなぁ…」

 

 轟に対して爆豪が悪態をついていると、ひなたが苦笑いを浮かべる。

 体育祭以降何とかクラスメイトとの距離を縮めようとしている轟だったが、爆豪には見事に空回りしていた。

 

「じゃー掃除よろしくなー」

 

「ぐぬぬ!!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 二人が掃除をしている間、他の19人は登校して始業式が行われるグラウンドへ向かった。

 

「皆いいか!? 列は見出さずそれでいて迅速に!! グラウンドへ向かうんだ!!」

 

「いやオメーが乱れてるよ」

 

「委員長のジレンマ!!」

 

「うーんデジャヴ」

 

 列の隣に立って指示を出す飯田に対し瀬呂がツッコミを入れた。

 すると飯田が悔しがり、その光景をひなたが懐かしがっていた。

 

「入学式出られやんかったから今回も相澤先生何かするんかと思った」

 

(僕もね)

 

「まー4月とはあまりに事情が違うしね」

 

 麗日が言うとひなたがうんうんと頷き、尾白が話す。

 A組が歩いていると、B組の物間が笑いながら話しかけてきた。

 

「聞いたよ━━A組ィィ! 2名!! そちら仮免落ちが2名も落ちたんだってええ!?」

 

「B組物間! 相変わらず気が触れてやがる!」

 

「ここぞとばかりに塩を塗りに…!」

 

「朝から元気すぎ…」

 

 物間がA組を煽り倒していくと、上鳴とひなたがツッコミを入れ、低血圧気味の心操は物間のバイタリティに引いていた。

 

「さてはまたおめーだけ落ちたな」

 

「ハッハッハッハッハッ」

 

 切島が言うと物間が腹を抱えながら高笑いし、何も答えずに後ろを向いた。

 

「いやどっちだよ」

 

 すると、物間以外の他のB組のメンバーも来た。

 

「こちとら全員合格。水が空いたねA組」

 

 B組は、物間も含めて全員合格していた。

 物間が煽り倒してくると、轟が少し俯きながらクラスメイトに謝った。

 

「………悪ぃ…みんな…」

 

「向こうが一方的に競ってるだけだから。気にやむなよ」

 

「そうそう! そんな事言ったら僕だってギリギリだったし!」

 

「ひなた、お前それフォローになってないよ」

 

 切島とひなたがフォローしようとするが、ひなたに至っては全くフォローになっておらず心操がツッコミを入れる。

 すると物間の後ろから角取が出てくる。

 

「ブラドティーチャーによるゥと、後期ィはクラストゥゲザージュギョーあるデスミタイ。楽シミしテマス!」

 

「へぇ! そりゃ腕がなるぜ!」

 

「楽しみだねぇ! ポニーっち」

 

「つか外国人さんなのね」

 

 すると、物間が角取に何かを耳打ちをする。

 角取は、首を傾げながら物間に言われた言葉をリピートした。

 

「ボコボコォにウチノメシテヤア…ンヨ?」

 

「変な言葉教えんな!!」

 

「出た拳藤の名人芸」

 

 意味がわからずに日本語で悪口を言う角取を見て高笑いする物間の目を拳藤が突いて黙らせると、心操がツッコミを入れる。

 

「そっちは全員合格したんだね、おめでとう! でも、後期も負けないよ!」

 

「おう! こっちこそ!」

 

「お互い頑張ろうぜ!」

 

 ひなたが全員合格したB組を素直に祝福しつつも大胆にも宣戦布告すると、拳藤が頷く。

 ひなたのような純粋無垢で誰にでも優しい(ただし巨乳厨テメーらはダメだ)生徒であれば、ライバル関係のB組でも仲間のように親しげに接するのだ。

 すると後ろから別のクラスの女子が声をかけてくる。

 

「あのー、すみません。後ろがつかえてるんですが…」

 

「すみません!! さぁさぁ皆、私語は慎むんだ! 迷惑かかっているぞ!」

 

 飯田が謝った方向から姿を現したのは影山だった。

 

「I・アイランド以来ですね。A組の皆さん」

 

「幽華ちゃん!?」

 

 後ろに立っていたのが影山だったので、ひなたは思わず目を見開く。

 すると影山は、いきなりひなたの手を掴んでくる。

 

「ひなたちゃん!! 仮免試験合格したんですってね! おめでとうございます!!」

 

「ああ…うん。ギリギリだったけどね…」

 

 影山がひなたの仮免試験合格を祝福すると、ひなたは苦笑いを浮かべる。

 すると影山は、何かに気付いたのか首を傾げる。

 

「……あれ? 何かひなたちゃん…前より女の子らしくなった気がします」

 

「へ? あ……そう、かな…?」

 

「膨らみかけのロリッパイって何かエロいよなぁ…ちなみに今の相澤のカップ数はトリプルえ…「ふんっ!!!」ぐはぁ!!」

 

 ひなたと影山が話していると峰田がセクハラ全開な割り込み方をしてきたため、ひなたが強烈なボディーブローを叩き込んで黙らせる。

 エロブドウに制裁を喰らわせたひなたは、「こうなりたくなかったら余計な事を言うな」と言わんばかりに黒い笑顔を浮かべて振り向く。

 

「さ! 皆早く行こ! ………あと僕、正しくはBカップだから」

 

「しれっと嘘つくなよ」

 

 ひなたが堂々と嘘をつくと、心操がツッコミを入れた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 校庭には全生徒が学科ごとに整列しており、壇上には根津校長が立っていた。

 

「やぁ! 皆大好き小型ほ乳類の校長さ! 最近は私自慢の毛質が低下しちゃってね、ケアにも一苦労なのさ。これは人間にも言える事さ。亜鉛・ビタミン郡を多く摂れる食事バランスにしてはいるもののやはり一番重要なのは睡眠だね。生活習慣の乱れが最も毛に悪いのさ。みんなも毛並みに気を遣う際は睡眠を大事にするといいのさ!」

 

 校長の話はものすごくどうでも良く、そしてありえない程長かった。

 ひなたも「長いなぁ…」と思いながら校長の話を聞いていた。

 

「生活習慣が乱れたのは皆もご存知の通りこの夏休みに起きた事件に起因しているのさ。柱の喪失、あの事件の影響は予想を超えた速度で現れ始めている。これから社会には大きな困難が待ち受けているだろう。特にヒーロー科諸君にとっては顕著に表れる。2・3年生の多くが取り組んでいる『校外活動(インターン)』もこれまで以上に危機意識を持って考える必要がある」

 

校外活動(インターン)』という言葉を聞いた1年生達は、その言葉に疑問を抱きつつも校長の話を聞いた。

 

「暗い話はどうしたって空気が重くなるね。大人たちは今その重い空気をどうしようか頑張っているんだ。君たちはぜひともその頑張りを受け継ぎ発展させられる人材となってほしい。経営科も普通科もサポート科もヒーロー科も、皆社会の後継者であることを忘れないでくれたまえ」

 

 そう言って校長は壇から降りるとブラドキングに言った。

 

「だいぶ短くまとめただろ? 定石を覆したのさ」

 

「流石です」

 

 校長が言うと、ブラドキングは校長を称賛する。

 そして続いては生活指導のハウンドドッグの話となった。

 

「───それでは最後にいくつか注意事項を、生活指導のハウンドドッグ先生から─────…」

 

「グル゛ル゛ル゛…昨日う゛う゛ ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛…寮のバウッバウッバウッ慣れバウバウグルル生活バウッ!! アォ━━━ン!!!」

 

 ハウンドドッグが話をしながら吠えたかと思うと突然遠吠えをし、生徒達は唖然としていた。

 息を切らしいているハウンドドッグの代わりに、ブラドキングが壇上に上がり通訳をした。

 

「ええと、『昨晩喧嘩した生徒がいました。慣れない寮生活ではありますが節度をもって生活しましょう』とのお話でした」

 

「グルル」

 

((((ハウンドドッグ先生なんだったんだ!!))))

 

 ハウンドドッグの言葉をブラドキングが通訳すると、ひなたを含めた全校生徒が心の中でツッコミを入れた。

 まだ雄英教師陣の事をよく知らない1年生達は、今ので完全にドン引きしていた。

 

「キレると人語忘れちまうのかよ…雄英ってまだ知らねー事沢山あるぜ…」

 

「緑谷さんと爆豪さん、立派な問題児扱いですわね…」

 

「うん…っていうか初めからブラドキング先生一人で良かったんじゃ…」

 

 峰田と八百万がコメントすると、ひなたも誰もが思っていたであろうごもっともな正論を言った。

 

「それでは3年生から教室へ戻って──…」

 

 3年生から教室に戻っていき、ひなた達は最後に教室に戻っていった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そしてHRにて。

 相澤は、教壇に立っていつも通り話をする。

 

「じゃあまあ…今日からまた通常通り授業を続けていく。かつてない程に色々あったが、うまく切り替えて学生の本分を全うするように。今日は座学のみだが後期はより厳しい訓練になっていくからな」

 

「話ないねぇ…」

 

 芦戸は、コソッと後ろの席の蛙吹に耳打ちした。

 すると相澤が芦戸を睨む。

 

「なんだ芦戸?」

 

「ひっ! 久々の感覚!」

 

 芦戸が怯えていると、蛙吹が手を挙げて質問した。

 

「ごめんなさい先生、いいかしら。さっき始業式でお話に出てたヒーローインターンってどういうものか聞かせてもらえないかしら」

 

(ナイス梅雨ちゃん)

 

 ひなたは、芦戸の代わりに質問をした蛙吹に対して心の中で称賛の言葉を送った。

 

「そういや校長が何か言ってたな」

 

「俺も気になっていた」

 

「先輩方の多くが取り組んでらっしゃるとか…」

 

 瀬呂、常闇、八百万が言うと相澤が説明をする。

 

「それについては後日やるつもりだったが……そうだな、先に言っておく方が合理的か…平たく言うと校外でのヒーロー活動。以前行ったプロヒーローの下での職場体験…その本格版だ」

 

「はぁ〜そんな制度あるのか………………って!! 体育祭での頑張りは何だったんですか!!?」

 

 麗日が勢いよく席から立ち上がると、右隣の席に座っていたひなたは驚きのあまり目を見開いてビクッと肩を跳ね上がらせる。

 するとひなたが座っている席の列の最後尾の席に座っていた飯田も口を開く。

 

「確かに…! インターンがあるなら体育祭でスカウトを頂かなくとも道が拓けるか」

 

「まー落ち着けよ、麗かじゃねぇぞ」

 

「しかしぃ!」

 

(まあそう思うよね)

 

 周りのクラスメイト達は麗日を宥めようとしていたが、麗日は動揺したままだった。

 麗日は、ヒーローになって大金を稼いで両親を楽させる為に体育祭で身体を張ってやっとの思いで指名をもぎ取ったにもかかわらず、インターンという制度がある事を後で知らされたので納得できなかったのだ。

 これに関してはひなたも心の中で麗日に同調していた。

 すると相澤が説明を続ける。

 

「ヒーローインターンは体育祭で得た各々のスカウトをコネクションしていくんだ。これは授業の一環ではなく生徒の任意で行う活動だ。むしろ体育祭で指名をいただけなかった者は活動自体難しいんだよ。元々は各事務所が募集する形だったが、雄英生徒引き入れの為にイザコザが多発しこのような形になったそうだ。分かったら座れ」

 

「早とちりしてすみませんでした…」

 

 相澤が説明すると、麗日は頭を下げながら席に座った。

 

「仮免を取得したことで…より本格的・長期的に活動へ加担できる。ただ1年生での仮免取得はあまり例がない事。(ヴィラン)活性化も相まってお前らの参加は慎重に考えてるのが現状だ。まぁ体験談なども含め後日ちゃんとした説明と今後の方針を話す。こっちも都合があるんでな。じゃ…待たせて悪かったマイク」

 

 相澤がそう言って廊下で待っていたプレゼントマイクに声をかけると、プレゼントマイクがハイテンションで教室に入ってくる。

 

『一限は、英語だ━━!! すなわち俺の時間!! 久々登場俺の壇場待ったかブラ!!! 今日は詰めていくぜ━━!!! アガってけー!! イェアア!!』

 

「「「はーい」」」

 

 プレゼントマイクがハイテンションで生徒達のテンションを盛り上げていくと、生徒達が返事をする。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして放課後。

 

「んっん━━… この埃はなんです爆豪くん?」

 

 峰田は窓際をなぞって指についた埃を見せ、瀬呂は峰田と一緒になって笑っていた。

 

「そこデクだざけんじゃねぇぞ! おいコラてめー掃除も出来ねぇのか!」

 

「わっ、ごめん! あ…皆部屋のゴミ、ドア前に出しといて。まとめます」

 

 爆豪が緑谷に対してブチキレると、緑谷がビクビクしながらゴミをまとめる。

 すると窓際の汚れに気がついたひなたが代わりに掃除しようとする。

 

「デッくん、僕がやるよ! 皆が使う場所だし最初に気付いた人が…「ざけんな触角ァ!! てめークソデクを甘やかしてんじゃねー!!」ひゃ!?」

 

 ひなたが窓際を拭こうとすると、爆豪がひなたに向かって怒鳴りつけひなたは思わずビクッと跳ね上がる。

 すると緑谷も爆豪を宥める形で前に出てくる。

 

「い、いいよ相澤さん! 罰なんだし自分でやらないと…」

 

「う、うん…」

 

 緑谷が言うと、ひなたは若干戸惑った様子で頷く。

 ひなたは親切心のつもりで手伝おうとしたのだが、下手に手伝ってそれが相澤にバレたら二人の処罰が余計に重くなる可能性があった。

 そうなると流石に気の毒だと思い、ひなたは大人しく引き下がった。

 すると砂藤がこっそり切島に話しかける。

 

「なァ、今日のマイクの授業さ…」

 

「まさかお前も…?」

 

「当然のように習ってねー文法出てたよな」

 

「あーソレ!! ね! 私もビックリしたの!」

 

「予習忘れてたもんなァ…」

 

「一回躓くともうその後の内容頭に入らねんだよ」

 

 プレゼントマイクの授業で躓いたクラスメイト達が話していると、授業に出席していなかった緑谷が焦る。

 するとひなたがプレゼントマイクの授業で躓いたクラスメイト達に歩み寄って話しかける。

 

「皆、僕で良かったら教えようか?」

 

「いいのか!?」

 

「うん! こんな事もあろうかと夏休み中予習してたから」

 

「「モハンテキイチメンンン!!!」」

 

 ひなたがニコニコと笑みを浮かべながら言うと、砂藤達は狂喜していた。

 すると心操も後ろからひなたの肩に手を置いて話しかけてくる。

 

「ひなた、俺にも教えてくれないかな。俺も一個だけわかんないとこがあって…」

 

 心操が話しかけると、ひなたは昨晩の出来事を思い出して思わず頬を染めつつ首を縦に振る。

 

「う、うん! もちろん!!」

 

「ありがとな。ひなたって発音綺麗だし授業のポイントとかちゃんと押さえて説明してくれるから、頭に入って来やすいんだよな」

 

 心操がひなたの頭を軽く撫でながら言うと、ひなたは顔を真っ赤にして俯く。

 するとそれを見ていた瀬呂と芦戸がコメントする。

 

「…何かさ、今日あの二人距離近くね? 心操はさりげないボディータッチ多いし、ひなちゃんはひなちゃんで全然嫌がってねーし」

 

「デキてますなぁアレは」

 

「リアルに充実してんじゃねぇクソが!! じゃがりこ食ってる時破片が口ん中で縦になって刺され!!」

 

「どんな僻み方だよ」

 

 峰田が嫉妬を剥き出しにして(主に心操に対して)醜い負の感情をストレートにぶつけていると瀬呂がツッコミを入れる。

 そして耳郎、葉隠、尾白の三人は、インターンの話をしていた。

 

「インターンの話さ、ウチとか指名なかったけど参加出来ないのかな」

 

「やりたいよねぇ」

 

「前に職場体験させてもらったところでやらせてもらえるんじゃないのかな」

 

 三人が話していると、ひなたは触角をピコピコさせながら話に飛び入り参加する。

 

「あ、それなんだけどさ! 指名貰えなかった人は先輩の紹介で参加する人が多いらしいよ。相澤先生もミッドナイト先生の紹介でインターン参加したんだって。学生時代にマイク先生とセットでよく面倒見てもらってたみたいよ」

 

「へー、それ初耳だわ」

 

「あとはアレだね。SNSでインターン用のアカウント作って、片っ端からプロヒーローのアカウントフォローしまくってアピールしまくるって手もあるよ。まあこれは希望のインターン先に行ける可能性低いし、とりあえず数打ちゃ当たるって感じかね」

 

「どのみち幅広い人脈が必要になってくるわけか」

 

「そゆこと。雄英生ってだけでフォローしてくれる人結構いるし、有益な情報くれる人とかもいるし、インターンやるつもりなくてもヒーロー活動用のサブ垢は作っといた方がいいよ」

 

「マジで!? じゃあ早速作るわ!」

 

 ひなたがアドバイスをすると、葉隠は早速ひなたのアドバイスを実践した。

 それを見た緑谷は、目を見開いて唖然とする。

 

「………!?」

 

(たった一日ですごい置いてかれてる感………!!)

 

 インターンの話を聞いてさらに緑谷が焦っていると、飯田が横から入ってくる。

 

「という顔だね、謹慎くん!」

 

「謹慎くんはひどいや! あの、飯田くん。インターンって何?」

 

 緑谷が飯田に尋ねるが、飯田は当然答えず怒っていた。

 

「俺は怒っているんだよ! 授業内容等の伝達は先生から禁じられた! 悪いが二人ともその感をとくと味わっていただくぞ! 聞いてるか爆豪くん!」

 

「っるせんだよわかってらクソメガネ!」

 

「ムムッ…」

 

「あはは…」

 

 飯田が緑谷と爆豪に注意し、爆豪がキレた。

 その様子を、ひなたは遠くから苦笑いを浮かべて見ていた。

 その後緑谷はゴミを出しに行った時に壁や床から顔を出す変人と会い、モヤモヤを抱えたまま寮へと戻っていった。

 そしてひなたはというと、予習を忘れて英語の授業で躓いたクラスメイト達を部屋に呼んで授業内容を分かりやすく教え、ついでに次の授業の予習まで進めた。

 

「うぉぉすげーわかりやすい!!」

 

「ありがとなひなちゃん!」

 

「フッ……マイク先生の『ぷちゃへんざレディオ』、毎週聴いてますから」

 

「ひなた、それ関係あるのか?」

 

 砂藤や切島がひなたの解説のわかりやすさに驚いていると、ひなたがドヤ顔して答え心操がひなたにツッコミを入れる。

 

「二学期最初の授業だったから手厚く解説したけど、次からはちゃんと予習しないとダメだぞー」

 

「「「き、肝に銘じておきます…」」」

 

 ひなたがジト目を向けてペン先を回しながら言うと、予習を忘れたクラスメイト達は猛省していた。

 クラスメイト達に解説をしながらの予習と復習を終えるとクラスメイト達がそれぞれ自分の部屋に戻っていく。

 

「ありがとな相澤! んじゃまた明日!」

 

「うん! おやすみー」

 

 心操以外のクラスメイトは全員自分の部屋へ戻っていき、ひなたの部屋には心操とひなたの二人だけとなった。

 心操の隣で所謂ペタン座りをしていたひなたは、少しモジモジした様子で心操に尋ねる。

 

「あのさ、何か飲む?」

 

「何があんの?」

 

「えっと…ミルクティーとか淹れたら飲むかな? インスタントだけど」

 

「……まさかとは思うけど、サルミアッキ味だったりしないよな?」

 

「失敬な! ちゃんと来客用に普通のやつも用意してありますー!」

 

 心操が恐る恐る尋ねるとひなたが頬をぷぅと膨らませながら言うので、心操は心の中で「逆に自分用は全部サルミアッキ味なのかよ」とツッコミを入れた。

 ひなたは、タンスからアンティーク風のマグカップを取り出すとインスタントのミルクティーを淹れ、勉強道具が広げられたアンティーク調のローテーブルに置いた。

 

「はい、熱いから気をつけてね」

 

「サンキュ」

 

 心操がマグカップを口に運ぶと、ひなたは元々座っていた場所にちょこんと腰を下ろす。

 カップに入ったミルクティーを吹き冷ましている心操を見て、ひなたはドキドキと胸を高鳴らせていた。

 

(そういえば、何気にこのお部屋でひー君と二人きりになったのって初なんだよなぁ…えっと、こういうのってまずどうしたらいいんだろ…)

 

 ひなたは、つい好奇心で自分が心操に抱かれている妄想をしてしまう。

 ひなたとて性的な経験は全くと言っていいほど無かったが、そういう知識が無いわけではなかった。

 だが、真面目に勉強を教わりに来た心操の前でそういった妄想をするのはあまりにもはしたないと思い直し、頭をブンブン振って頭の中をリセットした。

 

(わーっ!! ちゃうちゃう!! そんなつもりで呼んだんじゃないのに!! そういうのはまだ早いよ!!)

 

「あちっ」

 

「!」

 

 ひなたが側から見ればアホな事をしていると、ひなたの入れたミルクティーを飲んでいた心操が声を上げた。

 すると、ひなたが目をパチクリさせながら心操を心配する。

 

「ひー君、大丈夫?」

 

「ああ、うん。思ったより熱かっただけ」

 

 心操が言うと、ひなたは目を丸くして真顔で心操を見る。

 その顔は、まさに宇宙猫を彷彿とさせるものがあった。

 

「………」

 

「…どうした?」

 

「いや…ひー君が猫舌なの、何というかその…可愛いなぁって」

 

「可愛い? 俺が?」

 

 ひなたが微笑みながら言うと、心操がキョトンとする。

 心操は癖の強いクラスの中では比較的常識的な感性を持っていたが、ある意味轟と互角の天然でもあった。

 

(ア゛ッッッ!! 反則!! 僕の彼氏可愛すぎる!! あ゛ークッソ写真撮っとけば良かった!!)

 

「そうだよ! ひー君は可愛い! 可愛いは正義! 正義の味方といえばヒーロー! (ゆえに)ひー君は僕のヒーロー! Q.E.D.!!」

 

「何だその謎理論…」

 

 ひなたが得意げに謎理論を振りかざすと、心操は呆れた様子でツッコミを入れた。

 

「…ありがとな、ひなた」

 

「え?」

 

「俺を選んでくれて」

 

「選ぶも何も、僕は君が好きだよ」

 

 心操が首を手で押さえながら言うと、ひなたは心操の膝を撫でながら言った。

 そして、僅かに切なそうな表情を浮かべながら心の中で呟く。

 

「…ひー君が“個性”で人を操れるなら、いっそ僕の事も洗脳してくれたらいいのに」

 

「…ひなた?」

 

 心操が声をかけるのでひなたが振り向くと、心操は顔を赤くしていた。

 ひなたはそこで初めて、心の声が漏れていた事に気がつき、耳まで真っ赤にする。

 

「わ━━━━!!! ごめんなさい!! 何言ってんだ僕!! ホントはしたない!! あの、えっと、今のは…!!」

 

 ひなたは、顔をトマトのように真っ赤にしながら両腕を振って否定した。

 すると心操は、ひなたの頭に手を置いて言った。

 

「…ありがとう。でも、ごめん。俺、お前にだけはそういう事はしたくないんだ」

 

「え…?」

 

「俺の“個性”じゃ、心までは思い通りにできない。お前を操って思い通りにしたって、お前自身が幸せじゃなきゃ意味がないと思うんだ。俺は、俺を選んでくれたひなたの事だけは、“個性”を使わずに笑顔にしたい。その…さ。俺も、付き合うとかそういうの初めてだから、上手くできるかわかんないけど…俺、お前が笑っていられるようにするからさ。それじゃダメか?」

 

 心操が真剣な眼差しを向けて尋ねると、ひなたは目を見開いて瞳を潤わせる。

 そして、モニョモニョと口を動かしながら首を横に振った。

 

「……んーん。ひー君、大好き」

 

「ははっ、ホントいい女だね。お前」

 

 心操はフッと笑みを浮かべると、ひなたの唇にキスを落とす。

 ひなたも心操の首に手を回し、何度も唇を重ねた。

 心操がひなたの腰を支えていた手を下へと滑らせて軽く尻を撫でると、ひなたの身体がピクっと跳ねる。

 心操の方から唇を離すと、ひなたがとろんと蕩けた目を向ける。

 

「んぅ…ひぃくん…」

 

「ひなた可愛い」

 

「むぅ……」

 

 心操が意地の悪い笑みを浮かべながらひなたの頬をムニムニすると、ひなたはジト目をする。

 ひなたの頬は餅のように柔らかく、指で挟むと指が吸い付き触り心地が良かった。

 ひなたをいじって遊んでいた心操だったが、ふとローテーブルの上に置かれたマグカップに目を向けた。

 カップの中には、すっかり冷めて湯気がなくなり粉が分離して下に沈んだミルクティーが残っていた。

 心操は、残すのも忍びないと思いカップを揺らして軽く混ぜたミルクティーを飲み干した。

 

「……温い」

 

 ふと横にいたひなたに目を向けると少しうとうとしていたので、心操は自分でカップを洗いに洗面所に行った。

 心操が洗い物を終えて洗面所から出ると、出てすぐのところにひなたが立っていた。

 

「あ、ごめんね洗い物してもらっちゃって。ホント何お客さんに働かせてんだ僕…」

 

「いや、いいよ」

 

「明日からは訓練も並行してくみたいだし、今日はもう身体を休めておかないとね。はい」

 

 ひなたは、勉強道具が入った鞄を心操に渡す。

 心操が鞄の中身を確認すると、自分で持ってきた筆記用具や教科書類が全部入っていた。

 

「片付けといてくれたのか」

 

「うん…ひー君が洗面所に行ってたんで、もしかしたら働かせちゃったかなって思って、せめて片付けくらいはやっておこうかと…」

 

「ありがとな」

 

 ひなたが頭を掻きながら言うと、心操はひなたの頭を軽く撫でる。

 ひなたは、心操に頭を撫でられて喜ぶと少し背伸びをして上を向く。

 すると心操は、少し屈んでひなたの唇にちゅ、と軽いキスを落とす。

 

「じゃ、また明日な」

 

「うん、おやすみー」

 

 心操が自分の部屋に戻っていくと、ひなたは手を振って見送った。

 するとその直後、ひなたはドアの前でぺたんとへたり込んだ。

 

「ホントずるいよ…素で口説いてくるんだもん…『洗脳』の“個性”なんか無くたって、僕はもう身も心もひー君のものだよ…」

 

 ひなたは、真っ赤になった頬を両手で覆いながら呟く。

 

「…とりあえず、着替えて歯磨いて寝よ」

 

 ひなたは、身につけていた衣類を全て脱ぐと、ショーツを穿き替えダボダボのロングTシャツに着替えた。

 そして備え付けの洗面台で歯を磨いて後ろで結んでいた髪を解くと、そのままベッドにダイブした。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そして三日後。

 

「ご迷惑おかけしました!!!」

 

「デクくん、お勤めご苦労様!!」

 

「お勤めって…つか何息巻いてんの?」

 

 緑谷が謝ると麗日と耳郎が声をかけ、緑谷は飯田にも謝る。

 

「飯田くん!! ごめんね!!!」

 

「うむ…反省してくれればいいが…しかしどうした?」

 

「この3日間でついた差を取り戻すんだ!」

 

「あ、良いなそういうの好き俺!」

 

「ガッツだなデッくん!」

 

 緑谷が鼻息を荒くして息巻くと、切島は負けじと燃え上がった。

 すると、相澤が扉から出て全員が席に着く。

 

「じゃ、緑谷も戻ったところで本格的にインターンの話をしていこう。入っておいで」

 

「ん?」

 

 相澤が呼び掛けると、前方の扉が開く。

 そして、三人の上級生が入ってきた。

 

「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらう。多忙な中都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名────…通称ビッグ3の皆だ」

 

 

 

 

 




何やねん彼奴ら。
えちえちすぎやろ。

ちなみに洗面所の描写ですが、原作では部屋に備え付けられてる的な描写はありませんでしたが、冷静に考えたら部屋に備え付けの流しが無かったら砂藤のスイーツとか口田のペットとか衛生面的に無理じゃね?と考え、描写が無かっただけでちゃんとトイレとセットで部屋に備え付けられてるものと解釈しています。

もっとひーひーカップルのイチャイチャを書いてほしいとのお声を頂いたので、R18バージョンの執筆を検討しております。R18バージョンいる?いる派が過半数なら書きます

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