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今回は仮免講習です。
ひーちゃんが出てこない代わりにあいつが出てきます。
掴めガキ心
ひなた達が退院した翌日、轟と爆豪は仮免講習の為寮を出ていた。
「後ろ歩けや」
「相澤先生…昨日の今日で申し訳ねぇな…」
「てめぇと世間話する気はねェ!」
「おま……」
悪態をつく爆豪に轟が言い返そうとすると、二人はバスの前にプレゼントマイクとオールマイトがいる事に気がつく。
『遅せ━━━よバッボ━━イズ!!』
プレゼントマイクは、二人を指差しながら叫ぶ。
すると轟が僅かに目を見開く。
「プレゼントマイクと…オールマイト」
「今日の引率は私達が行くよ」
『イレイザーは昨日の事件絡みで学校を空ける事が多くなりそうなんだと』
「どういう事ですか」
オールマイトと、爆豪の顔を突きまくりながらプレゼントマイクが言った。
轟が尋ねると、プレゼントマイクが腕をクロスして事情を説明する。
『救出した子の“個性”に関して彼の力が要るそうだ。んで!! 代理がオールマイト! 俺はイレイザーに警護頼まれてやったわけ!』
「連合の動きも考慮しての措置だ。遅刻厳禁。さぁバスにお乗り」
『早く仮免取ってホップステップヒァウィーゴ━━!!』
轟は、浮かない顔をしつつもバスに乗り込む。
そして仮免講習の会場に着いた。
着いたのは総合体育センターだった。
教師陣と分かれた轟と爆豪はというと。
「お!! お━━い雄英━━!!」
突然現れた夜嵐が二人に向かって手を振る。
すると、夜嵐の後ろからさらに三人現れる。
一人は、ひなたの中学のクラスメイトだった竜崎だった。
「お、ろっきー! バックン! おひさー」
「魚野郎」
竜崎がイケメンスマイルを浮かべて手を振りながら二人の方へ近づいてくると、爆豪が露骨に嫌そうな表情を浮かべる。
そしてもう一人は高校生離れした色気を醸し出す美少女現見だった。
「あー何ちょーいい男じゃん。ヤバ驚嘆〜〜〜〜。イケメンと講習とかマジ恐悦━━。夜嵐、竜崎、何ー、超知り合いー? マジ連絡先ー」
「隙あらばっスねケミィパイセン」
「ケミィさん交流術流石っス!! 勉強になりマス!!」
現見が夜嵐と竜崎に轟と爆豪の連絡先を聞こうとすると、二人が現見のフットワークの軽さに感心する。
すると爆豪が夜嵐に尋ねる。
「オイハゲこの女この前までいなかったろ」
「ああ! いなかったし俺はハゲてないんだ!!」
「確か特例的なアレでしたよね?」
「そーそー」
爆豪が夜嵐に言うと、夜嵐は制帽を脱ぎながら笑う。
爆豪と夜嵐の会話に竜崎が割り込んで現見に尋ねると、現見が答える。
すると一次で爆豪を落とそうとしたお肉先輩こと肉倉が口を挟む。
「ケミィ!! 下作である!! 士傑生たる者斯様な者など捨て置け!!」
「肉。てめェ一次で落ちたろ」
「観覧の許可を頂いたのだ!! 見学!! 肉倉精児である!!」
爆豪が嫌そうな表情を浮かべて言うと、肉倉が事情を説明する。
その後コスチュームに着替えて会場へ向かう途中、夜嵐は轟に話しかける。
「轟よう、好きな物は何スか!!」
「蕎麦、ざるの」
「か━━蕎麦なら俺は温蕎麦だ、そしてうどん派」
「合わねェな」
「いや! でも近づいた気はするっス!!」
「蕎麦とうどんは近いようで遠い」
「俺!! あんたと必ず親友になってみせる!!」
「毎回言うが無理に親しくしなくてもよくねェか」
「んん!!」
熱烈に話しかけてくる夜嵐の相手をしていた轟を見た爆豪は、露骨に嫌そうな顔をしていた。
「虫唾が走る」
「なぁおいバックン仲良くしよーぜ。俺もねー、ざわっぴのお友達とは是非とも仲良くしたいと思ってんのよ」
「お友達じゃねンだよ」
「あ、これマカロンと、あとロンネフェルトのアールグレイ。雄英の皆によろしくね」
「よろしくしねぇよクソウゼェ」
「ちぇー」
竜崎が爆豪にウザ絡みをしながら雄英の生徒用の高級土産を渡そうとしてくると、爆豪が竜崎を突っぱねる。
◇◇◇
「えー本日はここ、総合体育センターをお借りしての講習です。最近逆に寝るのが恐くなってきました、目良です。今日もよろしく」
不気味な笑い方をしながら自己紹介する目良に、講習生達は謎の恐怖を抱いていた。
「えー始める前に一つ。この講習、これまで11名の参加者で行って参りましたが、今日から12名になります」
するとその時だった。
「焦凍ォオオオ!!! お前はこんな所で躓くような人間じゃない! 格の違いを見せ付けるのだァア!!」
エンデヴァーに名指しで叫ばれた轟は、露骨に嫌そうな顔をする。
周りの講習生達も、エンデヴァーの登場にざわついていた。
「え!? ウソォ」
「エンデヴァーだ……! No.2…あ、違う、No.1ヒーローの…」
「マジか、何でいるの」
「コエー…」
すると、夜嵐がエンデヴァーの声と姿に反応する。
「エンデヴァー…でもって隣にいるのってアレ……え…え…っ、え━━!!!」
「オールマイトだ!!」
「何でいるのォ!?」
「すげえー!」
オールマイトを見た夜嵐は驚き、周りの講習生達のテンションも上がった。
講習生達がガヤガヤ騒ぎ講習どころではなくなったので、目良が声をかける。
「えー皆さん落ち着いて下さい、続きいいです?」
目良が言うと、現見が現れる。
「士傑高校2年でーす。ケミィって呼んで下さーい」
「えー彼女も二次まで残り皆さん同様補講の資格を有しておりましたが、その数日前から記憶の混濁が見られ原因追求の為参加を見送っておりました」
「特例受け直しオケオケとか超懐でマジ足向寝ゲンキン! よろピー」
現見は、笑ってギャル語で話しながらピースサインをする。
すると、目良が審査席に座ってある人物を呼ぶ。
「さて…それじゃお願いします。ギャングオルカ、イナズマ」
「今日も懲りずに揃ったか。あの緩い試験にすらふるい落とされた落伍者共め」
「よぉーし今日もきっちりイジメ倒したるから覚悟しぃや腐ったミカン共」
ギャングオルカとイナズマが登場し講習生達を睨むと、講習生は気圧される。
「これまでの講習で分かった事がある。貴様らはヒーローどころか底生生物以下!! ダボハゼの糞以下だとな!!」
「「「「サー、イェッサー!!」」」」
ギャングオルカが罵倒すると、講習生達は一斉に返事をする。
するとギャングオルカが爆豪の前に立って尋ねる。
「特に貴様だ!! ヒーローになる気はあるのか!!?」
「まず糞じゃぁねぇんだよ」
「指導ー!!」
ギャングオルカは爆豪を投げ飛ばし今度は轟の前に立つ。
「どうしたら糞が人間様を救えるか!!?」
「……肥料とか、間接的に……」
「指導ー!!」
ギャングオルカは轟も同様に投げ飛ばすと今度は竜崎の前に立つ。
「糞以下の糞が
「糞以下の糞って何スか」
「指導ー!!」
ギャングオルカは竜崎も同様に投げ飛ばすと今度は最後に夜嵐の前に立つ。
「戦闘力機動力だけで人は人を称えるか!!?」
「サーイエッ「指導ー!!」
夜嵐に至っては、答え終わる前に投げ飛ばされた。
「貴様ら4名が十分な戦闘力を持つ事は分かった。だが、それだけだ。要救助者への不遜な振る舞い、周囲の状況を無視しての意地の張り合い、身の程を弁えず仲間の助言に対して暴言を撒き散らし単身で突っ込むなどの愚行…! 今日は貴様らに特別な試練を与える! 貴様らに欠けている物、それ即ち心!! 差し伸べた手を誰もが掴んでくれるだろうか!? 否!! 時に牙を向かれようとも命がそこに在る限り救わねばならぬ!! 救う救われる、その真髄にあるは心の合致、通わせ合い!! さぁ超克せよ!! 死闘を得て、彼らと心を通わせてみせよ!! それが貴様らの試練だ!!」
もう一つの体育館の扉が開かれ、4人が身構えた直後だった。
「わあああ!!」
「ひーろー!!」
「ナマー! ナマヒーロー!!」
「こらーご挨拶…」
扉が開かれ入ってきたのは、小学生の子供達とその教師だった。
男子生徒達は早速爆豪、轟、夜嵐、竜崎の4人に絡みに行った。
「ダッセー! バクダン!! ダッセー!!」
「もおおおお、ちゃんと言う事聞きなさいってば!!!」
小学生の一人が爆豪に絡むと、女性教師が涙目になりながら注意する。
「市立間瀬垣小学校の皆さんだ。責任を持って児童をお預かりします」
「よろしくお願いします」
「死闘は!!」
ギャングオルカが女性教師に挨拶をすると、爆豪がツッコむ。
「…マセガキ?」
「間瀬垣小学校や。ドアホ」
「いったぁ!!?」
竜崎がキョトンとしていると、イナズマが金棒で竜崎にケツバットを喰らわせる。
すると爆豪に絡みに行った男子生徒の一人がいきなり泣き出す。
「ほぎゃあああ」
「みんなァたっくんが泣かされた!!」
「うっうっすみませんでした…」
「泣かしてんじゃねーバクダン!!」
「泣いてんじゃね━━━━━━!!」
子供達が爆豪を責めると、爆豪が逆ギレする。
すると壁にもたれかかっていたお坊っちゃま系の男子生徒が口を開く。
「いるんですよねェ。そうやって頭ごなしにどなってれば思い通りになると思ってる大人…ま、響きませんよね」
「何だこいつ!!!」
「懐っつ。俺の小学生の頃のクラスメイトにこんな奴居たな」
男子生徒が鼻で笑いながら自分の胸を軽く叩くと、爆豪がキレ竜崎が懐かしがる。
一方、轟の方にも男子が群がっていた。
「ねーこれ何これ何これ何これ何チンコ!?」
「これは「チンコだチンコだ」
「これはチンコじゃねェ。救護が間に合わねぇ時の応急処置だ「「「つまんね」」」
騒ぎ立てる子供達に轟が冷静に説明すると、子供達が一斉にツッコミを入れる。
「チンコだろ!? 5本のチンコを持つヒーロー『ゴチンコ』なんだろー!?」
「違…おいやめろ」
子供達は、轟に飛びかかって騒ぎ立てる。
そして竜崎の方にも子供達が群がってくる。
「ったく。二人ともわかってねーな。子供心を掴むっていうのは、まず同じ目線に立たないとダメなんだぜ」
「わーギョジンだ!!」*1
「アーロンだアーロン!」
「おー、ワンピ男子多いな。よーし来い!」
「ゴムゴムのーJET
「ぐわーやられたー」
竜崎に絡んでくる男子達に対し、竜崎は男子達の目線に合わせて遊んでやった。
男子達はキャッキャと楽しそうにはしゃいでおり、側から見れば竜崎が子供達の心を掴んでいるように見えた。
だが…
「気をつけろ! こいつは
「いや、それは無理…「ねえエラに息吹き込むと死ぬってマジ!?」
「やってみよーぜ!」
「ちょっ、やめなさい。死なないけどキツいからそれマジで!!」
「ゴムゴムのー金的!!」
「ぐっはぁ!?」
「一気に畳み掛けるぞー!」
「ちょっ…やめ…最近の子怖え!!」
(アカンわこいつ)
竜崎が子供達の心を掴んでいるわけではなく、竜崎の方からは手を出せないのをいい事にオモチャにされているだけだった。
子供達のオモチャと化した竜崎を、イナズマは冷めた目で見ていた。
そして夜嵐の方はというと、黙って立ち尽くしている夜嵐に子供達がパンチを繰り出していた。
「このヤローこのヤロー」
「俺のほーが強いぜ!」
夜嵐は、ただ黙ってエンデヴァーの方を見ていた。
「どこ見てんだこのヤロー!!」
「ああしまった、またよそ見を!!」
うずくまる夜嵐に、子供達がポカポカ殴り掛かった。
するとそれを見ていた現見が不満を漏らす。
「つーか何で私もまとめられてるワケ」
「貴様は特例だ。本試験で見極められなかった。あと恐らく駄目そうだ」
「何それ、マジ憤怒」
「まあ自分は事情が事情やししゃあないわな。子守りもヒーローに必要な素養や思て頑張りぃ」
現見がギャングオルカの説明に対して不満を漏らすと、イナズマはため息をつきながら現見にアドバイスをする。
すると現見は、近くにいた男子生徒を抱きしめた。
「まァいーや。あたし子ども好きだし」
「はああ」
現見の巨乳に顔を挟まれた男子生徒は、顔を赤くして興奮する。
すると突然、現見の尻にチクリと痛みが走る。
「あいた!!」
振り向くと、女子生徒が恨めしそうな目をして現見の尻をつねっていた。
「ショウくんタブラかしてんじゃねーよ」
「ムシしよムシしよムシしよ」
(わーマジ年頃)
女子生徒達が現見に憎悪の目を向けていると、現見が心の中でツッコミを入れる。
すると女性教師がギャングオルカやイナズマに謝る。
「すみません、すみません、すみません。ウチのクラスちょっとした問題児だらけで、何をするにも反抗的で…皆さんに早速ご迷惑を…」
女性教師が涙目で二人に謝っていると、ギャングオルカが女性教師に声をかける。
「先生ご安心を」
「シャチさん」
「今日中に彼らがこのクラスを変える事でしょう。貴様らには五人で協力し、このクラスの心を掌握して貰う! さァ他の者はいつも通り我が社員やイナズマと演習ののち座学だ! 位置につけ!!」
「へーい。今日も地獄見せたるから覚悟しぃや!!」
ギャングオルカが言うと、イナズマはヒラヒラと手を振って他の補講生達の方へ向かっていった。
イナズマが喝を入れると、補講生達は悲鳴を上げながら位置についた。
「保育士になれってか!!」
一方爆豪は、ヤケクソと言わんばかりに叫んでいた。
すると、今まで黙って見ていたプレゼントマイクがその場の空気に耐えられなくなり声を上げる。
『MC魂が!! 限界を迎えた!! BGMに実況!! それら無き催しに宿るソウルは無い!』
「あっても無くても正直そんな…」
『あっても無くてもってのはあった方がいいって事なんだぜマイティボーイ!!』
「あ、ちょっと…」
プレゼントマイクは、立ち上がって駆け下りマイクを手に取って叫ぶ。
『さァバイブス上げてけレットーセー!! 始まったぜ卵と砂利のバトルがよォ!!』
「やっぱブチアゲーねー児童」
「ムシよムシよ。シリガルはムシよ」
プレゼントマイクが実況する中、現見は何とか子供達と仲良くしようとするが徹底的に女子に嫌われていた。
そして竜崎はというと、悪ガキに絡まれて髪の毛を掴まれていた。
「喰らえー! 霞の呼吸漆ノ型『朧』!!」*2
「俺は玉壺じゃねーっての!!」
そして爆豪も、竜崎同様悪ガキに絡まれていた。
「返せー!!! ガキのオモチャじゃねえんだよ!!」
悪ガキが爆豪の籠手をサッカーボールのように蹴っていると、爆豪が怒鳴り散らす。
「転がらねー思い通りに転がらねー!!」
「そんな簡単に奪られていいのかそれ」
「危ねーから外して置いといたんじゃクソが!!」
「何だかんだで真面目かバックンよ」
籠手で遊ばれている爆豪に轟が尋ねると爆豪がキレながら答え、竜崎は爆豪にツッコミを入れていた。
一方で現見も何とか女子と仲良くしようとするが、現見が手を出すと女子が猫のように威嚇する。
「つーか『心を掌握』って課題がユルフワで何をどうしたらオケオケか不明ー」
現見が言うと、プレゼントマイクが実況を挟む。
『さァチームダボハゼ! どうしたらいいか分からないといった面持ちだ!!』
「良いんですけど一応講習なんで程々に…」
『オケオケ!!』
プレゼントマイクが実況をしていると目良が注意をし、プレゼントマイクが返事をする。
そしてプレゼントマイクは、隣にいた女性教師に尋ねる。
『ハウエバー何をどうしたらいいのさ、何を所望よ? 先生!!』
「はい… 小学校低学年は人格形成において大切な時期です…“個性”の違いが大きく影響する為カウンセリングを行い、健やかな精神を育めるようサポートするのですが、カウンセリングも万能ではありません。このクラスの子達は私達に心を閉ざしてしまいました。私の責任であることは承知しています…! ですが…! 夢に向かって励んでらっしゃる皆様と触れ合うことでまっすぐな気持ちを思い出せさてあげれれば…」
女性教師が泣きながら言うと、4人が女性教師の方を見る。
竜崎も、仮免試験でひなたに発破をかけられた事で心を入れ替えヒーローらしくなっていた。
「───…野暮な事は言いっこ無しだな。人が困ってる」
「そうだねろっきー、ここはヒーローらしくクールに行かないとね」
「つまり皆と仲良くなればいいんッスよね! よーし!!」
「子守りなんぞとっとと終わらせて向こうの講習に参加だ」
トップバッターは爆豪だった。
爆豪は、極悪人のような表情を浮かべる。
『ああっと早速野暮だ爆豪!! 雄英の火薬庫はどういうアプローチに出る!?』
プレゼントマイクが実況を挟むと、爆豪が自身の見解を話し始める。
「先公が”先導者”としての役割を果たせずナメられた結果ガキが主導権持っちまってんだよ。“なんとなく”“いつの間にか”こうはならねえ。クラスの空気を形成してる“ボス”が必ずいる。そいつを見つけ出す」
「うんうん、で?」
「そしてバキバキにへし折り見せしめに吊るして全員に石を投げさせる。自分がいかに矮小な存在かを擦り込むのが一番効くのさ」
「何それ世紀末?」
「? 仲良くなればいいんスよね!?」
爆豪が自身の見解を話していると、竜崎が尋ねる。
すると爆豪がさらに物騒な発言をしたので、竜崎がドン引きする。
爆豪の魔女裁判のようなやり方に竜崎がツッコミを入れ、夜嵐はよくわかっていない様子で言った。
するとプレゼントマイクが実況を挟む。
『さァ独自の見解を述べた爆豪だが……!』
「一番強ェ奴出てこいや。俺と戦え」
『駄目そうだ!!』
爆豪が極悪人の表情を浮かべて子供達に近づいていくと、プレゼントマイクがツッコミを入れる。
するとお坊っちゃま系男子が天井を仰ぎながら言った。
「そういう前時代的暴力的発想…お里が知れますよね」
『お里を知られたァ!!』
お坊っちゃま系男子がツンと自分の額を突きながら言うと、プレゼントマイクがツッコミを入れる。
「あの…こんな事言うのも差し出がましいのですが…大丈夫なんでしょうか…」
『ご安心を。余興です』
女性教師が不安そうに言うと、プレゼントマイクがサラッと返す。
すると今度は竜崎が前に出る。
「ヤンキーは流行ってないよ」
「流行れや!!」
「ダメだなぁバックンは。俺に代わりなさい。子守りくらいクールにできないでどうすんのさ」
『次鋒は士傑の子━━━!!』
「カイリは話術で場の空気を掌握する事に長けている。児童相手に奴の話術が通用するか、見物だな」
竜崎が自信満々に前に出ると、プレゼントマイクが実況を挟む。
すると観客席で見ていた肉倉も口を挟む。
「さぁーてみんな。お兄さんに注目ー!」
竜崎は、幼児番組の歌のお兄さんのような口調で子供達に歩み寄る。
そして近くにいた女子生徒の手を取る。
「さ、君も一緒に」
「は、はい…!」
『おー!? 何か良い感じだぜ!? 流石クールボーイ!』
竜崎がイケメンスマイルを浮かべてウインクすると、手を取った女子は頬を染める。
そしてそのまま女子の身体をヒョイと持ち上げて踊るようなステップを踏む。
するとプレゼントマイクが実況を挟んだ。
「さぁーて、みんな何して遊ぼうか!?」
「サッカーやりたーい!」
「おお、いいな! 俺好きだぜ、サッカー「お前ボールなギョジン!」
「えっ」
ヤンチャな悪ガキが竜崎を指差しながら言うと、竜崎が固まる。
「絵描こーよ! こいつキャンバスな!」
「鬼ごっこやろうぜ! ギョジン以外全員鬼な!」
「デスノートごっこやろうよ! こいつ魅上な!」*3
「…………」
竜崎がヤンチャな子供達のオモチャにされていると、プレゼントマイクが実況する。
『案の定オモチャにされてやがる! クールさはどこ行ったマーマンボーイ!』
「ごめん…よっちゃん。交代。俺、無理だ…あの子達コワすぎ…」
「任せるっスカイリ!!」
プライドをズタボロに傷つけられた竜崎は、俯いたまま夜嵐の肩に手を置く。
すると今度は、夜嵐が前に出てくる。
「まずお互いを知る事が親友への近道っスよー!! ヒーローになりたい子━━━━━━!!?」
『またまた士傑の子━━━!!』
夜嵐が手を挙げながら持ち前の熱血テンションで尋ねると、プレゼントマイクがコメントを挟む。
その様子を、肉倉が観客席で見ていた。
「児戯は恐らくイナサの得意とするところ…奴の気勢は周囲を活気づける。さて…見物だな」
(この子影響されやすいんだよなァ…解説始めた…)
肉倉が上から目線で実況をすると、肉倉の担任が心の中でツッコミを入れる。
すると夜嵐の質問に子供達が答える。
「なるー」
「かっこいーし」
「俺ちょーつえーし」
子供達が手を挙げると、夜嵐がガバッと子供達を抱き上げる。
「そうかー!! 俺もなりたいっス!! 熱さと情熱こそ滾る血潮っスよね!!」
『何言ってんのかわからんが何か良いぞ!?』
夜嵐が子供達を持ち上げると、プレゼントマイクがコメントを挟む。
すると夜嵐は子供達に話しかける。
「みんなの笑顔を守るのがヒーローっスよね!? 先生を困らせる子は立派なヒーローになれるかな!?」
「……なれない…?」
「うん!! それなら「でも…! じゃあさ! 講習開いてもらって先生や公安の人達のお仕事増やしてるお兄ちゃんたちもなれない…?」
「たしかに!!!」
一人の男子生徒が正論を言うと、夜嵐はダメージを受けて暴風で吹っ飛んでいく。
それを見た男子生徒は、ケタケタと笑っていた。
「偉そうに語っていい立場じゃなかったっス━━━すいませんでしたァ!!」
『豪快に
夜嵐がダンっと勢いよく着地しながら謝ると、プレゼントマイクがツッコミを入れる。
すると現見が子供達を見て言った。
「この子ら思ったよりヒン曲がってないー?」
「だから言ったろ。時には暴力も必要なんだよ」
爆豪が言うと、轟が反論する。
「爆豪、それは違う」
「あァー!? ウチはそーやって育てられてンだよ」
「他所は他所、ウチはウチだよバックン」
轟の反論に対し爆豪が持論を話すと、竜崎が冷静に諭した。
すると轟は真剣な表情を浮かべて言った。
「もっとやりようはあるはずだ」
「……ホホウ、じゃァ見せてくれよ、てめーのやり方をよォ」
「ああ」
爆豪が輩のような煽り方をすると、轟が子供達の方へ歩いて行った。
『さーて、次はお前か!!!』
「俺なりのやり方…」
『冷静と情熱の間、轟焦凍ォ!!』
「焦凍ォ!!」
プレゼントマイクが実況をすると、エンデヴァーが轟に激励を送る。
「イケメンのイクメン見れるとか眼福━━━」
「イケナイ同じレベルになるわ。ムシよムシ」
現見と女子達が轟に見惚れていると、女子達は現見の方を見てハッとする。
『さァどうやって距離を縮めるのかこいつァ見物だぜ』
「ゴチンコはつまんねーからいいよ。でかいゴリラとギョジンをからかおーぜ」
轟が前に出ると、子供達はスッと下がり夜嵐や竜崎の方へ行こうとする。
すると轟は、スゥと息を吸って話し始める。
「俺はゴチンコじゃねぇ。ヒーロー志望の雄英生徒ショートだ。現No.1ヒーローのエンデヴァーを父に持つが、俺はずっと奴を憎み見返す為にヒーローを志してきた。同級生との交流を…『人物紹介ページみたいな語りから入ったァ!!』
「「「「つまんね」」」」
『総スカン!!』
轟の語りにプレゼントマイクがツッコミを入れると、子供達が辛辣だが的確なコメントをしプレゼントマイクがツッコミを入れる。
すると轟は爆豪達の方へ戻っていく。
「ワリィ」
「ナイスファイトっス轟!!」
「頑張ったよろっきーは。うん」
「〜〜〜しょうがねぇな、ったく」
轟が落ち込んでいると夜嵐と竜崎がフォローし、爆豪が呆れ返る。
すると、現見が手を挙げて提案する。
「ねー4人ともさっきからフツーにやってる感じだけど、“個性”でしっかり私達見せた方がテットリ早くない?」
「俺もそれを言おうとしてたんだ!!」
「ウッソマジキグー」
現見が提案するとそれに対して爆豪も同意し、現見が驚く。
「まだ溝は深え。つーか俺達を困らせて楽しんでる節がある」
「攻めるには溝を埋めるんじゃなく飛び込むしかねえ、実技デモンストレーションだ!」
すると、子供達が轟達の方に注目した。
「何か話してる」
「フフン…知ってるんだぜ。パパもママもテレビもみんな言ってる。ヒーローは大丈夫かって………俺達は知ってるんだぜ…」
「ああダメよ、危ない!!」
女性教師は涙目で止めようとするが、子供達は各々の“個性”を発動させた。
「「「俺達の方が出来るって事をさ!!」」」
「ハッ! 好都合だ…! 来いよガキ共、相手してやるぜ」
爆豪を先頭に、5人も各々の個性を発動させた。
(小学生相手にどんだけ手間取ってんだコイツら)
そう思うプレゼントマイクだったが、口に出さなかったのはせめてもの良心だった。
「見せてやるぜ!! 俺達の方が上だってよ!!」
「来いやガキ共、相手してやるぜ!!」
小学生達が各々の“個性”を出すと、爆豪も掌を爆発させる。
すると、壁にもたれかかっていたお坊っちゃま系の男子生徒が口を挟む。
「フン…結局そうやって上から押さえつける事しかできない。当然、響きません」
すると、肉倉がプレゼントマイクの実況に割り込んでくる。
「力に力で対応するは迂愚の極み!!」
『誰だてめー!!』
「先程から士傑高校の子細を把握しておらぬ様子。実況を衡平に行えるよう助力したく参じた次第」
『何て?』
肉倉が実況に割り込むと、プレゼントマイクがツッコミを入れる。
「プレゼントマイクの仰せの通り、本気で衝突すれば児童に残るは忸怩たる思いのみ。逆に手心を加え児童に華を持たせれば、更なる増長を招く…対話を抛った時点で彼奴等は袋小路に入り込んでしまった」
「すみません!! 悠長に話してる場合じゃないですよ!! あの子達…自分の個性がヒーローより優れていると…本気で皆さんを負かす気でいます!!」
女性教師は、涙目になりながら立ち上がり二人に訴える。
すると、男子の一人が牙の生えた黒い球を出した。
黒い球は猛スピードで爆豪の頬を掠り、爆豪のマスクが破れる。
「どうだァ俺の『
すると今度は大量の埃が飛ばされてくる。
「埃…!!」
「へっちょ━━い!!」
埃が鼻に入った夜嵐は勢いよくクシャミをした。
「『
「あいつらナススベないぜェオラオラやっちゃえー!!」
「『
「『バイラルコスモス』!」
「『電磁弾』!!」
「『
「『
次々と容赦無く放たれる攻撃に煙が立ち上る。
『最近の子ヤべェエエ!!』
プレゼントマイクは、子供達の“個性”に驚いていた。
『オイオイ…どうなってんの。俺がこんくらいの頃はこんな威力出せやしなかったぜ。身体的にも法的にも心理的にもよ』
プレゼントマイクが驚いていると、肉倉が説明をする。
「………こんな話があります。世代を経るにつれ個性は混ざり深化していく。より強力、より複雑化した“個性”はやがて誰にもコントロールできなくなってしまうのではないか。“個性”特異点と言われる終末論の一つです。この子らを見ていると…少しゾッとしますね」
肉倉が言うと、プレゼントマイクはひなたを救い出した時の事を思い出した。
ひなたの“個性”は“個性”社会を転覆し得る“個性”特異点を超越した力で、ひなたの場合はたまたま本人が心優しく素直な性格だったのと相澤という良き指導者がいたおかげで特に問題を起こす事なく“個性”をコントロールできるようになったが、それはあくまで運が良かっただけに過ぎなかった。
もし同じ力を徹底した差別主義者や欲に溺れた人間が持っていたらと思うと恐ろしくて堪らなかった。
「すみませんすみません! 全て私が───…!」
女性教師が子供達を止めようとすると、プレゼントマイクが女性教師の手を掴んで止めた。
『おっと先生! まァ! 今はあいつらのターン! もうちょい見ましょ』
容赦なく猛攻撃を仕掛ける子供達だったが、轟、爆豪、夜嵐、竜崎の四人は子供達の攻撃を難なく受け止めた。
「人様に躊躇無く攻撃するたぁ…大分キテんな!!」
「ヒーロー志望相手なら何しても構わねぇと思ってそうだ」
「ははっ、血の気が多いなぁ最近の子はよ。ちょっと前までの自分を見てるみてえだ」
「俺はもう講習とか抜きにこの子らと仲良くなりたい」
猛攻撃を仕掛けられてもなお平然と立っている五人を見て、子供達の方がたじろぐ。
「そんな…!! 俺達の“個性”にビビってねー…」
「ちょっと早く生まれただけのくせに…っ、みんな見せてやろう、僕らの力を! もっと」
お坊っちゃま系の男子が言うと、先程現見を嫌っていた女子が攻撃を仕掛ける。
「私が行くわ!! 『クイーンビーム』!!」
女子は、目からビームを放ち轟を攻撃しようとした。
だが…
「おいおい、君の可愛い顔が見てぇんだ。シワが寄ってちゃ台無しだぜ」
「はぁい!!」
轟がイケメンスマイルを浮かべながら臭い台詞を言うと、女子はときめきながら返事をした。
すると轟が煙になって消える。
「ごめーんマボロシー。でも言われてみたいよねぇ。ウチの学校今時異性交遊禁止だし、マジ渇望」
そう言って現見が掌を吹くと煙が出る。
現見ケミィ
”個性”『幻惑』
少しの時間幻を作り出せる!!
乱用はダメ! 絶対!!
「グプブ、カワイイカオガミテーンダ、俺は良いと思うぜ!! マボロキくんよォ!!」
「ヒィー腹痛え!! マボろっきー面白すぎっしょ!」
「そんなに面白え事言ってたか?」
爆豪と竜崎がマボロキこと幻の轟に笑っていると、本物の轟が首を傾げる。
すると夜嵐が他の4人に声をかける。
「いーからさっき話したヤツ行くっスよ!」
「はいよ!」
夜嵐が言うと、竜崎は海水の竜を生み出す。
「何を…っ!! している…っ!!」
お坊っちゃま系男子は、それを見てイライラしていた。
自分達の方が大人より優れている、自分達の方が力を立派に扱える、そう思っていた。
すると夜嵐が風で子供達子供達が出した武器を持ち上げた。
「君達は確かに凄いっス!! でもね!! ブン回すだけじゃまだまだっス!!」
「館内ってちょっと無いよねー、味気」
現見が幻を生み出し、轟が氷を形成する。
「行くっスよぉ!!」
するとオーロラが輝く夜空と氷でできた山岳、そして竜崎の水と轟の冷気でできた氷の竜が現れた。
山岳の中には、子供達の武器が散りばめられていた。
旋風で持ち上げられた子供達は、氷でできた滑り台を滑っていく。
それを見た女性教師とプレゼントマイクは思わず驚嘆する。
『ワオ!』
「わぁ…!」
氷の滑り台を滑る子供達も、驚きながら喜んでいた。
「おおおお〜〜!?」
轟は、滑り台に炎を飛ばして炎のアーチを作る。
するとさらに子供達は感嘆の声を上げた。
「こんな事できんのかよお」
「何よ何よ何よステキ…」
「複雑な形は形成出来ねェから、お前達が出したモンを骨組みに使わせて貰ったよ。立派な“個性”で助かった」
「玉城くん達だけズルいよ!!」
「ああ、並べ」
子供達がはしゃいでいると、轟が列に並ぶよう促す。
すると竜崎は、竜の形をしたスライダーに水を流してウォータースライダーを作り出す。
「ウォータースライダーやりたい子は俺の背中に乗ってねー」
「うおー、ドラゴンだ!」
「ギョジンじゃなかったのかお前!」
竜崎は、竜化して子供達を背中に乗せるとウォータースライダーの上を滑る。
すると竜崎のウォータースライダーを体験した子供達はワイワイとはしゃいだ。
そして、それを見ていた肉倉や教師陣は感心していた。
「完全にいなしつつ、心を折らずに交流を深められる立案か…」
『こういう使い方良いよなぁ。ホッコリするもん』
すると爆豪は、近くにいたお坊っちゃま系男子の腕を掴む。
「おらてめぇも交ざれ」
「何をするんです!! 離してくれません!? 程度が低いんです!!」
「てめぇが先導者だろ。いつまでも見下したままじゃ、自分の弱さに気付けねぇぞ。先輩からのアドバイスだ。覚えとけ」
爆豪は、お坊っちゃま系男子を夜嵐の前に連れてきた。
「オイハゲ! 魚野郎! 轟!!」
夜嵐は、旋風でお坊っちゃま系男子を持ち上げる。
爆豪の言葉を受け、お坊っちゃま系男子は爆豪の言葉が胸に響き感動で涙を流していた。
「皆で協力して今度はもっと凄い奴を! 爆風ジェットコースター作ろうぜ!!」
「「「「ハアアァイ!!」」」」
「それは無理じゃねぇか…?」
「あ、俺が土台作るよー。俺の“個性”と組み合わせてウォーターサイクロンなんてどう?」
夜嵐が提案し子供達が賛成すると、轟が夜嵐にツッコみ竜崎が手を挙げて提案する。
喜ぶ子供達の様子を見ていた女性教師は、感動で震えていた。
「あの聞かん坊達が……何て事…」
『この後が先生のターンです。上手く導いてあげましょ』
「…っはい」
プレゼントマイクが優しく声をかけると、女性教師は泣きながら頷いた。
その後、子供達が遊び終わると爆豪が氷を片付けた。
「本当にありがとうございました」
「いえいえ、お礼には及びません。お礼ならあいつらに言ってやって下さい」
女性教師は、ギャングオルカとイナズマに礼を言う。
するとイナズマは珍しく謙遜する。
爆豪が爆破で氷を粉々にしていると、轟と竜崎が子供達を遠ざける。
「危ねェから離れてろ」
「皆はお兄さんと一緒にこっちを片付けようねー」
「俺を後片付けに使うたァなァ…!! いいぜ…跡形もなく消し飛ばしてやる!!」
「何だかんだやってくれるのヤバ。マジ謝意」
「皆で遊んだら皆でお掃除っス!!」
「「「「ハァアァアイ!!」」」」
子供達は、掃除道具を持って掃除を始めた。
掃除を手伝う子供達を見て、女性教師は感動していた。
「あの子達があんなに素直になるなんて!」
女性教師が感動していると、ギャングオルカが言った。
「いいえ、元より素直なのです。故に危うい。彼らの態度がそのまま我々大人への評価なのです。……しかしまァ…ああも躊躇なく“個性”を人に放つのは教育の問題です。ヒーローといえど1から10まで面倒を見られるわけではありません。“個性”教育は先生…しっかりお願いしたい」
「……はいっ! 皆さんが与えてくれたキッカケを無駄にしないよう、彼らを教え導いて行きたいと思います…!!」
◇◇◇
「「「「「ありがとうございましたァア!!!!」」」」」
掃除が終わった後は、子供達が学校へ戻る時間となった。
「またな」
「ごめんなさいよ。あなた話がわかる人よ。また話せる?」
「うん。ケータイ買ったらマジ連絡して」
女子と現見はすっかり仲良くなり、握手を交わしていた。
すると竜崎をオモチャにしていた男子達が竜崎に謝ってきた。
「エラに息吹き込んですいませんでした」
「キンタマ殴ってごめんなさい」
「何だ、まだ気にしてたのか。覚えときな。スマートな奴ってのはな、大抵の事は笑って許すもんなのさ」
男子が竜崎に謝ると、竜崎はイケメンスマイルを浮かべて男子の頭を撫でる。
それぞれ子供達と別れの挨拶を交わし、子供達が帰っていく。
その後、ギャングオルカが講習生達を集めて締め括った。
「協力して子供達の心を掌握せよ、アバウトな課題に対しよく努めた」
(((アバウトな自覚あったんかい)))
ギャングオルカが言うと、イナズマや講習生が心の中でツッコミを入れる。
「他の者もよくついてきている!! 今日の講習を忘れる事なく次も励め! 君達はとても可能性…あ、糞共が!!!」
つい本音が漏れてしまったギャングオルカだったが、我に返るといつものキャラに戻った。
「キャラブレブレやないスか。やるならちゃんと最後までやりましょうよ」
『根は子供好きなんスよ彼。無理してんスよ』
ギャングオルカが講習生達に罵声を浴びせていると、イナズマがギャングオルカにツッコミを入れプレゼントマイクが解説を挟む。
こうしてこの日の仮免講習が終わったのだった。
◇◇◇
そしてその後、5人は総合体育センターから出てくる。
「俺、考えてみたらあんたの事もう全然好きっス!! “個性”の相性も良いっスし!!」
「そっか」
すっかり仲良くなった夜嵐と轟を見て、竜崎は微笑ましそうにしていた。
「良かったなー二人とも! なあーバックンも仲良くしようぜー。同調圧力に屈しろよー」
「つか爆豪って黙ってればソコソコ良さ気? 黙ってみて━━」
「黙ってろ」
竜崎と現見が爆豪にウザ絡みすると、爆豪は悪態をつく。
悪態をついていた爆豪だったが、何だかんだで竜崎が押し付けてきた高級土産の紙袋をしっかり受け取っていた。
ウィィ…ンと扉が開くと外では、オールマイトとプレゼントマイクが士傑高校の教師や肉倉と話をしていた。
「え━━何、肉倉オールマイトとダベるとかマジ象徴ー。ヤバイ何の話? 人生系?」
現見が尋ねると、肉倉がカーッと怒鳴る。
「貴様の話だ痴れ者が!!!」
「マジ? ヤバ」
すると肉倉の後ろから士傑の教師がスッと顔を出す。
「連合が今回雄英以外の学校に手をかけたという事実。これまで士傑と雄英は特段深い交流はありませんでしたが、情報共有も含め今後は連携していこうという話です。現見くんが襲われた動機も不明のままです。協力する事で奴らをより可視化できないかと」
「ヤッバ」
すると肉倉が説明を続ける。
「今後合同での実習も検討して下さるとの事だ!」
「次ァサシでぶちのめす」
「貴様はまだそう粗暴な言動を!! 立場をわきまえろ!」
「あんたに言われたかァねェんだよ」
肉倉と爆豪が言い合いをしていると、竜崎が仲裁に入る。
「まぁまぁ、クールになりましょ」
「うるせぇ!! つーか魚!! てめぇ何丸くなってやがんだ、試験の時のキャラはどうした!?」
「やめて黒歴史」
仲裁に入った竜崎に爆豪が正論を吐くと、竜崎は胸にグサッと刺さり激しく吐血する。
「俺はずっと、ガキみてえに意地ばっか張ってて大事なモン見失ってた。でも、あいつのお陰でやっと本気でやりたい事見つけたんだ。あとはあいつを追い越す為に死に物狂いで這い上がるだけだよ」
竜崎は、制帽をクイっと上げながらニカッと笑った。
一方、エンデヴァーは轟に話しかける。
「久し振りだな焦凍。ずいぶん変わった」
「親父」
「焦凍。お前は自慢の息子だ。ならば俺もお前が胸を張れるようなヒーローになろう。父はNo.1ヒーロー…最も偉大な男であると」
「…おう」
エンデヴァーが言うと、轟は少し複雑そうに頷く。
轟の目を真っ直ぐ見据えるエンデヴァーの目は、以前のような冷たさは一切感じられず暖かみのある目をしていた。
すると夜嵐が突然自分の頬を殴るので、現見と竜崎がビクッとする。
「エンデヴァァ━━━━!!!」
夜嵐が叫びながらエンデヴァーの方へ向かうと、エンデヴァーが振り向く。
「俺、応援してるっス」
「───…ありがとう。血が凄い出てるぞ」
夜嵐が言うと、エンデヴァーも笑顔で返す。
するとオールマイトが声をかける。
「じゃあ行こうか」
少しずつだが、エンデヴァーも少年少女も、時に立ち止まり時に振り返っては、一歩一歩と歩みを進めていた。