抹消ヴォイスのヒーローアカデミア   作:M.T.

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新技即興オペレーション

 合同訓練の第一試合は、ひなたの大活躍と蛙吹、上鳴、切島の三人の機転によって一人も投獄されずにA組が勝利した。

 その後、第一試合の反省会が行われた。

 

「建物への被害を最小限に抑え、総合力に長けた相澤を軸に三人ともよく動けた。最初の試合にしては上出来だ」

 

「っス!!」

 

「ケロケロ」

 

「あざっス!」

 

「そして相澤。第一試合は、お前の指揮官としての能力が勝敗を大きく分けた。今回のベストはお前だ」

 

「ありがとうございます。…でも、僕自身まだまだ行動に粗がありましたし、頑張らなきゃですかね」

 

 相澤がA組チーム4人を褒めると、4人は嬉しそうに頷く。

 ひなたも相澤に褒められて嬉しそうにしつつも、自分の反省点を振り返っていた。

 ひなたが一礼し三人と一緒に他のA組の元へ戻っていくと、心操がひなたに声をかける。

 

「ひなた」

 

「ひー君…」

 

 心操は、ひなたの頭にポフッと手を置くと、ひなたの頭をよしよしと撫でた。

 

「お疲れ様。よく頑張った」

 

「えへへー」

 

 心操がひなたの頭を撫でると、ひなたは頬を染めながらポワポワしたオーラを出す。

 すると峰田は、心操を指差しながら爆豪に声をかける。

 

「爆豪、殺れ」

 

「あ?」

 

 峰田が既に何人か殺していそうな表情でいきなり命令してきたため、爆豪は振り向くと同時に峰田を睨んだ。

 

「相澤さんの青み…良いわ」

 

「君ねぇ…」

 

 ミッドナイトが今回健闘したひなたに対し息を荒くしながら興奮していると、隣にいたオールマイトがドン引きする。

 ミッドナイトは、青春を感じられる相手であれば性別関係なく見境がなかった。

 そしてブラドキングは、B組チーム5人に説教をしていた。

 

「もう自分達でわかってるな? 宍田を軸にするか塩崎を軸にするか、チーム内での統率が取れていればここまで一方的な試合にはならなかったはずだぞ」

 

 ブラドキングが5人を睨むと、5人とも萎縮する。

 すると物間がB組チームの反省点を指摘する。

 

「塩崎は人を欺けない。そこの考慮が裏目に出たよね宍田」

 

「結果的に相手に準備をさせてしまっていたのですな…すまなんだ塩崎氏」

 

「業火に焼かれて」

 

 宍田が塩崎に謝ると、塩崎は祈りを捧げながら物騒な事を口走った。

 宍田は、人を欺けない塩崎は囮作戦を躊躇するだろうと思い塩崎に黙って囮作戦を実行したのだ。

 だが、チーム内で作戦の全容を共有していなかった事が仇となりひなたにそこを突かれて惨敗してしまった。

 するとブラドキングは、B組チーム一人一人にアドバイスをしていく。

 

「まず宍田、鱗! 今物間が言った通りだ。作戦自体は悪くなかったが、作戦を事前に塩崎に話しておくべきだった! それから、本命の作戦が失敗した時の第二第三の策も練っておくように!」

 

「はい…仰る通りですな」

 

「すみません…」

 

 ブラドキングが言うと、二人は反省した様子で頷いた。

 主に宍田と鱗で考えた作戦だったが、A組と決定的に違っていたのは、チームメイト全員で作戦を改良していく機会があったか否かだった。

 ひなた率いるA組チームは、チーム全員で勝ちに行こうとしていたからこそひなたを軸に動く事ができ、相手に喧嘩する気がないといまいち力を発揮できない切島や、すぐアホになってしまう上鳴を上手く立ち回らせた事でそれを証明していた。

 

「塩崎! 正々堂々を心掛ける姿勢はヒーローとして素晴らしいが、戦闘の時はそれだけでは通用しない事を頭に置いておくように!」

 

「己の未熟さを痛感しております…」

 

 ブラドキングがアドバイスすると、塩崎は涙を流しながら祈った。

 

「円場、口田! お前達も、宍田に頼りきりではダメだ! あらゆる事態に対応できるよう、ある程度行動パターンを自分で考えておけ!」

 

「はい…」

 

「………」

 

 ブラドキングが言うと、円場と口田が頷いた。

 するとブラドキングは、今度は5人を褒めちぎる。

 

「だがお前達はよくやった! 特に塩崎、鱗! お前達はあの状況でよく諦めずに戦った! 今回の悔しさを忘れずに励め!」

 

(((何だかんだで自分の生徒好きすぎるんだよなぁブラド先生)))

 

 ブラドキングが悔し涙を浮かべつつも5人に優しい言葉を投げかけると、A組が心の中でツッコミを入れる。

 

「まぁでも良いもの見せてもらったよ。おかげで、あいつらが人数的不利をどうやって埋めてくるのかを知る事ができた。アハハハ、楽しみだなぁ! せいぜい人数的に不利な僕らがA組チームを圧倒するのを想像して震えているといいさ!」

 

(相変わらずだな物間……)

 

 物間が高笑いすると、それを見たA組とB組両方が心の中でツッコミを入れた。

 B組の様子を見た緑谷は、自分達も作戦を練ろうとする。

 

「こっちも対策練らなきゃ。今出来る事・アイデア挙げてこう!」

 

「うん」

 

「よしゃ!」

 

「コンボつくろー」

 

 緑谷が言うと、他の4人も頷いた。

 緑谷達5人が作戦を練り始めると、他のチームも作戦を練り始める。

 

「俺達も煮詰めよう!」

 

「轟を軸に行こうか」

 

「俺か」

 

 飯田と尾白が言うと、轟がキョトンとする。

 第三試合のA組チームは轟を軸にする事が決まった。

 

「ばくごー! ウチらも」

 

「てめーら足引っ張んなよ」

 

「ウッザ…」

 

『怪我人ハ保健室ヘ。人間ハパーツ代替のきカナイ下等生命』

 

 耳郎が爆豪に声をかけると爆豪が悪態をついてきたので、耳郎が呆れ返る。

 それぞれが作戦を話し合う中、救助ロボットが怪我人を診て回る。

 A組とB組が作戦をあれこれ考えている様子を、ミッドナイトは興奮した様子で見ていた。

 

「これよ…! これですよ! 若人の青い春」

 

「冬だけど」

 

 ミッドナイトが興奮していると、オールマイトがツッコミを入れる。

 

「では第二セットチーム2! 準備を」

 

 ブラドキングが声をかけると、A組チームとB組チームはそれぞれ陣地に向かった。

 ひなたも、モニターの前に立って次の試合を楽しみにする。

 

(次のB組チームはしー君、いっちん、きーちゃん、まー君の4人か。ある程度手の内はわかってるけど、楽しみだ!)

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ブラドキングが声をかけると、A組チームとB組チームはそれぞれ陣地に向かった。

 すると拳藤が八百万に声をかける。

 

「八百万さ!」

 

「はい拳藤さん」

 

 拳藤が八百万に声をかけると、八百万が反応する。

 すると拳藤が八百万に尋ねる。

 

「ミスコン何で出なかったの? あんた絶対出ると思ってた」

 

「相澤先生がお伝え下さりませんでしたの。バンド練習があったのでどのみち出なかったでしょうが…」

 

「ふーん。職場体験からCM出演しちゃって、なーんか私達同列に見られてるんだよね。ハコ推しみたいな」

 

「箱押し?」

 

 八百万が拳藤の発言の意味を勘違いしていると、葉隠と常闇が口を挟む。

 

「丸ごと好きーって事でしょ!? 文化祭でも同じ人がヤオヨロズー! ケンドー! って叫んでたよ」

 

「イドラ。偶像崇拝」

 

「八百万の方が成績も“個性”も上なのに一緒くたにされてんのが地味に嫌だったからさ。個人的にちゃんと戦ってみたかったんだよね!」

 

「誠心誠意お受けいたしましょう」

 

 拳藤の宣戦布告に八百万が正々堂々受けて立つと、黒色が常闇に声をかける。

 

「…常闇、お前は…俺と同類だ」

 

「黒色支配…“個性”は黒に溶け込み黒の中を自在に移動できる…だったな」

 

「ケヒヒ…俺とお前は…宿命の存在」

 

「ホホウ。貴様も深淵の理解者」

 

「ヒヒ…常の黒に住む」

 

「わぁー」

 

 互いに宿敵と認め合う二人を、葉隠は変な物を見る目で見ていた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

『それではガンバレ拳藤第2チーム! START!!』

 

「偏向実況やめろー!」

 

 ブラドキングがB組に寄った実況をすると、芦戸が訴える。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

「よっし! 行こうか!!」

 

 B組4人は、拳を突き合わせて作戦を開始した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「頑張れー! ゆー君! ふみにゃん! とおるん! ヤオモモー!」

 

「張り切ってんね」

 

 ひなたは、触角をピコピコさせながらA組チーム4人を応援する。

 心操は、ひなたの熱気に若干戸惑いつつもA組チームを応援していた。

 

「拳藤ってB組でどういう立ち位置なん」

 

 瀬呂が尋ねると、鉄哲が大声で答える。

 

「おう!! ありゃあやる奴だぜ!」

 

「声がデケェ」

 

 鉄哲が答えると、瀬呂がツッコミを入れる。

 すると鉄哲が話し始める。

 

「何たって委員長だからな! 頭の回転早くて咄嗟の判断も冷静だ! それでいてクラスを纏める明朗な性格! あれがいなきゃ今頃皆物間に取り込まれてら!」

 

「オイオイ言い方」

 

(割と事実だと思うけどなァ)

 

 鉄哲が言うと、物間が貼り付けたような笑みを浮かべながら物申すので、ひなたは心の中で物間に反論した。

 鉄哲は、自信満々に拳藤についての説明を続ける。

 

「B組の姉貴分、それが拳藤一佳という女だ!」

 

 鉄哲の説明を聞いた轟は、モニターを眺める。

 

「咄嗟の判断、か。八百万のオペレーションがうまく刺さるかどうか……」

 

「オペレーション」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、A組チームはというと。

 八百万は、“個性”を発動しながら常闇に指示を出していた。

 

「B組チームの“個性”は大方把握していますが、どこまで伸びているか把握し切れていない以上準備をせずに交戦するのはリスクが高いですわ。常闇さん、索敵をお願いします」

 

「了解。黒影(ダークシャドウ)!」

 

「アイヨ!」

 

 八百万が指示を出すと、常闇は黒影(ダークシャドウ)を伸ばして索敵をする。

 八百万は、作戦を考えながらも必要なものをひたすら創造し続けていた。

 

「わぁー頑張るねヤオモモ!」

 

「短時間で大量に創造できるようになったね☆」

 

「これでオペレーションに必要なものは大方創造できました。皆さん、作戦をお伝えしますわ」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方、第二試合のB組チームはというと。

 

「“個性”は大体知ってるけども、新技とか“個性”伸びてると第一試合の宍田達みたく『わからん殺し』される。だからまず様子見って感じかね!」

 

 拳藤は、自分の考えをB組チームに話した。

 4人の前に、突然黒影(ダークシャドウ)が現れる。

 すると拳藤は、冷静に黒色に指示を出す。

 

「任せるよ黒色」

 

「様子見ジャネーヨ、今ココデヤレル奴ァヤッチマウゼ!!?」

 

「行ってきます」

 

 拳藤が指示を出すと、黒色はニィっと笑いながら闘る気満々の黒影(ダークシャドウ)に向かって歩き出す。

 一方A組チームは、黒影(ダークシャドウ)に索敵をさせて様子を見ていた。

 

「見つけたようだ。あの一際高く聳える煙突の下手前」

 

 常闇が報告すると、青山が常闇に話しかける。

 

「かなり遠くまで行かせられるようになってない? 君もインターンでレベルアップしてるのかい」

 

「どうかな。離れた分黒影(ダークシャドウ)の持続も短い。向かおう」

 

 青山が話しかけると、常闇が答えた。

 4人がB組チームのもとへ向かおうとすると、黒影(ダークシャドウ)が戻ってくる。

 

「あ、戻ってきた」

 

「皆散れ! 戻れ(ダーク)

 

 

 

 ドフッ

 

「「「!?」」」

 

 突然、黒影(ダークシャドウ)が常闇を殴りつけてきた。

 すると、黒影(ダークシャドウ)の中から黒色が出てくる。

 

黒影(ダークシャドウ)の中から黒色くんが!」

 

「フッ!」

 

「ケヒヒ!」

 

 八百万は咄嗟に網を創造して投げつけるが、黒色は近くにあった黒い配管に溶け込んで回避した。

 

 

 

 ベンタブラック

 本名 黒色支配

 “個性”『黒』

 “黒”に溶け込む事が出来る! 

 そして! 

 “個性”を伸ばした事で溶け込んだ黒い物を動かす事が可能に! (動かせる物に限る)

 

 

 

「常闇踏陰、お前は俺が穿つ」

 

 黒色が配管の中から常闇に宣戦布告すると、常闇が黒色を見据える。

 常闇は、黒色の目の前でバサッとマントを脱いだ。

 

「良いだろう。ホークスの元で編み出した技、“黒の堕天使”で受けて立つ」

 

「だてんし…!?」

 

 黒色は、『黒の堕天使』という厨二心擽る技名に思わずソワソワしていた。

 

「ケヒヒ、黒の堕天使!? 良いじゃねえか見せてみろ!」

 

 黒色は、再び影の中に溶け込み移動した。

 

「影の中を移動しています!」

 

「また単騎突撃って、これは想定外!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 モニターで試合の様子を見ていた尾白は、黒色が一人で来た事に驚く。

 

「さっきの一戦目と同じ展開で来るとは!」

 

「裏の裏か」

 

「しかも僕達の試合ではB組がそれやって失敗してるし、余計に想定外だろうね」

 

「この配管まみれのステージじゃ居場所把握は無理だ!」

 

 黒色が一人で来た事に対し、ひなたが解説を挟む。

 ひなた達の時は宍田がその作戦を取って返り討ちに遭っているため、まさかB組が前のチームが失敗した手で攻めてくるとは思っていないであろうとA組は考えており、今回のB組チームの作戦はそこを見事に突いていた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 A組がB組の戦い方を分析していた頃、黒色は影の中を縦横無尽に動き回っていた。

 

「常闇くん大丈夫!?」

 

「ああ」

 

 すると黒色は、常闇を攻撃すると思わせ青山のマントを掴んだ。

 あからさまに厨二病っぽさを前面に出したのも、先程常闇に宣戦布告したのも、全てA組チームに自分の狙いが常闇だと思い込ませる為の精神的トラップだった。

 自分が厨二病っぽいキャラだという事を自覚していたからこそ、それを利用してA組チームを騙す事に成功したのだ。

 それが陰謀ヒーロー『ベンタブラック』のやり方だった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 強かにも騙し討ちをしてきた黒色に、モニターで見ていた塩崎は心を痛めていた。

 

「見直しなさい、抜本的に」

 

 一方でひなたも、黒色の戦法には悪い意味で感心していた。

 

「自分を客観的に見れてる人程敵に回したら恐ろしいものはないよね」

 

「確かに」

 

 ひなたが言うと、心操がひなたの発言に同意する。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 黒色が青山のマントに手を伸ばした、その瞬間だった。

 

「『集光屈折ハイチーズ』!!」

 

 突然、青山の近くにいた葉隠が光った。

 すると黒色は、黒い配管から炙り出される。

 

「ぐわっ!?」

 

 黒色が青山のマントから手を離すと、葉隠が青山に駆け寄る。

 

「青山くん大丈夫!?」

 

「メルスィ…☆」

 

 葉隠が青山を助けると、青山が礼を言った。

 炙り出された黒色に、八百万が拘束弾を放つ。

 黒色は、咄嗟に拘束弾を避けた。

 

「やはり、先程の発言はブラフでしたわね」

 

「チッ…」

 

 作戦が失敗した黒色は、何とか近くにあった黒い配管に逃げ込んだ。

 

「あっ、逃げた!」

 

「問題ない、俺に任せろ」

 

 黒色が逃げると、常闇が前に出る。

 その頃黒色は、作戦は失敗したが、黒い配管の中を縦横無尽に逃げ回る自分にA組が追いつけるわけがないと思っていた。

 だが…

 

黒影(ダークシャドウ)『黒の堕天使』」

 

 常闇は、青山を抱えた状態で黒い翼を生やして飛び猛スピードで黒色を追いかけてきた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「「「飛んだ!!!」」」

 

「騎馬戦で組んだ時の作戦を参考にした新技だよ。ふふん、やっぱりあの時ふみにゃんを選んだ僕の目に狂いはなかったみたいだ」

 

「楽しそうだなひなた」

 

 空中を飛んで追いかけてきた常闇に、B組が驚いていた。

 ひなたが自慢げに語っていると、心操がツッコミを入れた。

 実際は常闇が飛んでいるわけではなく、常に浮遊状態の黒影(ダークシャドウ)がマントに包まれた状態で常闇を抱えて飛んでいたのだ。

 騎馬戦の時に取った作戦を参考にして、ひなたのアドバイスのもと編み出した技だった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「それが…!!」

 

 常闇が追いかけてくると、黒色がソワっとする。

 すると、八百万が指示を出す。

 

「青山さん『ネビルビュッフェ』を! 常闇さんは自由飛行!!」

 

「影の形を変えるまでさ!!」

 

黒影(ダークシャドウ)! 外套を纏え!!」

 

「アイヨ!」

 

 常闇は青山を抱えて空を飛び、青山はスーツに取り付けられたレーザーの噴射口から幾度となくレーザーを発射した。

 青山のレーザーによって影が動き、影に溶け込めなくなった黒色は配管から弾き出された。

 

「いました葉隠さん!!」

 

「よっしゃー捕まえるぞー!!」

 

 葉隠に指示を出した八百万は、黒色を捕らえようとする。

 だが、その時だった。

 突然、ステージの至る場所にキノコが生える。

 

「やっぱ、拳藤の方が上手だな」

 

 黒色は、それを見てニヤリと笑う。

 

「光ったら黒色失敗。うふふうふふ。プランB。キノコまみれにしちゃいノコ!」

 

 小森は、不敵な笑みを浮かべながら次々とキノコを生やした。

 配管に囲まれたステージは、あっという間にキノコまみれになった。

 

「クロハナビラタケくん、キシメジちゃん、エノキタケにヒトヨタケ! 生えろや生えろ、世界をキノコで魅了しろー!」

 

 小森は、拳銃型の噴霧器でミストを撒き次々とキノコを生やしていく。

 

 

 

 シーメイジ

 本名 小森希乃子

 “個性”『キノコ』

 身体から胞子を飛ばし瞬時にどんな場所にもキノコを生やす! 

 湿気が多いほどよく飛びよく生える! 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 それを見ていた峰田は、思わずゾッとしていた。

 

「どんどんキノコで埋め尽くされてくぞ……ホラーだ」

 

「彼女のキノコは2〜3時間で全部消えるから後に引かないんだ。そのせいでブッパ癖がついてるけど」

 

「うん…でも見てアレ」

 

 峰田が恐怖を覚えていると、泡瀬が小森の“個性”について説明する。

 だがひなたは、ステージがキノコで埋め尽くされても冷静だった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一方青山の捕獲に失敗した黒色は、黒いキノコの中に溶け込んでいた。

 

「ケヒヒ」

 

 黒色は、ステージ内のそのまま黒い部分を縫って小森と合流しに行こうとする。

 小森は、いたずらっ子のように無邪気な笑みを浮かべながらキノコの胞子を大量に放つ。

 

「ノコノコ♪ あいつらこっちの位置は分かってないから、このまままとめてキノコ攻め」

 

 小森は、高所からA組チームを見下ろしながら胞子を放つ。

 だが…

 

 

 

「二段構えのオペレーション、流石ですわ拳藤さん」

 

「は!?」

 

 A組チームは、小森のキノコ攻撃を喰らっても身体からキノコが生えていなかった。

 それだけでなく、A組チームは全員八百万の創造したガスマスクをつけていた。

 小森は、キノコ攻撃に一切動じずに動くA組チームに対し、動揺を隠し切れない様子だった。

 八百万は、黒色が失敗したら小森あたりが範囲攻撃を仕掛けてくるだろうと踏んでおり、小森の“個性”を喰らわないようにチームメイト全員にエタノールで滅菌処理を施していた。

 それだけでなく、胞子を吸い込んで体内にキノコを生やされる可能性まで考えて全員分のガスマスクを創造して配っていた。

 それを見た拳藤は、流石にここまで用意周到に対策をされているとは思わなかったのか、わずかに目を見開いていた。

 

「やるね」

 

 拳藤は、二段構えのオペレーションを見抜いてきた八百万に対し感心していた。

 八百万は、常闇に抱えられて宙に浮いている青山に指示を出した。

 

「青山さん!」

 

「行くよ☆『ネビルビュッフェ・メテオール』」

 

 青山は、サポートアイテムの鏡を展開し、鏡に『ネビルビュッフェ』を反射させる。

 反射した光は、黒に溶け込んで小森と合流しようとしていた黒色目掛けて飛んでいった。

 

「え」

 

 自分の位置がバレているとは思っていなかった黒色は、一瞬判断が遅れる。

 その直後、黒色は、青山の攻撃を喰らった。

 

「うわ!?」

 

 青山が放った攻撃は、鏡面反射によって一切の無駄なく黒色に浴びせられた。

 青山の容赦無い集中攻撃に、黒色は影に溶け込めなくなり外に弾き出される。

 青山の効率的な攻撃のおかげで黒影(ダークシャドウ)もさほど弱体化せずに済み、常闇は青山を抱えたまま黒色を捕らえに一直線に飛んでいき、葉隠も他のB組チームを探し出して捕まえに行く。

 一方で八百万は、あらかじめ創造しておいた二丁のグレネードランチャーを構え、高みの見物をしていた小森目掛けて放つ。

 

「わ!?」

 

 小森は、見るからに動揺しつつも咄嗟に配管に隠れてグレネードランチャーの弾を回避した。

 するとその直後、元々小森がいた場所に着弾した弾が割れ、中から大量のトリモチが飛び出す。

 

「何でこっちの位置が分かってるノコ!?」

 

 小森は、何故八百万が自分を狙い撃ちできたのかわからず、動揺した様子で物陰に身を潜めていた。

 一方で拳藤は、4人がつけているガスマスクを見てすぐにその理由に気がつく。

 

(あのゴーグル…サーモグラフィーか!)

 

「しゃあない、予定より早いけどアレやるよ! 吹出!」

 

 A組チームに自分達の位置がバレている以上、出し惜しみしている場合じゃないと考えた拳藤は、吹出に指示を出す。

 

「吹出くんみっけ!」

 

 サーモグラフィーゴーグルをつけていた葉隠は、八百万から貰ったグレネードランチャーで吹出を狙撃しようとする。

 するとその直後だった。

 

「ゴンッ、ガンッ、ドガッ、あ━━〜ズドッズンッ」

 

 吹出が奥の方から声を出す。

 すると次の瞬間だった。

 

 

 

 ゴンッガンッドガッズドッズンッ

 

 

 

 効果音の形をした巨大な物体が迫ってくる。

 巨大な物体は、建物を破壊しながらA組4人に襲いかかってきた。

 

「な──っ」

 

「これは…」

 

「何か出た━━!!!」

 

 4人が驚いている中、吹出は上機嫌でガッツポーズをしていた。

 

「冴えてるぞ! ボク! ガンッて感じのがギャギャーンっと出来た! 心がドワァーってなっちゃうぜ!」

 

 

 

 コミックマン

 本名 吹出漫我

 “個性”『コミック』

 擬音(オノマトペ)を具現化できる!! 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 戦局をモニターで見ていたA組は、少し苦い表情を浮かべていた。

 

「範囲攻撃二人はキツすぎる。あと…オノマトペ海外だとどうなるんだ」

 

「知らん見ろ!!」

 

 砂藤が野暮なツッコミをすると、瀬呂がそれ以上は言うなと言わんばかりに怒鳴る。

 すると轟が口を開く。

 

「今の壁で八百万だけ分断された」

 

 モニターを見ると、八百万だけ三人と離れた場所にいた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ブレーンを切り離した! あとは力で攻め切る!!」

 

「盾をッ」

 

 拳藤が背後から大拳で張り手を仕掛けると、八百万はジュラルミンの盾を創造して防いだ。

 だが、拳藤の怪力の前には歯が立たずあっさり吹き飛ばされた。

 

「ぐっ!」

 

 

 

 バトルフィスト

 本名 拳藤一佳

 “個性”『大拳』

 拳がでっかくなる! 

 パワーもその分でっかくなるのだ!! 

 

 

 

「格闘分野に持ち込めば、こっちにも勝機はあるってね! 考える時間は与えない」

 

 拳藤は、そのまま八百万に猛攻を仕掛ける。

 八百万は、咄嗟にマントで拳藤の視界を塞ぐと、事前に創造しておいた銃火器の銃口を拳藤に向ける。

 だが拳藤は、八百万が発砲する前に砲身を叩き潰して一瞬にして銃を鉄屑へと変えてしまった。

 八百万が武器を使って拳藤に反撃しようとしても、それを全て見透かすように拳藤が八百万の武器を叩いて鉄屑へと変えていく。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 それを見ていた鉄哲は、大声で拳藤を応援していた。

 

「あっという間に有利な状況を作り出しやがった!! これがウチの拳藤さんよ!!」

 

 だが、轟がボソッと口を挟む。

 

「最善手かはわかんねぇな」

 

「え!!?」

 

 轟が言うと、鉄哲が轟の方を振り向く。

 

「八百万を警戒しての分断なら見誤ったかもな」

 

「え!?」

 

「あいつを警戒すんなら、四人の総力で真っ先に潰すべきだった」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 八百万は、大砲を創造し砲口を拳藤に向けた。

 流石の拳藤も目を見開いて怯んでいた。

 

「ちょっと、大砲って!!!」

 

「時間が掛かりますの。大きなものを作るのは!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 モニターで見ていたB組も、思わず目を見開く。

 

「そんなん死んじまうぜ!!」

 

「あの子大砲好きだな」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 八百万は、拳藤が怯んだ隙に大砲を右へ逸らす。

 八百万が砲口を向けた先には、吹出が生み出した擬音の壁があった。

 

「発想が物騒だな!!」

 

 拳藤は、両拳を巨大化させて八百万を砲台に打ち付け発砲を止めようとした。

 だがその直後、大砲が火を吹き何かが撃ち出された。

 

「チッ」

 

 大砲で撃ち出されたものは、擬音の壁を超えて飛んでいく。

 八百万の発砲を許してしまった拳藤は、思わず舌打ちをする。

 するとその時、大砲に打ち付けられた八百万が口を開く。

 

「あなたもですわ、拳藤さん」

 

「何?」

 

「近接戦闘を得意とするあなたが私を分断して潰そうとするのはわかっておりましたの。ですから、あえて作戦に乗らせて戴きましたわ」

 

 そう言って八百万は、手に隠し持っていたスイッチを押した。

 するとその瞬間、拳藤の足元の床が展開し、床に仕込んであった爆薬が一斉に爆発した。

 まさか分断した先に爆薬を仕込まれているとは思わなかった拳藤は、思わず目を見開く。

 八百万がグレネードランチャーを持って一人で突っ込んできたのは、分断されやすくする為の作戦だったのだ。

 

(アレは手の内だったのか…!)

 

「そんなのアリかよ!?」

 

 拳藤の足元の爆薬が一斉に起爆すると、拳藤が叫ぶ。

 するとその直後、爆薬と一緒に仕掛けていた別の罠が発動する。

 

「チッ…!!」

 

 拳藤は、咄嗟に拳を巨大化して飛んできた罠を薙ぎ払った。

 だが、八百万が仕込んでいた罠はそれだけにとどまらなかった。

 八百万が仕込んでいた爆薬の中には、トリモチやワイヤー、麻痺毒などの細工も仕込んであり、拳藤は八百万が発動させた罠に嵌って身動きが取れなくなる。

 一方で、拳藤に叩きつけられた八百万は、大砲に寄りかかってゆっくりと身体を起こしていた。

 

「くっ……」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 数分前。

 青山によって居場所を炙り出された黒色は、一旦退いて態勢を立て直そうとする。

 

「ちっ…!」

 

 だが、黒に溶け込んでいない時の黒色の逃走速度はたかが知れていた。

 常闇は、猛スピードで黒色との距離を殺した。

 

「居所さえわかればこちらの間合い。逃れ潜む事すら許されぬ疾風怒濤。ホークス曰く、疾さは力に勝るという。『深淵闇躯(ブラックアンク)』『夜宴(サバト)』」

 

「がはっ!!」

 

 常闇は、目に留まらぬ早業で黒色を叩いた。

 黒色が頭を叩かれてよろめいたところを、常闇がトドメの一撃で意識を刈り取ろうとする。

 だが、その時だった。

 

「『ギュン』!!」

 

 突然、『ギュン』が常闇目掛けて飛んでくる。

 常闇は、咄嗟に『ギュン』を黒影(ダークシャドウ)の右腕で弾く。

 

「何だ…?」

 

 常闇が『ギュン』の飛んできた方を振り向くと、真っ黒に塗装された『ギュン』が落ちていた。

 それを見た黒色は、ニヤリと笑う。

 

「…ありがとよ、吹出」

 

 黒色は、常闇の一瞬の隙をついて吹出の生み出した『ギュン』の中に溶け込む。

 するとその直後、黒色が操る『ギュン』が常闇目掛けて体当たりを仕掛けてくる。

 黒色が操る事によって加速したオノマトペによる体当たりは、常闇の態勢を崩すには十分だった。

 

「ぐ…!」

 

「常闇くん☆」

 

「ケヒヒ!」

 

 常闇に体当たりを仕掛けた黒色は、そのまま猛スピードで物陰へ引っ込んでいく。

 それを見た葉隠は、物陰へ逃げた黒色を追いかける。

 

「逃がすかー!」

 

 だが、その時だった。

 突然、物陰からゴゴゴゴ…と物音が聞こえてくる。

 その直後、真っ黒に塗装されたオノマトペをいくつも合体させた巨人が物陰から現れる。

 それを見た葉隠は、ギョッとして声を上げる。

 

「何あれ!?」

 

「ノコノコ、さすが一佳♪ こうなる事も想定済みだっタケ」

 

「あー、喉がイガイガする」

 

 漆黒の巨人を見て葉隠がギョッとして声を上げる一方で、小森はケラケラと笑っていた。

 吹出は、“個性”の使い過ぎで痛くなった喉を押さえていた。

 黒色が漆黒の巨人に溶け込んで襲いかかってくると、青山はネビルビュッフェで巨人を照らして黒色を炙り出そうとする。

 

「光で炙り出せばどうって事ないさ☆」

 

「ケヒヒ、無駄無駄」

 

 青山は、ありったけの光を放って巨人を照らす。

 だが漆黒の巨人は、光で照らされるどころか凹凸も視認できない程真っ黒に染まっていた。

 塗装に使われていたのは、サポート科が黒色用に量産した光を99.9%以上吸収する特殊な塗料だった。

 光が効かなくなった黒色を見て、青山はキュッと眉間に皺を寄せる。

 常闇は、黒影(ダークシャドウ)を纏って黒色と交戦する。

 力はほとんど互角だったが、右腕に取り付けられた『ドカン』が常闇に殴りかかった瞬間に爆発する。

 

「ぐぁ…!!」

 

 漆黒のオノマトペは、黒色が操作する事によって任意のタイミングで効果を発揮できるようになっていた。

 それを見た吹出は、ガッツポーズをする。

 

「芸術は爆発さ! 合技『ベタ塗り(ブラック)ジャイアント』!」

 

「ぐ…!!」

 

 爆発を喰らった常闇は、態勢を立て直そうとする。

 物陰からは、小森がキノコの胞子を放って二人を援護していた。

 

「やるじゃんさすが黒色ー!」

 

「ああ、うん……」

 

(『さすが黒色』…!)

 

「その調子でまとめてやっつけちゃいノコ!」

 

「どわあ!!」

 

 隙をついて小森と吹出を先に捕らえようとする葉隠だったが、『ドシン』で踏まれそうになり前方へ転がる。

 そして青山はというと、漆黒の巨人の中を移動していた黒色に捕まってしまっていた。

 

「ヘ━━━━━━━ゥプ!!」

 

「青山!!」

 

 黒色は巨人を隠れ蓑に、青山を掴んだまま激カワプリズンへと直行しようとする。

 A組が絶体絶命のピンチに陥った、その時だった。

 

 

 

 ドゥン

 

「!」

 

 八百万の大砲で打ち出されたものが擬音の壁を超えて飛んできた。

 その直後、砲丸が漆黒の巨人の頭上で炸裂し、大量の白色塗料が巨人に降り注ぐ。

 すると巨人が上から白く塗り潰される。

 

「くそ…!」

 

 巨人を白く塗り潰され黒に溶け込めなくなった黒色は、青山を手放し、まだ黒い塗料が残っている部分へ逃げる。

 だが常闇は、黒色が逃げるのを見逃さず、目に留まらぬ猛攻を仕掛ける。

 

「『深淵闇躯(ブラックアンク)』『魔皇(アザトホース)』!!」

 

「ぐぁあああぁああああああ!!!」

 

 常闇は、極限までパワーアップさせた黒影(ダークシャドウ)を纏って目に留まらぬラッシュを何百発も放ち、オノマトペの巨人を粉々に砕いた。

 常闇の容赦ないラッシュが直撃した黒色は、ボロボロになってオノマトペから弾き出される。

 常闇は、気を失った黒色を確保した。

 

「黒色!」

 

 小森は、常闇に捕まった黒色を助けようと噴霧器を常闇に向ける。

 だがその直後、青山のレーザーが小森に襲いかかる。

 

「ぎゃ!」

 

「油断大敵さ、マドモアゼル☆」

 

 青山のレーザーが直撃した小森は、そのまま意識を手放す。

 サポートアイテムの鏡を使って小森の背後からレーザーを当てた青山は、頭の後ろで手を組んで決めポーズをしていた。

 二人をやられた吹出は、“個性”を限界まで使ってしまった事もあって、二人を助けに行けずに焦っていた。

 

「くそっ、黒色! 小森!」

 

 吹出は、一旦態勢を立て直そうとする。

 だがその時、吹出は突然身体をくの字に曲げて吹き飛ばされる。

 鳩尾に重い一撃を喰らった吹出は、そのまま後ろにあった配管に背中を叩きつけられて気を失う。

 

「ぐは…!!」

 

「ひなたちゃん直伝無音殺法!」

 

 音もなく吹出の目の前に忍び寄った葉隠は、構えを取ってドヤ顔をした。

 

「八百万のオペレーション通りだったな」

 

 常闇は黒色を、青山は小森を、葉隠は吹出を連れて激カワプリズンに投獄した。

 

「これでB組はあと一人…八百万と合流するぞ」

 

「うん!」

 

「スィ☆」

 

 常闇が言うと、葉隠と青山が頷く。

 だがその時、A組チームの視界がグニャリと歪み、三人全員その場に倒れ込んだ。

 

「何これ、動けない…」

 

 葉隠は、起き上がろうとするが、全身の力が抜けて立ち上がれなかった。

 するとその時、青山に意識を刈り取られていた小森が意識を取り戻した。

 

「『ノコノコポイズン』。テングタケ、フウセンタケ、ベニタケ…色んなキノコの毒を混ぜて作った麻痺毒ノコ」

 

「くっ…不覚……」

 

「ごめんね。可愛くないし(ヴィラン)っぽいからやりたくなかったけど、手を抜いて負けるなんてダメキノコだもん」

 

 小森は、倒れ込んだA組チームを見下ろしながら不敵な笑みを浮かべる。

 小森がA組に向かって生やしていたキノコは、毒キノコだった。

 小森は、“個性”伸ばしの訓練により、キノコの毒を自在に操れるようになっていた。

 本来毒キノコは体内で分解されない限りはさほど害がないものがほとんどだが、小森はキノコの毒を調整する事で、触れるだけで幻覚や呼吸困難などの症状を引き起こす猛毒キノコを生やす事に成功していた。

 小森は、A組にキノコ攻めが効かないとわかると毒攻めに作戦を変更し、A組の周りに毒キノコの胞子を撒きつつ、黒色や吹出との交戦でわざと激しく動き回らせて毒の回りを早めていたのだ。

 

「あんたらは動けないから、一佳が来れば終わりノコ」

 

「くぅ〜っ、本当は4-0で勝ちたかったけどね!」

 

 小森は、檻の中で不敵な笑みを浮かべていた。

 ここで拳藤が来れば、4-3でB組の逆転勝ちになる。

 B組は、そう考えていた。

 だが…

 

 

 

「皆さん……!」

 

 そこへ現れたのは、ボロボロになりながらも拳藤を抱えてきた八百万だった。

 それを見たB組は、思わず素っ頓狂な声を上げる。

 

「は!?」

 

「嘘だろ…拳藤が…!」

 

 拳藤に抵抗されてボロボロになった八百万は、思うように動かない身体を引きずって檻の前まで行くと、最後の力を振り絞って拳藤を投獄した。

 するとその直後、八百万が檻の前に倒れ込む。

 脂質を限界まで使った上に、拳藤と戦って体力が底を尽きたのだ。

 

「百ちゃん…!」

 

「危ないところでした…あらかじめ罠を造っていなければ負けていましたわ」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「ああああ拳藤!!」

 

「だから言っただろ。最善手かはわからねえって」

 

 鉄哲が嘆くと、轟が呟く。

 一方ミッドナイトは、試合を見てゾクゾクと興奮していた。

 

「八百万は良いリーダーになりそうだね。色んなプルスウルトラが見れて満足」

 

『第2セット!! 4−0でA組勝利!!』

 

 ブラドキングが勝敗を言い渡し、第二試合は幕を閉じた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 決着がつくと、小森は毒を盛ったA組チーム三人を介抱した。

 

「メンゴね皆。これ解毒剤ね」

 

「情けは無用…!」

 

 小森が青山、常闇、葉隠の三人に解毒剤を渡すと、常闇は痩せ我慢をしつつも解毒剤を受け取って飲んだ。

 一方、限界まで“個性”を使った八百万と、必死に抵抗してボロボロになった拳藤は救助ロボットに運ばれていた。

 

「吹出! 黒色! わかってるとは思うが被害は最小限に!」

 

 ブラドキングは、大暴れしすぎた吹出と黒色に注意をした。

 

「……うむ…ステージの移動も兼ねて」

 

「少しインターバル挟むか」

 

 相澤とブラドキングは、第三試合を始める前に休憩を挟む事にした。

 休憩時間中、A組とB組は意見交換をしていた。

 

「B組さァ、曲者多くない?」

 

「いやこっちのセリフ」

 

「吹出くんあんなデカイの出せるんだねー」

 

「喉がイガイガになるけどね! グッと堪えるのさ!」

 

 緑谷も、2回の試合から学んだ事をノートに書き留めていた。

 

「当たり前だけど、皆“個性”だけじゃなくて精神面での成長が“個性”をさらに強くしてるんだね」

 

「書くなあ〜、デクくんも成長しとるさ」

 

「だといいなぁ」

 

「オイラにゃ及ばんけどな」

 

「ああ、うん」

 

 緑谷を励ます麗日に対し緑谷が苦笑いを浮かべると、何故か峰田が出しゃばってきてドヤ顔をするので心操は若干戸惑った様子で頷いておいた。

 

 

 

 

 




原作よりヤオモモを有能にしました。
あと、以前空想科学読本を読んだ際、『400kgの盾を持てるヤオモモとそれをペシャンコにできる拳藤ちゃんヤバすぎ』という指摘があったので、その部分を修正しました。



                試合表

                      
                第一試合  
              試合時間 2分57秒
◯    相澤・蛙吹・上鳴・切島 5ー0 口田塩崎宍田円場  ×

                第二試合      
              試合時間 18分26秒
◯   青山・常闇・葉隠・八百万 4ー0 黒色拳藤小森吹出   ×  
 
                第三試合        
       飯田・尾白・障子・轟 vs 回原・角取・鉄哲・骨抜   
 
                第四試合       
      砂藤・耳郎・瀬呂・爆豪 vs 泡瀬・鎌切・取蔭・凡戸
 
                第五試合    
   芦戸・麗日・心操・緑谷・峰田 vs 小大・庄田・物間・柳



捏造技紹介

『ネビルビュッフェ・メテオール』
青山の本作オリジナル技。
八百万に作ってもらったサポートアイテムの反射鏡を使って『ネビルビュッフェ』を反射させる技。
360°全方位からの攻撃が可能になる。

ベタ塗り(ブラック)ジャイアント』
黒色と吹出の合わせ技。
吹出が作ったオノマトペの巨人に黒い絵の具を塗り、黒色が入り込んで操る技。
オノマトペの種類によって、無数のパターンの攻撃が可能。
オノマトペの四肢は切り離しも可能。

深淵闇躯(ブラックアンク)魔皇(アザトホース)
常闇の本作オリジナル技。
闇を溜め込んだ黒影(ダークシャドウ)の腕部を強化し、何百発ものラッシュを放つ技。
物量で勝る相手を切り崩すのに有効。
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