ドラえもんではなくそのすぐ後ろでした   作:ひよっこ召喚士

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大変長らくおまたせしました。夏の間に投稿しときたいので、後編書き途中ですが前編だけ投げます。


鳴り響け祭囃子!!ロボット学校文化祭!!前編

 

 文化祭、それは日頃の成果を大体的に見せ合う学校行事の中でも上位に位置する程大きく、そして人気のあるイベントだ。

 

「……と言うことで明日公開される事前情報には記載したいと思うとるんじゃが、構わないかね?」

 

「えぇ、開催期間中は講演イベントを大講堂で午前と午後に一回ずつ。それと初日の開催と二日目の締めの演出、承りました」

 

 ロボット学校のトップである寺尾台校長先生からの依頼となれば受けないと言う選択肢は無い。そもそももっと前から話自体は進んでいたから予定は問題なく調整できている。

 

 一日中拘束される様な物だとせっかくの行事を楽しめないが、このスケジュールであれば合間合間に各クラスや部活を周れる。

 

「ただ…クラスの催しとドラえもん達との催し、参加するとしたら何方かにしか協力出来なさそうですね」

 

 今から自身の講演と行事の演出の準備をするとなると流石に時間に余裕はない。その何方かへの協力だって僅かな物となるだろう。その様に特別クラスで告げると……

 

「ハイドラにはクラスに協力して貰うからな!!」

 

「はっ!!こっちは既にドラえもんズの名前でブース申請出してるんだよ!!チーム名簿にもハイドラの名前があるからにはこっちが貰うのが筋だろうが!!」

 

「いつもいつも一緒に行動してるんだからたまには譲るくらいの心の広さを持ったらどうなのさ?」

 

「いつも一緒に居るんなら同じ様に一緒に居るのが自然だろうが!!それを心の広さだなんだって話題をずらして……小さいなお前、はははは!!」

 

「なんだとこらぁ!!」

「誰が小さいだって!!」

「あぁ!!やんのかよお前ら!!」

 

 キッドもジャイベエとスネキチも喧嘩っ早い方ではあるから多少は仕方ないのかもしれないが、なんで今回はこんな大喧嘩に発展するんだろうか。

 

「それだけハイドラが評価されてるって事ですね」

 

「ぼくたちならこんな取り合いにはならないよ」

 

 困りましたね。日常生活や私的な利用ならまだしも完全な学業や就労では『コピーロボット』等の自己複製系道具は使えません。

 

 時間操作系統や時間移動系統も無理なので自分を増やしての解決は望めません。だから何方に参加するかは重要な問題なのは確かです。しかし……

 

「肝心な私の意見は無視ですか?」

 

 その言葉に争っていた三人も含めて教室の全員がはっと静まりかえると気不味そうな笑みを浮かべて私の方を見ていた。

 

「こうなった以上は私は何方にも参加しませんよ」

 

「「「えぇー?!」」」

 

 えぇーも何も、何方を選んでも不公平な事には変わりないですしね。ドラえもん達を贔屓している自覚はありますが安全な学校行事まで手や口を出しても仕方ないでしょう。

 

「手が空いてれば知恵くらいは貸しますよ」

 


 

「それでどうするよ」

 

「やる事は決まってるんですから今から準備をするだけでしょう」

 

「確か昔学のレポート代わりになるからって昔の祭りの再現ブースを作るんだったよね?」

 

 ドラえもん達はハイドラが参加できないと確定すると直ぐに対策を練るために集まっていた。

 

「漠然とし過ぎだろ。とっととやる祭りの中身とか決めとかねぇと間に合わねぇぞ」

 

「クラスの仕事のノルマも考えるとぎりぎりであ~る」

 

 勿論特別クラスに所属しているドラえもん達もクラスでの仕事がある。そこいらへんは部活の方に参加する生徒も同じなので文句は言えない。

 

「お祭りならやはり一年の節目ごとにお祝いする中国です。規模も勿論大きいですよ!!」

 

「アメリカだってイベントは多いぜ!!派手さなら負けねぇよ!!」

 

「情熱の国と言われるスペインを忘れてねぇか?熱い祭りで注目を集めてやるよ!!」

 

 それぞれが押している祭りの情報を殴り合うかの様な勢いで捲したてて話し出すと、その傍らで何やらドラえもんがメモを取り出す。

 

「え〜っと…なになに…『それぞれが主張をし始めると止まらず、時間の無駄、決める物があるなら因んだ物にするか、リーダーのドラえもんが決めなさい』…えぇ……ぼく祭りとか全然分からないんだけど」

 

「それならドラえもんの出身設定国で、ロボット学校も置かれてる日本の祭りにしようよ!!ボク資料を調べてくるね!!」

 

「やれやれ、どうせ忘れるであるからワガハイ追いかけるであ~る」

 

 決まると素早いのがドラリーニョだが、結果が伴うかはまた別の話になるためドラメッドが後を追いかけていった。

 

「それじゃドラニコフとぼくでブースの下見と企画書の下書き、後は手続きとかもう一回纏めとこうか」

 

「バウバウ」

 

 喧嘩している三人をそのままおいて他の面々はしっかりと準備へと移っていった。なお三人は最終下校時刻になるまで喧嘩したまんまであった。

 

 そして、分かりきった話だがドラえもんにメモを渡したのはハイドラであり、『ドラえもんズ対応メモ』と題が書かれていた。

 


 

 そしてクラスの準備とドラえもん達との企画から離れたハイドラはとても多忙な時間を過ごしていた。

 

「ハイドラさん、大講堂の席はこのままで良いんでしょうか?」

 

「聴講者が当日の整理券と事前の申し込みで抽選に当たった方のみなので席の数は問題ありません。ですが立ち見がトラブル対策の関係で無しになるので、出入りを優先させて通路に余裕を持たせる様に配置直しをお願いします」

 

 まず第一に自身が予定している講演の会場のセッテイングもハイドラに任されており、スタッフからの質問が絶えない。

 

 他にも講演予定の者は居るがメインを飾るのがハイドラである為、余程偏らない限りはハイドラがやりやすい様にセットして良いと言われての事だが、準備段階においてはただ仕事が増えただけである。

 

「ハイドラさん、メインオープニング会場の件なのですが、現時点で垂れ幕等の飾り付けの準備が完了しておらず、舞台設置はどうすれば?」

 

「制作チームから基礎データが送られていますのでそちらを参照してください。分かりにくい部分は『立体映写機』にデータを移行して、映像を基に設置してください」

 

 そして講演の準備と共に開催と締めの演出を担当している関係でそちらの会場の準備にも携わっている。

 

 演出と関わる部分は多く、今となっては講演の準備と同じく殆どがハイドラの指揮で進められている。

 

「ハイドラさん、招待者の特別席は何処になるんでしょうか?」

 

「講演者枠はステージの左右に、それ以外の方は正面席を当ててください。来賓とはまた別になるので混同しない様に注意を」

 

 学校関係者の席はまた別途で用意がしてある。こちらは来るかどうか分からないので、念の為人数分用意する必要がある為にスペースを確保してある。

 

「ハイドラさん、カメラの設定はどうなってますか?」

 

「中継ではなく録画にしてください。その日の終了時刻に専用のページにてアップロードされます。それと集音範囲は関係者に絞って、映像の方は参加の意志を示した時点で許諾されるので無加工で大丈夫です」

 

 トラブル発生時に不特定多数に映像が漏れる事の無いように対策は必要である。

 

 その為に講演に選ばれなかった方はその日の終わりまで内容を知る事が出来ないが、公開に問題無しと確認後直ぐにアップされるのでそこは運が悪かったと諦めて貰うほかない。

 

「ハイドラさん、メインオープニング会場の空間設定が他の道具と干渉しているのか不具合を起こしてます!!」

 

「空間拡張機能を残して一度電源を落としてください。そちらを消せば設置中の物が圧縮されて壊れますので間違えない様にしてください。使用予定のひみつ道具をリストに纏めて提出を、時間が無いので急いでください」

 

 メイン会場に生徒と来客が全員集まるスペースはなく、それを補う為に空間の拡張は必須である。

 

 開催までに問題の解決を図らなければならないので通常作業よりもリストを優先する様に伝える。

 

「ハイドラさん、こちらの荷物は何処に運べば良いですか?」

 

「搬入口と控えのドアに『プッシュドア』が設置されてます。それぞれ空いてる部屋が割り振られていますので出演番号と照らし合わせて運び込みを、私の部屋は1番に設定されてます」

 

 事前に送られてくる機材や荷物なんかも割り振られた部屋に送らせる。当日の荷物に関しては持ち込んだ人の負担となる。此方で請け負うのは三日前に送られた物までだ。それ以降のはおくりかえすようにしっかり言明する。

 

「ハイドラさん、空想動物サファリパークよりお電話がきてます」

 

「登録してある私個人の電話に繋いでください。〈代わりましたハイドラです。はい…はい…了解しました。では此方から企画担当に連絡します。はい…それでは準備期間と開催中はよろしくお願いいたします〉」

 

 これに関して言えば個人連絡先を伝え忘れたハイドラのミスであり繋がれて直ぐに対応を代わる。

 

 演出の関係で声を掛けたが向こうも乗り気であり、当日に予定している内容は問題なく行えそうだ。

 

 今回の電話では演出の他に、向こう主催のイベントも行いたいと申し出があり、外部の企画担当に折り返し伝える様に連絡をする。

 

「当日配布の資料は確認が出来ましたが、これらは持ち帰りと回収、どちらになるんでしょうか?」

 

「公平性を保つ為とゴミ対策で一律回収です。誤植がなく、部数に問題が無いのであれば持ち出し対策を進めてください。入口に『キンシひょうしき』を設置し、公演中のみ講堂内と外の超空間を封鎖する様に設定してください」

 

 資料は公開しても構わないとされてるので外に出しても問題は無いのだが、講演を聴けない人が欲しがっても配れないので外に出さない事にした。

 

 そして見終わった資料を大事に持ち帰るのであれば良いがそこらに捨てられたら面倒なので此方で管理する形式となった。

 

「あのぉ、掛り切りになってますがハイドラさんの講演内容の準備は大丈夫てすか?」

 

「準備開始後に忙しくなるのが予想出来たので既に終わらせましたので心配無用です。それよりも余裕を持って準備を終わらせられる様に全員急ピッチで行きますよ!!」

 

「「「はい!!」」」

 

 ハイドラとハイドラ率いるスタッフ軍団は過去最高のスピードで準備を進め、開催までに一ヶ月以上も残して事前に終わらせられる仕事を片付け、一つの伝説となるのであった。

 

「空間移動の設定がまだ全然で手伝いを!!」

「生徒会もまだ人手が足りないんだ!!」

「警備関係での見直しも頼めないだろうか?」

「すまんのぉ。来賓からの問い合わせが多くての殆どが講演についてじゃから対応代わってくれんか?」

 

 ハイドラは直ぐに人手が足りない場所へと回る事になった。なお仕事の押し付けでしかない校長の頼みは関係資料を手渡して笑顔で却下されていた。

 


 

いひにちてふだわなふてわるはったな(一日手伝わなくて悪かったな)

ほれで、ひはくしょはできはんですね(それで、企画書は出来たんですね)

ぶぅふのほうはどうあっはんだ?(ブースの方はどうだったんだ)

 

 喧嘩をしていた三人はそのまま帰り、次の日には仕事をしていた四人に謝りに来たが怪我の具合が酷く、ボロボロのままだった。

 

「えぇっと、まずは怪我を直したら?」

「何言ってるのかぜんぜん分からないね〜」

「仕方ないであ~る」

「ワウ」

 

 ドラメッドの魔法とそれぞれが出し合ったひみつ道具で治療を終わらせてから話を戻した。

 

「ブースの方は広々としてて祭り会場にしても問題なさそうだったよ」

「ワウ」

「企画書の方はわがはい達が持ってきた資料を基にみんなで書いたであ~る」

「基本的に屋台と音楽、後は可能なら花火があれば準備オッケーだよ!!」

「その準備が全然なんだけどね。それに問題もあるんだ……」

 

「「「問題?」」」

 

「人手が足りないんだ。警備の方は規定人数までなら借りれるけど、屋台の手伝いが居ると分かった時には派遣要員が埋まってて回して貰えないんだ」

 

「ってことは俺達だけで屋台を回さなくちゃなれねぇのか?」

「いえ、そう簡単では無さそうですね。祭りとしての形を保つにはある程度の規模は必要です。余所から人員を確保しなくてはいけないって事ですね」

「部活にクラスに委員会と忙しいから生徒はというか学校からは無理、となると本当に外からになるのか」

 

 現在の状況を把握するとやる事が決まり、承認はされているが、そこで止まっている訳だ。他にもやらなきゃいけない事は多い。

 

「屋台とかの建材は申請すれば貰える。建築は道具を使えばいけるかな?」

「外部協力は別途で申請が必要であ~る」

「射的とか輪投げとかの商品が必要になる物はどうするんだ?」

「ワウワウ」

「食べ物はどうする〜」

「そもそも小道具も多くいるよな。それに生き物や玩具が必要な奴も…ふわぁあ、考えてたら眠くなってきたぜ」

「一休みしてる暇はありませんよ。花火や出し物の安全面を考えると適当な設置も出来ませんね」

 

 あーでもないこーでもないと意見を出し合いながら話し合いが続いていき、多くの問題を残しながらもやらなきゃいけないことをリストにして、その日は終わった。

 

「とりあえず優先してやらないといけないのは人員の確保、会場の設置、食料品に道具類、景品の用意だね」

「人員は余ってたら回して貰えるかもしれないので申請だけしておいて、後はそれぞれで伝手を頼りましょう。ハイドラに頼るのは最後です」

「会場の設置はわがはいが魔法で進めるであ~る」

「力仕事も多いだろうし俺様もそっちだな」

「う〜ん、一人だとまた忘れちゃいそうだからボクも二人の手伝いをしよっと」

「食料は王ドラに考えがあるんだろ?それなら俺は道具や景品をどうにかするか」

「ワウワウ」

 

 ドラニコフもキッドと同じく用意が必要な道具と景品、そして生き物なんかの準備に回った。

 

 ドラえもんは王ドラの方の手伝いに入り食料品調達、ドラメッド、ドラリーニョ、エル・マタドーラの三人が会場のセッティングである。

 

「それじゃ明日から頑張るぞー!!」

「「「「「おおーー!!」」」」」

「ワウ!!」

 


 

「警備関係での連携面が少し問題でして」

 

「連絡関係や指揮系統をいっそのことダディ13号に任せましょう。普段校内の機能コントロールを担ってる彼なら問題なく仕切れる筈です」

 

「公開されているホームページのアクセスが集中しており、このままだと一度切断しなくてはパンクしてしまう恐れがあります」

 

「通常のサーバーでは無理ですか、予算は回して貰える筈なので特別サーバーを借りましょう。それまでの繋ぎでメインコンピュータの一部を間借りして対応します。ダディ13号に要請してください」

 

「各施設や校舎の移動の座標設定が上手くいかず」

 

「全エリアの見守りをしているダディ13号なら詳しいデータを持ってる筈です。なんなら各地に置かれてる端末の座標を借りましょう」

 

「すみません。メイン会場のひみつ道具リストを持ってきました」

 

「なになに、映像装置は問題無いですね。警備に使用している装置も、となると空間作用系は…こちらも平気? いえ、なるほど分かりました。各ひみつ道具が学校内のセンサーと反応して誤作動を引き起こしてしまってるんです。ダディ13号に警備システムのデータを貰ってきてください」

 

「すみません。生徒会にまで来賓から電話での問い合わせがきていまして抜けられず作業が遅れて」

 

「生徒会と実行委員会関連の確認以外なら内線で校長に繋げましょう。失礼だけは無いように注意してください」

 

 出来る事をやりつつも自分よりも適任な者がいるならそちらへ任せるのも一つの手である。なお稼働して以来一番忙しかったとダディ13号は溢していたそうだ。

 

「ドラえもん達は予定通りお祭りの再現を進めてるんですね。なるほど……人員は居ないのでとりあえず申請は一時凍結。メモの影響で日本の祭りにした様ですが……ふむ、少し私も遊びましょうか」

 

 せっかくの文化祭である。色々と忙しい身ではあるがハイドラも楽しみにしている。どうせ祭りを楽しむならと個人的な計画の立案を頭の中で進めるのであった。

 


 

 設営チームと道具・景品用意チーム、そして食料チームに別れたドラえもんズ。食料チームの王ドラとドラえもんはとある駅に来ていた。

 

「普段は使わない駅だけどここから何処に行くの?」

 

 見覚えどころか名前にもピンと来ないドラえもんはこの後の予定は想像がつかない様で首をかしげている。

 

「此処は前にハイドラのボランティアを手伝う際に来た所なんですよ」

 

「へぇ、こんな所まで来てたんだ。あれ、ってことは…」

 

「そうです。今日はそのボランティア先、スーパージャイアンズの武雄さんとその取引先であり実際に働いた農場の皆さんに相談しようと思いまして」

 

 ボランティアの終了後、あの引き起こされた事件による被害を食い止めた四人にはお礼が渡された。そして、何か困った事があれば声を掛けるようにも言われていたのだ。

 

「恩を返してもらおうなんて図々しい思いは無いんですが、食料関係の悩みを相談するにはぴったりな方々なのでお声掛けしたんです」

 

 かたや現在も続いている新鮮な食品さえ扱う大手スーパー、かたやその食品を作っている農家となれば今回の件にはもってこいである。

 

「まずはその大型倉庫の事務所に行くの?」

 

「いえ、アポを電話でとったら〈なるほどなぁ。よし、それなら直接農場に来てくれ〉と言われました。それで…」

 

「おい、オメェラ!!こっちだ!!」

 

 大きな声が聞こえたと思い二人揃って振り向くと土に汚れたトラックから顔を出して叫んでる芋掘りロボットの姿があった。

 

「お迎えありがとうございます。ゴンスケさん、こちら私達の友達のドラえもんです。ドラえもん、こちらが農場でお世話になった一人のゴンスケさんです」

 

「ぼく、ドラえもんです。よろしくお願いします」

 

「挨拶なんか後だ!!良いからくっちゃべってねぇで乗れぇ!!」

 

 王ドラの紹介でドラえもんが挨拶をしているとんな事はどうでもいいとばかりに断ち切って二人をトラックに乗せると直ぐに走り出すのであった。

 


 

 場面は変わってドラえもんズの確保しているブースでは共通している屋台や櫓の骨組みが少しずつだが建てられていた。

 

「おーい、追加の建材運んで来たぞ」

 

「そっちの置場に頼むであ~る。いでよ魔法道具たちよ!!」

 

 ドラメッドの合図で宙に大工道具達が現れ、浮いたままあちこちで建材を加工していく。

 

「それじゃ壊さないように頼むであ~る!!」

 

「オッケー!!シュート!!」

 

 抜群のコントロールで加工した建材が所定の位置に蹴り飛ばされるとそのまま魔法道具達によってさらに組み立てられる。

 

「このペースでまだ半分もいかねえのか。また取ってくるぜ」

 

 余裕をもって大きな会場を借りていたのは悪い事ではないし、まだ時間はあるから間に合わないと言う事は無いだろうがその作業量に思う所がある。それでも力自慢のエル・マタドーラは腕を回してまた出ていった。

 

「次の建材を待つ間は、ドラリーニョ頼むであ~る」

 

「よーし!!走れ走れ〜!!」

 

 ブース内は拡がった部屋で雰囲気を作る為に映像を映し出す予定なのだが、流石に足下くらいはどうにかしたいと作業をしながら三人は思い至った。

 

 ドラメッドが土を魔法で用意するとドラリーニョが床一面に撒きながら走り、踏み固める為にブース中をさらに上から走り回った。

 

「一部は植物もどうにか用意したいであるな」

 

 力が強いエル・マタドーラと運動神経がよく体力の多いドラリーニョ、そして多くの作業を並行して出来るドラメッドによってブースの設営は順調に進むのであった。

 


 

 そして最後のチームである道具及び景品確保を担当しているキッドとドラニコフのチーム。

 

「よし、着いたぜ!!」

 

「ワフゥ?!」

 

 何かがおかしいと思いながらも考えがあると言うキッドの言葉を信じて着いてきたドラニコフ、流石に違うよなと思っていた所に到着の声が聞こえ、驚きの声を上げる。

 

 眼の前にあるのは確かに文化祭に関わりがある。しかし、準備で訪れる様な場所ではないのも確かであり、目の前の看板には〚未来大学合同文化祭〛と書かれている。

 

「ワフワフワフゥ!!」

 

「待て待て、何もサボって遊びに来たわけじゃない」

 

 何を考えているんだと通常時はのんびりしたドラニコフが珍しく声を張り上げるようにキッドを捲したてていると、慌てて説明をしようとする。

 

「ワフゥ?」

 

「未来大学の文化祭は少し前から始まっててな。未来大学の文化祭はかなり長くやるんだが、俺等の文化祭が始まる前には終わるんだ」

 

「ワフフ…」

 

 文化祭が長いのは大学の規模や合同で開かれている事が関係するのだが、今は関係なく、そもそも今回の活動自体にも関連が見られない話にドラニコフはそれで…と言わんばかりに続きを促す。

 

「それなら使い終わった道具を頼めば譲るとまでいかなくても貸して貰うことが出来るかもしれないだろ?」

 

「ワフ?!ワフゥ!!ワフワフ?」

 

 想定とは大きく離れたマトモな考えがキッドの口から出てきた事に驚きつつも、良いアイデアに喜びの声を上げる。

 

 しかし、ドラニコフには直ぐにもう一つの疑問が出てきた。彼らの仕事は道具及び景品の確保だ。景品の方はどうするんだと続けて訊ねる。

 

「未来大学は国が運営してる大学なのは知ってるよな。いわゆる国立って奴だが、そもそも大学自体が技術の進歩により各地に作らなくても、数がなくても大丈夫になってる」

 

 移動技術の発展により住んでいる場所の近くになくても特に問題はなく、生徒数も空間拡張等で多く受け入れられる。その他の細かい問題も殆どが解決され、国立大学は国家の主導でどんどん合併していった。

 

「そのせいで一つの一つの規模はでかいし、お膝元の第一以外は偏差値が平均化されて昔より下がったらしいが、今ある国立の大学は全部で7つだけだ」

 

 ちなみに(領域)立と(区画)立…昔学で言う都道府県立と市町村立、そして名称の変わらない私立も合併は進んでいて数は減ってるがここらは偏差値もバラバラだし、あちこちにあってそこまで変化はない。

 

「ワフワフ」

 

 なんで大学に関する話をしているのか分からないが、説明するうえで必要なんだろうとドラニコフは黙って話を聴き、興味深い内容には頷いて見せる。

 

「まぁ、多少の差はあれど第一から第七までの未来大学は繋がりが深く、こういったイベントは看板を見ても分かるが合同でやってて、大学内に置かれてるゲートでそれぞれの大学に移動できる」

 

「ワウゥ!!」

 

 ひみつ道具学で見た『初期型どこでもドア』よりかは小さいが設置型の移動装置が広場に置かれていて、ドラニコフも感嘆の声を上げている。

 

「つまりだが規模が大きくなったからそれだけ店も多い、回るのは大変かもしれないが頼む相手も多いんだ」

 

「ワフ!!ワフワフ?」

 

 頑張るぞと意気込んで声を上げるがそれで結局景品はどうするんだと我にかえる。

 

「さっきも言ったろ。店が多いって、ただでやれて景品の出る店も多いんだ」

 

「ワ、ワフワフ……」

 

 ま、まさかと雲行きの悪くなった話にあまり動かない表情を引き攣らせながらキッドに続きを促すと想定通りの答えが口から飛び出た。

 

「開催期間中に回りまくって景品を集めるぞ!!」

 

「ワフゥゥゥ!!」

 

 嫌な予感も当たってしまいやっぱりぃぃぃと項垂れながら声を上げるドラニコフ、しかし費用を掛けずに確かに景品も道具も集まるかもしれないのは確かであり、二人で他校、それも大学の文化祭へと乗り出すのであった。

 


 

 キッド達が第一大学から順に文化祭を回り始めた頃に第六未来大学に彼らの知る人間が訪れ、入口から少し離れた位置から内部を覗いていた。

 

〘文化祭中か、確かに人の出入りが目立たないがこうも人が多くて騒がしいとかなわないな〙

 

「事が事ですからね。大体的には動けない以上は仕方がないでしょう。もちろん私の伝手でアポはとっていますが……」

 

 大体的には動けないとは言ったが一般に向けて情報が広がらない様に注意しているだけであり、違法な事をしている訳では無い。

 

 此処を訪れる事は学校の上には通達がされており、今回話を直接聞く予定の人物にも連絡が取れている。

 

「行くのは良いですが……校内ではなんと呼べば良いですか? ()()呼びは目立つでしょうし、私も既に罷免が決まってますから()()呼びもなんですから。それに何らかの関係者を装わないと立場を隠す意味が薄いですよ」

 

〘会う人間全てに自己紹介する訳ではないが、私もそちらも名は知られているのか……〙

 

 つい先日にニュースになったばかりだ。勤勉な者が多いであろう未来大学であれば普段着であっても名前からバレる可能性はある。

 

〘名は呼ばずに呼び方はお前とかの二人称代名詞や指示詞全般、それに装いは見学者で良いでしょう〙

 

 文化祭中に校舎や雰囲気を見学するというのは珍しくはない。二人は受験者に見られるような風体でなく、あるとしたら…

 

「おやまるで夫婦の様ですね。あなた」

 

〘……もう少し固い印象を持ってたが大分遊び心がある様だな。おまえさん〙

 

 子供が入学しようとしているからわざわざ見に来た夫婦と言うのが一番当てはまる設定である。

 

 互いに本気にする様なことは無く、互いに笑っており、この状況と先に待ってるであろう情報への期待もあり楽しんでいるのは確かだ。

 

 先に巫山戯だした女性の方は立場が無くなって気楽になったと言うのもあるのだろう。そして普段は部下を牽引する立場にある男も少数での活動で気が抜けている。

 

「それでは乗り込みましょうか。トゥマト警部」

 

〘あぁ、万代(まよ)元館長〙

 

 入る前に互いの名前を呼び合い気合を入れ直す、トゥマトが館長の前に元を付けたのは万代の考えを汲んだ為であり、他意はない。

 

 パンドラの襲撃事件から協力関係を結んでいた二人の人間が手掛かりの一つへ手を伸ばすために現地まで足を伸ばすのであった。

 

『考える事は同じですか……』

 

 木を隠すなら森の中、人を隠すから人の中、二人はロボットであるが、来客も多い中では紛れるのも難しくないと選んだ日程だったが嫌な同類に気付いてしまった。

 

『どうするんですか? 見事に主様(マスター)の古巣に乗り込まれていますが……』

 

『大丈夫、彼女とパンドラが結びつくことはない。それに直接の関係者は全員死んでるしね……』

 

 なんとも言えない表情を浮かべながらもその声は坦々としており、事実を語るだけと言ったスタンスを崩さない。

 

『今日接触予定だった人は大丈夫なんですか?』

 

『彼女の名前を出しますので心配無用です。それに開催中なら会う場所を移し易いですからね』

 

 指を指す先には各未来大学に繋がっている空間移動装置がある。移動先から街に繰り出す生徒は例年出ている為にそこまで注目はされない。

 

『待ち合わせ場所の変更が必要ですね。そして話す為の時間を確保する為に日時も明日に、報せを出す前に向こうの存在に気付けて良かった』

 

『出会さない様に行きましょう』

 

 パンドラとジャム、現在世間を騒がせている犯罪者である二人組も第六未来大学の校内へと忍び込むのであった。

 


 

「よく来てくれたな王ドラくん、そしてそっちがお友達の…」

 

「ドラえもんです。よろしくお願いします」

 

 ブツブツ小言の多いゴンスケのトラックに揺られてやってきた農場、そのまま家に上げられると武雄さんとお爺さんにお婆さん、そして息子さんが揃ってた。

 

 初めに武雄さんがドラえもんと王ドラの来訪を喜び、初対面であるドラえもんが自己紹介を行った。そして、そのままの調子で話が始まった。

 

「それで文化祭で昔のお祭りを再現するんだってね」

 

「はい、それで当時に出されていた屋台を調べると多くが天然の食材を利用した祭りの雰囲気に合っていて食べ歩きしやすい物でした」

 

「それでスーパージャイアンズ(うち)や農場に声が掛かった訳だが…食材の用意は可能だ。君達には大きな恩もあるからね」

 

 事前に連絡した際にある程度は既に話をしていた為に話に入るまでが早い。そして返ってきた答えも喜ばしい物だった。

 

「それなら「ただ…」…他に何か問題が?」

 

 勿体つけたと言うよりは申し訳無さそうな声色で呟くと、余程話し難いのか結んだ口は固く見える。互いの目があって数瞬の時が経ってようやく口が開いた。

 

「ただで譲ってやりたい所なんだが、あの一件は政府との間に『GODAFOODS』が立って取引が行われたんだが、事件の全貌が世間に公表されなくなったのは知ってるだろう」

 

 『GODAFOODS』はスーパージャイアンズが全国展開していった際に合わせて選考された企業名だ。骨川との関係もあり、政府も大きくは出れなかったらしいが、それでも目的は果たしている。

 

「はい、あれを引き起こした犯人が危険な犯罪者であり、捕まえる為にも情報は拡散出来ないのに加え、テロ行為が世間に知れ渡ると多くの影響が出るからと後日にナキチさんと聴取を担当したタイムパトロールの方を連れた政府の人が来られました」

 

 既に話してしまっていたのはドラえもんズの面々だけだった為にあまり注意はされなかったが、全員に口を閉ざすように正式な指示が出された。

 

 ドラリーニョが指示を忘れないかと心配もされたが、既にボランティアの時に起きた事件についても忘れていた為に記録消去は免れた。

 

「会社の上層部は知っているが社員には情報は降りてない。だから多くの社員にとってはあくまで台風の中で取引先を助けたボランティアでしかない」

 

「大きく便宜を図るには理由が足りなくなってしまうと言う事ですね」

 

「上の奴らなら喜んで寄越すだろうが、何故そんな事をしたのか説明が出来ないと今時は何かと下が煩いからな」

 

 損失を防ぎ、政府からの補填と言うなの口止め料なども含めれば大き過ぎるプラスだ。さらに言えば政府に一つの貸しの様なものがあると言える。

 

 ドラえもんズの面々に文化祭中の食材を譲ったとしてもお釣りが出るというのに、世の中上手くいかない事ばかりである。

 

「食材の用意が可能と言う事は…」

 

「ああ、食材の提供は出来るし、大きく割り引いてやる事も、支払いを待つことも出来る。だが『GODAFOODS』から出した分の利益を出して貰うほかないんだ」

 

 文化祭中に売って食材の料金を稼がなければそのまま借金になってしまう訳だ。

 

「儂らの農園や儂らの伝手でもある程度は用意出来る。それらは無論ただで良いが文化祭の間保たせる量は流石にない」

 

「どうするべきか……」

 

「うぅん……」

 

 王ドラもドラえもんもそれぞれ腕を組んだり、頭を抱えながら悩みに悩んでいる。予算がない所か全員の所持金も怪しい状態で受けるには事が事である。

 

 流石にお金関係の話をハイドラに頼る訳にもいかない。受けた場合は確実に成功させる必要がある。それでも……

 

「受けようよ王ドラ!!僕たちでお祭りをやりきれば良いだけなんだからね!!」

 

「ドラえもん……えぇ、そうですね!!」

 

 悩み抜いた末に目を見開いて堂々と告げるドラえもんの言葉に王ドラも惹かれて武雄さんの話を受ける事にした。

 

「若いってのは良いことだな。よし、出来る限りの手を使って安く最高の品を渡そうじゃないか」

 

 二人の強い意志に感銘を受けたといった様子で頷く武雄さんも力になる事を約束する。その流れで他に何か困ってる事は無いのかという話へと変わる。

 

「会場と景品等は問題ないんですが、純粋に屋台に立つ人や太鼓を打てる人、案内や警備以外のトラブル対応に当たる人などのスタッフがとにかく居ないんです」

 

「なるほど、それなら食材以上に手助け出来るかもしれないな」

 

「本当ですか?!」

 

「会社やプライベートの知り合いでそう言うのが好きな奴を紹介出来るし、後はそこにより適任な奴がいるぞ」

 

「「えっ?」」

 

 武雄さんに指を指されているであろう人物の方を向くと不機嫌そうな様相を直さずにふんと腕を組んだまま座ってるゴンスケの姿があった。

 

「芋掘りロボットゴンスケ……それは電子頭脳開発直後に造られている初期も初期のロボットであり、数少ない時代を跨いで稼働し続けているロボット(人間の友)だ。彼らは芋掘りが基本だが多くの場で働き、人の社会と関わり、そのコミュニティはとても広い。そして何より、彼も含めてまだお祭りの文化が残っている頃を彼ら(ゴンスケ)は生きている」

 

 まさに昔を知る貴重な一人であり、多くの同胞がそれぞれが関わってきた技術や知識を受け継いでいる。そんな彼らの力を借りれれば百人力どころでは無いだろう。

 

「はぁ〜なんでオラがそんな事に関わらなきゃならねぇんだか、確かにあん時の事は感謝してるがソレとコレとじゃ話は別だぁ」

 

 そのままゴンスケは口を止めることなくどんどん話していく、あちこちに声を掛けるのがどれだけ手間だとか、前に祭りに参加したのが何十年前だと思ってるんだとか、愚痴という愚痴が溢れていく。

 

「しかも、お前ら祭りをやりたいんじゃなくて、点が欲しいから祭りを選んだだけだろぉ? そんな気持ちで祭りやって熱くなれるもんもなれねぇに決まってらぁ!!」

 

「「……」」

 

 事実として祭りをやると決めたのは初めは昔学の点の為であり、その後も既に時間がなく他の案を考えている暇がないからなんて後ろ向きな理由だ。

 

 曲に合わせて太鼓を長時間叩くのがどれだけ大変か、交代要員も含めて何人も当てがあるのか、雰囲気壊さない調理器具があるのかとまだまだ口は止まらない。

 

「んな気持ちで開かれる祭りが可愛そうで仕方ねぇくらいだな。チラッと見た計画書も杜撰も杜撰よ。おい、なんなら運営から変わってやってやろうか?」

 

「「……え?」」

 

「だから、とっとと詳しい情報を寄越せつってんだよ!!何処までトロイんだか、オラより頭が錆びついてんじゃねぇか? たくよぉ……」

 

「もう少し素直に力になるとは言えないのか、ゴンスケめ」

 

「ははっ、素直なゴンスケなんてゴンスケで無いだろうに」

 

「あれぐらいの方が祭りにピッタリですよ」

 

 息子そんにお爺さんとお婆さんの言葉を聞いてようやくゴンスケが引き受けてくれる気があると気付き二人は顔をほころばせる。

 

「「ありがとうございます!!」」

 

「けっ、うるせぇ。まともな祭りになんなかったら度付き回して芋畑に埋めてやるからな!!」

 

 農園から一部の食材を譲り受け、『GODAFOODS』から食材を買う契約をして、武雄さんとゴンスケの伝手で祭り開催の大きな力になってくれる人材まで確保する事が出来る事が決まり、今後の計画も含めて次に合う約束もしてから二人はみんなに報告する為に一度ロボット学校へと帰るのであった。

 


 

「ふぅ、これで後は部活関係やクラス関係だけですね」

 

 委員会や運営、生徒会の教員、あちこちで仕事に追われる人を一通り助け終わり、ようやくベンチに座って一息つけた。

 

 部活の演し物は絶対やらないといけないものではないし、クラスのものはそのクラスでやる意味が強いと助けるつもりはない。

 

 後は開催までに講演の練習とパフォーマンス関連のリハーサルを残すだけとなる。

 

「手伝わないと言った手前で悪いですが覗きにでも行きますかね」

 

 手ぶらで行ってしまえばたちの悪いひやかしになってしまうので食べ物と飲み物の差し入れを用意してまずクラスから見に行く。

 

「お、ハイドラ!!」

 

「なんか顔を見るのも久しぶりだな」

 

「ここ数日は仕事でもないのに忙しかったからね。これは差し入れだからみんなで適当に分けてね。ドラえもん達の分は別にあるから除いて良いよ」

 

 そう言って二人分の机に大きな袋をドカッと置くと「さすがハイドラ」「サンキュー」「助かるぜ」なんて言葉と共にクラスメイトが群がる。

 

「あら、嬉しいけどこんなにたくさん買って大丈夫なの?」

 

「ノラミャーコ君か、心配はいらない。自慢に聞こえるかもしれないが金には正直困ってないんだ」

 

 特許にブランド、ひみつ道具資格に医療資格、他にも多義に渡るが忙しさと比例する様に収入も増えている。やりはしないが、たとえ派手に奢りまくっても痛くも痒くもない。

 

「ふふ、確かに余計な心配だったわね。ありがたくいただいてくわ」

 

「そうしてくれ、気兼ねなく受け取ってくれた方がこちらも助かる。それでクラスの方はどうなっている?」

 

 私が初めにクラスとドラえもんズの何方につくかで争われてた時は候補こそ上がっていたがまだ何をするかまで決まっていなかった。

 

 出ていた案としては飲食系に休憩所、劇なんかが目立っていたが正直な話、個性あふれるこのクラスが綺麗に纏まれたのか疑問だ。

 

「まずうちがやるのは飲食店には決まったわ。でもうちは色んなロボットがいるからそれを活かしたいって少し変わった店になるのだけど」

 

「変わった店と言うと?」

 

「えっと教室の拡張はこれからだけど、前の方にステージを作って時間毎に演し物を数人でやったり、衣装を作れる子がいるから色んな衣装を用意したり、食べ物も材料が許す限り色々と書き込んでる所ね」

 

 他にもあれとそれとなんて語られていくがそのやる事の多いこと、本当に一クラスの演し物なのかという程のラインナップだった。

 

 それぞれ得意とするものが違うメンバーのクラスならばそれぞれの特色を活かせる様にしてしまおうと言う訳か、なんとも強引な纏め方だがそこも含めてうちらしい。しかし、ステージと聞いて一つ不安が……

 

「ジャイベエの歌はスネキチが上手いこと止めたわ」

 

 表情に出ていた様でステージとジャイベエを見ながら苦い顔を浮かべる私にそう告げた。なるほどそれなら安心だし、楽しいものになりそうだ。

 

「さてさて、ドラえもん達はどうかな?…って、うわあ〜……」

 

 まずはこっそりと顔だけを覗かせて中を見てみると何もなかったブース内がハイドラにとっては懐かしい祭りの姿へと変貌していた。

 

 一面に敷き詰められた土と所々に生えている木々と雑草、中心に見える大きなやぐらのある広場、そこから響き渡る音楽と太鼓の音色。

 

 周辺には映像で映し出された夜空と程よく熱された空気の中に吹き渡る涼しい風も人が詰め寄せれば一気に蒸し暑くなりそうだ。

 

 装飾がなされ、店名の描かれた屋台の中には試作品なのかりんご飴にチョコバナナ、焼きそばにたこ焼きなんかが作られている。

 

 ただ、何故作っているのがみんなゴンスケなんだろうか? いや、一部は人間もいますがロボットでないのがむしろ違和感ですね。

 

 ここで行われるのはロボット学校文化祭だと言うのに、わざわざ手伝いに来るとは珍しい人なのに違いはないでしょう。

 

 太鼓を叩いてるのもどうやら部外者みたいですね。運営から離れたので分かりませんがきちんと申請はしてるんですかね? そしてドラえもん達はいったい何処に……

 

「あ、ハイドラ!!」

 

「ドラえもん、だいぶらしくなりましたね」

 

「そうでしょ、みんなで頑張ったんだ。と言ってもまだまだ足りてない物も多いし、途中だけどね」

 

 祭りの会場を見るにかなり順調の様ですね。ドラえもんの声を聞いて集まってきた他の面々も軒並み法被や浴衣で雰囲気が出てます。

 

「キッドにドラニコフ、それとエル・マタドーラは居ないんですか?」

 

「その三人は景品を集めてくるって出てますね。二日目はキッドとドラニコフだけでしたが、私達の仕事が終わって設営に回れると聞いてキッドがエル・マタドーラを連れていきました」

 

 丸いものが無い限りはをドラニコフがストッパーになってくれるだろうが…なんとも心配な面子だな。そう思いつつも差し入れを手渡すとみんな喜んでいる。

 

 予想外ではあったが普段から色々と持ち歩いている為に余裕はあるので手伝いに来てくれている人とゴンスケにも渡していく。

 

「順調そうで安心しました。全員頑張ってるみたいですね」

 

「文化祭自体が楽しいものですからね。それに点を取れなかったら修学旅行にいけませんからね。なんとかなると思いつつもキッドとエル・マタドーラ当たりは内心焦ってるのでしょう」

 

 そう言えば点が足りないと卒業出来ないから修学旅行も参加不可だったか、まぁ修学旅行自体が卒業の危機になる訳だが…そうかもうそんな時期になるのか……

 

「ハイドラ?」

 

「……あ、いえ、少し考え事をしていました。それじゃ祭りは私も楽しみにしてるので頑張ってください」

 

 それだけ言ってブースを後にした。そうか、もう卒業が見えてくる時期なのか…つい先日に入学した気分だというのにな。

 

「私の未来はどうなるんですかねぇ」

 

 当たり前の不安を胸に抱きながらも、とりあえずはやる事をしてしまおうと仕事で気分を紛らわして、自分を誤魔化した。

 


 

「なるほどなぁ。それで第一から第三まで昨日で回ったってのか」

 

「あぁ、お前がいればパワー系の企画もクリア出来るし、昨日回った所も昨日居なかった奴が居たら断りにくいだろ?」

 

「ワフゥ……」

 

 この際、お金を掛けずに景品を集めるのは良いとしてもこうも悪知恵ばかりが働くのはどうなんだと親友に溜息を吐く。

 

 だがそんな嘆きはもはや関係なく、第一から第三までで時間を掛けずに勝てた催しにまた参加して景品を増やし、昨日の続きである第四未来大学から回り始めた。

 

「うわ、あいつスゲーぞ!!」

「ロボットとはいえどんな消化機能してるんだ?!」

「対戦相手がダウンしてるのになんで食い続けてんだ?」

「もう決着済みですので選手は手を止めてください!!大食い大会優勝は飛び入り参加の猫型ロボットだ!!」

 

「あのロボット変身型か?」

「いや、あの型で変身型なんて聞いたことないぞ?!」

「ってことは訳あり固体なのか珍しいな!!」

「何でもありの障害物レース!!いきなり野獣へと変身したロボットが見事に全ての障害を食い破って今ゴール!!彼は猫なのか狼なのかどっちなんだーー!!」

 

「なんであの身体であのパワーが出るんだ?!」

「小せえのに重機タイプのロボットと張り合うってマジかよ……」

「自分の胴回り以上の太さの腕がみるみる押し返されてってるぞ」

「ロボット腕相撲大会!!優勝は謎の猫型?…角があるけど猫型ロボットの様ですね。猫型ロボットだぁ!!」

 

 大きなイベントにも参加して豪華な景品を手に入れたり、小さなクラスの企画なんかも軒並み参加していった。

 

「ここまででもだいぶ集まったな」

「まぁ俺達の文化祭の期間を考えるともう少し欲しいな」

「ワフワフ」

 

 余裕はもたせておきたいし、不備が原因での問題は勘弁して欲しいのでその意見にはドラニコフも頷いている。

 

「後二校だが、三人なら今日中に回れそうだぜ」

「ワフゥ…」

 

 とは言ってもこうもホクホク顔で申し訳なさを微塵も感じれなかったり、こちらに確認もせずに予定を決めたりといささか自由過ぎる。

 

「キッドは何言っても無駄だからさっさと終わらせようぜドラニコフ」

「よし、次は第六だからな間違えるなよ!!」

 

 キッドはとっとと移動装置へと飛び込んだ。しかし、後ろから着いてきてる友達を見ていた為に飛び込んだ先で誰かとぶつかってしまった。

 

「わ、わりい?!あんた大丈夫か?!」

 

「あ、あぁ…俺に大きな怪我はない。だが気を付けた方が良いぞ。ロボットの力と硬さで人は簡単にやられるからな」

 

 幸いな事に相手に怪我はなく、相手も問題にしなかったおかげでお咎め無しだったが、向こうの言い分はもっともであり、キッドはひたすら頭を下げていた。

 

 男性自身も急いでいるのか注意もそこそこに第七未来大学のゲートを見つけると飛び込んでいった。その手は固く握られ、中には数本の花が束を成している。

 

「…シエル…本当に君なのか?」

 

 飛び込んだ先の第七未来大学の敷地の一角へただ歩みを進めながら呟くその声は酷く掠れており、誰にも拾われる事なく消えていった。

 


 

 場面は少し戻って第六未来大学敷地内、縁起が悪いと弱小なサークルや研究室以外からは使われなくなった特別校舎の一角を目指して歩く二人組が居た。

 

〘昨日も思ったが、本当に賑やかだな。少し離れていると言うのに音が耳に入る〙

 

「第六はまだマシな方ですよ。これが第三ならもっとうるさいですよ。在り方的にも当たり前の話ですが」

 

〘あぁ、あんたは第七の卒業だったか。えぇと、確か…思考の第一、心技の第二、包容の第三…〙

 

 考え学び追求し続ける自己研鑽が主な第一、発展した技術世界の中で心と技に重きをおいた第二、規模が一番大きく玉石混交の中で磨かれた者が輝く第三。

 

「世界の第四、人理の第五、未知の第六、科学の第七ですね」

 

 自然や宇宙、生命等の世界に存在する要素を学ぶ第四、人が築いてきた歴史や文化等の過去の全ての既知から学ぶ第五、到達した未来においても見つかっていない新たな知見を探し求める第六。

 

 そしてこの科学によって発展した世界を支える技術の全てを学び、更に発展させていく、ロボットやひみつ道具に深く関わりのある第七。

 

「あらゆる価値観を受け入れる第三は多くの娯楽も溢れてるのでこういったイベントでは何処よりも賑やかですよ」

 

〘校内で宗教戦争が月一で行われてるとも聞くが?〙

 

「そんなまさか…週一の間違いですよ」

 

 多くの留学生も居る第三は学べるもの、新しく得られるものが多い大学ではある。しかし、何でも受け入れると同時に何処までも実力主義でもある。

 

〘はぁあ……〙

 

「ははは、まぁ元々は言葉遊びから付けられた通称ですから。得意分野や集まる人の傾向からの後付ですし…まぁそこから通称に合わせて人が集まりどんどん深く濃くなっていったそうですが」

 

 かつての時代よりも技術が発展し、人類の活動範囲も大きく広がり、宇宙人が普通に町中を歩いている時代だ。

 

 価値観や文化に関するあれこれは非常に緩くなっている。最も信仰されているのは科学だと言える程の世の中では、大学内でのドンパチもコミュニケーションの一環でしかないと言う。

 

〘第七はどんな所だったんだ?〙

 

「まぁ研究狂い、マッドサイエンティストやモドキの巣窟と言った所ですね。後は空想家、妄想家と言った人も多かったかと」

 

〘意外だな。科学に重きをおいてるのならリアリストが多いかと思ったんだが〙

 

「逆に第三の方がそういう人は多いですね。あくまで文化としての価値観の巣窟ですから。第七は神や精霊、悪魔と言った人が生み出した人の上位存在さえも科学に落とし込もうとするキチガイの墓場ですよ」

 

〘死んでるのか?〙

 

「えぇ、そこら中に倒れて呻き声を上げてる教授と生徒が期末には見られます」

 

 季節の風物詩みたいなものですと笑って言う万代を見て、あぁ同類なんだろうなと内心で納得を示すトゥマト。

 

 学内の空気感とかも含めて調査においては貴重な情報になるかもしれないので頭の隅に入れて、更に会話は続いていく。

 

「そしてここ第六は、第四から第七までの大学、それぞれと関わりがあります」

 

〘未知の第六と言うのがピンとこないんだが、新しい技術を開発するのとは違うのか?〙

 

 通称の中でも特にあやふやに思えるそれにトゥマトが頭を悩ましているとそれとなくフォローする様に説明が入る。

 

「そういった物も含まれてはいますが、第六が主に扱っているのはここまで歴史を重ねてきても既知にならなかった物達です」

 

〘存在しているが認識されてこなかった物って事であっているか?〙

 

「有り体に言えばそうです。細かく語るなら昔の言葉で言うとオカルトと言ったものに分類される事象や歴史から葬られたもの、あえて触れられてこなかったもの等ですかね」

 

〘国立でよくそんな事が出来るな…〙

 

「だからこそですよ。昨日の先生の話にもあったでしょう?」

 

 そう言われてトゥマトは万代の伝手によって出会った第六未来大学の教授との会話を思い出す。

 

「先生こちらトゥマト警部です」

 

〘本日はわざわざ時間をとっていただきありがとうございます〙

 

〈いや、こちらは全然構わんよ。万代君には当時の文化祭でよく働いてくれてたんでな。こんな時にでも役に立てるなら願ってもない〉

 

 少し年をとった風貌の男性は万代から先生と呼ばれている。事前に聞いた話で万代が第七の卒業生だと聞いていたので不思議に思っていたが、彼の発言でイベント時に知り合った関係だと分かり、密かに納得する。

 

〈それで確かバクスィー君に関してだったね。私は昔学に携わって無いから人伝に聞いた話しか語れないんだが…〉

 

〘それだけで十分に助かります〙

 

 そこから第六未来大学・昔年時代学科・エネルギー研究室に所属していたバクスィー・テウスと言う生徒に関する話が始まった。

 

〈彼は第七に行っててもおかしくないレベルの技術者でね。高校生の内にひみつ道具職人の資格もとっていた天才として入学前から教授の間で話題に上がる生徒だった〉

 

〈入学して少し経ったらリシア教授に誘われてか、いつの間にかエネルギー研究室に所属していてね。同じ研究室内で彼女も出来たとか一時期噂も流れとって、それなのになぁ……〉

 

〈と、話がずれてしまったな。まず昔学は知ってるだろうがエネルギー研究室について説明すると、リシア教授が立ち上げた存在したであろうエネルギー資源について調査・研究する部屋らしい〉

 

〈今はひみつ道具で言えばフルメタルが主流だが、過去の時代にもひみつ道具に匹敵する遺物があったのはよくある話、リシア教授はそのエネルギーに注目しておった〉

 

〈リシア教授は伝承とかにも詳しく、バクスィー君はその伝承からアイデアを得てよくひみつ道具を生み出していた。関係ない様な事柄でも余すことなく吸収する子だった〉

 

〈それでも伝承が偽りでなければ下位互換でしかないと嘆いていたとも聞いたな。そんな折にリシア教授が伝手から遺跡に情報を持ってきたのがあの事件の始まりだった〉

 

〈実際のオーパーツが手に入れば一気に研究が進むと研究室総出で出掛けていき、誰一人帰って来なかった。研究室と遺跡に関する情報は国が回収していって、研究室は閉鎖、と言うよりは継ぐものが居らず消滅しよった〉

 

〈まぁ元より睨まれていると言うのに、より酷い火中に自ら飛び込む者は居らんからな。ここが国立であるのは救いでもあり、呪いでもあると言うことさ〉

 

〈私が知っているのはこれぐらいだな。他の教授に関しても特に変わらないだろう。後はバクスィー君の兄であるフロト君なら何か知っていてもおかしくはないが、彼は第六の生徒では無いからな呼び出したりは出来ん…ただ時折、研究室があった場所に花を起きに来ているから会うとしたらその時を狙うんだな〉

 

 そんな風に研究室の人間が丸ごと消えてもそんな事もあると受け入れている。そして国との独特な関係性も理解している。

 

 発見や発展の為の犠牲を抑える為なのか、それとも犠牲にする為なのか、真偽を知り得る術は無くともその不気味さには吐き気がする。

 

〘金目当て以外の時間犯罪者と同じ匂いがするな〙

 

「時空犯罪課にも関わりが?」

 

〘追ってた奴が悪足掻きで時間を飛ぶのはよくある話だが、その過程で他の犯人と出会す事もある〙

 

 厄介な事にそう言った奴ほど芯のある犯罪者が多い。自分なりの考え、思想に酔ってるだけならまだマシだ。自身の損得さえも外において動く奴は面倒極まりない。

 

〘っと、ここだな〙

 

「えぇ、旧第四校舎であり新第九特別校舎」

 

〘四に九とはなんとも縁起の悪い〙

 

「足しても十三ですし、尚更ですね。事件もあって一部では呪われてると話題があり、オカルト研究サークルが移設して活動してるとか」

 

〘喜ばれちゃ呪いも形無しだな〙

 

 これっぽっちも信じていないだろうに笑いながら校舎を見上げていると明らかに他と違う装飾が施された窓を見つける。

 

〘使われてた場所は閉鎖されてるって話だが…〙

 

「あの様子では中を覗くことも無理そうですね」

 

 完全に出入りを封じる為か古臭い手法で窓や扉は打ち付けられており、その上から保護が施されている。それでも一応校舎内に入って部屋の前まで出向くと、花束が扉の前に置かれている。

 

「献花されていますね。って、流石にそれは…?!」

 

 トゥマトはしゃがみ込んで献花された花束を掴むと花びらを数枚掴んでその状態を観察する。

 

〘……鮮度保護はされている様だが簡易だ。それなのに千切っても劣化が少ない。()()()()置かれてからそう日数は経過していない〙

 

 確認を終えてからそっと置き直した二つの花束を見つめながら観察結果を話すトゥマトに呆れながらもその発言に万代も首を傾げる。

 

「ここを訪れるのはフロト氏一人と聞きましたが」

 

〘片方が弟宛でもう片方がその仲間宛とも考えたが少し変だ。片方は献花でよく見かける花ばかりだが、もう片方のアネモネは合わない〙

 

「生憎と花言葉は興味がなく分からないのですが、何か意味があるのですか」

 

〘赤いアネモネの花言葉は『君を愛す』『真実』なんかだが、家族愛とかではなく恋人とかに渡す様な物だ。それにアネモネ全体の花言葉が献花に向かん〙

 

 『恋の苦しみ』『見捨てられた』『消えゆく希望』、恨みがあったり皮肉を込めているなら分かるが、それ以外ならもっと適した物がありそうなもの。

 

〘ん? 花の上部だけ切り取られた物があるな。これらはアネモネと違うが、流石に茎と葉だけでは分からんな〙

 

「これをどうぞ」

 

 万代がさっと『トカゲロン』を取り出して切断された花の断面に塗っていく、するとみるみると花は修復されて元の姿を取り戻す。

 

〘『レインボーローズ(奇跡)』に『ピース(平和)』か、捧げる意味が分からないし、献花に棘や毒のある花は合わない。それに『月下美人(ただ一度だけ会いたくて)』と『サンビタリア(愛の始まり)』〙

 

「ここを訪れるフロト氏へのメッセージですか?」

 

〘束にし辛く、大きさのばらばらな花を置いてるのを見ると深読みもしたくなる。とは言っても手掛かりもない〙

 

 片方が正式な献花なのであれば次に対象であるフロトが来るのは先になる。相手が犯罪者ならまだしも、ただの聞き取り相手にひみつ道具を用いての追跡はまずい。

 

〘振り出しではないが、途切れたか〙

 

「まぁ、また訪れるしかないですね」

 

 バクスィー・テウスが作ったひみつ道具に関係する神話や伝承について調べる上でもここ第六大学は便利である。

 

 調査協力は取り付けられているから連絡さえ入れれば何時でも訪れられるので今日でないといけない理由はない。万代の提案に頷きを返して、トゥマトはその場を後にした。

 

 その頃、第七未来大学の敷地から外へ出て数分歩いた位置にあるカフェには二人のロボットと一人の人間が席に着いて語らっていた。

 

「はぁ、()()()()()()()()()()()()()か。あいつの言葉が今になって理解できた気がするよ」

 

『そう達観されるとこちらもどう反応していいか困るけど』

 

「そりゃそうだろうな。だが感傷に浸りたくなるのも仕方ないだろう。()鹿()()()()()と共に自身の人生の分岐点に立たされればな」

 

 そう言って自動化されて定員の居ない店の中で机の上に降って湧いた様に現れた飲み物に手を伸ばし、喉を潤した。そして数分の沈黙の後に目を開いて、相手へと手を伸ばした。

 

『結論は出たという事で良いですか?』

 

「ああ、未だに信じられんがそれが()()()の遺志だと言うのであれば俺も協力するのが筋だ。俺が役に立つかは分からんがな」

 

『ひみつ道具の扱いはバクスィーが上でしたが、貴方は今も第七の生徒です。知識量や全体的な技術は上でしょう。それにロボット工学では負け知らずな貴方が必要なんです』

 

「あぁ、力になれるように働かせてもらうさ。古代遺跡の攻略、それに向けてのメンテナンスと攻略後の修理は請け負おう」

 

『その前にエネルギーが必要だ。それもとびきりの物がね……』

 


 

「「「「「「「出来たーー!!」」」」」」」

 

 お祭り再現ブースでは全ての準備を終える事が出来たドラえもんズの面々が心の底から喜びの声を上げていた。

 

「はぁん、まぁ悪くない程度にはなってんじゃねぇの?後は当日までに周知させるのとヘマをしねぇ様に注意すんだな」

 

「それぞれの屋台の持ち回りも含めて予定は纏めてるから、一応トラブルあった時の対応用に表にしたのを渡しとくよ」

 

 ゴンスケが皮肉を踏まえながら作業の完了を認め、『GODAFOODS』や農場、ゴンスケの伝手等で来た手伝いの方々から役割表を受け取る。

 

「これで後は当日にやり切るだけです」

 

「失敗したら借金地獄だからな」

 

「成功させれば良いだけだろ。元の単価が安い分、盛り上がれば下手なバイトより儲かるんだからな」

 

「機材も貰い受けた物が殆どであるから弁償とかの心配もないであ~る」

 

「バウバウ」

 

「なんとかなるよ。うん、きっと上手くいくって」

 

「よし、がんばるぞ~」

 

「「「「「「「おおーー!!」」」」」」」

 


登場したひみつ道具

 

『コピーロボット』

 

パーマンも使っている道具で、鼻を押すとロボットが押した人そっくりになる。

 

『立体映写機』

 

『大自然セット』のひとつ。『景色テント』に流れる雲や、太陽を映し出す、小型のプラネタリウムみたいなもの。風景を本物そっくりに変える事ができる。

 

『プッシュドア』

 

これを取り付けたドアが、指定した場所のどこかに繋がり、すぐに目的地に行ける。繋がる先はドアではなく壁。場所を指定できるキーは12個あり、ひとつのキーでひとつの場所に対応している。使い方は、キーを外してそれぞれ裏に行きたい場所を書いて元の場所に差し込み、書いたボタンと赤いボタンを押してドアを開ければ、その場所に繋がる。白いボタンを押すと元のドアになる。『どこでもドア』より手軽らしい。のび太が書いたのは、がっこう、しずちゃんのへや、ニアトル名画座、ジャイアンのへや。

 

『キンシひょうしき』

 

禁止にしたい事を書いて畳などに突き刺すと、その事が絶対に出来なくなる。

 

『初期型どこでもドア』

 

発明家・ハルトマン博士によって開発された「最初のどこでもドア」であり、記念すべき「ひみつ道具第一号」。ドラえもんらが普段使用しているものより遥かに巨大であり、まるで城門のように左右に開閉する。 現在は、ひみつ道具博物館のエントランスホールにその他の歴代どこでもドアとともに展示されており、各館へと通じる移動手段として利用されている。

 

『トカゲロン』

 

トカゲのしっぽが再生するように、この液を塗ると破れた物や壊れた物が元に戻る。わざと物を半分に切ってこれを塗ると、2つにコピーすることもできる。

 

 





色々とオリジナル設定が満載な話となりましたが、文化祭と夏祭りを合わせたイベント話です。

それに合わせてストーリーと言うか、この小説内のメインに関わるアレコレも進んでますが、祭りの最中にメインの方の問題は起きません。それはまたの機会になります。

前編が読んで分かる通り準備編で、後編が文化祭開始から終わりまでとなります。後編の方はまだ書き始めたばかりで、文化祭のスタートまでしか書けてないのでもうしばらくお待ち下さい。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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