ドラえもんではなくそのすぐ後ろでした   作:ひよっこ召喚士

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再会の国立科学博物館


 

 修学旅行兼卒業試験を終えた後は授業なども段々と終わっていき、ついには自ら望んで受ける講義以外は予定がないというロボットも珍しくない時期に入りました。

 

 流石にこの卒業を目前とした時期に仕事を入れる勇気はありませんので私も時間に余裕が出来ています。

 

「後回しにしていた検査をしたいですね」

 

 無論、最低限のチェックはしてあり、定期検診はロボット学校と提携している病院でも受けています。

 

 ただ、妙なエネルギーに晒された事とDr.ブレンドとの接触、それにひみつ道具封印の余波、細かい事をあげればキリがないレベルで検査の必要性が出てきます。

 

 あの時に苦楽を共にしたヤゴロボットさんはエネルギーの事を聞きつけたショウトさんが回収していったので、たぶん問題はないでしょう。

 

 その際に一緒に検査しようかとも訊かれましたが、あの時はまだ授業もある時期だったので欠席ともなればドラえもんたちに心配されてしまうと断りました。

 

 健康診断以上の精密検査となれば最低でも二日は掛かる筈ですからね。ロボット用の医師免許を持っているのでよく知っています。

 

 まぁ科学事案対策局の設備が世間のものより数段上のレベルであれば話も変わってきそうですが、政府組織の内情なんて知る由もありません。

 

 逆に多くの機械が置かれ、検査項目も増え、より時間が掛かる可能性だってあるのです。時間的に余裕がある時を願うのはおかしな事ではないでしょう。

 

 ショウトさんもそういう事ならと時間が出来たらで良いので来てくれたら助かりますと連絡先を渡してくれました。

 

 あの人の性格からして時間が必要ないならはっきり否定してくると思うのであながち推測は間違ってはないのかもしれませんね。

 

 渡された連絡先が電話ではなくメールアドレスなあたりもショウトさんらしさが感じられますが、とりあえず時間が取れた事と検査を頼みたい事を書いた文を送る。

 

「…!? 返ってくるのがはやいですね…」

 

 送ってから一分も経たない内に返信が返って来たことに驚きつつメールアプリを開くと、私が送った件名にReだけ付けられ、そして肝心の内容もかなり端的に纏められており、なんと日時と共に電子チケットが送られただけで単語一つ書かれていません。

 

「これは国立科学博物館の入館チケット?」

 

 おそらくこの時間に来いという事なんでしょうが…いや、あの変人と称しても良さそうな方に温かいやり取りを期待するのは無駄でしょう。

 

 呆れの感情と共にため息を一つ吐き出すと間違えのないように予定帳に日時をメモして検査に向けた準備を進めることにした。

 


 

 ハイドラが招集日に向けて準備を進め始めた頃、そのメールの送り主はハイドラよりも遅れて準備を進めていた。

 

「ん…? あぁ、はいはい、自動返信の通知ですか…って事は今週末ですね…予定は空いてるでしょうか?」

 

 興味関心の赴くままに動く彼にメールを自ら確認するなんて殊勝な考えはなく、事前に設定していた自動返信の作動を確認してから念のためにと予定を確認する始末である。

 

「あぁ、()()()()()の方も問題無さそうですね。ハイドラ技師の検査には立ち会って貰いたかったので、早速連絡を入れましょう」

 

 それも確認しているのは自身の予定ではない事からその身勝手さが伝わるだろう。自身の予定帳に書き込まれた内容の達成率は普段から5割をきっているのだから同じ職場の人間からしたらたまったものではない。

 

 そんな彼がわざわざ相手の予定を確認してから呼び出そうとしているだけでも十分珍しいのだが…なぜ相手の予定をひとりでに把握しているのかは目を瞑るのが賢明だろう。

 

「あぁ、そうだ。ついでに呼んでおいたほうが手間は少ないですね」

 

 ひらめきと言えば聞こえは良いかもしれないが、突然の思い付きと言うのは得てして周囲からは迷惑な事のほうが多いとショウトは知るべきだろう。

 


 

「タイムパトロール公安部所属、リームです」

 

「到着したか、まずはそちらにかけてくれ」

 

 ハイドラが検査を決意した頃、タイムパトロールの公安部ではリームが再度呼び出しを受けていた。

 

 現場での報告はもちろん、報告書の提出や口頭での問答なども行い、結果について沙汰を待つだけの状態だっただけにリームの緊張はかなりのものであったが…

 

「科学省からの正式な報告書も到着した。此度の件において、公安部からリーム隊員の活動に対しての処罰はない」

 

 その緊張を解きほぐすかの様に伝えられたのはお咎めなしの伝達であり、逆にリームの中で納得がいかない気持ちが湧いて出た。

 

「対象との接触は何方とも決して良しと言えるものではありませんでした…」

 

「責任感があるのは頼もしいが、自罰的なのはいただけない」

 

 許可を持たずに思わずこぼれた愚痴とも取られかねない発言に対して認識を改める様に上司は淡々と言う。

 

「ですが、私の行動が未来の大事に影響を与える事を考えますと先日の活動は…」

 

 公安部の活動が通常のタイムパトロールの業務とかけ離れている事や与えられてる権限の違いからも分かるようにその重要性は決して軽くはない。ただ…

 

「救助課が長かったのであれば過去と未来がどの様に繋がるか予想もつかないのは知っているだろう」

 

 事実、石ころ一つが未来を変える事があるのをリームは覚えている。何がどの様に繋がっているのかはその時を生きている人間には分からない。

 

「情報が与えられてない以上、不安が募るのはわけもない。公安部での初の活動ともなればなおさらだ」

 

 必要な情報と指示だけを渡されて活動する姿は優秀なエージェントの様に思えるが、裏を返せば必要な情報と指示以外は何も与えられてないに等しい。

 

 事前知識や道具の供給など万全なバックアップを前提に任務をこなす救助課との違いはリームの精神状態に大きい影響を与えているのも確かだ。

 

「だが、リーム隊員が必要とされているからには、全ての行動が結果として未来へと繋がる。気を抜いてもらっては困るが、ありのままの君で良いのだよ」

 

 同じ公安部であっても上司や先輩ではダメな理由があるのだろう。その理由はもしかしたら上司である彼ですら知らされていないのかもしれない。

 

 それがまかり通り、未来の為にと言う免罪符のもとで活動をする特異性に慣れてもいけないのが難しい所である。

 

「しかし、科学省との衝突については公安部と関係なく問題行動の筈です…」

 

 タイムパトロールは法務省の下部組織にあたり、航時法に関する強い権限を持っているが、上部組織と同格の科学省に対しての対応としては不適格だったのは事実である。

 

 向こうが最終的には気にしていないと言い、協力を提案してきたが、それでも最初の対応について現場より上の人間がどの様に判断するかは分からない。

 

「上についてもこの報告書を渡せば追及はしないだろう。よって現段階での命令は変わらず、指令にのっとり、対象者との交友を()()()深める事に専念する様に」

 

 支援は出来ないと暗に伝えられたリームは自身に出来るのかと悩みながらも唯一の指示に対して敬礼で応えて公安部を後にした。

 

 本部に勤務している隊員には住居代わりの隊室が与えられており、公安部に移ったリームはその人員の少なさから少し広い部屋を一人で使えるのだが、その静けさを鬱陶しいくらいに感じていた。

 

「…貴方なら悩む前に動き出してたのかしら?」

 

 静けさに耐えられなくなった事を自覚する事なく、自分でも意味が無いと思う様な問いを宙へと投げかける。

 

 なんにもしないでいるのは性に合わないと口にして、どんな時でも諦める事を知らない様な後輩の姿を思い出すと不思議となんとかしてみようと言う気持ちが湧いてきた。

 

「のるしかないなら一発に賭ける以外ないものね」

 

 やるしかない現状ならばとことんやってやると意気込みを新たにし、具体的な指令もない中でどの様にハイドラとの関係を構築するか考え出す。

 

 あーでもないこーでもないと思案を巡らせるリームの耳に連絡が届いた事を知らせる通知音が入る。

 

「あら、連絡が届いたわね」

 

 何事かとデバイスを操作するとそこには思考と全くの無関係とは言えない科学事案対策室からの伝達である事が分かり、急いで中身を確認すると短い内容に唖然とした。

 

「国立科学博物館でハイドラさんと会う!? 今週末だから遅れずにねですって!?」

 

 一方的な伝達であり、礼儀の感じられない文面を考えれば無視してしまいたいぐらいだが、曲がりなりにも協力関係にある人物からの連絡である。

 

 ましてやその用件が用件である為に断ることも出来ない。実際にはそんな事は無いのだが、何もかも想定した上で送られている様な気がしてリームのイライラは留まる事なく爆発した。

 

「本当になんなのよあの男は!?」

 

 叫んでも心が晴れる事なく息を荒く吐くだけであり、未来の技術によって各隊員に与えられている隊室が防音仕様だったのが唯一の救いである。

 


 

 特に記載は無かったので準備もなく、身軽なまま指定された施設へと足を運んできました。

 

 まぁ仮に準備が必要であっても四次元ポケットと言う便利な物がある都合上、大体の物は納められるでしょうがね。

 

「ここが国立科学博物館ですか…?」

 

 国立と言うだけあって規模はかなり大きい様ですが、未来の施設にしては地味な色合いをしています。

 

 娯楽施設や観光地としての色が強いひみつ道具ミュージアムとは違い、こちらは学術的な方面に重きを置いている様に見えます。

 

 施設近くの宙に浮かんでいる電子案内を表示させて見ると、科学の発展を綴った歴史やその発展の岐点となった技術の展示、科学者の中でも偉人と評される人物の纏めなど、興味のない者からしたらあくびの一つでも出そうな内容でした。

 

 体験コーナーの様な物が置かれている場所もある様ですが、そちらも精神没入型のVRによる歴史体験と言うお堅いものばかりです。

 

 おや、最新のひみつ道具に触れようと言うデモ体験のブースもあるみたいですね。これはひみつ道具の種類次第では面白そうですね。

 

 ですが、お土産が買えるわけでも無ければ、飲食可能な場所もないみたいですし、やはり一般への受けは悪そうですね。

 

 口コミを調べてみる限り、人が多く来ている時期も中学校や高校での課外授業が行われてる時期か大学でレポートなどが必要になる時期くらいで、勉学関連ですね。

 

「さて、入り口まで来ましたが特に案内は見当たりませんね」

 

 呼び出しておいて案内の一つもないなんて…と文句を言いたい所ですが、言ったところで届く訳でもありませんし、ここからどうするかを考えましょう。

 

「呼び出しといて案内の一つもないなんて…本当に信じられない!!」

 

 心の中の思考と殆ど同じ内容の叫びが実際に耳の中に入ってきました。そして、不思議とその声には聞き覚えがありました。

 

「その声は…」

 

 自然と視線がそちらへ向かい、身体ごと声の方向を向いたら予想通りの声の主と目が合いました。

 

「えっ!? あ…」

 

 そこには少し前に顔を合わせたタイムパトロール隊員のリームさんの姿がありました。

 

 少し先ほどの叫びからして彼女もショウトさんに呼ばれてここに来たのでしょう。

 

「目的は同じみたいですし、とりあえず中に入って見ませんか?」

 

「見苦しい所ばかりで本当にごめんなさい。ぜひ一緒させてもらっていいかしら」

 

 変に引きずっても面倒なので何も無かったかの様に話を進め、送られた入館チケットを提示して建物内へと入ってみました。

 

「人は居ませんね」

 

「スタッフは勿論、お客も全然ね」

 

 中には人の姿は見られず、なんならロボットですら解説員代わりの旧型のロボットが置かれているだけとなっていて、複数人で来てなければ会話は出来そうにありませんね。

 

 ここに検査の出来る施設があるのか、それともここは人けの無さを利用しての集合場所なのか、ショウトさんの考えを推測するのは難しそうです。

 

「何処に向かえば分からない以上はルート通りに行きますか?」

 

 館内の案内に従うと初めにあるのは科学技術の発展について纏められているブースになりますが…

 

「そうね。個人的に科学技術については知っておきたいと思ってたしちょうど良いわ」

 

 おそらくDr.ブレンドを追う上での勉強と言ったところでしょう。しかし、タイムパトロールには圧縮学習の技術が提供されてる筈ですが…

 

 いや、何を知れば良いか選定する為の基礎知識は自力で得た方が良いという判断でしょう。なにせ科学技術における百年の歴史は…

 

「…軽くありませんからね」

 

 ひみつ道具以前から科学の発展は人の文明の発展と紐付けられてきました。体系化されていった技術一つとっても個人で圧縮しきれる量ではありませんね。

 

 この前に逃げられた際には科学事案対策局と言う科学の専門家が相手だと言うのにまだ余裕がありました。

 

 付け焼き刃でどうにかなるものではないでしょうが、知っていれば取れる手段も増えますし、ショウトさんと連携出来る事も増えますかね。

 

「こっちは文字通りの歴史についてですね」

 

 リームさんの見ている科学技術についてのブースから一つ隣ですので逸れる心配はしなくて良さそうですね。少し気になる掲示もありますし覗いて行きましょう。

 

 歴史ブースにおいても内容の厚みといったら来館者を威圧するかの如き、全てを読むにはそれこそ歴史と同じだけの時を必要としそうな有り様です。

 

 まぁ、流石に重要な所は別途で纏められている様ですがね。ひみつ道具の権威と言える()()()()()()()や科学の発展において外す事の出来ないあの()()()()についても…

 

「心を持つロボットの第一人者ですか…」

 

 設計者としては奇天烈斎こと木手栄之進が、そして開発者として木手英一の名前がそこには書かれています。

 

 他人事には出来ない内容ですね。自身が今や心あるロボットの一つとして活動しているのですから。

 

 F作品においてロボットの登場するものは少なくありませんでしたが…同じ歴史に存在しうる地球で、最も古いのはおそらく江戸時代がルーツの()()()でしょう。

 

 作られた時代だけで言うならば【ろぼっとろぼちゃん】の()や博士の方が連載が早かった事から先かもしれませんが…正確な時代設定なんて流石に覚えてませんね。

 

 しかし、仮にそうだとしても設計された時代の設定を含めれば【キテレツ大百科】の()()()に軍配が上がります。

 

 むろん、()を作った博士の名前も歴史には載っている様ですが…やはりFの世界の多くは関わりが深い様ですね。

 

 過去観測が可能になった事で綴られる歴史の正確性は高いものです。それでも観測できなかったり、()()()()()()歴史もある様ですが…そこは触れないのが吉ですね。

 

繋がってない世界も歴史(他のF)も何処かにあるのかもしれませんね」

 

 平行世界(パラレルワールド)か、もしくはもっと近く、『あべこべの星』の様な似た星での出来事の可能性だってあります。

 

 【ドラえもん】だけでも、幾つの世界が、幾つの宇宙があるのか分からないぐらいです。何があってもおかしくないと心構えはしておきましょう。

 

 くるりと振り返って木手一族についての纏めから離れようとした際にハルトマン博士のコーナーが目に入る。

 

「歴史と言うには新しい部類ではありますね」

 

 ひみつ道具の始まりとしてペプラー博士のやらかしも含めて書かれています。未来でこれ以上の事をすると思うと少し頭が痛いですね。

 

 フルメタルの消失…そして暴走するレプリカの太陽…あのままであれば地球ごと滅んでいてもおかしくはない大事件です。

 

 そんな大事件の最中に外部からの干渉が無かったのか疑問が湧いてきますが、それも同じ時間軸に限ればフルメタルの消失の原因から推測は出来ます。

 

 あの『ペプラーマシン』による影響がどの様な物なのか、正解は検証しなければ分かりませんが不可解な点があります。

 

 それはマシンはフルメタルに干渉する筈なのにフルメタルが使われてる道具全体が消失した点です。

 

 全てのひみつ道具が100%フルメタルなんて事はありえません。となるとフルメタルのエネルギーを含んだ物も対象になるのか、そもそものマシンの干渉範囲が間違っているか、その二つの可能性が高いです。

 

 私としては後者であって欲しいところです。前者だとしたらおそらくひみつ道具を組み込んでいる私も消失してしまうでしょう。

 

 『スッポンロボ』が復活してる事から事態が収まれば私も元通りになるでしょうし、そもそもマシンの効果範囲はひみつ道具ミュージアムがある島の範囲なので近付か無ければ良い話でもありますね。

 

 ですが後者だけだとすると外部からの干渉がない理由が説明しきれないので、おそらくフルメタルとそのエネルギーが対象となっているのでしょう。

 

 そして『ペプラーマシン』を逆回転させる事で元通りになる事から単純なオンオフ動作による機械ではない事が分かります。

 

 装置の逆回転はビデオの早戻しの様なもので、装置の起動自体はビデオを流す事そのものと考えられます。

 

 ビデオを途中で止めても進んだ分のテープは勝手に巻き戻りませんし、マシンの誤作動中に無理に止めるのはビデオ自体を壊すのに等しいので一時停止もままなりません。

 

 となると巻き戻しボタンを見つけ出して押すまでビデオは流れ続けているのです。

 

 ビデオが流れている=装置が働き続けていると考えられますし、これによって多くの事に説明がつきます。

 

 マシンが発動し続けていると仮定すると島へ近付こうとするひみつ道具も消えるので、そもそも物理的に近付けなくなります。

 

 エネルギー自体が消失しているので外部から島への干渉も出来ない訳です。

 

 島の外でひみつ道具を使っても効果が届く前にエネルギーが消え去るのですから、何かが起こっていると気付いても関われない訳です。

 

 ある意味、完璧なひみつ道具に対する防御機構になるかもしれませんね。まぁ、起動した者も使えなくなるので戦いが一昔前に戻るだけですね。

 

 マシン本来の機能を望むならオンオフで動作する様にしないと壊れた瞬間に代替エネルギーも機能しなくなるので製造マシンとしは不良品も良いところでしょう。

 

 あれは機能を詰め込み過ぎなのも問題でしょうね。広範囲に効果を及ぼすのではなく素直に目の前の物質の変換に絞っていれば…そもそも起動実験で丸々島一つを範囲に含めるのがおかしいのです。

 

 話がズレましたが、同じ時間軸で対処が出来ないのであれば、事前にそれを知れたかもしれない者なら、それこそタイムパトロールなどが関わらなかったのは何故か。

 

 考えられるのは、それが起こるのが必要な事だったから、解決されるのが分かっていたから、もしくは干渉した結果辿り着いたのがあの結末だったかですかね。

 

 必要な歴史であったなら変えられる事はありません。安全が分かっていれば、歴史の長さに対して人手の足りないタイムパトロールは手を伸ばさないでしょう。

 

 タイムパトロールが関わるならば法律の関係で対応するのは二十二世紀より未来のタイムパトロールになるでしょう。同じ時代ならそれこそ警察や科学事案対策局の仕事です。

 

 より未来から送り込まれたタイムパトロール隊員が干渉した結果があれならばある意味納得も出来るのですがね。

 

 そうなると未来では『ペプラーマシン』の影響を受けないひみつ道具が開発されてる事にもなりますね。

 

 仮に二十二世紀と変わらないのであればタイムパトロールの装備も無くなる筈ですので、それでは一般人と変わらないどころか隊員次第では一般人以下の可能性すらあります。

 

 まぁ、送り出された際に道具の消失を受け、同じ時間軸に干渉出来ないルールによって何も出来ずに失敗した可能性もありますがね。

 

 あの結末よりも良い未来があったと考えるか、未来から見て都合の良い結末だったかは定かじゃありませんのであまり考えたくはない可能性ですね。

 

 それこそ本当にペプラーメタルの様な代替エネルギー物質の発見か、マシンなどからの干渉を防ぐ機構が出来たかの方が面白そうです。

 

「代替エネルギー…私自身も色々と見直したい所ですが…」

 

 ()()()()では下手に手を入れられませんからね。その件も含めて検査に来ている様なもんですし、何をするにも今日の目的をまずは終えてからですね。

 

 そろそろ合流しなければと隣のブースへと戻るとリームさんもそろそろブースを見終わる所でした。

 

「どうでしたか科学技術の纏めは?」

 

「普段何気なく使ってる時間に関する道具について少し詳しく見させて貰ったけど、今の私では表面をなぞるのも難しそうね」

 

 機械の耳はその後に「これじゃ超空間の理解なんて到底無理ね」と呟いているのを拾った。

 

 この時代において未だに把握しきれていない分野、存在しているものを利用出来るようにどうにか整えている様な分野です。

 

 おそらくDr.ブレンド対策にと考えているのでしょうが、そこはショウトさんの様な専門家に任せる方が正解でしょう。

 

「次のエリアは…?」

 

「科学省について知ろう…?」

 

 政府組織の宣伝…技術者や就職希望者の獲得を促す様な内容ですね。後は普通にあまり知られてない活動内容が簡単には纏められています。

 

「「怪しい…」」

 

 何かあるとしたらここだろうと言う感覚が走りました。それと同時に嫌な予感もしますが行かない選択肢も無いのでブース内を歩き始めました。

 

 科学省の起こりについては軽くなら中学で習うレベルですが、流石に展示となると事細かに書かれてますね。

 

 科学技術の国際的な管理基準の制定、それに合わせた法の改正、技術の独占に対して行われた大規模抗議活動やテロ事件。

 

 多くの問題は宇宙へ文明が到達した頃から鳴りを潜めて収束していますが、未だに科学省に対する抗議する団体はいるらしいですね。

 

「ここいら辺はタイムパトロールになった際に教えられたわね」

 

 そう言えばタイムパトロールは法務省の下部組織でしたか…航時法に限らず国家の法に関する事例なんかは必須科目なのでしょうか。

 

 法を司る法務省と科学省が制定する科学法…はっきり言って領分があやふやになっているんです。

 

 科学技術の与える影響が大きくなったが故に、科学事案に対する権限が急激に膨らんだ事で起きた弊害ですね。

 

 法務省がタイムパトロールの上部組織をやっているのも科学省に全てを持っていかれない為に動いたからと言う陰謀論染みた噂が出てるくらいです。

 

 科学省だって時間関連以外のひみつ道具に、ロボット開発、インフラ整備など手を出している事柄の多さから色々と噂はある様ですが…

 

「っと、ここは科学事案対策局についてのコーナーですか…」

 

 どの様な事態に科学事案対策局が動くのか、普段は何をしているのか、何時設立されて、規模はどのくらいなのか…

 

 書かれている内容が本当ならばタイムパトロールより透明性は高そうですね。

 

「基本的には技術の悪用された際の対抗手段の構築、科学省が謳っている適切な科学技術による恩恵の流布を支えるか…」

 

「新しく生まれた技術の検証などの研究が主な業務なのね。それにしては人数も多いけど…」

 

「大体の連中が机か研究室さ張り付いてるから実動班は別に用意する必要があんだっペ」

 

 喋り出す声が聞こえてからようやくカチャカチャと金属の音が響き、後ろに立っているのに気付きました。

 

「…だれっ!?」

 

「大丈夫ですリームさん。彼は科学の業界では有名なロボット…芋掘りロボットのゴンスケさんです」

 

 科学の発展初期に作られておきながら現役で動き続けている。その信頼性と汎用性の高さは今も評価されており、芋掘りロボットと明記されながら様々な業種で働いていますが…

 

「科学事案対策局にも居たのですね」

 

「こんの博物館にも警備でいんぞ」

 

 今さら科学事案対策局と国立科学博物館にいてもああそうなんだと納得してしまいますね。ただ、どちらも科学省の管轄ですが、科学省はゴンスケを重用しているのでしょうか?

 

 しかし、本当にゴンスケは何処にでも居ますね。農業従事、自転車屋経営、ホテルの従業員…よくよく考えると科学省管轄で言えばひみつ道具ミュージアムにも居ましたね。

 

「さっきの口振りからして貴方が案内と考えて良いのかしら?」

 

「あぁ、この先の関係者通路通るにゃパスがいんだ。ほれ、とっとと行くぞ」

 

 ぶっきらぼうな物言いも慣れると愛嬌すら感じます。それにしても関係者通路ですか…国立科学博物館と科学事案対策局はかなり離れていますが、何か施設が置かれてるんでしょうか…それとも…

 

 そんな事を考えながらゴンスケさんの案内に従い着いていくと、途中で警備室を通りその内部に置かれた鍵付きの扉へと入った。

 

 普通の客なら見ることは叶わない施設の裏側を進んでいく、入り組んでおり、初見では迷わずに歩く事は出来ないでしょうが、案内のおかげで少し広い空間に辿り着いた。

 

 その中央にはかなり大きなゲートらしき物と私たちを呼び出した者が待っていました。

 

「っと、ゴンスケ先輩ありがとうございます…」

 

「敬うならこんな古いポンコツをパシらすんでねぇ…ったく、先に戻ってかんな」

 

 軽い会話をするとゴンスケさんはゲートをくぐるとその姿は消えました。やはり、あれは初期型『どこでもドア』に近い代物でしょう。

 

 それを操作する端末の近くにはショウトさんが怠そうな表情を隠さずに立っていますが、こちらから刺さってくる視線に耐えきれず口を開きました。

 

「ここは機密に当たるので目立たない様にゴンスケ先輩に案内を頼んだんですよ。ほら、先輩のあの格好も科対のじゃなくてここの警備のものなんですよ」

 

 なるほど警備室を通ったのも仮に調べられても客が注意を受けた様に見せかける為ですかね。まぁ、機密じゃなくてもショウトさんは案内に来ない気もしますが…

 

「この中央の機械は訊いてもいいのかしら?」

 

「科学省の施設の多くは専用のワープ装置が備えられているんですよ。それも外部からの操作は勿論、干渉すら弾く特別性のが…ま、旧式の物を流用しているだけなんですが」

 

 新しい物は便利ですが意外と旧式の物の方がセキュリティが高かったりするそうですね。

 

 そんな説明をしながらショウトさんは機械に繋がっている端末を弄っています。おそらく、関係者でない私たちが通る為に必要な操作なんでしょう。

 

「準備が出来ましたのでそのまま入ってください。最後にゲートを閉じる設定してから追いかけますので」

 

 はい、チャチャッと行ってと促す姿は適当に見えますが、安全管理などやるべき事をきちんとやっているのが分かりますね。

 

 リームさんは物言いに少しイラッとしている様ですが、言っても仕方がないと諦めてさっさとゲートへ歩き出したので私もそれについていきました。

 

 旧式だと移動時間に僅かな差があると言う話を聞いたことがありますが、光へ入って2秒も経たない内にその景色が目に入りました。

 

「「わぁ!!」」

 

 科学事案対策局の施設について調べた事がありますが、確実に敷地面積よりも広がっています。負荷の多いであろう実験施設でここまで立体的に拡張されてるのは流石ですね。

 

 それに各地に実験中でしょうか、見覚えの無い道具や器具が使用されています。ロボットやインフラ設備、超空間測定に宇宙開発…技術のバーゲンセールとでも言う様な光景です。

 

「あぁー…とりあえず…ようこそ科学事案対策局へ」

 


登場したひみつ道具

 

『スッポンロボ』

 

一度噛み付くと決して離さない防犯用のために作られたスッポン型のロボット。

 

『ペプラーマシン』

 

フルメタルに変わる新たなエネルギーであるペプラーメタルを作り上げようとペプラー博士が作り上げたマシン。

 

 

登場した作品

 

【ろぼっとろぼちゃん】

 

藤子・F・不二雄による1960年代初頭の漫画作品。幼年誌向けに描かれた、少年とロボットのろぼちゃんが不思議な道具で遊ぶ日常を描いた作品。

 

【ドラえもん】

 

1969年から特に児童向け雑誌で「藤子不二雄」名義で連載されたSF生活ギャグ漫画である。

 

【キテレツ大百科】

 

藤子不二雄名義で1974年に発表された日本の児童向けSF生活ギャグ漫画作品。

 

道具が未来の工業製品ではなく、江戸時代の技術をベースにした「手作り」である点が特徴である。

 





年が明けましたねぇ
(明けてから3ヶ月経過)
ぼちぼち書いていきます…
(ぼちぼち…3〜5ヶ月に一話)

いや、我ながら終わってる投稿頻度。
投稿頻度ネタも擦りに擦ってそろそろ消失しそうなレベルですが、新しい趣味でAI作曲を楽しんだり、自力作曲に挑戦してみたり、新作のゲームを買ったりしてると直ぐに時間が過ぎるんですよね。

つい、最近なんかはシブの方でユーザー企画に参加し始めたりと、あちこち手を出してはノロノロと活動しています。

書けそうな時は書きますが、少しずつ作品を減らさないと回らないと思い、とある作品に少し集中する予定なので、ネタにしましたが変わらず投稿頻度は亀以下と思ってください。

それでは久々の挨拶と参りましょう。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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元日本人男子の「俺」が転生した先はコードギアスの世界、しかもブリタニアと開戦する以前の日本だった。▼このままだと戦争で死ぬ。▼由緒正しい忍者(?)の家柄である篠崎家の娘、百合として、彼は生き残るための方法を模索する。▼※読者さまからいただいたイラストはまとめて活動報告に掲載させていただいております。▼まことにありがとうございます。▼※本編完結しました。▼※p…


総合評価:35681/評価:8.89/完結:94話/更新日時:2024年10月24日(木) 19:15 小説情報

拗らせロリババア魔女が救世用召喚陣を究極理想の旦那様召喚陣に作り替えた異世界生活(作者:唯のかえる)(オリジナルファンタジー/コメディ)

拗らせ数世紀ロリババア魔女が救世用召喚陣を究極理想の旦那様召喚陣に作り替えて、召喚した主人公とイチャイチャしたい話


総合評価:1729/評価:8.74/短編:2話/更新日時:2026年03月02日(月) 01:16 小説情報


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