「ーーーー個性が発現したのねっ! 流石ね
その一言が起因だったのか、個性がトリガーになったのかは全くわからない。ただ、その時僕は頭を思い切り万力で挟まれたかの様な激痛に襲われた。
「痛っ……ぁぁあ!」
「大丈夫?!
「母さん大丈夫だよ、悟は初めての個性で反動が強いんだと思うよ」
激痛に呻く僕の目の前で、心配そうに声をかけて寄ってくる母親の姿と、初めて個性を使ったからと言って母親を宥める父親の姿。
激しい頭痛で、頭が割れそうになりながら僕の脳内では
◆
確かその日は雨の日だった。
「日本人の良いところは奉仕の心。故に仕事もサービスで仕事しろ!」
誰もが聞けば分かる超が付く程のブラック企業に勤めていた僕は、その日上司に押し付けられた書類の整理に追われていた。
最初は反抗的であった僕も、徐々に精神が壊れたのか慣れたのかは定かではないが、理不尽に仕事を押し付けられる事も何故か頼りにされていると錯覚していた。
深夜零時を半ば過ぎた時刻。漸く整理も終えて、退社をすれば外は大雨だった。
昼時にSNSでニュースを見たときに、ここ数十年無かったゲリラ豪雨が来るとの事だった。トレンドで見た限りではあるが、地方の人は断水になったり、道路が冠水したりとかなり大変な事態になっていたらしい。
こんな豪雨の中で仕事とはバカバカしい、常人なら思うが麻痺していた僕はいつも通りのことだと思いながら慣れた道を走って帰った。
生憎、折りたたみ傘は家に置き忘れてきてしまった。全身に豪雨が叩きつけられて、スーツがビショビショに濡れて肌に張り付いたのが気持ち悪かった。
靴の中に侵入して、じゃばじゃば音が鳴る。
忙しい毎日の影響で伸びに伸びた前髪が顔に張り付いて、前が見えづらかった。鼓膜を震わす雨の音、髪の毛に遮られて狭くなった視野。
記録的豪雨だった。
ライフラインも充実して、点検も他の地方よりもされているだろう僕の住んでいる都会でも、天災には敵わなかったらしい。
トレンドで見たものが目の前で起きた。
元々業者が見落としていた
どんどん地面を食い尽くす様に広がっていく穴はやがて僕の近くにやってきた。
すぐに逃げ出せたはずだ。
この時の僕の頭の中は何故かかなりクリアだったから思えばすぐに体が動いていたんだろう。
ただ、視界に入った女性がその穴に巻き込まれて落ちそうになっていた。
それを見た時、何故か体が勝手に動いていたのだ。
火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか、運動をしていた学生の時ぐらいの速さで僕はその女性の元へ走っていった。その後、手を引っ張り上げて代わりに僕が身代わりになる様に後ろへ投げた。
幸い、投げ飛ばした女性の場所までは陥落しなかったらしい。
僕だけがその陥落に巻き込まれて、まるで津波の様に轟々と瓦礫を飲み込んだ水に呑み込まれた。
漠然と死ぬんだと感じた。
走馬灯が巡る。
良くしてくれた両親達や、ふざけあった学生時代の友達。
好きだったマンガやアニメ。
好きなキャラクター、好きなシーンが駆け巡る。
「ーーあぁ、続きが気になるなぁ」
情けなくも僕が最期に残したのはその言葉だった。
◆
時間とは早いものだ、新しい人生だから余計早く感じたのかも知れない。
転生というものが本当にあるんだと、四歳の時に思って随分パニックになったものだ。
「それにしてもーー」
鏡越しに見る自分。
程よく伸びた色素の抜けた綺麗な白髪。
線の細くトップアイドルすら逆立ちしても敵わないような端正な顔立ち。
余り手入れしなくても綺麗な柳眉。
そして、空を閉じ込めたかの様な瞳。
極め付けは、
「ーーーー悟ー! 今日は受験の日でしょ!
極め付けは、
僕の名前は、
容姿からして間違いなく、あの有名な集○社の看板漫画呪術廻戦に出てくる最強を誇る登場人物その人である。
五条悟とは、最初から最後までずっと登場人物の中での強さランキング一位を誇る最強中の最強キャラクター。
圧倒的なまでの強さに、この容姿。声優もしっかりと当てはまっており、男性女性問わず超絶な人気を誇るキャラクターである。
当初僕は、呪術廻戦の世界に五条悟として憑依したのだと思っていた。
僕なんかに最強が相応しいのか、五条悟が務まるのかと不安になったものだ。
この世界は、呪術師ではなく様々な人間が超能力を有している。超常社会が一般的であり、その能力の事を個性と称している。
個性にも様々なものが存在しており、その中には日常生活に少しだけ有利に動くものだったり、その名の通り超人的な力を持つ人間がいたり、はたまた動物の見た目をした人がいたりとする。
勿論その個性を悪用する人達だって沢山いる。そんな奴等の事を
ヒーローがいつからか職業となり、老若男女問わず人気を絶する仕事となった。
小さい頃からヒーローを夢見て、ヒーローになる為のカリキュラムが施された学校が作られるぐらいだ。
そして僕は、前世で死ぬ間際に人を助けた事もあってかどうかは分からないが、どうしようもなくそのヒーローという職業に憧憬を描いた。
僕の個性は、表向きには『無下限』とされている。
両親の個性の複合型らしい。
父はただ攻撃や自分に向かってくるものを止めるだけの個性。
母は相手を見ただけでその人の個性が分かる個性。
それが複合した結果、掛け合わさってより強力な個性が生まれた。
という風になっている。
しかし、
「
僕の個性は、『五条悟』。
そのものである。
思った事や、言葉が全部五条悟に変換されるのだ。勿論能力も付随する。
だから、僕という一人称は使えない。
五条悟は僕って言うじゃんって思ったけど、よくよく考えれば年齢的にまだ荒れてた頃だった。
まさか学生五条悟とは思いもしなかった。
大人五条と同じぐらいの能力を使えるのは幸か不幸か、精度はやや落ちるんだけどね。瞬間移動とか、くっそむずい。
閑話休題。
学生五条悟とは、まず人を煽る。
自信過剰。
唯我独尊。
五条の上に人を作らず。
顔と術式に全振りした性格を天与呪縛された人間である。
ごめんよ母さん、口の悪い息子で。
ありがとう、百ちゃん。
いつも待っててくれて。長い付き合いなのに嫌な顔せず、接してくれて。
おじさん泣いちゃう、でも泣かない。だって、五条悟だもん。
これは、そんな五条悟として生まれた僕がヒーローになる為の物語だ。
性格に難ありすぎてヒーローになれるかな……。
◆
事件は起こった。
雲一つない快晴の昼下がりの事だった。
一度は捕まえたハズのヴィランが、隙を縫って逃走。
あろうことか、そのヴィランは下校中の男子学生を覆い隠す様に纏わりつく事で対象を乗っ取り個性を使うことが出来る。
異形系と呼ばれるその体は、ヘドロの様に流動体になっておりなまじ液体な為、掴むことすら出来ない為その身から剥がす事が出来ない。
ギャラリーが増え続け、皆口々にヒーローはまだかまだかと到着を待つ。
その中には、相性が悪い上に人質に取られている事もあり何も出来ず立ち往生するヒーローの姿すらあった。
「ーーーかっちゃんっっ!」
そんな中飛び出したのは一人の少年だった。
学生服に身を包んだ緑髪縮毛の少年。
無個性でヒーローに憧れて、日々ヒーローの研究を行なっている少年だった。
非力な体で、緑谷は精一杯にヴィランの元へ駆け込んでいく。
「バカやろー! 止まれ!! 止まれ!!」
人々は静止を促した。
それもそのハズだ、一般人の少年一人飛び出した所で一つも解決に向かうなんて思わなかった。人質が一人増え、ヒーロー側のリスクが大きくなるだけだったのだから。
「爆死だ」
ヴィランが乗っ取った少年を動かして、その右手の汗腺から火花を散らす。
「っしぇい!」
攻撃動作の途中、緑谷はヘドロに向かって背負っていたリュックを放り投げた。入っていた中身は、慣性の法則により飛び出して、筆記用具やノートが散乱しヴィランに直撃。
攻撃が止まる。
「デクッ。何で、テメェが……っ!」
「分からない。足が勝手にっ! 何でって、分かんないけど!」
ヘドロに向けて緑谷は飛びかかった。
一心不乱に、ただ一生懸命に。
掴んでも掴めないヘドロを掻き分けて未だ乗っ取られる事を拒否し自我を保ち続ける少年へと手を差し伸べる。
幼少の頃から家が近所で、幼稚園から中学に至るまで一緒の幼馴染。個性が発現した時から、元々勝ち気だった性格に横暴さが加わり緑谷をいじめてきた一人である。
そんな事は緑谷には、関係がなかった。
普通であれば躊躇する、もしくは動かないどちらかだが緑谷は体が勝手に動いていたのだ。
どっちも必死でお互い泣きそうな表情を浮かべながら、それでも緑谷は不恰好な笑顔を浮かべて手を差し伸べる。
迷いなく差し出された手、まさしくはそれはヒーローとしての在り方で。
「君がッ! 救けを求める顔をしていたから!!」
その叫び声を聞いていた、野次馬の中で埋もれていた痩身の壮年男性は震え上がった。
その者は、全世界から注目されるナンバーワンヒーローとして活躍するオールマイトその人だった。
理由あり、痩身だが個性を使用するとその身長は二メートルを超えてアメコミ漫画よろしく筋骨隆々の巨躯に変化する。
そんなオールマイトは先程、緑谷が夢描いていたヒーローへの道を閉ざす様な言葉を投げかけた。
それなのに、彼はここにいる誰よりも。
勿論、活動限界を迎えているナンバーワンと呼ばれるオールマイトよりもヒーローだったのだ。
(情けない……情けないっ!!)
打ち震える理由は、少年へ投げかけた絶望の言葉への後悔か。それとも無力に野次馬と化していた自分への憤怒か。
個性を行使する。
全身が膨れ上がる。
垂れ下がった金髪が逆上がり、個性の反動で口から血が溢れ出た。全身が軋む、激痛が神経を蝕み脳から危険だという信号が送られる。
「君を諭しておいて、己が実践出来ないなんてッッ!」
だが、そんな事はどうでもいい。
一歩踏み出すだけでヘドロのヴィランとの距離は瞬く間に縮まる。
ヴィランの元へ肉薄。
体制を低く保ち、地面スレスレから拳を突き上げようと構えをとった。
その余りの膂力に、天候すら変えたと呼ばれる一撃がヴィランに迫ろうとした。
「……あ、ミスった。ここどこだよ」
「ッッ!!? 君、そこをどきなーー」
突如、オールマイトの眼前に現れたのは前髪に掛かる程伸びた白髪を揺らし、光を反射しない程に黒いサングラスを掛けた少年。
五条悟は突如現れた。
何事か呟きながら、キョロキョロと辺りを不服そうな表情で見渡している。
オールマイトは、正体不明のその少年の背後にいるヴィランに今まさに拳を向けている最中だった。
眼前まで突きつけられた拳は、もう止まらなかった。
「キャー!」
ギャラリーの女性の悲鳴が聞こえた。
先に起こる悪夢を幻視したのだろう。
そして、オールマイトの抵抗は虚しく五条の体に突き刺さるその拳。
天災を彷彿させる破壊力により、直撃と同時にその成長途中の柔な体を蹂躙する。
「ぁ? 誰だよ、急に殴りかかってきやがって……って、はぁっ?! オールマイト!?」
「ーーさい!! って、エエ!? 当たってない、いや当たらない!? なにがどうなって」
お互いが困惑した。
方や、ケンカを売られたと思い込み、臨戦体制を取り個性を使用する為に振り返ると目の前にオールマイトがいた事に。
方や、無惨にも木っ端微塵に弾け飛ぶと思っていた少年の肉体が健在な事に。
更に、拳はまるで五条の皮膚に侵入する事を拒む様に止まっていた事に。
「なんでこんな所にオールマイトが」
「それはコチラのセリフだ少年! 急に出てきたと思ったら、私の拳を簡単に止めて!」
「こんぐらいヨユーだろ」
「ヨユー……!?」
愕然とした。
確かに身長こそ成人男性でも稀に見る程に成長してはいるが、その顔に纏う学生服はどう見ても年端もいかない少年そのものだった。
そんな少年から、まさか首位を走り続け巨悪を打ち滅ぼしたオールマイトの拳が止められ、尚且つ余裕発言をされたのだ。
「んで、何コレ? ギャラリーこぞって、撮影中かなんかか?」
「ーーハッ!? そうだ、少年! そこを退きなさい、まだヴィランが!」
「ヴィラン?」
五条が振り返った先、その背後には先程まで爆破の個性の爆豪へ覆いかぶさり、主導権を奪おうとしていたヴィランがいた。
(オールマイトの拳を受け止める程の強個性! ひひっ、オレにもツキが回ってきやがった!)
ヘドロのヴィランはたちまち、取り込んでいた爆豪を吐き出した。
「げほっ、げほっ!」
どちゃりと吐き捨てられた爆豪は、満身創痍で地面に叩きつけられる。口に侵入していたヘドロが気管に入り、叩きつけられた衝撃もあり口の中の汚物を吐き出した。
「かっちゃん! 大丈夫!?」
「寄るんじゃねえ、クソナード! 俺を心配してんじゃねェ!」
緑谷が、地面に倒れ込んだ爆豪へと駆け寄る。
それを尻目にヴィランは、流動する体を膨張させた。今の彼には、目の前の標的しか目に入らなかった。
「Lサイズの、隠れミノぉ!」
五条に覆い被さろうと、ヴィランが飛びかかった。
その光景に、先程まで取り込まれていた少年の悲劇を彷彿させた。
オールマイトが、足を踏み出そうとして、込み上げてくる血が口から溢れた。
「少ねーーがふっ。くそっ! 逃げろ少年!」
「はぁ? 誰に言ってんだよ」
一拍もしない内に、ヘドロが五条を取り込む。
そんな未来を人々は幻視した。
「隠れミノぉぉ---ぉおおおおお!?」
「クサいよオマエ」
五条がただ右手を突き出す。
その右手から浸食し、全身にヘドロをぶつけ取り込もうとしていたヴィランは
ただひたすら面倒臭そうに、異臭に顔を顰めさせながら五条は右手の手のひらを人差し指を残して握り込む。
瞬間、収束する蒼の光。
轟ッ!
風が唸りを上げた。
路地裏に積もったゴミや塵を巻き込みながらその流動体の体を光点が吸い込んだ。
「ごっ、ヤメーー!!!」
「ヤメるのはオマエのその臭いだろ」
たった一瞬だった。
五条が生み出した光点が、流動体の体を圧縮した。膨れ上がった体は見る影もなく、軟球程の大きさまで圧縮され渦を巻いていた。
「何でこの程度の個性のやつに手も足も出ねえんだよ、ヒーロー免許返納しろよ」
悪態をつきながら、先程の光点に巻き込まれなかった緑谷のリュックから落ちた空のペットボトルを拾い上げて、ヴィランを押し込んで蓋を閉じた。
ものの数瞬の出来事である。
たった一つの動作だけで事件を収束させた。
次いで言い放たれた言葉は、野次馬に紛れ動向を窺っていたヒーロー達も、目の前でヴィランの凶行を見ていたオールマイトにすら突き刺さった。
唯我独尊、傍若無人の言葉である。
「なっ」
そんな五条とは対象的に、地面に倒れ込んだ二人は愕然としていた。
あのナンバーワンヒーロー、オールマイトの事すら見下す傲慢さ。
オールマイトの一撃を軽くあしらい、ヴィランを鎮圧した圧倒的までな強個性。
性格や口調の悪印象を引っくり返す程強烈な衝撃だった。
彼我の差は明白だった。
「ンンンっ! その口の悪さは頂けないが、それとこれとは別だ。すまないね、私の力不足でプロヒーロー達を失望させてしまった。そして、ありがとう。君のおかげで事なきを得たよ」
「別に、俺にとっては町でアンケートを取らされたぐらいのハプニングだよ」
本当にそう思ってる様に、耳の中を小指でいじりながら五条は言う。
ついた耳垢を見て、ゲッと表情をしかめた五条は、次いで何を思ったか表情を一転させてニヤニヤしながらその手でペットボトルに擦り付けてオールマイトへと投げた。
「shit!! ちょっと、キミ、ホント失礼だな!」
オールマイトは受け取りながらも、手をバタバタさせて耳垢を振り払う。
「誰のおかげで解決したか知ってる?」
「性格の悪さならヴィランにも負けてないねキミは!!」
「そんな褒めるなよ」
「褒めてないよ!?」
漫才よろしくテンポ良く問答を繰り広げている中、白髪の少年は辺りを伺い始めた。
ここに現れた時からそうだったが、何かを探している様な雰囲気がある。
「それより少年、キミはいくつだい?」
「十五、春から高校生」
「十五って……
「あー、じゃあ、解決したから揉み消しといて」
「キミねえ……」
そう言いながらも、今回の件は目を瞑り無かったことにしようとオールマイトは決める。
ただ、ふと思った。
「キミ、個性の無断使用今回が初めてじゃないだろ」
「…………、」
オールマイトの質問に、五条は罰の悪そうな表情をしながら沈黙で返した。
「驚くぐらい分かりやすいね!!」
「バレなきゃ分かんないでしょ」
「そう言う問題じゃ---げほっ」
言葉を続けようとして、咳き込んだ。
喉奥から逆流してきた血液を、表に出さないように食い止めて呑み込んだ。
「私も、そろそろ時間だからこのヴィランを突き出して来る事にするよ。くれぐれも個性の無断使用は控える様にね少年!」
「次はバレない」
「そういう問題じゃないからね!? なんにせよ今日の事は助かったよ、それじゃあね!」
ぐぐぐ、と膝を畳んで力を込める。
ふくらはぎから順番に太腿の筋肉が大きく盛り上がった。
力を解放した瞬間、瞬く間にその場から跳び上がり何処へともなくオールマイトの姿は消えた。
「すみませんすみません、少し前をーーあぁっ! やっぱりいましたわ! 悟さん!」
どよめくギャラリーの中を掻き分けて、先頭に出てきたのはセーラー服に身を包んだ黒髪を結い上げた美少女だった。
八百万百。
個性は創造。
生命体こそ作れないが、知識のある限り無機物の創造を自分自身の脂肪を引き換えに作り出す事が出来る個性。
古くから有名な資産家である八百万家の息女である。
そして、目の前にいる五条悟とは幼馴染にして
同じく古くから存在し、資産家である五条家の跡取りの五条悟は百の隣に敷地を持っており幼少期から交流を続けていた。
その中で、お互い仲の良い両親が許嫁として取り決めを行ったのだ。
「ぅげっ、もう追いついてきたのか」
「今日という今日は逃がしませんわ! 折角二人揃って名誉ある雄英に受かったというのに! 早く帰って一緒に勉強しますわよ!」
「雄英にっ!? こんな早くから決まってるなんて、まさか推薦組……!」
百の言葉に反応したのは緑谷だった。
それもそのはず、緑谷出久と隣いる爆豪勝己は雄英高校に入る事を目標としているのだから。
ナンバーワンヒーローオールマイトを始めとする様々なプロヒーローを輩出する名門中の名門、偏差値も高くヒーロー科を卒業していなくても箔がつく。
「勉強つっても、百の個性の練習台にさせるだけだろ」
「まぁ、何を言ってますの? 悟さんも個性の練習台に私を使ったじゃありませんの」
「それはそれ、これはこれ」
「減らず口を! いいですわ、今日という今日は許しませんわよ!」
ぷりぷりと怒りながら、五条に近づきその手を掴み歩き出す。
怠そうな表情しながらも、観念したのか手を引かれ群衆の中を縫って二人はその現場を後にした。
その後。
残った緑谷はヒーロー達に物凄い形相で怒られ、対照的に爆豪は数十分に渡りヴィランの乗っ取りに耐えたタフネスとその個性を褒め称えられた。
◆
-----オールマイト!? なんでここにっ!!
陽も落ち始めた夕刻。
閑静な住宅街は、その屋根を茜色に模様替えをしておりなんとも言えない芸術的な風景を見せた。
そんな住宅街の一角、その屋根上で五条悟は立っていた。
事件終息後、百に無理矢理自宅へ連行されていた五条だったが何とかそこから脱出し逃げ出してきたのだ。
その逃げ方も古典的なもので、
『おい見ろよ、百。あそこにUFOが飛んでるぞ!』
『本当ですの!? いませんわよ、何処にーーやられましたわ!?』
と、いったものである。
子供騙しに何度も引っかかり続けている百ならこんな手にも引っかかるとは思ってはいた。
八百万百は純粋である。
ピュアが服を着て歩いている様なものだ、それを自己中唯我独尊ゴーイングマイウェイの五条はいい様にあの手この手で騙し逃げているのだ。
五条の思惑通り、指差す方に勢いよく振り返った百の手から逃げおおせて、全身の力を駆動させて屋根上へ跳躍。その後、全力で走って逃げてきたのだ。
ちなみに余談だが、事件介入も逃げる時に使用した瞬間移動の座標ミスである。
そんな逃げおおせた先、ボンヤリと夕陽を眺めていた五条の耳にどこかで聞いた声と単語が届いた。
「……オールマイト?」
どうにもその言葉が気になった。
足音を立てない様に慎重に屋根の上を歩きながら、声のする方向へと向かえば先の事件現場にいた緑谷とオールマイトがそこにいた。
「何でまたアイツらが」
そう疑問を言葉に出した瞬間だった。
筋骨隆々のオールマイトが、その口から決して少なくない量の血液を吐き出してどういう原理かその体から蒸気を巻き上げた。
「マジかよ」
五条はサングラスをズラし、その光景を見て驚愕する。
住宅街を染める赤の色とは真逆の、快晴の色。空を全て集約した様な青の瞳が二人を映し出す。
そんな瞳が映し出したのは、蒸気の向こうで小さくなっていく影だった。先程までの巨躯からは打って変わった痩身の壮年。病弱が服を着て歩いている様な人物である。
まるで嘘の様な出来事である。
五条自身も
六眼と呼ばれるその空色の瞳は、目に映る物の個性を判別することが出来る。故に、目の前の現象が避けようのない事実だという事がわかった。
とんでもない事実である。
この光景を写真に収めて、センテンスウィンターに投げ入れたらどれだけのお金が入って来るだろう。
「ーートップヒーローは学生時から逸話を残している……っ! 彼らの多くが数多くのインタビューを受けた話をこう結ぶ!!」
驚愕にフリーズする五条の傍らで、緑谷とオールマイトの話は進んでいく。
オールマイトの言葉に期待して、緑谷はその小さな体を抱く様に小さくなる。緩い涙腺から雫が溢れた。
「『考えるよりも先に、体が動いていた』---と」
その言葉はどうしようもなく、緑谷がヴィランに取り憑かれた爆豪を救けるために飛び出した時と一緒だった。
緑谷自身、訳も分からなかった。だけど、体が動いていたのだ。
---ごめん、ごめんね出久っ。ごめんねぇ……!!
緑谷の脳内に巡る過去の記憶。
かつて小さかった緑谷を抱きしめて、そう耳元で泣いた母の姿を思い出した。
同時に、更に大きな雫が頬を伝った。
「君も、そうだったんだろう!?」
「…………うん……ッ!」
---違うんだよお母さん。
オールマイトの言葉と、母の泣き声が頭で反響していた。
霞んだ視界、朧げに映すのは夕陽を背に目の前に立つナンバーワンヒーローの姿。
---違うんだ、あの時。僕が、僕が言って欲しかった言葉は、
「『
ずっと
「ーーーーイイ話してるとこなんだけど、俺も聞いてるよ」
「うぇぇぇえ!!!?」
緑谷とオールマイトの絶叫が、住宅街に轟いた。
ふぃじかるぎふてっど!を描いてるつもりが全く別物書いてたってばよ
五条悟
転生したオリ主。
中身はおっさん、ガワは五条悟。何言ってんだかわけわかんねーなこれ。
オリ主が生きていた現代の○英社では、ヒロアカはなかった。ゆえに原作知らない。毛食ったら個性使えるってなによそれ。
中身の一人称は僕、ガワは俺。
気づいた時には無下限術式を行使したと同時に前世の記憶を思い出した。
それまでは主導権を握っていたはずなのに、今は完璧に個性『五条悟』に乗っ取られている。言動とは裏腹に内心では謝ったりドギマギしたり忙しい。
無下限術式に関しては、原作時点と同等に出来る。
作中で瞬間移動苦手と言っているが、内側の人格が足引っ張ってる。百から逃げてる最中罪悪感で謝り倒してたら、座標ミスった。
ただ、ガワが若いからか高専時代の口調に引っ張られている。
家は古くからある資産家の家系。
やおももとはお隣さん、お互いの両親仲良し。勝手に許嫁取り決めちゃって、おじさんドキドキしちゃうよぉ! 捕まるんじゃないかってね!!
八百万百
今作ヒロイン。
言わずとも知られた巨乳ちゃん、カワイイヤッター!
コスチュームから見えるおへそぷりちー!
五条悟とお隣さん。小さい頃からの幼馴染。
第一印象は「お人形さんみたいですわ」
第二印象は「なんて横暴な殿方でしょう!」
今「許嫁の私がいなければダメなんですから! ぷりぷり!」
である。
五条の個性練習によって、自分自身の個性への知識も深まった。
なんやかんや強化されてる。
頭にずっとあったのを書き上げて投げただから、続くかは未定。
反響次第(感想評価乞食