上位者少女が夢みるヒーローアカデミア   作:百合好きの雑食

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21話 騎馬戦の終わりです

 

 

 視点が高いと、意味も無くワクワクしますね。

 

 鉄哲くんの頭に両手をおいて、顎を乗せながら『ふわあ』と欠伸を洩らす。

 開始の合図と共に狙われるかもと期待していましたが、今は緑谷くんがモテモテなのでちょっと退屈です。

 

 

「はっはっはっ!! 緑谷くんいっただくよー!! トガちゃんと戦うのは私達だー!!」

「悪く思うなよ!!」

「1000万の輝きは僕の物さ☆」

 

 

 は、んえっ……!?

 あまりの光景に落ちそうになる。は、葉隠ちゃんは……上半身裸でした。……み、見ない様にしようと、心配してくれる心操くんに大丈夫だと言って、赤くなった顔を鉄哲くんの髪に埋める。

 

「起きろ渡我ァ!!」

「……ヤー」

 

 190Pの葉隠ちゃんチーム。

 

 前騎馬の尾白くんと後騎馬の青山くんですか。普通に厄介な組み合わせです。

 尾白くんはリーチと破壊力のある尻尾、青山くんはいつ飛んでくるか分からないレーザー。そして葉隠ちゃんは上半身が……は、裸。触っちゃうかもと思うと、下手に手が出せません。ある意味で一番凶悪です。

 

 

「ウチらとしても1000万Pは当然として、渡我との挑戦権は欲しいからね!」

「おう!! こんなに早く機会が巡ってくるなんてなぁ!!」

「……!」

 

 

 365Pの耳郎ちゃんチーム。

 

 前騎馬の砂藤くんと後騎馬の口田くんは、滅多な事では崩れそうにないです。

 耳郎ちゃんは近距離と中距離の攻撃とサポートを両方こなせる時点で強いのに、砂藤くんはパワーがあってタフです。耳郎ちゃんのどんな動きもサポートできるでしょう。口田くんの『生き物ボイス』もどんな“個性”か読めなくて、普通に強敵です。

 

(……私なら、一旦避けて様子見ですね)

 

 もしくは、遠距離から仕留めます。……いえ、仕留めちゃダメですね。面倒臭くてもちゃんと接敵しましょう。

 そんな2チームと対峙する羽目になった緑谷くんチームには……お茶子ちゃんがいます。

 

 

「追われし者の宿命……選択しろ緑谷!」

「もちろん!! 逃げの一手!! ……渡我さんの性格なら、後半に仕掛けてくる!!」

「それまで、絶対に渡せないね!!」

 

 

 10,000,325Pの緑谷くんチーム。

 

 前騎馬に常闇くん、後騎馬にお茶子ちゃんと発目ちゃんがいます。

 緑谷くんは“個性”がオールマイトと同じで、戦闘力は今のところ未知数で諸刃の剣。常闇くんは……『だーくしゃどう』というのが良く分かりませんが、たびたび好意的な視線を感じるので良い人です。実力も有りと見ています。発目ちゃんはサポート科で『ズーム』の人という情報しかありませんが、身に着けている機械は便利そうです。そして、お茶子ちゃんは…………一瞬だけ私の方を見て、笑った。

 

(……うー)

 

 ふと、お茶子ちゃんのご両親も見ているのではと気づいて、よく分からない気持ちでもだもだしてきます。

 

 空を飛んで(発目ちゃんの機械ですかね?)逃げる緑谷くん達を見つめながら……迷いを振り払おうと、鉄哲くんの頭に額をぐりぐりします。

 

「寝るなァ!!!!」

「……むー」

 

 少しだけ心が重いです……でも。

 

(ソレはソレ、コレはコレ、です)

 

 割り切る事には、慣れています。

 

 自分の選択で誰が喜ぼうと、悲しもうと、狂おうと、死のうと、豚に喰われようと、人以外の者になろうと()()()()()()だからしょうがないと、迷いを消して顔をあげる。

 

 これは騎馬戦で、団体戦。

 

 心操くんや塩崎ちゃん、鉄哲くんを勝たせてあげると決めたから……お茶子ちゃんや、他の子達が負けても、しょうがないのです。

 

「…………鉄哲くん、温まっていますか?」

 

 少しくぐもった、しかし静かすぎる声が出てしまう。

 

「……ッ、おう!!!!」

 

 うん、良かった。

 鉄哲くんの威勢の良い声に満足しながら、観察を続けます。

 塩崎ちゃんも心操くんも、気を抜いてはいないらしく、足から2人の緊張が伝わってきました。

 

 ああ。

 そうしている内に、葉隠ちゃんがB組の子にハチマキを取られていますね。『コピー』ですか。

 やっぱり、A組と違ってB組は考えて動いています。というか、今のA組は緑谷くんを狙い過ぎです。……1000万のハチマキしか目に入っていない動きに首を傾げます。

 

 

『さ~~~~まだ2分も経ってねぇが、早くも混戦混戦!! 各所でハチマキ奪い合い!! 1000万を狙わず2位~4位狙いってのも悪くねぇ!! んだが、A組は緑谷に一点集中かー!?』

 

 

(なんか……危ういですね)

 

 大丈夫なのかと心配になってくる。

 いえ、それを凌いでいる緑谷くんチームも凄いですけど……

 

「……ねえ、鉄哲くん」

「なんだ!? もういいのか!?」

「ダメです。あのね……私の名前、呼ばれ過ぎじゃないです?」

「はあ!?」

 

 だって、おかしくないです?

 1位の緑谷くんの次に呼ばれるっていうか「トガと戦うのは私達だー!」って、ほらまた! 芦戸ちゃんは……爆豪くんチームに入ってるんですね。

 

「……B組さんからも注目されて、とても困ります」

「……そ、そうなのか!?」

「はい。だから、後半はお願いしますね。鉄哲くん」

「……ッ!!」

 

 ちょっと念押しをして、彼の髪をかき回して身を起こす。

 のんびりと背筋を伸ばしていると、途端にバッ!! と全方向から注目が集まるから……本当にやり辛いです。

 

(狩人が目立ったら、獲物に逃げられちゃいます)

 

 やれやれと、包帯でがっつり固定された左腕から指先までの可動域を、改めて確認する。

 

 

「ヒミコちゃんが準備している。……時間が無いわ」

「怖えェ!! でも、オイラだってやるぜえ!!」

「……!!」

 

 

 420Pの峰田くんチーム。

 

 前騎馬が障子くんで、後騎馬が梅雨ちゃんですね。ほぼ障子くんが1人で馬になっていますが、あの戦法もかなり有効ですね。

 峰田くんの“個性”と梅雨ちゃんの大抵の事ができる器用さを考えれば、油断して良い相手じゃないと素直に感心する。

 

(……んー)

 

 観察を続けながら、ゆっくりと指を開いたり閉じたりする。

 お腹と足にも包帯が巻かれている。少しばかり、平時より動きが阻害されているのをちゃんと意識して、欠伸をしながら腕を回す。

 

 

『峰田チーム、圧倒的体格差を利用し、まるで戦車だぜ!!』

 

 

 チラと見れば、鉄哲くんがギチギチと歯ぎしりしていて、良い感じですと目を細める。

 

 塩崎ちゃんには、ツルを細かく念入りに編みこんで強度の高い縄を用意して貰っている。心操くんは私の言った通り、緊張を滲ませながらジッと試合の様子を観察している。

 

 

「調子のってんじゃねえぞクソが!」

 

 

 っと。

 爆豪くんは相変わらず、よく動きますね。

 

 

『騎馬から離れたぞ!? 良いのかアレ!!??』 

 

『テクニカルなのでオッケー!! 地面に足ついてたらダメだったけど!』

 

 

 ミッドナイトの審判に、予想通りでしたけど、早めにオーケーがでてラッキーだと屈伸する。

 

 さて。665Pの爆豪くんチーム。

 

 爆豪くんに関しては……特に言う事もないですね。見たまんまです。

 前騎馬の切島くんは硬くてタフな子です。外がカチカチなので、内側に衝撃のいく攻撃をしたらどうなるか気になっています。

 後騎馬の瀬呂くんは、やれる事が多すぎるので一番厄介な相手です。引き出しが多い人ほど虚を突かれやすく、その一瞬で内臓攻撃されちゃうのです。芦戸ちゃんは、とても元気な子なので、油断すると酸を纏った蹴りとかきそうですね。実はA組の中でも動ける子です。

 

 

『やはり、狙われまくる1位と、猛追をしかけるA組の面々共に実力者揃い! 現在の保持Pはどうなってるのか……7分経過した現在のランクを見てみよう!』

 

 

 チラと見て、そりゃそうですよと、B組の子を見る。

 

 

『あら!!?? ……ちょっと待てよコレ……! A組、緑谷以外パッとしてねえ……ってか爆豪あれ……!?』

 

 

 彼の方が、視野が広かったですね。

 

 

「単純なんだよ、A組」

「んだてめェコラ返せ殺すぞ!!」

「やられた!」

 

 

 ゆっくりと、鉄哲くんに「そろそろです」と伝える。

 彼は「……ッ!!」嬉しそうに、歯を見せて笑う。塩崎ちゃんと心操くんも、静かに目と目を合わせて頷いている。

 

 

「ミッドナイトが“第一種目”と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない?」

「!?」

「だから、おおよその目安を仮定し、その順位以下にならないよう予選を走ってさ。後方からライバルになる者たちの“個性”や性格を観察させてもらった」

 

 

 ……おー! 頭が良い感じがします!

 

 

「その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」

「組ぐるみか……!」

「まあ全員の総意ってわけじゃないけど、良い案だろ? ()()()()()()()()みたいに、仮初の頂点を狙うよりさ」

 

 

 ですよねー。1位とか目立つだけで良い事ないですよねー。

 

 

「あ、あとついでに君、有名人だよね? 『ヘドロ事件』の被害者! 今度参考に聞かせてよ。年に一度敵に襲われる気持ちってのをさ」

 

 

 あの『コピー』の子、とても元気で良いですね……!

 爆豪くんをわざわざ惹きつけてくれるなんて、良い子すぎます!

 

 

「切島……予定変更だ。デクと、欠伸女の前に、こいつら全員殺そう……!!」

 

 

 爆豪くん、顔がダメになってますよ? 私と同じぐらいダメな感じだと思いますよ?

 けれど、注目を集めるという点においてとても優秀なので、もっとやれなのです!

 

 

『さァ残り時間、半分を切ったぞ!!』

 

 

 半分。……ポン! っと鉄哲くんの肩を叩くと、あえてのゆっくりした動きを少し早めて、事前にお願いしていた適正距離に近づいてくれる。

 

 

『B組隆盛の中、果たして――――1000万Pは誰に頭を垂れるのか!!!!』

 

 

 ほんの少し、緑谷くんに近づいていく。

 

 

「あんま煽んなよ物間! 同じ土俵だぞそれ」

「ああそうだね。ヒーローらしくないし……よく聞くもんね。恨みを買ってしまったヒーローが()に仕返しされたって話」

「爆豪落ち着け、冷静になんねえとP取り返せねぇぞ!!」

「おォオオ……っし進め、切島……! 俺は今……すこぶる冷静だ……!!!!」

 

 

 盛り上がっていますね。んー……位置は、もうちょっと先で―――待った。

 

 地面がうっすらと黄色くなっている。パッとその中心に顔を向けると、轟くんと目があった。

 彼は「……っ」私が気づいたのを察して、表情を厳しくする。

 

「……皆、もう少し左に離れて下さい。多分ビリビリがきます」

「!!」

「分かりました!」

「……轟チームか……!!」

 

 地面の黄色い光が濃くなっている、指示を出しながらその範囲を抜けていく。

 

 

「もう少々終盤で相対するのではと踏んでいたが……随分買われたな緑谷」

「時間はもう半分! 足止めないでね! 仕掛けてくるのは……一組だけじゃない!」

 

 

 パチっ、と最初の音が鳴ると同時に――――バチバチバチバチ!!!! っと、唐突な電流の嵐。

 

「! わあ……」

 

 っ。離れていても余波でピリピリする無差別放電が場をかき乱して荒れ狂い、緑谷くんを狙って接敵していたチームが全体的に被害にあっている。

 

 ……アレは、暫く動けないでしょうね。

 

 

「残り6分弱、後には引かねぇ。悪いが、我慢しろ」

 

 

 615Pの轟くんチーム。……総合的に強いですね。

 

 騎手の轟くんは、攻守共に優れていますし、前騎馬の飯田くんはとても速くて、いざという時の機動力は無視できません。後騎馬の百ちゃんはカァイくて優しくて場に適応する物を即座に生み出せる恐ろしい子です。上鳴くんは……んー。ビリビリが強いです。

 

 続く青色に警戒していれば、予測通りに場が氷で覆われていく。

 吐いた息が白くなり、流石の威力だと目の前で隆起する氷に驚く鉄哲くんを誘導する。

 

 

『何だ何した!? 群がる騎馬を轟一蹴!』

『上鳴の放電で()()に動きを止めてから凍らせた……さすがというか……障害物競走で結構な数に避けられたのを省みてるな』

『ナイス解説!!』

 

 

 しかし、氷……氷ですか。……利用できそうですね。

 

「すみません。少しだけ作戦の微調整をするので、更に位置を変えます」

「……ああ!!」

「分かりました!」

「邪魔なのがいたら……使()()ます!」

 

 頷いて、そっと口元を隠す。

 やはり終盤に向かって、争いが激化していますね。……皆が、じわじわと私の存在を忘れています。

 

「凡戸! 仕掛けて来たな」

「物間あとは逃げ切るだけだ、このP数なら確実に4位以内に入る!」

 

 さあ、紛れ込みますよ。

 

「固まった! すげえ! 動けねぇ!」

「ちょい待ち! 私の“個性”で溶かすから!」

「早く! 0Pだぞ早く!!」

 

 目の前の敵に、目を奪われている内に。

 

「被身子さんは、私達が守ります!!」

「いや、戦うんだよな!?」

「はい! ですが、泥なんて飲ませません!」

「そうだな! 彼女にはオレンジジュースを飲ませよう!」

「……敗北の味は、オレンジジュースか……」

「嘘だろこのチーム、俺以外は天然しかいねぇのかよ!?」

 

 ……。

 ちょっと力が抜けましたが。……普段は真面目な百ちゃんのおかしな気合が、轟くんチームに良い余力を生んでいる様です。

 

(……いえ、脱力している場合じゃないですね)

 

 強い人達が、少し面白いのずるいです。

 改めなくても、轟くんチームはやれる事が多いという点で一番気をつけないといけません。

 

 ウズウズしている鉄哲くんの頭をよしよししながら「もうちょっとです」小さく囁く。

 ふぅふぅと「わかってる!!」飛び出したくて我慢して、青筋をたてている姿に、ごめんねぇという気持ちになる。

 

 それじゃあ、っと。

 少しだけ、集中します。―――周りの音を、選択して消していきましょう。

 

 

『残り時間約1分!! 轟フィールドをサシ仕様にし……そしてあっちゅー間に1000万奪取!!!! とか思ってたよ5分前までは!! 緑谷なんと、この狭い空間を5分間逃げ切っている!!』

 

 

 鉄哲くんの、肩に足を乗せる。

 

 その()()に、彼は“個性”を使い「ぐう!!!!」全身で、私の瞬発力が生む力に耐える。そして、塩崎ちゃんの丹念にまとめられたツルを右手に握りしめて(わざわざ棘も抜いてくれました)―――跳ぶ。

 

 

「ッ、うおッおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 爆ぜる、抑圧から解放された獣の如き男の雄たけび。

 

 ダンプカーの如き勢いと共に発せられ突進していく姿は、その勢いが乗って2倍3倍にも大きく見える事でしょう。そんな鉄哲くんの勢いに、喰いついて必死の形相で走る塩崎ちゃんと心操くん。そんな無視できない3人の動きに、この場にいる全員の視線が吸い込まれていく。

 

 

「トガチームが動いた!!」

「やっべええええ!!」

「!? 待った、その渡我はどこだ!?」

「何か伸びて――縄!?」

 

 

 ピン、っと張ったツルでできた縄。

 その先にいる私が見つかる前に、氷に手を伸ばす。――――氷とヒントをありがとう轟くん!

 

 この氷に、秘儀が生み出す雷、その熱を当てて、この場に即席の濃霧を生み出します!! ――――んっぶ!?

 

 

『なんだあああ、突然フィールドが白い煙に覆われたぁー!!』

 

 

 ぶわあああ、と盛り上がり膨れ上がる真っ白な濃霧、いえ氷煙? にグラウンドが一瞬で覆われていきます。

 

(やりすぎでは……?)

 

 我が事ながら目を丸くする。……いえ、丁度良い加減が分からなかったので、脳に得た瞳と直感に身を任せた結果、観客席にも届くぐらいの勢いで氷煙が発生しています。

 

(ま、まあ、私は見えるからいいですけど……)

 

 びしょ濡れです。……白い息を吐きながら、地面では無く残った氷を足場にして『加速』―――1000万のハチマキに狙いを定める。

 

 

『準備はできたな!? このままじゃ反則し放題になるし即行で換気させて貰うぜ!!』

 

 

 あ、そういう事もできるんですね。

 機械なのか“個性”なのかは知りませんが、便利なものです。

 

 ……さて。

 

 やれる事も終わったので、縄を三回引いて、塩崎ちゃんに引っ張って貰う。

 ぐんっ!! と引き寄せられるまま、くるくると騎馬の上に戻ってくると、まだ白い視界で周りが見えない3人に、もう少しだけ後ろに移動して貰う。……そうそう、ここです。

 

 

『さあ、煙が晴れた今―――おおっと、緑谷、轟、爆豪チームで三竦みしてやがったあああ!!!!』

 

 

 ワアアア!!!! と一気に盛り上がる歓声と、氷煙の勢いで上空を舞っているハチマキ。それを見つけた三人が、ほぼ一斉に跳びかかる。

 

 

「クソが、どけえェ!!」

「……ッ!!」

「ぅ、あああああ!!」

 

 

 そして、重力に逆らえず落下してくるハチマキは、氷煙により瞬間的に冷え切った身体を突き動かせる“個性”の差により、緑谷くんの右手に握りしめられ、勝敗は決した。

 

 

『緑谷チーム!! 1000万ポイントを奪回!!!! これにて変動が…………あ?』

 

 

 まあ、するわけないですけど。

 

 

『あ、やべぇ!? もう時間だカウントいくぜエヴィバディセイヘイ! 5!』

 

 

 緑谷くんがハチマキの数字に驚愕して、全身を動かして私を見ている。

 

 

『4』

 

 

 それに釣られるように、様々な感情を含んだ視線が集まってきますが……もう見られても平気です。

 

 

『3』

 

 

 ふありと欠伸をしながら、右手を伸ばす。

 

 

『2』

 

 

 手の平に、1000万のハチマキが落ちてくる。

 

 

『1』

 

 

 モニターの順位も変わり、これにて。

 

 

『タイムアーップ!!!!』

 

 

 私達の勝利です。

 

 

 

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