瘴気の霧異変   作:鳴海真央

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※この作品は東方Projectの二次創作です。原作をできるだけ尊重しつつ、自由な解釈発想で描いています。
また、以下の要素にもご注意ください。

・ジョジョの奇妙な冒険ネタ
・異世界転移チート系主人公
・独自設定キャラ崩壊


Stage4. ツェペシュの幼き末裔と黒い男

 紅魔館の庭に出てきたボク達。瘴気の霧が最も濃く、ボクですらも参ってしまいそうになる。

 庭に出てきた時点で、咲夜を紅魔館に残してきた。ボク達が荒らしてしまった故である。

 

「霊夢、大丈夫……?」

「大丈夫、じゃないわよ……。ハイゼンスレイ……あなた、私の心配より、自分の心配を、したら、どうなの?」

「う、そう、かも……」

 

 だめだ、自分の能力が使えない。未来予測も、時間静止も、十分に使えない。

 

(このまま、瘴気の霧で、霊夢を、襲うなんて、嫌だ……)

 

 その時、霊夢が何かを思いついたのか、ボクに抱きついてきた。

 

「もしかしたら、と思ったのだけど……」

「霊夢……?」

「女の子同士だし、別にいいんじゃないかなって。……多分、ハイゼンスレイの方が年上かもしれないけど」

「ありがとう、霊夢……」

 

 不思議と気持ちが軽くなっていく。

 自分が彼女達にしてきたことを返してもらっただけなのに。

 

「さ、行くわよ。私はハイゼンスレイから離れないから」

「……私もいることを忘れないでね?」

 

 二人の霊夢ってか!?

 

「は、ははは……。ありがとう、二人の霊夢」

「「それはこっちのセリフよ」」

 

 同じことを思っているからか、黒髪霊夢と紫霊夢が言う。

 しばらくして、丸く大きい月を背に二つの小さな影が現れた。

 二人とも、羽を生やし、浮遊してる。

 片方は、白い特徴的な帽子に赤いリボン。洋服も同じように白色で短い紫色の髪。

 もう片方は、羽が宝石のようになっていて、白い特徴的な帽子に赤く細い糸をちょうちょ結びにしている。

 そして赤色の服装を身にまとい、金色の短い髪の毛をしている。

 

「……レミリア・スカーレット!」

「あら、彼の仕掛けたすべての罠を潜り抜けてきたのね」

「ええ、そうよ。――一度、懲らしめてあげたのに、まだ懲りないのね、レミリア」

「そうなるわね。さしずめ、今回は復讐と言えばいいかしらね」

「あー? なら、もう一度懲らしめてあげるわ、レミリア・スカーレットッ!」

 

 先手必勝とばかりに、針状の弾幕をレミリアにこれでもか、と投げつける霊夢。

 しかし、大きな炎の剣にすべてが薙ぎ払われてしまう。

 

「禁忌「レーヴァテイン」」

「……ッ、フラン、あんたもいたのね」

「うふふ……あはははっ! 遊ぼう! 私の弾幕で壊れちゃわないでよね!」

 

 フランって子はまともに話ができなさそう。

 最初に出会った妖怪みたいに狂ったような笑い方をしている。

 

「禁忌「フォーオブアカインド」」

 

 フランが経験値泥棒忍者みたいに四つに分裂した!?

 

「紅符「スカーレットシュート」!」

 

 レミリアからも弾幕!?

 

「くっ! 時空静止「ザ・ワールド」!!」

 

 フランの分身、レミリアの弾幕がすべて静止した。

 

「フゥ……間に合ってよかった。靈夢さん。あなたからすれば厳しいかもしれないけど、お願い!」

「ええ、任せてちょうだい」

 

 紫霊夢は札と陰陽玉を放ち、弾幕をかき消した。

 

「……チッ。ここまでしか止められないか!」

 

 レミリアからの弾幕を消すのが精一杯だった。

 

「あはははっ!」

「あはははっ!」

「あはははっ!」

「あはははっ!」

 

 四体のフランが一斉に赤く熱を持つ杖のようなものをボクと紫霊夢に振りかざしてきた。

 

「――南無三!!」

 

 ボクが最期に見た光景は赤いレーザーが薙ぎ払うように飛んできたものだった。

 

 ★☆★☆★☆

 

 向こうには三途の川が見える。

 そうか。ボクはフランのフォーオブアカインドで命を落としたんだな……。

 誰かが呼んでいる。こっちにおいで、と。

 そこへ足を踏み入れようとした瞬間。

 

「おっと。あんたは来ちゃだめ」

 

 紫様のようにスタイルのとてもいい、フォーテールの赤い髪の女性がボクを止めた。

 

「え、なんで」

「あんたは未練が多すぎる。このまま彼岸に行って四季様の裁きを受けても決して浮かばれないよ。お説教も長いよ~?」

「じゃあ、このまま待てばいいの?」

「あたいはそういう事を言いたいんじゃないんだ。んー……。あ、そっか」

 

 考え込んだその女性は、しばらくして、ポン、と手を叩く。

 

「こうすれば――よかったんだ!」

「えっ、ちょ、おまっ」

 

 女性は後ろからボクの背中を思いっきり蹴った。

 

「うわあああああ」

「じゃ、現世に戻って、ちゃんと天命を全うするんだよー。……あ、でも、あたいのしたこと、四季様にバレたら、また叱られるかも……。ま、いいっか。やっちゃったことはどうにもならないし」

 

 ★☆★☆★☆

 

 目を覚ますと、時間が巻き戻っていた。こんな巻戻りのやり方があるんかい、と、ボクは思ってしまう。

 フランのフォーオブアカインドが迫るその瞬間で時間が巻き戻り、おまけに停止していたのだ。

 意識の回復のついでに、未来予測が発動する。

 

 ””どうせ みんな いなくなる””

 

 ――なんだ、この、アバウトな予測は!

 みんないなくなる? どういうことだ?

 

 ――ガキィィィィ………ンッッ!!

 

 予測に困惑していると、結界が四つの杖の攻撃を防いだ。

 

「……霊夢!」

「やれやれ。なんとか間に合ったみたいね」

「すごいね、『あっち』の霊夢」

「まあ、私ならこれぐらいはできるわ。……もし、あなたが過去の私なら、未来の私はこういうこともできるようになるから」

「そっか。……なら、私は彼女を守る」

「そうね。お願いするわ」

 

 紫霊夢が、ボクの前に立った。

 

「元々、私は今の博麗の巫女が札に眠る霊力を持って存在を確立している……。だから」

「……短い間だったけど、護ってくれてありがとう」

「いいのよ。これは、今の博麗の巫女の意志なんだから」

 

 放たれたレミリアとフランの同時攻撃から、紫霊夢はボクを護って、かき消えるようにその存在を消してしまう。

 

「ひとつ……札が燃えてしまったみたいね」

「……うん」

「でも……博麗霊夢はここにいるわ。ハイゼンスレイ。異変解決に燃える博麗の巫女がね! 安心なさい。異変は確実に解決してみせる!」

「――そうだったね。霊夢……!」

 

 その時、ボクに不思議なことが起きた。この感覚は……!

 

「『時霊符「夢時間の封鎖」』」

 

 鎖のような弾幕と、霊夢の札の弾幕がレミリアとフランに飛んでいく。

 それは幼き悪魔二人の動きを止め、拘束するには十分の強度を持つ弾幕だった。

 

「……っ!」

「何、これっ……!」

 

 フランは自身の能力で鎖を破壊しようとするが、その度に鎖が飛び出し、彼女を捕縛し続ける。

 

「う、動けない……ッ!」

「……許してね、二人とも」

 

 鎖を解除すると同時に気絶させる。

 それと同時に、瘴気の霧の状態が解除された。

 

「……うーっ」

「うーん、頭がいたーい。あれ、私、何をしていたんだろう」

「フラン……だっけ。ボクを『一回休み』にさせたんだよ?」

「そう、だったんだ」

 

 しばらく考え込むように唸ったフラン。

 

「……そっか……。お姉様、起きてる?」

「ええ、起きているわ。どうしたの、フラン」

「正気に戻ったところ、悪いのだけど、今から私の言う方向に神槍「スピア・ザ・グングニル」を投げてほしいの」

「……ふぅん。いいわよ」

 

 正気に戻ったレミリアは、スペルカード神槍「スピア・ザ・グングニル」を発動させ、その槍をフランの言った方向に投げた。

 その槍弾幕は、霧の向こうにいるヤツに命中した。

 

「クックックッ……。紅魔館の連中はおろか、この世界の生命体を狂わせて操る遊戯もこれで終わりか」

 

 細身で長身の悪魔が桃色の瘴気の霧の中から現れた。

 

「あんたがすべての元凶ね」

「お察しのとおりだ、博麗の巫女。俺がこの霧の異変を起こしたのさ。面白い遊戯だったよ。……ただひとつの問題点を除けばね」

 

 その悪魔はボクをキッとにらみつける。お前さえいなければ、みたいな顔をしている。

 

「……ボクのことを言っているのか、貴様」

「あぁ、そうさ。まさか、お前みたいなのが、博麗の巫女と手を組んで解決してしまうとはね。全く……。

 スカーレット姉妹を洗脳して、お前を亡き者にしてやったのに戻ってきや……ぬがっ!?」

 

 スキマから交通標識がニョッキリ姿を表す。

 その標識は、男の顎を的確に撃ち抜いた。

 

「あ、あぁ、忘れていたよ。スキマの存在を!」

 

 男が手を伸ばそうとした瞬間、スキマは閉じてしまい、攻撃できなかった。

 

「ぬっ!」

「ようやく、その正体を表したわね。やれやれ」

 

 スキマから、紫様と背中にしっぽを生やした道士服を着て、特徴的な帽子をかぶった女性が現れる。

 

「幻想郷を乱した張本人が姿を表してくれたのなら好都合。もう、ここまで来たのなら、私が貴方を亡き者にしてあげるわ」

「そういうことだ。覚悟してもらおう。……紫様」

「ええ、わかっているわ。式神「八雲藍」」

 

 紫様はスペルカードの弾幕として、しっぽの生えた女性を使役したのだ。

 悪魔の羽をはやした長身の男は、消し飛んだように見えたが。

 

「ぐっ……しまった……」

 

 自身を小さな悪魔にバラしていたのか、弾幕を回避し、八雲藍と呼んだ女性を捕まえる。

 

「さあて……。こいつは八雲藍と言ったか。ふっ……」

「あ、ぐっ……き、さまっ……!!」

「藍!?」

 

 男から解放された藍の目は生気を失っている。

 そして、藍は主たる紫様を掴み、その男の前に差し出したのだ!

 

「――!?」

 

 驚く紫様。

 

「式神が裏切るなんてことあるの!?」

「私の魔力にかかれば、洗脳なんぞ容易いことさ」

「お前……ッ」

「ふんっ。幻想郷の賢者だとかなんとか、長く生きている最強の妖怪だとかなんとか言っても、女の肉体を持っているのなら、私の魔術でどうとでもなってしまうのだよ! フハハハ!」

 

 同じように紫様も生気を失った目をしている。

 その時。

 ボクの中で何かがプチッ、と切れる音がした。

 

「………わかった。わかったよ。ボクがこの場にいる理由。そして、ボクが異形の力を持ったのか。そして、クソ野郎の影響を受けなかった理由……。そうか……。そして、ボクがこの幻想郷に来た理由。すべてがわかった」

「な、なんだ、こいつ……。周りの女とは違うオーラを放っている……!? な、なんなんだ!?」

 

 焦った男は紫様と藍を差し向けるが、立ち込める強いオーラで二人は近づけなかった。

 

「もう、異変解決とか関係ない。目の前のクソ野郎をボコボコにしてやりたい。それだけだ……!」

『我は汝。汝は我だ。――さあ、我よ。名前をつけて叫ぶがいい』

「そうね。―――あなたの名前は、今からスプリング・タイムよッ!!」

 

 語りかけてきた人形がボクの前に現れる。その姿は、力強い妖怪のようにも見えた。

 でも、これはボクの精神的イメージなのだろう。ヤツをぶっ倒せるほどの力を持った。

 

「スプリング・タイム! フォーレキャストッ!」

 

 未来予測。洗脳された紫様が藍を差し向けるイメージが脳裏をよぎるッ!

 

「無駄だァッ!」

 

 時間と空間を切り取り、紫様と藍を退かせる。

 

「は、ハイゼンスレイ!?」

「霊夢ッ! レミリアとフランを下がらせてッ! 今のボクは自分でも怒りをコントロールできない! あなた達に最悪危害を加えるかもしれないッ! それだけは避けたいのッ!」

「わ、わかったわ!」

 

 霊夢に頼んで、レミリアとフランを退かせた。

 

「おおぉぉぉっ! スプリング・タイム! あのクソ男の顔面をぉぉぉ、ぶち抜けぇぇぇっ!!」

「応!!」

 

 スプリング・タイムは、クソ男めがけて飛んでいく。

 そして、豪腕の一撃を顔面に食らわせた!

 

「おげぇっ!!」

 

 拘束呪術が解けたのか、紫様と藍の意識が戻る。

 

「さぁてっと……」

 

 怒りを立ち込めたまま、ボクは男に近づく。

 

「覚悟はできてンだろ~~~なァ? このボケナス」

「……き、貴様ぁッ」

 

 細腕を伸ばしてきたが、スプリング・タイムがその腕をへし折った。

 

「うげっ!?」

「アタシにそんなヘボ呪術が効くと…………思ってるのかァァァ!」

 

 右、左、と拳骨を浴びせる。

 

「うげっ、おげっ」

「さあ……懺悔しな、このクソ野郎! あの世で、四季様とやらに裁かれなッ!」

 

 ポイッ、と、その男を空高く放り上げる。

 

「スペルカード発動! 豪腕「裁きの乱撃」ッ!!」

 

 スプリング・タイムは弾幕として男の全身を攻撃していく!

 

「いいタイミングよ……。フフッ。「無人廃線車両爆弾」」

 

 そして、正気に戻った紫様がスキマから廃線を呼び出し、追撃を食らわせる。

 

「いい感じにしてくれるじゃない、ハイゼンスレイ。最高よ、貴方」

「お褒めに預かり、恐縮です」

 

 その男はスプリング・タイムと廃線の両方にふっとばされ、ボク達の前から姿を消した。

 

「……これで一件落着ってことね。最後はハイゼンスレイがブチギレたって感じだったけど」

「けど、ハイゼンスレイがいなかったら、ここまでスピード解決はできなかったと思うけど、霊夢?」

「それは……そうね。それに、後始末をしないといけないわね」

「――それには心配は及ばないわ、霊夢」

 

 トランプと共に、咲夜が現れた。

 

「掃除はすべて終わらました。いかがわしい書籍は廃棄処分……というより、焼却処分したわ」

「これで何もかも終わりってことね……。あとは」

 

 みんなが見ている前で胡座をかき、無抵抗の意志を見せる。

 

「何をしているの?」

「霊夢。あなたは人間が妖怪になることは許せないのよね」

「ええ」

「なら、ボクはその傾向がある」

「でしょうね」

「それなら、あなたは博麗の巫女としての最後の責務をする必要があるんじゃあ、ないのか?」

「何を言っているの、ハイゼンスレイ。あんたがいなかったら、異変はこんなに早く解決できなかった。それに、紫が最終的にあんたを焚き付けたのでしょう? 仕方のないことなら、黙認するわ」

「……そうか。いいのね」

「いいのよ。まあ、ハイゼンスレイさえよければ、博麗神社の居候として迎え入れてもいいわ」

 

 霊夢はボクに手を差し伸べた。ボクは掴んで立ち上がる。

 

「ありがとう。でも、ボクは幻想郷の見聞を広げてみたいんだ」

「そう。なら、いつでもいらっしゃいな」

「ありがとう、霊夢。行こう、スプリング・タイム」

「どこへ?」

「どこだっていいさ。幻想郷の中ならさ」

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