「しっかしゲーム以外に興味ありません、って言ってた魚臣 慧がチームメイトに、ねぇ? どういう風の吹き回しなのさ?」
「俺が相談してもらってたのを逢引と勘違いして焦って飛び込んできて、それで気付いた感じ?」
「おいまて楽郎! その言い方は語弊がある!」
「ちょっと待って相談のところ詳しく」
「
山盛りの野菜スティックと生ハム、チーズとオリーブ。
お高いシャンパンは夏目氏への祝杯だ。 とはいえ3人集まっているここは慧のマンションで、本人も目の前にいる以上は、名目としては「魚臣慧初恋記念」の祝杯という事になる……
夏目氏メインで補助が俺の魚臣慧攻略の作戦会議は、トップシークレットもトップシークレットだった。
だからこそ慧はそれを知なかった。 押して駄目なら引いてみろと言うが、その特大の手札を知らないうちに封印して戦っていた事になる……まさかこんな形でクリティカルヒットするとは思わないだろ。 切り札を入れ忘れて詰んでいたら隣のゲームから転がり込んできたような奇運だった。
とまぁそういう事をオブラートに包んで言えば鉛筆は分かってくれる。 もちろん慧は分からない。 そういうところ楽でいいな、そういうところに苦しめられたんだが。
「で、カッツォ君はいつ告白するの? 明日?」
「いやそんな、メグが俺の事どう思ってるかも分かってないのに……なにその手」
イケるイケる玉砕覚悟で告白してみろって仲良いだろ。チームメイトだから付き合いが長いだけだよ!えー脈あるんじゃないのー? ガヤになった俺たちに建設的な話し合いなど出来るはずもなく。
取り敢えず今日は「慧くん初恋おめでとう」で飲み会は終了した……なら平和で良かったんだが。
「ところでサンラクくぅん、SNSにこんな動画が上がってたんだけど、心当たりないかなぁ?」
「え、なに女裝企画の裏側でも流出してたの?」
「こっちに飛び火させなくても良くない? というか流出するような動画持ってんのかよ!?」
鉛筆が良い笑顔で差し出す端末の画面を覗き込んでみれば、どうにもゲームセンターらしき場所に若い男。
顔に見覚えは……ある。 具体的には毎朝鏡で見てる。
いやまてゲーセン? で俺? ついでにこのちょっと頑張ってお洒落した服は。
「おっとぉ……?」
アングル的に玲さんは写っていないから問題はない、だが問題はこの後だ。 玲さんの笑顔を直視してしまった俺が――
「一目惚れした中学生みたいな顔しちゃってまぁ!!」
「決定的瞬間じゃんウケる」
「」
いや何であるんです!!?? というかバズっちゃってない?? ン十万人が俺のガチ惚れを見届けたと?? あっ数字増えた
「別アングルからの映像に解説を付けたのがこちらになります。 ちゃんとカノジョさんの顔は隠してあるの民度高いよね」
なるぽど? 何があったかも皆さんご存知で??
「おーおー、見なよこれ。 コメント欄がおめでとう一色だよ。 愛されてんねー」
『顔隠しの照れ隠し可愛い』じゃないんだよ。
顔を隠してないからこんなに分かりやすくなってんだよ。
スクロールしてもしても好意的なコメントばっかりだ。 祝福ムード一色のこれを通報して抹消するのは憚られる……うん。
「拙者、隠居致す」
「させる訳ないだろ大会近いのに」
「あーっはっはっは! カメラに気を遣わないとこうなるって学べて良かったねぇ!!」
このあとハッスルした鉛筆に洗いざらい吐かされた。