造花に命を吹き込む魔法   作:赤鱶

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迷走2

 

「サンラクさんすみません! 敵がそっちに流れました!」

 

「了解。 まぁこれで食ってるからね、余裕余裕」

 

爆薬分隊ゲーム実況配信でスコアマッチ、とかもあったからな。 ストーリーモードで慧をメインに俺が遊撃に回る形が一番安定して、だからこそ配信としての面白さは慧と夏目氏のラブコメタッグに負けて罰ゲームする羽目になったりした。

もちろん勝者でもあるはずの慧もしっかり罰ゲームだ。 女装企画がいつの間にか通っていて、何故かトップモデルがコーディネートを担当したりもしたが……俺は仕事なら羞恥心を捨てられる。 ダメージを受けたのは慧だけだった。

 

 

ヒートロッドを一振り、反動に逆らわずに軸足を入れ替えてそのまま次の敵に回し蹴り、ハンドキャノンで玲さんの掩護、支援物資の回収が完了したので隣に並ぶ

 

「レイさんどう? 楽しんでる?」

 

「はい! ちょっと難易度は高いですが、楽しいです」

 

 

護身術を習い、また柔道をやっていたという玲さんのリアル戦闘力は高い。 そして培われた視野や視点は、ゲームに持ち込まれてなお本人の能力を大きく底上げするのだろう。

 

カスダメノーデスでストーリーモードも終盤だ。 この人の飲み込みは異常の粋にあると言ってもいいくらいだが、それは本題でもないしな。 楽しんでいるようなら重畳だ。

 

「ではエイリアンの本拠地、訪問者の災痕(ヴィジター・ホール)の攻略といこうか! この調子なら余裕でクリアできるだろうさ!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

「いや駄目じゃん余裕なのは」

 

「えっと……すみません、話の流れが掴めないのですが」

 

「俺の思う楽しさは艱難辛苦の果てにあるって事、こういう余裕の勝利じゃなくってさ」

 

時間も時間なので、とエナドリは取り上げられてしまって、玲さんが淹れてくれた煎茶で一服中だ。

 

結局の所、レイさんとサンラクのタッグはストーリーモードを駆け抜けてネフィリム・ホロウ2を攻略。 危なげない勝利であった訳だが……うん。

 

「熱中……してないよね?」

 

「ええと、 ……、 ……はい」

 

 

価値観を押し付けている自覚はあるが、しかし俺の言いたいことを理解してくれた玲さんは、文脈を正確に読み取ってくれたらしい。

 

困ったように苦笑いを浮かべる俺たちの前にある事実は、しかし誤魔化しようのない鋭さを浮かべている

 

「楽しかった、んですけど、でもきっと明日ネフィリム・ホロウが出来なくなっても……あんまり悲しくないんだろうな、と思います」

 

「ごめんね、俺のこだわりに付き合わせちゃって」

 

「楽しいですよ? こういうのも」

 

「うーん、そう、ならいいけど……」

 

俺が玲さんの趣味探しに付き合ってるのって、裏を返せば本気で好きなもののない今の玲さんにはあまり魅力を感じていない、っていう人格否定が混ざってるの気付いてるのかな?

 

ままならない……本当に、ままならない。

 

 

 

 

 

 




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