最終鬼畜難易度ダンまちオートは死にゲーなのか?   作:OHO

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よろしくお願いします


#1 導入(1)

 皆さんこんばんは実況者ゆっくりです。本日もダンまちRPGの配信をしたいと思うのですが、最近は毎回RTAばっかで飽きちまったぜ!って兄貴たちが多いことかと思います。

 

 ええはい。かくいう私もそう思っておりまして……ええ、ええ。毎回毎回タイムを気にしながら走り続けることに疲れてきてるんですよ。

 

 そこで、今回から新企画ですよ新企画。ハイ拍手ー

 

 はい。私の配信を見ている兄貴たちなら、すでにご存じのことかもしれませんが、このダンまちRPG―『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~Familiar Requiem~』には三つのモードがあります。

 

 一つ目は、原作主人公であるベルきゅんを操作して、原作のストーリーをなぞりながら、このゲームオリジナルのストーリーを遊ぶ『ストーリーモード』。

 

 二つ目は、オリジナルのキャラを作成し、ダンまちの世界を体験する『フリーモード』。一番人気ですね。ほかの配信者の方があげてる動画は概ねこのモードのものが多いのではないでしょうか。製作陣の正気を疑う作りこみで、膨大な数のイベント。複雑なフラグ。その他もろもろによって、よほど滅茶苦茶なプレイ、最初からバグ目的でプレイしない限りオンリーワンなストーリーを描けるモードです。

 

 三つ目は、皆さんもご存じ『オートモード』です。基本的にはフリーモードと同じで、オリジナルキャラを作成してゲームスタートーなところは変わりません。問題は名前にもある通り、『オート』なんですこのモード。キャラを作ったら、あとは(人生)おはようから(人生)お休みまで全くプレイヤーの手を入れることなく自動で走り続けるモードです。なんであるのか分からないモードですね。

 

 さて、ここまでくれば勘のいい兄貴たちならばお判りでしょう。はい、今日からの配信はこのオートモードを最大難易度で手放し配信していきます。

 

 え、そんなのつまんないですか?

 

 まぁ私の動画なんて見てる兄貴諸君は総勢百数人なので、炎上とか知らない子ですね。作業用にどうぞ。

 

 それでは始めて行くわけですが、今回の配信は縛りをつけたいと思います。なにせこのオートモード、キャラを動かすAIが兎に角優秀で、ちゃんとしたキャラクリをすればまず危機的事態には陥りません。

 

 ですので、この配信ではキャラのステータスから見た目まですべてランダムで選んだうえで、プレイしたいと思います。あ、名前だけは自分で設定しないといけないので、そこは自前で作りました自動生成機で命名します。

 

 えー、出来ましたね。名前は『アリス・ミニステル』になりました。それではこれからのアリス君ちゃんの、輝かしい未来に

 

祝福あれ!

 

――ハイ、ヨーイスタート

 

 

 

 

 

 

『あなたは仄明るい洞窟の中で目を覚ました。辺りには何もなく、また誰もいない。』

『肌寒さを感じ、小さく肩を震わせるあなた。ぼろ布の様な服では、日の届かない洞窟の寒さは耐え難い。』

『立ち上がろうとしたあなたは、大きく体勢を崩し、地面に倒れこむ。』

『あなたの左腕はもはや無くなっていた。獣に食い千切られたかのように、肩口には無残な断面がある。瑞々しい血液が水溜まりを作っている。このままでは長くはないだろう。』

『少し離れたところに、みすぼらしい小剣が転がっている。あなたはどうにか立ち上がり、小剣を拾い上げる。』

『血溜まりに映ったあなたの目は、水晶の輝きを灯していた。』

『あなたは1歩踏み出した。』

 

――洞窟から脱出しましょう。

 

 ッスゥー、はい、これはリセ案件ですねー(白目)

 うっっっっっそだろ!こんなことありますぅっ?!ねぇよなぁ!!

 

 ……えー、取り乱してしまいましたが、改めて説明しましょうか。

 このゲームでは、キャラクリエイト時に選択した特性によって、オープニングのテキストが変化します。特性はポイントの許す限り選択でき、各特性にプラス、マイナスの点数があります。

 選択した特性によって点数が決まり、10ポイントの点数を割り振って行くわけです。基本的にメリットのある特性はプラス。デメリットのある特性はマイナスの点数が割り振られています。

 マイナス特性は点数分のポイントを獲得、プラス特性は逆ですね。

 そうやってメリットデメリットを組み合わせながら、特性をカスタマイズするのが楽しいんですよ。はい。

 

 で、それを踏まえてもう一度素性を確認してみましょう。

 えー上から順に、

 

 〈記憶喪失〉(-3点)

 〈装備紛失〉(-3点)

 〈部位欠損〉(-5点)

 〈魔眼獲得 A〉(+15点)

 

 プラス素性が一つあるよ!やったね!!しかもAランクの魔眼だ!これで戦闘はだいぶ楽になりますよぉ!

 HAHAHAHAHA!……はぁ。いくらなんでも無理でしょうこれ。普通にプレイしてても超高難易度になること必至ですよこの素性編成。しかもポイント使い切ってないですし……えぇ?

 素性の詳細については見た通りの内容です。各素性によってメリットデメリットが存在しますが、上記4つの中で特別なものは一つだけですね。

 

 〈魔眼獲得〉なんですが、この特性は4段階のランクがあります。Aランクは上から2つ目ですね。最高ランクは20ポイントとかしますから、普通は選ばれないです。Aランクもですけどね。

 いやでも、これは無理でしょう。装備無しでプレイ出来るほどこのゲーム、甘くないです。いくらAIが優秀でもこれは流石に……先に謝っときます。おそらくこの配信一時間持たないかもしれないです。ショッギョムッジョですね。

 

『洞窟の暗がりからいくつかの影が飛び出してくる。』

『小さな体躯に緑色の肌。ギョロリと飛び出た眼球と、下卑た笑みを張り付けた小鬼。』

『その醜悪な姿に思わずあなたは1歩後ずさる。息が乱れ、心臓が早鐘を打つのを感じる。』

『ゴブリン が 現れた』

 

 ゴブリンですか。しかも三体とか、明らかにこの子を殺しに来てますねー。キャー人でなしィ!

 しかも錯乱ステータスまで引いちゃって、あらあらまぁまぁ。

 錯乱ステータスはキャラクターの動きが若干悪くなるバッドステータスです。初回戦闘時や、ステータスを上げきれていない時に強敵と接敵すると、発生しやすいステータスです。

 1時間持たずに企画終了ですか??頼むぞ頼むぞ〜、頑張ってくれー?まま、とりあえず戦闘を見ていきましょう。AIの優秀さを見せてくれ(ぶん投げ)

 

『あなたは小剣を握り締め、小鬼達に立ち向かう。』

 

 んー、微妙っすね…。

 微妙と言いますか、やっぱ装備が貧弱すぎんのが不味いんですよね。

 このゲーム基本的に装備有りきの難易度設定がされてまして、装備が無いとどれだけ序盤の敵でもらくらくキルされちゃうんですよぉ。

 かの上位者『K』なら行けるんじゃないかと思ってますけど、一般ゲーマーの私じゃあ、いやー無理っす。

 

 そうこう言ってる間に被弾しましたね。うわぁお、HPけっこう飛んでら。こんなんじゃ三体殺すときには、アリス君ちゃんの死体が3体分ぐらい積み上がってそうすね。

 

 頑張ってアリス君ちゃん!あなたが死んだらこの企画はどうなるの!ここを乗り切れば地上に出られるのよ!(多分)死なないでアリス君ちゃん!負けないでアリス君ちゃん!

 次回、アリス君ちゃん死す!デュエルスタンバイ!

 

 なぁんて事を言ってみたら、2発目入りましたね、ギリギリ生きてますけど……あー、やっぱり衰弱ステータスが入りました。

 衰弱ステータスはHPが僅かになると確率で発生するステータスです。発生すると弱体化します。プレイヤーは死にます。以上!

 

 さぁて、このままだと普通に死にますけど……おぉ?なんか一瞬でゴブ共が消し飛びましたけど、オイオイ揉め事かァ?

 

『一瞬だった』

 

 おや、イベントテキストが入りましたね。

 

『三匹の小鬼が灰となって消え去る。その中に佇む青年が居た』

『不機嫌そうに眉を歪め、歯を――否、牙を剥き出しにした青年』

 

「オイ。ゴブリン程度に苦戦するような雑魚が、ダンジョンに潜ってんじゃねェぞ」

 

『フンと鼻を鳴らした後、青年は一瞥もくれずに去っていく。あなたは呆然とその背中を見つめていた』

 

 どうやらベート君に助けられたみたいですね。彼、なんだかんだと助けてくれるので、序盤プレイヤーの救済者みたいなとこあるんですよね。

 おかげでゴブリン三体がいなくなりました。これで先には進めますけど、現状は改善してないんですよねぇ。

 相変わらず血がだくだく出てるせいでHPが自然回復しませんし、さっきの戦闘でもう満身創痍です。ここで更にエンカウントとかするともう打つ手無しです。

 

 でもでも、希望が見えてきました。

 ベート君がいるということは、ワンチャンでロキファミリアのメンバーが近くにいる可能性があります。

 彼らを見つければ、きっと保護してくれるでしょう(希望的観測)。

 じゃけんロキファミリアを探しましょうねぇー。

 

 メタ的な話をすると、さっきのベート君との遭遇イベント。あれを発生させたことで、ロキファミリアに関係するイベントが発生しやすくなってます。

 ただ、問題なのがどこでどんなイベントが発生しているか分からないってことですね。

 下の方で発生してたら意味無いですし。

 

 とりあえず、地上への階段を目指しつつ、ロキファミリア遭遇をお祈りしましょう。

 

 ま、動かすのは私じゃないので、どう動くかなんて知りませんけど(笑)

 

 

 

 

 

 

 同じような景色が続く、終わりの見えない洞窟を、足を引き摺るようにして歩く。

 体はクタクタに疲れているのに、もう倒れ込んで眠ってしまいたいのに。頭の中を焦がす、〈洞窟を脱出しましょう〉という文字が体を突き動かす。

 

 霞む視界でどうにか歩き続けて、どれぐらい経ったのだろう。

 何度も転びながら、この洞窟の出口を探す。

 

 道中、何度もこの洞窟を彷徨う怪物達の姿を見かけた。

 小鬼だったり、二足歩行の犬だったり。おおよそ真っ当な生物の形をしていなかったそれ等に見つからないように、息を殺して、怯えながら道を進む。

 

 自分には記憶が無い。

 目を覚ました時には既にこの洞窟で、左腕を無くして倒れていた。

 自分がどこの誰で、何故こんな所にいるのか。何も分からないけど、ただ一つだけ確かなことがある。

 

〈洞窟を脱出しましょう〉

 

 頭に届くこの声が、自分を導いている。

 三匹の小鬼と戦った時、この声が自分に戦い方を教えてくれた。その声に体が追いつかなかったせいで、攻撃を受けてしまったけれど、追いついていれば、間違いなく小鬼達に勝てていた。

 そんな確信に似たものを感じた。

 

(そういえば、あの青年の名前を聞くのを忘れてた…)

 

 小鬼達に殺されそうになった自分を助けてくれた、獣の耳が生えた青年。もし、この洞窟から生きて脱出出来たなら、彼にお礼を言いたい。

 そのためにも。

 

「生きて、ここから脱出しないと」

 

 洞窟は上がり坂になり、明らかに上へ向かっていることがわかる程になってきた。出口はもうすぐだ。そう自分を奮い立たせて、ガクガクと震える体を無理やり動かす。

 

 どれだけ歩いても人の気配がしない道を、どれだけ歩いたのだろう。

 もはや気力ではどうにもならない。限界にまで到達した体は、先程から視界の明滅、手足の震え、感覚の鈍化をもって自分に訴える。

 やがて足がもつれ、地面に倒れ込む。何度目かも分からなくなったが、これがきっと最後だろう。何故かそう感じたのは。

 

不意に、「べキリ」。と壁が割れた。

 

 多分、予感がしていたからか。

 

 壁に出来上がった空洞から現れるのは、道中何度も確認したあの怪物達。

 底の見えない暗闇の中から、次から次へと溢れ出したそれ等は、すぐに自分を見つけた。

 あからさまに満身創痍。動けもしない獲物は、さぞ遊びがいのある相手だろうか。

 

〈洞窟から脱出しましょう〉

 

 脳内には相変わらず声が届いている。

 まだ見捨てられていない。その事実だけを頼りに、自分は必死に体を動かし始めた。

 足が動かないのなら、残ったこの右腕で。

 右腕が動かなくなったら、芋虫のように這ってでも。

 

 自分は、まだ。

 

「……たく……い」

 

 怪物達は、惨めたらしく逃げようとする自分を面白がってか、攻撃をしてこなかった。

 逃がす訳でもなく、仕留める訳でもない。絶えず聞こえる足音と、下卑た笑い声が、そこに怪物がいることを自分に知らせた。

 

「……にたく、……い」

 

 恐怖と絶望に押し潰されながらも、無謀な前進を続ける。

 自分がどうしてこんなにも必死になっているのか、分からなかった。

 確かに死にたくはない。だけど、何の記憶もない、縋るものが無い自分を、何がここまで生へと繋ぎ止めるのか。それが理解できなかった。

 

 思えば、目が覚めてからろくな事が無かった。

 目覚めた時には既に左腕は無かった。自分の命が滴っていくのを自覚しながら歩けば、怪物に襲われて殺されかけた。

 運良く青年に助けられるも、よく分からない侮蔑の言葉を投げられた。

 そうして今、何も分からないままに、こうして1人死のうとしている。

 

 そうして分かった。自分をここまで駆り立てるものが。

 自分は、まだ。

 

 

「しにたく、ないッ!」

 

 

 カラカラに乾いて張り付いた喉を、自分でも驚くほどの大きさで飛び出た願望は、不思議としっくり来た。

 

 そうだ。自分はまだ死にたくない。いや、死ねない。

 何も知らないままで、分からないままで死ぬ訳にはいかない。

 

「く、ぅう…ぁああ!」

 

 朧気にしか映らなくなった視界の中で、右手の指が赤く染まっている。

 体全体を右手だけで動かすには、自分の手は弱く、脆かった。だけど、それがどうした。死ぬことよりは恐ろしくない。

 少しずつ前に進む。進む。進む――

 

―ーしかし、怪物はもはや限界だった。

 

 バシュッ、と湿った音と共に腹部から激痛が脳を貫いて、腹が、床に縫い付けられていた。

 長くて、鉄から削り出しただけの槍のようなそれによって。

 

(え、あ……ぉなか、が、ぁ……ぁ。ぃた)

 

 思考はそこまでしか持たなかった。

 

「―ー―ーァッッッ!!」

 

 音にならない絶叫が、喉から溢れ出した。

 痛みを逃そうと、どうにか暴れようとするが、それは傷口を広げる結果にしか繋がらない。新たに発生する痛みに、脳が捻じ曲がって狂いそうになる。

 

 そうして遂に終わりを迎えるのか、目の前が真っ暗になる。

 

 最後に聞こえた音は、誰かの呼ぶ声か。




指摘などあると良くなります。
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