少女の友達は喋らない   作:星音るう

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第2話 初めての友達と交わした約束

………私は、どうなってしまったんだろう。

 

死んで……しまったのかな?

 

体に痛みはない。頭はぼんやりとしか働かない。

 

「……う…………………」

 

ゆっくりと、私は目を開けた。どうやら生きているようだ。

 

目の前には、心配そうに私の顔を覗きこんでいる少年の姿が見えた。

 

あぁ、あなたが助けてくれたのね…。本当にありが………

 

そこまで考えて私は大きな悲鳴を上げた。いや、悲鳴を上げようとした。

 

少年に口を押さえられ、私の出した悲鳴は小さくくぐもったものになる。

 

「んぐ…えぇっ!?だ、だだだだだ誰……ッ!?」

 

パニックに陥る私を落ち着かせようとしているのだろうか。少年は私の背中をさすり、人差し指を口元に当てた。静かに、という意味だろう。

 

「あ、あのっ、あなたが助けてくれたんです、か…?」

 

少しして、いくらか落ち着きを取り戻した私が冷静に聞く。すると少年は、コクンと頷いた。

 

「えっと、あなたは…誰ですか?」

 

少年は少し考えた後、地面に文字を書き初めた。

 

(…もしかして、喋れない……のかな?)

 

私がそう思っていると、少年は文字を書き終え、私に読むよう促した。

 

「えー、と…『零音』…レイン、くん?」

 

私が言うと少年はコクコクと頷いた。

 

「レインくんか…。あ、私の名前は莉々依(リリィ)。よろしくね!」

 

私が手を差し出し、握手を促すと、レインくんは少しためらったが、顔を赤くして手を握ってくれた。

 

新ためてレインくんの顔を見る。少しはねている美しい銀色の髪の毛に、金色の瞳。整ってはいるが、まだあどけなさの残る顔立ち。

 

まじまじと見ていると、やめてよ、というようにレインくんは顔を伏せた。…照れてるんだ。そうわかると、なぜかとても可愛く思えて、ふふっと笑いが漏れる。

 

…あれ?これって、友達…ってことでいいんだよね……?

 

…この目の前のレインくんが、私の初めての友達。

 

「……悪くないかも………」

 

ぼそっ、と呟くと、レインくんは不思議そうにこちらを見てきた。

 

「ん?ううん、何でもないよ。ただの独り言。」

 

そう言うと、レインくんはそうか、という顔になり、立ち上がった。

 

「えっ!?もう帰っちゃうの?」

 

私が言うと、レインくんは少し悲しそうな顔をして頷いた。

 

「そんな……もっと話したかったなぁ…」

 

初めての友達と、もうお別れなんて。

 

「…ねぇ、もうちょっとだけ、ここにいてよ?」

 

必死に懇願する私に、レインくんは首を振る。

 

レインくんともう会えなくなると、私はまた独りぼっちになる。…そんなの、嫌だ。

 

レインくんは既に私と60メートルくらい離れている。追いかけても無駄だろう。

 

だから最後に私は、初めての“友達”に向かってこう叫んだ。

 

「…また明日もここで話そうねーーッ!!」

 

すると、レインくんは歩みを止め、こちらを振り替えると、…控えめに笑った。

 

「!!」

 

それが「いいよ」という意味だと、私は信じている。

 

空がだんだんと白んでいく。

 

私は、眠い目を擦りながら、帰路につくのだった。

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