まぁ、よう実の原作第一巻も綾小路のテンションおかしいですからそれのオマージュってことで見逃して下さい(土下座)
「はい、これにて授業を終わります。今週もお疲れ様でした」
そう言って殺せんせーは持っている参考書を閉じて教室を出た。何を隠そう今日は金曜日。つまり、土日を挟むことになるので、俺はようやく転入初週を終えることが出来たということだ。
「なぁなぁ、明日どっか遊びに行かね?」
「お、いいね!何するよ?」
「ん〜無難にゲーセンとかカラオケ?」
放課後となり遊ぶ約束を取り付けているのは、岡島、前原、菅谷だった。まぁ、明日は休日だし学生なら嬉しい日だよな。
「どうよ零斗、お前も来る?」
おっと…、俺も誘われたか。だが生憎と…
「…悪い、岡島。明日は先約があるんだ」
そう、明日は矢田に数学を教える予定がある。加えて、岡島達より先に約束しているので優先順位は高くなって当然と言える。…あとは断ると矢田の反応が怖いというのもなくはない。
「おーそっか。ちなみになにすんの?」
「ま、まさかデートとか言わないよな!?」
岡島が鬼の形相をしてぐいぐいと詰めるように問い質してくる。
「…違う、友だちと勉強するんだ」
「ほーん、前居た中学の同級生とかか?」
「いや、矢田とだけど」
「「「…………………」」」
「…ん?どうしたんだ、お前ら?」
「わ、悪ぃ、もっかい言ってくんね?」
「だから、矢田と勉強するんだって」
「「「いやそれデートじゃねぇか!!」」」
…総ツッコミを受けた。
「デートも何も普通に勉強するだけなんだがな…」
「お前からしたらただの勉強かもしれんがなぁ、俺にしてみれば男女が、それも二人っきりで勉強なんて羨ましいったらねぇぞ!!だ・ん・じょ・が!!」
岡島は血涙を流しながらも男女の部分だけやけに強調して、俺の肩を揺さぶってくる。
「それも…、E組一の巨乳を我が物にしようとは万死に値するぞぉ!」
「いや、だからな…」
「まぁそれはそれとして、お前らは何処で勉強すんの?ファミレスとか?」
「あぁ、それは俺の家でやるつもりだ」
「「「アウトだわ!!!」」」
俺も最初は、矢田から俺の家で良いと言われるまではどっかの店とかでする気でいた。それ故、出かけるときの服装なんかもwebサイトで調べたりしたのだが、自分の家で文字通り着飾るのもおかしいしな…。結論部屋着でいいかということになった。
「俺の家は親いないし、その方が集中してできると思ってな」
「「「ナニをだよ?!?!」」」
「お、おい零斗、いくら何でも手を出すのが早すぎるんじゃないか?まだ転入してきて一週間だぞ!」
「だから勉強だって言ってるだろ…。あと、念の為言っておくが、お前らが考えているようなことは起きないと断言するぞ」
「な、なな…ぐはっ」
「おい岡島ぁ!くっ、岡島が自分にはないシチュエーションの嫉妬で白目剥いて倒れた!!」
忙しいな、岡島…。
「と、とにかく零斗また来週、じゃあな!」
前原と菅谷が岡島を支えるような形で引き連れていく。
「あぁ、またな」
「………俺も帰るとするか」
前原達に続けて俺も家への帰路に着いた。
◇◇◇
そうして来る翌日、俺のマンションのインターホンが鳴る。
「今開ける」
そう返して扉を開く。
「やっほ〜零斗くん」
そこにいたのは勿論矢田だった。見慣れた椚ヶ丘の制服ではなく、私服姿でだが。…なんか、ちょっと新鮮だな。
「あぁ、中に入ってくれ」
「じゃあ、お邪魔するね?」
そして俺は矢田を部屋へと案内する。
「へぇ〜、結構きれいにしてるんだね」
「まぁ、人様を家に上げるのに汚いところは見せられないからな」
「あ、もしかして気使わせちゃった?」
「いや、普段からあまり物を置かないからそれのお蔭でもある。っと、そこらへんにテキトーに座って待っててくれ」
「うん、ありがとう」
俺はお茶を淹れるべくキッチンに向かい冷蔵庫を開く。高級な紅茶など我が家にはないので緑茶をグラスに注ぎ、テーブルまで運んで置いた。そして俺は矢田の隣に腰を下ろす。
「よし、じゃあ始めるか」
俺の一声で矢田は持参したバッグから数学の参考書やワークを広げた。
「具体的にわからない単元とかあるか?」
「え〜と、強いて言うなら相似…かな」
「相似か、なるほど…」
確かに相似というのは中学生にとって手強い単元なのかもしれない。基本は相似条件を見つけて図形と図形の相似を証明するというのが土台である。その応用として、相似比を用いて面積比なんかを求める問題が良く出てくる。さらには高校数学でもその知識を利用することが多々ある。例を挙げるとしたら三角関数や微分なんかがそれに当たる。
「とりあえず、問題を解いていってわからなかったら俺に聞くってことでいいか?」
「うん、それでいいよ!」
そう言い問題演習をやり始める矢田。見守り続けるのも退屈だな…、俺も問題演習するか?いや、それはそれで暇なんだよな。まぁ、何もしないよりかはマシか…。そしたら計算問題でもやっておくか。
そうして勉強すること約3時間弱が経とうとしていた。その間俺が教えることも少しあったが矢田の理解力が思ったより高く、スムーズに行うことができた。
「じー……」
なんか…すごく視線を感じる。少しやり辛いな…。
「……どうした?」
「いやさ、零斗くんがやってるのって連立方程式とか平方根とかの計算問題だよね?それなのになんで途中式もないのかなって…」
…しまったな。暇つぶしの為にやっていたが裏目に出てしまった…。中々着眼点が鋭い。
ずいっと身を乗り出して俺の問題集を見てくる矢田。体勢が体勢故に発育の良い部分が俺の右腕に当たってるんだが…。
「まぁ、数学は元からできる方だしな」
なんとか誤魔化せるか…?
「う〜ん、そういう問題なのかなぁ?…ひょっとして零斗くんて頭良い?」
「…俺が賢かったらまずE組には来てないぞ。それに、転入初日に受けた殺せんせーが作ったテストだって100点中50点だったからな」
「…ふぅ〜ん、そういう事にしとく」
話題は逸らすことができたが、腑に落ちてない様子だな。まぁいい。これぐらいの事では俺の実力がバレることはないだろう。
「それより矢田、いいのか?もうかなり時間経ってるが…」
「あ、ホントだね。じゃあ私そろそろお暇しようかな」
「お疲れ様…でいいのか?」
「うん、今日はありがとう。教え方すっごい上手だったよ!あとこれ、私の連絡先。なんかあったら言ってね!」
そう言ってメモ用紙を渡してきた。
「またね〜」
「あぁ、また学校でな」
バタンと玄関のドアが閉じられる。矢田が出ていったのを確認した後、俺はメモ用紙に視線を落とした。俺が手に持っているのは友達の、それも女子の連絡先だ。
「………登録しとくか」
別に嬉しくない………訳でもなかった。
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