ハーメルンの取扱説明書->原作名についてを見ましたが、原作名はNARUTOにすべきなのか三次創作元の作品名にするのが正しいのか分かりませんでした。ご存知の方、ご意見よろしくお願い致します。
予想していたトラブルもなく、初夜を
課題はまだまだある。里はまだ里として機能するどころか、里の機能とはどのようなもので、それがどのように運営されるかという点から突き詰めていかねばならない。つまるところ、切った張ったではない今までとは別の戦場が、まだ山場すら迎えていないのだ。
だが、少なくとも実兄の千手柱間、義兄のうちはマダラを同時に相手取るような鬼門はそう多くないはずだ。ましてあの時のマダラは愛のうちは一族という状態を極限まで高まっていたのだから、あれに勝る忍などそう多くはない。
「とびらまく……んん。こほん。だ……旦那様、起きてー……」
扉間の見たその夢が打ち壊されたのは明朝の覚醒後、およそ十秒に満たない時だった。
──この女は木の葉の二大巨塔か、もしくはそれより手強い女だ。
扉間くんって寝相いいんだねぇ、などと言いながらひとしきり抱き締めたキズナは、こちらが身支度を整えるより早く駆けるようにして寝室から出ていった。後ろ腰で跳ねるエプロンの紐に健気さを見てしまい、数瞬、扉間の手が止まる。
ほのかに漂う良い香りと、記憶にある家の構造を合致させながら歩く。持ち合わせた記憶力の良さが働くまでもない、一つ一つの部屋に夫婦であれこれと交わした意見を思い出す。やれこの部屋の日当たりが良いだの、やれこの机は扉間くんには少し小さいかもだの、無邪気な笑みと共に発される言葉の数々の記憶が、既にこの家の至るところには染み付いていた。
既に食卓には二人分の朝食が用意されており、今しがたよそおった味噌汁を手にしたキズナに眩しい笑みを浮かべて誘導される。
促された席に座り、食前の挨拶。
「味噌汁の濃さ、とか、どうかな……」
どれにも手を付ける前から、尻すぼみに言ってキズナは言った。恐らく先の『旦那様』呼びもその場の勢いなどを多分に含んだはずだ。時間差になって恥じらいがぶり返したのだと扉間には察することが出来た。
「照れるくらいならするな」
「だって毎朝味噌汁作るって言ったもん。で、どう? どうかな?」
照れくさそうに逸らす目も、誤魔化すように両の手を突いて頬を抑える姿も、そういうところが愛おしいのだと嘆息する。マダラには挙げ損ねたキズナの愛おしい所作だ。
朝餉をまともに食べるのは久しぶりだった。思えば最初の頃こそ世話係りが用意していたが、仏間が亡くなってからというもの、兄と二人で千手一族の舵を取ってきた。己のみならず、柱間の食も少し細くなったのはそれほど事態が逼迫していたのだ。
一口含む。奥ゆかしい出汁の香りが鼻にまですと広がった。花嫁修行でもしていたのか──それともうちはの味付けはこれが普通なのかもしれない。
「香るな」
「本当? ごめんね、薄めてくる」
「待て。これで良い」
一言足りなかったか。いや、口に出した一言すら少し間違えていたかもしれない。
ぽてんと目を丸くするキズナに言葉を悩ます。手に持つ器が妙な重さを発している。
「……お前の味付けが良い」
上手く言えたかは分からない。字面だけを見れば真っ当な褒め言葉にもなったかどうか曖昧だ。
それでも、唇をわななかせ、口角はつり上がる様を見れば、間違いではなかったに違いない。
「おおお味噌汁もっとよそってくる!」
「待て」
朝食に寸胴鍋はおかしい。
幻術か。……幻覚か。いや幻術かもしれない。幻覚なのか。
前に座って二人で食べられれば言うことはないのに、と扉間は器と箸を置き、台所に目を向けてキズナの姿が再び見えるまで待ちの姿勢を取った。
えっちぃのも書きてえな。……書きてえな。