connect   作:苺のタルトですが

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翌日から海賊船に乗り始めたマイとヨーコの様子は見ていて面白かった。

 

「コック長さん、このお皿拭かせてもらいますね」

 

マイは彼女らしい家庭的な役割を活かしてコックの手伝いをしていた。

 

「ちょっとシャチ。あんたの竿、引いてるんだけど」

 

「え、うおっ、マジだ!」

 

ヨーコは数週間前まで触れる事すら嫌がっていた魚の餌を釣具に取り付けてシャチや船員と釣りをしている。

シャチとは仲良くなったらしく言和気あいあいという感じだ。

 

「何見てる」

 

「私の可愛い後輩が馴染めてるなーって眺めてます」

 

「うちのクルーも取り込まれてるようだな」

 

「ええええ。なんて人聞きの悪い言い方するんですかああ」

 

わなわなと唇を震わせて言えばクツクツとローが喉を笑わせるのでからかわれたのだと気付く。

 

「お前は馴染まねェのか」

 

「…………なついたら寂しくなるのは人類共通なんですよ?」

 

「寂しい……?」

 

「サヨナラする時」

 

ローが不意打ちで問い掛けてきた事に答えれば、至極真面目な顔とぶつかり気まずさに目を逸らす。

突然彼が肘をかけていた手摺から手を離させるので、手の行き先を辿ると誘導される様にグッと抱き込まれた。

甲板よりも一段高くあるテラスで隠されているので人目についても何をしているかまでは見えない。

現に視界はローのパーカー一色。

 

「私が言った事で胸を痛めたのなら謝ります」

 

「俺が何でお前の言葉に傷つかなきゃいけねェんだ……勘違いするな」

 

#name1#が謝ったのは、自分の言葉がどれ程投げ遣りで自虐的なのか分かっていたからだ。

なついてしまえば離れた時に傷付く事をよく理解していて、ロー達に深く入れ込んでしまえば、いつか来た時の人生の別れの辛さを自分はもう知っている。

人生の別れ程、悲しくて取り残されるものはない。

ましてや、生き甲斐どころか生きる意味を、生きようと思う気持ちが全くない#name1#にロー達のような希望と生き甲斐を持っている人達には邪魔にしかなり得ないのだ。

マイもヨーコも自身のように生きている価値を見い出していない脇役の傍なんかに居させたくない。

楽しそうに笑う顔、声。

 

「こんな私で、ごめんなさい」

 

「煩い」

 

言葉だけではなく、唇からも黙れというように口付けされた。

でも、もう動揺もしなかったし驚きもなかった。

 

「お前はどうしようもねェ弱者だ」

 

呟く男に、苦痛を感じている顔をさせてしまう#name1#はどれ程の痛みを彼に与えているのだろうか。

 

 

 

そっと顔を背けるしかなかった。

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