connect   作:苺のタルトですが

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キッドに呼び止められて、今現在--同席させられていた。

震えるフリをして身体を小刻みに揺らしているのだが、彼はリーシャの肩に手を置いていて気付く気配がない。

ならば、あの財布を拾った男に助けを求めて視線を寄越したが無駄だと直ぐに察した。

 

「あの、あの、私、そろそろ、かえっ、」

 

「まだ礼もしてねェのに返せるか。何が欲しい。金銀財宝か。酒か。男か?」

 

(一般人に対して言う選択肢じゃない!……強いて言うなら怯えてる事に気付く頭かな?……でももしかして気付いてるかも)

 

キッドが怯えている人間と怯えていない人間を選別出来る男のような気もするし、怯えている人にここまで執着するとも考え難い。

 

「は、花とか、でいいですっ。それか、その、お気持ちだけでいいです……そろそろ、帰っても、っ、良いですか?」

 

「花だァ?……くく、ああ、分かった。花、な……」

 

帰りたいと言った部分を無視されて泣く泣く早く帰りたいと祈っていると、願いが通じたのかは分からないが、酒場の入り口が開く音がした。

そこへ向くと仮面を被った殺戮武人キラーが立っていてこちらへ来るとキッドへと声をかける。

 

「キッド、その女はどうした」

 

「あ?ヒートの奴が財布を落として、それを拾ってきた女だ。丁度今、礼は何がいいか聞いてるところだ」

 

「それはいいが、怯えてるぞ?」

 

(よし!良くぞ言ってくれました!)

 

救世主に見えるキラーにガッツポーズを内心決めた。

しかし、キッドは更に肩に乗せている手に力を込めてリーシャの身体を密着させる。

露出された服装だから胸板がダイレクトに顔に当たった。

背が高い男なので背の身長が低めのリーシャにとっては大男だ。

圧巻の威圧感と貫禄を思わせる表情は普通の女なら怖さと憧れ少しで惚れてしまう人もいるかもいれない。

 

「私、か、帰らせて下さい……」

 

「キッド……気に入ったのは分かるが、離してやった方がいいぞ」

 

「……チッ……しゃーねェな」

 

パッと離された肩に急いでソファから降りると仮面の男に頭を下げる。

 

(救世主!救世主!)

 

「ありがとうございますっ」

 

そう口にして、走って酒場から出た。

 

 

 

***

 

 

 

KID side

 

 

特に何の刺激もない島に降りて小一時間が経過したが、酒を飲んでの繰り返し。

ヒートが酒場に入ってきて、席に着く寸前に凛とした女の声が聞こえヒートが振り返ると奴は頭を照れ臭そうにかいて何かを受け取っていた。

それが財布と分かり面白いと直感する。

盗む真似等せずに渡してくる女に退屈さを紛らわせる役目を無理矢理させて座らせた。

遠目では普通の女で、近くに来た女はキッドの好みに合ったので機嫌も良くなる。

明らかに一般人の女は身体を小刻みに揺らし怯えているろうだったが逃がすものかと肩を挟んで逃げ道を無くす。

帰りたいと言う言葉を無視して何の礼が欲しいと聞けば返ってきたのは何の欲もない花、という代物。

つまらないとも思ったし、面白いと更に興味もそそった。

帰りたいと二度目を訴える女をまた無視する。

絶対に逃がさないと思い、赤い唇を見て食べたいという性的衝動を覚えた。

その唇を貪って、黒い髪をベッドいっぱいに広げグチャグチャにしたい。

と、そこまで想像しているとキラーが帰ってきて怯えているぞ、と言ってくる。

余計な事をと思ったが、怯えているままでは何も出来ないとも思い、止む終えず手を離した。

女はサッと逃げるとキラーに礼を言って酒場を去っていく。

 

「礼儀正しい女だったな」

 

キラーが褒めているのを聞きながら面白くないと感じたキッドだった。

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