connect   作:苺のタルトですが

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キッド達と会ってからの行動は島へ行くことだった。

そろそろ故郷に帰る準備を始めなくてはいけない。

逆走するにしてもこの海が過酷な事は変わらないし。

そう今までの事を思い出しながら船の外へ出る。

先程から電伝虫が鳴っていて煩いのだ。

恐らくというか、この電伝虫の電話番号を知っているのは三人しか居ない。

だから出る訳にはいかなかった。

耳を塞ぎながら海を見れば島が見えてきたので望遠鏡で覗く。

かなり大きな島らしく、一時間後には町も見えてきた。

これなら稼げると嬉しくなりながら船を付ける。

 

「ん?あの船……」

 

ロー達ハートの海賊団の船だ。

三ヶ月ぶりに見る。

懐かしいと少し思いながら船を降りて賑わう町に出ると直ぐに酒場を見つけて交渉した。

 

「じゃあ、今日の夜から宜しく頼むよ」

 

快く向かい入れられてホッとなりながら酒場を後にする。

ホクホクとなりながら宿を探すと途中で人が騒ぐ声に耳をすませた。

 

「ハートの海賊団がこの島に上陸したって本当かよ……」

 

「ああ、間違いねェらしい」

 

「俺の知り合いも……」

 

どうやら確実にロー達が居るらしい。

 

「うーん、別に会う必要性もないか」

 

もうすぐこのグランドラインを去るのだから。

何かを残していくのも如何なものだろう。

悩んで考えた末に会わない事に決めた。

そもそもこんな大きな島で早々会える訳がない。

 

「!」

 

(居た……タイミング良すぎる)

 

前方にローが歩いてきているのが見えて目をすぼめた。

あのモコモコな帽子と長い妖刀は見紛う事なく大型新人海賊の物だ。

隠れようかと考えて人混みに視線を泳がせた時、リーシャは此処に居る筈のない存在を見つけてしまう。

 

「マイさん?……ヨーコ……さん?」

 

彼女達だと直ぐに認識出来なかったのはツナギを着ていたからだ。

 

「あれ……!リーシャ……!」

 

ヘポが気付いた。

匂いだろうかと考える前にベポが発した声に船員達が一気にマイとヨーコを隠すように並ぶ。

隠しているつもりだろうが、既に遅い。

 

「おい、隠れとけよ」

 

「つーか、もうバレてんじゃ」

 

「見ろよあの顔、気付いてる訳ねェだろっ」

 

(気付いてるんだって、だから)

 

船員達の緊張感の無い雰囲気でもう分かる。

呆れて見ているとローが彼女達に何かを言うのが見えて、やがて三人がこちらへやってきた。

空気が重苦しいのは錯覚ではない。

 

「あの、リーシャさん……」

 

「久し振り……」

 

マイとヨーコは慎重にこちらを見てくる。

 

「……何でこんな所に居るのですか?仕事は?」

 

暢気に久し振りと答える気にはなれなくて矢継ぎ早に問うと、二人の緊張している表情に拍車が掛かる。

そんな事を気遣う理由も無いので質問を被せた。

 

「何故ツナギを着ているのですか」

 

「この二人は俺の部下だからだ」

 

ローが先に答えた。

その返しに驚いてから沸々と怒りが湧いてくる。

 

「この子達はただの子供なんですよ。なのに海賊である貴方の部下?冗談も程々にして下さい。それとも面白そうだからと言う理由で入れたのですか?」

 

「ち、違うんです!船長さんは何も!」

 

「あたし達が頼んだのよ!乗せて欲しいって!」

 

「……で、貴女達はそこまでして何かメリットはあるのですか?命が無くなるかもしれませんよ?」

 

「リーシャさん、私達……貴女に会いたくて……一緒に居たいって思って……」

 

「危険な海を渡って安全に此処まで乗せてもらえるのはこの船だったから、それにあんたに追いつこうって……」

 

彼女達の言葉に声を失う。

そして、何て事だろうと己の愚かさを思い知る。

この子達は今思春期の年頃だ。

そんな子達がこんな海の真ん中へ落ちて、助けられたらコロッと懐くのも拠り所となるのも当然だろう。

 

「私は貴女達みたいなお荷物入らない」

 

自分は彼女達に優しく接し過ぎた。

二人の目が見開くのが見える。

息を呑む動作。

 

「目障りだから島に降ろしたのに」

 

震え出す身体。

 

「馴れ合うなんて虫酸が走る」

 

最後に止めの言葉を告げると船員達のブーイングが飛んで来る。

 

「貴女達には関係ない。部外者は黙ってて」

 

ピシャリと言うと船員達が静かになる。

意味が伝わって良かった。

 

「わ、私……あの、そ、そんな……貴女の邪魔……するつもり……なんて……」

 

「な、何よ……あんた……わ、私達の事……そんな風に思ってた、わけ?」

 

動揺で涙が浮かぶ目に冷たく告げる。

 

「言わないと分からないなんて、やっぱり貴女達は……ガキですね」

 

少女達の息を詰める様子が遠い場所のように視界に写る。

 

「恩を仇で返すのが貴女達の目的なら、既に遂げられましたよ?」

 

ローは近くに居るのに何も言わない。

 

「おめでとう。金輪際、私の為と言って追うのは止めて下さいね?さっさと貴女達は自分達が受け入れられた島に戻る事ですね」

 

蔑んだ笑顔で二人の横を通り過ぎた。

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