connect   作:苺のタルトですが

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ムニャムニャと睡眠を貪る為に身体を動かして寝返りさせた。

その時、腕に固い感触があったので目を閉じたまま枕と思わしきそれに擦り寄る。

 

「んん……ん?んんん?」

 

枕にしては長細くどこか生暖かい。

こんな事が前にもあったなとデジャヴを感じて腕を枕に伸ばす。

 

「……擽ってェ」

 

何か聞こえた気がする、そんな訳はないかと納得。

此処は一人だけしかいないのだから。

 

「……ふぁああ」

 

欠伸をしてからまた寝ようと睡魔に委ねようと更に擦り寄る。

 

「俺は抱き枕かよ」

 

(夢?それとも……)

 

好い加減睡魔には委ねる事は出来ない。

これは現実かと確かめる為に薄く目を開くと目の前に浅黒くて生暖かいものが触れていて視界を埋め尽くす。

覚醒していない脳を動かす為に上を向くとアンバーの瞳とかち合う。

 

「……んあ?ろおさん?」

 

舌っ足らずな呂律は寝起きだから。

居る訳がない人物が居る事を理解出来ないまま二度寝をしようかとウトウトとなる。

 

「仕様がねェ奴だな。起きるのを手伝ってやる」

 

嫌に楽しげな声音だと感想を抱く。

 

「んー」

 

唸って音を遮断しようと布団を深く被ろうとする、けれどローみたいな声がそれを許さなかった。

夢なのになんと可笑しな感じだろう。

煩わしくて払う。

 

「っ、てめェ……」

 

どうやら腕がどこかしらに当たってしまったらしい。

しかし、眠いので目を開ける事はしない。

数秒何もないままもう少しで夢の中に旅立っていけると思った時、唐突に息が苦しくなるという生理現象が起きる。

別に崖から落ちた夢でもないのに、と慌てて目を開けるとぼやける視界。

僅かにだが二つの目があると確認出来たが何をされているのかは分からない。

ふがふがと口から漏れる雑音は意味をなさない。

 

「ぷはっ!?」

 

やっと息が吸える頃には酸欠寸前。

死ぬかと思った。

原因を涙が浮かぶ目で確かめると目の前に何食わぬ顔のロー。

犯人かと考えずとも分かる、何をしたのかもうっすら分かる。

 

「朝から口を、ふ、塞ぐなんてっ」

 

はあはあと息を懸命に吸っているとローが目の前に迫ってきて仰け反る。

エビ反りみたいになるとさらけ出された首筋に隙有りと唇を寄せてきた。

びっくりして押し返すが、攻防も無意味に終わる。

何というか、恥ずかしい。

赤面するのを止められないので首筋からローが離れるとひたすらそこを手でさする。

消えますようにと祈った。

 

「や、止めて下さい!」

 

「くくく」

 

嫌がっているのに笑うなんて悪趣味だ。

ゴシゴシと拭っていたらローが突然半裸のまま立ち上がる。

シャワーを使うと言われてどうぞとしか言えない。

リーシャを臆病と言うなかれ、この男には言葉で勝てないのだ。

翻弄されていることは自覚しているが、どうも反論出来ない。

相手が自分より賢いせいだろうが。

悶々と考えているといつの間にかローがシャワーから出ていた。

いくら何でも早すぎだ、カラスの行水だ。

しかも髪が濡れている。

相手は分かっているのかこちらへ来てベッドの端に座ってきた。

 

「拭きたければ拭けばいい」

 

何故上から目線なのだ。

 

「……失礼しまーす」

 

しかし、気になるのでタオルを手に取ってローの頭を拭く。

それにしてもリーシャに対して安易に後ろを見せてもいいのだろうか。

 

「ローさん、私に背中見せるなんて平気ですか?」

 

「は?」

 

彼は海賊で常に警戒しなければいけない。

 

「いや、その……今襲われたら私ローさんに勝っちゃいますよ?」

 

「…………く、ぶふっ」

 

喉で笑うのを通り越して吹き出した。

男を見てから恥ずかしくなる。

 

「おいおい……そりゃあ刃物でやられた場合か?それとも……性的にか?」

 

「は、刃物に決まってますよ!」

 

何故ローを下心で襲わないといけないのか。

頬が熱くなるのを無視して返すとワシャワシャと頭を撫で回す。

 

「フフフ、別に性的だって構わねェぞ?いつでもな」

 

「だ、だから刃物ですって!いつまで言うつもりですか!」

 

この話は終わりだと最後に水気をタオルに吸わせて退けた。

見事にグシャグシャだ。

彼は元々癖っ毛だし、当然だろう。

 

「まだ乾いてねェ」

 

「え?どこがですか?」

 

満遍なく拭いたつもりだ。

疑問を抱きつつローを見るとニヤリと彼の口元が上がる。

 

「ここだ、ほら」

 

「え?どの辺……っ」

 

と覗き込むと唇を塞がれた。

不意打ちは狡い。

隅々まで貪られてまた酸欠になった。

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