connect   作:苺のタルトですが

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二人と合流してから五日後、リーシャの所に来る前に泊まっていたホテルへと荷物を移動させてそこへ泊まっていた。

自分だけ安い宿屋に泊まっていたのだが、いきなりローがやってきて首根っこを引っ付かんだと思ったら質の良いこのホテルの一室に問答無用で放り込まれたのだ。

そこはマイとヨーコの泊まっていた部屋だったらしく二人の驚いた顔が目の前にあった。

後ろを見てからローを仰ぎ見ると彼は「お前の分も支払った。無駄にしたら末代まで呪う」なんて冗談みたいな文句を吐いて一方的にドアを閉めた。

呆気に取られていると二人が「何かごめん」と謝ってきたので苦笑。

ローが勝手にしたことだと述べてから数分後、またドアが開いたら次は荷物を顔面に当てられて「もっと色気のある下着買え」なんて言われる。

此処まで言われて黙っているなんてしないリーシャは「ローさんだって下着普通の癖に」と言い返してやった。

すると、それを聞いてローはドヤ顔で「はっ」と鼻で笑うのでふてくされたのは言うまでもない。

二人にたっぷりと慰められているとシャチがご飯食べに行くぞと言うのでマイ達と共に下へ降りる。

このホテルは朝と夜に食べられる形式らしい。

リーシャも行ってもいいのだろうかと最初は思ったが、ローが既に払っていると言っていたので一応共に降りて行った。

お腹も空いてきて食べ時だと思っているとローが既に座っていた。

和式のようで靴を脱いで座敷に座る。

ホカホカな鍋を見ていると隣にドカリとローが座ってきたので首を傾げた。

先程まで真ん中に座っていたのに何故此処へ座り直したのだろう。

少し間を空けて移動してみるとローは何食わぬ顔で間を詰めてくる。

 

「狭いです……」

 

「俺の自由だ」

 

そんな事を聞きたくて言ったのではない。

 

「さっさと食え」

 

まだ言い足りないのだが、怒りを買う事は避けたいので言葉を飲み込んで鍋の蓋を開けた。

良い香りが鼻を抜ける。

おお、と感嘆の声を上げるとマイ達も同じ反応をしていた。

 

「カニか……」

 

隣のローは無表情で呟いていた。

 

「少ない……」

 

向かいに居るベポが残念そうに言う。

確かにベポの巨体では少ないだろう。

意を決してベポにカニをあげようと声をかけた。

 

「あ、じゃあ私も」

 

マイもヨーコもこぞって渡す。

ベポは嬉しいと笑った。

 

「お前はもっと食え、太れ」

 

ローに具材を足された。

仮にも乙女に言う台詞ではないと思う。

 

「い、いいです。もう沢山ですからっ」

 

盛られて具材が積み上がる。

頬が引きつるのを何とか隠して言うと彼は店員にもっと持って来いと追加する。

もしかしてまだ増やすのかと引くつく。

 

「もういいです。お願いですから」

 

「馬鹿か。俺のに決まってんだろ、くくくっ」

 

さっきまで太れやら食えやら言っていたのだから勘違いするに決まっている。

 

「た、助かった」

 

「ふふふ」

 

隣に居るマイが笑う。

本当に困った男だと彼女に笑い返す。

 

「おい。酒注げ」

 

酌しろと言われて仕方ないなあ、とコップに注いであげた。

 

「おい」

 

注いでいる途中で呼ばれて前を向く。

 

「故郷に帰るのか、結局」

 

「…………考えてます」

 

「つーことはまだ進むんだな」

 

その問題を彼女らと話し合った。

 

「行き詰まったら帰る。そう決めました」

 

考えてます、と言ったが、それは自分の考えで、彼女らは違う。

もっと世界を見たいと言った。

本音を言えば彼女らを乗せて旅をするのは反対だ。

 

「ま、まぁ、私は帰りたいんですけどねっ」

 

帰るとか、帰らないとか優柔不断なのは理解しているので気まずくなる。

耳が赤くなっていないかと思って顔を背けるとローの笑い声が聞こえた。

 

「素直になるのも一つの生きる方法だ」

 

別に生きたいわけじゃない、と言って雰囲気を壊す真似は出来なかった。

二人も居るし、死んだら二人を置いていく事になる。

そういう事にしとこう。

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