connect   作:苺のタルトですが

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島のログが溜まる日が近付いた。

その折、ローが朝から起こしに来た、能力を使って。

何と狡い、何とストーカーげふがふ。

と思いつつ付いていけばマイとヨーコも外に居た。

何時から起きているのだと聞くと五時くらいの時らしい。

なんと朝の鍛錬とやらをしているらしい、逞しく思う。

というより一女子高校生がしている事ではない。

朝五時にするのは朝シャンか髪をコテで巻くとかの作業だと思う(偏見)。

それにしてもリーシャが見ていない間にすっかり朝を得意としていまっている二人。

何だか一般人の枠を外れ掛けているような気もする、二人の元の性格や目標を軌道修正しなければ。

まだ七時というのにローはどこに連れていくつもりなのだろうか。

もしかして人攫いの所か、いやローがそんなつまらない事をする訳もないか、と一人納得。

まだ眠い状態でヨタヨタと覚束ない足取りで付いていくとローが一つの店の前に止まる。

同じく三人も止まると上を見て看板を読む。

 

「「「船大工……?」」」

 

「前にお前が氷山が出来るくらい寒い海域に入った時の事覚えてるか。死にかけた時の」

 

「嗚呼……その説は大変お世話になり」

 

「船が安もんじゃなきゃあんな目に合う事もなかった」

 

ローはこちらの台詞を無視して話をする。

確かに死にかけたけれど、それが何だというのだろう。

それと安物で悪かったな。

 

「だから、今回は三人の船出を俺自ら祝してやる。お前等にプレゼントだ」

 

ローは言いたい事だけ言ってから店の中に入っていく。

そこでは船大工達が朝から作業に没頭していた。

熱い、何というか雰囲気が。

カンカン、と金属の音が鳴る店の中を慣れた様子で歩くローに付いていく。

一人の男性に声を掛けると彼は人のよい笑みを浮かべる。

賞金首のローに臆する事無く笑みを向けられるなんて肝っ玉の大きい人だ。

感心していると何やら話し込むお二方。

お陰で三人はポツンと立っているまま待ち惚けだ。

待っているとローがこちらの事を見て「何やってる。こっちに来い」と我が物顔で言うので説明は?と聞きたくなるのを我慢して付き従う。

トボトボと歩き出すと二人も習う。

朝と言うのに機敏なお二人に各の差が拓きだしているのを感じる。

鍛錬しているからかその動きは洗礼されているように見える、まるでローの部下達のようだ。

彼女等はローの部下になっていたと聞いていたが、どうやら本当だったようだ、信じたくない。

レストランの一件でちゃっかり活躍してくれた二人のあの頼もしいやりとりは忘れられない。

二人の存在は認めたけれど、どうしても危ない事に突っ込んで欲しくないのだ自分は。

考えを止める為に首を少し大げさに振ると中くらいの大きさの船が見えてきた。

てっきり今まで自身が使ってきた船を改造か修復する程度かなと思っていたのだが、どうやら一から作ったらしい。

凄く豪快で予想外の事をやってくれたローに開いた口が塞がらない。

一つ船を作るのに一体幾らお金を使ったのだろう。

喜ぶ二人とは対照的に貰えない、と呟くリーシャにローは淡々と「じゃあ捨てるしかないな」と言った。

そんなの安直過ぎる、と胸にモヤモヤとしたものが張り付く。

 

「お前は良くても、こいつらの命が助かりやすくなるって利点、あるだろ」

 

「ま、あ……そうですね」

 

「だからこれは命綱だこいつらの」

 

ローは二人をダシにしている。

分かっていても、船を頑丈にするだけでどれほど航海の安全性が上がるのか、比べものにならないだろう。

ローは海のプロだ。

ベポも絡んでいて、船員達だって大手を振ってグルなんだと思う。

 

「リーシャさん!」

 

マイに呼ばれて前を見るとヨーコが中を見るわよ、と手を二人に引かれる。

アワアワしている間に進んでいく二人に為すがまま。

中へ入ると頑丈な中身が目に付く。

ローの言葉通り木製ではなく金属製の船だ。

コンコン、と叩いてみても分かる。

それに、外の空気や気温が全く伝わってこない。

 

「キッチンありますよ!」

 

「トイレもある!」

 

はしゃぐ二人の気持ちは分からなくもない。

結構原始的な方法でどちらもやっていたからだ。

ちゃんとしたキッチンも備え付けトイレもなかったから感動ものだろう。

船だけでなく内装も力を入れてあり、ローのやった事が心に響く。

 

(二人の為なら……ローさんのくれた船も甘んじて貰うしかないか)

 

苦笑して二人の少女が笑うのを見て一人船の外へ出た。

内装は二人が見て回るだろうし、三人揃ってはしゃぐものでもない。

一人でそう判断して梯子を伝い地面に降りた。

後ろを向くとローが端に寄りかかってこちらを見ていた。

お礼を言おうとローに駆け寄ると彼は目をこちらへ向ける。

茶色いような黄色いような色を光らせる瞳。

 

「あの、船。本当にありがとうございました。お礼、は何もないので渡せませんが……」

 

船代だけでもリーシャに手が出せる金額ではないだろう。

照れ隠しも含めてローに進言すると、彼はニヤリとその口元を歪める。

嫌な予感がする、後ずさった。

しかし、ローは逃がさないと言わんばかりに腕を伸ばしてきてリーシャの肩をグワッと掴む、何と遠慮のない事か。

 

「え、あの、何ですか?」

 

動揺していると彼は「礼なら貰う」と言うので蒼白になる。

まさか治療代を上乗せされるのだろうか。

 

「あ、あの、私ほんとお金持ってないので……払えませんよ」

 

「バカか。なけなしの金を毟る趣味なんてねェ」

 

またバカと言われた、ローの方がバカだ。

と心の中で言い返す。

そんな事に気を取られているとローの顔が間近にあった。

 

「あ」

 

口から何か出かけた瞬間、息を奪われた。

唇に同じ物がくっついて、何度も不意打ちで奪われているからか冷静で、とてつもなく恥ずかしくなる。

ぬるりとしたものが唇に這うとこじ開けようとした。

抗っているとローは服に手を入れたので隙が生まれて口内へ進入された。

それからはR十六くらいの事をされて離されると酸欠で息が荒くなる。

苦しくてローの胸板に頭を預けていると彼の笑う声と振動が伝わってくる。

 

「いい加減、慣れろ」

 

「勝手にやって、慣れなんて、無理ですっ」

 

赤くなる頬を隠す為に下を向く。

二人が戻ってくる前にローから離れようと身体を立てる。

 

「お代、確かに貰った」

 

「私のってそんなに価値、ないですけど……」

 

美女でもないし、キスが船一つなんてどこの女帝だ。

女帝に失礼か、どこの傾国の姫だ。

突っ込み所満載なローの発言に苦言する。

 

「そう思うなら浮気すんなよ」

 

「意味分かりません!」

 

浮気と言われてもローとは交友関係でしかない。

キスされているのに交友なんて可笑しいかもしれないが、別にローへキスして欲しい何て言った事はない。

寧ろ、リーシャの事など忘れて欲しいくらいだ。

 

「精々死に損なえ」

 

レストランでも似たような事を言っていたのを思い出しているとローが去っていくのが見えた。

やがてマイとヨーコもやってくる。

ローは、と聞かれて帰ったと言うと二人はお礼を言いそびれたと言う。

 

「どうせまた会う事になるでしょ」

 

「ふふ、ですね」

 

「はー!海に出るのが待ち遠しい!」

 

ヨーコの元気な言葉にリーシャ達は頷き新しくなった船を見上げた。

そこには旗が閃いていて、ベポの肉球らしきマークが一つポンッと押してあった。

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