connect   作:苺のタルトですが

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シャチと出会った後、彼は何故か去らずにそのまま付いて来た。

ヨーコが女の買い物は長いけど我慢出来るのかと聞くとヒクついた顔で「おお!」とギブアップするだろうな、という返事を返す。

何故そこまでして付いてこようとするのか甚だ疑問だ。

彼はクタクタな様子で店を回る。

ヨーコもマイも最早シャチの存在を空気のように扱っているし、彼は何も言わずに淡々と足を動かすだけ。

 

「なァ、休憩しねェ?」

 

もう涙が出そうな顔で懇願してくるシャチにマイ達が仕方ないと近くのベンチへと座る。

 

「シャチ、私は大丈夫だから座って?」

 

シャチに席を譲ると彼はこっちを見て嬉しそうに笑う。

 

「お前マジ天使!」

 

「あはは」

 

大袈裟な相手に笑う。

水を買ってこようと彼女達に近くの店で買ってくると伝えると直ぐに自分達も一緒にも言うが、それくらい直ぐに済むと説き伏せて買いに行く。

 

「水を四つ下さい」

 

「三百六十ベリーです」

 

妥当な金額を言われて出すと直ぐに出てきたので受け取る。

手が一杯なので慎重に歩いていると目の前に如何にもな青年が立ちふさがる。

邪魔だ。

 

「重そうだね。持つよ」

 

「いえ、結構です」

 

「一人で大変そうだって。大丈夫変な事しないからさ」

 

ナンパらしいその台詞に内心辟易となる。

 

「いい加減に」

 

「おい」

 

「え?」

 

突然の介入の台詞に驚くと後ろにローが居てすこぶる機嫌が悪そうだ。

 

「俺の女に何か用か?」

 

ローは男に良く見えるように刀を胸の位置に持ってくる。

 

「っ、い、いえ!」

 

慌てて走り去る男は何とも間抜けだった。

 

「……ありがとうございました」

 

「礼を貰う為にやったんじゃねェ」

 

「え?はい……そうですか……?」

 

じゃあ何の為にしたのだろう。

 

「その水貸せ」

 

「あ」

 

二本取られてから歩き出すローの後に慌てて付いていく。

お礼を言うのにも慣れた。

 

「あ、リーシャー!と……ローさんじゃん!?」

 

「シャチさん……貴女船長さんに此処の居場所……教えました?」

 

マイが綺麗な笑顔でシャチを尋問している。

 

「い、いや、あのなっ」

 

「あのですね?人には人権と言う守らねばならないポリシーがあるんですよ?勿論私達に戦いを教えてくれたシャチさんはよーく、よーく知ってますよね?」

 

それは尋ねているというより、有無を言わせぬ言葉に聞こえた。

シャチはマイの気迫に押されて頷く。

脂汗が凄い、ダラダラだ。

 

「水買ってきたよー」

 

「その後ナンパされてたぞこいつ」

 

「ちょ、チクらないで下さいよ!」

 

慌てて口止めしても後の祭りだ。

少し説教を少女にされたのは言わずもがな。

 

 

 

アルバイトが終わる頃には既に夜中を回って朝日が出ても可笑しくない時間だった。

ホテルではなく、船の中だ。

ローの船ではなく自船なので一人である。

彼女達はホテルに泊まっている。

本当はリーシャも泊まる予定だったのだが、ログの溜まる期間が長いので長く外泊するのにお金を自分に使う事を渋ってしまった。

勿論自分が自船で泊まるとなれば黙っていない二人には内緒。

二人はリーシャがホテルに泊まっていると思っている。

いつまでその嘘が通せるのか分からないが、バレる時まで此処で寝泊まりするつもりだ。

ホテルへ泊まるのは所謂防衛と安息の面がほぼ保証されているからだ。

船と違いホテルは自船のように簡単に入れないし、安らかに安眠出来る。

自船で寝る場合は泥棒や盗人に襲われる確率も高い。

この船は他の船より小さいのでまだ狙われ難いから少しだけ安心出来る。

眠ろうと目を閉じて睡魔に引き込まれていく。

 

「んん……きゃあ!?」

 

突然身体に何かがのし掛かってきた。

明かりもない真っ暗な部屋に誰か侵入してきたようだ。

 

「吐け。何で此処で寝てる」

 

「はあ?何でって!何で襲ってる野郎に教えないといけないの!?退け!」

 

荒々しく防御である蹴りや手を突き出す。

素人の無茶苦茶な抗いだが、当たれば良い。

滅茶苦茶に暴れるが相手は意に返していないらしく手首を掴んでくる。

 

「お前にしては次第点な反撃だな。だが……俺はヤレるぞ」

 

「離せ!てめェのもんなんて噛み………………ローさん?」

 

途中でその声の該当者が脳裏に浮かびハタと我に返る。

 

「何だ。もう抵抗は終わりか?お前のキレた瞬間の罵倒、結構良いな」

 

その笑みを浮かべているだろう様子に脱力する。

 

「おい、何やってる。俺はまだ襲ってるんたぞ……」

 

そう言って服のファスナーに手を掛けるロー。

 

「ちょ、何するんですっ!?」

 

慌てて手を止めようとするが首筋に唇だろう感触が降ってきて思考が鈍る。

彼はそのままペロッと舌でちろりちろりと舐めた。

 

「う、やあ」

 

「くくく、刺激に弱いお前、嫌いじゃねェ。もっと鳴けよ」

 

こんな夜中に来て何がしたいのだろう彼は。

 

「な、何しに、き、来たん、ですかっ」

 

「夜這い」

 

凄く簡潔に言ってきた。

ギョッとして相手を見ようとしても暗い部屋は何も目に写らない。

暗い空間しか見えない、けれど相手は確かに目の前に、上に乗っている。

 

「や、やだっ」

 

「おいおい……こんなセキュリティが簡素な船の中に寝泊まりしてる癖に止めろだなんて野暮だろ。襲って欲しくて此処で寝てるって言ってる自覚はあんのか」

 

「そ、そんな、わけ」

 

「少なくとも俺にはそう聞こえる。だからこうして夜這いしてお前を襲ってる」

 

「う、ううう!」

 

キスもされて口内を味わい尽くされて酸欠になる。

 

「き、鬼畜っ、変態!」

 

「あ?鬼畜はこうするような奴を言うんだ」

 

そう言ってローは首をカブ、と噛んだ。

結構な力で噛んだらしくかなり痛い。

 

「うあ、く!」

 

「綺麗に付いたぜ」

 

そんな芸当は必要ない、報告もいらない。

ハラハラと涙を流してしまうのは痛いからだ。

生理的な涙を零すとローが人差し指で拭う。

 

「泣き顔、そそるな」

 

誰かこの外科医を止めて下さい!

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