connect   作:苺のタルトですが

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サワサワと手が意図を持って動くのを感じて身体の力を抜く。

それを感の良い男は感じ取ったのか、更に笑みを深めた気がした。

 

「いくら積まれようとも売りませんから」

 

絶対からかっているのが丸分かりな空気。

 

「フフフ。焦らす作戦か?益々欲しくなるな」

 

「何を可笑しな事言ってるんです?焦らしてもないし何とも思ってませんが……取り敢えず手を離して欲しいのですけれど」

 

断ってみてもローの手が緩む事はなく、寧ろ手つきが強くなった気がする。

何をしたいのだろうこの人は。

ハテナマークを生産してみても分かる訳もなく、どうしたものかと悩む。

ローは暫し何も言わない状態になった。

かと思えば思い出したようにお尻を揉んできた。

 

「うひゃあ!」

 

「やり直し」

 

「何がですかっ!?」

 

「色気がねェ」

 

「ええ、なんて理不尽!」

 

「早くしろよ」

 

「止めてくれませんか!そういう発言!」

 

「……早く鳴け」

 

言い直したが意味も言い方も対して変わっていない。

もしかして言わなければこのままずっと此処に居させられるのだろうか。

 

「わ、分かりましたよ……」

 

つまり演技でも良いからと言う事だろう、と取り敢えず色気の有りそうな声を出してみた。

 

「…………三十点」

 

「えー、点数、えー」

 

あまりに低い点数に反撃の声を出す。

 

「襲ってきたローさんだってやり口はそこら辺の草より底辺這ってましたよ」

 

「うるせェ。こんなとこで彷徨いてるお前が悪い」

 

「いやいや。ローさんだって路地裏に居たんですから人の事言えませんよね?」

 

「おれに口答えか?偉くなったもんだなお前も……」

 

眉間にシワを寄せて笑うローの笑みは善良な人間がする顔ではない。

そういうつもりじゃないと首を振ってみてもローは退いてくれなかった。

 

「そんな生意気な口聞けないように」

 

ローは妖しく笑って口にする。

けれど、その言葉が不自然に途切れたと思ったらローは後ろを突然見た。

後ろを見て、一向に動かないし、どこかピリピリする雰囲気に首を傾げる。

 

「どうしたんです?」

 

「…………いや、少し殺気を感じただけだ」

 

「もしかしてローさんを付け狙う賞金稼ぎでは?」

 

「それなら別に気にも止めないがな…………まァいい」

 

何か気になる事があるのか険しい顔付きになったままのローは「此処から出るぞ」と手を取って歩き出す。

それにされるがままに付いていく。

 

(ローさんが殺気を感じたなら此処から去るのが一番良いよね)

 

納得しながら足を動かす。

いつもより早めの歩調で歩くローに何か焦っている気配を薄々感じた。

まるで何かから遠ざけるように。

 

「昼は食ったか」

 

「三時間程前に」

 

「なら軽食食うか」

 

そう言ってそのまま何故か食べる事になった。

近くにあったカフェへ寄って椅子に座る。

いつもならテラスや人が少ない席を選ぶローが警戒するように人目の多い所へ腰を降ろす。

 

「……ローさん?」

 

「あ?」

 

「様子が可笑しいですよ?」

 

「いつもの通りだ」

 

はぐらかすのでそれ以上は突っ込めずにローが自発的に二人分の軽食を頼む。

 

「……何か海の道中でやらかした覚えはあるか」

 

「そうですね。王子とかを難破船から救助してこの島に送り届けました」

 

話すとローの眉間が怒気によって寄る。

あ、マズい、と思った時には刀を彼は抜いていた。

 

「ROOM」

 

呟いたと認識する前にスパッと左手の小指が切られる。

利き手じゃないのはせめてもの優しさなのもしれない。

彼は何の感情もない無表情で切った指を手にする。

 

「今からモールス信号を教える。SOSだけ覚えとけ。この間抜け。馬鹿。アホ。考え無し女」

 

「たった今小指をチョンパした人だけには言われたくないな~」

 

リーシャは頬を引き吊らせて言った。

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