connect   作:苺のタルトですが

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マイが落ち着くと次は強い力で甲板へ連れて行かれる。

ローが居るという事が気掛かりだったが彼は賢いし何とかするだろう。

今回の監禁はリーシャが己の命を軽んじている事が原因なので彼をどうこう責めるつもりもない。

せめて監禁の件はお墓まで持って行こう。

リーシャはローの事を庇うという選択肢をして、ヨーコの前に行く心の準備に取り掛かる。

 

「ヨーコ!ヨーコ!」

 

「……!?……え、あ、あんた!生きてたの……?嘘……!?」

 

ヨーコを呼ぶとそれに船員も当然気付く訳で、船員達も揃って間抜けな顔をしてリーシャを幽霊を見たかのように凝視してくる。

その瞬間、ドン、と身体に衝撃が来る。

マイの時よりも強めにタックルされた。

ヨーコを受け止められなかったのはマイが居たからバランスを保てなかったせいだ。

そのまま尻餅を付いた状態で泣き出すヨーコに困ってしまう。

あれよあれよとリーシャが生きていたという事実に驚愕していく周り。

船員達もザワザワと知っていく、ローも居たが、何かを言う事はせずに無表情に立っていた。

目が合うけれど特に怒っているだとかいう感情はなかったので怒っている訳ではなさそうだ。

成り行きを見ているように見える。

船員達もヨーコ達に感化されたのか周りに集まってきて、どこでどうしていたんだ、とか、何故此処に居るんだとか、そんな事を聞いてきた。

どう説明しよかと悩んでから口を開く。

 

「つい最近まで私は記憶喪失でした」

 

周りはその発言に戸惑う。

 

「そこに居るローさんの事、皆さんの事。マイとヨーコ達以外の人達を先程まで忘れていました」

 

マイとヨーコは大泣きしていたのに泣くのを忘れて目を大きく見開いている。

 

「さっき、頭をぶつけて……事故でしたが思い出しました」

 

「本当か」

 

ローが聞いてきた。

ローが特に何かに驚いていない事に船員達やマイ達が怪訝に感じたらしくローとリーシャを交互に見ている。

説明はしようと思っているが、どう言えばいいのか。

 

「はい」

 

取り敢えず監禁の事以外は正直に話してしまおう。

でも、全て話すのは少しずつ。

一気に話してしまうにはこの子達にはキツいだろう。

今はお互いの命がちゃんとあったというので精一杯だろう。

死んでいる事にして帰ろうとしたなんて今話してしまうにはキャパシティが限界だろうと判断。

今の所は記憶喪失だった事を言っておいた方が良いと思った。

ローには恋人だったと嘘を付かれた事だけ自分は問えばいい。

問うと言うより、あんなこと言うなんて、と笑い話にでもして終わらせる。

それは後で、二人だけの時にやり取りするだけで済む。

今日は二人と過ごす事は前提だろうし、まだ混乱している。

きっと当分片時も離れなくなると思った。

 

「おい、こんなとこに居続けても仕方ねェだろ。部屋へ行ったらどうだ」

 

締めをしたのは他でもないローだった。

彼は事情も知っているので驚く事も困惑する事もないので指揮をするのが早いのは当然であった。

マイとヨーコは涙を浮かべて無言で首を縦に振る。

そのまま両脇に挟まれるままに連れて行かれるリーシャ。

横目でローを見ると薄く笑っていた。

笑っている意味が分からないが、知る必要も無いかと思い直す。

寝室として宛てがわれている部屋へ着くとそのままベッドへ寝転ぶ三人。

もう何かをする気にはなれないのでこれはこれで嬉しい。

質問攻めにされるとばかり思っていたので、目を閉じた。

 

 

 

目を開けるとまだ夜中らしく二人は寝ていた。

起こさない様に二人分の手を二の腕から外す。

外してから分かったのは二の腕が同じ状態のまま固定されていたので固くなって痛い。

動かすが痛くて苦労してベッドから抜け出すと扉へコソコソと忍んで向かう。

扉を開けると廊下は暗くて何も見えない。

灯りを灯すと彼女達が起きるかもしれないので灯さなかったのだが、これでは前途不可能だ。

 

「どこに行くつもりだ」

 

「!」

 

声がして肩が揺れる。

この声の主は、

 

「もしかしてローさんですか」

 

声をかけると相手から「そうだ」と聞こえてきたので息を浅く吐く。

見知った相手ならば緊張する必要はない。

 

「言うのか。地下の事を」

 

暗に監禁の事を言ってしまうのかと聞かれて息を呑む。

 

「……言いませんよ。だって、私にローさんを攻める権利なんてないんですから」

 

「ないのか、権利」

 

「ええ。それより、私的には恋人だと言う嘘に関して謝罪して欲しいですかね~」

 

ふざけた口調で緩和を心がける。

しかし、返ってきたのは期待していたものとは違った。

 

「俺の願望だ。取り消すつもりはねェ。願望……はないか。言葉を選び間違えた。もうお前は俺の女だ」

 

「………………なん、だと」

 

某有名台詞を吐く。

一度は言ってみたかった。

 

「おい、冗談は言った覚えはねェ。俺と寝た瞬間にお前は俺のモンになった」

 

「…………襲ったの間違いです。訂正を要求します」

 

「襲われたにしては気持ちよ」

 

「あーああああ!」

 

「うるせー。周りが起きるだろ馬鹿」

 

「馬鹿なのはどっち!てか、それはフリですフリっ」

 

敢えて悪あがきをする。

決して認めたくないとかではない。

 

(てか、女って何!違うし!)

 

では性欲処理だと言われれば、まあ……。

 

「うるせーな。お前の称号は永久的に取れねェ。理解したか、馬鹿女」

 

仮に女でも彼女でも、馬鹿女と呼んでいるので何かムシャクシャする。

 

(でも、女とか、とか!)

 

一方的に決められては納得いかないのも当然。

 

「マーキングしたのにあっさり他の海賊に持ってかれちまうとはな。油断した」

 

「ローさん、それ自分の事犬とか言ってるようなものですよ…………」

 

「獣という意味では同じだ」

 

「別に上手くないですが…………それより、ここで私が逃げないか見張ってたんですか」

 

「たまたまだ。自意識過剰だろ」

 

「はいはいそーですね」

 

恐らく見張っていたのだろう。

見つかってしまった今はもう行方を眩ませるつもりはないが、ローにとってはそれも判断出来ないので一応様子を見ていたというところだろう。

几帳面というか、義理堅いというか、面倒見が良いというか……義理堅いは違うか。

心底面倒な男と関わりを持ってしまったなと今更ながら思った。

しかし、強いからこそマイとヨーコが強くなったし、助けられてきたから全てを悪いとは言えない。

 

「で、どこに行くつもりだ」

 

「お風呂です。眠れないので」

 

「おれの部屋のを使え」

 

「エッチな事しません?」

 

「期待してるのか?誘ってるようにしか聞こえねェな」

 

「何も特に思ってませんよ。覗いたら二万ベリー貰います」

 

「それで見てもいいのか?なら払ってやるよ」

 

笑っているので冗談だとは思うが、果たしてどうなのだろうか。

兎に角ローの部屋に行ってお風呂を借りる事にした。

覗きはされなかった。

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