connect   作:苺のタルトですが

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「ん……う?」

 

寝台に寝かされているのか地べたに寝転んでいるのかは把握できないが、何となく揺れているような感覚にコロンと寝返りを打つ。

 

「いっ……くそ、寝相が今日は良くねェな」

 

手に何かが触れた感覚と浅くなった眠りで耳に何か聞こえてきたのを理解。

 

「…………ん?誰?」

 

「誰かはちゃんと見りゃあ解るだろ?ジュリエット」

 

ローがジュリエットなんて発言をするなんてまだ夢を見ているようだ。

寝ぼけ眼をパシパシと動かしてローの頬をサスサスする。

気怠げな瞳がこれでもかと見開かれるのを見て日々の勝てない色々を思い出してしたり顔をしたくなった。

何だか今は彼よりも上手(うわて)にいけた気がする。

スルッとそのまま気分が良いまま手先で撫でるとローはされるがままになってくれているのでやはり夢なのだと感じた。

 

「じゃあローさんは、ロミオ?」

 

「俺はロミオみたいに足踏みせず姫をかっ浚うからどちらかと言えば姫の近くに居る兵士だな」

 

律儀に真面目に考えてくれた答えに面白いと笑みが洩れる。

それにローも口角を上げて機嫌良さげにこちらを見るとふんわりとキスされた。

 

「ローさんはキスは優しいのにその他は優しくないですね」

 

「ククッ、優しくしたらお前はそのままヌメヌメと逃げるだろうが」

 

確かにキツメに追い込まれなければ何かと言い訳をして彼から逃げるだろう。

良く自分の性格を把握している。

ローへ的を得ていると褒めたら彼は寝ぼけてんだなと言われてウトウトとなりながらそうかもと思うリーシャはヘラヘラとした。

ローは驚いた様子でこちらを窺いまたキスをする。

それを何度もされながらくすぐったさにクスリと笑みを浮かべた。

 

 

 

目がぱちりと開いた。

眠気を後に残さずな快適な睡眠だった。

周りを見ると自分はベッドの上に居るのが分かって鼻腔にローの付けている香水の残り香がする。

どこを見てもロー本人は居ないが此処はやはりローの部屋、船長室なのだろう。

どうして自分がこんな所へ居るのか全く覚えていない。

最後の記憶は女性に憎悪の表情でナイフを見せられ刺され掛けたもの。

どうしてもトラウマにしかならない映像なので早めに削除したい所だが、あれからローがどうにかして此処へ連れてきてくれたのだろうな、と薄々感じる。

マイとヨーコ達の安否も心配なので呑気に寝ている場合ではない。

早々に地べたに足を付けて靴を履くと先ずは扉を抜けて三人部屋としてあてがわれている部屋に向かう。

そこはもぬけの殻だが、何となく生活臭が感じられたのでこの船に乗っている可能性は大いに有り得る。

顔を見るまで安心は出来ないので続いて居そうな食堂へ向かうと途中で船員とすれ違う。

 

「お、起きたのか?あの二人なら今は甲板に居るぜ」

 

ご丁寧に知りたい情報を手短に教えてくれた。

お礼を言って急ぎ足でそこへ向かう。

甲板へ着くと左右を見回す。

 

「起きたか」

 

上から聞こえてきた声に上を向くとローが手摺りから顔を出しているのが見えた。

 

「あ、聞きたい事が沢山あるんですけど」

 

「そうか」

 

そこからヒラリと飛び降りて此処へ着地した。

見事な運動神経だ。

自分がやれば大怪我間違いなしなのでやれないだろう大技だろう。

感嘆をしながら眺めているとローが違う方向を向いて声を少し張り上げる。

 

「リーシャが起きた」

 

「えっ」

 

「本当ですか!?」

 

直ぐ様やってきたのは探していた二人だった。

あっさりと登場した二人に目をしばたかせると、二人にもの凄く心配されるので何故だろうと思う。

記憶にない。

 

「あの、落ち着いて二人共」

 

「こいつはあの後の事は何も知らねェ。その事を前提に説明しろ」

 

「あっ、そうでした……」

 

「どこから話せば良いの?」

 

そうして聞かされたのは思いも寄らぬ陰謀のお話しだった。

事の始まりはリィア姫を除く王族の大臣達が独断で判断した計画。

王族のリィア姫は未来の王妃だ。

それを擁護する派閥とそれは納得いかないという派閥が有るが為に起きた事件。

と、言いたい所だが、違うらしく、原因は側室というシステムの中に居る王の寵愛を受ける女が起こした王女暗殺計画のせいらしい。

何でも、邪魔なので消そうという単純なもので、その日はリィア姫の結婚婚約パーティーで王女が狙い易い日。

王族の大臣達は側室の女が王女を暗殺しようとしているという情報を事前に掴んでいたらしく、その日がパーティーの日で、どう防ごうかと悩んでいた時にタイミング良く現れたリィア姫と瓜二つな自分。

つまり、大臣達はリーシャを囮、または生け贄としてパーティーに招いたのだ。

何か裏を感じるなとは思ったが、命を脅かされる等とは思ってもみなかった。

そして、罠にハマった側室はリーシャをリィア姫だと誤認識して殺そうとしたという訳だ。

何というか、お粗末な計画としか言いようがない。

何故暗殺するのにプロを雇わないのか、何故本人がナイフで刺そうとするのか。

色々キリがない穴だらけな内容に逆に成功したらそれはそれで凄いと思う。

しかも暗殺を決行すると知られていたという事は前から疑われていたという事でもある。

何もかも穴だらけだ。

本当に助かって良かった。

その後、どうやら視界がブラックアウトしたのはローが睡眠薬でリーシャを眠らせたせいだと分かって驚く。

何故眠らせる必要があるのかと思ったが、王族は人が死のうが身代わりなので殺しにくる可能性もあったので保険として眠らせたのだと言った。

円滑に話しをする為には本人が居ない方が良いと思ったからだとローは言う。

王族とどうやって話しを付けたのかかなり心配だが、今回の慰謝料を色を付けて分取ってきたとドヤ顔をする。

狙われるのかと思ったが、金輪際関わるなという誓約もさせたので大丈夫と言うローに賢いのだなと頼りになると感心。

マイとヨーコは怖かっただろうと気遣ってくれて心がほわんと温かくなる。

なんて良い子達なのだろう、自分には本当に勿体ないな、としみじみ感じた。

兎にも角にもロー達に色々と穏便をはかって貰ったのでしっかりお礼をしなければならない。

ローには視線で意味有り気に、熱い焦げそうなものが突き刺さっているので知らないフリをしてマイとヨーコにも話し掛ける。

 

「マイとヨーコも巻き込んで御免ね」

 

「いつもの事じゃない」

 

「慣れました」

 

胃の痛くなる言葉だが変えようのない不幸体質なので二人も慣れてしまったようだ。

巻き込んでいる数々の内容を思えば更に胃がキリキリする。

守ろうと思っているのに意図せず災難に遭わせてしまう自分が恨めしい。

内心密かに落ち込んでそれを表面に出さずに笑みを浮かべた。

 

「私を暗殺しようとした女の人はどうなったの?」

 

「王族を暗殺しようとしたんだ。それ相応の末路だ。お前はそんなとこまで気にしなくて良い」

 

「そうですよ!」

 

マイが気丈に腕を動かす。

ついでと言わんばかりにマイが「そういえば直感が当たりましたね、そう言えば」と言うので確かにと感心と共に成長をしているのだな、と羨ましくも感じた。

ヨーコが羨ましいと言う目で見ていたのでヨーコもきっと覚醒するよと言い付け足す。

シリアスな空気は嫌なので都合良く変わった話題は調和性があって良かった。

例えるのならミルクとココアだったのがミルクココアになった感じで空気が緩んだ。

 

「船長さんに相談したんですが、この直感は磨く事が可能らしいです」

 

「とは言ってもおれは磨く事も手本も見せられねェがな」

 

新世界の何処かにそういう所があるので探せば師匠となってくれるものが居るかもしれないらしい。

 

「まァ、宛ては有る」

 

「宛て?」

 

ヨーコがローの発言に食いつく。

ローは悩みつつも「女帝のとこの女達なら教えて貰えるかもしれねェ」と言うので驚いた。

この世で女帝と呼ばれる人物など一人しか該当しない。

 

「ローさんいつの間に悪魔と契約したんですか?」

 

「喧嘩売ってんのか」

 

青筋を浮かべるローにだって……と言い淀む。

女帝、ボア・ハンコックと関係が繋がっている等俄かに疑いたくなる。

女帝は男気嫌いで有名だ。

 

「まァ縁あっての繋がりだ。別に親しいと言う訳でもない。肝はお前等の説得内容に掛かってる」

 

「私は反対です!磨くとは綺麗に言ってますが要は特訓ですよね?ボア・ハンコックの居る島に行くなんて危険です」

 

リーシャは断固反対なのだが、それに反して二人はそれに肯定せず何かを考えているようだった。

 

「あたし、この先の未来を知ってる。だから強くならないと生きていけないっていうのも知ってる」

 

「私もヨーコから先に有る強い敵や険しくなる新世界の話しを聞いて前からもどかしく思ってたんです。良い機会としか思えません」

 

「「女帝の所へ行きたいです」」

 

(だから危険過ぎる!)

 

止めようと思っても二人の揺るぎない気配に言葉が告げない。

ローは二人の言葉に保証は出来ないと言うと承諾。

スピード展開に頭が痛くなった。

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