connect   作:苺のタルトですが

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「ガチで凍死する……ガチデ」

 

呂律が回らないのはこの異常に低い気温の帯域のせいだ。

冬島が近いのかここはとても寒く持ち寄った服や何やらで辛うじて辛抱出来ているがこれ以上下がれば命を失う可能性もある。

どこぞの潜水艦のように鉄壁でも頑丈でもない簡素な船は体温すらも防げない。

 

(それにしても……寒……そして島すらも見当たらないとかもう最悪)

 

この船には一人だけなので見張りも自分で行わなければいけない。

こうなれば次の島で故郷に帰る事を決める必要がある。

このグランドラインは人を試す。

グランドラインが追い付いていないのではなくリーシャがこの場所に追い付いていないのだ。

つまり自分の限界がもうすぐそこというわけで。

歯を鳴らし暖かな場所は探してもどこにもなく心なしか眠たくなってきた。

 

(どっかで寒い場所で寝るのは自殺行為とか……聞いた、こ)

 

もう思考も上手く回らずうとうととなっていると耳が水飛沫の音を拾い、疑問に思うが目がもうぼやけて開けられない。

すると微かにこの小舟が揺れて靴の音が聞こえたような気がした。

 

「こんな事だろうと思った」

 

心底呆れた声音、テノールの声が聞こえ既に目を閉じた状態では判別は出来ない。

最後に感じたのは身体が浮遊する感覚と何かが触れている場所がとても暖かくて、もしかしたら涙を溢してしまったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんん」

 

掠れる声に意識を浮上させればダルい感覚に違和感を感じながら目を開ける。

 

「ここ……」

 

回りを見回すと幾度となくお世話になったハートの海賊団の医務室。

そう認識すると同時になぜここに自分がいるのだろうと思い出しあの寒い場所は夢だったのだろうかと必死に考える。

 

「なんか……ダルい?」

 

「勝手に起き上がってんじゃねェ」

 

「!?……ロ、ローさん……」

 

いつの間にか扉の前に居た男に肩を揺らす。

 

「低体温症……あと熱、お前は確実に病人だ」

 

「や、確かにそれっぽい感じはしますけど……迷惑はこれ以上」

 

そう述べながらベッドから降りようとすればドサッと目の前に移動していたローがリーシャをベッドに押し倒す。

びっくりして声を出せないでいると彼は上に跨がりキツく怒った顔で耳元へ唇を寄せる。

 

「医者の言うことは聞け……じゃねェと後悔するぞ」

 

「こ、後悔?」

 

ごくんと生唾を飲み込むと妖しく微笑む外科医はリーシャの耳をそのまま甘く噛む。

 

「はう!……て、や、めてくださいよっ」

 

「耳が弱いのか?」

 

無視をして次は首に噛みつき欲を持った舌が舐めた。

危うく変な声を出しそうになり口を塞ぐ。

そうしている間に服の下から手が這うてきてビクッと反応する。

うねり弾力をつけ腰を撫で付けるローの顔はギラギラとしていて自分の中の女が勝手に意図せず疼く。

やめてと頼んでも這う手も唇も止まらない。

 

「は、あ……駄目、です……ローさん……私は、駄目」

 

「へェ?何が駄目なんだ」

 

今している事だと言わせる為の誘導に顔が赤くなる。

 

「リーシャ……」

 

名前を呼ばれ顔を向けると欲に縁取られた瞳が射ぬいてくる。

一瞬それに見惚れると隙をつかれ唇をそっと撫でくる浅黒い指先。

く、と唇を開けられ指先を加えさせられる。

 

「は、厭らしい顔してるぜ」

 

そういうローも厭らしい笑みを浮かべている。

 

「ひゃふう……」

 

「さて、戯れはここまでだ」

 

そう彼は言うと、リーシャの唾液に濡れた指を抜き、そのままそれをローは己の口に持っていくと舐め取る。

その恥ずかしい行為に目を閉じるが聴覚がくちゅりと卑猥な響きを持つ音を拾ってしまい嫌でも彼が指先を舌で舐めている光景が瞼に浮かんだ。

 

 

 

***

 

LAW side

 

 

 

「やっと大人しくなったか……世話が焼ける」

 

すやすや眠る彼女はどうやら先程のR十五程度の行為にキャパシティーを起こし、半ば意識を失うように目を閉じた。

勝手に降りようとした報いだと内心悪態をつく。

最初にリーシャを見つけたのはベポだった。

航海士のベポは海の周りに何か物体があると報告し、虫の知らせが騒がしいと動物の勘を起こすので、取り敢えず気が済むのであればと浮上したのだが。

 

(凍死寸前だったアイツを見つけた)

 

たまにベポの虫の知らせがリーシャの悪運を知らせることもあったがここまで死にかけていたのは初めてかもしれない。

低体温に熱に眠気と来たら待つのは死。

もし見つけるのが遅くなっていたら確実に死んでいただろう。

 

「つくづく目が離せなくなる」

 

離してしまえば死亡フラグを次々と持ってくる。

 

「ベポ、心配なら早く入ってこい」

 

「うん……」

 

リーシャが意識を失う辺りから部屋の様子を窺っていたベポを呼べば入ってくる白熊。

一番リーシャを気にかけているのはこいつだ。

 

「ねえキャプテン」

 

「あ?」

 

「リーシャが、おれ達よりも死を悟ってる事知ってたか」

 

「悟る?病気でも患ってんのか」

 

「違う。病気じゃない」

 

ベポが言うにはかつてリーシャがころっと死んでしまっても仕方がない世界だからいつ死んでもいいのだと諦めていると洩らした事があるという。

海賊のロー達は戦いで死ぬことを覚悟して海に乗り出しているが彼女は何を持ってそう思っているのか。

 

(命に執着心が感じられねーのはそういうことだったのか)

 

いつもへらりと笑うリーシャからは想像できない思考。

凍死しかけても対して恐怖も感じられず、強盗にあっても怯えなかったのは慣れもありそれもあったというわけだ。

 

「キャプテン、おれ……リーシャには生きて欲しい。死んで欲しくない」

 

「そのままお前の気持ちを言えばいい……そしてアイツの命はアイツのもの。最後に決めんのはアイツだ」

 

ローの後味が悪いとかいう意味でも、少なからず面白い女と認識しているので簡単に死なれるのは困る。

 

(せっかくこうして生かしてやったんだ。その分はきっちり返してもらうぜ)

 

本人の意見も権限も無視をした事を考えているローはニヤリと口を独りでに上げた。

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